JP2005081679A - インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吐出不良によるドット異常を補完し、スジムラ等の画像低下を抑制することができるインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インク室52には、2つのノズル51A,51Bが備えられ、正常吐出時には、同じタイミングでノズル51A,51Bから同じ量のインク滴が吐出される。一方、ノズル51Aのメニスカス面に増粘層102Aが形成され、不吐出となった場合には、ノズル51Bから所定の吐出量の略2倍のインク滴102Bが吐出される。一方のノズルが不吐出になった場合にもう一方のノズルによって補完することができ、スジムラが起こり画像劣化することを抑制でき得る。インク室52に設けられた2つのノズル51A,51Bは記録紙搬送方向に配列される態様がもっとも好ましいが、記録紙配列方向とある角度をなして配列されてもよい。
【選択図】 図14

Description

本発明はインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置に係り、特にインクジェット記録装置におけるインク吐出制御技術に関する。
近年、デジタルスチルカメラにより撮影された画像などを印刷記録する記録装置としてインクジェット記録装置(インクジェットプリンター)が普及している。インクジェット記録装置はヘッドに複数の記録素子(ノズル)を備え、この記録素子からインクの液滴を被記録媒体に吐出しながら記録ヘッドを走査させ、被記録媒体上に画像を1ライン分記録すると被記録媒体を1ライン分搬送し、この工程を繰り返すことにより記録紙上に画像を形成するものである。
インクジェットプリンターには、単尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを被記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式や、被記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いるライン方式がある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に被記録媒体を走査させることで被記録媒体の全面に画像記録を行うことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と被記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、被記録媒体だけが移動するのでシャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
一方、ライン方式のインクジェットプリンターでは、シャトル方式で行われている重ね打ちによるスジムラ低減を行うことができないために、多数の記録素子のうち一部において、何らかの原因でインクが吐出されなくなったり、インクの吐出量(被記録媒体に打滴されるドットサイズ)や飛翔方向(打滴位置)が不適切になったりするなどの吐出不良が発生すると、被記録媒体搬送方向のスジムラを生じて著しい画像低下を招くという欠点がある。また、シャトル方式についても、重ね打ちを行わない高速印字(いわゆるワンパス印字)では、ライン方式と同様にある記録素子に吐出不良が発生すると、スジムラを生じて著しい画像劣化を招く。
これに対し、テストパターンを印字し、このテストパターンをCCD等のセンサで読み取った上で吐出不良記録素子を特定し、該吐出不良記録素子の両隣(もしくは近傍)の同色記録素子、または、同じ記録位置に対応した異なる色の記録素子の吐出デューティーを上げることで、スジムラの視認性を下げる方法が提案されている。
特許文献1に開示されたインクジェットプリンター及びそのプリンタヘッドは、1つの駆動源より駆動されるインク吐出部が複数のインク吐出口を備え、吐出口が1つの場合に比べてインク吐出部から吐出されるインクによるドット径及びドット間隔を小さくすることができる。
また、特許文献2に記載された記録装置及び記録方法並びに記憶媒体は、複数の記録素子を配列した記録ヘッドを用い、記録媒体上にカラー画像の記録を行う記録装置において、記録動作を行わない記録素子による記録画像の欠陥を補完するための夫々異なる手法により補完を行う複数の補完手段と、記録される画像に応じて複数の補完手段を選択的に用い、補完記録制御操作を司る制御手段と、を有し、記録画像に応じて記録画像の欠陥補正を行うように構成されている。
特開2001−301202号公報 特開2003−136702号公報
しかしながら、テストパターンを印字し、このテストパターンから吐出不良記録素子を特定する方法では、テストパターンの印字及びテストパターンの読み取りといったプロセスが必要になり、インクジェットプリンターの生産性が大幅に低下するという問題がある。更に、テストパターン間に偶発的に生じる不吐出には対応できないという問題もある。
特許文献1に開示されたインクジェットプリンター及びそのプリンタヘッドでは、スジムラ等の画像低下、画像劣化の補正については開示されていない。
特許文献2に記載された記録装置及び記録方法並びに記憶媒体では、不吐出を検出する手段として、光学的にインクの吐出状態を検出するものや、試験的に記録された画像を読み取って不吐出部分を検出するもの等が必要になる。したがって、該検出手段により検出工程が必要になり、生産性が低下し、更に、光学的にインクの吐出状態を検出するものを検出手段に用いた場合には、機構や制御が複雑になり得る。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、吐出不良によるドット異常を補完し、スジムラ等の画像低下を抑制することができるインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、被記録媒体と相対移動されながら前記被記録媒体にインクを吐出させるインクジェット記録ヘッドであって、該記録ヘッド内には吐出させるインクが蓄えられるインク室が設けられ、前記インク室はインクの吐出孔を複数有し、前記複数の吐出孔のうち何れかの吐出孔が吐出不良となると、他の吐出孔から本来吐出されるインク量より多いインク量が吐出されることにより、前記吐出不良に起因するドット形成不良が補完されることを特徴としている。
即ち、1つのインク室は複数の吐出孔を有し、これらの吐出孔のうち何れかの吐出孔が吐出不良となった場合には、他の吐出孔からは所定の吐出量より多いインク滴が吐出されるので、吐出不良を他の吐出孔から所定の吐出量より多いインク量を吐出させ形成されたドットにより補完することができる。これによりスジムラを低減することができ、高画像品質を確保することができる。
ドット形成不良は本来打滴される大きさ、形状のドットが形成されないことを示し、不吐出によるドット抜け、吐出量異常によるドット径異常、ドット形状異常などが含まれている。このドット形成異常が発生すると、印字結果にはスジムラ、濃度ムラ、変色(色異常)、モアレなどの画像品質低下が起こり得る。
なお、本明細書において「印字」という用語は、文字の形成のみならず、文字を含む広い意味での画像を形成する概念を表すものとする。
インクジェット記録ヘッドは、被記録媒体搬送方向に略直交する方向に使用する被記録媒体の印字可能領域の全域にわたってインク吐出孔(ノズル開口)が配置されているフルライン型の記録ヘッドでもよいし、短尺の記録ヘッドを被記録媒体搬送方向に略直交する方向に移動しながらインク滴を吐出させるシャトルスキャン型記録ヘッドでもよい。
被記録媒体は、記録ヘッドによって印字を受ける媒体(被画像形成媒体)であり、具体的には連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
被記録媒体とインクジェット記録ヘッドとを相対移動させる態様は、固定された記録ヘッドに対して被記録媒体を移動させてもよいし、被記録媒体を固定させて記録ヘッドを移動させてもよい。また、被記録媒体と記録ヘッドと両方とも移動させてもよい。被記録媒体の搬送手段には搬送ベルトや搬送ドラム等が適用される。
吐出不良には、インク滴が吐出されない態様(不吐出)や、所定の吐出量より少ないインク滴が吐出される態様が含まれている。
インク室が3つ以上の吐出孔を備える場合には、すべての吐出孔が略直線上に配列される態様が好ましい。
他の吐出孔から吐出されるインク量は、ドット形成不良を補完可能な(ドット抜けによる白地面積をカバーし得る)大きさのドットを形成し得る量である。
請求項2に示すように請求項1の発明において、前記記録ヘッド内には前記インク室が複数設けられていることを特徴としている。
複数のインク室は、該記録ヘッドの長尺方向に一列に配列されていてもよいし、マトリクス状に配置されていてもよい。
請求項3に示すように請求項1又は2の発明において、前記インク室は2個のインクの吐出孔を有することを特徴としている。
即ち、一方の吐出孔が吐出不良となった場合には、もう一方の吐出孔から所定の吐出量の2倍の量のインクを吐出させることができる。したがって、吐出不良となった吐出孔から吐出されるインクによって形成されるドットをもう一方の正常な吐出孔から吐出されるインクによって形成されるドットにより補完可能である。
また、請求項4に示すように請求項1、2又は3の発明において、前記複数の吐出孔の配列方向と被記録媒体の搬送方向とのなす角θが、次式0°≦θ<20°を満たすことを特徴としている。
即ち、インク室に設けられた複数の吐出孔の配列方向と被記録媒体の搬送方向とのなす角θは、0°≦θ<20°であるとスジムラの低減効果が大きい。更に、0°≦θ<15°とするとスジムラの低減効果は大きくなり、θ=0°(インク室に設けられた吐出孔列が被記録媒体搬送方向に沿って配列されている)が最も好ましい態様である。。
なお、θには加工や組み立てによる誤差が含まれていてもよく、θが0°≦θ<20°や0°≦θ<15°の範囲であると、孔加工適性(歩留まり)が向上しコストダウンに寄与し得る。
また、請求項5に示すように請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の発明において、前記インク室には、該インク室内のインクに圧力を与え、前記吐出孔からインクを吐出させる駆動素子が設けられ、前記インク室に備えられた複数の吐出孔が正常であるときは前記駆動素子により各吐出孔から所定量のインクが吐出され、前記複数の吐出孔のうち何れかの吐出孔が吐出不良となると他の吐出孔から前記所定量より多いインク量が吐出されることを特徴としている。
即ち、各吐出孔から正常吐出が行われるときには各吐出孔から所定量のインクが吐出され、該吐出孔のうち何れかの吐出孔が吐出不良となると他の吐出孔から前記所定量より多いインクが吐出されるので、吐出不良となった吐出孔を検出することなく、吐出不良に起因するドット形成異常の補完が可能になる。
正常吐出時には、1回の駆動(吐出制御)で1つのインク室に設けられた複数の吐出孔から同じタイミングで同じ体積を持つインク滴が吐出され、吐出孔の配列と同じ方向、吐出孔のピッチと同じピッチで、吐出孔と同じ数のドットが被記録媒体上に形成される。なお、同じ体積とは理想的な状態では同一体積になることを含み、実際には誤差が含まれていてもよい。
また、請求項6に示すように請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の発明において、前記インクジェット記録ヘッドは、前記インク室に設けられた複数の吐出孔列が前記被記録媒体の搬送方向に略直交する方向に前記被印字媒体の全幅にわたって配列された1列以上の吐出孔列を有するフルライン型の記録ヘッドであることを特徴としている。
即ち、フルライン型の記録ヘッドでは、重ね打ちをしないシングルパス印字による高速印字が可能になり、また、フルライン型の記録ヘッドに特有の被記録媒体搬送方向に沿って現れるスジムラを抑制することができる。
吐出孔は、被記録媒体の搬送方向と略直交する方向に沿って1列だけ設けられていてもよいし、2次元的にマトリクス状に設けられていてもよい。
また、上記目的を達成するために請求項7に係る発明は、請求項1乃至6に記載されたインクジェット記録ヘッドを用いたことを特徴としている。
即ち、吐出孔の吐出不良を検出することなく、吐出不良による画像劣化の補完が可能であり、生産性を落とすことがない。更に、偶発的に発生する吐出不良にも対応可能である。
該インクジェット記録ヘッドを1つ備えてもよいし、複数備えてもよい。複数色インクに対応して色ごとに該インクジェット記録ヘッドを1つ備える態様が好ましい。
本発明によれば、インクジェット記録ヘッドに備えられたインク室は複数のインク吐出孔を有し、これらのインク吐出孔のうち何れか1つが吐出不良となると、他の吐出孔から所定の吐出量より多いインク滴が吐出されるので、吐出不良となった吐出孔と異なる吐出孔から所定の大きさより大きいドットが打滴されることにより、吐出不良に起因するドット形成異常を補完することができる。これにより、記録結果に現れるスジムラを低減でき、高画像品質を確保することができる。
また、1つのインク室に設けられた吐出孔の配列方向と、被記録媒体の搬送方向との配列方向とのなす角をθとすると、0°≦θ<20°が好ましく、更に好ましくは0°≦θ≦15°である。最も好ましい態様は、θ=0°(被記録媒体の配列方向に吐出孔が配列されている態様)である。
1回の駆動(吐出)において、正常吐出時には該複数の吐出孔から所定量のインク滴が吐出され、該複数の吐出孔のうち何れか1つが吐出不良となると他の吐出孔からは所定量より多いインク滴が吐出されるので、吐出孔の吐出不良を検出することなく、吐出不良に起因するドット形成不良を補完し得る。
該インクジェット記録ヘッドはフルライン型のラインヘッドとすると、シングルパス印字により高速印字が可能であり、また、フルライン型のラインヘッドに特有の被記録媒体搬送方向のスジムラを低減し得る。
該インクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置では、生産性を落とすことなく、印字結果に表れるスジムラの視認性を緩和し得る。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、インクの色ごとに設けられた複数の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けらてれおり、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(図1中不図示,図7中符号88として記載)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラーが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。詳細な構造例は後述するが、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yは、図2に示したように、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル開口)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の搬送方向(以下、副走査方向という。)に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K,12C,12M,12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色ごとに設けられてなる印字部12によれば、副走査方向について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち1回の走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが主走査方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは不図示の管路を介して各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字部12の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のぺーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物はカッター48によって排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り替える不図示の選別手段が設けられている。カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダ別に画像を集積するソーターが設けられる。
次に、印字ヘッドの構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
図3は印字ヘッド50をインク吐出面側から見た平面図である。図3中矢印で示した方向は記録紙の搬送方向(副走査方向)である
本例の印字ヘッド50は、図3に示したように、インク滴が吐出するノズル51A,51Bがインク室52に備られており、ノズル51A,51Bは紙送り方向(副走査方向)に沿って配列されている。また、ノズル51A,51Bは同一の開口径であり、所定の間隔で配置されている。前記所定の間隔は、印字ヘッド50の設計(インクの最小吐出量、印字解像度、印字速度等)により決められる値であり、数十μmから数百μm程度の範囲である。
更に、印字ヘッド50にはノズル51A,51B、インク室52から成る複数のインク室ユニット53が主走査方向に配列されている。
以後、説明の都合によりノズル51A,51Bを代表してノズル51と記載することがある。
各ノズル51に対応して設けられているインク室52は、その平面形状が概略四角形(長方形)となっており、ノズル51と供給口(不図示)とはオフセット配置されて設けられている。各インク室52は供給口を介して不図示の共通流路と連通されている。
インク室52の形状は四角形に限定されず、円形や四角形以外の多角形でもよい。また、長方形だけでなく菱形や正方形でもよい。
図3では、ノズル51がインク室52の中央部に配置された態様を示したが、ノズル51と供給口とは、該四角形の対向する辺の一方にノズル51、もう一方に供給口が設けられていてもよいし、他の配置を適用してもよい。インク室52の形状やノズル51及び供給路の配置は、インクの流れを妨げないように決められている。
図3では、ノズル51A,51Bが副走査方向に沿って配置されている態様を例示したが、図4に示すように、副走査方向とノズル51A,51Bの配列方向とが角度θをなすように配置されてもよい。なお、角度θの詳細については後述する。
また、図3では1つのインク室52に2つのノズル51A,51Bが設けられた態様を例示したが、図5、図6に示すように、1つのインク室52に3つのノズル51A,51B及び51Cが設けられていてもよいし、更に、1つのインク室に4つ以上のノズルが設けられてもよい。但し、1つのインク室に多数のノズルを設けるためには、微細加工や精密な組み立てが必要になるだけでなく、インク室の大きさが大きくなり得る。
図5は3つのノズルが副走査方向に配置された態様を示し、図6は3つのノズルが副走査方向と角度θをなして配置された態様を示している。
一方、記録紙面上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。図3に示したノズル51及びインク室52から成るインク室ユニット53を千鳥でマトリックス状に配置させた構造を有すると、見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成することができる。
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53を図7に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなる。
すなわち、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPtで単一直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度の単ラインノズル配列を実現することが可能になる。
なお、用紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン又は1個の帯状を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクスに配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン又は1個の帯状の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。ノズル51が2次元的に配置されたマトリクスヘッドを例示したが、主走査方向にノズル列が1列設けられたヘッドを適用してもよい。
また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
図8は、インク室ユニット53の立体的構成を示す断面図(図3中8−8線に沿う断面図)である。図8において、インクを吐出する方向は上方向である。インク室52の天面を構成している加圧板56には個別電極(不図示)を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形してノズル51A,51Bから略同量のインクが吐出され、1回の駆動によって略同一径の2つのドットが形成される。
インクが吐出されると、共通流路から供給口(不図示)を通って新しいインクがインク室52に供給される。
また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾ方式に代えて、図9及び図10に示した、ヒーターなどの発熱体59によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式にも適用可能であり、また、他の各種方式も適用できる。
図9は、図8に相当する図3の8−8線に沿った断面図であり、図10は図9のA側面側から見た側面図である。
図11はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。
インク供給タンク60はインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インク供給タンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。なお、図11のインク供給タンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図11に示したように、インク供給タンク60と印字ヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルター62が設けられている。フィルター・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図11には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、インク吐出面の清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。
これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面をキャップ64で覆う。
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまう。このような状態になると、アクチュエータ58が動作してもノズル51からインクを吐出できなくなってしまう。
このような状態になる前に(アクチュエータ58の動作により吐出が可能な粘度の範囲内で)アクチュエータ58を動作させ、その劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)を排出すべくキャップ64(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き)が行われる。
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、アクチュエータ58が動作してもノズルからインクを吐出させることができなくなる。このような場合には印字ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。
この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。なお、吸引動作は圧力室52内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構(ワイパー)により印字ヘッド50のインク吐出面(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル板表面を清浄する。なお、該ブレード機構によりインク吐出面の汚れを清掃した際に、該ブレードによってノズル51内に異物が混入することを防止するために予備吐出が行われる。
図12はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータードライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータードライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒーター89を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータードライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒーター89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図12において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yのアクチュエータを駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
〔ノズル配置とインク吐出制御〕
図13に示すように、各インク室52には2つのノズル51A,51Bが設けられている。ノズル51A,51Bは略同一形状(ノズル径、開口形状)であるが、加工や組み立て等により生じる誤差が含まれていてもよい。
正常な駆動が行われると、1回の駆動において、各ノズルからほぼ同一体積のインク滴100A,100Bが同時に吐出され、記録紙16上には、同一面積のドットが2つ形成される。この際に、当然ながら、インク室52内のインクには吐出されたインクの体積に応じた圧力低下が生じる。
一方、メニスカス面(インクが外気と触れる面)回復不良、微細なゴミがインク吐出面に付着する、ノズル開口部近傍の粘度上昇するなどの理由により、2つのノズルのうち、一方のノズルからインク滴が吐出されない(不吐出)ケースが生じ得る。
一例を挙げると、図14に示すように、ノズル51Aのメニスカス面に増粘インク層102Aができたために不吐出となるケースがある。
この場合には、インクが吐出されないことにより、ノズル51A近傍では正常に生じるべき圧力低下が生じない。この圧力増分は、密度波の伝播スピードで、瞬時にノズル51B近傍に伝わる。そのためにノズル51Bから通常より大きな体積を持つインク滴102Bが、自動的に吐出される。
更に、駆動波形及びインク室52の構造を最適化することにより、ノズル51Bから本来吐出されるインク体積の2倍のインク滴を吐出させることが可能であり、ノズル51Aが不吐出となった場合には、ノズル51Bから吐出されるインク体積は本来吐出される体積の2倍であることが好ましい。特に1回の駆動でインク室52内のインクをすべて吐出する場合には再現性よく実施可能である。
なお、ここで言うインク室52の構造には、インク室52の形状、材質、ノズル開口の形状及びノズル開口大きさなどが含まれている。
次に、インクジェット記録装置10の印字(打滴)制御について説明する。
図15は、従来技術における印字ヘッド50のノズル配列と、印字ヘッド50による印字例を示している。記録紙16上に示された丸は1つのドットを示し、各ドット内の番号は印字の時系列順を示している。すなわち、1から昇順に印字が行われ、同一番号のドットは同一タイミングで印字されている。なお、図15では、ドット径はドット(画素)ピッチの1.4倍となっている。
従来技術における印字ヘッド50は、ノズル51が主走査方向に沿って1列配置されている。もちろん図7に示したように、ノズル51はマトリクス状に配置されていてもよい。
図15は、各ノズル51からインク滴が正常に打滴されている例を示しており、各ノズルから印字されたドットは所定の間隔で並んでいる。
当該印字例及び以降に示す印字例は、吐出バラツキがまったくない理想的な吐出が行われているものとし、以降、図15と同一または類似する部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
図16には、印字ヘッド50に設けられたノズルのうち1つのノズルが吐出不良となったときの印字例を示している。図16では、ノズル51Dが不吐出となったために、ノズル51Dから印字されるべきドット(印字ヘッド50の長手方向と垂直な方向を示す副走査方向のドット列)が印字されないために、ドット列の抜けとなる。これがプリント物ではスジムラとなって現われ、該プリント物の画質を著しく低下させる。
図17及び図18は、図3に示したノズルが2つ設けられたインク室52を適用した場合の印字例を示している。この場合、各インク室52が持つ2つのノズル51A,51Bは副走査方向に沿って配置されており、各ノズルから正常に印字が行われると、図17に示すように、同一タイミングで、1つのインク室から副走査方向に2つの同一ドットが印字されることになる。但し、図15に示した印字例に比べて、副走査方向の印字ピッチは2倍となり、副走査方向の結果画像の解像度は1/2になる。
しかしながら、図18に示すように、ノズル51E(ノズル51Aの列のノズル)が不吐出となると、ノズル51Eと同じインク室52に設けられた、もう一方のノズル51Fから、本来吐出される体積の略2倍の体積を持つインク滴が吐出され、本来の大きさより大きいドット121、122、123が印字される。ノズル51Eから本来印字されるドットが印字されないことにより発生するドット抜けを、これらの、本来の大きさより大きいドットにより補正し得ることになり、スジムラの視認性を大きく低減する。
インク滴の吐出体積と、ドットの大きさ(面積)との関係は、インク、記録紙16(記録メディア)により異なる。これらの関係の一例を挙げると、染料インクと写真用メディアとを用いた場合、2倍の体積のインク滴が吐出されると、ドット径(直径)は1.3倍から1.6倍程度になる。図18では、本来の大きさより大きいドットのドット径は、本来の大きさのドット径の略1.5倍になっている。上述した数値はあくまでも一例であり、本来の大きさより大きいドットの大きさは、ドット抜けによる白地面積をカバーし得る大きさである。更に、ノズル51Eとノズル51Fとの位置関係は、何れか一方のノズルに不吐出が発生した場合に、もう一方のノズルから吐出される最大吐出量のインクで形成されるドットにより、不吐出ノズルによるドット抜けをカバーし得る位置(配置間隔)である。
また、1つのインク室52が3つ以上のノズルを有する場合には、隣り合うノズルにより不吐出ノズルによるドット抜けの補完の吐出が行われてもよいし、隣り合うノズル以外の近接ノズルにより補完の吐出が行われてもよい。、
次に、図4に示した、1つのインク室に設けられたノズルが副走査方向と角度θをなして配列される場合について説明する。
図19は、ノズル51A,51Bが副走査方向にθ=15°の角度をなして配置されている場合を示している。この場合には、同一タイミングで印字されるドットも副走査方向とθ=15°の角度をなして印字される。
また、ノズル51Gが不吐出となった場合には、ノズル51Eと同じインク室に設けられたノズル51Hから本来吐出される体積の略2倍のインク滴が吐出され、本来の大きさより大きいドット141、142、143が印字される。したがって、ノズル51Gから本来印字されるドットが印字されないことにより発生するドット列の抜けを、これらの本来の大きさより大きいドットにより補正し得ることになり、白地抜けをほぼ防止しており、有効なスジムラ低減が達成されている。
図20及び図21は、それぞれθ=20°及びθ=30°の場合の印字例を示している。図20に示した印字例は、白地抜けは完全には防止できないが、依然としてスジムラの低減に寄与しているが、図18及び図19に示した印字例に比べてスジムラの視認性が高くなっている。更に、図21に示した印字例は、白地抜け部分が視認でき、スジムラの低減効果が低く、スジムラの視認性が図18乃至図20に示した印字例に比べて高くなっている。
次に、上述した角度θとスジムラ低減効果との関係について説明する。図22はシミュレーションにより主走査方向に1インチあたり1200本のノズル密度でθの値を変えた場合のスジムラ視認性実験を行った結果である。
図22によると、図16に示した、1つのインク室52に1つのノズルが設けられている場合には、主走査方向に配列されたノズルのうち、何れか1つが不吐出となった場合にスジムラは明確に視認される。
一方、1つのインク室52に2つのノズルが設けられている場合(Wノズル)では、図18に示したθ=0°の場合、スジムラはほぼ視認されない。また、図示しないが、θ=10ではスジムラはほぼ視認されず、図19に示したθ=15°ではスジムラがやや視認されることが分かる。更に図20に示したθ=20°ではスジムラが視認され、図21に示したθ=30°ではスジムラが明確に視認される。
したがって、1つのインク室52に設けられた複数のノズル列と副走査方向とのなす角θは0°≦θ<20°であることが好ましく、より好ましくは、0°≦θ≦15°である。最も好ましい態様はθ=0°である。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10では、印字ヘッド50に備えられたインク室52にはノズルが副走査方向に複数のノズルが設けられており、各インク室に設けられたノズルのうち1つのノズルが不吐出になると、他のノズルから本来吐出される体積よりも大きい体積のインク滴が吐出され、本来の大きさよりも大きいドットが印字される。したがって、生産性を落とすことなく、不吐出ノズルによって結果画像に発生する副走査方向のスジムラを低減することができる。
また、偶発的に不吐出が生じた場合にも、スジムラの低減が可能であり、シャトル型印字ヘッドにおいては、重ね打ちをしない高速印字モードで画像低下を防ぐことができる。
更に、1つのインク室52に設けられた複数のノズルは、副走査方向に沿って配列されるので、ノズル不吐出時に形成されるドット抜け領域内に、該ドット抜けを補正するドットが印字されるため、効果的なスジムラ低減を行うことができる。
本例では、あるノズルが不吐出になった場合について説明したが、不吐出だけでなく、本来吐出されるべき吐出量と異なる量のインク滴を吐出する吐出量異常についても同様の効果を得ることができ得る。
本実施形態では、記録紙16の印字可能幅に対応したフルライン型のラインヘッドを例示したが、本発明は、記録紙16の印字可能幅より短い幅のヘッドを主走査方向に走査させながら印字を行うシャトルスキャン型の印字ヘッドにも適用可能である。
本実施形態の変形例として、印字中に、ノズルごとに不吐出を検出する手段を備え、不吐出ノズルが検出されると、近傍ノズルの印字デューティーを上げてドット抜けを補正する態様がある。
また、本実施形態では、インクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、液体塗布装置や液体吐出装置(ディスペンサー等)などの、吐出ヘッドに備えられた吐出孔から被塗布媒体へ液体(水、薬液、洗浄液、処理液等)を塗布(吐出)させる装置にも適用可能である。特に、被塗布媒体上に液体を均一に塗ることに好適である。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 印字ヘッドの構造例を示す平面図 図3に示した印字ヘッドの変形例を説明する図 図3に示したインク室に設けられたノズルの変形例を説明する図 図3及び図5に示したインク室に設けられたノズルの変形例を説明する図 マトリクス配置されたインク室を示す図 図3中8−8線に沿う断面図 図8に示したインク室にサーマル型アクチュエータを適用した図 図9に示したインク室を側面Aから見た図 本実施形態に係るインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成を示した概要図 本実施形態に係るインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 本実施形態に係るインクジェット記録装置における滴吐出制御を説明する図 不吐出ノズルがある場合の吐出制御を説明する図 従来技術における印字ヘッドと印字結果を示す図 従来技術における印字ヘッドと不吐出ノズルがある場合の印字結果とを示す図 図3に示した印字ヘッドと印字結果を示す図 図3に示した印字ヘッドと不吐出ノズルがある場合の印字結果とを示す図 図4に示した印字ヘッドと不吐出ノズルがある場合の印字結果とを示す図 図4に示した印字ヘッドの変形例と不吐出ノズルがある場合の印字結果とを示す図 図20に示した印字ヘッドの変形例と不吐出ノズルがある場合の印字結果とを示す図 ノズル配列の違いよるスジムラ視認性を説明する表
符号の説明
10…インクジェット記録装置、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、50…ヘッド、51…ノズル、52…インク室、72…システムコントローラ、80…プリント制御部、100A,100B,102B…インク滴、121,122,123,141,142,143…ドット

Claims (7)

  1. 被記録媒体と相対移動されながら前記被記録媒体にインクを吐出させるインクジェット記録ヘッドであって、該記録ヘッド内には吐出させるインクが蓄えられるインク室が設けられ、前記インク室はインクの吐出孔を複数有し、前記複数の吐出孔のうち何れかの吐出孔が吐出不良となると、他の吐出孔から本来吐出されるインク量より多いインク量が吐出されることにより、前記吐出不良に起因するドット形成不良が補完されることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記記録ヘッド内には前記インク室が複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記インク室は2個のインクの吐出孔を有することを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記複数の吐出孔の配列方向と被記録媒体の搬送方向とのなす角θが、次式
    0°≦θ<20°
    を満たすことを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記インク室には、該インク室内のインクに圧力を与え、前記吐出孔からインクを吐出させる駆動素子が設けられ、
    前記インク室に備えられた複数の吐出孔が正常であるときは前記駆動素子により各吐出孔から所定量のインクが吐出され、前記複数の吐出孔のうち何れかの吐出孔が吐出不良となると他の吐出孔から前記所定量より多いインク量が吐出されることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記インクジェット記録ヘッドは、前記インク室に設けられた複数の吐出孔列が前記被記録媒体の搬送方向に略直交する方向に前記被印字媒体の全幅にわたって配列された1列以上の吐出孔列を有するフルライン型の記録ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 請求項1乃至6に記載されたインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置。
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