JP2005085432A - 薄膜磁気ヘッド及び磁気ディスク装置 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及び磁気ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
再生ヘッド部のマグネティックスペースを確保しつつ、記録ヘッド部がハードディスクに接触しないようにすることを主目的とした。
【解決手段】
ヘッドスライダーのABS面上のヘッド面に、記録ヘッド部だけに段差を設けることで、再生ヘッド部のマグネティックスペースを確保しつつ、記録ヘッド部がハードディスクに接触しないようにすることが可能である。また、記録ヘッドと再生ヘッドの距離をトラック幅方向に離すことで、記録ヘッド部がハードディスクに接触したとしても、その接触によりGMR素子へキズなどのダメージを与え、再生出力の低下やノイズを招く確率を小さくすることが可能である。
【選択図】 図1















Description

本発明は、ハードディスクドライブに代表される磁気ディスク装置と、それに使用される薄膜磁気ヘッドに関する。
磁気ディスク装置に使用される薄膜磁気ヘッドは、信号再生用磁気抵抗効果型素子と記録用の書き込み用電磁変換素子を持った分離型複合ヘッドである。即ち、再生ヘッド(リード素子)と記録ヘッド(ライト素子)とを合わせ具えている。
このヘッドはウェハー基板上に積層して形成するが、通常1枚のウェハー基板から数万個の素子が得られる。積層後、切断、研磨、露光、分離などの加工工程を経てヘッドスライダーとなる。ヘッドスライダーは、その後、支持部材すなわちサスペンションに固着され、HGA(ヘッドジンバルアセンブリ:Head Gimbal Assembly)という形態になる。その後、HGAは、ヘッドスライダーのABS(Air Bearing Surface)面と磁気ディスクが対向するように、装置に取付けられる。
最新のハードディスクドライブは、記録密度の急激な上昇と共に、ABS面上の点と磁気ディスクであるハードディスクとの距離である浮上量の低下と、薄膜磁気ヘッドのコンパクト化が顕著である。
ABS面上の薄膜磁気ヘッド部とハードディスクとの間の距離である浮上量とABS面保護膜厚とリセス量を考慮した距離を考慮したマグネティックスペースが小さいほど、電磁変換特性が良いので、最新の記録密度に相応する特性を得るためには、浮上量は10nm程度と非常に低くしなければならない。
薄膜磁気ヘッドのコンパクト化が顕著であるということは、記録密度すなわちトラック幅が狭くなっていることであり、最近では再生ヘッドのリード幅は0.10〜0.20μm、記録ヘッドのライト幅は0.20〜0.30μm程度である。また、記録ヘッドの高周波対応として、低インダクタンスが必須であり、記録ヘッド部のヨークの長さ(図20の50)は12〜18μm程度である。
ここで、高記録密度化に伴う、書込み周波数について説明をする。3.5インチデスクトップタイプのハードディスクドライブに例をとれば、60Gbpsiで80GB/Pクラスの場合、最大(外周)周波数は約400MHz強、80Gbpsiで120GB/Pクラスの場合、最大(外周)周波数は約450MHz弱である。また、ハイエンドサーバ用のハードディスクドライブに例をとれば、40Gbpsiで40GB/Pクラスの場合、最大(外周)周波数は約450MHz。80Gbpsiで80GB/Pクラスの場合、最大(外周)周波数は約500〜570MHzである。本発明においては、今後主流となる500MHzを例にとって説明した。
しかしながら、薄膜磁気ヘッドのコンパクト化のためには記録ヘッドの薄膜コイルを小さくしなければならないため、コイルの抵抗が大きくなり、同じ大きさの書き込み電流でもコイルが小さいので発熱量が大きい。また、コイルの大きさが同じである場合には、書き込み周波数が高い程発熱量が大きくなる。このように、コイルが発熱し、記録ヘッド温度が上昇するという現象が起きる。
記録ヘッド温度が上昇すると、ABS面上の記録ヘッド部からOC(オーバーコート:Over Coat)層部にかけての範囲で、温度による隆起が起こる。この現象をサーマルプロトリュージョン(TPTP:Thermal Pole Tip Protrusion)と呼んでいる。
この、プロトリュージョン(隆起)の大きさは、装置内温度や書き込み電流や書き込み周波数などの環境条件により異なる。
図15は、ハードディスクドライブ稼動時において浮上しているヘッドスライダー(図18と図19の5)の薄膜磁気ヘッド4が搭載されている部分の流出端を示す。ハードディスク2が図中矢印方向33に回転すると、空気流によってヘッドスライダー5は浮上し、流出端側(図19の9)がハードディスク2に近づくように前傾姿勢になる。なお、図は前傾姿勢にはなっていないが実際は前傾姿勢になる。ABS面上でウェハー基板部上の流出端側の任意点とハードディスク2との距離が浮上量30であり、ABS面上の再生ヘッド部のGMR素子15とハードディスク2との間の距離に、浮上量30とABS面保護膜厚(図示しない)とリセス量31を考慮した距離がマグネティックスペース32である。また、アルティック(Al2O3・TiC)を主とするウェハー基板部12のABS表面を基準35にして、流出端のウェハー基板部12以外の部分に生じる段差をリセス(Recession)31と呼ぶ。リセスには、例えば、OC層先端部34やGMR素子15上部などの各位置でのリセスを定義する場合もある。
プロトリュージョンが最も大きくなるのは、OC層10である。OC層10のプロトリュージョン(OCPN:Over Coat ProtrusioN)34対策として、例えば、特許文献1に、OC層10の一部を、切り落とすあるいは、段差をつけるという方法が紹介されている(図4の24)。しかしながら、この方法での、ある程度の効果は認められているが、まだ解決には至っていない。また、実際の浮上量の最下点は、ABS面上のアルティック基板部流出端最先端部36となっているので、プロトリュージョンは、ABS面上のウェハー基板面35よりも突出しないように考えるべきである。
特開平7−307070号公報
更に、マグネティックスペース32が小さいので、プロトリュージョンが起こると、ABS面上に露出している記録ヘッド部のOC層先端部とハードディスク2が接触し、記録ヘッドの近傍にありABS面上に露出している再生ヘッド部のGMR素子15にキズなどのダメージが与えられる可能性が非常に高くなる。現在、装置稼動中に突然、出力が元の値の70%以下に低下したり、ノイズが発生して、装置がエラーを起こす現象が大きな問題になっている。
特に、今後AV機器への展開が進むと、長時間録画のために、ハードディスクドライブが使われることとなる。AV機器での、ハードディスクドライブ稼動時間は、パソコンでは書き込みと読み込みが繰り返されるのに対し、1日中連続書きっ放しというような長時間連続稼動状態となるので、このプロトリュージョン対策が早急に必要である。
薄膜磁気ヘッドのコンパクト化に伴う前記諸問題に対し、薄膜コイル抵抗を小さくしたり、書き込み電流を小さくするなどの対策が考えられている。リセス量31を大きくしたり(特許文献2)、浮上量を高くするなどのマグネティックスペース32を大きくする案もある(特性は悪くなる方向)。また、記録ヘッド構造をプラナー型(特許文献3)へ変更する案もある。更に、UC(アンダーコート:Under Coat)層(図21の13)を薄くして放熱効果を上げるという案もある。これらの対策案については、既に一部は実施済みであり、それぞれある程度の効果は確認されているが、まだ問題解決できる程の効果は得られていない。
特開平10−269527号公報 特開2000−137902号公報
本発明では、ABS面上のヘッド面に、記録ヘッド部だけに段差を設けることで、再生ヘッド部のマグネティックスペースを確保しつつ、記録ヘッド部がハードディスクに接触しないようにすることを主目的とする。また、記録ヘッドと再生ヘッドの距離をトラック幅方向に離すことで、記録ヘッド部がハードディスクに接触したとしても、その接触によりGMR素子へキズなどのダメージを与え、再生出力の低下やノイズを招く確率を小さくすることを考え出した。
図16は、記録ヘッドに通常使用する値以上の大きさの書込み電流を流したときのプロトリュージョンの変化の様子を示している。プロトリュージョンが最も大きくなるのは、OC層10である。これに、前記に紹介した切り欠き24をいれたものが、図17である。この方法で、OC層10のプロトリュージョン(OCPN)34を小さくすることは完全ではないが、ある程度の効果は認められている。
ヘッドスライダーのABS面上のヘッド面に、記録ヘッド部だけに段差を設けることで、再生ヘッド部のマグネティックスペースを確保しつつ、記録ヘッド部がハードディスクに接触しないようにすることが可能である。また、記録ヘッドと再生ヘッドの距離をトラック幅方向に離すことで、記録ヘッド部がハードディスクに接触したとしても、その接触によりGMR素子へキズなどのダメージを与え、再生出力の低下やノイズを招く確率を小さくすることが可能である。
本実施形態に適用される薄膜磁気ヘッドを備えたハードディスク装置(ドライブ)を図18に示す。ハードディスク装置1は、HGA3を作動させて、高速回転する磁気ディスクすなわちハードディスク(記録媒体)2の記録面(図の上面)に、薄膜磁気ヘッド4によって磁気情報を記録及び再生するものである。 薄膜磁気ヘッド4が形成されたヘッドスライダー5を搭載したHGA3は、支軸6の周りに例えばボイスコイルモーター(図示せず)によって回転可能となっている。HGA3を回転させるとヘッドスライダー5は、ハードディスク2の半径方向、すなわちトラックラインを横切る方向に移動する。
本発明の主要部分は、ヘッドスライダーの流出端部9にある。ヘッドスライダー5の拡大斜視したのが図19である。図19における手前側の面7は、ハードディスク2の記録面に対向するハードディスク対向面であり、ABS(Air Bearing Surface)面7と称される。ハードディスク2が回転する際、この回転に伴う空気流によってABS面はハードディスク2の記録面から離れてヘッドスライダー5が浮上する。また、ハードディスク2の回転方向に対して、空気がヘッドスライダー5に流入する側を流入端8、流出する側を流出端9(薄膜磁気ヘッドが形成されている側)と呼ぶ。流出端9には、薄膜磁気ヘッド4を保護するために、OC(オーバーコート:Over Coat)層10が設けられている。OC層10上には、記録及び再生用パッド11(材料はAu等)が形成されており、図18に示すHGA3を介して、ハードディスク装置1と接続される。また、薄膜磁気ヘッド4の耐腐食や耐キズなどのために、ABS面全体に、加工工程で、ダイアモンドライクカーボン(DLC)などの保護膜が形成される(図は省略)。
図19におけるヘッドスライダー流出端部A−Aの断面を図20に示す。本発明の主要部分は、ヘッドスライダーの流出端部9にある。ヘッドスライダー5の大部分を占めるアルティック(Al2O3・TiC)を主とするウェハー基板部12上に、薄膜磁気ヘッド4が形成されている。流出端部9は、ウェハー基板12、UC(アンダーコート:Under Coat)層13、磁気抵抗効果素子としてGMR(Giant Magneto Resistive)素子を有する再生ヘッド部25、誘導型の電磁変換素子としての記録ヘッド部26、OC層10からなっている。
再生ヘッド部25は、UC層13上に設けられており、UC層13側から順に、下部シールド層14、GMR素子15を含みこのGMR素子15を上下から挟む絶縁層16、及び、上部シールド層17が積層されることにより構成されている。GMR素子15は、多層構造(図示は省略)を有してABS面側に露出している。下部シールド層14と上部シールド層17は、不要な外部磁界をGMR素子15が感知するのを防止する機能を有し、磁性材料を含む。
下部シールド層14の厚さは約1〜3μmで、上部シールド層17の厚さは約1〜4μmである。また、絶縁層16の厚さは約0.01〜1.0μmである。なお、本明細書において、シールド層のように、“上部”及び“下部”という語を用いる場合があるが、“下部”とはウェハー基板部12に近い側であり、“上部”とはウェハー基板部12から遠い側であることを意味する。
記録ヘッド部26は、再生ヘッド部25上に絶縁層18を介して形成され、長手記録方式の誘導型磁気変換素子である。記録ヘッド部26は、下部磁極19、ギャップ層20、薄膜コイル22、絶縁層23、上部磁極21から構成されている。絶縁層18は厚さ約0.1〜2.0μmのアルミナ(Al2O3)等を利用できるが、必ずしも設ける必要はない。記録ヘッド部26は、絶縁層18側から順に、軟磁性材料からなる下部磁極19、非磁性の絶縁材料からなるギャップ層20を有している。また、ギャップ層20上には、ABS面側に磁極部分層21aが、ABS面から離れた側に上下2段の薄膜コイル22を含む絶縁層23が積層されている。さらに、磁極部分層21上及び絶縁層23上には、薄膜コイル22の一部を下部磁極19との間に挟むと共に、ABS面から離れた側で下部磁極19と磁気的に連結する上部磁極21のヨーク部分層21bを有している。
下部磁極19は、パーマロイ(NiFe)等の磁性材料であり、厚さは約1〜3μmである。ギャップ層20は、アルミナ(Al2O3)等の非磁性絶縁体あるいは、非磁性導電体と非磁性絶縁体との組合せであり、厚さは約0.05〜0.5μmである。
磁極部分層21aはヨーク部分層21bと共に上部磁極21を構成するものであり、材料はパーマロイ(NiFe)の他に、(1)鉄や窒素原子を含む材料、(2)鉄やジルコニア及び酸素原子を含む材料、並びに、(3)鉄やニッケル元素を含む材料等で形成することができる。磁極部分層21aの厚みは約0.5〜3.5μmであり、好ましくは1.0〜2.0μmである。ヨーク部分層21bの材質は磁極部分層21aと同じであり、厚みは約0.5〜5μmである。薄膜コイル22は、Cu等の導体で、厚みは約1〜3μmである。絶縁層23は、アルミナやレジスト等で、厚みは約0.1〜3μmである。
OC(オーバーコート:Over Coat)層10は、薄膜磁気ヘッド4の記録ヘッド部を保護するためのアルミナ等の材料からなる層であり、記録ヘッド部26上に厚さ約3.0〜30μmで形成されている。また、OC層10において、流出端ABS面上で先端部に切欠き部24が形成されている。
図21は、薄膜磁気ヘッド4があるヘッドスライダー流出端部9をABS面側から見ている。ウェハー基板部12側から順に、UC(アンダーコート:Under Coat)層13、下部シールド層14、GMR素子15を含みこのGMR素子15を上下から挟む絶縁層16、上部シールド層17、更に、絶縁層18、下部磁極19、ギャップ層20、磁極部分層21a、OC(オーバーコート:Over Coat)層10から構成されている。ABS面から見た磁極部分層21aをポール21aと呼ぶ。また、前述の切欠き部24を設けている。
同じ図21で、絶縁層16中GMR素子15の電極層が27である。電極層27はAu、Cu、AuCu等からなり、厚み約0.01〜0.15μm、全長幅28は約30〜50μmである。また、トラック幅方向にポール21aの中心線とGMR素子15の中心線との距離29をRWD(リードライトディスタンス)と呼ぶ。
ハードディスクドライブの設計によるがRWD29値は通常は約0〜3μmである。
本発明の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成は、前記「発明を実施するための最良の形態」で述べた構成であり、そのGMR膜構成は、NiCr5/PtMn13/CoFe1.5/Ru0.8/CoFe2/Cu1.8/CoFe2.5/Cu0.5/Ta2.5(単位はnm)である。また、再生ヘッド部のリード幅は0.10μmであり、記録ヘッド部のライト幅は0.22μmである。そして、記録ヘッド部のヨーク長(図20の)は18μmであり、薄膜コイルのターン数は9ターンである。また、RWDは0μmである。
プロトリュージョンを起こすのは、記録ヘッド部であり、プロトリュージョンが起きても、ABS面上の薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部をミリング等で掘り削る量を制御することで、ウェハー基板部のABS表面よりも突出しないようにすることが可能である。また、前述の切欠き部24を設けているが、図4において、記録ヘッドにかからない程度に余裕をもって掘り削れる範囲であれば、切欠き部24の大きさや形状については任意に設計が可能である。
図4は、プロトリュージョンの定義を図に示している。点線で示した部分がプロトリュージョン後の様子である。プロトリュージョン量34は、プロトリュージョンする前に比べて、プロトリュージョンした後の最大点がどれだけ隆起しているかと定義している。すなわち、プロトリュージョン後の最大点の大きさからプロトリュージョン前の大きさを引いたものである。プロトリュージョン後の最大点とは、OC層10のプロトリュージョン(OCPN)34の場合がほとんどである。
図5は、前記構成の薄膜磁気ヘッドを搭載したHGAの形態において、書込み電流が20mAのときの周波数とプロトリュージョン量の関係を示したグラフである。ハードディスク装置で実際に使用する最大周波数は約300〜500MHzであり、今後更に大きくなる方向である。図5では、周波数が大きくなるほど、プロトリュージョン量が大きくなっている。これは、電流の周波数が大きいほど薄膜コイル及び上部磁極が発熱するためである。
図6は、前記構成の薄膜磁気ヘッドを搭載したHGAの形態において、周波数300MHzにおける、書込み電流とプロトリュージョン量の関係を示したグラフである。周波数が一定である条件下では、書込み電流が大きくなるにつれてプロトリュージョン量も大きくなっている。
図7は、前記構成の薄膜磁気ヘッドを搭載したHGAの形態において、直流の書込み電流と記録ヘッドの温度上昇の関係を示したグラフである。特に、ハードディスクがある場合とない場合について比較している。図7の結果より、書込み電流が大きくなるほど、発熱量は大きくなり、ハードディスクがある場合は、ディスクの回転による冷却効果があると考えられ、温度上昇は、ハードディスクがない場合と比べて小さくなることがわかる。なお、本発明における測定は、ハードディスクがない場合である。したがって、この測定で得られたプロトリュージョン量よりも実際はハードディスクがあるので小さくなると考えられる。
測定の都合上300MHzの周波数でデータ取りを進めてきたが、今後主流である周波数500MHzの場合を、前記結果を参考にして、書込み電流とプロトリュージョン量の関係を算出したグラフが図8である。なお、ここでは、ハードディスクがある場合を想定している。図8の結果より、この例では、書込み電流が30mAとすると、本発明で、薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部を、ミリング等で掘り削る量は少なくとも約5nmであると算出できる。
図9は、前記構成の薄膜磁気ヘッドを搭載したHGAの形態において、ヘッドスライダーを浮上させた状態で、薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部をミリング等で掘り削る量と、その時に、ハードディスクに接触する確率をシュミレーションしたグラフである。ただし、接触確率を上げて、検出しやすくするために、かなり厳しい条件で行った。周波数は500MHz、書込み電流は50mA、書込み時間はハードディスクが回転する1周分(短時間)である。図9の結果より、薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部をミリング等で掘り削る量が0nm(掘り削らない)の場合には、30%の確率で接触されたが、削る量を5nmでは、接触確率は10%と、約1/3の確率となった。
〔第1の実施の形態〕
図1に、上部シールド17上からOC層10側の領域37をミリング等により掘り削る形態について示す。再生ヘッド部自体のプロトリュージョンは起こらないので、マグネティックスペースを可能な限り小さく維持するために、上部シールド17よりもウェハー基板12側の領域は掘り削ることはしない。
ミリング等により掘り削る上部シールド17上からOC層10側の領域37のヘッドスライダーの長手方向である奥行きの寸法38は、上部シールド17から下部磁極19上までの範囲40とする境界線39から、流出端先端までの距離とし、図1の42で示すノッチデプス部にはかからないようにする。
ミリング等により掘り削る上部シールド17上からOC層10側の領域37のトラック幅方向である幅寸法41は、GMR素子の電極層27の全幅(図21の28)よりも大きい寸法とする。この実施例での値としては、約30〜50μm以上ということになる。また、この実施例では、前記の薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部を、ミリング等で掘り削る量は500MHzの場合は約5nmであったことから、プロトリュージョン量が5nm時のトラック幅方向である幅寸法を測定したところ約20μmであった。もし、GMR素子の電極層27の全幅(図21の28)がこのプロトリュージョン幅以下の場合は、この実施例での前記幅41は、このプロトリュージョン幅である約20μm以上であるべきである。
図2は、図1のB−B部を断面で見た図である。ミリング等により掘り削る上部シールド17上からOC層10側の領域37に切欠き部24を加えた様子がよくわかる。
〔第2の実施の形態〕
図3に、RWD(リードライトディスタンス)を大きくとり、斜線部43の領域をミリング等により掘り削る形態について示す。前記掘り削る領域の記録ヘッド部と再生ヘッド部との境界線45の再生ヘッド側の領域は、再生ヘッド自体のプロトリュージョンは起こらないので、マグネティックスペースを可能な限り小さく維持するために、領域は掘り削ることはしない。
前記“0036”の記述の中で、薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部を、ミリング等で掘り削る量は500MHzの場合は約5nmであったことから、プロトリュージョン量が5nm時のトラック幅方向である幅寸法を測定したところ約20μmであった。前記掘り削る領域の記録ヘッド部側のトラック幅方向の幅44の範囲は、ポール21a(磁極部分層)のトラック幅方向のセンターラインを中心に、少なくとも片側約10μm、両側で約20μm(プロトリュージョン幅約20μmの1/2)以上の幅を設けるべきである。また、幅41で、記録ヘッドの、再生ヘッドとトラック幅方向の反対側の掘り削る領域については、制限しない。
図10を用いて、RWD29について説明する。従来は、ハードディスク装置の設計によるがRWD29値は通常は約0〜3μmである。本発明の第2の実施の形態では、RWDを大きくとるところが特徴の1つである。その大きさは、前記“0042”で述べた、ポール21a(磁極部分層)のトラック幅方向のセンターラインを中心に、少なくともプロトリュージョン幅47約20μmの1/2である片側10μm(図10の48)以上、並びに、GMR素子の電極層27の全幅(図21の28)約40μm(30〜50μmの平均)の1/2である片側20μm(図10の49)以上を合計した寸法以上、すなわち、少なくとも約30μm以上が必要である。その上で、“0040”で述べたミリング等で掘り削る領域を設ける。なお、図10において、記録ヘッドが再生ヘッドの左側であっても、右側であってもよい。
図11に、前記構成の薄膜磁気ヘッドを搭載したHGAの形態において、次の3つの場合について、電磁変換特性上の再生出力の大きさが初期状態に比べて初期値の70%以下の大きさまで低下する確率と、RWDと、薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部を、ミリング等で掘り削る量との関係を示した。前記の3つの場合とは、
ケース1:ミリング等で掘り削る量は0nm、RWDは0μm。
ケース2:ミリング等で掘り削る量は5nm、RWDは0μm。
ケース3:ミリング等で掘り削る量は5nm、RWDは30μm。である。
前記“0036”の記述より、薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部を、ミリング等で掘り削る量を5nmとしている。まず、ケース1〜3の状態の薄膜磁気ヘッドを搭載したHGAを各100個について電磁変換特性上の再生出力を調べる。その後、各3回再生出力を調べて、3回のうち出力の大きさが初期値の70%以下まで低下する確率を算出した。図11の結果から、ケース1で0.5%であった確率は、ケース2で0.1%、更にケース3では0%になった。
つまり、第1の実施の形態(ケース2)だけでも電磁変換特性上の再生出力の大きさが初期状態に比べて初期値の70%以下の大きさまで低下する確率について効果があり、更に、RWDを大きく設ける第2の実施の形態(ケース3)ならば、より効果があるということを示している。
〔第3の実施の形態〕
前記実施例1と2で示した薄膜磁気ヘッドの構成以外にも、例えば、プラナー型記録ヘッドやスティッチドポール型記録ヘッドのような構成の薄膜磁気ヘッドが存在する。これらの構成の薄膜磁気ヘッドでのプロトリュージョンの周波数依存特性や書込み電流依存特性は、前記実施例1と2で示した結果とは、当然変わってくるので、もしも、プラナー型記録ヘッド(特許文献3参照)やスティッチドポール型記録ヘッド(特許文献4参照)のような構成の薄膜磁気ヘッドを使用するのであれば、それぞれの前記実施例1と2で示したような調査をして、具体的に、薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部を、ミリング等で掘り削る量を算出する必要がある。
特開2000−137902号公報 特開2000−76620号公報
それぞれ異なった記録ヘッドの構成を持った4種類の薄膜磁気ヘッドの、プロトリュージョンについての、周波数依存特性を図12に、書込み電流依存特性を図13に示す。測定条件は、前記実施例と同じである。図12と図13は、記録ヘッドの構成が異なると、プロトリュージョンについての諸特性が一様ではないことを示している。これら4種類のヘッド構成は、●はプラナー型でコイルが8ターン、○はプラナー型でコイルが6ターン、■は本実施例の構成、◆はスティッチドポール型である。
図14に、簡単ではあるが、本実施型、プラナー型とスティッチドポール型のイメージ図を参考に載せた。
また、プロトリュージョンは、記録ヘッドの構成により異なる傾向を示すだけではなく、環境温度や書込み周波数や電流によっても異なる傾向を示す。世の中には、ハードディスク装置内温度や製造工場内温度などの環境温度下で、多種に渡るハードディスク装置が存在する。それぞれのハードディスク装置の各機種の記録密度は異なるため、設計に対応した使用周波数や書込み電流なども一様ではない。従って、前記薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部を、ミリング等で掘り削る量は、各状況に応じて算出すべきである。
第1の実施の形態である形態を示す。ヘッドスライダー流出端部のヘッドがある部分をABS面側から見た図である。 図1のB−B部を断面で見た図である。 第2の実施の形態である形態を示す。ヘッドスライダー流出端部のヘッドがある部分をABS面側から見た図である。 プロトリュージョンの定義を示すヘッド断面図である。 実施例における書込み電流が20mAのときの周波数とプロトリュージョン量の関係を示すグラフである。 実施例における周波数が300MHzのときの書込み電流とプロトリュージョン量の関係を示すグラフである。 実施例における周波数が300MHzのときの書込み電流と記録ヘッドの温度上昇の関係を示すグラフであり、ハードディスクがある場合とない場合について示している。 実施例における周波数が500MHzのときの書込み電流とプロトリュージョン量の関係を実施例で述べた結果を元に算出したグラフである。 ヘッドスライダーを浮上させた状態で、薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部をミリング等で掘り削る量と、その時に、ハードディスクに接触する確率をシュミレーションしたグラフである。 第2の実施の形態に関して、RWDについて説明するための図である。 実施例に関して、3つの場合において、電磁変換特性上の再生出力の大きさが初期状態に比べて初期値の70%以下の大きさまで低下する確率を示したグラフである。 実施例に関して、それぞれ異なった記録ヘッドの構成を持った4種類の薄膜磁気ヘッドの、プロトリュージョンについての、周波数依存特性を示したグラフである。 実施例に関して、それぞれ異なった記録ヘッドの構成を持った4種類の薄膜磁気ヘッドの、プロトリュージョンについての、書込み電流依存特性を示したグラフである。 本実施型、プラナー型とスティッチドポール型のイメージ図である。 ハードディスクドライブ稼動時において浮上しているヘッドスライダーの薄膜磁気ヘッドが搭載されている部分の流出端の様子を示した図である。 記録ヘッドに通常使用する値以上の大きさの書込み電流を流したときのプロトリュージョンの変化の様子を示した図である。 図16のヘッドに、切り欠きを入れた場合を示した図である。 ハードディスク装置を示した図である。 ヘッドスライダーを拡大斜視した図である。 図19におけるA−A部を断面で見た図である。 薄膜磁気ヘッドがあるヘッドスライダー流出端部をABS面側から見た図である。
符号の説明
4…薄膜磁気ヘッド、6…支軸、10…オーバーコート層、11…記録及び再生用パッド、12…ウェハー基盤、13…アンダーコート層、14…下部シールド、15…GMR素子、16,18…絶縁層、19…下部磁極、20…ギャップ層、21a…磁極部分層、21b…ヨーク部分層、21…上部磁極、22…薄膜コイル、23…絶縁層、24…切り欠き部、27…リード電極層、36…浮上量最下点、42…ノッチデプス、46…プロトリュージョンのイメージ、47…プロトリュージョンのトラック方向の幅。

Claims (4)

  1. 再生用の磁気抵抗効果素子及び書込み用の電磁変換素子を備えた分離型複合ヘッドであり、ヘッドスライダーのABS面上で、流出端部の記録ヘッド部を含む領域に加工段差を具え、且つ、再生ヘッド部には加工段差を具えていないことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. ヘッドスライダーのABS面上であり、流出端部の記録ヘッド部を含み、再生ヘッド部を含まない領域を、
    上部シールド上からノッチデプス上にはかからない下部磁極上までの範囲内から、流出端先端までの範囲を、奥行き方向の領域とし、
    プロトリュージョン量のトラック幅方向の幅より大きく、且つ、磁気抵抗効果素子の電極層の幅よりも大きい幅方向の領域を有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. ヘッドスライダーのABS面上であり、流出端部の記録ヘッド部を含み、再生ヘッド部を含まない前記の領域が、
    トラック幅方向のリードライトディスタンスを具え、
    ウェハー基板部端から流出端先端までの範囲内に、少なくとも記録ヘッド部を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. ヘッドスライダーのABS面上であり、流出端部の記録ヘッド部を含み、再生ヘッド部を含まない前記の領域が、
    少なくとも、磁極部分層のトラック幅方向のセンターラインを中心に、プロトリュージョン量の1/2の幅と、前記磁気抵抗効果素子の電極層の幅の1/2の幅との和以上であるトラック幅方向のリードライトディスタンスを具え、
    前記磁気抵抗効果素子の電極層の幅及び、且つ、プロトリュージョンのトラック幅方向の幅のいずれにもかからない線を境界として、記録ヘッド側に設ける領域を幅方向の領域とし、
    ウェハー基板部端から流出端先端までの範囲に、少なくとも記録ヘッド部を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。
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