JP2005083976A - X線分析装置とその焦点合わせ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 X線照射系の焦点合わせを簡単で正確に行なえるようにする。
【解決手段】 X線と可視光はポリキャピラリレンズ8によってともに試料2上に集光される。試料2上からの可視光の反射光は再びポリキャピラリレンズ8で受光され、X線透過ミラー12で反射されピンホール22を経てレンズ16からミラー18で反射され、受光素子20に入射して検出される。制御機構6は試料ステージ4を上下方向に移動させることにより、受光素子20の検出信号の変化を監視し、検出信号が最大となる位置に試料2の光軸方向の位置を位置決めする。これにより試料2上ではX線の焦点合わせが行なわれ、X線が最も集光された状態で試料に照射される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、試料上にX線を集光させて照射しその照射位置からの情報に基づいて分析を行なう蛍光X線分析装置などのX線分析装置と、そのX線分析装置において試料に照射されるX線の焦点合わせを行なう装置に関するものである。
X線を集光して試料に照射すると試料面からは光電子や蛍光X線が放出される。X線分析装置としては、その光電子や蛍光X線を検出することにより試料表面における元素種、原子の結合状態、組成比などを分析するものがある。
そのようなX線分析装置では試料上のX線照射位置にX線を集光させる必要があるが、X線は目視できないため、X線照射系とは別に光学顕微鏡や変位センサなど、焦点合わせのための可視光による光学系を別途設けている。光学顕微鏡を設けたものでは、光学顕微鏡の焦点が合った位置で、X線の照射径が最小となるようにX線照射系と光学顕微鏡の光学系が調整されている。
しかしX線照射系と光学系が別になっていると、装置組立時にX線照射系の焦点と焦点合わせのための光学系による検出位置とを一致させる調整が必要である。X線は目視できないため、例えば、試料の代わりに蛍光板を用い、X線の照射径が最小となる所に試料の光軸方向の位置を合わせた後、同じ試料位置で焦点が合うように光学顕微鏡の光学系を合わせるなどの調整作業を行なっている。
そのような調整作業を不要又は容易にするために、X線照射系と光学系で共通の光学部材を使用し、X線の光路と可視光の光路を同一光路とするものが提案なされている(特許文献1参照。)。その共通の光学部材を使用すれば、X線の集光位置と可視光の集光位置が同一位置となることにより、試料の代わりに蛍光板を配置する必要はなく、試料上に形成される可視光像を観察して試料上の照射位置が焦点位置となるように試料の光軸方向の位置を調整すればX線の焦点合わせも同時になされることになる。
特開2003−4677号公報
X線の集光に用いられる光学部材は収差が大きく、光軸外の光も集光するレンズのようには働かないため、光学顕微鏡の光学系の一部を構成するような配置をすると十分な分解能が得られない。そのため、焦点合わせが困難になる。
そこで、本発明はX線照射系と光学系で共通の光学部材を使用するとともに、焦点合わせを正確に行なうことのできる焦点合わせ装置とその焦点合わせ装置を備えたX線分析装置を提供することを目的とするものである。
本発明の焦点合わせ装置は、試料を保持し少なくとも光軸方向に可変の試料ステージと、内面での反射を利用してX線を前記試料ステージ上の試料に集光させる光学部材と、前記光学部材の光軸上に光を導入して前記試料上のX線集光位置にその光も集光させる光学系とを備え、試料上での前記光による像の大きさが最小になった試料の光軸方向の位置をX線の合焦位置とするものである。
ここで、前記光学系が扱う光は、紫外、可視及び赤外の領域を含み、レンズを用いた光学系で扱うことのできる光であれば、その波長領域は限定されない。
合焦位置を検出する機構の一例は、試料からの反射光を受光してその像の大きさを検出する撮像素子を備え、その撮像素子の検出信号に基づいて試料上での前記光による像の大きさが最小になった試料の光軸方向の位置を検出するものである。
その場合、合焦位置の検出を自動化するためには、試料ステージの光軸方向の駆動を制御する制御機構を備え、その制御機構は前記撮像素子による像の大きさが最小になるように試料ステージの光軸方向の位置を決定するものとすればよい。
合焦位置を検出する機構の他の例は、前記光学系として照射光学系と受光光学系で焦点を共通にする共焦点光学系を構成したものとし、その共焦点の位置にピンホールを備え、前記受光光学系がそのピンホールを透過した試料からの反射光を受光してその強度を検出する受光素子を備え、前記受光素子の検出強度が最大になった試料の光軸方向の位置をX線の合焦位置とするものである。
その場合、合焦位置の検出を自動化するためには、試料ステージの光軸方向の駆動を制御する制御機構を備え、その制御機構は前記受光素子の検出強度が最大になるように試料ステージの光軸方向の位置を決定するものとすればよい。
光学部材の好ましい一例は、複数のキャピラリを備えた集光用ポリキャピラリレンズである。
本発明のX線分析装置は、試料上にX線を集光させて照射し、その照射位置からの情報に基づいて分析を行なうものであり、本発明の焦点合わせ装置を備えている。
本発明の焦点合わせ装置は、X線を集光させる光学部材の光軸上に光を導入して試料上に集光させるようにしたので、X線照射系と光学系で共通の光学部材を使用しながらも焦点合わせを正確に行なうことができる。
合焦位置を検出する機構として試料上での光の像の大きさを撮像素子を用いて検出するとした場合、制御機構を備えてその撮像素子による像の大きさが最小になるように試料ステージの光軸方向の位置を決定するようにすれば、合焦位置の検出を自動化することができる。
また、合焦位置を検出する機構として、光学系として共焦点光学系を構成し、その受光素子の検出強度に基づいて検出するとした場合、制御機構を備えてその受光素子の検出強度が最大になるように試料ステージの光軸方向の位置を決定するようにすれば、合焦位置の検出を自動化することができる。
光学部材としては複数のキャピラリを束ねたポリキャピラリレンズや、一本のキャピラリを使用するモノキャピラリレンズを用いることができる。
ポリキャピラリレンズは、その中をX線が全反射して伝わる細いガラス管(キャピラリ)を多数束ねて成形したもので、束ねたキャピラリを緩やかに曲げることによりX線の軌道を曲げ、1点に集中させるなどのレンズ作用を持たせたものである。このポリキャピラリレンズは、鏡を並べて光学系を構成しているのと等価なため、光の波長による光路の違い(色収差)が生じない。すなわち、同じポリキャピラリーレンズに入射させたX線と可視光の焦点位置は一致する。このことを利用して、X線集光用のポリキャピラリレンズを、焦点合わせのための光学系の一部として用いれば、あらかじめ両者の焦点が一致したシステムを構成できる。
モノキャピラリレンズは、1本のガラス管キャピラリからなりその内径が小さくなっていくように形成され、内径の大きい開口から入射した光やX線が内面で全反射しながら内径の小さくなった他方の開口から照射されることにより集光されるようにしたものである。
図1は一実施例を表わす。2は分析しようとする試料で、試料ステージ4に載置されている。試料ステージ4は制御機構6によって光軸方向(Z方向)と水平面内(XY方向)に移動して試料をX線の照射位置に位置決めできるようになっている。
10はX線管球であり、そのX線発生点10aから発生したX線を集光して試料2の表面上に照射するために、光学部材としてポリキャピラリレンズ8が配置されている。X線の光路上にはX線を透過させ、可視光を反射するX線透過ミラー12が配置されている。X線透過ミラー12は、例えばベリリウムなどの薄膜を用いたものである。
そのX線透過ミラー12により可視光線をポリキャピラリレンズ8に入射させ、試料2上でX線が照射される位置に可視光を照射するための可視光光学系が配置されている。その可視光光学系は、レーザダイオードなどの光源14から発生した可視光をレンズ16で集光し、X線透過ミラー12で反射させてポリキャピラリレンズ8に入射させる照射光学系を構成している。
試料2からの反射光を受光してその像の大きさを検出するためにCCDカメラなどの撮像素子23が試料2の表面に対向して配置されている。
ポリキャピラリレンズ8はX線発生点10aからのX線を試料2上に焦点を結ぶように試料2の光軸方向の位置を設定したとき、可視光光学系は試料2上のX線が照射されている位置に結像するように調整されている。
試料2の光軸方向の位置を可視光光学系の焦点が試料2上に合うように位置決めしたとき、試料2上の像の大きさが最小となり、そのときX線がポリキャピラリレンズ8により試料2上に焦点を合わせた状態となる。
制御機構6は撮像素子23の検出信号を入力し、その検出信号に基づいて試料2上での光の像の大きさが最小になった試料の光軸方向の位置を検出するように自動制御するものであり、このようにして試料は常にX線の焦点が試料2上になるように焦点合わせが行なわれる機構となっている。
試料2のX線照射位置の近くには、X線照射位置から発生した蛍光X線を検出するためのX線検出器24が配置されている。26はX線検出器24による検出信号を信号処理してX線スペクトルを得るX線信号処理部であり、30はX線信号処理部が信号処理により得たX線スペクトルを表示する表示装置(モニタ)である。
次に、この実施例の動作について説明する。
X線管球10からX線を照射し、光源14によって可視光を発生させると、X線はX線透過ミラー12を透過してポリキャピラリレンズ8に入射し、可視光はレンズ16で集光され、X線透過ミラー12で反射されてポリキャピラリレンズ8に入射する。X線と可視光はポリキャピラリレンズ8によってともに試料2上に集光される。試料2上からの可視光の反射光は撮像素子23に入射して検出される。制御機構6は試料ステージ4を光軸方向に移動させることにより、撮像素子23の検出信号の変化を監視し、撮像素子23による像の大きさが最小になる位置に試料2の光軸方向の位置を位置決めする。これにより試料2上ではX線の焦点合わせが行なわれ、X線が最も集光された状態で試料に照射される。試料2のX線照射位置から発生した蛍光X線はX線検出器24で検出され、X線信号処理部26を経てそのスペクトルが表示装置30に表示される。
制御機構6によって試料を水平方向に移動させると、その移動した位置における光軸方向の位置が撮像素子23による像の大きさが最小になるように調整され、このようにして試料の各位置で焦点合わせが自動的に行なわれながらX線分析が行なわれていく。
図1の実施例では可視光光学系に撮像素子23を備えて試料の光軸方向の位置を自動的に調整するようにしているが、撮像素子23の位置に接眼レンズを設け、可視光による像の大きさが最も小さくなるように試料の光軸方向の位置を手動で調整するようにしてもよい。
図2は他の実施例を表わす。図1の実施例と比較すると試料の光軸方向の位置を調整するための光学系が異なっている。
X線透過ミラー12により可視光線をポリキャピラリレンズ8に入射させ、試料上でX線が照射される位置に可視光を照射するための可視光光学系は、光源14から発生した可視光をレンズ16で集光し、X線透過ミラー12で反射させてポリキャピラリレンズ8に入射させる照射光学系と、試料2上で反射された可視光をポリキャピラリレンズ8からX線透過ミラー12を経て受光する受光光学系が含まれている。受光光学系はレンズ16で集光した反射光をミラー18で反射し、受光素子20に導く。
照射光学系と受光光学系はレンズ16とポリキャピラリレンズ8によって照射光と反射光がともに符号21で示される位置で焦点を結ぶように共焦点系を構成しており、その焦点21の位置にピンホール22が配置されている。ポリキャピラリレンズ8はX線発生点10aからのX線を試料2上に焦点を結ぶように試料2の光軸方向の位置を設定したとき、可視光光学系は、共焦点21の像を試料2上のX線が照射されている位置に結像するように調整されている。
試料2の光軸方向の位置を可視光光学系の焦点が試料2上に合うように位置決めしたとき、試料2上の像が共焦点21に結像し、ピンホール22を透過する光量が最大となって受光素子20が検出する光強度が最大となる。そしてそのときX線がポリキャピラリレンズ8により試料2上に焦点を合わせた状態となる。
制御機構6は受光素子20の検出信号を入力し、その検出信号が最大となる位置に試料2の光軸方向の位置を位置決めするように自動制御するものであり、このようにして試料は常にX線の焦点が試料2上になるように焦点合わせが行なわれる機構となっている。
試料2のX線照射位置から発生する蛍光X線を検出するためのX線検出機構は図1の実施例と同じである。
次に、この実施例の動作について説明する。
X線管球10からX線を照射し、光源14によって可視光を発生させると、X線はX線透過ミラー12を透過してポリキャピラリレンズ8に入射し、可視光はレンズ16で集光され、ピンホール22を経てX線透過ミラー12で反射されてポリキャピラリレンズ8に入射する。X線と可視光はポリキャピラリレンズ8によってともに試料2上に集光される。試料2上からの可視光の反射光は再びポリキャピラリレンズ8で受光され、X線透過ミラー12で反射されピンホール22を経てレンズ16からミラー18で反射され、受光素子20に入射して検出される。制御機構6は試料ステージ4を上下方向に移動させることにより、受光素子20の検出信号の変化を監視し、検出信号が最大となる位置に試料2の光軸方向の位置を位置決めする。これにより試料2上ではX線の焦点合わせが行なわれ、X線が最も集光された状態で試料に照射される。試料2のX線照射位置から発生した蛍光X線はX線検出器24で検出され、X線信号処理部26を経てそのスペクトルが表示装置30に表示される。
制御機構6によって試料を水平方向に移動させると、その移動した位置における光軸方向の位置が受光素子20の検出信号を最大にするように調整され、このようにして試料の各位置で焦点合わせが自動的に行なわれながらX線分析が行なわれていく。
図2の実施例では可視光光学系に受光素子20を備えて試料の光軸方向の位置を自動的に調整するようにしているが、受光素子20の出力信号強度を表示するメーターを設け、ピンホール22を通過してきた可視光の強度が最も強くなるように試料の光軸方向の位置を手動で調整するようにしてもよい。
図1、図2の実施例では光学系で可視光を使用しているが、受光素子や撮像素子を用いて試料からの反射光を受光する場合には、可視光に限らず、紫外線や赤外線など、可視光以外の波長領域の光を用いることもできる。
本発明のX線分析装置は、半導体その他の種々に分野において材料の局所分析や不良箇所の解析、化学状態分析等に利用することができる。
一実施例のX線分析装置を示す概略構成図である。 他の実施例のX線分析装置を示す概略構成図である。
符号の説明
2 試料
8 ポリキャピラリレンズ
10 X線管球
10a X線発生点
12 X線透過ミラー
14 光源
16 レンズ
20 受光素子
22 ピンホール
23 撮像素子
24 X線検出器
26 X線信号処理部
30 表示装置

Claims (7)

  1. 試料を保持し少なくとも光軸方向に可変の試料ステージと、
    内面での反射を利用してX線を前記試料ステージ上の試料に集光させる光学部材と、
    前記光学部材の光軸上に光を導入して前記試料上のX線集光位置にその光も集光させる光学系とを備え、
    前記試料上での前記光による像の大きさが最小になった試料の光軸方向の位置をX線の合焦位置とすることを特徴とする焦点合わせ装置。
  2. 前記試料からの反射光を受光してその像の大きさを検出する撮像素子を備え、その撮像素子の検出信号に基づいて前記試料上での前記光による像の大きさが最小になった試料の光軸方向の位置を検出する請求項1に記載の焦点合わせ装置。
  3. 前記試料ステージの光軸方向の駆動を制御する制御機構を備え、該制御機構は前記撮像素子による像の大きさが最小になるように前記試料ステージの光軸方向の位置を決定するものである請求項2に記載の焦点合わせ装置。
  4. 前記光学系は照射光学系と受光光学系で焦点を共通にする共焦点光学系を構成しているとともに、その共焦点の位置にピンホールを備え、
    前記受光光学系は前記ピンホールを透過した試料からの反射光を受光してその強度を検出する受光素子を備え、
    前記受光素子の検出強度が最大になった試料の光軸方向の位置をX線の合焦位置とする請求項1に記載の焦点合わせ装置。
  5. 前記試料ステージの光軸方向の駆動を制御する制御機構を備え、該制御機構は前記受光素子の検出強度が最大になるように前記試料ステージの光軸方向の位置を決定するものである請求項4に記載の焦点合わせ装置。
  6. 前記光学部材は複数のキャピラリを備えた集光用ポリキャピラリレンズである請求項1から5のいずれかに記載の焦点合わせ装置。
  7. 試料上にX線を集光させて照射し、その照射位置からの情報に基づいて分析を行なうX線分析装置において、
    請求項1から6のいずれかに記載の焦点合わせ装置を備えたことを特徴とするX線分析装置。
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