JP2005083397A - 遊星式動力伝達装置 - Google Patents

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Katsuhiko Chihara
勝彦 千原
Hiroyuki Toyoshima
寛之 豊嶋
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Abstract

【課題】遊星歯車3(遊星転動体)を個別に支持する支持軸4の外周の針状ころ配置領域に潤滑油を効率よく供給できるようにする。
【解決手段】支持軸4に、針状ころ5の配置領域に潤滑油を供給するための油通路15を設ける。支持軸4の一端面には、軸方向に凹むとともに少なくとも径方向の一方角に延びて外周縁に到達する凹部16を設ける。凹部16の底に油通路15の一端を開口させる。これにより、潤滑油が各支持軸4の凹部16で受け止められるとともに、この凹部16の内側壁面によって凹部16に一旦受け止められた潤滑油が出にくくなるので、この凹部16から油通路15に多量の潤滑油が入りやすくなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、遊星式動力伝達装置に関する。
従来の遊星式動力伝達装置では、支持軸に複数の針状ころを介して遊星転動体を外装しており、前記支持軸に前記複数の針状ころに潤滑油を供給するための油通路を設けている(特許文献1参照)。
この場合、油通路は、支持軸の一端面から他端側途中まで軸方向に沿って設けられる油導入穴と、油導入穴の奥側から支持軸の外周面におけるころ配置領域まで径方向に沿って設けられる油供給孔とで構成されている。潤滑油は、支持軸の一端面に開放している油導入穴から入って、油供給孔から針状ころに供給される。
特開2000−81115号
上記従来例では、油導入穴が全長にわたって均一な内径寸法であるため、この油導入穴の開口部分に潤滑油が入りにくいと言え、潤滑油の供給効率が悪いと言える。
本発明は、外輪と、外輪の内周に挿入される太陽軸と、太陽軸と外輪との間に介装される複数の遊星転動体と、各遊星転動体にそれぞれ複数のころを介して挿入される支持軸と、各支持軸をそれぞれ支持するキャリアとを備えた遊星式動力伝達装置において、前記各支持軸には、その一端面側から外周面におけるころ配置領域へ潤滑油を導く油通路が設けられており、前記支持軸の一端面には、軸方向に凹むとともに少なくとも径方向の一方角に延びて外周縁にまで到達する凹部が設けられており、この凹部の底に前記油通路の一端が開放されている、ことを特徴としている。
この場合、支持軸の端面に設けている凹部に、その周囲から多量の潤滑油が入りやすくなるとともに、この凹部の内側壁面によって凹部に一旦受け止められた潤滑油が出にくくなるので、この凹部から油通路に潤滑油が導入されやすくなり、ころ配置領域へ供給する潤滑油の量が増加する。
本発明は、外輪と、外輪の内周に挿入される太陽軸と、太陽軸と外輪との間に介装される複数の遊星転動体と、各遊星転動体にそれぞれ複数のころを介して挿入される支持軸と、各支持軸をそれぞれ支持するキャリアとを備えた遊星式動力伝達装置において、前記各支持軸には、その一端面側から外周面におけるころ配置領域へ潤滑油を導く油通路が設けられており、前記支持軸の一端面には、軸方向に凹む凹部が前記支持軸の外周縁よりも内径側に設けられており、この凹部の底に前記油通路の一端が開放されている軸体の外周に複数のころを介して遊星転動体を嵌め合わせた遊星転動体の支持構造において、前記各軸体には、その一端面側から外周面におけるころ配置領域へ潤滑油を導く油通路が設けられており、前記軸体の一端面には、軸方向に凹むとともに少なくとも径方向の一方角に延びて外周縁に到達する凹部が設けられており、この凹部の底に前記油通路の一端が開口されていることを特徴としている。
この場合、支持軸の端面に設けている凹部に、その周囲から多量の潤滑油が受け止められて、この凹部から油通路に潤滑油が導入されやすくなるので、ころ配置領域へ供給する潤滑油の量が増加する。
本発明の好ましい実施態様として、前記油通路が、前記支持軸の凹部の底から他端側途中まで軸方向に沿って設けられる油導入穴と、油導入穴の奥側から支持軸の外周面におけるころ配置領域まで径方向に沿って設けられる油供給孔とで構成することができる。
この場合、例えば油導入穴は支持軸の一端から軸方向に沿ってドリル加工することにより、また、油供給穴は支持軸の径方向に沿ってドリル加工することにより、簡単に形成することが可能であり、加工コストの低減に貢献できる。
本発明の好ましい実施態様として、前記油導入穴が、前記支持軸の中心軸線から偏心して設けられた構成とすることができる。
この場合、油導入穴の偏心配置により径方向厚みが厚肉となる部分を例えば支持軸に作用する荷重の負荷圏に配置することが可能になり、耐荷重性を高めるうえで有利となる。
本発明の遊星式動力伝達装置は、支持軸の油通路に外部に存在する潤滑油を効率よく導入して支持軸の外周面におけるころ配置領域に安定的に供給できるようになるので、遊星転動体の動作安定性を向上できるなど、信頼性を高めることができる。
図1から図3を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は、遊星歯車式動力伝達装置の上半分を断面にした側面図、図2は、図1の(2)−(2)線断面の矢視図、図3は、図2に示す支持軸の一端面を拡大して示す斜視図である。図には、周知の遊星歯車式動力伝達装置を例に挙げている。
図中、1は外輪としてのリング歯車、2は太陽軸としての太陽歯車、3は複数の遊星転動体としての遊星歯車、4は複数の支持軸、5は複数のころとしての針状ころ、6は保持器、7はキャリアである。
リング歯車1は、太陽歯車2およびキャリア7の周囲に、これら太陽歯車2およびキャリア7に対し相対回転自在に支持されるものであり、内周にはヘリカルギヤが形成されている。
太陽歯車2は、その内周にスプラインが、また、外周にヘリカルギヤがそれぞれ形成されており、この内周に第1回転軸11がスプライン嵌合されている。
遊星歯車3は、その内周が円形で、外周にヘリカルギヤが形成されており、この遊星歯車3それぞれがリング歯車1と太陽歯車2とに噛合されている。
支持軸4は、遊星歯車3の内周に針状ころ5および保持器6を介して挿入されている。針状ころ5および保持器6は針状ころ軸受を構成している。針状ころ5は、遊星歯車3の内周面を外輪軌道とし、支持軸4の外周面を内輪軌道とする。
キャリア7は、2枚の対向する環状板8,9の外径側の円周数箇所を架橋壁10で連接したような形状である。第1、第2環状板8,9の対応する円周数箇所(3箇所)には、貫通孔8a,9aがそれぞれ厚み方向に沿って設けられており、第1環状板8の貫通孔8aに支持軸4の一端が、また、第2環状板9の貫通孔9aに支持軸4の他端がそれぞれ嵌入装着されている。支持軸4は、キャリア7に図示しないストッパピンなどを用いて軸方向の位置決めと回り止めとを行うようにしてもよい。また、第1環状板8の中心孔には、スプラインが形成されており、この中心孔に第2回転軸12がスプライン嵌合されている。
次に、例えばリング歯車1を固定した場合の動作を説明する。まず、第1回転軸11を駆動する場合には、太陽歯車2が一体回転するので、遊星歯車3が自転および公転し、この公転に伴いキャリア7および第2回転軸12が従動される。これにより、第1回転軸11の回転動力が減速されて第2回転軸12に伝達される。
一方、第2回転軸12を駆動する場合には、キャリア7が一体回転するので、遊星歯車3が自転および公転し、この公転に伴い太陽歯車2および第1回転軸11が従動される。これにより、第2回転軸12の回転動力が増速されて第1回転軸11に伝達される。
この実施形態では、複数の針状ころ5の配置空間に潤滑油を供給するための油通路15を各支持軸4に設けているので、詳しく説明する。
各支持軸4の一端面には、軸方向に凹むとともに径方向の一方角に延びて外周縁にまで到達する凹部16が設けられている。
油通路15は、各支持軸4における一端面側から外周面における針状ころ配置領域へ潤滑油を導くものであり、油導入穴15aと、油供給孔15bとで構成されている。
油導入穴15aは、各支持軸4の一端の凹部16における底から他端側途中まで軸方向に沿って設けられている。この油導入穴15aは、支持軸4の中心軸線Oから太陽歯車2寄りに偏心して設けられている。
油供給孔15bは、油導入穴15aの奥側から支持軸4の外周面における針状ころ配置領域まで径方向に沿って設けられている。
各支持軸4は、例えばクロムモリブデン鋼(JIS G 4105)に硬化処理(浸炭焼入れ、焼き戻し)を施したもの、あるいは高炭素クロム軸受鋼(JIS G 4805)を硬化処理(ずぶ焼入れ、焼き戻し)したものなどが挙げられる。
油導入穴15aは、支持軸4の一端から軸方向に沿ってドリル加工することにより、また、油供給穴15bは、支持軸4の径方向に沿ってドリル加工することにより、簡単に形成することができ、加工コストの低減に貢献できる。凹部16は、支持軸4の一端面にプレスなどの塑性加工により凹ませて形成したり、あるいは切削加工などにより削って形成したりすることができる。
このような遊星歯車式動力伝達装置では、図示しないケース内に存在する潤滑油が各支持軸4の凹部16に向けて流れてくると、面積の広い凹部16で受け止められるとともに、この凹部16の内側壁面によって凹部16に一旦受け止められた潤滑油が出にくくなるので、この凹部16から油導入穴15aに多量の潤滑油が入りやすくなる。そのため、油供給孔15bを通じて針状ころ5が配置される空間へ供給される潤滑油の量が多くなり、遊星歯車3を安定的に支持できるようになる。
以下、本発明の他の実施形態を説明する。
凹部16は、図4に示すように、帯状の溝とし、支持軸4の一端面で中心を通るよう径方向に沿って設けるとともに、支持軸4の一端面において180度対向する二方角に延びて外周縁に到達させるように形成することができる。この場合、支持軸4の周囲の潤滑油が凹部16内に一層入りやすくなる。
凹部16は、図5に示すように、支持軸4の一端面に、この一端面の外周縁よりも内径側に収まる範囲に形成することができる。この凹部16を平面から見た形状は、図示している矩形の他、円形、菱形など任意である。
油導入穴15aは、支持軸4の中心軸線Oと同軸上に形成することができる。
油導入穴15aは、支持軸4の全長にわたって貫通して設けてから、片端の開口を栓で閉塞することにより得ることもできる。
油導入穴15aと油供給孔15bとを、支持軸4の中心軸線Oに対して斜めとなる1本の貫通孔で構成することができる。この場合、油導入孔12と油供給孔13とを一回のドリル加工で形成することができる。
キャリア7は、単一の環状板を備える構成とし、この環状板に複数の支持軸4を片持ち梁状に支持した構成にすることができる。
本発明は、リング歯車1と太陽歯車2と遊星歯車3との各ヘリカルギヤを無くして、リング歯車1の内周と太陽歯車2の外周と遊星歯車3の外周とを円形にし、それらを摩擦力により転動動作する方式の遊星摩擦式動力伝達装置にも適用することができる。
本発明の一実施形態に係る遊星歯車式動力伝達装置の上半分を断面にした側面図 図1の(2)−(2)線断面の矢視図 図2に示す支持軸の一端面を拡大して示す斜視図 図3に示す支持軸の他の例を示す斜視図 図3に示す支持軸のさらに他の例を示す斜視図
符号の説明
1 リング歯車 2 太陽歯車
3 遊星歯車 4 支持軸
5 針状ころ 6 保持器
7 キャリア 15 油通路
15a 油導入穴 15b 油供給孔
16 凹部

Claims (4)

  1. 外輪と、外輪の内周に挿入される太陽軸と、太陽軸と外輪との間に介装される複数の遊星転動体と、各遊星転動体にそれぞれ複数のころを介して挿入される支持軸と、各支持軸をそれぞれ支持するキャリアとを備えた遊星式動力伝達装置において、
    前記各支持軸には、その一端面側から外周面におけるころ配置領域へ潤滑油を導く油通路が設けられており、
    前記支持軸の一端面には、軸方向に凹むとともに少なくとも径方向の一方角に延びて外周縁にまで到達する凹部が設けられており、この凹部の底に前記油通路の一端が開放されている、ことを特徴とする遊星式動力伝達装置。
  2. 外輪と、外輪の内周に挿入される太陽軸と、太陽軸と外輪との間に介装される複数の遊星転動体と、各遊星転動体にそれぞれ複数のころを介して挿入される支持軸と、各支持軸をそれぞれ支持するキャリアとを備えた遊星式動力伝達装置において、
    前記各支持軸には、その一端面側から外周面におけるころ配置領域へ潤滑油を導く油通路が設けられており、
    前記支持軸の一端面には、軸方向に凹む凹部が前記支持軸の外周縁よりも内径側に設けられており、この凹部の底に前記油通路の一端が開放されている、ことを特徴とする遊星式動力伝達装置。
  3. 前記油通路が、支持軸の凹部の底から他端側途中まで軸方向に沿って設けられる油導入穴と、油導入穴の奥側から支持軸の外周面におけるころ配置領域まで径方向に沿って設けられる油供給孔とで構成されている、請求項1または2に記載の遊星式動力伝達装置。
  4. 前記油導入穴が、前記支持軸の中心軸線から偏心して設けられている、請求項3に記載の遊星式動力伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR2934933A1 (fr) * 2008-08-11 2010-02-12 Valeo Equip Electr Moteur Machine electrique tournante comprenant un ensemble reducteur de vitesse a organe de liaison

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