JP2005070632A - 空間光変調装置及びプロジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で簡便な構成で高コントラストな投写像のプロジェクタを提供すること。
【解決手段】一対の対向基板201とTFT基板206と、対向基板201とTFT基板206との間に挟持された液晶205とを有し、対向基板201側からの入射光を画像信号に応じて変調してTFT基板206側から射出する空間光変調装置110Rにおいて、TFT基板206の射出側に入射光を偏向するウエッジプリズム214を有し、ウエッジプリズム214は、明視方向L側から対向基板201へ入射した光を対向基板201の法線M方向へ屈折して射出し、ウエッジプリズム214の高さをd、入射光の波長をλ、ウエッジプリズム214の屈折率をnとそれぞれするとき、以下のいずれかの条件式を満足することを特徴とする空間光変調装置。
d<0.95×λ/(2×(n−1))
d>1.05×λ/(2×(n−1))
【選択図】 図6

Description

本発明は、空間光変調装置及びプロジェクタ、特に、一対の基板間に封入された液晶が当該基板間で捩じれ配向している液晶型空間光変調装置、及びこの液晶型空間光変調装置を用いたプロジェクタに関するものである。
一対の基板間に封入された液晶が当該基板間で捩じれ配向しているタイプの液晶(Twisted Nematic型液晶、以下「TN液晶」という。)を用いる空間光変調装置が知られている。TN液晶の液晶型空間光変調装置は、例えばプロジェクタに対して透過型ライトバルブとして搭載されることが多い。
3板式のプロジェクタでは、赤色光(以下、「R光」という。)と、緑色光(以下、「G光」という。)と、青色光(以下、「B光」という。)との3色の光を各色光用液晶型空間光変調装置で画像信号に応じて変調する。変調された各色光は、色合成光学系で色合成され、所望のカラー画像を作り出し、投写される。TN液晶は、入射角度依存性を有している。このため、TN液晶の空間光変調装置では、特定の角度方向からの入射光が最もコンラストが高くなる。そして、TN液晶の空間光変調装置において、変調された光のコントラストを向上させる技術がいくつか提案されている(特許文献1、2、3参照)。
国際公開第WO00/33130パンフレット 特開2000−314877号公報 特開2001−296513号公報
従来の液晶型空間光変調装置の構成について説明する。従来の液晶型空間光変調装置は、アクティブマトリクス基板と、対向基板と、これらの基板間に封止された液晶とから構成される。アクティブマトリクス基板は、透明な画素電極、配向膜、画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という。)、データ線、走査線、容量線などが形成されている。対向基板には、透明な対向電極、配向膜が形成されている。液晶は、これらの基板間に封入、挟持されている。封入される液晶は、2つの配向膜によって基板間で90°に捩じれ配向した上述のTN(ツイステッドネマティック)モードの液晶が広く用いられている。このように構成した液晶型空間光変調装置では、アクティブマトリクス基板において、TFTを介してデータ線から画素電極に印加した画像信号によって、画素電極と対向電極との間において液晶の配向状態を制御することができる。
このような、透過型の液晶型空間光変調装置において、対向基板側から入射された光は、入射側偏光板によって所定の直線偏光光に揃えられる。所定の直線偏光光は、対向基板の側から液晶に入射し、ある領域を透過する直線偏光光は透過偏光軸が捩じられてアクティブマトリクス基板から射出される。これに対して、他の領域を通過した直線偏光光は透過偏光軸が捩じられることなくアクティブマトリクス基板の側から射出する。入射側偏光板と射出側偏光板とは、いわゆるクロスニコルの状態で配置されている。このため、射出側偏光板を通過するのは、液晶によって偏光軸が捩じられた方の直線偏光光、又は液晶によって偏光軸が捩じられることのなかった直線偏光光のうちの一方である。従って、これらの偏光状態を画素毎に制御することにより所定の情報を表示することができる。
上述の構成において、対向基板の側から入射した光がTFTのチャネル領域に入射、あるいはTFTのチャネル領域に反射されると、このような光は表示に寄与しないだけでなく、光電変換効果により光電流が発生し、TFTのトランジスタ特性が劣化する。このため、アクティブマトリクス基板と対向基板とには、それぞれ隣接する画素電極の間の領域に重なるように、クロムなどの金属材料や樹脂ブラックなどからなるブラックマトリクスと呼ばれる第1の遮光膜と第2の遮光膜とが形成されることがある。このように構成した場合に、液晶型空間光変調装置では、アクティブマトリクス基板と対向基板とのいずれにおいても、第1の遮光膜と第2の遮光膜とで区画された第1および第2の開口領域のみを光が透過し、それ以外の領域では光が第1の遮光膜と第2の遮光膜とで遮られる。このため、TFTのチャネル領域に強い光が入射し、あるいは反射してくるのを防止することができる。
このような構成の液晶型空間光変調装置において、アクティブマトリクス基板の第1の遮光膜と、対向基板の第2の遮光膜とは、略重なる領域に形成される。このため、アクティブマトリクス基板の第1の開口領域と、対向基板の第2の開口領域とは、それらの中心位置が一致する。
このように構成した液晶型空間光変調装置の液晶の配向状態を図12に模式的に示す。液晶1139は、アクティブマトリクス基板1120と対向基板1130との間で、90°に捩じれ配向した状態にある。ここで、図12には各基板1120、1130の方向を表すために、時計における時刻に相当する数字を付してある。このような90°の捩じれをもたせるには、各基板1120、1130の表面に配向膜となるポリイミド膜などを形成する。配向膜には、矢印Aと矢印Bとでそれぞれのラビング方向を示すように、一対の基板間で互いに直角をなす方向にそれぞれラビング処理が施されている。そして、各基板1120、1130を貼り合わせ、その隙間に液晶1139を充填する。この結果、液晶1139は配向膜へのラビング方向に長軸方向を向けて配向するため、一対の基板1120、1130間において液晶1139の長軸方向は90°捩じれる。
このようにして捩じれ配向させた液晶1139を用いた液晶型空間光変調装置1100では、基板1120、1130間の中央に位置する液晶1139の配向状態(長軸方向および長軸の頼き)によりコントラスト特性が方向性を示す。すなわち、図12に示すように液晶1139を配向させたときは、図13−1に示すように、液晶型空間光変調装置1100の3時−9時方向におけるコントラスト特性は、6時−12時を中心に左右対称の特性を示す。これに対して、図13−2に示すように、液晶型空間光変調装置1100の6時−12時方向におけるコントラスト特性は、6時の方同においてコントラストが高い一方、それから外れると大幅に低下する。従って、12時の方向では著しくコントラストが低下する。このようなとき、6時の方向を明視方向といい、それとは反対の方向を逆明視方向という。
このため、図14に示すように、液晶型空間光変調装置1100に対しては明視方向Lから光を入射させれば、コントラストの高い表示を行うことができる。ここで、明視方向Lは、対向基板1130の法線Mに対して角度θだけ傾いている。このため、液晶型空間光変調装置1100で変調された射出光も、法線Mに対して角度θだけ傾いて射出する。上記特許文献1、2、3には、光学素子を用いて空間光変調装置に対して明視方向から光を入射させる構成が開示されている。光学素子は、特許文献2、3に開示されているように、マイクロレンズアレイ、又はマイクロプリズムアレイを用いる。
明視方向から空間光変調装置に入射した光は、画像信号に応じて変調された後、そのまま直進する方向へ射出される。すなわち、空間光変調装置を射出する光は、法線Mに対して角度θだけ傾いた方向へ進行する。ここで、3板式のプロジェクタの場合、色合成光学系として2つのダイクロイック面をX字状に配置するクロスダイクロイックプリズムを用いる場合が多い。
しかしながら、変調されたR光、G光、B光がそれぞれクロスダイクロイックプリズムの入射面の法線に対して角度を持って入射すると、色合成を行うことが難しくなってしまう。ここで、相互に傾いた3つの光を合成する色合成光学系も考えられる。このような色合成光学系は、構成が複雑になるため製造コストが高くなってしまう。
また、空間光変調装置の射出側に明視方向から入射した光を、法線Mの方向へ偏向させるマイクロレンズ、又はマイクロプリズムをさらに設ける構成も考えられる。しかしながら、各開口領域ごとの位置に対応するマイクロレンズアレイ、又はマイクロプリズムアレイを製造するためには、製造コストが非常に高くなってしまう。このため、投写像のコントラストを高くするために空間光変調装置へ明視方向から光を入射させた場合に、安価で簡便な構成で色合成を行うことは困難であるため問題である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安価で簡便な構成で高コントラストな投写像のプロジェクタ及び空間光変調装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決し、目的を達成するために、第1の発明によれば、一対の第1の基板と第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に挟持された液晶とを有し、第1の基板側からの入射光を画像信号に応じて変調して第2の基板側から射出する空間光変調装置において、第2の基板の射出側に入射光を偏向するプリズムを有し、プリズムは、明視方向から第1の基板へ入射した光を第1の基板の法線方向へ屈折して射出し、プリズムの高さをd、入射光の波長をλ、プリズムの屈折率をnとそれぞれするとき、以下のいずれかの条件式を満足することを特徴とする空間光変調装置を提供できる。
d<0.95×λ/(2×(n−1))
d>1.05×λ/(2×(n−1))
これにより、明視方向から第1の基板へ入射した光を第1の基板の法線方向へ屈折して射出することができる。この結果、一般のクロスダイクロイックプリズム等で容易に色合成を行うことができる。また、プリズムは、傾斜面の角度が同一ならば、複数のプリズム素子で構成することもできる。この場合、隣接するプリズム素子との境界の段差部分で回折作用を生じてしまう場合がある。回折光は、投写像の画質を劣化させるので望ましくない。
このため、第1の発明では、以下の条件式(1)又は(2)を満足する構成としている。
d<0.95×λ/(2×(n−1)) (1)
d>1.05×λ/(2×(n−1)) (2)
プリズムの高さdは、次式(A1)、
d=λ/(2×(n−1)) (A1)
の条件を満足すると、回折効率が向上してしまう。これに対して、第1の本発明では、回折光を生じさせないこと、又は回折光が生じても観察者が認識しない程度であることが望ましい。このため、本発明では、条件式(1)又は(2)を満足することで、条件式(A1)で規定される高さdと異ならせることができる。このため、観察者は、回折光が低減された品質の良い画像を観察できる。従って、第1の発明によれば、観察者は回折光による投写像の劣化を認識することなく、高コントラストな画像を観察できる。また、空間光変調装置を、単独で直視の画像表示装置として用いた場合でも、観察する正面方向の光量を十分に確保できる。このため、視野角度の広い直視型の画像表示装置を得ることができる。
好ましくは、以下の条件式(3)又は(4)を満足することが望ましい。
d<0.9×λ/(2×(n−1)) (3)
d>1.1×λ/(2×(n−1)) (4)
さらに好ましくは、以下の条件式(5)又は(6)を満足することが望ましい。
d<0.7×λ/(2×(n−1)) (5)
d>1.3×λ/(2×(n−1)) (6)
上記条件式(3)〜(6)のいずれかを満足することで、プリズムからの回折光の強度をさらに小さくすることができる。これにより、さらに高コントラストな画像を得ることができる。
また、第2の発明によれば、一対の第1の基板と第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に挟持された液晶とを有し、第1の基板側からの入射光を画像信号に応じて変調して第2の基板側から射出する空間光変調装置において、第2の基板の射出側に入射光を偏向するプリズムを有し、プリズムは、明視方向から前記第1の基板へ入射した光を第1の基板の法線方向へ屈折して射出し、プリズムは、複数のプリズム素子から構成され、プリズム素子の高さはそれぞれ非周期的となるように形成されていることを特徴とする空間光変調装置を提供できる。
これにより、明視方向から第1の基板へ入射した光を第1の基板の法線方向へ屈折して射出することができる。この結果、一般のクロスダイクロイックプリズム等で容易に色合成を行うことができる。また、プリズムは、傾斜面の角度が同一ならば、複数のプリズム素子で構成することもできる。この場合、隣接するプリズム素子との境界の段差部分で回折作用を生じてしまう場合がある。回折光は、投写像の画質を劣化させるので望ましくない。
複数のプリズム素子により回折光が生ずる構造の一つとして、プリズム素子の周期的な構造を挙げることができる。第2の発明では、各プリズム素子の高さが、それぞれ非周期的となるように形成されている。これにより、プリズム素子の周期的構造に起因する回折光の発生を低減することができる。このため、観察者は、回折光が低減された品質の良い画像を観察できる。従って、第2の発明によれば、観察者は回折光による投写像の劣化を認識することなく、高コントラストな画像を観察できる。
また、第3の発明によれば、一対の第1の基板と第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に挟持された液晶とを有し、第1の基板側からの入射光を画像信号に応じて変調して第2の基板側から射出する空間光変調装置において、第2の基板の射出側に入射光を偏向するプリズムを有し、プリズムは、明視方向から前記第1の基板へ入射した光を第1の基板の法線方向へ屈折して射出し、プリズムは、略直線の形状に沿って配列され、略直線の数が単位面積あたりに15本以下であることを特徴とする空間光変調装置を提供できる。
これにより、明視方向から第1の基板へ入射した光を第1の基板の法線方向へ屈折して射出することができる。この結果、一般のクロスダイクロイックプリズム等で容易に色合成を行うことができる。また、プリズムは、屈折面(傾斜面)の角度が同一ならば、複数のプリズム素子で構成することもできる。この場合、隣接するプリズム素子との境界の段差部分で回折作用を生じてしまう場合がある。回折光は、投写像の画質を劣化させるので望ましくない。
複数のプリズム素子により回折光が生ずる構造の一つとして、プリズム素子の配列の周期的な構造を挙げることができる。第3の発明では、プリズムが略直線の形状に沿って配列されている場合、略直線の数が単位面積あたりに15本以下である。これにより、プリズム素子の配列の周期的構造に起因する回折光の発生を低減することができる。このため、観察者は、回折光が低減された品質の良い画像を観察できる。従って、第2の発明によれば、観察者は回折光による投写像の劣化を認識することなく、高コントラストな画像を観察できる。
また、好ましくは、略直線の数が単位面積あたりに10〜12本であることが望ましい。さらに好ましくは、略直線の数が単位面積あたりに7〜9本であることが望ましい。これにより、プリズム素子の配列の周期的構造に起因する回折光の発生をさらに確実に低減することができる。
また、第3の発明の好ましい態様によれば、単位面積は、液晶へ入射光を供給する照明光学系の開口数と、液晶からの変調された射出光が入射する投写光学系の開口数とにより定まることが望ましい。これにより、必要最小限の単位面積において、プリズム素子の配列の周期的構造を制限すれば良い。この結果、プリズムの屈折面による屈折作用を生じさせると同時に、回折光の発生を低減できる。従って、観察者は回折光による投写像の劣化を認識することなく、高コントラストな画像を観察できる。
また、第4の発明によれば、一対の第1の基板と第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に挟持された液晶とを有し、第1の基板側からの入射光を画像信号に応じて変調して第2の基板側から射出する空間光変調装置において、第2の基板の射出側に入射光を偏向する回折格子を有し、回折格子は、明視方向から第1の基板へ入射した光を第1の基板の法線方向へ回折して射出することを特徴とする空間光変調装置を提供できる。
これにより、明視方向から第1の基板へ入射した光を第1の基板の法線方向へ回折して射出することができる。この結果、一般のクロスダイクロイックプリズム等で容易に色合成を行うことができる。
また、第4の発明の好ましい態様によれば、回折格子はブレーズ型回折格子であることが望ましい。ブレーズ型回折格子は容易に製造できるため、安価な製造コストで、高コントラストな投写像を得られる。
また、第5の発明によれば、照明光を供給する光源と、上述の空間光変調装置と、空間光変調装置で変調された光を投写する投写レンズとを有するプロジェクタであって、プリズム又は回折格子は、第2の基板と投写レンズとの間に設けられていることを特徴とするプロジェクタを提供できる。第5の発明に係るプロジェクタは、上述の空間光変調装置を備えている。これにより、明視方向から空間光変調装置へ入射する光を、第1の基板の法線方向へ屈折又は回折させることができる。そして、一般のクロスダイクロイックプリズム等を用いて容易に色合成できる。この結果、安価で簡便な構成で高コントラストな投写像のプロジェクタを提供できる。
以下に、本発明に係るプロジェクタの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
(プロジェクタ全体説明)
初めに図1を参照して、本発明の実施例1に係るプロジェクタの概略構成を説明する。次に、図2以降を参照して、本実施例の特徴的な構成を説明する。まず、図1において、光源部である超高圧水銀ランプ101は、第1色光であるR光、第2色光であるG光と、第3色光であるB光とを含む光を供給する。インテグレータ104は、超高圧水銀ランプ101からの光の照度分布を均一化する。照度分布を均一化された光は、偏光変換素子105にて特定の振動方向を有する偏光光、例えばs偏光光に変換される。s偏光光に変換された光は、色分離光学系を構成するR光透過ダイクロイックミラー106Rに入射する。以下、R光について説明する。R光透過ダイクロイックミラー106Rは、R光を透過し、G光、B光を反射する。R光透過ダイクロイックミラー106Rを透過したR光は、反射ミラー107に入射する。反射ミラー107は、R光の光路を90度折り曲げる。光路を折り曲げられたR光は、第1色光であるR光を画像信号に応じて変調する第1色光用空間光変調装置110Rに入射する。第1色光用空間光変調装置110Rは、R光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶表示装置である。なお、ダイクロイックミラーを透過しても、光の偏光方向は変化しないため、第1色光用空間光変調装置110Rに入射するR光は、s偏光光のままの状態である。
第1色光用空間光変調装置110Rは、λ/2位相差板123R、ガラス板124R、第1偏光板121R、液晶パネル120R、及び第2偏光板122Rを有する。液晶パネル120Rの詳細な構成については後述する。λ/2位相差板123R及び第1偏光板121Rは、偏光方向を変換させない透光性のガラス板124Rに接する状態で配置される。これにより、第1偏光板121R及びλ/2位相差板123Rが、発熱により歪んでしまうという問題を回避できる。なお、図1において、第2偏光板122Rは独立して設けられているが、液晶パネル120Rの射出面や、クロスダイクロイックプリズム112の入射面に接する状態で配置しても良い。
第1色光用空間光変調装置110Rに入射したs偏光光は、λ/2位相差板123Rによりp偏光光に変換される。p偏光光に変換されたR光は、ガラス板124R及び第1偏光板121Rをそのまま透過し、液晶パネル120Rに入射する。液晶パネル120Rに入射したp偏光光は、画像信号に応じた変調により、R光がs偏光光に変換される。液晶パネル120Rの変調により、s偏光光に変換されたR光が、第2偏光板122Rから射出される。このようにして、第1色光用空間光変調装置110Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム112に入射する。
次に、G光について説明する。R光透過ダイクロイックミラー106Rで反射された、G光とB光とは光路を90度折り曲げられる。光路を折り曲げられたG光とB光とは、B光透過ダイクロイックミラー106Gに入射する。B光透過ダイクロイックミラー106Gは、G光を反射し、B光を透過する。B光透過ダイクロイックミラー106Gで反射されたG光は、第2色光であるG光を画像信号に応じて変調する第2色光用空間光変調装置110Gに入射する。第2色光用空間光変調装置110GはG光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶表示装置である。第2色光用空間光変調装置110Gは、液晶パネル120G、第1偏光板121G及び第2偏光板122Gを有する。液晶パネル120Gの詳細に関しては後述する。
第2色光用空間光変調装置110Gに入射するG光は、s偏光光に変換されている。第2色光用空間光変調装置110Gに入射したs偏光光は、第1偏光板121Gをそのまま透過し、液晶パネル120Gに入射する。液晶パネル120Gに入射したs偏光光は、画像信号に応じた変調により、G光がp偏光光に変換される。液晶パネル120Gの変調により、p偏光光に変換されたG光が、第2偏光板122Gから射出される。このようにして、第2色光用空間光変調装置110Gで変調されたG光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム112に入射する。
次に、B光について説明する。B光透過ダイクロイックミラー106Gを透過したB光は、2枚のリレーレンズ108と、2枚の反射ミラー107とを経由して、第3色光であるB光を画像信号に応じて変調する第3色光用空間光変調装置110Bに入射する。第3色光用空間光変調装置110Bは、B光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶表示装置である。
なお、B光にリレーレンズ108を経由させるのは、B光の光路の長さがR光及びG光の光路の長さよりも長いためである。リレーレンズ108を用いることにより、B光透過ダイクロイックミラー106Gを透過したB光を、そのまま第3色光用空間光変調装置110Bに導くことができる。第3色光用空間光変調装置110Bは、λ/2位相差板123B、ガラス板124B、第1偏光板121B、液晶パネル120B、及び第2偏光板122Bを有する。なお、第3色光用空間光変調装置110Bの構成は、上述した第1色光用空間光変調装置110Rの構成と同様なので、詳細な説明は省略する。
第3色光用空間光変調装置110Bに入射するB光は、s偏光光に変換されている。第3色光用空間光変調装置110Bに入射したs偏光光は、λ/2位相差板123Bによりp偏光光に変換される。p偏光光に変換されたB光は、ガラス板124B及び第1偏光板121Bをそのまま透過し、液晶パネル120Bに入射する。液晶パネル120Bに入射したp偏光光は、画像信号に応じた変調により、B光がs偏光光に変換される。液晶パネル120Bの変調により、s偏光光に変換されたB光が、第2偏光板122Bから射出される。第3色光用空間光変調装置110Bで変調されたB光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム112に入射する。このように、色分離光学系を構成するR光透過ダイクロイックミラー106RとB光透過ダイクロイックミラー106Gとは、超高圧水銀ランプ101から供給される光を、第1色光であるR光と、第2色光であるG光と、第3色光であるB光とに分離する。
色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム112は、2つのダイクロイック膜112a、112bをX字型に直交して配置して構成されている。ダイクロイック膜112aは、B光を反射し、R光、G光を透過する。ダイクロイック膜112bは、R光を反射し、B光、G光を透過する。このように、クロスダイクロイックプリズム112は、第1色光用空間光変調装置110R、第2色光用空間光変調装置110G、及び第3色光用空間光変調装置110Bでそれぞれ変調されたR光、G光及びB光を合成する。投写レンズ114は、クロスダイクロイックプリズム112で合成された光をスクリーン116に投写する。これにより、スクリーン116上でフルカラー画像を得ることができる。
なお、上述のように、第1色光用空間光変調装置110R及び第3色光用空間光変調装置110Bからクロスダイクロイックプリズム112に入射される光は、s偏光光となるように設定される。また、第2色光用空間光変調装置110Gからクロスダイクロイックプリズム112に入射される光は、p偏光光となるように設定される。このようにクロスダイクロイックプリズム112に入射される光の偏光方向を異ならせることで、クロスダイクロイックプリズム112において各色光用空間光変調装置から射出される光を有効に合成できる。ダイクロイック膜112a、112bは、通常、s偏光光の反射特性に優れる。このため、ダイクロイック膜112a、112bで反射されるR光及びB光をs偏光光とし、ダイクロイック膜112a、112bを透過するG光をp偏光光としている。
(液晶パネルの構成)
次に、図2を用いて液晶パネルの詳細について説明する。図1で説明したプロジェクタ100では、3つの液晶パネル120R、120G、120Bを備えている。これら3つの液晶パネル120R、120G、120Bは変調する光の波長領域が異なるだけであり、基本的構成は同一である。このため、液晶パネル120Rを代表例にして以後の説明を行う。
図2において、液晶パネル120Rでは、第2の基板であるTFT基板206上にクロムなどの金属膜からなる遮光膜207が形成され、その上を下地保護膜208が被覆している。この遮光膜207は、隣接する画素の境界部分にマトリクス状に形成されている。このため、遮光膜207は、TFT基板206に形成されたデータ線(不図示)、走査線209、容量線210、データ線と走査線209との交差部に形成された不図示のTFT、蓄積容量215などと平面的に重なる領域に形成されている。遮光膜207によってTFT基板206の各画素には開口部がマトリクス状に区画形成されている。この開口部に対応する平面領域には下地保護膜208上に透明な画素電極211が形成されている。さらに、上述の構造上には配向膜212が形成されている。
また、第1の基板である対向基板201の側には、TFT基板206の遮光膜207と対向するように遮光膜203がマトリクス状に形成されている。遮光膜203によって開口部がマトリクス状に区画形成されている。さらに、対向基板201には遮光膜203の上に透明な対向電極202が形成されている。加えて、これらの構造上には配向膜204が形成されている。そして、TFT基板206上の配向膜212と対向基板201上の配向膜204との間には、液晶205が狭持されている。
対向基板201の入射側には、各画素に対応する傾斜面を有する斜入射プリズム213が光学的に接着されている入射側防塵プレート216が設けられている。また、TFT基板206の射出側には後述するウエッジプリズム214が形成されている。まず、斜入射プリズムの機能について説明する。液晶205は、TFT基板206と対向基板201との間で、90°に捩じれ配向した状態にある。このような90°の捩じれをもたせるために、ポリイミド膜などで形成されている配向膜204、212に、互いに直角をなす方向にそれぞれラビング処理が施されている。そして、対向基板201、TFT基板206を貼り合わせ、その隙間に液晶205を充填する。この結果、液晶205は配向膜204,212へのラビング方向に長軸方向を向けて配向するため、一対の対向基板201、TFT基板206間において液晶205の長軸方向は90°捩じれる。
そして、捩じれ配向させた液晶205を用いた液晶パネル120Rでは、対向基板201とTFT基板206との間の中央に位置する液晶205の配向状態(長軸方向および長軸の頼き)によりコントラスト特性が方向性を示す。本実施例においては、明視方向Lから光を入射させれば、コントラストの高い表示を行うことができる。ここで、明視方向Lは、対向基板201の法線Mに対して角度θ=3°だけ傾いている。
液晶パネル120Rは、入射光の主光線が対向基板201に対して略垂直となるように照明される。斜入射プリズム213は、入射光を明視方向Lとなるように屈折させる。これにより、液晶205で画像信号に応じて変調された光は、高コントラストな像を形成できる。そして、液晶205を射出し、TFT基板206を透過した光は、ウエッジプリズム214に入射する。ウエッジプリズム214は、明視方向Lから第1の基板である対向基板201へ入射した光を、対向基板201の法線Mの方向へ屈折させて射出する。ここで、斜入射プリズム213の屈折面213aの傾斜方向及び傾斜角度と、ウエッジプリズム214の屈折面214aの傾斜方向及び傾斜角度とは、反対となるように構成されている。これにより、液晶205へ法線Mに対して角度θ=3°で入射した光は、液晶205を透過した後、ウエッジプリズム214で法線Mの方向(角度θ=0°)へ戻される。
これにより、略立方体形状のクロスダイクロイックプリズム112の各入射面に対して、R光が略垂直に入射する。このため、簡便な構成で色ずれの無い色合成を容易に行うことができる。そして、安価で簡便な構成で高コントラストな投写像のプロジェクタを得られる。特に、ウエッジプリズム214を画素ごとに対応して設ける必要がないため、極めて容易に安価に製造できる。また、液晶パネル120R単独で、直視の画像表示装置として用いた場合でも、観察する正面方向の光量を十分に確保できる。このため、視野角度の広い直視型の画像表示装置を得ることができる。
ウエッジプリズム214は屈折率n=1.51の硝子で構成されている。ウエッジプリズム214を硝子で構成することで、射出側防塵プレートの機能を兼用できる。ここで、ウエッジ角度は5.9°である。また、ウエッジプリズム214の高さd=2.6mmである。
図3は、実施例2に係る空間光変調装置である液晶パネル220Rの概略構成を示す。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例では、ウエッジプリズム314の構成が実施例1と異なっている。本実施例のウエッジプリズム314は、複数のプリズム素子314bから構成されている。各プリズム素子314bは、明視方向Lから第1の基板である対向基板201へ入射した光を、対向基板201の法線Mの方向へ屈折させて射出する。ここで、各プリズム素子314bの屈折面314aの傾斜方向及び傾斜角度と、斜入射プリズム213の屈折面213aの傾斜方向及び傾斜角度とは、反対となるように構成されている。これにより、液晶205へ法線Mに対して角度θ=3°で入射した光は、液晶205を透過した後、ウエッジプリズム314で法線Mの方向(角度θ=0°)へ戻される。この結果、略立方体形状のクロスダイクロイックプリズム112の各入射面に対して、R光が略垂直に入射する。このため、簡便な構成で高コントラストで色ずれの無い色合成を容易に行うことができる。特に、各プリズム素子314bを画素ごとに対応して設ける必要がないため、極めて容易に安価に製造できる。また、プリズム素子314bの製法としては、樹脂を型転写により成形する方法、硝子を切削加工する方法、硝子を研磨する方法等が挙げられる。
また、単独のウエッジプリズムを複数のプリズム素子314bに分割した構成にすると、各プリズム素子314bの高さdを小さくできる。上記実施例1のウエッジプリズム214を光が透過する際、ウエッジプリズム214上の位置により光路長が異なってしまう場合がある。光路長の相違は、スクリーン116におけるフォーカスずれを生じてしまう。本実施例では、各プリズム素子314bの高さdを小さくできるため、光路長差によるフォースずれを低減できる。例えば、上記実施例1のウエッジプリズム214を10分割したものを本実施例のプリズム素子314bとした場合、各プリズム素子314bの高さd=0.26mmとなる。このとき、各プリズム素子314bにおける光路長差は0.17mmと小さくすることができる。
ここで、各プリズム素子314bを周期的に配列する場合、周期構造に起因して回折光が生じてしまう場合がある。本実施例では、後述する単位面積あたりに、各プリズム素子314bは、略直線La1、La2、La3、La4の形状に沿って配列されている。そして、略直線La1、La2、La3、La4の数は、単位面積aφあたりに4本である。なお、略直線La1、La2、La3、La4の数は、単位面積あたり15本以下であれば良い。単位面積aφの説明は、後述する。単位面積aφ近傍の正面図を図4に示す。
図5は、単位面積aφを説明するための超高圧水銀ランプ101からスクリーン116までの光路を示す。なお、図5では、説明の簡便のため、光学系としては、照明系ILLを構成する超高圧水銀ランプ101とインテグレータ104、及び投写系PLを構成する投写レンズ114のみを示し、他の色分解光学系などの図示を省略する。また、便宜上、投写レンズ114は、両凸形状の単レンズとして示している。このため、図5において、投写レンズ114と投写系PLとは一致している。
超高圧水銀ランプ101からの照明光はインテグレータ104に入射する。インテグレータ104は、超高圧水銀ランプ101からの照明光を重畳させて液晶パネル220Rを照明する。インテグレータ104からの照明光は、所定の角度分布をもって液晶パネル220Rに入射する。液晶パネル120R上の位置OBJは、様々な入射角度の光により重畳的に照明される。そして、位置OBJからの光は、照明系ILLのFナンバーで空間的に拡がりながらウエッジプリズム314に入射する。液晶パネル220Rを射出した光は、ウエッジプリズム314を透過して投写レンズ114へ入射する。液晶パネル220Rの変調面とスクリーン116とは共役関係にある。このため、液晶パネル220R上の位置OBJは、スクリーン116上の位置IMGに結像する。このとき、液晶パネル220R上の位置OBJからの光は、投写レンズ114のFナンンバーと同一、又は小さいFナンバーの光が、投写レンズ114によりスクリーン116に投写される。照明系ILLのFナンバーと投写系PLのFナンバーとは、以下の3とおりの関係(A)、(B)、(C)が考えられる。
(A) 照明系ILLのFナンバー>投写系PLのFナンバー、
(B) 照明系ILLのFナンバー=投写系PLのFナンバー、
(C) 照明系ILLのFナンバー<投写系PLのFナンバー.
何れの関係においても、液晶パネル220R上で、照明系ILL又は投写系PLの小さいほうのFナンバーで規定される角度範囲の光だけが有効にスクリーン116に投写される。例えば、関係(A)又は(B)の場合、次式が成立する。
1/(2FILL)=sinθa
ここで、FILLは投写系PLのFナンバー、
θaは位置OBJから射出した光の光軸とのなす角度、である。
液晶パネル220Rから空間的な拡がり角度θaで射出した光は、ウエッジプリズム314上の円形領域である単位面積aφを照射する。このように、ウエッジプリズム314上の単位面積aφのからの光は、全て投写レンズ114でスクリーン116に投写される。また、これに対して、上記関係式(C)の場合、照明系ILLのFナンバーでスクリーン116に有効に投写されるウエッジプリズム314上の単位面積aφが規定される。
従って、何れの関係(A)、(B)、(C)においても、ウエッジプリズム314上の単位面積aφからの光は、投写レンズ114により有効にスクリーン116に投写される。上述したように、複数のプリズム素子314bから構成されるウエッジプリズム314により回折光が生ずる構造の一つとして、プリズム素子314bの配列の周期的な構造を挙げることができる。本実施例では、プリズム素子314bが単位面積aφあたりに略直線La1〜La4の形状に沿って配列されている。このため、略直線の数が単位面積aφあたりに15本以下である。これにより、プリズム素子314bの配列の周期的構造に起因する回折光の発生を低減することができる。従って、観察者は、回折光が低減され、かつ高コントラストな品質の良い画像を観察できる。
また、本実施例で好ましくは、略直線の数が単位面積aφあたりに10〜12本であることが望ましい。さらに好ましくは、略直線の数が単位面積aφあたりに7〜9本であることが望ましい。これにより、プリズム素子314bの配列の周期的構造に起因する回折光の発生をさらに確実に低減することができる。
図6は、実施例3に係る空間光変調装置である液晶パネル420Rの概略構成を示す。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例では、ウエッジプリズム414は、複数のプリズム素子414bから構成されている。各プリズム素子414bは、明視方向Lから第1の基板である対向基板201へ入射した光を、対向基板201の法線Mの方向へ屈折させて射出する。ここで、各プリズム素子414bの屈折面414aの傾斜方向及び傾斜角度と、斜入射プリズム213の屈折面213aの傾斜方向及び傾斜角度とは、反対となるように構成されている。これにより、液晶205へ法線Mに対して角度θ=3°で入射した光は、液晶205を透過した後、ウエッジプリズム414で法線Mの方向(角度θ=0°)へ戻される。この結果、略立方体形状のクロスダイクロイックプリズム112の各入射面に対して、R光が略垂直に入射する。このため、簡便な構成で高コントラストで色ずれの無い色合成を容易に行うことができる。特に、各プリズム素子414bを画素ごとに対応して設ける必要がないため、極めて容易に安価に製造できる。
ここで、各プリズム素子414bを周期的に配列する場合、高さdに起因して回折光が生じてしまう場合がある。本実施例では、各プリズム素子414bの高さdは、以下の条件式(1)又は(2)を満足している。
d<0.95×λ/(2×(n−1)) (1)
d>1.05×λ/(2×(n−1)) (2)
ここで、各プリズム素子414bを構成する部材の屈折率をn、各プリズム素子414bへ入射する光の波長をλとそれぞれする。本実施例では、高さd(深さ)が以下の条件式(D)、
d=λ/(2×(n−1)) (D)
の条件を満足すると、回折効率が向上してしまう。
これに対して、本実施例では、高さdが回折光を生じさせないこと、又は回折光が生じても観察者が認識しない程度であることが望ましい。このため、本実施例では、条件式(1)又は(2)を満足することで、条件式(A)で規定される高さd(深さ)と異ならせることができる。これにより、観察者は、回折光が低減され、かつ高コントラストな品質の良い画像を観察できる。
本実施例において、好ましくは、以下の条件式(3)又は(4)を満足することが望ましい。
d<0.9×λ/(2×(n−1)) (3)
d>1.1×λ/(2×(n−1)) (4)
さらに好ましくは、以下の条件式(5)又は(6)を満足することが望ましい。
d<0.7×λ/(2×(n−1)) (5)
d>1.3×λ/(2×(n−1)) (6)
上記条件式(3)〜(6)のいずれかを満足することで、各プリズム素子414bからの回折光の強度をさらに小さくすることができる。これにより、さらに高品質な画像を得ることができる。
図7は、実施例4に係る空間光変調装置である液晶パネル520Rの概略構成を示す。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例では、ウエッジプリズム514は、複数のプリズム素子514bから構成されている。各プリズム素子514bは、明視方向Lから第1の基板である対向基板201へ入射した光を、対向基板201の法線Mの方向へ屈折させて射出する。ここで、各プリズム素子514bの屈折面514aの傾斜方向及び傾斜角度と、斜入射プリズム213の屈折面213aの傾斜方向及び傾斜角度とは、反対となるように構成されている。これにより、液晶205へ法線Mに対して角度θ=3°で入射した光は、液晶205を透過した後、ウエッジプリズム514で法線Mの方向(角度θ=0°)へ戻される。この結果、略立方体形状のクロスダイクロイックプリズム112の各入射面に対して、R光が略垂直に入射する。このため、簡便な構成で高コントラストで色ずれの無い色合成を容易に行うことができる。特に、各プリズム素子414bを画素ごとに対応して設ける必要がないため、極めて容易に安価に製造できる。
ここで、各プリズム素子514bの周期的な構造に起因して回折光が生じてしまう場合がある。本実施例では、プリズム素子514bは、高さd1、d2、d3、d4がそれぞれ非周期(ランダム)に配列されている。ここで、屈折面514aの傾斜角度は全てのプリズム素子514bにおいて同一である。このため、高さd1等が異なると、屈折面514aの面積も各プリズム素子514bで異なってくる。これにより、プリズム素子514bの周期的構造に起因する回折光の発生を低減することができる。このため、観察者は、回折光が低減され、かつ高コントラストな品質の良い画像を観察できる。
図8は、実施例5に係る空間光変調装置である液晶パネル620Rの概略構成を示す。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例では、第2の基板であるTFT基板206の射出側に入射光を偏向するブレーズ型の回折格子614が形成されている。回折格子614は、明視方向Lから第1の基板である対向基板201へ入射した光を、対向基板201の法線Mの方向へ回折させて射出する。これにより、液晶205へ法線Mに対して角度θ=3°で入射した光は、液晶205を透過した後、回折格子614で法線Mの方向(角度θ=0°)へ戻される。この結果、略立方体形状のクロスダイクロイックプリズム112の各入射面に対して、R光が略垂直に入射する。このため、簡便な構成で高コントラストで色ずれの無い色合成を容易に行うことができる。特に、回折格子614は画素の位置とは無関係に形成できるので、極めて容易に安価に製造できる。また、ブレーズ型の回折格子614の製法としては、樹脂を型転写により成形する方法、硝子を切削加工する方法、硝子を研磨する方法等に加えて、グレーレベルリソグラフィによる方法、RIE(Reactive Ion Etching)を組み合わせた方法を挙げることができる。
ブレーズ型の回折格子614は、以下の条件式(E)を満足する。
mλ=P×(sinα+sinβ) (E)
ここで、mは回折次数、λは入射光の波長、Pは回折格子のピッチ、αは入射角度、βは回折角度である。式(E)から明らかなように、ピッチPを制御することで、回折角度βを制御できる。上述したように、図9において明視方向Lと法線Mとは角度α=3°をなしている。ここで、第1の基板である対向基板201の法線Mと、射出光の光軸とは角度β=0°をなす。そして、回折効率の最も高い1次回折光(次数m=1)を用いるとすると、ブレーズ角度θb=1.5°となる。なお、回折格子614へ入射させる光は、s偏光光とすると回折異常(アノ−マリー)を避けることができるので望ましい。さらに、明視方向Lは法線Mに対して傾いているため、傾斜した入射光が入射面に対してp偏光光、又はs偏光光とするのが望ましい。このため、液晶パネル620Rへ入射する前に偏光板等を用いて偏光方向を調整することが好ましい。
ここで、回折格子614で回折する角度は、光の波長により異なる。このため、法線Mに平行な方向へ回折光を射出させるためには、回折される光の波長を考慮することが望ましい。例えば、光源部である超高圧水銀ランプ101は、図10に示すような発光スペクトル分布を有する。図8の横軸は波長、縦軸は任意の強度単位である。そして、輝線スペクトルのピーク波長が略445nm近傍の光をB光、略550nm近傍の光をG光として用いる。また、光量積分値の中央波長である略640nm近傍の光をR光として用いる。これらの波長の光が、回折格子614で回折されたときに、対向基板201の法線Mの方向へ射出するようにブレーズ角度θbを制御する。これにより、各色ごとに最適化されたブレーズ角度を有する回折格子により、さらに正確に回折光を法線Mの方向へ導くことができる。
また、プロジェクタの光源としてLEDなどの固体発光素子を用いることができる。R光用LED、G光用LED、B光用LEDの波長特性を図11に示す。この場合、それぞれの色光のピーク波長を用いて、ピッチPを最適化する。具体的には、R光は645nm、G光は522nm、B光は459nmである。これにより、各色ごとに最適化されたブレーズ角度を有する回折格子により、さらに正確に回折光を法線Mの方向へ導くことができる。
また、各色ごとに最適化された3つの回折格子614は、クロスダイクロイックプリズム112の入射面112R、112G、112B(図1)にそれぞれ形成しても良い。この場合、樹脂転写によりブレーズ型回折格子をクロスダイクロイックプリズム112の3つの入射面に形成できる。この構成では、各色用の各色光用空間光変調装置110R、110G、110Bから投写レンズ114までにおいて、回折格子614上の位置の相違による光路長差が殆ど無い。このため、高コントラストで、部分的なフォーカスずれ(デフォーカス)の低減された高品質な画像を得られる。
なお、上記実施例におけるプロジェクタは3板式の構成を例に説明をしている、しかしながら、本発明はこれに限られず、単板式のプロジェクタにおいても安価な構成で、高コントラストな画像を得ることができる。
以上のように、本発明に係る空間光変調装置及びプロジェクタは、液晶型の空間光変調装置に有用であり、特に、TN液晶の空間光変調装置に適している。
実施例1のプロジェクタの概略構成図。 実施例1の液晶パネルの概略構成図。 実施例2の液晶パネルの概略構成図。 単位面積の正面図。 単位面積の説明図。 実施例3の液晶パネルの概略構成図。 実施例4の液晶パネルの概略構成図。 実施例5の液晶パネルの概略構成図。 実施例5の回折格子の説明図。 超高圧水銀ランプの波長特性図。 LEDの波長特性図。 TN液晶の説明図。 明視方向のコントラストの説明図。 明視方向のコントラストの他の説明図。 明視方向の説明図。
符号の説明
100 プロジェクタ、101 超高圧水銀ランプ、104 インテグレータ、105 偏光変換素子、106R R光透過ダイクロイックミラー、106G G光透過ダイクロイックミラー、107 反射ミラー、108 リレーレンズ、110R、110G、110B 各色光用空間光変調装置、112 クロスダイクロイックプリズム、112a、112b ダイクロイック膜、112R、112G、112B 入射面、114 投写レンズ、116 スクリーン、120R、120G、120B 液晶パネル、121R、121G、121B 偏光板、122R、122G、122B 偏光板、123R、123B 位相差板、124R、124B ガラス板、201 対向基板、202 対向電極、203 遮光膜、204 配向膜、212 配向膜、205 液晶、206 TFT基板、207 遮光膜、208 下地保護膜、209 走査線、210 容量線、211 画素電極、212 配向膜、213a 屈折面、213 斜入射プリズム、214 ウエッジプリズム、214a 屈折面、216 入射側防塵プレート、215 蓄積容量、220R 液晶パネル、314 ウエッジプリズム、314b プリズム素子、314a 屈折面、414 ウエッジプリズム、414b プリズム素子、414a 屈折面、420R 液晶パネル、514 ウエッジプリズム、514b プリズム素子、514a 屈折面、520R 液晶パネル、614 回折格子、620R 液晶パネル、1100 液晶型空間光変調装置、1120 アクティブマトリクス基板、1120 アクティブマトリックス基板、1130 対向基板、1139 液晶、aφ 単位面積、ILL 照明系、L 明視方向、La1〜La4 略直線、M 法線、P ピッチ、PL 投写系

Claims (7)

  1. 一対の第1の基板と第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶とを有し、前記第1の基板側からの入射光を画像信号に応じて変調して前記第2の基板側から射出する空間光変調装置において、
    前記第2の基板の射出側に入射光を偏向するプリズムを有し、
    前記プリズムは、明視方向から前記第1の基板へ入射した光を前記第1の基板の法線方向へ屈折して射出し、
    前記プリズムの高さをd、
    前記入射光の波長をλ、
    前記プリズムの屈折率をnとそれぞれするとき、以下のいずれかの条件式を満足することを特徴とする空間光変調装置。
    d<0.95×λ/(2×(n−1))
    d>1.05×λ/(2×(n−1))
  2. 一対の第1の基板と第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶とを有し、前記第1の基板側からの入射光を画像信号に応じて変調して前記第2の基板側から射出する空間光変調装置において、
    前記第2の基板の射出側に入射光を偏向するプリズムを有し、
    前記プリズムは、明視方向から前記第1の基板へ入射した光を前記第1の基板の法線方向へ屈折して射出し、
    前記プリズムは、複数のプリズム素子から構成され、前記プリズム素子の高さはそれぞれ非周期的となるように形成されていることを特徴とする空間光変調装置。
  3. 一対の第1の基板と第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶とを有し、前記第1の基板側からの入射光を画像信号に応じて変調して前記第2の基板側から射出する空間光変調装置において、
    前記第2の基板の射出側に入射光を偏向するプリズムを有し、
    前記プリズムは、明視方向から前記第1の基板へ入射した光を前記第1の基板の法線方向へ屈折して射出し、
    前記プリズムは、略直線の形状に沿って配列され、
    前記略直線の数が単位面積あたりに15本以下であることを特徴とする空間光変調装置。
  4. 前記単位面積は、前記液晶へ入射光を供給する照明光学系の開口数と、前記液晶からの変調された射出光が入射する投写光学系の開口数とにより定まることを特徴とする請求項3に記載の空間光変調装置。
  5. 一対の第1の基板と第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶とを有し、前記第1の基板側からの入射光を画像信号に応じて変調して前記第2の基板側から射出する空間光変調装置において、
    前記第2の基板の射出側に入射光を偏向する回折格子を有し、
    前記回折格子は、明視方向から前記第1の基板へ入射した光を前記第1の基板の法線方向へ回折して射出することを特徴とする空間光変調装置。
  6. 前記回折格子はブレーズ型回折格子であることを特徴とする請求項5に記載の空間光変調装置。
  7. 照明光を供給する光源と、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の空間光変調装置と、
    前記空間光変調装置で変調された光を投写する投写レンズとを有するプロジェクタであって、
    前記プリズム又は前記回折格子は、前記第2の基板と前記投写レンズとの間に設けられていることを特徴とするプロジェクタ。
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