JP2005075736A - 芳香族ジヒドロキシ化合物の製造方法及びポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ジヒドロキシ化合物の製造方法及びポリカーボネートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学用ポリマー用ポリカーボネートの原料として用いることができる芳香族ジヒドロキシ化合物の製造方法、品質評価方法、それをを用いた高品質ポリマーの製造方法を提供する。
【解決手段】芳香族ジヒドロキシ化合物の製造方法において、以下の(a)、(b)及び(c)よりなる群から選ばれる操作を行い、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率から試料中の塩基性成分又は酸性成分の含有量を求め、これが中和される量の酸性化合物又は塩基性化合物を製造工程のいずれかに添加することを特徴とする製造方法。(a)試料を炭酸ジエステルと混合し加熱した後、芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。(b)試料を炭酸ジエステル及び酸性化合物と混合し加熱した後、芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。(c)試料を炭酸ジエステル及び塩基性化合物と混合し加熱した後、芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高品質ポリカーボネートの製造に用いる芳香族ジヒドロキシ化合物の製造方法、それを用いた高品質ポリカーボネートの製造方法、及び芳香族ジヒドロキシ化合物の品質評価方法に関するものである。更に詳しくは、高品質ポリカーボネートの製造に用いるビスフェノールAの製造方法、それを用いた高品質ポリカーボネートの製造方法、及びビスフェノールAの品質評価方法に関するものである。
ビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化合物は、ポリカーボネート、ポリアリレート又はエポキシ樹脂等のポリマー原料として広く用いられている。
芳香族ジヒドロキシ化合物は、通常、酸性触媒存在下でフェノール化合物とカルボニル化合物とを縮合させることにより製造されている。しかし、得られる芳香族ジヒドロキシ化合物中に酸性触媒等の酸性成分が含まれていると、芳香族ジヒドロキシ化合物の利用上障害となることが多い。例えば、酸性成分を含む芳香族ジヒドロキシ化合物を用いてポリマーを製造すると、芳香族ジヒドロキシ化合物が分解してフェノール化合物等の種々の副生物を生成し、ポリマーが着色してしまうことがある。また、界面法でポリカーボネートを製造する場合は、生成したフェノール化合物が末端停止剤として作用するため、ポリカーボネートの分子量を制御することが困難となる。高品質のポリカーボネートを製造する方法としては、弱塩基性温水溶液で洗浄して加水分解可能な塩素含有量を3ppm以下とした芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを用いる方法(特許文献1参照)、芳香族ジヒドロキシ化合物とフェノール化合物との付加物結晶にアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を添加した後、フェノール化合物を除去して得られる芳香族ジヒドロキシ化合物を用いる方法(特許文献2参照)、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を添加して塩基性度を一定値に調整した芳香族ジヒドロキシ化合物を用いる方法(特許文献3参照)などが知られている。
また、高品質ポリカーボネートの製造に用い得る芳香族ジヒドロキシ化合物、特にビスフェノールAを製造する方法としては、ビスフェノールAとフェノールとの付加物結晶の溶融液を塩形成性陽イオン供与性固体物質と接触させた後、加熱してビスフェノールA中のフェノールを蒸発分離させる方法(特許文献4参照)、ビスフェノールA製造工程の少なくとも1箇所にグラスファイバー製フィルターを設置する方法(特許文献5参照)などが知られている。
芳香族ジヒドロキシ化合物からポリカーボネートを製造する方法の一つとして、ホスゲンの代わりに炭酸ジエステルを用いる溶融法(エステル交換法)がある。この方法では、塩基性物質を触媒として用いるので、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に塩基性成分や酸性成分が含まれていると、触媒の作用が助長又は抑制され、反応速度が変化する。したがって、溶融法によりポリカーボネートを製造する際は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基性成分や酸性成分の含有量を知ることが重要である。
特許文献3には、ビスフェノール類と炭酸ジエステルとのエステル交換反応度を測定し、予め純粋なビスフェノール類を用いた検量線に基づいてその塩基性度を求める方法が開示されている。しかしながら、近年、溶融法でポリカーボネートを製造する場合、原料に含まれる塩基性成分が極めて微量でも、製造時大きな影響を及ぼすことが明らかとなってきた。そのため、ビスフェノール類の酸性度及び塩基性度の更に正確な測定方法や、ビスフェノール類の含有量の厳密な制御方法が求められている。
特公平6−18868号公報 特開平8−183844号公報 特開平11−152240号公報 特開2000−290209号公報 特開2000−327614号公報
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応において、塩基性成分は触媒作用物質として、酸性成分は触媒被毒物質として作用するため、ポリカーボネート製造に用いる芳香族ジヒドロキシ化合物中の塩基性成分や酸性成分の含有量が変動すると重縮合反応を制御することが困難となり、高品質のポリカーボネートを得ることができない。しかしながら、芳香族ジヒドロキシ化合物の製造に際しては、プロセス内の吸着剤やフィルターから塩基性成分が溶出することがある。また、触媒として陽イオン交換樹脂を用いると、これから酸性成分が溶出することがある。しかも、これらの溶出量は経時的に変化するため、得られる芳香族ジヒドロキシ化合物中の塩基性成分及び酸性成分の含有量を厳密に制御することは困難である。
したがって、本発明は、高品質ポリカーボネート等の原料として用いることができる芳香族ジヒドロキシ化合物の製造方法、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物を用いた高品質ポリカーボネートの製造方法、及び芳香族ジヒドロキシ化合物の品質評価方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、フェノール化合物とカルボニル化合物とを縮合させて芳香族ジヒドロキシ化合物を製造するに際し、得られる芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基性成分及び酸性成分の含有量を測定し、これに基づいて反応系に酸性成分又は塩基性成分を供給することにより、高品質が求められるポリカーボネート等の原料として用いることができる芳香族ジヒドロキシ化合物が得られることを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の要旨は、(1):フェノール化合物とカルボニル化合物とを酸性触媒の存在下で縮合させて芳香族ジヒドロキシ化合物を生成させる工程
(2):工程(1)の反応生成液からフェノール化合物よりも低沸点の成分と酸性触媒とを除去する工程
(3):工程(2)の残留液を冷却し、芳香族ジヒドロキシ化合物とフェノール化合物との付加物結晶を析出させ、これを取得する工程
(4):工程(3)の付加物結晶を加熱溶融させる工程
(5):工程(4)の溶融液からフェノール化合物を除去して溶融芳香族ジヒドロキシ化合物とする工程
(6):工程(5)の溶融芳香族ジヒドロキシ化合物を冷却し、固体の芳香族ジヒドロキシ化合物とする工程
の各工程を含む連続方式の芳香族ジヒドロキシ化合物の製造方法において、工程(5)又は(6)の芳香族ジヒドロキシ化合物を試料とし、以下の(a)、(b)及び(c)よりなる群から選ばれる操作を行い、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率から試料中の塩基性成分又は酸性成分の含有量を求め、これが中和される量の酸性化合物又は塩基性化合物を工程(1)〜(6)のいずれか、又は工程(1)への供給物に添加することを特徴とする製造方法、に存する。
(a)試料をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステルと混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
(b)試料をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステル及び酸性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
(c)試料をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステル及び塩基性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
本発明の第2の要旨は、上記方法により製造された芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒存在下に重縮合させることを特徴とするポリカーボネートの製造方法、に存する。
本発明の第3の要旨は、下記(a)、(b)及び(c)よりなる群から選ばれる操作で得られた芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率から、操作に供した芳香族ジヒドロキシ化合物中の塩基性成分又は酸性成分の含有量を求めることを特徴とする芳香族ジヒドロキシ化合物の品質評価方法、に存する。
(a)芳香族ジヒドロキシ化合物をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステルと混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
(b)芳香族ジヒドロキシ化合物をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステル及び酸性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
(c)芳香族ジヒドロキシ化合物をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステル及び塩基性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
ポリマーの原料となる芳香族ジヒドロキシ化合物中の酸性成分及び塩基性成分の含有量を厳密に制御することにより、分子量、色調等が安定した高品質のポリマーを与える芳香族ジヒドロキシ化合物を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物を連続的に製造するにあたり、製造された芳香族ジヒドロキシ化合物の品質を評価し、その結果に基づいて、芳香族ジヒドロキシ化合物中の塩基性成分又は酸性成分の含有量を制御しながら、芳香族ジヒドロキシ化合物を製造することを一つの特徴とするものである。なお、本明細書において、「芳香族ジヒドロキシ化合物」は、前後の文脈により明らかであるが、芳香族ジヒドロキシ化合物そのものを意味する場合があり、また、不純物等を含有した芳香族ジヒドロキシ化合物の混合物を意味する場合もある。
本発明で製造される芳香族ジヒドロキシ化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2005075736
(式中、Wは炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基を表す。Y及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表す。p及びqは、それぞれ独立して、0〜2の整数を表す。)
炭素数2〜8のアルキリデン基としては、メチリデン基、エチリデン基及びイソプロピリデン基等が挙げられ、中でもイソプロピリデン基が好ましい。
炭素数5〜15のシクロアルキリデン基としては、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基及びシクロヘプチリデン基等が挙げられ、中でもシクロヘキシリデン基が好ましい。
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、臭素原子が好ましい。
炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基及びt−ブチル基等のアルキル基が挙げられ、中でもメチル基が好ましい。
一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。このうち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAが好ましい。
以下に、本発明に係る製造方法を説明する。
工程(1):フェノール化合物とカルボニル化合物とを酸性触媒の存在下で縮合させて芳香族ジヒドロキシ化合物を生成させる。フェノール化合物とカルボニル化合物とは、フェノール化合物/カルボニル化合物のモル比が3〜30、特に5〜20で用いるのが好ましい。反応は、常圧〜0.5MPa・G(ゲージ圧)の下で、30〜100℃、特に50〜90℃で行うのが好ましい。酸性触媒としては、塩酸等の均一系触媒又は陽イオン交換樹脂等の固体触媒が好ましい。陽イオン交換樹脂としては、ゲル型で架橋度が1〜8%、特に2〜6%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いるのが好ましい。陽イオン交換樹脂を触媒とする場合は、懸濁床方式で反応させることもできるが、固定床流通方式で反応させるのが好ましい。工程(1)で生成する反応混合物中には、芳香族ジヒドロキシ化合物の他に、通常、フェノール化合物、カルボニル化合物、水及び着色物質等の副生物が含まれており、更に反応方式によっては酸性触媒が含まれていることもある。
工程(2):工程(1)の反応生成液から水及びカルボニル化合物等のフェノール化合物より低沸点の成分と、場合により存在する触媒とを除去する。触媒が塩酸の場合には、減圧蒸留等により低沸点成分と共に除去することができる。また、触媒として陽イオン交換樹脂を懸濁床方式で用いた場合には、ろ過等により除去すればよい。減圧蒸留は、通常、圧力50〜300mmHg、40〜150℃で行う。なお、このとき一部のフェノール化合物が共沸して、系外へ排出されることもある。
工程(3):工程(2)の蒸留残留液を冷却し、芳香族ジヒドロキシ化合物とフェノール化合物との付加物結晶を析出させ、これを取得する。フェノール化合物を留去又は追加して、蒸留残留液中の芳香族ジヒドロキシ化合物濃度を15〜40重量%、特に20〜30重量%に調整したものを冷却するのが好ましい。外部に設けた熱交換器で冷却したり、晶析機に水を加えて蒸発させることにより、45〜65℃に冷却するのが好ましい。付加物結晶が析出してスラリー状になった蒸留残留液をろ過、遠心分離等により付加物結晶と母液とに分離し、付加物結晶を取得する。この付加物結晶の組成は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物40〜70重量%、フェノール化合物60〜30重量%である。なお、母液は芳香族ジヒドロキシ化合物とフェノール化合物とを含んでいるので、工程(1)又は(2)の前段に送り、再使用するのが好ましい。
工程(4):工程(3)の付加物結晶を溶融する。通常は100〜190℃に加熱すればよい。
工程(5):工程(4)の溶融液からフェノール化合物を除去して溶融芳香族ジヒドロキシ化合物とする。フェノール化合物は、溶融液を減圧蒸留することにより除去することができる。減圧蒸留は、圧力10〜400mmHg、150〜190℃で行うのが好ましい。このとき、芳香族ジヒドロキシ化合物とフェノール化合物との付加物結晶の融解温度より1℃以上高い温度で減圧蒸留を行うのが好ましい。また、減圧蒸留の後にスチームストリッピングを行って、残存するフェノール化合物を除去してもよい(特開平2−28126号公報、特開昭63−132850号公報等参照)。
工程(6):工程(5)の溶融芳香族ジヒドロキシ化合物を冷却し、固化させて粒状又は粉状等の固体の芳香族ジヒドロキシ化合物とする。溶融芳香族ジヒドロキシ化合物をスプレードライヤー等の造粒装置を用いて噴霧したり、ノズルから滴下させて液滴とした後、空気又は窒素を用いて冷却し、固化させることにより、粒状又は粉状の芳香族ジヒドロキシ化合物を得ることができる。なお、特開2000−327614号公報に記載されているように、工程(1)と工程(2)との間、工程(2)と工程(3)との間及び工程(4)と工程(5)との間の少なくとも1箇所に、グラスファイバー製フィルターを設置してもよい。
本発明においては、工程(5)又は(6)の芳香族ジヒドロキシ化合物の品質を評価し、得られた結果に基づいて工程(1)〜(6)のいずれか、又は工程(1)〜(6)のいずれかの工程の前に、酸性化合物又は塩基性化合物を添加して芳香族ジヒドロキシ化合物を製造することを特徴とするものである。
芳香族ジヒドロキシ化合物の品質は、工程(5)又は(6)の芳香族ジヒドロキシ化合物を試料とし、以下の操作(a)〜(c)を行うことにより、評価することができる。
(a)試料を炭酸ジエステルと混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
(b)試料を炭酸ジエステル及び酸性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
(c)試料を炭酸ジエステル及び塩基性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
試料に含まれる塩基性成分が多い場合には(b)の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率が少なくなり、酸性成分が多い場合には(c)の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率が多くなる。
(a)〜(c)の各操作は、必要な操作を適宜選択して行えばよい。通常は酸性触媒に由来する酸性成分の含有量を知るために操作(a)及び(c)を行えばよく、塩基性成分が溶出する可能性のあるフィルターの交換直後は塩基性成分の含有量を知るために操作(a)及び(b)を行えばよい。また、経験的に試料中の酸成分又は塩基性成分の含有量が予測できるときには、操作(a)を省略してもよい。
次いで、(a)〜(c)で得られた芳香族ジヒドロキシ化合物残存率から評価に用いた芳香族ジヒドロキシ化合物中の塩基性成分又は酸性成分の含有量を求める。
得られた芳香族ジヒドロキシ化合物中の塩基性成分又は酸性成分の含有量に基づき、この塩基性成分又は酸性成分が中和される量の酸性化合物又は塩基性化合物を工程(1)〜(6)のいずれか、又は工程(1)への供給物に添加することにより、高品質ポリカーボネート等の製造に用い得る芳香族ジヒドロキシ化合物を製造することができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物に含まれる塩基性成分又は酸性成分は、極めて微量でも大きな影響を及ぼすので、操作(a)〜(c)は、厳密に行わなければならない。このため、本発明では、操作(a)〜(c)を、この加熱条件において、容器からLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが実質的に溶出しない容器を用いて行う。
通常は、評価する芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルの混合物と同体積の1.0×10−3規定硝酸(Li、Na、K、Cs、Mg及びCaの合計含有量が1ppb以下のもの)を測定する容器に仕込み、80℃で1時間加熱したときに、硝酸溶液中に溶出したこれらの金属イオン量が50ppb以下である容器を用いる。溶出量が10ppb以下、特に5ppb以下である容器を用いるのが好ましい。なお、硝酸溶液中のイオン量は高分解能ICP−MS(Induced Coupled Plasma−Mass Spectrometer)、又はフレームレス原子吸光・原子発光を用いて測定する方法が挙げられる。
上記の条件を満たす容器としては、例えば、Pt、Au、Pd、Ag、Ni又はNi/Cr合金等の金属:石英ガラス:炭化珪素等のセラミックス:ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエーテルケトン又はポリエーテルエーテルケトン等の樹脂などを素材とするものが挙げられる。これらの素材の中で、金属、セラミック、ポリエステル、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエーテルケトン又はポリエーテルエーテルケトンは、耐熱性が高いので好ましい。また、Pt、Pt系合金、石英ガラス、炭化珪素又はフッ素樹脂は、溶出量が少ないので好ましい。フッ素樹脂は、更に取扱いや入手が容易であるので、最も好ましい。なお、一般的な理化学実験で使用されているソーダガラス等は、ナトリウム等の溶出量が多いため使用できない。
試料は、工程(5)又は(6)の操作終了後に取得し、その取得量は任意である。なお、取得に用いる器具も、実質的に金属イオンが溶出しないものが好ましい。
品質評価に用いる炭酸ジエステルとしては、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
A−O−C(=O)−O−A’ (2)
(式中、A及びA’は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族基又は置換基を有していてもよい芳香族基を表す。)
脂肪族基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、このうちメチル基が好ましい。脂肪族基が有していてもよい置換基としては、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
芳香族基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、このうちフェニル基が好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられ、これらのうちアルキル基が好ましい。
一般式(2)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の炭酸ジアリール化合物などが挙げられる。これらのうち、ジフェニルカーボネート又はジトリルカーボネート、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
品質評価に用いる炭酸ジエステルがハロゲンイオンを含んでいると、その触媒被毒作用のため評価が不正確になるので、ハロゲンイオンの含有量が10ppb以下の炭酸ジエステルを用いる。なお、ハロゲンイオンの含有量は、炭酸ジエステルを実質的にハロゲンイオンを含まない溶媒に溶解した後、実質的にハロゲンイオンを含まない超純水で抽出し、これをイオンクロマトグラフィー等の方法により定量することにより測定することができる。ここで用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。
炭酸ジエステルは、1.00molの芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01〜100mol用いる。0.10〜10.0mol、更に0.50〜1.50mol、特に0.80〜1.20mol用いるのが好ましい。
以下に、操作(a)による芳香族ジヒドロキシ化合物残存率の測定方法の一例を示す。
Li、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが実質的に溶出しない容器内に、芳香族ジヒドロキシ化合物及びこれに対してほぼ等モルのジフェニルカーボネートを仕込む。
次いで、この混合物を加熱する。加熱方法は任意であるが、例えば電熱ヒーターで加熱する方法、オイルバス等の熱媒を使って加熱する方法などが挙げられる。容器内の温度を均一に保つため、熱媒を用いて加熱するのが好ましい。加熱温度は、通常120〜350℃であり、150〜200℃が好ましい。加熱時間は、通常0.5〜2時間である。
加熱に際しては、攪拌装置からの金属イオンの溶出を避けるため、容器ごと外部から震盪させる方法等、装置が内容物に触れない方法を用いるのが好ましい。
芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率の測定としては、芳香族ジヒドロキシ化合物の転化率、ジフェニルカーボネートの残存率、又はジフェニルカーボネートの転化率を測定することと同じであり、例えば、反応により生成するフェノール、エステル結合を有するフェノール基、未反応芳香族ジヒドロキシ化合物、エステル交換した芳香族ジヒドロキシ化合物等のいずれを測定してもよい。
測定法は、検出限界が低く正確なものであればよく、具体例としては、赤外スペクトル、屈折率、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、質量分析、13C−NMR及びH−NMR等が挙げられ、これらの中で、H−NMRが好ましい。
操作(b)は、操作(a)で用いた芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルに、更に酸性化合物を混合する以外は、操作(a)と同様にして行う。
酸性化合物としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸;フェノールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸エステル等の芳香族スルホン酸化合物;安息香酸、安息香酸エステル等の芳香族カルボン酸化合物などが挙げられる。縮合反応の触媒が固定床型のイオン交換樹脂である場合には、芳香族スルホン酸化合物が好ましい。
酸性化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物1.00molに対して、通常、0.01〜5.0μmol用いる。
芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率が少ないと、試料中に触媒作用物質である塩基性成分の含有量が多いと評価できる。芳香族ジヒドロキシ化合物1.00mol、炭酸ジエステル1.10mol及び酸性化合物0.4μmolを混合し、加熱した後の芳香族ジヒドロキシ化合物残存率は、通常、95.0mol%以上である。97.0mol%以上、更に98.0mol%以上、特に99.0mol%以上であるのが好ましい。
操作(c)は、操作(a)で用いる芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルに、更に塩基性化合物を混合する以外は操作(a)と同様にして行う。
塩基性化合物としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物及びアミン系化合物等が挙げられる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム等の水酸化物;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム等の炭酸水素塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム等の炭酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム等の有機酸塩;水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム等のホウ素化合物;リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム等のリン化合物;ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコラートやフェノラート;芳香族ジヒドロキシ化合物の2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム等の水酸化物;炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム等の炭酸水素塩;炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム等の炭酸塩;酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等の有機酸塩などが挙げられる。
塩基性ホウ素化合物としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素及びブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩又はストロンチウム塩などが挙げられる。
塩基性リン化合物としては、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン及び四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド及びブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール及びアミノキノリン等が挙げられる。
これらのうち、物性や取扱いの面からアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物、更にアルカリ金属の水酸化物、特に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ金属水酸化物の代わりに、フェノール化合物又は芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を用いてもよい。
塩基性化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物1.00molに対して、通常、0.01〜5.0μmol用いる。塩基性化合物がアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物である場合には、0.10〜2.0μmolが好ましい。
芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率が多いと、試料中に触媒被毒物質である酸性成分の含有量が多い、と評価される。芳香族ジヒドロキシ化合物1.00mol、炭酸ジエステル1.10mol及び塩基性化合物0.4μmolを混合し、加熱した後の芳香族ジヒドロキシ化合物残存率は、通常、80.0mol%以下である。77.0mol%以下、更に76.0mol%以下、特に75.0mol%以下であるのが好ましい。
操作(b)及び(c)で測定された芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率が、いずれも上述した範囲内にあれば、通常、その芳香族ジヒドロキシ化合物は高品質であると評価される。なお、操作(a)〜(c)において、芳香族ジヒドロキシ化合物の品質を正確に評価するため、炭酸ジエステル、容器、加熱温度及び加熱時間等を統一して行うのが好ましい。
操作(a)〜(c)で測定された芳香族ジヒドロキシ化合物中の塩基性成分が多い場合には塩基性成分と等モル程度の酸性化合物を、逆に酸性成分が多い場合には酸性成分と等モル程度の塩基性化合物を、工程(1)〜(6)のいずれか、又は工程(1)への供給物に添加することにより、塩基性成分又は酸性成分を中和する。芳香族ジヒドロキシ化合物が分解してフェノール化合物等が生成するのを抑制するためには、酸性化合物又は塩基性化合物を工程(4)又は工程(4)と(5)との間に添加するのが好ましい。なお、添加する酸性化合物又は塩基性化合物としては、操作(b)又は(c)で用いたものと同じものが挙げられる。
前述した中和が適切に行われても、芳香族ジヒドロキシ化合物に含まれるNaイオン等のアルカリ金属イオン濃度の絶対値が多すぎると、この芳香族ジヒドロキシ化合物を原料としたポリマーの色調、耐加水分解性等に悪影響を与えることがある。したがって、芳香族ジヒドロキシ化合物中のアルカリ金属イオンが、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、20ppb以下であるように反応を行う。アルカリ金属イオンが、15ppb以下、更に10ppb以下、特に8ppb以下であるのが好ましい。
本発明によれば、芳香族ジヒドロキシ化合物1.00mol中の塩基性成分又は酸性成分の含有量を0.15μmol以下に厳密に制御することができるので、芳香族ジヒドロキシ化合物中のフェノール化合物の含有量を低下させることができる。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを製造する場合、本発明に係る製造方法で得られるビスフェノールA中のフェノールの含有率は通常40ppm以下、好ましくは20ppm以下、更に好ましくは15ppm以下、特に好ましくは10ppm以下であり、イソプロペニルフェノールの含有率は通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下、更に好ましくは20ppm以下、特に好ましくは15ppm以下である。
上述した方法で製造した芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒存在下に重縮合させることにより、高品質ポリカーボネートを製造することができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独でも2種以上を併用しても、また、3価以上の多価フェノールを含有させて分岐状ポリカーボネートを製造しても、更に、得られるポリカーボネートの熱安定性や耐加水分解性を向上させたり、分子量を制御するため、p−t−ブチルフェノール、p−クミルフェノール等の1価のフェノール化合物を含有させてもよい。
ポリカーボネートの製造に用いる炭酸ジエステルとしては、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
B−O−C(=O)−O−B’ (3)
(式中、B及びB’は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族基又は置換基を有していてもよい芳香族基を表す。)
脂肪族基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、このうちメチル基が好ましい。脂肪族基が有していてもよい置換基としては、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
芳香族基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、このうちフェニル基が好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン等が挙げられ、このうちアルキル基が好ましい。
一般式(3)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の炭酸ジアリール化合物などが挙げられ、このうち、ジフェニルカーボネート及び/又はジトリルカーボネートが好ましい。炭酸ジエステルのハロゲンイオン含有量は、10ppb以下であるのが好ましい。
炭酸ジエステルは、1.00molの芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常1.01〜1.30mol、好ましくは1.02〜1.20mol用いる。使用量が1.01mol未満では、得られるポリカーボネートの末端水酸基が増加し、熱安定性や耐加水分解性が悪化することがある。また、1.30molを超えると、重縮合の反応速度が低下することがある。
重縮合反応の触媒としては、前述した芳香族ジヒドロキシ化合物の品質評価に用いる塩基性成分と同じものを用いることができる。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物が好ましい。
触媒は、芳香族ジヒドロキシ化合物1.00molに対して、通常1×10−8〜5×10−6mol用いる。1×10−7〜3×10−6mol、特に2×10−7〜2×10−6molを用いるのが好ましい。1×10−8molより少ないと、所定の分子量、末端水酸基量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性を得ることができなくなる。5×10−6molより多いと、ポリマーの色相が悪化したり分岐が多くなり、ポリマーの成形性が損なわれることがある。
ポリカーボネートの末端水酸基濃度は、芳香族ジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル、及び触媒の仕込量により変動する。末端水酸基濃度は、通常、触媒として用いる塩基性成分の濃度が高くなると低下し、一方、酸性成分の濃度が高くなると上昇する。重縮合反応は、ポリカーボネートの末端水酸基濃度が、通常6〜100μeq/g−ポリマーとなるように行う。末端水酸基濃度が、10〜60μeq/g−ポリマー、更に15〜50μeq/g−ポリマー、特に20〜40μeq/g−ポリマーとなるように反応させるのが好ましい。
重縮合反応は、2段階以上の多段工程で行うのが好ましい。例えば、第1段目の反応を、9.3×10〜1.33×10Paの減圧下、120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で、0.1〜5時間、好ましくは0.1〜3時間反応させ、次いで第2段目以降の反応系の減圧度を上げながら反応温度を高め、最終的に133Pa以下の減圧下、240〜320℃の温度で重縮合反応を行う方法などが用いられる。
ポリカーボネートは、溶媒として塩化メチレンを用い、温度25℃で測定された溶液粘度から換算した粘度平均分子量が、通常、12000〜40000である。粘度平均分子量が、13000〜30000、特に14000〜26000のものが好ましい。分子量が、12000未満だと機械的強度が低下し、40000を超えると成形性が悪化することがある。
ポリカーボネートの製造には、成形時の熱安定性を付与するために公知の熱安定剤を添加してもよい。熱安定剤としては、ホスファイト系化合物、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス−ノニルフェニルホスファイトが好ましい。熱安定剤は、単独で使用しても、複数を併用してもよい。熱安定剤は、ポリカーボネート100重量部に対し、0.001〜0.1重量部、特に0.002〜0.05重量部用いるのが好ましい。0.001重量部未満だと熱安定性効果が現れないことがあり、0.1重量部を超えるとポリカーボネートの熱安定性を損なうことがある。
重縮合反応の触媒としてアルカリ金属化合物を用いた場合には、ポリカーボネート中のアルカリ金属化合物を中和するため、酸性物質又は加水分解により酸性物質に転化する物質を添加するのが好ましい。
添加する酸性物質としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸:前記スルホン酸のメチル、エチル、ブチル、t−ブチル、オクチル、ドデシル、フェニル、ベンジル及びフェネチル等のエステル類:ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸、ナフタレンスルフィン酸等のスルフィン酸等が挙げられる。これらの化合物のうち、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びそれらのエステル等が好ましく、これらの化合物を2種以上使用してもよい。
酸性物質は、触媒に対して、通常0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量、ポリマーに対して、通常0.01〜20ppm、好ましくは0.1〜10ppm、更に好ましくは3〜7ppmとなるように添加する。
酸性物質は、例えば、溶融又は固体状態にあるポリカーボネートに、そのまま又は希釈剤で希釈して添加した後、分散させる方法などにより、重縮合反応器、反応器からの移送ライン又は押出機等に添加すればよい。また、ミキサー等を用い、ポリカーボネートのペレット、フレーク、粉末等に酸性物質を添加し、混合したものを押出機で混練してもよい。ポリカーボネートのフレークに酸性物質を添加し、ミキサー等で混合したものをマスターバッチとして添加する方法が好ましい。なお、酸性物質を連続的に添加する際は計量装置付の供給機を用いて添加量を制御するのが好ましい。また、押出機で水、熱安定剤、離型剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、有機・無機充填剤等の添加剤を混合する場合は、ポリカーボネートと酸性物質とを添加し、混練した後、これらの添加剤を添加するのが好ましい。
ポリカーボネートには、他の樹脂を配合することもできる。配合する樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;HIPS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂;ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。これらは、樹脂全体の40重量%以下、特に30重量%以下となるように配合するのが好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
なお、各測定は、以下の方法により行った。
(1)溶出金属
電子工業用高純度硝酸(三菱化学社製)を超純水で希釈して1.0×10−3規定硝酸を調製した。この硝酸20mLを超純水で洗浄した内容積約80mLのテトラフルオロエチレン製試験管に入れ、上部の開口部を超純水で洗浄したテトラフルオロエチレン製の栓で軽く蓋をし、試験管の硝酸が入っていない部分を加熱しないようにオイルバス中80℃で1時間加熱した。次いで、この硝酸溶液を白金皿に取り出し、窒素雰囲気下石英管中赤外線加熱炉で徐々に昇温して乾固させた。白金皿上の残留物に、電子工業用高純度塩酸1.0mLを加え、溶解させ、超純水で希釈した後、高分解能ICP−MS(サーモクエスト社製)を用いて、Li、Na、K、Cs、Mg及びCaの各元素の含有量を測定した。
(2)ハロゲンイオン
炭酸ジエステル約5gを取り、これを精秤した後、トルエン10mLに60℃で溶解させた。これに超純水10mLを添加し、23℃の恒温室でマグネチックスターラーを用い1000rpmで10分間攪拌した。水相を分離し、水相中のハロゲンイオンをイオンクロマトグラフ(イオンクロマトグラフDX−AQ、日本ダイオネクス社製)を用いて定量した。
(3)Naイオン
ビスフェノールA約2gを白金皿に取り、これを精秤した後、窒素雰囲気下、石英管中赤外線加熱炉でビスフェノールAが飛散しないように徐々に昇温し、炭化させた。これに電子工業用高純度濃硫酸1.0mLを添加し、空気雰囲気下、650℃で完全に灰化させた。灰分を電子工業用濃塩酸1.0mLに溶解させ、加温しながら塩酸を乾固した。この白金皿上の残留物を電子工業用濃硝酸1.0mLに溶解させ、超純水で希釈した後、水溶液中のNaイオンを高分解能ICP−MS(サーモクエスト社製)を用いて定量した。
(4)フェノール
ビスフェノールA約1gを取り、これを精秤した後、常温でアセトニトリル25mLに溶解させ、アセトニトリル/HOを溶離液として液体クロマトグラフィー[液体クロマトグラフ:LC−VP series(送液ユニットLC−10AT、UV−VIS検出器 SPD−10AV)島津製作所社製;カラム:μーBondasphere、Waters社製]により定量した。
(5)イソプロペニルフェノール
ビスフェノールA約1gを取り、これを精秤した後、常温でアセトニトリル25mLに溶解させ、アセトニトリル/HOを溶離液として液体クロマトグラフィーにより定量した。
(6)ビスフェノールA残存率
操作(a):ビスフェノールA9.69g(42.45mmol)と、ハロゲンイオン含有量10ppb以下のジフェニルカーボネート10.00g(46.68mmol)とを混合した。これを超純水で洗浄し乾燥させた検定用試験管に入れ、窒素雰囲気中大気圧下、174℃で70分間加熱した。得られた反応生成物が固化する前に約100mgを取り出し、重アセトンに溶解し、30℃で400MHzのH−NMR(α−400、日本電子社製)を測定した。生成物中の未反応のビスフェノールA及びジフェニルカーボネートと反応したビスフェノールAユニットのメチル基の各シグナル強度を求め、下式によりビスフェノールAの残存率を求めた。
ビスフェノールA残存率=[A/(A+B)]×100
(式中、AはビスフェノールAのメチル基のシグナル強度、BはビスフェノールAユニットのメチル基のシグナル強度を示す。)
操作(b):ビスフェノールA9.69g(42.45mmol)、ハロゲンイオン含有量10ppb以下のジフェニルカーボネート10.00g(46.68mmol)、及び1.00molのビスフェノールAに対して0.4μmolのp−トルエンスルホン酸を混合した。これを超純水で洗浄し乾燥させた検定用試験管に入れ、窒素雰囲気中大気圧下、174℃で70分間加熱した。その後、操作(a)と同様の操作を行いビスフェノールAの残存率を求めた。
操作(c):ビスフェノールA9.69g(42.45mmol)、ハロゲンイオン含有量10ppb以下のジフェニルカーボネート10.00g(46.68mmol)、及び1.00molのビスフェノールAに対して0.4μmolの水酸化ナトリウムを混合した。これを超純水で洗浄し乾燥させた検定用試験管に入れ、窒素雰囲気中大気圧下、174℃で70分間加熱した。この操作の後、操作(a)と同様にして、ビスフェノールAの残存率を求めた。
(7)重縮合時間
重合反応を2段に分けて行い、前段の重合槽1での反応が終了し、オリゴマーを次の重合槽2へ移送した時点から、重合槽2で、Mv=約21000に対応する攪拌動力に達するまでの時間を記録した。時間が短い方が、触媒活性が高いことを示す。
(8)ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)
濃度0.6g/dLのポリカーボネートの塩化メチレン溶液を用いて、温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式を用いて算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
(9)ポリカーボネートの末端水酸基濃度([OH])
四塩化チタン/酢酸法(Makromol.Chem.,88,215(1965)参照)による比色定量を行い、求めた。
(10)イエローインデックス(YI)
得られたポリカーボネートを用いて60×60×3.2mmの平板をバレル温度360℃、金型温度80℃で、10ショット連続射出成形し、恒温、恒湿下で24時間保持した。次いで、平板の色調を分光測色計(CM−3700d、ミノルタ社製)で測定し、それぞれイエローインデックス(YI)を算出し、その平均値を求めた。値が小さい方が、色調が良好なことを示す。
(11)溶融滞留熱安定性
算出したイエローインデックス(YI)について、1ショット目のYIと残り9ショット中の最大YI値との差(ΔYI)を求めた。値が小さい方が、熱滞留時の色調が良好なことを示す。
[比較例1]
(ビスフェノールAの製造)
工程(1)〜(6)に従って、ビスフェノールA(BPA)を連続的に製造した。フェノールの供給量を47kg/h、アセトンの供給量を2.9kg/hとし、触媒として陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK104H、三菱化学社製)100L(水膨潤基準)を固定床流通方式で用いた。反応器入口温度は55℃、出口温度は75℃、入口圧力は0.3MPa、出口圧力は大気圧であった。反応で生成した水、未反応の原料等を順次取り除き、最終的にBPAを4.3kg/hで連続的に得た。
新しい触媒に交換した後、反応を再開し、12、24、48、72及び120時間経過時のBPAを取得し、それぞれBPA−1〜BPA−5とした。
BPA−1〜BPA−5について、Na含有量、フェノール含有量、イソプロペニルフェノール含有量を測定すると共に、ビスフェノール残存率をポリテトラフルオロエチレン製検定用試験管(フロンケミカル社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
(ポリカーボネートの製造)
ハロゲンイオン含有量が10ppb以下のジフェニルカーボネートフレーク(三菱化学社製)23.25molに、炭酸セシウム水溶液を1.00molのBPA−1に対して炭酸セシウムが0.5μmolとなるようにマイクロシリンジにより添加し、十分混合した後、この混合物を100℃に保持された還流冷却器を有する40Lの重合槽1に仕込み、更に22.0molのBPA−1を仕込んだ。
重合槽1内の空気を窒素で置換した後、熱媒を用いて220℃に昇温して内容物を溶解させた。次いで、300rpmで攪拌し、内温を220℃に保ちながら、40分かけて圧力を101kPaから13.3Paに減圧した。この圧力に保持して、フェノールを留去させながら、80分間オリゴマー化反応を行った。
得られたオリゴマーを100℃に保持された還流冷却器を有する40L重合槽2に送り、38rpmで攪拌しながら、外部ジャケットに300℃の熱媒を通じ、図1に示すラインに沿って系内の圧力を制御した。このとき、重合速度が遅く、攪拌機の所要動力が所定の動力に達しなかったので、重縮合時間400分で重合を停止し、窒素で復圧し、得られたポリマーをストランド状に抜き出して回転式カッターでペレット化した。
重縮合時間、ポリカーボネートの粘度平均分子量、末端水酸基濃度、イエローインデックス及び熱滞留時のイエローインデックス変化を表1に示す。
BPA−1と同様にして、BPA−2〜BPA−5を重縮合させ、ポリカーボネートを製造した。得られたポリカーボネートの評価結果を表1に示す。重縮合時間、末端水酸基濃度、色調、熱滞留時の色調は、用いたBPA毎に異なり、安定した品質のポリカーボネートは得られなかった。
Figure 2005075736
[実施例1]
比較例1おいて、工程(5)の前に操作(a)及び(c)のビスフェノールA残存率から求めた酸性成分含有量に対応する量の水酸化ナトリウム水溶液を添加した以外は、比較例1と同様にしてBPA−6〜BPA−10を得た。操作(a)でのビスフェノールA残存率はいずれも95.0mol%以上であり、操作(c)でのビスフェノールA残存率はいずれも80.0mol%以下であった。得られたビスフェノールAのNa含有量、ビスフェノールA残存率、フェノール含有量及びイソプロペニルフェノール含有量の測定結果を表2に示す。
BPA−6〜BPA−10を用いて、比較例1と同様にしてポリカーボネートを製造した。評価結果を表2に示す。重縮合時間、末端水酸基濃度、色調、熱滞留時の色調は、用いたBPAによらず安定していた。
Figure 2005075736
[比較例2]
比較例1において、工程(4)と(5)の間に新しいフィルター[GSワインドフィルターエレメント(WG4−06340−003)、富士フィルター工業社製]を設置した以外は比較例1と同様にして、12、24、48、72及び120時間経過時のBPAを取得し、それぞれBPA−11〜BPA−15とした。
BPA−11〜BPA−15について、Na含有量、ビスフェノールA残存率、フェノール含有量、イソプロペニルフェノール含有量を、ポリテトラフルオロエチレン製検定用試験管(フロンケミカル社製)を用いて測定した。結果を表3に示す。
BPA−11〜BPA−15を用いて、比較例1と同様にしてポリカーボネートを製造した。得られたポリカーボネートの評価結果を表3に示す。
Figure 2005075736
[実施例2]
比較例2おいて、工程(5)の前に操作(a)及び(b)のビスフェノールA残存率から求めた塩基性成分含有量に対応する量のトルエンスルホン酸水溶液を添加した以外は、比較例1と同様にしてBPA−16〜BPA−20を得た。操作(a)でのビスフェノールA残存率はいずれも95.0mol%以上であり、操作(b)でのビスフェノールA残存率はいずれも80.0mol%以下であった。得られたビスフェノールAのNa含有量、ビスフェノールA残存率、フェノール含有量及びイソプロペニルフェノール含有量の測定結果を表4に示す。
BPA−6〜BPA−10を用いて、比較例2と同様にしてポリカーボネートを製造した。得られたポリカーボネートの評価結果を表4に示す。
Figure 2005075736
[実施例3]
実施例1のBPA−10について、Li、Na、K、Cs、Mg及びCaの合計溶出量が5ppb以下のポリテトラフルオロエチレン製検定用試験管(フロンケミカル社製)を用いて操作(a)〜(c)を行い、ビスフェノールA残存率を測定した。結果を表5に示す。
[比較例3]
実施例3において、テトラフルオロエチレン製検定用試験管を理化学ガラス材質検定用試験管とした以外は実施例3と同様にしてビスフェノールA残存率を測定した。結果を表5に示す。
[比較例4]
実施例3において、テトラフルオロエチレン製検定用試験管をSUS310S(電解研磨実施済)材質検定用試験管とした以外は実施例3と同様にして、ビスフェノールA残存率を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2005075736
実施例及び比較例において、重合槽2の圧力条件を示すグラフである。

Claims (12)

  1. (1):フェノール化合物とカルボニル化合物とを酸性触媒の存在下で縮合させて芳香族ジヒドロキシ化合物を生成させる工程
    (2):工程(1)の反応生成液からフェノール化合物よりも低沸点の成分と酸性触媒とを除去する工程
    (3):工程(2)の残留液を冷却し、芳香族ジヒドロキシ化合物とフェノール化合物との付加物結晶を析出させ、これを取得する工程
    (4):工程(3)の付加物結晶を加熱溶融させる工程
    (5):工程(4)の溶融液からフェノール化合物を除去して溶融芳香族ジヒドロキシ化合物とする工程
    (6):工程(5)の溶融芳香族ジヒドロキシ化合物を冷却し、固体の芳香族ジヒドロキシ化合物とする工程
    の各工程を含む連続方式の芳香族ジヒドロキシ化合物の製造方法において、工程(5)又は(6)の芳香族ジヒドロキシ化合物を試料とし、以下の(a)、(b)及び(c)よりなる群から選ばれる操作を行い、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率から試料中の塩基性成分又は酸性成分の含有量を求め、これが中和される量の酸性化合物又は塩基性化合物を工程(1)〜(6)のいずれか、又は工程(1)への供給物に添加することを特徴とする製造方法。
    (a)試料をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステルと混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
    (b)試料をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステル及び酸性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
    (c)試料をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステル及び塩基性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
  2. 工程(1)と工程(2)との間、工程(2)と工程(3)との間及び工程(4)と工程(5)との間の少なくとも1箇所に、グラスファイバー製フィルターを設置することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. (1):フェノール化合物とカルボニル化合物とを酸性触媒の存在下で縮合させて芳香族ジヒドロキシ化合物を生成させる工程
    (2):工程(1)の反応生成液を冷却し、芳香族ジヒドロキシ化合物とフェノール化合物との付加物結晶を析出させ、これを取得する工程
    (3):工程(2)の付加物結晶を加熱溶融させる工程
    (4):工程(3)の溶融液からフェノール化合物を除去して溶融芳香族ジヒドロキシ化合物とする工程
    (5):工程(4)の溶融芳香族ジヒドロキシ化合物を冷却し、固体の芳香族ジヒドロキシ化合物とする工程
    の各工程を含む連続方式の芳香族ジヒドロキシ化合物の製造方法において、工程(4)又は(5)の芳香族ジヒドロキシ化合物を試料とし、以下の(a)、(b)及び(c)よりなる群から選ばれる操作を行い、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率から試料中の塩基性成分又は酸性成分の含有量を求め、これが中和される量の酸性化合物又は塩基性化合物を工程(1)〜(5)のいずれか、又は工程(1)への供給物に添加することを特徴とする製造方法。
    (a)試料をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステルと混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
    (b)試料をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステル及び酸性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
    (c)試料をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステル及び塩基性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
  4. 工程(1)と工程(2)との間、及び工程(3)と工程(4)との間の少なくとも1箇所に、グラスファイバー製フィルターを設置することを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. 芳香族ジヒドロキシ化合物1.00mol中の塩基性成分又は酸性成分の含有量を、0.15μmol以下に制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器が、白金又は白金系合金、石英ガラス、炭化ケイ素又はフッ素樹脂を素材とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の方法により製造された芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒存在下に重縮合させることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
  8. 炭酸ジエステルが、ハロゲンイオン含有量10ppb以下のものであることを特徴とする請求項7記載の製造方法。
  9. 炭酸ジエステルが、ジフェニルカーボネート及び/又は置換ジフェニルカーボネートであることを特徴とする請求項7又は8記載の製造方法。
  10. 芳香族ジヒドロキシ化合物が、ビスフェノールAであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 下記(a)、(b)及び(c)よりなる群から選ばれる操作で得られた芳香族ヒドロキシ化合物の残存率から、操作に供した芳香族ジヒドロキシ化合物中の塩基性成分又は酸性成分の含有量を求めることを特徴とする芳香族ジヒドロキシ化合物の品質評価方法。
    (a)芳香族ジヒドロキシ化合物をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステルと混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
    (b)芳香族ジヒドロキシ化合物をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステル及び酸性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
    (c)芳香族ジヒドロキシ化合物をハロゲンイオン含有量10ppb以下の炭酸ジエステル及び塩基性化合物と混合し、実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器内で加熱した後、反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の残存率を測定する。
  12. 実質的にLi、Na、K、Cs、Mg及びCaの各金属イオンが溶出しない容器が、白金又は白金系合金、石英ガラス、炭化ケイ素又はフッ素樹脂を素材とすることを特徴とする請求項11記載の品質評価方法。
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