JP2005074414A - 大気圧プラズマ発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プラズマによりワーク表面から除去される塵埃等を確実に集塵して排気させることができて、各種のワーク表面に高精度な処理状態が容易に得られる大気圧プラズマ発生装置を提供する。
【構成】 ノズルに設けた電極に電圧を印可して電極空間に放電を発生させ、その電子を大気で導くことによりプラズマを発生させてワーク表面に吐出させる大気圧プラズマ発生装置において、ノズルに排気用チャンバー及び吸込口等からなる排気装置を取り付け、プラズマの衝突によりワーク表面から除去される塵埃等を排気装置で集塵して排気すること特徴とする。前記排気装置は、ノズルの電極に高周波電圧を供給する発振器及びノズルを上下動させるノズル駆動部の作動と関連付けられて作動する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば各種のワーク表面に対して洗浄等の処理を行うことが可能な大気圧プラズマ発生装置に関する。
従来、この種のプラズマ発生装置としては、例えば特許文献1に開示のものが知られている。このプラズマ発生装置は、放電発生用電極と、対電極及び前記放電発生用電極に高周波電圧を印可する高周波電源とを備え、少なくともヘリウムまたは水素を含むガスを、放電発生用電極と対電極との間に形成される放電空間に大気圧もしくは大気圧近傍圧力下で導入し通過させると共に、高周波電源から放電発生用電極間に高周波電圧を印可することにより放電空間にグロー放電プラズマを発生させ、このプラズマにより生成されるガスをワーク表面に照射するようにしたものである。
特開平10−199697号公報
しかしながら、このプラズマ発生装置においては、対電極等からなるノズルの下端に設けたノズル状ガス出口を、単にワーク表面に所定の間隔を有して配置し、ノズル状ガス出口からガスを下方に吐出させてワーク表面に照射する構造であるため、ワーク表面に照射されたガスにより、例えばワーク表面に付着していた有機化合物、塵埃、窒素等(以下、塵埃等という)が飛散し、ワーク表面の照射位置近傍の処理部分や未処理部分に再び付着する場合がある。その結果、ワーク表面に常に高精度な処理状態(洗浄状態等)を均一して得ることが難しく、例えば半導体デバイスの製造ラインや液晶デイスプレイの製造ライン等のように、高い無塵状態が要求される場合に、好適に使用することが困難であるという問題点を有している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、プラズマによりワーク表面から除去される塵埃等を確実に集塵して排気させることができ、各種のワーク表面に高精度な処理状態が容易に得られる大気圧プラズマ発生装置を提供することにある。
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の大気圧プラズマ発生装置は、ノズルに設けた電極に電圧を印可して電極空間に放電を発生させ、その電子を大気で導くことによりプラズマを発生させてワーク表面に吐出させる大気圧プラズマ発生装置において、前記ノズルに排気装置を取り付け、前記プラズマの衝突によりワーク表面から除去される塵埃及び発生する気体、ノズルから吐出される塵埃及び気体等を前記排気装置で集塵して排気すること特徴とする。
そして、前記排気装置は、請求項2に記載の発明のように、ノズルの外周面に所定間隔を有して固定された排気用チャンバーと、該排気用チャンバーの下部に上下動可能に配設されてその下端開口部とワーク表面との間隔が所定値に設定される吸込口と、を備えることが好ましい。
また、前記排気装置は、請求項3に記載の発明のように、前記ノズルの電極に高周波電圧を供給する発振器及び前記ノズルを上下動させるノズル駆動部の作動と関連付けられて作動することが好ましい。
請求項1に記載の発明によれば、ノズルの先端から吐出されるプラズマの衝突により除去された塵埃等が、ノズルに設けられた排気装置により集塵されて排気されるため、除去された塵埃等がワーク表面に再び付着することがなくなり、ワーク表面に高精度な処理状態を容易に得ることができて、例えば処理されたワークの接着強度等を大幅に高めること等が可能となる。
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、排気装置が、排気用チャンバーと上下動可能な吸込口とで構成されているため、吸込口とワーク表面の間隔をワークの形態等に応じて最適値に設定できて、除去された塵埃等を一層確実に集塵して排気することが可能となる。
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、排気装置が発振器及びノズル駆動部の作動と関連付けられて作動するため、プラズマの発生と排気装置の作動やノズルの上下動とを最適状態に設定できて、塵埃等の集塵、排気を効率的に行うことが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明に係わる大気圧プラズマ発生装置の一実施形態を示し、図1がその概略構成図、図2が図1のA−A線断面図、図3がその動作の一例を示すフローチャートである。
図1及び図2において、大気圧プラズマ発生装置1は、プラズマ発生器としてのノズル2を有し、このノズル2は、その内部に放電発生用の電極や放電空間(いずれも図示せず)が形成され、その下端には下方に指向した吐出口3が形成されている。
また、ノズル2は、それぞれの外周面が円形に形成され下部から上部に向けて次第に径大となる、例えば下端部2a、中間部2b及び上端部2cを有し、このノズル2の外周面に排気装置4が一体的に取り付けられている。すなわち、排気装置4は、略円筒状の排気用チャンバー4aと、この排気用チャンバー4の下端部に上下動可能に嵌挿された円筒状の吸込口4bを有している。
そして、排気用チャンバー4aの上面壁に設けた取付穴5をノズル2の上端部2cの外周面上部に嵌挿させると共に、該取付穴5部分に設けた固定板6をノズル2の上端部2cの外周面にネジ等の固定手段で着脱可能に固定することにより、排気用チャンバー4a及び吸込口4bがノズル2に所定の間隔を有して一体的に取り付けられている。
また、吸込口4bは、その円筒状の外周面が排気用チャンバー4aの下端部内面に嵌挿されると共に、吸込口4bの外周面に形成した縦方向の溝7に、排気用チャンバー4aの下端部にその外側からねじ込んだ高さ調整ネジ8の先端部が係合している。この高さ調整ネジ8の回転操作により、上下可能な吸込口4bが所定高さ位置に設定されるようになっている。
さらに、排気用チャンバー4aの上端部には連結口9が形成され、この連結口9には、他端部がバキュームブロワー10(吸引装置)に接続された可撓性のホース11(ダクト)の一端部が接続されている。このバキュームブロワー10が作動することにより、ホース11を介して排気用チャンバー4a内が吸引されて所定の負圧状態となるようになっている。
そして、ノズル2は、モータ等の駆動源を有するノズル駆動部12が制御装置13の制御信号で作動することにより、ワークWが載置されるXYテーブル14に対して所定距離上下動すると共に、内部の電極に接続された例えば高周波電源等の発振器15等が制御装置13の制御信号で作動することにより、後述する如くプラズマを発生させてノズル2の吐出口3からワーク表面に吐出させるようになっている。
なお、前記制御装置13はマイコンあるいはシーケンサー等で構成され、この制御装置13には、前記バキュームブロワー10が接続されてその作動が制御されると共に、前記XYテーブル14のテーブル駆動部16も接続されて該テーブル14のX軸方向やY軸方向へ移動が制御されるようになっている。
次に、この大気圧プラズマ発生装置1の動作の一例を図3のフローチャート等に基づいて説明する。先ず、この大気圧プラズマ発生装置1は、コロナ放電によるプラズマ発生装置とは異なり、ノズル2内部の電極間に高周波の高電圧を加えて放電を発生させ、その電子を大気で導いてノズル2の吐出口3から効率的に吐出させるものである。そのため、非常に大きな電子エネルギーをワーク表面に衝突させることができて、ワーク表面を短時間で処理してワーク表面の活性度を極めて高めることができると共に、そのフレームに電荷を持たずワークWの種類を選ぶことがなく、異形材料でも適用可能であり、かつオゾンを発生させないようになっている。
そして、このような大気圧プラズマ発生装置1は、そのノズル2の作動及び該ノズル2に一体的に取り付けられ排気装置4が、制御装置13によって図3に示すように動作する。すなわち、プラズマによる前処理作業としての洗浄処理作業の開始に際し、XYテーブル14上にワークWをセットし、大気圧プラズマ発生装置1の図示しない入力装置により洗浄処理するワーク表面のエリアを、XY座標等で入力して制御装置13に記憶させると共に、排気装置4の吸込口4bをワーク表面から所定の高さ寸法(間隔寸法)h1となる位置(例えばワーク表面が平面時の場合、h1=4〜10mm)に設定する。
この状態で、例えば図示しない作業開始スイッチをオン操作すると、制御装置13の制御信号により、バキュームブロワー10が作動して排気装置4の排気用チャンバー4a内が負圧となり、これにより、排気装置4が作動状態となって排気が開始(S101)される。この排気開始により、吸込口4bの下部の空気が排気用チャンバー4a内に吸い込まれた状態となる。
排気装置4が作動すると、制御装置13の制御信号により発振器15を作動させて、プラズマを発生(S102)させると共に、制御装置13の制御信号でノズル駆動部12を作動させて、ノズル2を予め設定された定位置まで下降(S103)させる。このノズル2の下降で、吐出口3とワーク表面との間隔寸法h2が、処理に適正な値(例えばh2=4〜15mm)に設定され、この状態でノズル2の吐出口3からプラズマが下方に向けて吐出してワーク表面に衝突する。
そして、ノズル2が定位置に設定されると、制御装置13の制御信号により、テーブル駆動部16が作動してXYテーブル14が所定方向に移動(S104)し、このXYテーブル14の移動により、プラズマがワーク表面に所定幅のライン上に衝突され、このXYテーブル14の移動を予め設定された所定のエリア内で行うことにより、ワーク表面の所定範囲がプラズマで洗浄処理されることになる。
この洗浄処理時に、排気装置4が作動状態となっていることから、プラズマの衝突によりワーク表面から除去されてその周囲に飛散した塵埃等が、排気装置4の吸込口4bから吸い込まれて、排気用チャンバー4a内を図の矢印イの如く流れて、ホース11を介してバキュームブロワー10内に吸引される。そして、このバキュームブロワー10内に吸引された塵埃等は、該ブロワー10の排気口から例えば大気圧プラズマ発生装置1が設置されている室外に排気される。
これにより、ワーク表面から除去された塵埃等が、ノズル2の周囲近傍の空気中で浮遊して洗浄処理したワーク表面やこれから洗浄処理しようとするワーク表面に付着すること等がなくなると共に、除去した塵埃等の大気圧プラズマ発生装置1近傍の作業空間内への飛散が確実に防止されることになる。
そして、XYテーブル14の所定の移動でワーク表面の洗浄処理が終了したら、制御装置13の制御信号により、ノズル駆動部12を作動させてノズル2を待機位置まで上昇(S105)させ、この上昇位置で制御装置13の制御信号により、発振器15の作動を停止させてプラズマの発生を停止(S106)させる。そして、このプラズマの停止後に、制御装置13の制御信号により、バキュームブロワー10を停止させて排気を停止(S107)させ、これにより、ワークWの一連の洗浄処理作業が終了することになる。
なお、このフローチャートにおける各ステップ間の時間は、ワークWの形態等に応じて所定の時間に設定されるが、このステップ間の時間を短く設定することで、例えば排気開始とプラズマ発生等を略同一のタイミングで実行することも可能である。
このように、上記実施形態の大気圧プラズマ発生装置1にあっては、プラズマをワーク表面に向けた吐出するノズル2に排気用チャンバー4aと吸込口4bからなる排気装置4を一体的に取り付けているため、プラズマの衝突によりワーク表面から除去された塵埃等を、排気装置4により集塵して室外に排気することができ、除去される塵埃等のワーク表面の処理済み部分や非処理部分への付着を確実に防止することができる。
特に、制御装置13の制御信号により、排気装置4を作動させた状態で発振器15を作動させてプラズマを発生させると共に、排気装置4の上下動可能な吸込口4bの高さ位置h1を適正値に設定することができることから、除去された塵埃等を吸込口4b内に確実に吸い込むことができて、塵埃等の集塵効率を高めることができ、ワーク表面に高精度な処理状態を容易に得ることが可能となる。
また、プラズマにより除去された塵埃等が作業空間内に飛散しないため、室内の高い無塵状態を良好に維持することができると共に、室内の作業環境の低下を確実に防止でき、さらに、排気装置4の作動が発振器15やノズル駆動部12の作動と関連付けて自動的に作動するように構成できるため、ワーク表面の処理作業の自動化を図ることができて、例えば半導体関係の製造ライン等に効果的に設置することが可能となる。
また、排気装置4がノズル2の外周面にネジ等によって着脱可能に一体的に取り付けられているため、既存の大気圧プラズマ発生装置1であっても容易に取り付けて使用できると共に、排気装置4を取り外すことにより、排気装置4自体のメンテナンスを簡単に行うこともできる。
また、大気圧プラズマ発生装置1が、放電により発生する電子を大気によって導いてノズル2の吐出口3からワーク表面に吐出させる方式であるため、非常に大きな電子エネルギーをワーク表面に衝突させることができて、短時間でワーク表面の洗浄処理を行うことができると共に、ワーク表面の活性度を極めて高いものとすることができて、例えば接着強度等の大幅な向上を図ることができる。
また、大気圧プラズマ発生装置1のフレームが無電位であるため、ワーク表面の尖った部分等に対して放電が集中することがなく、各種形態のワーク表面にダメージを与えることなく、洗浄処理等の所定の前処理を容易に行うことができ、これらのことから、ワークの形態に係わらず、ワーク表面の洗浄やワーク表面の活性化あるいはワーク表面の粗面化等の前処理に好適に適用することが可能となる。
さらに、大気圧プラズマ発生装置1が、大気をプラズマ化する方式であるため、従来のコロナ放電によるプラズマ発生装置のように、アルゴン、ヘリウム等の特別なガスを使用する必要がなく、大気圧プラズマ発生装置1のランニングコストを非常に安く抑えることができると共に、既設の製造ライン等にも容易に設置することが可能となる。
なお、上記実施形態においては、排気装置4の吸込口4bを排気用チャンバー4aの下端部に高さ調整ネジ8の手動操作により上下動可能に配設したが、本発明はこれに限定されず、例えば図1の二点鎖線で示すように、吸込口に制御装置13の制御信号により正逆転可能なモータ17を接続し、このモータ17の回転で吸込口4bを機械的に上下動させるようにしても良い。このように構成すれば、予め吸込口4bの高さ寸法h1を入力設定することで、吸込口4bを自動的に所定位置まで下降させることができて、洗浄処理作業等の完全自動化が可能となり、各種前処理作業の一層の省力化を図ることができる。
また、上記実施形態においては、吸込口4bを断面円形に形成したが、吸込口4bや排気用チャンバー4aの形状は、上記例に限定されず、ノズル2の外形形状等に応じて適宜な形状を採用することができるし、ノズル2自体の形態も他の適宜の形態を採用することができる。
本発明は、半導体デバイスの製造ラインや液晶デイスプレイの製造ライン等に好適に使用可能であるが、例えば接着接合時の前処理(樹脂、金属、ガラス等の異材質の接着強度アップ)、印字・印刷の前処理(インクジェットの前処理やシルク印刷の前処理)、コーティング・蒸着・塗布の前処理(蒸着の前処理、部分コートの前処理)、シール・封止(電子部品等の封止、シール工程の前処理)等にも適用できる。
本発明に係わる大気圧プラズマ発生装置の一実施形態を示す概略構成図 同図1のA−A線断面図 同その動作の一例を示すフローチャート
符号の説明
1 大気圧プラズマ発生装置
2 ノズル
3 吐出口
4 排気装置
4a 排気用チャンバー
4b 吸込口
8 高さ調整ネジ
10 バキュームブロワー
11 ホース
12 ノズル駆動部
13 制御装置
14 XYテーブル
15 発振器
16 テーブル駆動部
17 モータ

Claims (3)

  1. ノズルの内部に設けた電極に電圧を印可して電極空間に放電を発生させ、その電子を大気で導くことによりプラズマを発生させてワーク表面に吐出させる大気圧プラズマ発生装置において、
    前記ノズルに排気装置を取り付け、前記プラズマの衝突によりワーク表面から除去される塵埃及び発生する気体、ノズルから吐出される塵埃及び気体等を前記排気装置で集塵して排気すること特徴とする大気圧プラズマ発生装置。
  2. 前記排気装置は、ノズルの外周面に所定間隔を有して固定された排気用チャンバーと、該排気用チャンバーの下部に上下動可能に配設されてその下端開口部とワーク表面との間隔が所定値に設定される吸込口と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の大気圧プラズマ発生装置。
  3. 前記排気装置は、前記ノズルの電極に高周波電圧を供給する発振器及び前記ノズルを上下動させるノズル駆動部の作動と関連付けられて作動することを特徴とする請求項1または2に記載の大気圧プラズマ発生装置。
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JP2008227108A (ja) * 2007-03-12 2008-09-25 Seiko Epson Corp プラズマ処理装置
JP2010186749A (ja) * 2010-03-11 2010-08-26 Seiko Epson Corp プラズマ処理装置

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