以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態1において用いたプラズマ発生装置の概略構成図である。図1において、第1電極としての基板電極1上に被処理物としてのシリコン基板2が載置されている。基板電極1に対向して第2電極としての対向電極3が設けられ、対向電極3にはシャワー電極4及びシャワープレート5が設けられている。シャワー電極4及びシャワープレート5には互いに対応する位置にシャワー穴(貫通穴)6が設けられている。ガス供給装置7から配管8を介して、対向電極3とシャワー電極4の間に設けられた空間であるガス溜まり9にガスが供給され、シャワー穴6を通じて基板2上に噴出させる。この状態で基板電極1に高周波電源10から13.56MHzの高周波電力を供給することにより、基板2に高周波電圧が生じ、シャワープレート5と基板2間にプラズマが発生する。
また、バイブレータとしての超音波振動子11と基板電極1が、ホーン12を介して接続されており、また、基板電極1の、ホーン12と反対側の端に整合ユニット13が接続されている。バイブレータ11を動作させることにより、基板電極1と基板2が、対向電極3に対して平行に機械的に振動するように構成されている。ここでは、周波数50kHz、振幅15μmにて基板電極1を振動させた。ホーン12は振動エネルギーを基板電極1に伝達するための部材であり、また、整合ユニット13は、振動系の固有振動数をバイブレータ11の発信周波数に整合させ、投入エネルギーに対してできるだけ大きい振動振幅を得るためのものである。
上記の各構成要素は大気圧中にあり、真空容器のような完全密閉型の頑丈な容器や、真空ポンプは不要である。なお、基板2を基板電極1に固定する方法としては、着脱可能な接着剤を用いる方法、粘着シートを用いる方法、押さえ治具を用いる方法などから適宜選択することができる。
図1におけるシャワープレート5と基板2間のギャップGは、0.3mm〜5mmであることが好ましい。ギャップGが狭すぎても広すぎても、放電が着火しない場合がある。シャワー穴6の直径は0.05mm〜1mmであることが好ましい。シャワー穴6の直径が小さすぎると、処理を繰り返し行ったときの経時変化が大きくなり、再現性の低下を招くことがある。シャワー穴6の直径が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。動作圧力範囲は0.1気圧以上10気圧以下が好ましい。圧力が小さいと、完全密閉型の容器や真空ポンプが必要となり、コスト面で不利である。圧力が大きい場合にも完全密閉型の容器が必要となる。大気圧近傍で動作させることが、コスト面、トータル処理時間の面からもっとも有利である。
また、高周波電力は基板の面積1平方センチ当たり概ね0.1W〜10W供給する。電力が小さすぎると放電が発生しない場合がある。逆に電力が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。
このようなプラズマ発生装置において、直径8インチのシリコン基板2を用い、空気流量10slm、高周波電力500Wの条件で大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)は生じず、また、1秒間のプラズマ照射によって、基板2の表面の表面改質(濡れ性改善)が行えた。プラズマ照射前における基板2の水の接触角は31°であったが、プラズマ照射後は10°にまで低下させることができた。
このように、空気という極めて安価なガスを用いて、高速で、かつ、アーク放電(火花)を生じさせることなく、良好にプラズマ発生及びプラズマ処理が行えた理由について、図2を参照して詳しく説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における、基板2とシャワープレート5の間の空間を拡大した断面図である。図2(a)において、高周波電力の印加を行うと放電が開始し、基板2またはシャワープレート5の一方よりストリーマ14が他方に向けて進展する。ここでは、シャワープレート5から基板2に向けてストリーマ14が進展する場合を例示している。次いで、図2(b)のように、ストリーマ14の先端が基板2に到達する。基板2はシャワープレート5に対して平行に機械的に振動しており、ここでは右から左へ基板2が移動している場合を例示している。
次いで、図2(c)のように、基板2の振動(移動)に伴い、ストリーマ14が分断される。次いで、図2(d)のように、分断されたストリーマは縮退し、ついには消滅する。このような現象が、シャワープレート5と基板2の間で無数に起きるが、プラズマに曝露される領域たるシャワープレート5の表面と基板2の表面において、振動によって互いの相対位置が絶えず変化するため、ストリーマを契機としたアーク放電(火花)は発生しない。
比較のため、直径8インチのシリコン基板2を用い、空気流量10slm、高周波電力500Wの条件で、バイブレータ11を動作させずに大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)が生じた。アーク放電(火花)の発生により、基板2とシャワープレート5の表面がダメージを受け、小さな傷が多数生じてしまった。
このように、基板2とシャワープレート5の表面がダメージを受けた理由について、図3を参照して詳しく説明する。
図3は、従来技術(バイブレータ11を動作させなかった場合)における、基板2とシャワープレート5の間の空間を拡大した断面図である。図3(a)において、高周波電力の印加を行うと放電が開始し、基板2またはシャワープレート5の一方よりストリーマ14が他方に向けて進展する。ここでは、シャワープレート5から基板2に向けてストリーマ14が進展する場合を例示している。次いで、図3(b)のように、ストリーマ14の先端が基板2に到達する。次いで、図3(c)のように、ストリーマ14が徐々に太く成長していくとともに、ストリーマ14の先端部に相当する基板2の一部15が局所的に加熱される。加熱によって、基板2の一部15を構成するシリコン原子が揮発しはじめ、図3(d)のように、火花が生じてシリコン粒子16が基板2から飛び出すようになる。つまり、ストリーマを契機としたアーク放電(火花)が発生する。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図4を参照して説明する。
図4において、第1電極としての基板電極1上に被処理物としてのシリコン基板2が載置されている。基板電極1に対向して第2電極としての対向電極3が設けられ、対向電極3にはシャワー電極4及びシャワープレート5が設けられている。シャワー電極4及びシャワープレート5には互いに対応する位置にシャワー穴(貫通穴)6が設けられている。ガス供給装置7から配管8を介して、対向電極3とシャワー電極4の間に設けられた空間であるガス溜まり9にガスが供給され、シャワー穴6を通じて基板2上に噴出させる。この状態で基板電極1に高周波電源10から13.56MHzの高周波電力を供給することにより、シャワープレート5と基板2間にプラズマが発生する。
また、バイブレータとしての超音波振動子11と対向電極3が、ホーン12を介して接続されており、また、対向電極3の、ホーン12と反対側の端に整合ユニット13が接続されている。バイブレータ11を動作させることにより、対向電極3、シャワー電極4及びシャワープレート5が、基板電極1及び基板2に対して平行に機械的に振動するように構成されている。ここでは、周波数50kHz、振幅15μmにて対向電極3を振動させた。ホーン12は振動エネルギーを対向電極3に伝達するための部材であり、また、整合ユニット13は、振動系の固有振動数をバイブレータ11の発信周波数に整合させ、投入エネルギーに対してできるだけ大きい振動振幅を得るためのものである。上記の各構成要素は大気圧中にあり、真空容器のような完全密閉型の頑丈な容器や、真空ポンプは不要である。
なお、基板2を基板電極1に固定する方法としては、載置、着脱可能な接着剤を用いる方法、粘着シートを用いる方法、押さえ治具を用いる方法などから適宜選択することができる。
図4におけるシャワープレート5と基板2間のギャップGは、0.3mm〜5mmであることが好ましい。ギャップGが狭すぎても広すぎても、放電が着火しない場合がある。シャワー穴6の直径は0.05mm〜1mmであることが好ましい。シャワー穴6の直径が小さすぎると、処理を繰り返し行ったときの経時変化が大きくなり、再現性の低下を招くことがある。シャワー穴6の直径が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。動作圧力範囲は0.1気圧以上10気圧以下が好ましい。圧力が小さいと、完全密閉型の容器や真空ポンプが必要となり、コスト面で不利である。圧力が大きい場合にも完全密閉型の容器が必要となる。大気圧近傍で動作させることが、コスト面、トータル処理時間の面からもっとも有利である。
また、高周波電力は基板の面積1平方センチ当たり概ね0.1W〜10W供給する。電力が小さすぎると放電が発生しない場合がある。逆に電力が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。
このようなプラズマ発生装置において、直径8インチのシリコン基板2を用い、空気流量10slm、高周波電力500Wの条件で大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)は生じず、また、1秒間のプラズマ照射によって、基板2の表面の表面改質(濡れ性改善)が行えた。プラズマ照射前における基板2の水の接触角は31°であったが、プラズマ照射後は9°にまで低下させることができた。
このように、空気という極めて安価なガスを用いて、高速で、かつ、アーク放電(火花)を生じさせることなく、良好にプラズマ発生及びプラズマ処理が行えた理由は、すでに図2を参照して詳しく説明したことと同様である。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について、図5を参照して説明する。
図5において、第1電極17と第2電極18が対向して配置されている。第1電極17と第2電極18の互いに対向する面は、絶縁体19で覆われている。被処理物としての基板2は、基板電極1上に載置されている。図示しないガス供給装置から配管を介して、第1電極17と第2電極18の間の空間(2つの絶縁体19の間)にガスが供給され、基板2上に噴出させる。この状態で第1電極17に高周波電源10から13.56MHzの高周波電力を供給することにより、第1電極17と第2電極18の間の空間(2つの絶縁体19の間)にプラズマが発生する。
また、バイブレータとしての超音波振動子11と第2電極18が、ホーン12を介して接続されており、また、第2電極18の、ホーン12と反対側の端に整合ユニット13が接続されている。バイブレータ11を動作させることにより、第2電極18が、第1電極17に対して平行に機械的に振動するように構成されている。ここでは、周波数90kHz、振幅10μmにて第2電極18を振動させた。ホーン12は振動エネルギーを第2電極18に伝達するための部材であり、また、整合ユニット13は、振動系の固有振動数をバイブレータ11の発信周波数に整合させ、投入エネルギーに対してできるだけ大きい振動振幅を得るためのものである。上記の各構成要素は大気圧中にあり、真空容器のような完全密閉型の頑丈な容器や、真空ポンプは不要である。なお、基板2を基板電極1に固定する方法としては、載置、着脱可能な接着剤を用いる方法、粘着シートを用いる方法、押さえ治具を用いる方法などから適宜選択することができる。
図5における2つの絶縁体19の間のギャップGは、0.3mm〜5mmであることが好ましい。ギャップGが狭すぎても広すぎても、放電が着火しない場合がある。動作圧力範囲は0.1気圧以上10気圧以下が好ましい。圧力が小さいと、完全密閉型の容器や真空ポンプが必要となり、コスト面で不利である。圧力が大きい場合にも完全密閉型の容器が必要となる。大気圧近傍で動作させることが、コスト面、トータル処理時間の面からもっとも有利である。また、高周波電力は基板の面積1平方センチ当たり概ね0.1W〜10W供給する。電力が小さすぎると放電が発生しない場合がある。逆に電力が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。
このようなプラズマ発生装置において、10mm×10mm×1mmのガラス基板2を用い、空気流量3slm、高周波電力300Wの条件で大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)は生じず、また、1秒間のプラズマ照射によって、基板2の表面の表面改質(濡れ性改善)が行えた。プラズマ照射前における基板2の水の接触角は25°であったが、プラズマ照射後は9°にまで低下させることができた。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4について、図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施の形態6において用いたプラズマ発生装置の概略構成図である。図6において、第1電極17と第2電極18が対向して配置されている。第1電極17と第2電極18の互いに対向する面は、絶縁体19で覆われている。被処理物としての基板2は、基板電極1上に載置されている。図示しないガス供給装置から配管を介して、第1電極17と第2電極18の間の空間(2つの絶縁体19の間)にガスが供給され、基板2上に噴出させる。この状態で第1電極17に高周波電源10から13.56MHzの高周波電力を供給することにより、第1電極17と第2電極18の間の空間(2つの絶縁体19の間)にプラズマが発生する。
また、回転台としてのモータ20と第2電極18が、シャフト21を介して接続されており、モータ20を回転させることにより、第2電極18が、第1電極17に対して平行に回転するように構成されている。ここでは、回転数5000rpmにて第2電極18を回転させた。上記の各構成要素は大気圧中にあり、真空容器のような完全密閉型の頑丈な容器や、真空ポンプは不要である。
なお、基板2を基板電極1に固定する方法としては、載置、着脱可能な接着剤を用いる方法、粘着シートを用いる方法、押さえ治具を用いる方法などから適宜選択することができる。
図6における2つの絶縁体19の間のギャップGは、0.3mm〜5mmであることが好ましい。ギャップGが狭すぎても広すぎても、放電が着火しない場合がある。動作圧力範囲は0.1気圧以上10気圧以下が好ましい。圧力が小さいと、完全密閉型の容器や真空ポンプが必要となり、コスト面で不利である。圧力が大きい場合にも完全密閉型の容器が必要となる。大気圧近傍で動作させることが、コスト面、トータル処理時間の面からもっとも有利である。
また、高周波電力は基板の面積1平方センチ当たり概ね0.1W〜10W供給する。電力が小さすぎると放電が発生しない場合がある。逆に電力が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。
このようなプラズマ発生装置において、10mm×10mm×1mmのガラス基板2を用い、空気流量3slm、高周波電力300Wの条件で大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)は生じず、また、1秒間のプラズマ照射によって、基板2の表面の表面改質(濡れ性改善)が行えた。プラズマ照射前における基板2の水の接触角は25°であったが、プラズマ照射後は11°にまで低下させることができた。
このように、空気という極めて安価なガスを用いて、高速で、かつ、アーク放電(火花)を生じさせることなく、良好にプラズマ発生及びプラズマ処理が行えた理由は、すでに図2を参照して詳しく説明したことと同様であり、第2電極18が回転することによって第1電極17と第2電極18の互いの相対位置が絶えず変化するため、ストリーマを契機としたアーク放電(火花)が発生しなかったためである。
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5について、図7を参照して説明する。
図7は、本発明の実施の形態5において用いたプラズマ発生装置の概略構成図である。図7において、第1電極としての基板電極1上に被処理物としてのシリコン基板2が載置されている。基板電極1に対向して第2電極としての対向電極3が設けられ、対向電極3にはシャワー電極4及びシャワープレート5が設けられている。シャワー電極4及びシャワープレート5には互いに対応する位置にシャワー穴(貫通穴)6が設けられている。ガス供給装置7から配管8を介して、対向電極3とシャワー電極4の間に設けられた空間であるガス溜まり9にガスが供給され、シャワー穴6を通じて基板2上に噴出させる。この状態で対向電極3に高周波電源10から13.56MHzの高周波電力を供給することにより、シャワープレート5と基板2間にプラズマが発生する。また、回転台としてのモータ20と基板電極1が、シャフト21を介して接続されており、モータ20を回転させることにより、基板電極1が、対向電極3に対して平行に回転するように構成されている。
ここでは、回転数3000rpmにて基板電極1を回転させた。上記の各構成要素は大気圧中にあり、真空容器のような完全密閉型の頑丈な容器や、真空ポンプは不要である。なお、基板2を基板電極1に固定する方法としては、着脱可能な接着剤を用いる方法、粘着シートを用いる方法、押さえ治具を用いる方法などから適宜選択することができる。
図7におけるシャワープレート5と基板2間のギャップGは、0.3mm〜5mmであることが好ましい。ギャップGが狭すぎても広すぎても、放電が着火しない場合がある。シャワー穴6の直径は0.05mm〜1mmであることが好ましい。シャワー穴6の直径が小さすぎると、処理を繰り返し行ったときの経時変化が大きくなり、再現性の低下を招くことがある。シャワー穴6の直径が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。動作圧力範囲は0.1気圧以上10気圧以下が好ましい。圧力が小さいと、完全密閉型の容器や真空ポンプが必要となり、コスト面で不利である。圧力が大きい場合にも完全密閉型の容器が必要となる。大気圧近傍で動作させることが、コスト面、トータル処理時間の面からもっとも有利である。
また、高周波電力は基板の面積1平方センチ当たり概ね0.1W〜10W供給する。電力が小さすぎると放電が発生しない場合がある。逆に電力が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。
このようなプラズマ発生装置において、直径8インチのシリコン基板2を用い、空気流量10slm、高周波電力500Wの条件で大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)は生じず、また、1秒間のプラズマ照射によって、基板2の表面の表面改質(濡れ性改善)が行えた。プラズマ照射前における基板2の水の接触角は31°であったが、プラズマ照射後は9°にまで低下させることができた。
(実施の形態6)
以下、本発明の実施の形態6について、図8を参照して説明する。
図8は、本発明の実施の形態6において用いたプラズマ発生装置の概略構成図である。図8において、第1電極としての基板電極1上に被処理物としてのシリコン基板2が載置されている。基板電極1に対向して第2電極としての対向電極3が設けられ、対向電極3にはシャワー電極4及びシャワープレート5が設けられている。シャワー電極4及びシャワープレート5には互いに対応する位置にシャワー穴(貫通穴)6が設けられている。ガス供給装置7から配管8を介して、対向電極3とシャワー電極4の間に設けられた空間であるガス溜まり9にガスが供給され、シャワー穴6を通じて基板2上に噴出させる。この状態で基板電極1に高周波電源10から13.56MHzの高周波電力を供給することにより、シャワープレート5と基板2間にプラズマが発生する。また、回転台としてのモータ20と対向電極3が、シャフト21を介して接続されており、モータ20を回転させることにより、対向電極3が、基板電極1に対して平行に回転するように構成されている。ここでは、回転数3000rpmにて対向電極3を回転させた。上記の各構成要素は大気圧中にあり、真空容器のような完全密閉型の頑丈な容器や、真空ポンプは不要である。
なお、基板2を基板電極1に固定する方法としては、着脱可能な接着剤を用いる方法、粘着シートを用いる方法、押さえ治具を用いる方法などから適宜選択することができる。
図8におけるシャワープレート5と基板2間のギャップGは、0.3mm〜5mmであることが好ましい。ギャップGが狭すぎても広すぎても、放電が着火しない場合がある。シャワー穴6の直径は0.05mm〜1mmであることが好ましい。シャワー穴6の直径が小さすぎると、処理を繰り返し行ったときの経時変化が大きくなり、再現性の低下を招くことがある。シャワー穴6の直径が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。動作圧力範囲は0.1気圧以上10気圧以下が好ましい。圧力が小さいと、完全密閉型の容器や真空ポンプが必要となり、コスト面で不利である。圧力が大きい場合にも完全密閉型の容器が必要となる。大気圧近傍で動作させることが、コスト面、トータル処理時間の面からもっとも有利である。
また、高周波電力は基板の面積1平方センチ当たり概ね0.1W〜10W供給する。電力が小さすぎると放電が発生しない場合がある。逆に電力が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。
このようなプラズマ発生装置において、直径8インチのシリコン基板2を用い、空気流量10slm、高周波電力500Wの条件で大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)は生じず、また、1秒間のプラズマ照射によって、基板2の表面の表面改質(濡れ性改善)が行えた。プラズマ照射前における基板2の水の接触角は31°であったが、プラズマ照射後は10°にまで低下させることができた。
(実施の形態7)
以下、本発明の実施の形態7について、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の実施の形態7において用いたプラズマ発生装置の概略構成図である。図9において、第1電極としての基板電極1上に被処理物としてのシリコン基板2が載置されている。基板電極1に対向して第2電極としての対向電極3が設けられ、対向電極3にはシャワー電極4及びシャワープレート5が設けられている。シャワー電極4及びシャワープレート5には互いに対応する位置にシャワー穴(貫通穴)6が設けられている。ガス供給装置7から配管8を介して、対向電極3とシャワー電極4の間に設けられた空間であるガス溜まり9にガスが供給され、シャワー穴6を通じて基板2上に噴出させる。この状態で基板電極1に高周波電源10から13.56MHzの高周波電力を供給することにより、シャワープレート5と基板2間にプラズマが発生する。
また、振動バルブとしてのピエゾ振動子22が、ガス溜まり9に接して設けられており、ピエゾ振動子22を動作させることにより、ガスの流れに脈動を与えることができるように構成されている。ここでは、周波数10kHzにてピエゾ振動子22を動作させ、ガスの流れに脈動を与えた。上記の各構成要素は大気圧中にあり、真空容器のような完全密閉型の頑丈な容器や、真空ポンプは不要である。
なお、基板2を基板電極1に固定する方法としては、着脱可能な接着剤を用いる方法、粘着シートを用いる方法、押さえ治具を用いる方法などから適宜選択することができる。
図9におけるシャワープレート5と基板2間のギャップGは、0.3mm〜5mmであることが好ましい。ギャップGが狭すぎても広すぎても、放電が着火しない場合がある。シャワー穴6の直径は0.05mm〜1mmであることが好ましい。シャワー穴6の直径が小さすぎると、処理を繰り返し行ったときの経時変化が大きくなり、再現性の低下を招くことがある。シャワー穴6の直径が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。動作圧力範囲は0.1気圧以上10気圧以下が好ましい。圧力が小さいと、完全密閉型の容器や真空ポンプが必要となり、コスト面で不利である。圧力が大きい場合にも完全密閉型の容器が必要となる。大気圧近傍で動作させることが、コスト面、トータル処理時間の面からもっとも有利である。
また、高周波電力は基板の面積1平方センチ当たり概ね0.1W〜10W供給する。電力が小さすぎると放電が発生しない場合がある。逆に電力が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。
このようなプラズマ発生装置において、直径8インチのシリコン基板2を用い、空気流量4slm、高周波電力400Wの条件で大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)は生じず、また、1秒間のプラズマ照射によって、基板2の表面の表面改質(濡れ性改善)が行えた。プラズマ照射前における基板2の水の接触角は31°であったが、プラズマ照射後は11°にまで低下させることができた。
このように、空気という極めて安価なガスを用いて、高速で、かつ、アーク放電(火花)を生じさせることなく、良好にプラズマ発生及びプラズマ処理が行えた理由は、振動バルブとしてのピエゾ振動子22が振動することによってガスの流れに脈動が生じ、ストリーマがその衝撃によって分断されるため、ストリーマを契機としたアーク放電(火花)が発生しなかったためである。
(実施の形態8)
以下、本発明の実施の形態8について、図10を参照して説明する。
図10は、本発明の実施の形態8において用いたプラズマ発生装置の概略構成図である。図10において、第1電極17と第2電極18が対向して配置されている。第1電極17と第2電極18の互いに対向する面は、絶縁体19で覆われている。被処理物としての基板2は、基板電極1上に載置されている。図示しないガス供給装置から配管を介して、第1電極17と第2電極18の間の空間(2つの絶縁体19の間)にガスが供給され、基板2上に噴出させる。この状態で第1電極17に高周波電源10から13.56MHzの高周波電力を供給することにより、第1電極17と第2電極18の間の空間(2つの絶縁体19の間)にプラズマが発生する。また、振動バルブとしてのピエゾ振動子22が、第2電極18側の絶縁体19に設けられており、ピエゾ振動子22を動作させることにより、ガスの流れに脈動を与えることができるように構成されている。
ここでは、周波数70kHzにてピエゾ振動子22を動作させ、ガスの流れに脈動を与えた。上記の各構成要素は大気圧中にあり、真空容器のような完全密閉型の頑丈な容器や、真空ポンプは不要である。なお、基板2を基板電極1に固定する方法としては、載置、着脱可能な接着剤を用いる方法、粘着シートを用いる方法、押さえ治具を用いる方法などから適宜選択することができる。
図10における2つの絶縁体19の間のギャップGは、0.3mm〜5mmであることが好ましい。ギャップGが狭すぎても広すぎても、放電が着火しない場合がある。動作圧力範囲は0.1気圧以上10気圧以下が好ましい。圧力が小さいと、完全密閉型の容器や真空ポンプが必要となり、コスト面で不利である。圧力が大きい場合にも完全密閉型の容器が必要となる。大気圧近傍で動作させることが、コスト面、トータル処理時間の面からもっとも有利である。
また、高周波電力は基板の面積1平方センチ当たり概ね0.1W〜10W供給する。電力が小さすぎると放電が発生しない場合がある。逆に電力が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。
このようなプラズマ発生装置において、10mm×10mm×1mmのガラス基板2を用い、空気流量3slm、高周波電力300Wの条件で大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)は生じず、また、1秒間のプラズマ照射によって、基板2の表面の表面改質(濡れ性改善)が行えた。プラズマ照射前における基板2の水の接触角は25°であったが、プラズマ照射後は10°にまで低下させることができた。
このように、空気という極めて安価なガスを用いて、高速で、かつ、アーク放電(火花)を生じさせることなく、良好にプラズマ発生及びプラズマ処理が行えた理由は、振動バルブとしてのピエゾ振動子22が振動することによってガスの流れに脈動が生じ、ストリーマがその衝撃によって分断されるため、ストリーマを契機としたアーク放電(火花)が発生しなかったためである。
(実施の形態9)
以下、本発明の実施の形態9について、図11を参照して説明する。
図11は、本発明の実施の形態9において用いたプラズマ発生装置の概略構成図である。図11において、第1電極としての基板電極1上に被処理物としてのシリコン基板2が載置されている。基板電極1に対向して第2電極としての対向電極3が設けられ、対向電極3にはシャワー電極4及びシャワープレート5が設けられている。シャワー電極4及びシャワープレート5には互いに対応する位置にシャワー穴(貫通穴)6が設けられている。ガス供給装置7から配管8を介して、対向電極3とシャワー電極4の間に設けられた空間であるガス溜まり9にガスが供給され、シャワー穴6を通じて基板2上に噴出させる。この状態で対向電極3に高周波電源10から13.56MHzの高周波電力を供給することにより、シャワープレート5と基板2間にプラズマが発生する。また、回転台としてのモータ20と基板電極1が、シャフト21を介して接続されており、モータ20を回転させることにより、基板電極1が、対向電極3に対して平行に回転するように構成されている。
また、第2の回転台としての第2モータ23とモータ20が、第2シャフト24を介して接続されており、第2モータ23を回転させることにより、モータ20が回転するように構成されている。なお、シャフト21と第2シャフト24は軸をずらして配置されている。ここでは、回転数1000rpmにてモータ20を回転させるとともに、回転数1000rpmにて第2モータ23を回転させた。上記の各構成要素は大気圧中にあり、真空容器のような完全密閉型の頑丈な容器や、真空ポンプは不要である。
なお、基板2を基板電極1に固定する方法としては、着脱可能な接着剤を用いる方法、粘着シートを用いる方法、押さえ治具を用いる方法などから適宜選択することができる。
図11におけるシャワープレート5と基板2間のギャップGは、0.3mm〜5mmであることが好ましい。ギャップGが狭すぎても広すぎても、放電が着火しない場合がある。シャワー穴6の直径は0.05mm〜1mmであることが好ましい。シャワー穴6の直径が小さすぎると、処理を繰り返し行ったときの経時変化が大きくなり、再現性の低下を招くことがある。シャワー穴6の直径が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。動作圧力範囲は0.1気圧以上10気圧以下が好ましい。圧力が小さいと、完全密閉型の容器や真空ポンプが必要となり、コスト面で不利である。圧力が大きい場合にも完全密閉型の容器が必要となる。大気圧近傍で動作させることが、コスト面、トータル処理時間の面からもっとも有利である。
また、高周波電力は基板の面積1平方センチ当たり概ね0.1W〜10W供給する。電力が小さすぎると放電が発生しない場合がある。逆に電力が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。
このようなプラズマ発生装置において、直径8インチのシリコン基板2を用い、空気流量8slm、高周波電力500Wの条件で大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)は生じず、また、1秒間のプラズマ照射によって、基板2の表面の表面改質(濡れ性改善)が行えた。プラズマ照射前における基板2の水の接触角は31°であったが、プラズマ照射後は9°にまで低下させることができた。
このように、空気という極めて安価なガスを用いて、高速で、かつ、アーク放電(火花)を生じさせることなく、良好にプラズマ発生及びプラズマ処理が行えた理由は、モータ20及び第2モータ23が回転することによって、基板2がシャワープレート5に対して複雑に回転運動し、シャフト21の回転中心までもがシャワープレート5に対して絶えず相対位置が変化したため、ストリーマを契機としたアーク放電(火花)が発生しなかったためである。
(実施の形態10)
以下、本発明の実施の形態10について、図12を参照して説明する。
図12は、本発明の実施の形態10において用いたプラズマ発生装置の概略構成図である。図12において、第1電極としての基板電極1上に被処理物としてのシリコン基板2が載置されている。基板電極1に対向して第2電極としての対向電極3が設けられ、対向電極3にはシャワー電極4及びシャワープレート5が設けられている。シャワー電極4及びシャワープレート5には互いに対応する位置にシャワー穴(貫通穴)6が設けられている。ガス供給装置7から配管8を介して、対向電極3とシャワー電極4の間に設けられた空間であるガス溜まり9にガスが供給され、シャワー穴6を通じて基板2上に噴出させる。この状態で対向電極3に高周波電源10から13.56MHzの高周波電力を供給することにより、シャワープレート5と基板2間にプラズマが発生する。
また、回転台としてのモータ20と基板電極1が、シャフト21を介して接続されており、モータ20を回転させることにより、基板電極1が、対向電極3に対して平行に回転するように構成されている。ここでは、回転数1000rpmにてモータ20を回転させた。また、バイブレータとしての超音波振動子11と対向電極3が、ホーン12を介して接続されており、また、対向電極3の、ホーン12と反対側の端に整合ユニット13が接続されている。バイブレータ11を動作させることにより、対向電極3、シャワー電極4及びシャワープレート5が、基板電極1及び基板2に対して平行に機械的に振動するように構成されている。
ここでは、周波数50kHz、振幅15μmにて対向電極3を振動させた。ホーン12は振動エネルギーを対向電極3に伝達するための部材であり、また、整合ユニット13は、振動系の固有振動数をバイブレータ11の発信周波数に整合させ、投入エネルギーに対してできるだけ大きい振動振幅を得るためのものである。上記の各構成要素は大気圧中にあり、真空容器のような完全密閉型の頑丈な容器や、真空ポンプは不要である。なお、基板2を基板電極1に固定する方法としては、着脱可能な接着剤を用いる方法、粘着シートを用いる方法、押さえ治具を用いる方法などから適宜選択することができる。
図12におけるシャワープレート5と基板2間のギャップGは、0.3mm〜5mmであることが好ましい。ギャップGが狭すぎても広すぎても、放電が着火しない場合がある。シャワー穴6の直径は0.05mm〜1mmであることが好ましい。シャワー穴6の直径が小さすぎると、処理を繰り返し行ったときの経時変化が大きくなり、再現性の低下を招くことがある。シャワー穴6の直径が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。動作圧力範囲は0.1気圧以上10気圧以下が好ましい。圧力が小さいと、完全密閉型の容器や真空ポンプが必要となり、コスト面で不利である。圧力が大きい場合にも完全密閉型の容器が必要となる。大気圧近傍で動作させることが、コスト面、トータル処理時間の面からもっとも有利である。
また、高周波電力は基板の面積1平方センチ当たり概ね0.1W〜10W供給する。電力が小さすぎると放電が発生しない場合がある。逆に電力が大きすぎると、アーク放電を引き起こしやすい。
このようなプラズマ発生装置において、直径8インチのシリコン基板2を用い、空気流量8slm、高周波電力500Wの条件で大気圧プラズマを発生させたところ、アーク放電(火花)は生じず、また、1秒間のプラズマ照射によって、基板2の表面の表面改質(濡れ性改善)が行えた。プラズマ照射前における基板2の水の接触角は31°であったが、プラズマ照射後は8°にまで低下させることができた。
このように、空気という極めて安価なガスを用いて、高速で、かつ、アーク放電(火花)を生じさせることなく、良好にプラズマ発生及びプラズマ処理が行えた理由は、モータ20が回転することと、超音波振動子11が振動することによって、基板2がシャワープレート5に対して複雑に運動し、基板2がシャワープレート5に対して絶えず相対位置が変化したため、ストリーマを契機としたアーク放電(火花)が発生しなかったためである。
以上述べた本発明の実施形態において、プラズマ源としていくつかの構成例を示したが、様々なプラズマ源を用いることができる。例えば、誘導結合型プラズマ源や、マイクロ波プラズマ源を用いることも可能である。
また、13.56MHzの高周波電力を用いてプラズマを発生させる場合を例示したが、数百kHzから数GHzまでの高周波電力を用いてプラズマを発生させることが可能である。あるいは、直流電力を用いてもよいし、パルス電力を供給することも可能である。パルス電力を用いる場合は、正負のパルスを交互に供給することによって、誘電体の帯電を解消して連続的に放電を発生させることが可能となる。
また、パルスはアーク放電(火花)を防止させる効果が不要であるので、さほど高速なパルスである必要はなく、数十Hzから数百Hzであってもよいが、もちろん、数kHzから数MHzという高速であれば、アーク放電(火花)をより効果的に防止することが可能となる。
また、実施の形態では電力値によって投入電力を表記したが、放電の開始は概ね電圧で決まる。投入電圧は100V以上100kV以下であることが好ましい。投入電圧が100V以下であると、放電が開始しない場合がある。投入電圧が100kV以上であると、本発明の適用によってもアーク放電(火花)の発生を抑制できない場合がある。より好ましくは、電圧が1kV以上10kV以下であることが望ましい。投入電圧が1kV以下であると、放電が開始しない場合がある。投入電圧が10kV以上であると、本発明の適用によってもアーク放電(火花)の発生を抑制できない場合がある。
また、第1電極を振動させながら第2電極を回転させる、電極または被処理物を振動または回転させながら、ガスの流れに脈動を与えるなど、実施の形態に示したいくつかの方法を組み合わせて用いることにより、アーク放電(火花)をより効果的に抑制することが可能である。
また、機械的な振動の周波数としていくつかを例示したが、周波数は1kHz以上1MHz以下であることが好ましい。周波数が1kHz未満だと、ストリーマの分断が不十分となり、アーク放電(火花)が発生する場合がある。また、周波数が1MHzより大きいと、振幅が小さすぎてアーク放電(火花)が発生する場合がある。さらに好ましくは、周波数は20kHz以上100kHz以下であることが望ましい。周波数が20kHz未満だと、ストリーマの分断が不十分となり、アーク放電(火花)が発生する場合がある。また、周波数が100kHzより大きいと、振幅が小さすぎてアーク放電(火花)が発生する場合がある。
また、機械的な振動の振幅としていくつかを例示したが、振幅は1μm以上10mm以下であることが好ましい。振幅が1μm未満だと、ストリーマの分断が不十分となり、アーク放電(火花)が発生する場合がある。また、振幅が10mmより大きい振動を与えることは、原理的に極めて困難である。さらに好ましくは、振動の振幅は10μm以上100μm以下であることが望ましい。振幅が10μm未満だと、ストリーマの分断が不十分となり、アーク放電(火花)が発生する場合がある。また、振幅が100μmより大きい振動を与えるには、高価な振動システムを要する。
また、機械的な振動の向きとして、第1電極または第2電極を互いに平行な方向に振動させる場合、または、基板と対向電極を互いに平行な方向に振動する場合を例示した。いずれも、プラズマを発生させる空間のギャップを一定として振動させる場合である。この場合、ギャップが変化しないので、放電が安定するという利点がある。これとは異なり、プラズマを発生させる空間のギャップが変化する方向に振動させてもよい。この場合、ギャップが広がっていく位相において、ストリーマを引っ張るサイクルが生じるため、ストリーマが分断されやすいという利点がある。
また、微小領域のみにプラズマを照射したい場合、例えば、マスクレスパターニングを行いたい場合などは、プラズマを発生させる空間のギャップが変化する方向に振動させることにより、プラズマを照射する領域を小さく保つことができるという利点がある。一方、マスクレスパターニングの中でも、微細線を加工する場合には、第1電極または第2電極を、または、基板と対向電極を、互いに平行で、かつ、加工したい線方向に振動させることによって、プラズマを照射する領域を小さく保つことも可能である。
また、電極または被処理物を回転させる際の回転数としていくつかを例示したが、回転数は1000rpm以上100000rpm以下であることが好ましい。回転数が1000rpm未満だと、ストリーマの分断が不十分となり、アーク放電(火花)が発生する場合がある。また、回転数が100000rpmより大きいものは、製作が困難で安定した動作ができない。
また、第1及び第2の電極間、または、電極と被処理物の間にガス(空気)を流す場合を例示したが、高速な処理が不要である場合、粉体を処理したい場合などはガスを流さない方がよいことがある。
また、ガスの流れに脈動を与える際の脈動の周波数としていくつかを例示したが、周波数は1kHz以上1MHz以下であることが好ましい。周波数が1kHz未満だと、ストリーマの分断が不十分となり、アーク放電(火花)が発生する場合がある。また、周波数が1MHzより大きいと、脈動の振幅が小さすぎてアーク放電(火花)が発生する場合がある。さらに好ましくは、周波数は20kHz以上100kHz以下であることが好ましい。周波数が20kHz未満だと、ストリーマの分断が不十分となり、アーク放電(火花)が発生する場合がある。また、周波数が100kHzより大きいと、脈動の振幅が小さすぎてアーク放電(火花)が発生する場合がある。
また、ガスとして空気を用いる場合を例示したが、所望の反応に応じて適切なガスを選択することが可能である。例えば、酸化であれば空気または酸素を用いてもよいし、エッチングであればハロゲン含有ガスと酸素などの混合ガスを用いてもよい。あるいは、TEOSガスと酸素を用いてシリコン酸化膜を形成することも可能である。単純な濡れ性改善が目的であれば、窒素を主体とするガスを用いてもよい。空気または窒素を主体とするガスを用いると、高価な希ガスを用いないため、ランニングコストが極めて小さくなるという利点がある。
また、プラズマを発生させる領域の圧力を大気圧よりも高くすることによって、振動の振幅、回転速度、脈動の振幅などを小さくすることができる。なぜなら、ストリーマの物理的な大きさが小さくなるためである。