JP2005079287A - 集積回路 - Google Patents

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紀行 児玉
Yutaka Yoshizawa
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Abstract

【課題】 内部抵抗が低い集積回路、特に、SCR中のNPNバイポーラトランジスタ及びPNPバイポーラトランジスタのベース抵抗が低く、高い保護性能を維持しつつ保持電流を高く設定することができる静電気放電保護素子を提供する。
【解決手段】 P型シリコン基板1の表面にNウエル2を形成し、Nウエル2の表面にN拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)及びP拡散領域4(アノード)を形成する。N拡散領域3とP拡散領域4とはイオン注入マスクを用いて作り分ける。このとき、P型不純物の注入マスクの開口部とN型不純物の注入マスクの開口部との間隔Lを、N拡散領域3とP拡散領域4との間のリーク電流が所望の値となるように所定の間隔に調整し、両注入領域が0.2μm以上の長さで重なるようにする。
【選択図】 図3

Description

本発明はLSI(Large Scale Integrated circuit:大規模集積回路)等の半導体装置中に形成される集積回路に関し、特に、SCR(Silicon Controlled Rectifier:サイリスタ)動作によりLSI中の各回路素子を静電気放電から保護する静電気放電保護素子に関する。
近時、半導体集積回路の高性能化が進み、高速動作が要求されている。一般に、高速動作が要求される回路の入力回路はRC遅延を小さくする必要があるため、このような入力回路に静電気放電又は過電圧に対する保護回路を付加する場合、この保護回路の付加容量を可及的に小さくし、寄生容量の増大を抑制する必要がある。また、製造コストの観点からも、保護素子のレイアウト面積を小さくすることが要求されている。
このような、静電気放電保護素子(以下、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)保護素子ともいう)に対する要求に応えられる保護素子として、サイリスタ(SCR)を使用した保護素子が広く用いられている。以下、サイリスタを使用した保護素子の動作を説明する。
図18は従来のシリコン基板上に形成されサイリスタを使用するESD保護素子を示す断面図である。図18に示すように、この従来のESD保護素子においては、P型シリコン基板101の表面に、Nウエル102及びPウエル103が相互に隣接して形成されている。P型シリコン基板101の表面におけるNウエル102及びPウエル103を囲む領域にはSTI(Shallow Trench Isolation:浅溝埋込分離)領域104が形成されている。そして、Nウエル102の表面にはNウエル電位制御用電極としてのN拡散領域105及びアノードとしてのP拡散領域106が形成されており、このN拡散領域105とP拡散領域106とはSTI領域104により相互に離隔されている。また、Pウエル103の表面には、カソードとしてのN拡散領域107及び基板電位制御用電極としてのP拡散領域108が形成されており、N拡散領域107とP拡散領域108とはSTI領域104により相互に離隔されている。そして、N拡散領域105、P拡散領域106、N拡散領域107、P拡散領域108はこの順に一列に配列されている。また、これらの拡散領域の表面には、シリサイド109が形成されている。更に、サージ電流が印加される入力パッド110がN拡散領域105(Nウエル電位制御用電極)及びP拡散領域106(アノード)に接続されており、接地電位が印加されるグラウンドパッド111がN拡散領域107(カソード)に接続されている。なお、入力パッド110には保護対象となる内部回路が接続されている。
この従来のESD保護素子においては、N拡散領域105(Nウエル電位制御用電極)−P型シリコン基板101−N拡散領域107(カソード)により横形NPNバイポーラトランジスタが形成され、P拡散領域106(アノード)−Nウエル102−P拡散領域108(基板電位制御用電極)により縦形PNPバイポーラトランジスタが形成されている。そして、P型シリコン基板101又はNウエル102中に電流が流れると、どちらかのバイポーラトランジスタが導通し、これにより、2つのバイポーラトランジスタは相互のコレクタ電流を強めるように作用し、正のフィードバックが働く。この結果、このESD保護素子における入力パッド110からグラウンドパッド111までの電流経路の抵抗が低下する。これをラッチアップという。これにより、入力パッド110に入力されたサージ電流がグラウンドパッド111に流れ、内部回路を保護することが可能となる。
初期のサイリスタを使用したESD保護素子においては、その保護動作の開始の誘引となるのは、入力パッド110にNウエル102−基板101間の耐電圧を超えるサージ電圧が印加された場合である。通常、このサージ電圧の値は40〜50Vと極めて高く、CMOS回路では、保護される素子の耐電圧を越えている場合が多く、ESD保護素子として機能させることが困難であった。そこで、サイリスタをより低い電圧で動作させる(トリガする)方式が数多く提案されている。例えば、特許文献1(米国特許第5,502,317号)には、低電圧トリガSCR(LVTSCR)と呼ばれている方式が記載されている。このLVTSCRにおいては、MOSトランジスタをトリガ素子として使用しており、LVTSCRのトリガ電圧をこのMOSトランジスタがスナップバックする電圧まで低くすることができる。
しかしながら、このようなLVTSCRにおいては、システムレベルのノイズによりSCRがラッチアップしてしまう危険性が指摘されている。従来、この対策として、トリガ電流を高くする方法が知られている。しかし、実際のシステムレベルのノイズは様々であって予見できない面もあり、このようなシステムレベルのノイズによるラッチアップを確実に防止するためには、SCRのトリガ電流を極めて高く設定する必要がある。しかし、SCRのトリガ電流を極めて高く設定すると、被保護素子を保護できなくなる可能性があり、重大な危険性がある。
従って、システムレベルのノイズによるラッチアップ対策として最も安全な方法は、ESD保護素子が一旦ラッチアップした後に、このESD保護素子をラッチアップさせ続けるために必要な保持電圧を電源電圧より高い値に設定するか、又はこのESD保護素子をラッチアップさせ続けるために必要な保持電流をドライバが供給可能な電流より大きい値に設定することである。このようにすれば、ノイズによりESD保護素子が一旦ラッチアップしても、このESD保護素子に、保持電圧以上の電圧又は保持電流以上の電流が印加され続けることがないため、ESD保護素子はすぐに元の状態に戻る。
図19は、横軸にESD保護素子に入力される電圧をとり、縦軸にESD保護素子に流れる電流をとって、ESD保護素子のI−V特性を示すグラフ図である。図19に示すように、ESD保護素子にラッチアップ開始電圧Vを超える電圧が印加されると、電流が流れ始め、トリガ電圧Vに達すると、ラッチアップを起こし、ESD保護素子が低抵抗状態となる。これにより、電流が大量に流れるようになる。このとき、ラッチアップを維持するために必要な最低電圧が保持電圧Vであり、最低電流が保持電流Iである。
サイリスタの保持電圧Vは、そのターンオンした状態におけるI−V直線を外挿すれば、2つのダイオードの順方向の電圧に相当する1V程度の電圧になることがわかる。そして、素子の両端部の電位差は電流経路の抵抗とその電流値との積で決まるため、保持電流を高くすることにより、保持電圧を高くすることができる。
ESD保護素子の保持電流を調整するためには、ESD保護素子の抵抗を調整すればよく、そのためには、サイリスタ内部の抵抗、即ち、基板抵抗及びウエル抵抗等を調整することが考えられる。しかしながら、高抵抗シリコン基板では、サイリスタのアノード及びカソード周辺の電位分布はかなり複雑になってしまい、電位分布を予め計算しても、実際の素子の電位分布は大きな誤差を含むことになる。また、ESD保護素子の設計を同じとしても、それを製造する工場間で差が生じる可能性もある。このため、予めESD保護素子内の電位分布を計算して、この計算結果に基づいてESD保護素子における拡散層の配置等の設計レイアウトパターンを決定しても、実際にESD保護素子を試作した後に設計レイアウトパターンを変更する必要が生じることが予想される。この場合には、拡散層形成工程以降の全てのレティクルに修正を施さねばならず、リワークのために大きなコストが発生する。
この問題を回避するために、サイリスタの内部抵抗ではなく、外部抵抗を用いてSCRの特性を調整する技術が開示されている(例えば、特許文献2(米国特許第5,012,317号)及び特許文献3(米国特許第5,747,834号)参照。)。しかしながら、外部抵抗を設けてSCRの特性を調整するためには、SCRの基板抵抗及びウエル抵抗等の内部抵抗を十分に低くしておく必要がある。しかし、高抵抗基板を使用する場合には、基板抵抗値は拡散層の大きさ及び設計上の制約により、通常のレイアウト方法では内部抵抗を十分に低くできない場合が多い。
特許文献4(米国特許出願公開第2002/0153571号明細書)及び非特許文献1(“High Holding Current SCRs (HHI-SCR) for ESD Protection and Latch-up Immune for IC Operation” 2002年, Electrical Overstress/Electrostatic Discharge Symposium Proceedings 2000, 1A.3.1)には、基板抵抗及びNウエル抵抗を低くするために、アノード及びカソードを細かく分割して電流をアノード及びカソードの両側面から取り出すようにする方法が提案されている。このようなSCRを保持電流制御型SCRという。
図20は特許文献4及び非特許文献1に記載された従来のESD保護素子を示す平面図及び断面図である。図20に示すように、この従来のESD保護素子においては、半導体基板121の表面に相互に隣接するようにNウエル122及びPウエル123が形成されている。そして、Nウエル122の表面にはN拡散領域124及びP拡散領域125が交互に1列に相互に離隔して配置されており、Pウエル123の表面にもN拡散領域124及びP拡散領域125が交互に1列に相互に離隔して配置されている。このとき、Pウエル123の表面におけるNウエル122の表面に形成されたN拡散領域124に対応する位置にはP拡散領域125が配置され、Pウエル123の表面におけるNウエル122の表面に形成されたP拡散領域125に対応する位置にはN拡散領域124が配置されている。サイリスタ周辺のP拡散領域125は、抵抗値が1〜10Ω程度のポリシリコンからなる外部抵抗(図示せず)を介して、グラウンド電極(図示せず)に接続されている。
非特許文献1には、この外部抵抗の抵抗値を調整することにより、保持電流を調整できると記載されている。サイリスタのトリガ電流は、P拡散領域125に接続されたN型MOSトランジスタから供給される。これにより、保持電圧を2.5V以上に調整できると記載されている。
また、特許文献5(米国特許第4,939,616号)には、ESD保護素子において、Nウエル内の電流経路にN拡散領域を設け、このN拡散領域を入力パッドに接続することによりこのN拡散領域の電位を固定してNウエルの抵抗値を調整する技術が開示されている。また、特許文献4には、トリガ電流を高くする技術も開示されている。
米国特許第5,502,317号 米国特許第5,012,317号 米国特許第5,747,834号 米国特許出願公開第2002/0153571号明細書 米国特許第4,939,616号 "High Holding Current SCRs (HHI-SCR) for ESD Protection and Latch-up Immune for IC Operation" Electrical Overstress/Electrostatic Discharge Symposium Proceedings 2002, 1A.3.1
しかしながら、上述の従来の技術には以下に示すような問題点がある。特許文献4及び非特許文献1並びに特許文献5に記載されているような基板抵抗及びウエル抵抗を低減する技術では、サイリスタの内部抵抗を十分に低減することができない。また、特許文献4に記載されているトリガ電流を高くする技術では、通常動作時のトリガ電流は高く設定できるが、保持電圧及び保持電流を高くすることはできない。特許文献5においては、アノードからNウエル電位制御用電極を介して電源線へ到る電流経路の抵抗を低くすることで、通常動作時のラッチアップの可能性を低くしてはいるが、実際問題として、従来技術でも述べたように,ノイズの進入経路が明白ではなく予見できない以上、この方式ではラッチアップ防止の信頼性が極めて低くなってしまう。
また、SCRの保持電流を高くするために、基板抵抗又はウエル抵抗を低減する方法では、図20に示すように、アノード−カソード間に拡散層を形成しなければならないが、そのために、アノード−カソード間隔が広くなるため、SCR動作時のダイナミック抵抗が高くなったり、また、ラッチアップ状態になるまでの遷移時間が長くなったり、SCR自体の破壊電流が低くなる場合もあったりする等の問題点がある。
更に、特許文献5に記載されているように、アノード及びカソード等の拡散層を細かく分割して、その間に電位制御用電極を多数配置する方法では、結局は抵抗を下げるために、電位制御用電極の面積を広くしなければならないということになってしまい、レイアウト面積が広くなってしまうという問題点がある。特に、この方法をSOI基板上に形成されるSCRに適用することを考えると、完全空乏化型又はそれに近い素子の場合に、基板抵抗及びウエル抵抗を低くできないという問題が特に重大になってしまい、実質上、この方法の適用は困難であるという問題がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、内部抵抗が低い集積回路、特に、SCR中のNPNバイポーラトランジスタ及びPNPバイポーラトランジスタのベース抵抗が低く、高い保護性能を維持しつつ保持電流を高く設定することができる静電気放電保護素子を提供することを目的とする。
本発明に係る集積回路は、少なくとも表面が半導体からなる基板の表面に形成された集積回路において、前記基板の表面に第1導電型不純物が注入されて形成された第1導電型領域と、前記基板の表面に第2導電型不純物が注入されて形成された第2導電型領域と、を有し、前記基板の表面における前記第1導電型不純物を注入した第1注入領域と前記第2導電型不純物を注入した第2注入領域との間の間隔は、前記第1導電型領域と第2導電型領域との間の所望のリーク電流の大きさに応じて設定されていることを特徴とする。
本発明においては、第1注入領域と第2注入領域との間の間隔を最適に設定することにより、第1導電型領域と第2導電型領域との間のリーク電流を所望の大きさに調節することができ、両領域間の抵抗値を最適な値に調節することができる。これにより、集積回路の特性を任意に調整することができる。
また、前記第1注入領域と前記第2注入領域とは相互に重なっていることが好ましい。これにより、第1導電型領域と第2導電型領域との間の抵抗値を低減することができる。
更に、前記第1注入領域と前記第2注入領域とが重なっている領域における前記第1注入領域から前記第2注入領域に向かう方向の長さが0.2μm以上であることがより好ましい。これにより、第1導電型領域と第2導電型領域との間の抵抗値を安定して低減することができる。
本発明に係る他の集積回路は、少なくとも表面が半導体からなる基板の表面に形成された集積回路において、前記基板の表面に第1導電型不純物が注入されて形成された第1導電型領域と、前記基板の表面における前記第1導電型領域から離隔した位置に第2導電型不純物が注入されて形成された第2導電型領域と、前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間に形成され前記第1導電型領域及び前記第2導電型領域に接する拡散領域と、を有し、前記拡散領域における前記第1導電型領域から前記第2導電型領域に向かう方向の長さは、前記第1導電型領域と第2導電型領域との間の所望のリーク電流の大きさに応じて設定されていることを特徴とする。
また、前記集積回路は、前記基板の表面が、第1導電型である第1の部分及び第2導電型である第2の部分を備え、前記第1導電型領域及び第2導電型領域は前記第1の部分に形成されており、前記第2の部分に形成された他の第1導電型領域及び他の第2導電型領域を有し、前記第2導電型領域及び前記他の第1導電型領域のうち一方に静電気放電を印加し他方に基準電位を印加することにより静電気保護素子として機能するものであってもよい。これにより、静電気保護素子中に形成されるバイポーラトランジスタのベース抵抗が低減し、保持電流及び保持電圧が高く、ノイズによりラッチアップすることを防止できる静電気放電保護素子を得ることができる。
このように、本発明によれば、第1注入領域と第2注入領域との間の間隔を所望のリーク電流の大きさに応じて最適に設定することにより、第1導電型領域と第2導電型領域との間の抵抗値を最適な値に調節することができる。これにより、集積回路の特性を任意に調整することができる。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る集積回路を示す平面図であり、図2は図1に示すA−A’線による断面図である。本実施形態に係る集積回路はESD保護素子である。図1及び図2に示すように、このESD保護素子においては、P型シリコン基板1の表面にNウエル2が形成されており、Nウエル2の表面には、Nウエル電位制御用電極としてのN拡散領域3が形成されている。P型シリコン基板1の表面に垂直な方向から見て(以後、平面視で、という)N拡散領域3の形状は一方向に延びる矩形である。また、このN拡散領域3から離隔した位置に、アノードとしてのP拡散領域4が2ヶ所形成されている。更に、2ヶ所のP拡散領域4の間には、トリガ用電極としてのN拡散領域5が形成されている。P拡散領域4及びN拡散領域5の配列方向は、N拡散領域3の長手方向と平行である。
また、P型シリコン基板1の表面におけるNウエル2から離隔した領域には、N拡散領域3と共にP拡散領域4及びN拡散領域5を挟むように、矩形のN拡散領域6が形成されている。平面視で、N拡散領域6の形状はN拡散領域3の長手方向に延びる矩形である。N拡散領域6はSCRのカソードとして機能する。更に、P拡散領域4及びN拡散領域5と共にN拡散領域6を挟むように、基板電位制御用電極としての矩形のP拡散領域7が形成されている。平面視で、N拡散領域3、N拡散領域6、P拡散領域7の形状はほぼ等しく、これらの領域の長手方向は相互に平行である。また、この長手方向に直交する方向に、N拡散領域3、P拡散領域4及びN拡散領域5、N拡散領域6、P拡散領域7がこの順に配列されている。
拡散領域3及びP拡散領域4並びに両領域間の領域の表面にはシリサイド8が形成されており、N拡散領域6及びP拡散領域7並びに両領域間の領域の表面にはシリサイド9が形成されている。また、P型シリコン基板1の表面におけるシリサイド8及び9が形成されていない領域には、STI領域10が形成されている。更に、N拡散領域3及びP拡散領域4はシリサイド8を介して入力パッド11に接続されており、N拡散領域6及びP拡散領域7はシリサイド9を介して接地電極12に接続されている。なお、図1においては、便宜上、シリサイド8及び9は図示を省略されている。更にまた、N拡散領域5(トリガ用電極)にはトリガ素子(図示せず)が接続されている。トリガ素子は例えば、カソードとの間に直列に接続された数段のダイオード、又はNMOSトランジスタ等により形成することができる。なお、トリガ方法はこの方法に限らず、他の方法でもよい。
拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)とP拡散領域4(アノード)とは、イオン注入マスクを用いて作り分けられている。このとき、P型不純物の注入マスクの開口部とN型不純物の注入マスクの開口部との間隔Lは、N拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)とP拡散領域4(アノード)との間のリーク電流が所望の値となるように、所定の間隔に調整されている。N拡散領域3及びP拡散領域4に不純物を注入後、種々のプロセスを経るに従って、両領域の不純物が拡散し、両領域の間でPN接合が形成される。これにより、PNPダイオードのエミッタ−ベース間のPN接合ダイオードが形成されることになり、サイリスタが形成される。即ち、P拡散領域4(アノード)−Nウエル2−P型シリコン基板1により、PNPバイポーラトランジスタが形成され、Nウエル2−P型シリコン基板1−N拡散領域6(カソード)により、NPNバイポーラトランジスタが形成される。これにより、P拡散領域4(アノード)−Nウエル2−P型シリコン基板1−1−N拡散領域6(カソード)からなるPNPNサイリスタが形成される。
図2はN拡散領域3とP拡散領域4との間隔Lが正の値であり、N拡散領域3とP拡散領域4とが離隔している場合であるが、間隔Lの値が0又は負の値、即ち、N拡散領域3とP拡散領域4とが不純物注入直後に相互に接触しているか、オーバーラップしている場合もある。図3は、図1に示すA−A’線による断面図であり、間隔Lが負の値である場合を示す。間隔Lは例えば−0.2μm以下、即ち、オーバーラップしている領域13の長さは0.2μm以上である。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係るESD保護素子の動作について説明する。図1及び図2に示すように、入力パッド11に静電気放電によるサージ電流が入力されると、このサージ電流がトリガ素子(図示せず)に印加される。そして、トリガ素子に印加される電圧が一定値を超えると、このトリガ素子に電流が流れる。これにより、N拡散領域5(トリガ用電極)を介してNウエル2に正電位が印加され、Nウエル2とP型シリコン基板1との間のPN接合がターンオンし、P拡散領域4(アノード)とN拡散領域6(カソード)との間に電流が流れる。このとき、N拡散領域6(カソード)から放出される電子電流の一部はP拡散領域7(基板電位制御用電極)に流れるが、残部はN拡散領域6(カソード)−P型シリコン基板1−Nウエル2からなるNPNバイポーラトランジスタを経由してNウエル2に流入し、N拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)に吸収される。
このとき、Nウエル2内を電流が流れることにより、Nウエル2内に電流値と抵抗値との積に相当する電位差が発生し、Nウエル2におけるP拡散領域4(アノード)−Nウエル2−P型シリコン基板1からなるPNPバイポーラトランジスタのベースとなる部分の電位が低くなる。これにより、このPNPバイポーラトランジスタがターンオンして電流を流すようになり、P型シリコン基板1に電流が流入し、P型シリコン基板1の電位が上昇する。P型シリコン基板1は、N拡散領域6(カソード)−P型シリコン基板1−Nウエル2からなるNPNバイポーラトランジスタのベースを構成しているため、このNPNバイポーラトランジスタが更に導通する。この結果、これらのバイポーラトランジスタにおいて正のフィードバックが生じ、P拡散領域4(アノード)−Nウエル2−P型シリコン基板1−1−N拡散領域6(カソード)からなるPNPNサイリスタに低抵抗な電流経路が形成され、入力パッド11に入力されたサージ電流が、接地電極12に流れるようになる。これにより、このサージ電流から内部回路を保護することができる。
本実施形態においては、N拡散領域3とP拡散領域4との間隔Lを所定の値に調節することにより、N拡散領域3とP拡散領域4との間のリーク電流の大きさを調節することができる。これにより、PNPバイポーラトランジスタの電流増幅率を調節することができるため、ESD保護素子の抵抗値を調整し、ESD保護素子の保持電流及び保持電圧並びにトリガ電流等を調節することができる。
特に、間隔Lを負の値とし、N拡散領域3とP拡散領域4とをオーバーラップさせることにより、両領域間に大きなリーク電流を流すことができる。これにより、N拡散領域3とP拡散領域4との間で電流がバイパスされ、実効的なNウエル抵抗が低減される。この結果、ESD保護素子の抵抗値が低くなり、ESD保護素子の保持電流及び保持電圧を高くすることができる。これにより、ノイズに起因するESD保護素子のラッチアップを防止し、ESD保護素子の信頼性を向上させることができる。
ESD保護素子の保持電流及び保持電圧を高くするためには、間隔Lは−0.2μm以下とすることが好ましい。即ち、不純物イオン注入直後のN拡散領域3とP拡散領域4とがオーバーラップしている領域13の長さを0.2μm以上とすることが好ましい。これは、不純物注入の目ずれ(誤差)は0.1乃至0.2μm程度であるため、オーバーラップさせる領域13の長さを0.2μm以上とすることにより、不純物注入の目ずれを吸収し、両領域を確実にオーバーラップさせることができるためである。
次に、本第1の実施形態の変形例について説明する。図4は本変形例に係るESD保護素子を示す断面図である。図4に示すように、このESD保護素子においては、入力パッド11とN拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)との間に、外部抵抗15が接続されている。外部抵抗15は例えばポリシリコンからなる抵抗素子である。これにより、この外部抵抗15の抵抗値を調節することにより、ESD保護素子の特性を調整することができる。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、接地電極12とN拡散領域6(カソード)との間に外部抵抗を設けてもよく、接地電極12とP拡散領域7(基板電位制御用電極)との間に外部抵抗を設けてもよく、双方に外部抵抗を設けてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は本実施形態に係るESD保護素子を示す平面図であり、図6は図5に示すB−B’線による断面図である。なお、図5及び図6においては、入力パッド及び接地電極等のサイリスタの外部に設けられる構成要素は、図示を省略されている。また、図5においては、シリサイド8及び9は図示を省略されている。図5及び図6に示すように、本実施形態に係るESD保護素子においては、前述の第1の実施形態に係るESD保護素子と比較して、オーバーラップ領域13の替わりに、N拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)とP拡散領域4(アノード)との間に拡散領域21が形成されている。拡散領域21はN拡散領域3及びP拡散領域4とは異なる工程で形成されたものであり、拡散領域21の導電型はN型であってもP型であってもよい。また、拡散領域21におけるN拡散領域3からP拡散領域4に向かう方向の長さは、N拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)とP拡散領域4(アノード)との間のリーク電流が所望の値となるように、所定の間隔に調整されている。この長さは0.4μm以上であることが好ましい。これにより、N拡散領域3及びP拡散領域4を形成するためのイオン注入工程の目ずれの影響を受けにくくなる。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
前述の第1の実施形態においては、高濃度拡散領域、即ち、N拡散領域3及びP拡散領域4同士を隣接又はオーバーラップさせてPN接合を形成している。このため、不純物の注入条件及びその後の熱処理条件等のプロセス条件によって濃度分布が変化してしまい、PN接合部分の濃度分布を制御しにくい場合がある。このような高濃度拡散領域同士のPNダイオードの特性を決定しているプロセス要因を分析すると、以下の要因が考えられる。
・各不純物の注入に目ずれがあり、注入位置に0.1乃至0.2μm程度のばらつきがある。
・2種類の高濃度不純物が混在することにより拡散が影響を受け、不純物分布が影響を受ける。
・2種類の高濃度不純物が混在することにより、活性化率が影響を受ける。
・各不純物が深さ方向に分布を持つために、接合特性にも深さ依存性がある可能性がある。
このうち、オーバーラップ領域の長さが目ずれの影響を受けないように、この長さを十分に大きくとっておくこと、及び、P型不純物及びN型不純物の注入ドーズ量の差を、両者が混在しても混在領域の抵抗率が影響を受けないように、十分に大きく取っておくことにより、制御性を高くすることができる。
例えば、接合領域の濃度分布を簡単にP不純物の濃度を1×1020cm−3、N不純物の濃度を1.5×1020cm−3として考えてみると、接合領域が十分にオーバーラップしている場合、例えば、L=−0.25μm、及びL=−0.5μmである場合、この接合領域はP/N/Nダイオードとなり、N領域中の濃度はほぼP不純物の濃度とN不純物の濃度との差となり、抵抗値及び活性化率も熱処理履歴が大きく変わらない限り変動することが少ない。また、オーバーラップ量を十分にとることにより、オーバーラップ領域の長さが目ずれの影響を受けることを防止できる。このように、P/N接合の特性は、接合境界近傍の不純物分布の影響は受けるものの、一旦プロセスが決定されると、分布が大きく変わることはない。
しかしながら、このような条件が満たされない場合には、PN接合部分の特性を安定して制御することは困難である。これに対して、本実施形態においては、N拡散領域3とP拡散領域4との間に、中濃度領域、即ち、不純物濃度がN拡散領域3及びP拡散領域4等の高濃度領域の不純物濃度よりも低く、両者が共存しても導電型が反転しないような濃度範囲の領域を形成する。これにより、PN接合部分の性質が決まりやすくなり、PNダイオードの性質が間隔Lに依存しにくくなる。保持電流の調整は、その注入条件を調節することで行うことができる。本実施形態における上記以外の効果は前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図7は本実施形態に係るESD保護素子を示す平面図である。図7においては、入力パッド及び接地電極等のサイリスタの外部に設けられる構成要素、並びにシリサイドは図示を省略されている。図7に示すC−C’線による断面図は、図6と同様になる。図7に示すように、本実施形態に係るESD保護素子においては、前述の第2の実施形態に係るESD保護素子と比較して、N拡散領域3とP拡散領域4との間の領域に、拡散領域21が部分的に形成されている。本実施形態においては、拡散領域21の幅Wの合計値を調整することにより、N拡散領域3とP拡散領域4との間のリーク電流を調節し、ESD保護素子の保持電流等を調節することができる。
CMOSLSIプロセスで用いることができる不純物注入は、条件が限られているので、前述の第2の実施形態において、拡散領域21の不純物濃度のみによりESD保護素子の保持電流を調節するためには、拡散領域21を形成する特別な追加工程が必要となる可能性がある。このため、製造コストの観点からは、拡散領域21を形成するための専用の不純物注入工程を設けず、通常のCMOSLSIプロセスにおける不純物注入工程を利用することが好ましい。しかしながら、この場合は、不純物の注入条件が固定されているため、拡散領域21の不純物濃度のみによっては、ESD保護素子の保持電流等の特性を調節しきれない場合がある。
このような場合には、前述の第1の実施形態の変形例のように、外部抵抗によりESD保護素子の特性を調節するか、又は、本実施形態のように、拡散領域21の幅を調節することにより、ESD保護素子の特性を調節する。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第2の実施形態と同様である。
次に、本第3の実施形態の変形例について説明する。図8は本変形例に係るESD保護素子を示す平面図である。図8に示すD−D’線による断面図は、図6と同様になる。図8に示すように、本変形例に係るESD保護素子においては、N拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)が複数の領域に分割されており、2ヶ所のP拡散領域4(アノード)が相互に接続されて1つの拡散領域となっている。そして、各N拡散領域3とP拡散領域4との間に、夫々拡散領域21が形成されている。また、複数のN拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)のうちいくつかのN拡散領域3のみが電位制御用電極又は配線により入力パッド11(図2参照)に接続されており、残りのN拡散領域3は入力パッド11に接続されていない。本変形例における上記以外の構成及び動作は前述の第2の実施形態と同様である。
本変形例においては、複数のN拡散領域3のうちいくつかを選択的に入力パッドに接続することにより、保持電流等のESD保護素子の特性を調節することができる。本変形例における上記以外の効果は、前述の第2の実施形態と同様である。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図9は本実施形態に係るESD保護素子を示す平面図であり、図10は図9に示すE−E’線による断面図である。また、図11は保持電流制御回路を示す回路図である。なお、図9においては、シリサイド及びサイドウオールは図示を省略されている。図9及び図10に示すように、本実施形態に係るESD保護素子においては、前述の第1の実施形態に係るESD保護素子と比較して、N拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)とP拡散領域4(アノード)との間の領域上にゲート酸化膜22が設けられており、このゲート酸化膜22上にゲート電極23が設けられている。ゲート電極23の表面にはシリサイド24が形成されている。即ち、N拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)とP拡散領域4(アノード)とはゲート電極23により分離されており、両領域のイオン注入の境界がゲート電極23上にくるようになっている。
また、ゲート酸化膜22及びゲート電極23の側方にはサイドウオール25が設けられている。そして、Nウエル2の表面におけるN拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)側のサイドウオール25の直下域には、N型トランジスタのエクステンション領域26又はLDD(Lightly Doped Drain:低不純物濃度ドレイン)領域が形成されている。また、Nウエル2の表面におけるP拡散領域4(アノード)側のサイドウオール25の直下域には、P型トランジスタのエクステンション領域27又はLDD領域が形成されている。そして、ゲート電極23、N拡散領域6(カソード)及びP拡散領域7(基板電位制御用電極)並びに入力パッド11には、保持電流制御回路28が接続されている。
図11に示すように、保持電流制御回路28においては、入力パッド11(図9参照)に接続された配線31と接地電極12との間に、3個のダイオード32及び抵抗33がこの順に直列に接続されている。3個のダイオード32はいずれも配線31から接地電極12に向かう方向が順方向となっており、1個のダイオード32の抵抗値は例えば1kΩ以下であり、3個のダイオード32に電流が流れるしきい値は、ESD保護素子が形成される半導体装置の通常の動作時に印加される電圧よりも高い値に設定されている。また、抵抗33の抵抗値は例えば100kΩ以下である。また、配線31と接地電極12との間には、ダイオード32及び抵抗33からなる回路と並列に、CMOSインバータ34及び35が接続されている。そして、最後段のダイオード32と抵抗33との接続点N1がCMOSインバータ34の入力に接続されており、CMOSインバータ34の出力がCMOSインバータ35の入力に接続されており、CMOSインバータ35の出力がゲート電極23(図9参照)に接続されている。本実施形態に係る上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係るESD保護素子の動作について説明する。このESD保護素子が形成された半導体装置の通常動作時に印加される電圧よりも高いサージ電圧が入力パッド11に印加されると、このサージ電圧が保持電流制御回路28の配線31に伝達され、ダイオード32に印加される。このとき、印加された電圧が3個のダイオード32により設定されたしきい値よりも高いため、ダイオード32及び抵抗33に電流が流れる。これにより、接続点N1の電位が上昇し、この電位上昇がCMOSインバータ34及び35を介してゲート電極23に伝達され、ゲート電極32の電位が入力パット11の電位とほぼ等しくなる。この結果、N拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)とP拡散領域4(アノード)とが分離され、サイリスタがトリガしやすくなり、トリガ電流及び保持電流を低く設定することができる。一方、入力パッド11に印加される電圧が半導体装置の通常動作時に印加される電圧以下であると、ダイオード32が導通しないため、ゲート電極33には接地電位に近い電位が印加される。このため、Nウエル2の表面におけるゲート電極23の直下域がP型に反転し、この領域と、N型トランジスタのエクステンション領域26(又はLDD領域)との間のPN接合36におけるリーク電流が大きくなり(リーキーになり)、ESD保護素子の保持電流が高く設定される。この結果、ラッチアップしにくくなる。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
上述の第1乃至第3の実施形態においては、SCRがトリガしたときにも高いトリガ電流が必要であり、SCRが完全にラッチするまでに、電圧のオーバーシュート量が大きくなる場合がある。そして、これを避けるためには、トリガ素子のサイズを大きくしなければならないという問題点がある。
これに対して、本実施形態においては、保持電流制御回路28を設けることにより、通常動作時の入力電圧範囲を超えた電圧値又は電源電圧が印加されているかどうかを基準にして、保持電流を制御することができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本第4の実施形態の第1の変形例について説明する。図12は本変形例に係るESD保護素子を示す断面図である。図12に示すように、本変形例においては、Nウエル2の表面におけるN拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)側のサイドウオール25の直下域に、P型トランジスタのエクステンション領域27又はLDD領域が形成されている。本変形例における上記以外の構成は、前述の第4の実施形態と同様である。
本変形例においては、このP型トランジスタのエクステンション領域27又はLDD領域とN拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)との間で、PN接合37が形成される。また、上述の第4の実施形態と同様に、入力パッドにサージ電流が入力されたときには、アノードがPN接合部分と電気的に分離されるため、トリガ電流を低くできる。本変形例における上記以外の動作及び効果は、前述の第4の実施形態と同様である。
次に、本第4の実施形態の第2の変形例について説明する。図13は本変形例に係るESD保護素子を示す断面図である。図13に示すように、本変形例においては、N拡散領域3(Nウエル電位制御用電極)とP拡散領域4(アノード)との間にP拡散領域41を形成し、P拡散領域4とP拡散領域41との間の領域上にゲート酸化膜22及びゲート電極23を設けている。ゲート電極23の幅は、例えば設計ルール上許容される最小値とし、例えは0.1μmとする。本変形例における上記以外の構成は、上述の第4の実施形態と同様である。本変形例においても、上述の第4の実施形態と同様に、入力パッドにサージ電流が入力されたときには、アノードがPN接合部分と電気的に分離されるため、トリガ電流を低くできる。
なお、上述の第4の実施形態並びにその第1及び第2の変形例においては、保持電流制御回路として、図11に示した回路以外の回路を使用することもできる。図14は他の保持電流制御回路を示す回路図である。図14に示すように、この保持電流制御回路においては、電源(図示せず)に接続された配線45と接地電極12との間にCMOSインバータ42が接続されており、CMOSインバータ42の入力は配線41に接続され、出力はゲート電極23(図9参照)に接続されている。
また、図15は更に他の保持電流制御回路を示す回路図である。図15に示すように、この保持電流制御回路においては、電源(図示せず)に接続された配線45と接地電極12との間にCMOSインバータ42が接続されている。また、配線45と接地電極12との間には抵抗43及び容量44がこの順に直列に接続されている。即ち、抵抗43及び容量44からなる回路は、CMOSインバータ42と並列に接続されている。そして、抵抗43と容量44との接続点N2がCMOSインバータ42の入力に接続され、CMOSインバータ42の出力はゲート電極23(図9参照)に接続されている。
この保持電流制御回路においては、配線45に電源電圧が加わっていると、ゲート電位はグラウンドとなり、配線45に印加される電流の周波数がサージ電流の周波数帯域(100MHz以下)にある場合は、電位によらず、ゲート電極は電源電位と同電位になるように、抵抗43及び容量44を設定する。サイリスタが低抵抗で接続されていれば、ゲート電位が入力電圧とほぼ同じ電位になるが、そうでなくとも、電源が入力に接続されている経路の抵抗値が高いか、接続されていなければ、高抵抗状態となって、入力電位に近くなくても、サイリスタはオフしてしまう。従って、通常の動作状態とESDとを区別できる。
なお、上述の本第4の実施形態及びその変形例においては、アノードとNウエル電位制御用電極との間のPN接合を制御する技術であるが、この技術はカソードと基板電位制御用電極との間の接合にも適用できる。但し、この場合の制御回路等は、この目的に適合するように設計したものが必要である。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図16は本実施形態に係る集積回路を示す平面図である。上述の第1乃至第4の実施形態においては、集積回路がESD保護素子である例を示したが、本発明の集積回路はESD保護素子には限定されない。本実施形態においては、本発明の技術を通常のバルク基板の表面に形成した半導体装置の内部回路を構成するトランジスタに適用した場合について説明する。
図16に示すように、本実施形態においては、P型シリコン基板51の表面の一部にNウエル52が形成されており、Nウエル52の表面にはPMOSトランジスタ53が形成されており、P型シリコン基板51の表面におけるNウエル52の外部にはNMOSトランジスタ54が形成されている。PMOSトランジスタ53及びNMOSトランジスタ54には共通のゲート電極55が形成されている。また、PMOSトランジスタ53においては、平面視でゲート電極55を挟む位置に、ドレイン領域56及びソース領域57が形成されており、ドレイン領域56と共にソース領域57を挟むように、電位固定用のN拡散領域58が形成されている。更に、NMOSトランジスタ54においては、平面視でゲート電極55を挟む位置に、ドレイン領域59及びソース領域60が形成されており、ドレイン領域59と共にソース領域60を挟むように、電位固定用のP拡散領域61が形成されている。また、ドレイン領域56及び59上には共通のドレイン電極62が設けられており、ドレイン電極62はドレイン領域56及び59に接続されている。更に、ソース領域57及び60上には夫々ソース電極63及び64が設けられており、ソース電極63及び64は夫々ソース領域57及び60に接続されている。
そして、PMOSトランジスタ53におけるソース領域57と電位固定用のN拡散領域58とは、不純物注入時に例えば0.2μm以上の長さでオーバーラップしている。又は、ソース領域57とN拡散領域58との間の領域に、特別な工程により不純物拡散領域(図示せず)が形成されている。又は、ソース領域57及びN拡散領域58に不純物を注入する際に、後のプロセスにより不純物が拡散して不純物の濃度分布がオーバーラップするように、注入条件が最適化されている。同様に、NMOSトランジスタ54におけるソース領域60と電位固定用のP拡散領域61とは、不純物注入時に例えば0.2μm以上の長さでオーバーラップしている。又は、両領域間に不純物拡散領域が形成されているか、両領域への不純物の注入条件を、後工程において濃度分布がオーバーラップするように勘案して最適化されている。これにより、PN接合部分のリーク電流の大きさを制御し、PMOSトランジスタ53及びNMOSトランジスタ54の特性を調節することができる。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図17は本実施形態に係る集積回路を示す平面図である。本実施形態においては、本発明の技術を通常のSOI基板の表面に形成した半導体装置の内部回路を構成するトランジスタに適用した場合について説明する。図17に示すように、本実施形態においては、SOI基板のシリコン層71上にゲート電極72が設けられており、シリコン層71における平面視でゲート電極72を挟む位置には、ソースであるN拡散領域73及びドレインであるN拡散領域74が形成されている。また、シリコン層71におけるN拡散領域73(ソース)に隣接する領域には、電位固定用のP拡散領域75が形成されている。
そして、N拡散領域73(ソース)と電位固定用のP拡散領域75とは、不純物注入時に例えば0.2μm以上の長さでオーバーラップしている。又は、N拡散領域73(ソース)とP拡散領域75との間の領域に、特別な工程により不純物拡散領域(図示せず)が形成されている。又は、N拡散領域73(ソース)とP拡散領域75に不純物を注入する際に、後のプロセスにより不純物が拡散して不純物の濃度分布がオーバーラップするように、注入条件が最適化されている。これにより、PN接合部分のリーク電流の大きさを制御し、トランジスタの特性を調節することができる。
なお、本第6の実施形態に限らず、本発明の技術はSOI基板に形成されたSCRに対して特に有効である。
本発明の第1の実施形態に係る集積回路を示す平面図である。 図1に示すA−A’線による断面図である。 図1に示すA−A’線による断面図であり、間隔Lが負の値である場合を示す。 本発明の第1の実施形態の変形例に係るESD保護素子を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るESD保護素子を示す平面図である。 図5に示すB−B’線による断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るESD保護素子を示す平面図である。 本発明の第3の実施形態の変形例に係るESD保護素子を示す平面図である。 本発明の第4の実施形態に係るESD保護素子を示す平面図である。 図9に示すE−E’線による断面図である。 保持電流制御回路を示す回路図である。 本発明の第4の実施形態の第1の変形例に係るESD保護素子を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態の第2の変形例に係るESD保護素子を示す断面図である。 他の保持電流制御回路を示す回路図である。 更に他の保持電流制御回路を示す回路図である。 本発明の第5の実施形態に係る集積回路を示す平面図である。 本発明の第6の実施形態に係る集積回路を示す平面図である。 従来のシリコン基板上に形成されサイリスタを使用するESD保護素子を示す断面図である。 横軸にESD保護素子に入力される電圧をとり、縦軸にESD保護素子に流れる電流をとって、ESD保護素子のI−V特性を示すグラフ図である。 非特許文献1に記載された従来のESD保護素子を示す平面図及び断面図である。
符号の説明
1;P型シリコン基板
2;Nウエル
3;N拡散領域(Nウエル電位制御用電極)
4;P拡散領域(アノード)
5;N拡散領域(トリガ用電極)
6;N拡散領域(カソード)
7;P拡散領域(基板電位制御用電極)
8、9;シリサイド
10;STI領域
11;入力パッド
12;接地電極
13;オーバーラップしている領域
15;外部抵抗
21;拡散領域
22;ゲート酸化膜
23;ゲート電極
24;シリサイド
25;サイドウオール
26;N型トランジスタのエクステンション領域
27;P型トランジスタのエクステンション領域
28;保持電流制御回路
31;配線
32;ダイオード
33;抵抗
34、35;CMOSインバータ
36、37;PN接合
41;P拡散領域
42;CMOSインバータ
43;抵抗
44;容量
45;配線
51;P型シリコン基板
52;Nウエル
53;PMOSトランジスタ
54;NMOSトランジスタ
55;ゲート電極
56、59;ドレイン領域
57、60;ソース領域
58;N拡散領域
61;P拡散領域
62;ドレイン電極
63、64;ソース電極
71;シリコン層
72;ゲート電極
73;N拡散領域(ソース)
74;N拡散領域(ドレイン)
75;P拡散領域
101;P型シリコン基板
102;Nウエル
103;Pウエル
104;STI領域
105;N拡散領域(Nウエル電位制御用電極)
106;P拡散領域(アノード)
107;N拡散領域(カソード)
108;P拡散領域(基板電位制御用電極)
109;シリサイド
110;入力パッド
111;グラウンドパッド
121;半導体基板
122;Nウエル
123;Pウエル
124;N拡散領域
125;P拡散領域
N1、N2;接続点

Claims (9)

  1. 少なくとも表面が半導体からなる基板の表面に形成された集積回路において、前記基板の表面に第1導電型不純物が注入されて形成された第1導電型領域と、前記基板の表面に第2導電型不純物が注入されて形成された第2導電型領域と、を有し、前記基板の表面における前記第1導電型不純物を注入する第1注入領域と前記第2導電型不純物を注入する第2注入領域との間の間隔は、前記第1導電型領域と第2導電型領域との間の所望のリーク電流の大きさに応じて設定されていることを特徴とする集積回路。
  2. 前記第1注入領域と前記第2注入領域とは相互に重なっていることを特徴とする請求項1に記載の集積回路。
  3. 前記第1注入領域と前記第2注入領域とが重なっている領域における前記第1注入領域から前記第2注入領域に向かう方向の長さが0.2μm以上であることを特徴とする請求項2に記載の集積回路。
  4. 少なくとも表面が半導体からなる基板の表面に形成された集積回路において、前記基板の表面に第1導電型不純物が注入されて形成された第1導電型領域と、前記基板の表面における前記第1導電型領域から離隔した位置に第2導電型不純物が注入されて形成された第2導電型領域と、前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間に形成され前記第1導電型領域及び前記第2導電型領域に接する拡散領域と、を有し、前記拡散領域における前記第1導電型領域から前記第2導電型領域に向かう方向の長さは、前記第1導電型領域と第2導電型領域との間の所望のリーク電流の大きさに応じて設定されていることを特徴とする集積回路。
  5. 前記拡散領域の長さが0.4μm以上であることを特徴とする請求項4に記載の集積回路。
  6. 前記拡散領域における前記第1導電型領域から前記第2導電型領域に向かう方向に直交する方向の長さが、前記第1導電型領域と第2導電型領域との間の所望のリーク電流の大きさに応じて設定されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の集積回路。
  7. 前記基板の表面が、第1導電型である第1の部分及び第2導電型である第2の部分を備え、前記第1導電型領域及び第2導電型領域は前記第1の部分に形成されており、前記第2の部分に形成された他の第1導電型領域及び他の第2導電型領域を有し、前記第2導電型領域及び前記他の第1導電型領域のうち一方に静電気放電を印加し他方に基準電位を印加することにより静電気保護素子として機能することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の集積回路。
  8. 前記第1導電型領域が複数形成されており、この複数の第1導電型領域のうち少なくとも1つに静電気放電が印加されるようになっていることを特徴とする請求項7に記載の集積回路。
  9. 前記第1導電型領域と第2導電型領域との間の領域上又は前記第1導電型領域と第2導電型領域との界面上に形成された電極と、この電極に接続され入力される静電気放電の大きさに基づいて前記電極の電位を制御する制御回路と、を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の集積回路。
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