JP2005079604A - 信号伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上にそれぞれ形成された、入力側の第1の固定電極23と、第1の固定電極23に空間を介して対向する可動電極25と、可動電極25に空間を介して対向する出力側の第2の固定電極24と、可動電極25に印加する直流電圧V2 を制御する電圧制御手段29とを有して成る。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、MEMS素子を利用した信号伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロマシン(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems、超小型電気的・機械的複合体)素子、及びMEMS素子を組み込んだ小型機器が注目されている。MEMS素子の基本的な特徴は、機械的構造として構成されている駆動体が素子の一部に組み込まれていることであって、駆動体の駆動は、電極間のクーロン力などを応用して電気的に行われる。
【0003】
携帯電話に代表される通信機器に用いられる高周波フロントエンド回路では、通信周波数帯域に応じたフィルタ等の処理回路への切り替えに高周波スイッチが用いられている。高周波スイッチには低抵抗(低損失)や高速なスイッチング速度が求められており、PINダイオード、接合型電界効果トランジスタ(JFET)等の素子が主として用いられている。最近では、より低抵抗が実現きるMEMSスイッチなども提案されている。
【0004】
図9は、MEMSスイッチの概略を示す。このMEMSスイッチ11は、基板上に入力電極12及び出力電極13を形成し、入力電極12及び出力電極13に空間14を介して対向するスイッチ板となる可動電極15を配置し、可動電極15を静電力により上下動作させて入力電極12と出力電極13に電気的に接触、非接触させて、導通、非導通が得られるように構成される。
【0005】
また、携帯電話に代表される通信機器に用いられる高周波フロントエンド回路では、通信周波数帯域に応じたフィルタが用いられている。フィルタには低損失や急峻なカットオフ特性、小型化が求められている。従来のフィルタとしては、表面弾性波(SAW)、薄膜弾性波(FBAR)などの素子が主として用いられている。最近ではより小型でカットオフ性能の高いMEMSフィルタなども、ミシガン大学を始めとする研究機関から提案されている(非特許文献1)。
【0006】
図10は、非特許文献1に記載された高周波フィルタを構成する振動素子、即ちMEMS振動素子の概略を示す。この振動素子1は、半導体基板2上に絶縁膜3を介して例えば多結晶シリコンによる入力側配線層4と出力電極5が形成され、この出力電極5に対向して空間6を挟んで例えば多結晶シリコンによる振動可能なビーム、いわゆるビーム型の振動電極7が形成されてなる。振動電極7は、両端のアンカー部(保持部)8〔8A,8B〕にて保持されるように、出力電極5をブリッジ状に跨いで入力側配線層4に接続される。振動電極7は入力電極となる。
この振動素子1は、振動電極7と接地間にDCバイアス電圧V1 が印加された状態で、入力端子t1 を通じて振動電極7に高周波信号S1 が供給される。即ち、入力端子t1 からDCバイアス電圧V1 と高周波信号S1 が重畳された入力信号が供給される。目的周波数の高周波信号S1 が入力されると、長さLで決まる固有振動数を有する振動電極7が、出力電極5と振動電極7間に生じる静電力で振動する。この振動によって、出力電極5と振動電極7との間の容量の時間変化とDCバイアス電圧に応じた高周波信号が出力電極5(したがって、出力端子t2 )から出力される。高周波フィルタでは振動電極7の固有振動数(共振周波数)に対応した信号が出力される。
【0007】
【非特許文献1】
C.T.−Nguyen,″Micromechanical components for miniaturized low−power communications(invited plenary),″proceedings,1999 IEEE MTT−S International Microwave Symposium RF MEMS Workshop,June,18,1999,pp.48−77.
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フィルタ等の処理回路への切り替えに用いられるMEMSスイッチにおいては、スイッチング速度が相対的に遅く、またデバイスの大きさも100ミクロン角レベルと大きい。また通常、切り替えスイッチは、信号線路上に配置されるため、信号損失の原因の1つにもなる。
一方、フィルタとしての表面弾性波(SAW)、薄膜弾性波(FBAR)、MEMSフィルタでは、いずれも共振子の受動的特性を組み合わせて一定の帯域の信号をフィルタリングするように配置しているため、透過帯域内の透過特性(信号強度)をバランスすることが難しいという課題ある。
【0009】
本発明は、上述に点に鑑み、透過帯域内の信号強度の制御、あるいは信号の透過・遮断を可能し、且つ信号損失の低減、面積の小型化などを可能にした信号伝達装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る信号伝達装置は、基板上にそれぞれ形成された入力側の第1の固定電極と、第1の固定電極に空間を介して対向する可動電極と、可動電極に空間を介して対向する出力側の第2の固定電極と、可動電極に印加する直流電圧を制御する電圧制御手段とを有して成る。
電圧制御手段としては、可動電極に印加する直流電圧を可変制御する電圧可変手段、あるいは可動電極に印加する直流電圧をオン・オフ制御するスイッチ手段とすることができる。電圧制御手段は、基板に形成した半導体素子を用いることが望ましい。
【0011】
本発明の信号伝達装置では、可動電極に直流電圧を印加した状態で第1の固定電極に可動電極がもつ固有振動数に応じた所要周波数の入力信号が入ると、第1の固定電極と可動電極間で生じる静電力で可動電極が共振し、第2の固定電極に対して交流振動を励起するため、入力信号が第1の固定電極から第2の固定電極へ伝播する。いわゆるフィルタ効果が得られる。
そして、可動電極に印加する直流電圧を制御することにより、第1の固定電極から第2の固定電極へ伝播する信号の制御が可能になる。例えば、可動電極に印加する直流電圧を制御する電圧制御手段を電圧可変手段とするときは、可動電極に印加される電圧の大きさに応じて第1の固定電極から第2の固定電極へ透過される信号の強度が変調される。また、電圧制御手段をオン・オフ制御するスイッチ手段とするときは、第1の固定電極から第2の固定電極への信号の透過、遮断を行うことができる。
電圧制御手段は信号線路上にないので、信号損失が低減される。電圧制御手段が基板に形成した半導体素子を用いることができるので、信号伝達装置の小型化が可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の信号伝達装置の実施の形態を説明する。
【0013】
図1及び図2は、本発明に係る信号伝達装置の実施の形態の基本的な構成を示す。本実施の形態に係る信号伝達装置21は、基板22の少なくとも絶縁性を有する表面上に互いに所要の間隔を置いて配置された第1の固定電極23と第2の固定電極24と、これら第1及び第2の固定電極23及び24に対して空間26を挟んで対向して配置された可動し得る第3の電極25とを有して成る。第3の電極25は、第1及び第2の固定電極23及び24をブリッジ状に跨ぎ、第1及び第2の固定電極23及び24の外側に配置した配線層27に接続されるように両端を保持手段(いわゆるアンカー部)28〔28A,28B〕により一体に保持される。第1の固定電極23は、信号が入力される入力電極として用いられ、第2の固定電極24は、信号が出力される出力電極として用いられる。第3の電極25は可動し得る可動電極となる。この可動電極となる第3の電極25には、可変な直流電圧を印加する手段、即ち可動電極25に印加する直流電圧V2 を制御する電圧制御手段29が接続される。
【0014】
基板22は、例えばシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)等の半導体基板上に絶縁膜を形成した基板、本例ではシリコン基板31上に絶縁膜32を形成した基板が用いられる。絶縁膜32は、例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜、単層膜、その他の絶縁膜を用いることができる。基板22は、その他、石英基板やガラス基板のような絶縁性基板等を用いることも可能である。第1及び第2の固定電極23及び24、配線層27は、同じ導電材料で形成し、例えば多結晶シリコン膜、アルミニウム(Al)などの金属膜にて形成することができる。
【0015】
次に、この信号伝達装置21の動作を説明する。第3の電極である可動電極25に電圧制御手段29を通じて所要の直流電圧(即ち、DCバイアス電圧)V2 が印加される。入力端子t21から第1の電極である入力電極23に交流信号である入力信号S2 が入力される。この所要周波数の入力信号が入力されると、可動電極25に印加される直流電圧V2 の効果で、即ち入力電極23と可動電極25間に生じる静電力で可動電極25に対して振動を励起する。可動電極25は、保持手段28〔28A,28B〕の間隔で定義される長さL2 に応じた固有振動数(共振周波数)を有しているので、入力信号S2 が上記共振周波数を含む場合は可動電極25に共振が起こり、他の周波数に対して選択的に信号の励起が起きる。さらに、この共振振動は、可動電極25に印加された直流電圧V2 の効果により、出力電極24に対して交流振動を励起する。このため、信号伝達装置21では、可動電極25の共振周波数近傍の信号のみが、入力電極23から出力電極24(したがって出力端子t22)へ伝播する結果となり、いわゆるフィルタ効果が得られる。
【0016】
ここで、可動電極25に上記の直流電圧V2 が印加されない場合に、入力電極23から出力電極24へ交流信号が実質的に透過(いわゆるリーク)しないように、入出力電極23及び24の電極間距離d2 を離して配置する。このように入出力電極23及び24を離して配置したとき、図3に示すように、可動電極25に印加する直流電圧V2 の値に応じて入力電極23〜出力電極24へ透過される信号S2 の透過強度を変調することができる。図3は直流電圧V2 をパラメータとした透過強度特性を示す。可動電極25に印加する直流電圧をV21,V22,V23と上げてゆくと、それに応じて透過する信号の透過強度が上がる。
【0017】
本実施の形態の信号伝達装置21によれば、電圧制御手段29を、印加する電圧を可変調整できる電圧可変手段として構成したときには、この電圧可変手段29により図3に示したように可動電極25に印加する直流電圧、いわゆるDCバイアス電圧を制御することにより、入力電極23から出力電極24へ透過する所要の周波数信号の強度を調整することができる。また、電圧制御手段29を、印加する電圧をオン・オフ制御するスイッチ手段として構成したときには、このスイッチ手段29により入力電極23から出力電極24への所要の周波数信号の透過、遮断を選択的に制御することができる。
【0018】
信号伝達装置21では、電圧制御手段29が信号線路上になく、可動電極25に接続されているので、電圧制御手段29による信号損失がなくなり、回路システムの信号損失を低減することができる。電圧制御手段29を半導体基板31に形成した半導体素子、例えばトランジスタを用いることにより、信号伝達装置21をより小型化することができる。
【0019】
例えば、本信号伝達装置21を、通信周波数帯域に応じたフィルタなどの処理回路への切り替えに適用した場合、従来のMEMSスイッチと比較して面積の小型化、フィルタとスイッチの共有化ができ、構造として電極間の接触がなく信頼性を高めることができる。また、本信号伝達装置21を、通信周波数帯域に応じたフィルタに適用した場合、可動電極25に印加する直流電圧によって通過帯域内の信号の透過強度を調整することができるので、透過帯域内の透過特性をバランスよく揃えることができる。
【0020】
図4は、上述の基本構成を適用した本発明の信号伝達装置の他の実施の形態を示す。本実施の形態は、図3の可動電極に印加する直流電圧による信号透過特性を利用した信号透過装置として構成した場合である。
本実施の形態に係る信号伝達装置41は、基板、本例では表面に絶縁膜を有するシリコン半導体基板上に、各信号が入力される複数に分割された第1の固定電極となる入力電極23〔231、232、233〕と、各入力電極23と対をなし信号が出力される複数に分割された第2の固定電極となる出力電極24〔241、242、243〕と、各対の第1の電極23〔231、232、233〕と第2の電極24〔241、242、243〕に対して夫々空間を挟んで対向して配置され、それぞれ目的の透過周波数に応じた長さL2 〔L21,L22,L23〕の異なる第3の電極となる可動電極25〔251、252、253〕とを有して成る。各入力電極231〜233は配線層271を介して共通の入力端子t31に接続される。また、各出力電極241〜243は配線層272を介して共通の出力端子t32に接続される。さらに、各第3の電極25〔251、252、253〕には直流電圧を制御する電圧制御手段(即ち、電圧可変手段)29〔291、292、293〕が接続され、これら各電圧制御手段29〔291、292、293〕が共通の電源V2 に接続される。
【0021】
この場合の電圧制御手段29〔291、292、293〕は、図5Aに示すように、上記シリコン半導体基板内に形成した半導体素子による可変抵抗器で構成することができる。図5Aは、電圧制御手段291〜293の回路構成を示す。この回路は、トランジスタQ1と抵抗R1を組み合わせて成る。トランジスタQ1の第1の主電極に第1の電源電圧1(たとえば10V)が印加され、ゲートに第2の電源電圧2(たとえば0〜5V)が印加される。トランジスタQ1と抵抗R1の接続中点から駆動電極電圧Vが出力される。この第2の電源電圧V2を制御することで、MEMSを駆動する比較的高い電圧を連続的に制御することができfる。第2の電源電圧V2を増加させると、トランジスタQ1に流れる電流I1が増加し、抵抗R1に流れ込むことによって駆動電極の電圧がV=IR(オームの法則)の原理から決まる。
【0022】
ここで、入力電極231、出力電極241及び可動電極251により、第1の目的周波数の信号を透過する第1のMEMSフィルタ素子421が構成される。入力電極232、出力電極242及び可動電極252により、第2の目的周波数の信号を透過する第2のMEMSフィルタ素子422が構成される。入力電極233、出力電極243及び可動電極253により、第3の目的周波数の信号を透過する第3のMEMSフィルタ素子423が構成される。
【0023】
本実施の形態に係る信号伝達装置41においては、各電圧制御手段29〔291〜293〕により各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕を構成する長さL2 〔L21,L22,L23〕の異なる可動電極251、252、253に印加する直流電圧を調整することにより、各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕を透過する目的周波数帯の透過特性(即ち、透過する信号の強度)を調整することができる。
【0024】
この信号伝達装置41は、いわゆるイコライザとして用いることができる。入力端子t31から例えば各シャンネルの周波数信号が混合されて入力された場合、周波数帯によって信号強度差(レベル差)があると、出力端子t32から出力した信号を増幅器で増幅したときに透過強度の小さい周波数帯の信号が歪んでしまう。従って、予め入力される各周波数帯の信号の透過強度が判っていれば、その信号に対する透過強度を調整することにより、各チャンネルの周波数信号の透過強度を揃えることができる。即ち、各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕で対応する周波数帯の信号を透過させる際に、電圧制御手段29〔291、292、293〕により可動電極25〔251、252、253〕に印加する直流電圧を制御する。例えば、各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕において、可動電極25〔251、252、253〕の長さが小さい順(L21<L22<L23)に透過する信号強度が小さいとすれば、可動電極25〔251、252、253〕に印加する直流電圧をその順に大きくすれば、各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕を透過する信号強度を揃えることができる。
【0025】
そして、本実施の形態に係る信号伝達装置41によれば、信号線路上に電圧制御手段29〔291、292、293〕がないので、MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕以外に損失の原因がないことになり、システムとして信号損失を小さくすることができる。電圧制御手段が信号線路上にないので、電圧制御手段29〔291、292、293〕として高周波特性、伝達特性を考慮したものを用いる必要がなく、安価な素子で済む。直流電圧で特定の周波数帯の透過強度を変化させることができる。
本実施の形態の信号伝達装置41は、音響信号処理にも応用することができる。
【0026】
図6は、上述の基本構成を適用した本発明の信号伝達装置の他の実施の形態を示す。本実施の形態は、信号の透過、遮断の2値的な制御のみを目的とするスイッチ機能を実現した信号伝達装置として構成した場合である。
本実施の形態に係る信号伝達装置45は、夫々独立した複数のMEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕と、各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕を夫々オン・オフ制御するためのスイッチ手段(即ち、電圧制御手段)39〔391、392、393〕とを備えて成る。
【0027】
各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕は、前述と同様に、共通の基板、本例では表面に絶縁膜を有するシリコン半導体基板上に信号が入力される第1の固定電極となる入力電極23〔231、232、233〕と、各入力電極23と対をなし信号を出力する第2の固定電極となる出力電極24〔241、242、243〕と、図示せざるも配線層とが形成され、各対をなす入力電極23〔231、232、233〕と出力電極24〔241、242、243〕に対して空間を挟んで対向して配置された第3の電極となる可動電極25〔251、252、253〕とを有して構成される。
【0028】
各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕では、透過信号(高周波信号)に応じて可動電極25〔251、252、253〕の長さL2 〔L21,L22,L23〕が異なるように設定されている(L21<L22<L23)。各MEMSフィルタ素子25〔251、252、253〕の可動電極25〔251、252、253〕には、夫々スイッチ素子39〔391、392、393〕を介して直流電源V2 が接続され、直流電源V2 を通じて所要のDCバイアス電圧が印加されるよになされる。即ち、直流電源V2 は、全ての可動電極25〔251、252、253〕に対して一定の直流電圧を供給している。
MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕の各入力電極23〔231、232、233〕には夫々入力端子t41,t42,t43が導出され、各出力電極24〔241、242、243〕には夫々出力端子t51,t52,t53が導出される。
【0029】
スイッチ手段39〔391、392、393〕は、例えばトランジスタなどの半導体素子によるスイッチ素子が用いられる。この半導体スイッチ素子は、MEMSフィルタ素子42が形成されるシリコン半導体基板に一体に形成される。図5Bは、スイッチ手段39の回路構成を示す。この回路は、トランジスタQ2で構成される。トランジスタQ2の第1の主電極に第1の電源電圧1(たとえば10V)が印加され、ゲートに第2の電源電圧2(たとえば0〜5V)が印加され、第2の主電極が接地される。トランジスタQ2の第1の主電極より駆動電極電圧Vが出力される。この回路では、第2の電源電圧2で駆動電圧の印加状況を制御することができる。
【0030】
本実施の形態の信号伝達装置45の動作を説明する。各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕では、スイッチ手段39〔391、392、393〕がオンして可動電極25〔251、252、253〕に所要のDCバイアス電圧V2 が印加されると、入力電極23〔231、232、233〕から出力電極24〔241、242、243〕へ夫々対応する目的周波数帯の高周波信号が透過する。スイッチ手段39〔391、392、393〕をオフ状態にすれば、上記各高周波信号は各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕を透過しない。従って、スイッチ手段391、392、393を選択的にオン・オフ制御することにより、MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕の信号の透過・不透過を制御することができる。従って、目的周波数帯の高周波信号のみ選択して透過をすることができる。
【0031】
この信号伝達装置45は、いわゆる選局装置として用いることができる。各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕の入力電極23〔231、232、233〕に各対応するチャンネルの周波数信号が入力され、所要のスイッチ手段39〔391、392、393〕が選択されてオン状態になれば、スイッチ手段39〔391、392、393〕により選択されたMEMSフィルタ素子42に入力された信号のみが出力される。従って、この信号伝達装置45の各MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕の出力電極24〔241、242、243〕に受信機が接続されていれば、選択されたチャンネルを受信することができる。
【0032】
本実施の形態の信号伝達装置45によれば、MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕の可動電極25〔251、252、253〕にスイッチ手段39〔391、392、393〕を設けて、MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕のオン・オフ制御を行うようにしたので、従来のように信号線路上にスイッチ手段を配置する必要がない。このため、MEMSフィルタ素子42〔421、422、423〕以外に損失の原因がなくなり、システムとして信号損失を小さくすることができる。スイッチ手段39をシリコン半導体基板に形成した半導体素子で形成することにより、従来のMEMSスイッチに比較して面積が小型化、共有化でき、構造としても電極間の接触がないので、信頼性が高くなる。
【0033】
本発明では、共通の半導体基板上に上述の両信号伝達装置41及び45を形成することができる。例えば図4に示す信号伝達装置41の後段に、増幅器を介して図5に示す信号伝達装置45を配置した構成とすることも可能である。この構成によれば、各チャンネルの高周波信号を同じ信号レベルで選局できることになる。
【0034】
なお、上述した固定電極とは、目的とする信号の透過領域で実質的に振動しない構造のことを指す。例えば、後述の図7及び図8に示す第2の固定電極である出力電極のように、中空に配置され、その中空部分の長さに依存した共振振動数が上記目的とする信号の透過領域から乖離していればよい。
【0035】
図7及び図8は、本発明の信号伝達装置の他の実施の形態を示す。本実施の形態においては、基本的には前述の図1及び図2の構成と同じである。本実施の形態に係る信号伝達装置47は、基板22、本例では表面に絶縁膜32を有する半導体基板31上に入力電極または出力電極のいずれか一方、本例では入力電極23を形成し、また配線層27を形成し、この入力電極23を跨ぐように入力電極23に対して空間26を挟んで対向して可動電極25を配置し、さらに入力電極23と対をなす出力電極24を可動電極25を跨ぐように、可動電極25に対して空間26を挟んで対向して配置して構成される。可動電極25は、配線層27に接続されるように両端を保持部(アンカー部)28〔28A,28B〕により一体に保持される。出力電極24は、可動電極25を跨いで基板22上に形成される。そして、可動電極25には、可動電極25に印加する直流電圧V2 を制御する電圧制御手段29が接続される。
【0036】
本実施の形態に係る信号伝達装置47の動作は、前述の図1と同様である。また、本信号伝達装置47の効果も図1のものと同様の効果を奏する。この信号伝達装置47においては、さらに入力電極23と出力電極24とが、可動電極25を挟んで配置されるので、可動電極25に直流電圧V2 が印加されたとき、可動電極25がシールド電極として作用し、入力電極23に入力された信号が直接出力電極24にリークすることを防止することができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係る信号伝達装置によれば、MEMSフィルタ構造を有し、その可動電極に印加する直流電圧を電圧制御手段で制御することにより、透過帯域内の信号強度の制御、調整、あるいは透過帯域の信号の透過、遮断を可能にする。
【0038】
従来技術のスイッチのように信号線路上にスイッチ(従来の高周波スイッチ)がなく、フィルタ以外の信号損失の原因が低減し、回路システムとして信号損失を小さくすることができる。従来のMEMSスイッチに比較して、面積が小型化・共有化でき、構造としても電極間の接触がないので信頼性が高い。即ち、高周波スイッチと高周波フィルタの占める基板上の面積を共有化できる。従来では、MEMSスイッチは電極間の接触・非接触によって信号のオン・オフの切り替えを行っているが、本発明ではこのような電極間の接触がない。
DC電圧でフィルタ切り替えが行えるため、半導体素子でスイッチ(電圧制御手段)が構成でき、透過帯域内の信号強度を外部信号によって制御できる。
【0039】
電圧制御手段を、可動電極に印加する直流電圧をオン・オフ制御するスイッチ手段として構成するときは、このスイッチ手段により、第1の固定電極から第2の固定電極への透過帯域内の信号の透過、遮断を選択的に制御することができる。例えば、本装置を通信周波数帯域に応じたフィルタなどの処理回路への切り替えに適用した場合、スイッチ素子として半導体スイッチを使用できるので、MEMSスイッチに比べてスイッチ速度を速くすることができ、また、面積の小型化、共有化することができ、構造的にも電極間の接触がなく信頼性が高い。
【0040】
電圧制御手段を、可動電極に印加する直流電圧を可変制御する電圧可変手段として構成するときは、第1の固定電極から第2の固定電極への透過帯域内の信号強度を制御することができる。
【0041】
本発明に係る信号伝達装置によれば、複数のMEMSフィルタ素子を形成し、各MEMSフィルタ素子の可動電極の夫々に可動電極に印加する直流電圧を制御する電圧制御手段を接続し、各MEMSフィルタ素子の第1の固定電極を共通の入力線に接続すると共に、各第2の固定電極を共通の出力線に接続する構成とすることにより、各MEMSフィルタ素子を透過する周波数帯の信号強度を制御することができる。従って、例えばイコライザとして適用することができる。
【0042】
本発明に係る信号伝達装置によれば、複数のMEMSフィルタ素子をけせいし、各MEMSフィルタ素子の可動電極の夫々に可動電極に印加する直流電圧をオン・オフ制御するスイッチ素子を接続し、各MEMSフィルタ素子の第1の固定電極を夫々の入力線に接続し、各第2の固定電極を夫々出力線に接続する構成とすることにより、各MEMSフィルタ素子を透過する周波数帯の信号を選択することができる。従って、例えば選局装置として適用することがでる。
【0043】
上記電圧可変手段、スイッチ手段を半導体素子で形成するとにより、MEMSフィルタ素子と一体に同一基板上に形成することができ、より小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る信号伝達装置の基本的な実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の信号伝達装置の断面図である。
【図3】本発明に係る信号伝達装置の可動電極に印加する直流電圧と信号の透過強度との関係を示す説明図である。
【図4】本発明に係る信号伝達装置の他の実施の形態を示す概略構成図である。
【図5】A 図4の電圧制御手段の回路構成図及び電源電圧2−駆動電極電圧の特性図である。B 図6のスイッチ手段の回路構成図及び電源電圧2−駆動電極電圧の特性図である。
【図6】本発明に係る信号伝達装置の他の実施の形態を示す概略構成図である。
【図7】本発明に係る信号伝達装置の他の実施の形態を示す概略構成図である。
【図8】図7の信号伝達装置の断面図である。
【図9】MEMSスイッチの概略的構成図である。
【図10】MEMSフィルタの概略的構成図である。
【符号の説明】
21、41、45・・信号伝達装置、22・・基板、23〔231〜233〕・・第1の固定電極、24〔241〜243〕・・第2の固定電極、25〔251〜253〕・・可動電極、29・・電圧制御手段、291〜293・・電圧可変手段、391〜393・・スイッチ手段
Claims (8)
- 基板上にそれぞれ形成された、入力側の第1の固定電極と、
前記第1の固定電極に空間を介して対向する可動電極と、
前記可動電極に空間を介して対向する出力側の第2の固定電極と、
前記可動電極に印加する直流電圧を制御する電圧制御手段とを有して成る
ことを特徴とする信号伝達装置。 - 前記電圧制御手段は基板に形成された半導体素子を用いて成る
ことを特徴とする請求項1記載の信号伝達装置。 - 前記電圧制御手段が電圧可変制御手段である
ことを特徴とする請求項1記載の信号伝達装置。 - 前記電圧制御手段がスイッチ手段である
ことを特徴とする請求項1記載の信号伝達装置。 - 基板上に、入力側の第1の固定電極と、前記第1の固定電極に空間を介して対向する可動電極と、前記可動電極に空間を介して対向する出力側の第2の固定電極とからなる複数MEMSフィルタ素子が形成され、
前記各MEMSフィルタ素子の可動電極のそれぞれに、該可動電極に印加する直流電圧を制御する電圧可変制御手段が接続され、
前記各MEMSフィルタ素子の第1の固定電極が共通の入力線に接続され、
前記各MEMSフィルタ素子の第2の固定電極が共通の出力線に接続されて成る
ことを特徴とする信号伝達装置。 - 前記電圧可変制御手段は前記基板に形成された半導体素子を用いて成る
ことを特徴とする請求項5記載の信号伝達装置。 - 基板上に、入力側の第1の固定電極と、前記第1の固定電極に空間を介して対向する可動電極と、前記可動電極に空間を介して対向する出力側の第2の固定電極とからなる複数MEMSフィルタ素子が形成され、
前記各MEMSフィルタ素子の可動電極のそれぞれに、該可動電極に印加する直流電圧をオン・オフ制御するスイッチ素子が接続されて成る
前記各MEMSフィルタ素子の第1の固定電極がそれぞれの入力線に接続され、
前記各MEMSフィルタ素子の第2の固定電極が夫々の共通の出力線に接続され、
ことを特徴とする信号伝達装置。 - 前記スイッチ素子は前記基板に形成された半導体素子を用いて成る
ことを特徴とする請求項7記載の信号伝達装置。
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- 2003-08-29 JP JP2003209556A patent/JP2005079604A/ja active Pending
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