JP2005083313A - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料の流れに対する制御要素を噴孔外に設けて燃料噴霧の形状を適切に制御することができる燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】 弁座5と噴孔7との間にサック部6が設けられた燃料噴射弁1Aにおいて、サック部6の内面6aには噴孔7の少なくとも一部の範囲と隣接するようにして燃料溜り8を設ける。
【選択図】 図4

Description

本発明は、内燃機関に対して燃料を供給する燃料噴射弁に関する。
扁平扇形状の燃料噴霧を形成する燃料噴射弁として、スリット状噴孔の内部に隔壁を設けることにより燃料噴射率を小さく抑えつつ噴霧の広がり角度を大きく確保し、さらにスリットの扇形状の中心をサック部の曲率中心よりも上流側に設定することにより、中心部が突出した中凸噴霧の形成を防止した燃料噴射弁が知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2〜6が存在する。
特開2001−27168号公報 特開平5−231272号公報 特開平5−231270号公報 特開平5−231268号公報 特開平4−86373号公報 特開2001−12334号公報
しかしながら、噴孔内部に隔壁を設けた場合には噴孔の製造工程が複雑化して燃料噴射弁の製造に手間がかかる。また、隔壁を設ける程度では依然として燃料噴霧の中心部への燃料の偏りが大きく、燃料噴霧の周縁に対して燃料を十分に拡散させることができない。この場合、燃料の貫徹力が燃料噴霧の中心部において大きく、燃料噴霧の周縁で小さくなるため、燃焼室内における燃料の拡散に偏りが生じて均質燃焼に支障が生じるおそれがある。その他にも、部分的な剥離の発生といった噴孔内における燃料の流れのばらつきに起因して目的とする燃料噴霧形状が得られない場合が存在し、各種のばらつきの解消のために噴孔内に何らかの制御要素を設けることは困難である。
そこで、本発明は、燃料の流れに対する制御要素を噴孔外に設けて燃料噴霧の形状を適切に制御することができる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
本発明は、以下の手段により上述した課題を解決する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の燃料噴射弁は、弁座と噴孔との間にサック部が設けられた燃料噴射弁であって、前記サック部の内面には前記噴孔の少なくとも一部の範囲と隣接するようにして燃料溜りが設けられるものである(請求項1)。
サック部の内面に噴孔と隣接するようにして燃料溜りを設けた場合には、噴孔に流入する前の燃料が燃料溜りで捉えられてその勢いが削がれることにより、燃料溜りを経て噴孔に流入する燃料の流速を低下させることができる。この流速低下作用を利用して噴孔内の燃料の流れを目的とする状態に整えて所望形状の燃料噴霧を噴孔から噴射させることができる。
例えば、燃料の貫徹力は噴孔を通過する燃料の流速と大きな関係があり、スリット状噴孔から噴射される燃料が中凸噴霧を形成している場合には、その要因として、スリット状噴孔の長手方向両端部よりも同方向中心部において燃料の流れに対する抵抗が小さくなり、スリット状噴孔の長手方向両端部を通過する燃料の流速が長手方向中心部を通過する燃料の流速よりも低下することが燃料噴霧の形状に反映されていることが考えられる。従って、噴孔内を燃料が通過する際の抵抗のばらつきを補償するようにサック部内面に燃料溜りを設けることにより、燃料の流速のばらつきを抑えて燃料の貫徹力の均質化を実現することができる。
貫徹力の均一化以外にも、例えば燃料噴霧の特定部分に関して燃料の貫徹力を小さく制限したい場合にもその特定部分に対応する範囲に燃料溜りを設けることで所望形状の燃料噴霧を得ることができる。さらに、噴孔壁面からの燃料の流れの剥離にばらつきが生じている場合には、剥離が顕著な範囲に対応して燃料溜りを設けることにより、その範囲に流入する燃料の流速を低下させて壁面からの剥離を抑え、噴孔内における流れのばらつきの解消を図ることができる。
そして、本発明ではサック部の内面に燃料溜りを設けるようにしたので、噴孔内に隔壁といった流れの制御要素を設けることは必ずしも必要とされない利点がある。但し、必要があれば噴孔内にも何らかの制御要素を併用しても構わない。
本発明は前記噴孔が少なくとも一つのスリット状噴孔部を含んでいる燃料噴射弁に好適に適用でき、その場合に前記燃料溜りは前記スリット状噴孔部のスリット幅方向の両側に設けられてもよい(請求項2)。この態様によれば、スリットの両側からスリット状噴孔部に流入しようとする燃料の流速を燃料溜りにて抑えることができる。
さらに、前記燃料溜りは前記スリット状噴孔部の長手方向中心部に対してスリット幅方向に関する両側に設けられてもよい(請求項3)。このように燃料溜りを設けたならば、スリット状噴孔部の長手方向中心部を通過する燃料の流速を低下させ、それによりスリット状噴孔部の長手方向中心部と両端部との間における燃料の貫徹力のばらつきを抑えることができる。
また、前記噴孔が複数のスリット状噴孔部を互いに交差するように組み合わせた形状を有していてもよく、その場合に、前記燃料溜りは前記スリット状噴孔部の交差部の周囲に設けられることが好ましい(請求項4)。スリット状噴孔部の交差部には燃料が集中し易くかつ燃料が壁面から受ける抵抗が他の部分と比して小さいため、その交差部の周囲に燃料溜まりを設けることにより燃料の貫徹力のばらつきを抑えることができる。
本発明の燃料噴射弁において前記燃料溜りは燃料を捉えてその流速を低下させる得る限り各種の形状に形成してもよい。好適な一態様では、前記燃料溜りが、前記噴孔に近付くほど当該噴孔における燃料の流出方向に偏よる第1壁面と、該第1壁面よりも前記噴孔側に配置されて当該噴孔に近付くほど前記燃料の流出方向と反対方向に偏る第2壁面とを有する凹形状に形成される(請求項5)。このような凹形状の燃料溜りによれば、弁座側から噴孔に向かう燃料を第1壁面に沿って燃料溜り内に導き、その導かれた燃料の流れ方向を第2壁面にて反転させて噴孔に流入する燃料の流速を十分に低下させることができる。このような燃料溜まりの形成は、噴孔内に隔壁といった流れの制御要素を設ける場合と比較して比較的容易である。
さらに、凹形状の燃料溜りを設ける場合においては、前記スリットの長手方向の端部に向かうほど燃料溜まりの深さを漸次減少させてもよい(請求項6)。このようにすればスリット状噴孔部の長手方向端部に向かうほど燃料溜まりによる流速低下作用が小さくなって燃料の流速が均一化され易い。
本発明の燃料噴射弁のさらに他の態様においては、少なくとも一つのスリット状噴孔部がそのスリット幅方向に沿った断面上で前記サック部の中心軸線に対して斜めに傾くように形成され、該スリット状噴孔部に対してスリット幅方向両側に設けられた前記燃料溜りは凹形状に形成され、前記弁座に近い側の前記燃料溜りの深さが前記弁座に対して遠い側の前記燃料溜りの深さよりも大きく設定されている(請求項7)。
スリット状噴孔部が上述のようにサック部の中心線に対して斜めに傾けられている場合には、弁座に近い側から噴孔に達する燃料が、弁座に対して遠い側から噴孔に達する燃料と比較して、流れ方向をより大きく変化させながら噴孔に流入する。このため、いずれの側からも流入する燃料の流速が同じであれば、噴孔内の弁座に近い側の壁面で燃料の流れの剥離がより発生し易くなる。そこで、弁座に近い側に遠い側よりも深い燃料溜りを形成することにより、スリット幅方向に関して燃料の流速を差別化して弁座に近い側の壁面における流れの剥離を抑え、それにより噴孔内における燃料の流れを均一化して所望形状の燃料噴霧を噴射させることができる。
本発明の燃料噴射弁において、サック部は弁座部分を通過して噴孔に向かう燃料の流れを整えるべく弁座と噴孔との間に介在する室であればよいが、なるべくは前記サック部が前記弁座に向かうほど徐々に拡大していることが望ましい(請求項8)。このようなサック部であれば、噴孔に向かうほど燃料の流れが絞られて燃料溜りに導かれる燃料の流れが安定し、燃料溜りによる燃料の流速低下作用が安定して発揮されるようになる。
本発明によれば、サック部の内面に噴孔と隣接するようにして燃料溜りを設けたことにより、噴孔に流入する前の燃料の勢いが燃料溜りで削がれ、燃料溜りを経て噴孔に流入する燃料の流速が低下する。この流速低下作用を利用して噴孔内の燃料の流れを目的とする状態に整えて所望形状の燃料噴霧を噴孔から噴射させることができる。しかも、燃料溜りをサック部の内面に設けているので、噴孔内に隔壁といった流れの制御要素を設けることを必須とせず、噴孔の製造工程を簡素化して燃料噴射弁の製造に要する手間を軽減することが可能である。
(第1の形態)
図1は本発明が適用された燃料噴射弁の要部を示している。燃料噴射弁1Aはバルブ中心線CLと同軸の中空円筒状の弁室3を備えたバルブ本体2と、弁室3に挿入された弁体としてのニードル4とを備えている。ニードル4はバルブ中心線CLと同軸に配置され、燃料噴射弁1Aの上部に配置された不図示の電磁コイルが発生する電磁力によりバルブ中心線CLの方向に往復駆動される。ニードル4の先端には先細りのテーパ部4aが設けられ、バルブ本体2にはそのテーパ部4aに対応して弁座5が形成されている。ニードル4が先端側(図1の下端側)に駆動されるとニードル4のテーパ部4aが弁座5と密着して弁室3がその下流側に対して閉め切られ、ニードル4が後退側(図1の上端側)に駆動されるとニードル4のテーパ部4aが弁座5から離れて弁室3が下流側に対して開かれる。弁座5の下流側にはサック部6が設けられ、そのサック部6からバルブ本体2の外面に向かって噴孔7が設けられている。
サック部6は、弁室3から噴孔7に向かう燃料の流れを整える目的で設けられている。図2に示すようにサック部6の内面6aはバルブ中心線CL上に中心P1を置く球面を描くように湾曲し、それによりサック部6は弁座5に向かうほど徐々に拡大している。図1〜図3に示すように噴孔7は一対の扇形のスリット状噴孔部7a、7bを十字型に組み合わせて構成されており、それらの噴孔部7a、7bの交点(つまり十字の交点)は中心線CL上に位置している。なお、図3は噴孔7をサック部6側から見た状態を拡大して示すものである。各噴孔部7a、7bが描く扇形の中心P2はバルブ中心線CL上にあってかつサック部6の曲率中心P1よりも上流側に位置している。中心P2の回りの各噴孔部7a、7bの広がり角θ(中心角)及び各噴孔部7a、7bのスリット幅Wは適宜に定めてよい。噴孔部7a、7b同士の間において中心角θ及びスリット幅Wは一致してもよいし、互いに異なってもよい。スリット幅Wは噴孔部7a、7bの長手方向の全長に亘って一定であるが、要求される噴霧形状によっては例えば長手方向両端部を中心部よりも幾らか狭くするといった変化をスリット幅Wに与えてもよい。さらに、各噴孔部7a、7bが描く扇形の中心角θに対する二等分線はバルブ中心線CLと一致している。
サック部6の内面6aには、噴孔部7a、7bの交差部分に隣接するようにして燃料溜り8…8が設けられている。図2に詳しく示すように、燃料溜り8はサック部6の内面6aに沿って噴孔7に近付くほど噴孔7における燃料の流出方向(図2において下方)に偏よる第1壁面8aと、その第1壁面8aよりも噴孔7側に配置されて噴孔7に近付くほど燃料の流出方向と反対方向に偏る第2壁面8bとを有する凹形状に形成されている。換言すれば、いずれか一方のスリット(ここでは7b)のスリット幅方向に沿った図2の断面上において、燃料溜り8は一対の壁面8a、8bを略V字型に組み合わせた断面形状を有している。図3に示すように、燃料溜り8は、バルブ中心線CLの方向から見てスリット噴孔部7a、7bの交差部の回りに深さ一定の環状の溝が形成されるように設けられている。
以上の構成の燃料噴射弁1Aによれば、図4(a)に矢印で示すようにスリット状噴孔部7a、7bの交差部付近では、サック部6に沿ってバルブ中心線CLの付近まで導かれた燃料が燃料溜り8の第1壁面8aに沿って燃料溜り8内に導かれ、第2壁面8bに沿ってその流れ方向が噴孔7における燃料の流出方向と反対方向(図の上方)に反転されてからスリット状噴孔部7a、7bに流入する。一方、図4(b)に矢印で示すように、スリット状噴孔部7aの長手方向両端部においては、燃料が燃料溜り8の影響を受けることなくサック部6から円滑に流入する。この点はスリット状噴孔部7bの長手方向両端部でも同様である。このように燃料の流入に差が生じることにより、燃料溜り8にて囲まれたスリット状噴孔部7a、7bに流入する燃料の流速は、スリット状噴孔部7a、7bの両端部に流入する燃料の流速よりも低下する。その一方、スリット状噴孔部7a、7bの交差部には燃料が噴孔7内にて燃料が壁面から受ける摩擦抵抗はスリット状噴孔部7a、7bの交差部よりもスリット状噴孔部7a、7bの長手方向両端部においてより大きく、噴孔7における燃料の流速低下は噴孔部7a、7bの方がそれらの長手方向中心部よりも大きくなる。
このように、噴孔7に流入する流速の大小関係と、噴孔7内における流速低下の大小関係が相補的に作用する結果、図5(a)に示すように噴孔7から噴射される燃料噴霧10の形状は、先端が揃った、換言すれば貫徹力がほぼ均一の二等辺三角形を十字型に組み合わせたほぼ理想に近い形状となる。ちなみに、燃料溜り8が存在しないと仮定すれば、スリット状噴孔部7a、7bの交差部付近から噴射される燃料の流速が他の部分よりも高くなり、図5(b)に示すような中凸噴霧10′が形成される。
図6(a)は燃料溜り8の他の例を図3に対応させて示している。この例では、スリット状噴孔部7a、7bの交差部付近に隣接して燃料溜り8が配置される点で図3の例と共通する。しかし、図6(a)のb−b線、及びc−c線に沿った断面図である図6(b)、(c)から明らかなように、燃料溜り8はスリット状噴孔部7a、7bのそれぞれの長手方向中心部から両端部へ向かって漸次その深さdが減少するように形成されている。このように燃料溜り8の深さdを変化させることにより、燃料溜り8による流速低下作用をスリット状噴孔部7a、7bの交差部から両端部へ向かって漸次低下させることができる。このような態様は、燃料溜り8を省略した場合における燃料噴霧の貫徹力がスリット状噴孔部7a、7bの長手方向両端部から中心部に向かって漸次増加する場合に、その減少を燃料溜り8による流速低下作用で均等化できて好ましい。なお、燃料溜り8の深さdはサック部6の内面6aから燃料溜り8の最も深い位置までの距離として与えられる。
(第2の形態)
図7は本発明の第2の形態の燃料噴射弁1Bを示している。なお、上述した第1の形態との共通部分には同一符号を付して説明を省略する。
図7の燃料噴射弁1Bは、一方のスリット状噴孔部7b(7aでもよい)がそのスリット幅方向に沿った断面上でバルブ中心線(サック部6の中心軸線でもある。)CLに対して所定の噴射角α(<90°)で斜めに傾けられ、それに伴って燃料溜り8の深さが変更されている点で図1の燃料噴射弁1Aと異なっている。その他の点は第1の形態と同じである。
燃料溜り8の深さdに関しては、傾けられているスリット状噴孔部7bのスリット幅方向に関して弁座5により近い側(図7においてスリット状噴孔部7bの左側)の燃料溜り8の深さが弁座5に対して遠い側の燃料溜り8の深さよりも大きく設定されている。このように燃料溜り8の深さdを差別化する理由は次の通りである。
スリット状噴孔部7bに0°よりも大きい噴射角αを与えた場合、スリット状噴孔部7bの内壁面に沿った燃料の流れに噴射角αの影響が生じて燃料の噴霧形状にも影響が及ぶ。すなわち、図8に示すように燃料溜り8がないと仮定すれば、サック部6からスリット状噴孔部7bに流入する燃料の噴孔内壁面からの剥離が同図に黒塗り領域12A、12Bで示したように弁座5に近い側(換言すればバルブ中心線CLから遠い側)で大きく、弁座5から遠い側(換言すればバルブ中心線CLに近い側)にて小さくなる。サック部6の内面6aに沿って噴孔部7bに流入する燃料(図8の矢印参照)の流れ方向の変化が弁座5に近い側で大きくなることがその一要因である。このように剥離領域12A、12Bに差が生じるとその影響で噴孔部7bから噴射される燃料噴霧の形状がスリット幅方向に関して乱れ、目標とする形状の燃料噴霧が得られない。そこで、弁座5に近い側において遠い側よりも燃料溜り8の深さdをより大きくしてその流速低下作用を強めることにより剥離領域12Aを減少させ、それにより左右の剥離領域12A、12Bを均等化して燃料噴霧形状の乱れを防止している。
図8の剥離領域12A、12Bの差は噴射角αと相関があり、その一例が図9に示されている。図9は噴射角αを横軸に、剥離領域12A、12Bの比率を縦軸にそれぞれ採ったものである。なお、剥離領域12A、12Bの比率は例えば面積比で表現され、図9では、比率=剥離領域12Bの面積/剥離領域12Aの面積と定義している。比率1は剥離領域12A、12Bが左右対称であることを示す。この図から明らかなように、噴射角αが増加するほど剥離領域12A、12Bの比率は低下し、噴射角αが増すほどに弁座5に近い側の剥離領域12Aが相対的に拡大し、噴射角αが90°、すなわちスリット状噴孔部7bがバルブ中心線CLに対して直交する方向に向けられた場合において弁座5に近い側の剥離領域12A、12Bの差が最大となる。
そこで、スリット状噴孔部7bの両側における燃料溜り8の深さdの差は噴射角αに応じて変化させることが望ましい。そのためには例えば次のようにして燃料溜り8の深さをそれぞれ定めるとよい。
弁座に近い側の燃料溜りの深さ =(α/90)×h+h
弁座から遠い側の燃料溜りの深さ=h−(α/90)×h
なお、hは噴射角α=0°のときの燃料溜り8の深さであり、噴射角αは0〜90°の範囲である。
以上ではスリット状噴孔部7bが傾けられた場合について説明したが、スリット状噴孔部7aが噴射角αで傾けられた場合にもそのスリット状噴孔部7aの両側に配置される一対の燃料溜り8に関して同様に適用可能である。
本発明は以上の形態に限定されることなく、適宜の形態にて実施してよい。例えば、第1の形態及び第2の形態ではいずれも噴孔7がスリット状噴孔部7a、7bを十字型に組み合わせて構成されているが、本発明は例えば図10(a)に示すような単一のスリット状噴孔部7aのみを有する噴孔7に対しても適用可能である。この場合、スリット状噴孔部7aの長手方向中心部の両側に限定して燃料溜り8を設けることにより、噴孔7の中心線付近の貫徹力を弱めることができる。燃料溜り8の形状は図10(a)に示した幅一定のものに限らず、図10(b)に示すようにスリット状噴孔部7aの中心と位置を合わせるようにして円弧状に窪んだ形状としてもよい。この場合、燃料溜り8の深さもスリット状噴孔部7aの長手方向中心部から両端部へ向かって漸次減少させてもよい。
燃料溜り8はスリット状噴孔部7aの長手方向中心部の両側に限定されるものではなく、図10(c)に示すように長手方向両端部の両側に燃料溜り8の設けてもよい。この態様は、燃料噴霧の形状がスリット状噴孔部7aの長手方向両側において目標よりも大きくなるような事情が存在する場合にその調整手段として好適に適用できる。
さらに、本発明の適用範囲はスリット状噴孔部を有する噴孔に限定されない。例えば図10(d)に示すように複数の円形噴孔部14aを繋ぎ合わせて噴孔7を構成する場合において、噴孔部14aの接合部分の両側に燃料溜り8を設けることも考えられる。その他にも、種々の形状の噴孔に対して、燃料の流速のばらつきによる噴霧形状の目標形状からのずれを矯正する手段として、サック部内面の噴孔に隣接した適宜の位置に本発明の燃料溜りを設けることができる。
本発明の第1の形態に係る燃料噴射弁の要部のバルブ中心線に沿った断面図。 図1の燃料噴射弁の噴孔付近を拡大して示した図。 図2の噴孔をバルブ中心線に沿ってサック部側から見た状態を示す図。 噴孔へ流入する燃料の流れを示す図。 噴孔から噴射される噴霧形状をその比較例とともに示した図。 燃料溜りの他の例を示す図。 スリット状噴孔部をサック部の中心線に対して傾けた第2の形態における燃料溜りを示す図。 図7の燃料溜りが存在しない場合の噴孔内における燃料流れの剥離領域を示す図。 図8に示した噴射角と剥離領域の左右比率との関係を示す図。 燃料溜りのさらに他の例を示す図。
符号の説明
1A、1B 燃料噴射弁
4 ニードル
5 弁座
6 サック部
6a サック部の内面
7 噴孔
7a、7b スリット噴孔部
8 燃料溜り
8a 第1壁面
8b 第2壁面
10 燃料噴霧
12A、12B 剥離領域
14a 円形噴孔部
CL バルブ中心線(サック部の中心軸線)
P1 サック部の曲率中心
P2 噴孔部の中心
W スリット幅
d 噴孔の深さ
α 噴射角
θ 噴孔部の中心角

Claims (8)

  1. 弁座と噴孔との間にサック部が設けられた燃料噴射弁において、前記サック部の内面には前記噴孔の少なくとも一部の範囲と隣接するようにして燃料溜りが設けられていることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 前記噴孔が少なくとも一つのスリット状噴孔部を含み、前記燃料溜りは前記スリット状噴孔部のスリット幅方向の両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記燃料溜りが前記スリット状噴孔部の長手方向中心部に対してスリット幅方向に関する両側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記噴孔が複数のスリット状噴孔部を互いに交差するように組み合わせた形状を有しており、前記燃料溜りが前記スリット状噴孔部の交差部の周囲に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁。
  5. 前記燃料溜りが、前記噴孔に近付くほど当該噴孔における燃料の流出方向に偏よる第1壁面と、該第1壁面よりも前記噴孔側に配置されて当該噴孔に近付くほど前記燃料の流出方向と反対方向に偏る第2壁面とを有する凹形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  6. 前記燃料溜りは前記スリットの長手方向に沿って端部に近付くほどその深さが漸次減少するように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の燃料噴射弁。
  7. 少なくとも一つのスリット状噴孔部がそのスリット幅方向に沿った断面上で前記サック部の中心軸線に対して斜めに傾くように形成され、該スリット状噴孔部に対してスリット幅方向両側に設けられた前記燃料溜りは凹形状に形成され、前記弁座に近い側の前記燃料溜りの深さが前記弁座に対して遠い側の前記燃料溜りの深さよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁。
  8. 前記サック部が前記弁座に向かうほど徐々に拡大していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
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