JP2005070076A - 表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一方が透明な画素基板32と対向基板33との間に、巨視的には等方相を示す透明な液体であるが、微視的には液晶分子がある方向に配列した短距離秩序を有する分子集団であるクラスタを含む誘電性液体層41を介在させる。該表示装置は、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度においても上記クラスタを含んでいることで、温度上昇に伴うカー定数の効果の低下が抑制される。例えば分子間水素結合形成能を有する液晶性化合物やスメクチック液晶化合物、微粒子等を含んでなるクラスタは、クラスタサイズが大きく、温度上昇に伴う寿命が長い。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速応答性並びに広視野の表示性能を有する、二次の電気光学効果を利用した表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、各種表示素子のなかでも薄型で軽量かつ消費電力が小さいといった利点を有し、テレビやビデオ等の画像表示装置や、モニター、ワープロ、パーソナルコンピュータ等のOA(Office Automation)機器に広く用いられている。
【0003】
液晶表示素子の液晶表示方式としては、従来、例えば、ネマティック液晶を用いたTN(ツイステッドネマティック)モ−ドや、強誘電性液晶(FLC)あるいは反強誘電性液晶(AFLC)を用いた表示モード、高分子分散型液晶表示モ−ド等が知られている。
【0004】
そのなかでも、従来、実用化されている液晶表示素子としては、例えば、ネマティック液晶を用いたTN(ツイステッドネマティック)モ−ドの液晶表示素子が挙げられるが、該TNモードを用いた液晶表示素子には、応答が遅い、視野角が狭い等の欠点があり、これら欠点は、CRT(cathode ray tube)を凌駕する上で大きな妨げとなっている。
【0005】
また、FLCあるいはAFLCを用いた表示モ−ドの場合、応答が速く、視野角が広いといった利点を有してはいるものの、耐ショック性、温度特性等の面で大きな欠点があり、広く実用化されるまでには至っていない。
【0006】
さらに、光散乱を利用する高分子分散型液晶表示モ−ドは、偏光板を必要とせず、高輝度表示が可能であるが、本質的に位相板による視角制御ができない上、応答特性の面で課題を有しており、TNモードに対する優位性は少ない。
【0007】
これら表示方式は、何れも、液晶分子が一定方向に整列した状態にあり、液晶分子に対する角度によって見え方が異なるため、視角制限がある。また、これら表示方式は、何れも、電界印加による液晶分子の回転を利用するものであり、液晶分子が整列したまま揃って回転するため、応答に時間を要する。なお、FLCやAFLCを用いた表示モードの場合、応答速度や視野角の面では有利であるが、外力による非可逆的な配向破壊が問題となる。
【0008】
一方、電界印加による分子の回転を利用するこれら表示方式に対して、二次の電気光学効果を利用した電子分極による表示方式が提案されている。
【0009】
電気光学効果とは物質の屈折率が外部電界によって変化する現象である。電気光学効果には、電界の一次に比例する効果と二次に比例する効果とがあり、それぞれポッケルス効果、カー効果と呼ばれている。特に、カー効果と呼ばれる二次の電気光学効果は、高速の光シャッターへの応用が早くから進められており、特殊な計測機器において実用化がなされている。カー効果は、1875年にJ. Kerr(カー)によって発見されたものであり、これまでに、カー効果を示す材料としては、無機結晶(LiNbO3)や、ニトロベンゼンおよび二硫化炭素等の有機液体が知られており、これら材料は、例えば、前記した光シャッター、光変調素子、光偏光素子、あるいは、電力ケーブル等の高電界強度測定等に利用されている。
【0010】
その後、液晶材料が大きなカー定数を有することが示され、光変調素子、光偏向素子、さらには光集積回路応用に向けての基礎検討が行われ、前記ニトロベンゼンの200倍を越えるカー定数を示す液晶化合物も報告されている。
【0011】
このような状況において、カー効果の表示装置への応用が検討され始めている。カー効果は、電界の二次に比例するため、相対的に低電圧駆動を見込むことができる上、本質的に、数マイクロ秒〜数ミリ秒の応答特性を示すため、高速応答表示装置への応用が期待される。
【0012】
そのような中、カー効果を用いた表示装置として、近年、少なくとも一方が透明な一対の基板と、該一対の基板間に挟持された等方相状態の有極性分子を含む媒体と、上記一対の基板のうち少なくとも一方の基板の外側に配設された偏光板と、上記媒体に電界を印加するための電界印加手段とを備えた表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
液晶材料を用いた場合、カー効果(それ自身は、等方相状態で観察される)は、液晶相−等方相相転移温度近傍で最大となり、温度上昇とともに1/(T−T*)(なお、T*は二次の相転移温度(臨界温度)を示す)に比例する関数で減少することが知られており、カー効果の表示装置への応用展開に当たっては、カー効果の温度依存性、言い換えれば液晶材料のカー定数の温度依存性が、実用上の大きな問題となっている。
【0014】
これに対し、上記特許文献1では、液晶材料に、特定の非液晶物質を添加することで、カー効果の温度依存性ではなく、液晶材料の等方相転移温度を低下させることで、実用的な温度域で大きなカー効果を得ようとする試みがなされている。
【0015】
カー効果の温度依存性を低減させる取り組みとしては、カー効果を利用した光スイッチにおいて、液晶分子を高分子中に閉じこめ、カー定数温度依存性を低減させる取り組みが提案されている(特許文献2参照)。
【0016】
具体的には、上記特許文献2では、一対の基板と、該一対の基板に挟持され、小区域に分割された液晶材料と、この液晶材料の領域を小区域に分割する高分子材料とを含み、電圧の非印加時に光学的に等方性であり、電圧の印加時に電界強度の2乗に比例する光学異方性を示す媒質と、該媒質に電圧を印加する電圧印加手段とを備えた液晶光学スイッチ素子において、液晶材料の各小区域の平均直径を0.1μm以下に設定することが提案されている。
【0017】
【特許文献1】
特開2001−249363号公報(公開日2001年9月14日)
【0018】
【特許文献2】
特開平11−183937号公報(公開日1999年7月9日)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載の方法は、液晶材料の領域を小区域に分割するために光等により反応性モノマーを重合させる必要があり、かつ、液晶領域サイズを0.1μm以下にする必要がある等、製造が非常に困難であるという問題点を有している。また、特許文献2に記載の方法は、液晶材料と高分子材料とが接する面積が多いため、信頼性が懸念されるという問題点を有している。
【0020】
なお、前記したように、特許文献1は、液晶材料の等方相転移温度を低下させることで加熱温度を抑えて実用的な温度域でのスイッチングを可能ならしめるものであり、カー定数の温度依存性そのものを低減させるものではない。
【0021】
そのため、カー効果の温度依存性が小さく、かつ、製造が容易な表示装置が強く求められている。
【0022】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カー効果の温度依存性が小さく、かつ、製造が容易な表示装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる表示装置は、上記の課題を解決するために、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段(例えば櫛形電極等の電極)とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層は、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度で上記液晶性化合物の液晶分子が部分的に配列したクラスタを含み、かつ、可視光に対して透明であることを特徴としている。
【0024】
本発明にかかる表示装置は、上記したように上記屈折率変化を用いた二次の電気光学効果(カー効果)により表示を行う表示装置であり、1つの分子内での電子の偏りを制御することにより、ランダムに配列した個々の分子が各々別個に回転して向きを変えることから、応答速度が非常に速く、また、分子が無秩序に配列していることから、視角制限がない。
【0025】
通常、液晶性化合物は、温度上昇に伴って、短距離秩序を持った液晶相から、分子レベルでランダムな配向を有する等方相に移行する。カー効果は、入射光に対して透明な媒質中で観測される。本発明にかかる表示装置において用いられる上記誘電性液体層は、巨視的には等方相を示す透明な液体であるが、微視的にはある方向に配列した短距離秩序を有する分子集団であるクラスタを含んでいる。なお、本発明において上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であることから、勿論、上記クラスタも、可視光に対して透明な状態で用いられる。
【0026】
上記表示装置は、このように上記誘電性液体がクラスタを含むことで、大きなカー効果を得ることができる。しかしながら、従来の液晶材料を用いた場合、カー効果は、温度の上昇に伴って、1/(T−T*)に比例する関数で減少する。本願発明者等は、鋭意検討の結果、この従来の液晶材料におけるカー効果の温度依存性が大きい主要因は、従来の液晶材料においては、クラスタは、上記液晶材料の透明点近傍では大きいものの、温度上昇とともに急激に小さくなっていくことにあり、上記誘電性液体層が、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度で上記液晶性化合物の液晶分子が部分的に配列したクラスタを含むことで、上記カー効果の温度依存性を低減させることができることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0027】
すなわち、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性を低減し、視野角が広く、応答速度が速い表示装置を提供することができる。
【0028】
さらに、上記の構成によれば、前記特許文献2に示すように液晶材料の領域を小区域に分割するための手段を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0029】
また、本発明にかかる表示装置は、上記誘電性液体層におけるカー定数の変動率は、上記液晶−等方相相転移温度に対する二次の相転移温度を基準として+5℃の温度範囲内において±30%以内であることを特徴としている。
【0030】
前記カー効果、すなわち、誘電性液体層のカー定数の温度依存性は、駆動電圧の温度依存性に関係する。±15%程度の電圧変動であれば、温度変動を補償する回路、あるいは画素の電気特性をモニターし、駆動電圧値にフィードバックする回路等を用いることにより、実用的な表示装置を構成することができる。±15%の駆動電圧変動は、カー定数の大きさでおよそ±30%の変動に相当する。言い換えれば、カー定数の大きさが、センター値に対して±30%以内である温度領域を如何に広げるかが重要であり、本発明によれば、前記したように上記誘電性液体層が、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度下において前記クラスタを含むことで、カー定数の変動値を、上記液晶−等方相相転移温度に対する二次の相転移温度を基準として+5℃の温度範囲内において±30%以内に抑えることが可能となる。
【0031】
また、本発明にかかる表示装置は、上記クラスタは、分子間水素結合した液晶性化合物を含んでいることを特徴としている。
【0032】
上記誘電性液体層が、分子間水素結合能を有する液晶性化合物を含んでいると、該誘電性液体層中で分子間水素結合を形成することにより、クラスタサイズを大きくすることができ、温度上昇に伴うクラスタの寿命を長くすることができる。よって、上記クラスタが、分子間水素結合した液晶性化合物を含んでいることで、温度上昇に伴うクラスタの寿命を長くすることができる。従って、上記の構成によれば、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度においてクラスタを含み、かつ、可視光に対して透明な誘電性液体層を形成することができる。このため、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性が低減され、かつ、製造が容易な表示装置を提供することができる。
【0033】
さらに、本発明にかかる表示装置は、上記クラスタは、スメクチック液晶化合物を含んでいることを特徴としている。
【0034】
スメクチック液晶化合物は、分子間相互作用が強く、上記誘電性液体層がスメクチック液晶化合物を含んでいる場合にも、クラスタサイズを大きくすることができ、温度上昇に伴うクラスタの寿命を長くすることができる。よって、上記クラスタが、スメクチック液晶化合物を含んでいることで、温度上昇に伴うクラスタの寿命を長くすることができる。従って、上記の構成によれば、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度においてクラスタを含み、かつ、可視光に対して透明な誘電性液体層を形成することができる。このため、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性が低減され、かつ、製造が容易な表示装置を提供することができる。
【0035】
さらに、本発明にかかる表示装置は、上記クラスタは0.1μm以下の粒子径を有する微粒子を核として形成されていることを特徴としている。
【0036】
粒子径が0.1μm以下、つまり、粒子の粒子径が入射光波長よりも小さい場合の光の散乱は無視することができる。このため、粒子径が0.1μm以下であれば、上記微粒子もまた可視光に対して透明である。
【0037】
そして、上記表示装置が、例えば上記誘電性液体層中もしくは該誘電性液体層と接触する層(例えば誘電体薄膜)中に微粒子を含んでいると、該微粒子を核として該微粒子表面に液晶分子が物理的あるいは化学的に吸着(配向)し易い。このため、上記微粒子を核としてクラスタサイズが大きなクラスタを形成することができる。よって、上記クラスタが上記微粒子を核として形成されていることで、温度上昇に伴うクラスタの寿命を長くすることができる。従って、上記の構成によれば、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度においてクラスタを含み、かつ、可視光に対して透明な誘電性液体層を形成することができる。このため、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性が低減され、かつ、製造が容易な表示装置を提供することができる。
【0038】
本発明にかかる表示装置は、上記の課題を解決するために、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段(例えば櫛形電極等の電極)とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、分子間水素結合形成能を有する液晶性化合物を含んでいることを特徴としている。
【0039】
このように屈折率変化を用いた二次の電気光学効果(カー効果)により表示を行う表示装置においては、1つの分子内での電子の偏りを制御することにより、ランダムに配列した個々の分子が各々別個に回転して向きを変えることから、応答速度が非常に速く、また、分子が無秩序に配列していることから、視角制限がない。
【0040】
本発明にかかる表示装置において用いられる上記誘電性液体層もまた、前記した表示装置と同じく、巨視的には等方相を示す透明な液体であるが、微視的にはある方向に配列した短距離秩序を有する分子集団であるクラスタを含んでいる。
【0041】
そして、上記誘電性液体層が、分子間水素結合能を有する液晶性化合物を含んでいると、該誘電性液体層中で分子間水素結合を形成することにより、クラスタサイズを大きくすることができ、温度上昇に伴うクラスタの寿命を長くすることができる。従って、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性が低減された、視野角が広く、応答速度が速い表示装置を提供することができる。
【0042】
さらに、上記の構成によれば、前記特許文献2に示すように液晶材料の領域を小区域に分割するための手段を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0043】
また、本発明にかかる表示装置は、上記分子間水素結合形成能を有する液晶性化合物は水酸基を有していることを特徴としている。
【0044】
水酸基を有する液晶性化合物は、入手が容易であり、かつ、該水酸基と酸素原子との間の結合距離が短く、分子間相互作用が大きい。このため、上記の構成によれば、温度上昇に伴うクラスタの延命効果が大きく、カー効果の温度依存性を十分に大きくすることができる。
【0045】
また、本発明にかかる表示装置は、上記の課題を解決するために、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段(例えば櫛形電極等の電極)とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、スメクチック液晶化合物を含んでいることを特徴としている。
【0046】
本発明にかかる表示装置もまた、屈折率変化を用いた二次の電気光学効果(カー効果)により表示を行う表示装置であり、このような表示装置においては、前記したように、1つの分子内での電子の偏りを制御することにより、ランダムに配列した個々の分子が各々別個に回転して向きを変えることから、応答速度が非常に速く、また、分子が無秩序に配列していることから、視角制限がない。
【0047】
そして、本発明にかかる表示装置において用いられる上記誘電性液体層もまた、前記した表示装置と同じく、巨視的には等方相を示す透明な液体であるが、微視的にはある方向に配列した短距離秩序を有する分子集団であるクラスタを含んでいる。
【0048】
スメクチック液晶化合物は、分子間相互作用が強く、上記誘電性液体層が、スメクチック液晶化合物を含んでいることで、クラスタサイズを大きくすることができ、温度上昇に伴うクラスタの寿命を長くすることができる。従って、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性が低減された、視野角が広く、応答速度が速い表示装置を提供することができる。
【0049】
さらに、上記表示装置においても、前記特許文献2に示すように液晶材料の領域を小区域に分割するための手段を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0050】
さらに、本発明にかかる表示装置は、上記スメクチック液晶化合物は、分子末端にシアノ基を有していることを特徴としている。
【0051】
上記スメクチック液晶化合物が分子末端にシアノ基を有していると、より大きな双極子能率を示すため、大きなカー効果を得ることができる。
【0052】
また、本発明にかかる表示装置は、上記の課題を解決するために、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段(例えば櫛形電極等の電極)とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、上記誘電性液体層中に、0.1μm以下の粒子径を有する微粒子が分散されていることを特徴としている。
【0053】
本発明にかかる表示装置もまた、屈折率変化を用いた二次の電気光学効果(カー効果)により表示を行う表示装置であり、このような表示装置においては、前記したように、1つの分子内での電子の偏りを制御することにより、ランダムに配列した個々の分子が各々別個に回転して向きを変えることから、応答速度が非常に速く、また、分子が無秩序に配列していることから、視角制限がない。
【0054】
そして、本発明にかかる表示装置において用いられる上記誘電性液体層もまた、前記した表示装置と同じく、巨視的には等方相を示す透明な液体であるが、微視的にはある方向に配列した短距離秩序を有する分子集団であるクラスタを含んでいる。
【0055】
粒子径が0.1μm以下、つまり、粒子の粒子径が入射光波長よりも小さい場合の光の散乱は無視することができる。このため、粒子径が0.1μm以下であれば、上記微粒子もまた可視光に対して透明である。
【0056】
そして、上記誘電性液体層が、上記微粒子を含んでいると、該微粒子を核として該微粒子表面に液晶分子が物理的あるいは化学的に吸着(配向)し易く、クラスタサイズが大きなクラスタが形成されることから、温度上昇に伴うクラスタの寿命を長くすることができる。従って、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性が低減された、視野角が広く、応答速度が速い表示装置を提供することができる。
【0057】
さらに、上記表示装置においても、前記特許文献2に示すように液晶材料の領域を小区域に分割するための手段を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0058】
さらに、本発明にかかる表示装置は、上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面側に誘電体薄膜が形成されていることを特徴としている。
【0059】
上記の構成によれば、上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面側、例えば上記誘電性液体層を挟持する、少なくなくとも一方が透明な一対の基板のうち少なくとも一方の基板の内側に誘電体薄膜が形成されていることで、液晶の配向の秩序の度合いを向上させることができ、より大きなカー効果を得ることができる。
【0060】
また、本発明にかかる表示装置は、上記の課題を解決するために、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段(例えば櫛形電極等の電極)とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面に接触するように、0.1μm以下の粒子径を有する微粒子を含む誘電体薄膜が形成されていることを特徴としている。
【0061】
本発明にかかる表示装置もまた、屈折率変化を用いた二次の電気光学効果(カー効果)により表示を行う表示装置であり、このような表示装置においては、前記したように、1つの分子内での電子の偏りを制御することにより、ランダムに配列した個々の分子が各々別個に回転して向きを変えることから、応答速度が非常に速く、また、分子が無秩序に配列していることから、視角制限がない。
【0062】
そして、本発明にかかる表示装置において用いられる上記誘電性液体層もまた、前記した表示装置と同じく、巨視的には等方相を示す透明な液体であるが、微視的にはある方向に配列した短距離秩序を有する分子集団であるクラスタを含んでいる。
【0063】
粒子径が0.1μm以下、つまり、粒子の粒子径が入射光波長よりも小さい場合の光の散乱は無視することができる。このため、粒子径が0.1μm以下であれば、上記微粒子もまた可視光に対して透明である。
【0064】
そして、例えば上記誘電性液体層を挟持する、少なくなくとも一方が透明な一対の基板のうち少なくとも一方の基板の内側の表面に形成された誘電性液体層、つまり、上記誘電性液体層に隣接して設けられた層が、上記微粒子を含んでいることで、該微粒子を核として該微粒子表面に液晶分子が物理的あるいは化学的に吸着(配向)し易くなり、クラスタサイズが大きなクラスタが形成される。このため、上記の構成によれば、温度上昇に伴うクラスタの寿命を長くすることができる。従って、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性が低減された、視野角が広く、応答速度が速い表示装置を提供することができる。
【0065】
さらに、上記表示装置においても、前記特許文献2に示すように液晶材料の領域を小区域に分割するための手段を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0066】
さらに、本発明にかかる表示装置は、上記誘電体薄膜が有機薄膜であることを特徴としている。
【0067】
上記の構成によれば、上記表示装置が、有機薄膜からなる誘電体薄膜を備えていることで、良好な配向効果を得ることができ、液晶の配向の秩序の度合いの向上効果が大きく、より大きなカー効果を得ることができる。
【0068】
また、本発明にかかる表示装置は、上記有機薄膜はポリイミド薄膜であることを特徴としている。
【0069】
ポリイミド薄膜は、極めて優れた配向効果を示すため、上記の構成によれば、液晶の配向の秩序の度合いの向上効果をさらに高めることができ、この結果、より大きなカー効果を安定して得ることができる。また、ポリイミドは安定性が高い材料であり、信頼性が高いことから、ポリイミドを使用することにより、良好な表示性能を示す表示装置を提供することができる。
【0070】
さらに、本発明にかかる表示装置は、上記微粒子は表面にパラジウムを有していることを特徴としている。
【0071】
上記の構成によれば、上記微粒子が、表面にパラジウムを有することで、該微粒子表面に液晶分子が物理的あるいは化学的に吸着し易く、クラスタサイズが大きく、温度上昇に対して寿命が長いクラスタを形成することができる。
【0072】
また、本発明にかかる表示装置は、上記誘電性液体層は、分子末端にシアノ基を有する液晶性化合物を含んでいることを特徴としている。
【0073】
上記スメクチック液晶化合物が末端基としてシアノ基を有していると、該シアノ基中の窒素原子が上記微粒子に対して配向し易いことからクラスタを形成し易い。このため、上記の構成によれば、クラスタサイズが大きく、寿命が長いクラスタを形成することができる。
【0074】
さらに、本発明にかかる表示装置は、上記電界印加手段は、上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面側に形成された櫛形電極であることを特徴としている。
【0075】
二次の電気光学効果は、前記したように屈折率変化が電界の二次に比例する効果であり、通常、p型ネマチック液晶材料の場合、電界の印加方向と発生する複屈折異方性の方向とは平行の関係になる。このため、上記電界印加手段として上記櫛形電極、例えば上記誘電性液体層を挟持する、少なくなくとも一方が透明な一対の基板のうち少なくとも一方の基板の内側面に形成された櫛形電極を用いることで、上記誘電性液体層表面、つまり、基板面に対して垂直の方向に通過する光に対して、直交する方向、つまり、基板面に平行な方向に容易に電界を印加することができ、これにより、電界印加で発生する複屈折異方性を光信号の変化として取り出すことが容易にできる。
【0076】
さらに、本発明にかかる表示装置は、上記誘電性液体を上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度に加熱する加熱手段(例えば、セルとは別にセルの周辺に設けられたヒータや、セルに例えば直接貼合されたシート状ヒータ等)をさらに備えていることを特徴としている。
【0077】
上記の構成によれば、上記液晶性化合物が室温で液晶相を示す場合、すなわち、該液晶性化合物の等方相転移温度が室温よりも高い場合であっても該液晶性化合物の等方相転移を生じさせることができ、この結果、可視光に対して透明でかつ巨視的には等方相状態の液体を容易に得ることができる。
【0078】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1〜図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0079】
本実施の形態にかかる表示装置は、少なくとも一方が透明な一対の基板間に、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体を挟持してなる表示素子を備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果、すなわち、カー効果を用いて表示を行う表示装置である。以下に、本実施の形態にかかる表示装置の一例について具体的に説明する。
【0080】
図1は、本実施の形態にかかる表示装置の概略構成の一例を示す断面図であり、図2は、図1に示す表示装置の要部の概略構成を示す分解斜視図である。また、図3は、図1に示す表示装置におけるセルを構成する基板の配向処理方向を示す説明図である。
【0081】
図1に示すように、本実施の形態にかかる表示装置は、表示素子としてセル31を備えると共に、必要に応じて、加熱手段としてヒータ51を備えている。
【0082】
セル31は、図1に示すように、少なくとも一方が透明な一対の基板(以下、それぞれ画素基板32、対向基板33と記す)間に、誘電性液体層41が挟持され、さらに、上記一対の基板のうち少なくとも一方の基板の外側(つまり、対向面とは反対側)に偏光板が設けられた構成を有している。図1および図2に示すセル31においては、上記画素基板32の外側に偏光板22が、対向基板33の外側に偏光板29がそれぞれ設けられている。
【0083】
上記一対の基板のうち、一方の画素基板32は、図1および図2に示すように、例えばガラス基板等の透明な基板23上に、上記誘電性液体層41に電界を印加するための電界印加手段としての櫛形電極24・25が互いに対向配置された構成を有し、図1に示すように、これら櫛形電極24・25を覆うように、ラビング処理が施された誘電体薄膜26(配向膜)が必要に応じて形成されている。
【0084】
上記櫛形電極24・25の線副並びに電極間隔は特に限定されるものではなく、例えば上記画素基板32と対向基板33との間のギャップA(図1参照)に応じて任意に設定することができる。なお、本実施の形態では、一例として上記ギャップAを10μm、櫛形電極24・25の線副並びに電極間隔を10μmにて作製したが、これらの数値は単なる一例にすぎず、これらの数値にのみ限定されるものではない。また、上記櫛形電極24・25の材料としては、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明電極材料、アルミニウム等の金属電極材料等、電極材料として従来公知の各種材料を用いることができる。
【0085】
一方、上記誘電性液体層41を挟んで上記画素基板32と対向して設けられた対向基板33は、例えばガラス基板等の透明な基板28上に、ラビング処理が施された誘電体薄膜27(配向膜)が必要に応じて形成された構成を有している。
【0086】
このように、表面に誘電体薄膜27が必要に応じて製膜された基板28と、櫛形電極24・25を有し、かつ、その表面が誘電体薄膜26で必要に応じて覆われた基板23とを、図3に示すように、各々の表面に上記櫛形電極24・25の櫛歯に沿って互いに逆方向にラビング処理を施した後、シール剤34および図示しないガラスファイバースペーサ等のスペーサを介して貼り合わせ、その空隙に誘電性液体を導入することにより、誘電性液体層41が形成される。該誘電性液体層41については、後に詳述する。
【0087】
本実施の形態にかかる表示装置において用いられる上記誘電体薄膜26・27としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイミド等の配向膜材料からなる配向膜を用いることができる。なお、該誘電体薄膜26・27としては、液晶を配向させる効果を有する膜であればよく、ポリイミド材料に限定されるものではない。上記画素基板32および対向基板33表面に設けられる上記誘電体薄膜26・27は、各々、有機膜であってもよいし、無機膜であってもよく、必ずしも形成されている必要もない。上記誘電体薄膜26・27は、上記一対の基板のうち少なくとも一方の基板の内側、例えば、上記画素基板32における櫛形電極24・25上に形成されていればよい。また、上記誘電体薄膜26・27の膜厚も特に限定されるものではない。
【0088】
但し、上記表示装置が、上記誘電体薄膜26・27、好適には有機薄膜、特に好適にはポイミドからなる誘電体薄膜26・27を備えていることで、液晶分子の配向の秩序の度合いを向上させることができ、より大きなカー効果を得ることができる。特に、上記誘電体薄膜26・27を、有機薄膜により形成した場合、良好な配向効果、特にポリイミドの場合は極めて優れた配向効果を示すため、より大きなカー効果を得ることができる。また、ポリイミドは安定性が高い材料であり、信頼性が高いことから、ポリイミドを使用することにより、良好な表示性能を示す表示装置を提供することができる。なお、本実施の形態で用いられる誘電性液体については、後に詳述する。
【0089】
また、ヒータ51は、上記誘電性液体層41として、等方相転移温度が、使用環境温度、すなわち室温よりも高い液晶性化合物を用いる場合に、該液晶性化合物の等方相転移を生じさせるために使用される。上記ヒータ51は、上記液晶性化合物が使用環境温度にて可視光(可視光領域の光)に対し透明でかつ等方相状態の液体である場合(液晶相を有さない場合)には必ずしも必要ではない。該ヒータ51は、上記誘電性液体層41の加熱が可能であれば、その配置位置や具体的な構成は特に限定されない。なお、本実施の形態において、単に透明と記す場合には、可視光に対して透明であることを示す。
【0090】
本実施の形態にかかる表示装置に用いられる誘電性液体は透明状態で用いられ、例えば、(1)セル31(液晶セル)の周辺に設けられたヒータ(例えば図1に示すヒータ51等の加熱手段)や(2)バックライトからの熱輻射や、バックライトおよび/または周辺駆動回路からの熱伝導(この場合、上記バックライトや周辺駆動回路が加熱手段として機能する)等によりセル31を加熱し、液晶性化合物をその透明点以上に加熱して用いてもよいし、(3)セル31に、ヒータとしてシート状ヒータ(加熱手段)を貼合し、所定の温度に加熱して用いてもよい。さらに、上記誘電性液体を透明状態で用いるために、透明点が、表示装置の使用温度範囲下限よりも低い液晶材料を用いてもよい。
【0091】
次に、本実施の形態にかかる表示装置における表示原理について図4を参照して以下に説明する。
【0092】
図4はカー定数の測定系の概略構成を示す模式図であり、図1および図2に示す表示装置において、ギャップAを隔てて互いに対向配置された一対の基板(画素基板32および対向基板33)がセル3に、櫛形電極24・25が電極4・5に、誘電性液体層41がセル3内の誘電性液体6に、偏光板22・29が偏光子2および検光子7に、光線20が光線8にそれぞれ相当する。
【0093】
図4において、対向する一対の電極4・5および誘電性液体6を内部に含むセル3は、図示しない変調電源より電力の供給を受ける。また、上記セル3の外側にそれぞれ設けられた偏光板(図4においては偏光子2および検光子7)の偏光軸は互いに直交した位置関係にあり、これら偏光子2および検光子7は、上記偏光軸がセル3の電界印加方向に対して45度傾いた状態で配置されている。セル3に電界が加わらない場合、誘電性液体6は等方相であるから、光線8は偏光方向を変えないでセル3中を通過する。このため、上記偏光子2および検光子7の配置から考えて検知器9に光線8は達しない。セル3に電界が加われば誘電性液体6は複屈折性を示し、電界印加方向とそれに垂直な方向との屈折率に差異が生じるため、それぞれの方向に伝搬する光の位相が異なり、位相差が生じる。このため、セル3を通過した光線8は、一般には楕円偏光となっている。従って、一部の成分は検光子7を通過できるようになり、検知器9には光線8が到達するようになる。
【0094】
そして、上記位相差がπラジアン(半波長に相当)になった時、セル3を通過した光線8は、検光子7と同一の偏光方向を有する直線偏光に変化し、光線8は、ほぼ100%検知器9に到達するようになる。この時のセル3に加わる電圧を半波長電圧(Vπ)という。
【0095】
以下に、より詳細に説明する。
カー定数とは、二次の電気光学効果の大きさを示す定数である。等方相状態の液晶性化合物に電界Eを加えると複屈折を生じるが、電界方向の屈折率と、電界方向に垂直な方向の屈折率とを、それぞれn//、n⊥とすると、複屈折変化(Δn=n//−n⊥)と、外部電界、すなわち電界E(V/m)との関係は、下記式(1)
Δn=BλE2 ・・・(1)
で表される。ここでBはカー定数(m/V2)、λは真空中での入射光の波長(m)である。
【0096】
図4に示すように、光源1から、偏光子2を通って偏波面が電界方向に45度傾いた直線偏光をセル3に入射させると、セル3の終端では電界方向とそれに垂直な方向の偏光成分との間に次式(2)のような位相差Γが生じる。
Γ=2πLΔn/λ ・・・(2)
なお、式(2)中、Lは電界により複屈折を生じる物質中を走行する光路長(m)であり、図4に示す測定系においては、セル3における光の通過方向(光線通過方向)の電極4・5の長さ(m)に等しい。また、式(2)中でも、Δnは屈折率変化、λは真空中での入射光の波長(m)を示す。
【0097】
このため、セル3を透過した光は上記(2)式に応じた楕円偏光となる。このため、その一部は検光子7(偏光板)を透過できるようになり、楕円偏光の一部は、直線偏光となって検光子7を透過する。このときの透過光強度Iは次式(3)
I=I0sin2(Γ/2) ・・・(3)
で表される。
【0098】
ここでI0は入射光強度を表す。セル3に電界Eを加えない場合、自然屈折率を補償しておけばΓ=0であるから、上記(3)式よりI=0であるが、セル3に電界が加わりΓ=πになると、上記(3)式よりI=I0となり、100%の光強度変調が行えることになる。この時の電圧、つまり、100%の光強度変調に必要な電圧を半波長電圧(Vπ)という。一方、E=V/dの関係(ここでdは電極間隔(m)を示す)を使うと、上記(1)・(2)式より、位相差Γは、下記式(4)
Γ=2πBV2(L/d2) ・・・(4)
で表されるので、該式(4)をΓ=πとして解くと、半波長電圧Vπは、次式(5)
Vπ=d/(2LB)0.5 ・・・(5)
にて、求めることができる。
【0099】
よって、カー定数Bは、(5)式を変形して、下記式(6)
B=d2/2LVπ2 ・・・(6)
にて、求めることができる。
【0100】
例えば、セル3に、4’−n−ペンチル−4−シアノビフェニルを封入し、ネマティック−等方相相転移温度近傍である33.3℃に設定し、光線8(被変調光線)としてHe−Neレーザ光(633nm)を用いた場合、セル3に電圧を加えていくと、検知器9の出力は517Vで最高に達する。この値は、前記光学位相差がπラジアンに達したことを示すもので、半波長電圧Vπに相当する。ここで、セル3における電極間隔dを1mmとし、光線通過方向の電極長さLを10mmとした場合に、I=I0となる半波長電圧Vπを実測し、上記(6)式から計算によりカー定数Bを求めると、4’−n−ペンチル−4−シアノビフェニルのカー定数Bは、1.87×10−8cm/V2となる。
【0101】
以下、本実施の形態では、I=I0となる半波長電圧Vπを実測し、上記(6)式から計算によりカー定数Bを求めるものとする。
【0102】
上述したように、カー効果は電界の二次に比例するため、相対的に低電圧駆動を見込むことができる上、本質的に、数マイクロ秒〜数ミリ秒の応答特性を示す。つまり、液晶そのものは、図5の(a)に示すように短距離秩序を持った液体であり、液晶性化合物の配向は、温度上昇とともに、図5の(a)に示す短距離秩序を有する液晶相状態から、図5の(b)に示すように配向秩序度が低下した状態を経て、ついには、図5の(c)に示すように分子レベルでランダムな配向となる。なお、図5は、温度上昇に伴う液晶配列の変化を示す模式図であり、(a)は液晶相状態の分子配列を示し、(c)は個々の分子がランダムに配列している状態を示し、(b)は(a)と(c)の中間の配列状態を示している。
【0103】
本実施の形態においては、液晶性化合物を、図5の(b)において点線で囲んだように、分子が部分的に配列した塊(以下、クラスタと称する)を有する、巨視的には等方的な透明な液体として用いる。なお、本実施の形態においてクラスタとは、前記誘電性液体6中で上記液晶性化合物が形成している分子集団を示し、本実施の形態で使用する誘電性液体6は、微視的にはある方向に配列した短距離秩序を有する分子集団を形成しているが、巨視的には等方相を示す。
【0104】
このように、本実施の形態によれば、従来の液晶表示装置のように液晶性化合物を図5の(a)に示す短距離秩序を持った液晶状態で使用するのではなく、上記したクラスタを含む巨視的には等方相を示す透明な液体状態で使用するため、1つの分子内での電子の偏りを制御することにより、ランダムに配列した個々の分子を各々別個に回転させて向きを変えることができ、高速応答性を実現することができると共に、分子が無秩序に配列していることから、視角制限がなく、広視野角な表示装置を提供することができる。
【0105】
なお、カー効果を示す材料としては、本来等方的な材料であるが、ラビング処理等により誘電性液体層41に配向性を付与させると、本来等方的になり液晶分子の方位がランダムとなる温度においても、基板界面近傍においては、複数の液晶分子はクラスタとして振る舞うため(巨視的に見れば等方相を示している)、見かけ上、大きなカー定数Bを得ることができる。
【0106】
本実施の形態では、上記したように、上記液晶性化合物を、使用環境温度(室温)にて可視光に対して透明な液体として用いるために、例えば、前記ヒータ51(図1参照)を使用し、高温で温度制御を行っている。但し、本発明は、これに限定されるものではなく、上記液晶性化合物を、使用環境温度(室温)にて可視光に対して透明な液体として用いるために、上記液晶性化合物の直径を例えば0.1μm以下とする等、上記液晶性化合物を、光の波長よりも小さな径を有する微小ドロップレットとし、光の散乱を抑制することにより透明状態とするか、あるいは、使用環境温度(室温)にて透明な等方相を示す液晶性化合物を使用する等してもよい。
【0107】
カー効果は、前記したように、物質の屈折率変化Δnが電界Eの二乗に比例し、通常、電界Eの印加方向と発生する複屈折異方性の方向とは平行の関係になる。従って、この複屈折率変化Δnを光信号として取り出すためには、例えば、電界Eの印加方向と光の進行方向とが直交するような光学配置にする必要がある。通常の表示装置では、光は基板面に対して垂直の方向に通過するため、この時の電界Eの印加方向は、基板面に平行な方向にする必要がある。
【0108】
このように基板面に平行な方向に電界Eを印加する方法としては、例えば、図2に示すように、一対の基板のうち少なくとも一方の基板の内側面に、電界印加手段として櫛形電極24・25を用いる方法がある。このように櫛形電極24・25を一方の基板(画素基板23)に互いに対向するように形成することで、電界印加で発生する複屈折異方性を、光信号の変化として容易に取り出すことができる。
【0109】
しかしながら、このように光の進行方向に垂直に電界Eを印加するために一方の画素基板32に櫛形電極24・25を互いに対向して設けると、これら櫛形電極24・25による電気力線が及ぶ範囲、つまり光路長Lは、図6に示すように厚みとして見た場合、あまり大きくはない。このため、このような構成とした場合、光路長Lを大きくとることができないため、できるだけカー定数B、つまり、カー効果が大きな誘電性液体6(図4参照)からなる誘電性液体層41を使用することが望ましい。このためには、誘電性液体層41に用いられる液晶性化合物を、できるだけカー定数Bが大きな状態で使用することが望ましい。
【0110】
つまり、液晶のカー効果は、ネマチック相ではなく、液晶相−等方相転移温度(一次転移温度Tc)以上の等方相状態の液体に見られる現象であり、図5の(a)〜(c)に示すように、加熱による使用環境温度(加熱温度)が高いほど、液晶性化合物、つまり、液晶材料は等方相状態となる。
【0111】
しかしながら、その一方で、カー効果(それ自身は、等方相状態で観察される)は、液晶相−等方相相転移温度近傍で最大となり、温度上昇とともに1/(T−T*)に比例する関数で減少することが知られている。なお、T*は二次の液晶相−等方相相転移温度(臨界温度)を示し、一般的に、T*<Tc、具体的には、透明点より1〜2℃低い温度である。
【0112】
このため、誘電性液体層41に用いられる液晶性化合物を、できるだけカー定数Bが大きな状態で使用するためには、厳しい温度制御が必要とされる。
【0113】
また、カー定数Bの温度依存性は、直接的には、前記(6)式から明らかなように、半波長電圧Vπ、つまり、駆動電圧の温度依存性に関係する。±15%程度の電圧変動であれば、温度変動を補償する回路、あるいは画素の電気特性をモニターし、駆動電圧値にフィードバックする回路等を用いることにより、実用的な表示装置を構成することができる。±15%の駆動電圧変動は、カー定数Bの大きさでおよそ±30%の変動に相当する。言い換えれば、カー定数Bの大きさが、センター値に対して±30%以内である温度領域を如何に広げるかが重要となる。また、言うまでもなく、カー定数Bが充分大きく、駆動電圧が100V以下の場合には前記カー定数Bの変動幅の許容値はさらに大きくなる。
【0114】
このため、液晶材料のカー効果の温度依存性を改善することは、実用上の大きな課題である。
【0115】
本願発明者等は、液晶材料が大きなカー効果を示すのは、図5の(b)に示すように分子が部分的に配列したクラスタを形成しているためであると考えた。実際、このようなクラスタを形成しない分子では、カー定数Bは、液晶材料に比べて2桁小さい値しか示さない。そこで、本願発明者等は、さらに検討を重ねた結果、液晶材料におけるカー効果の温度依存性が大きい主要因は、通常の液晶材料では、このようなクラスタは液晶材料の透明点近傍では大きいものの、温度上昇とともに急激に小さくなっていくことにあり、このクラスタの寿命を長くすることによりカー効果の温度依存性を低減させることができることを見出した。
【0116】
本願発明者等が検討した結果、本実施の形態において、クラスタの寿命を長くする方法としては、具体的には、例えば、
(i)分子間力を強くするとともに、クラスタサイズを大きくする、あるいは、(ii)クラスタを形成し易くするため、クラスタの核となるべき材料を、上記誘電性液体6もしくは該誘電性液体6からなる誘電性液体層41と接する誘電体薄膜26・27に添加する方法が考えられる。
【0117】
ここで、上記(i)の条件を満足するための具体的な方法としては、例えば、上記誘電性液体6に、
(1)分子間水素結合形成能を有する液晶性化合物を加える、
(2)スメクチック液晶化合物を加える、
(3)錯体形成能を有する液晶性化合物を加える、
等の方法が考えられる。
【0118】
また、上記(ii)の条件を満足するための具体的な方法としては、例えば、
(4)誘電性液体6にクラスタの核となるべき微粒子を添加する、
(5)誘電性液体6、つまり、誘電性液体層41と接する誘電体薄膜26・27にクラスタの核となるべき微粒子を添加する、
等の方法が考えられる。
【0119】
但し、何れの場合にも、本実施の形態にかかる表示装置においては、上記誘電性液体6は、使用環境温度で可視光に対して透明な液体状態で用いられる。
【0120】
つまり、カー効果は、入射光に対して透明な媒質中で観測される。ある媒質中に光が入射した場合、透過、吸収、反射が起こる。一般に、不透明な粒子を任意の透明な媒質中に分散させた場合、光は吸収、あるいは反射(散乱)される。この場合、粒子が可視域において何ら吸収が無ければ、散乱の有無が透過、不透過を決めることになる。
【0121】
一般的に、入射光波長に比べて、粒子の粒子径が大きい場合にはミー散乱が起こり、粒子径が光の波長の1/10以下ではレーリー散乱が起こると言われている。しかしながら、本実施の形態にかかる表示装置のように光路長Lが充分短い場合には、粒子径が光の波長よりも小さい場合の散乱は無視することができる。このため、粒子径(より正確には、クラスタ長軸の長さ)が0.1μm以下であれば、前記媒質は透明であると言っても差し支えない。
【0122】
このため、上記誘電性液体6を、使用環境温度で透明な液体状態を維持するためには、例えば、クラスタサイズ(粒子径、より正確には、クラスタ長軸の長さ)を0.1μm以下、好適には0.08μm以下とすればよい。
【0123】
以下に、本実施の形態にかかる表示装置について、より具体的に説明する。
まず、分子間水素結合形成能を有する液晶性化合物を含む誘電性液体6を用いた表示装置について以下に説明する。なお、該表示装置の構成並びに表示原理は前記した通りである。よって、ここでは、主に、上記表示装置に用いられる誘電性液体6について説明するものとする。
【0124】
分子間水素結合とは、例えば、水素原子より電気的に陰性な原子2つの間に水素原子が介在して形成される結合であり、上記原子が、互いに異なる分子に属している場合を示す。このような水素結合は、OHやNHのように酸性度が少し高い水素原子と、電子陰性度が大きい陰性原子や、不飽和結合、ベンゼン環等との間で形成される。本実施の形態において用いられる分子間水素結合能を有する液晶性化合物としては、例えば、電子陰性度が大きい陰性原子、例えば、ClやF等のハロゲン、O、N、P、S、Se等と結合している水素原子を有する極性分子が挙げられる。
【0125】
上記液晶性化合物が有する水素結合能を有する官能基の一例としては、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、エーテル基、アミノ基、イミノ基、スルホン酸基、フォスホン酸基等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら官能基は、同一分子中に1つ含まれていてもよく、複数含まれていてもよい。すなわち、上記液晶性化合物は、少なくとも分子間水素結合能を有していればよい。
【0126】
本実施の形態において用いられる分子間水素結合能を有する液晶性化合物としては、より具体的には、例えば、順に下記構造式(1)〜(4)
【0127】
【化1】
【0128】
で表される4−n−ヘキシルオキシ安息香酸、4−(4−オクチルオキシフェニルエチニル)ピリジン、p−シアノベンザル−p−アミノ安息香酸、p−n−アミル安息香酸等が挙げられる。
【0129】
また、本実施の形態で用いられる分子間水素結合能を有する液晶性化合物としては、上記した液晶性化合物以外にも、順に下記構造式(5)〜(11)
【0130】
【化2】
【0131】
で表されるω−n−アルキルソルビン酸、p−n−アルコキシ−m−ハロゲン安息香酸、p−置換ポリオキシ安息香酸、トランス−p−n−アルコキシ桂皮酸、p’−n−アルコキシ−p−ビフェニルカルボン酸、7−n−アルコキシ−2−フルオレン酸、6−n−アルコキシ−2−ナフチル酸、およびそれらの誘導体;下記構造式(12)および(13)
【0132】
【化3】
【0133】
で表されるフェノール誘導体;下記構造式(14)
【0134】
【化4】
【0135】
で表される化合物等の液晶性化合物が挙げられる。なお、上記構造式(5)〜(14)中、R1〜R11は、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基を示す。また、上記構造式(6)中、Xはハロゲン基を示す。
【0136】
これら分子間水素結合能を有する液晶性化合物は、1種類のみを用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。これら分子間水素結合能を有する液晶性化合物は、分子間相互作用が大きく、上記クラスタサイズを大きくすることができる。その中でも特に、その分子構造中に水酸基を有する液晶性化合物は、入手が容易であり、かつ、該水酸基と酸素原子との間の結合距離が短く、結合エネルギー、すなわち、分子間相互作用が大きいことから、温度上昇に伴うクラスタの延命効果が大きく、特に適している。なお、上記水酸基は、フェノール性の水酸基であってもよく、アルコール性の水酸基であってもよく、本実施の形態において、分子構造中に水酸基を有する液晶性化合物とは、カルボキシル基を構成する水酸基も含めて、分子構造中に水酸基が含まれる液晶性化合物全般を示すものとする。
【0137】
また、これら分子間水素結合能を有する液晶性化合物は、順に下記構造式(15)〜(19)
【0138】
【化5】
【0139】
で表されるp−ブトキシベンジリデン−シアノアニリン、p−ヘキシルオキシベンジリデン−シアノアニリン、p−オクチルオキシベンジリデン−シアノアニリン、4−n−ペンチル−4−シアノビフェニル(5CB)、4,4’−ビピリジンや、下記構造式(20)
【0140】
【化6】
【0141】
で表される化合物等のその他の液晶性化合物と混合して前記誘電性液体6として用いることができる。なお、上記構造式(20)において、nで表される繰り返し単位は、0、あるいは1〜9の整数を示す。
【0142】
さらに、本実施の形態において用いられるその他の液晶性化合物としては、順に下記構造式(21)〜(23)
【0143】
【化7】
【0144】
で表される1,2−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼン、1,2−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼン、および1,2−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0145】
これら分子間水素結合能を有する液晶性化合物と混合して用いられるその他の液晶性化合物もまた、1種類のみを用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。
【0146】
本実施の形態において用いられる誘電性液体6の組成は、該誘電性液体6中に分子間水素結合能を有する液晶性化合物を含んでさえいれば、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、前記構造式(1)で表される4−n−ヘキシルオキシ安息香酸と、前記構造式(2)で表される4−(4−オクチルオキシフェニルエチニル)ピリジンと、前記構造式(15)で表されるp−ブトキシベンジリデン−シアノアニリンと、前記構造式(16)で表されるp−ヘキシルオキシベンジリデン−シアノアニリンと、前記構造式(17)で表されるp−オクチルオキシベンジリデン−シアノアニリンとの混合物や、前記構造式(3)で表されるp−シアノベンザル−p−アミノ安息香酸と、前記構造式(4)で表されるp−n−アミル安息香酸と、前記構造式(18)で表される5CBとの混合物が、その一例として挙げられる。
【0147】
また、上記構造式(15)〜(17)で表される液晶性化合物と、前記構造式(5)〜(11)で表される化合物およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の液晶性化合物との混合物も、本実施の形態にかかる誘電性液体6の一例として的確な材料である。その他、本実施の形態にかかる誘電性液体6として的確な材料の一例としては、例えば、前記構造式(12)および/または前記構造式(13)で表されるフェノール誘導体と、前記構造式(19)で表される4,4’−ビピリジンとの混合物;前記構造式(14)で表される液晶性化合物や安息香酸誘導体と前記構造式(20)で表される液晶性化合物との混合物;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0148】
本実施の形態における分子間水素結合能を有する液晶性化合物の使用量は、用いる誘電性液体6の組成、特に、分子間水素結合能を有する液晶性化合物の種類等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではなく、上記誘電性液体6として分子間水素結合能を有する液晶性化合物のみからなる液晶性組成物(混合液晶)を用いることもできるが、上記誘電性液体6中における分子間水素結合能を有する液晶性化合物の合計の含有量が、10重量%以上、70重量%以下の範囲内となるように上記誘電性液体6の組成が設定されることが望ましい。
【0149】
上記含有量が10重量%未満の場合には、クラスタサイズ拡大に対する効果が小さく、上記分子間水素結合能を有する液晶性化合物を使用する効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記含有量が70重量%よりも多い場合には、誘電性液体6の抵抗率が小さくなり、セル31の電圧保持特性が低下する場合がある。
【0150】
上記誘電性液体6中における分子間水素結合能を有する液晶性化合物の合計の含有量は、カー定数Bの温度依存性の低減効果が高く、顕著な電圧保持特性の低下が認められないことから、20重量%以上、60重量%以下の範囲内であることがより好ましい。
【0151】
分子間水素結合能を有する液晶性化合物を含む液晶材料からなる上記誘電性液体6は、液体中で分子間水素結合を形成することによりクラスタサイズが大きく、クラスタの寿命が長い。このため、本実施の形態によれば、カー効果の温度依存性が低減された表示装置を提供することができる。
【0152】
なお、上記分子間水素結合は、分子間水素結合能を有する液晶性化合物間で形成されていてもよいが、分子間水素結合能を有する非液晶性化合物、つまり、上記分子間水素結合能を有する液晶性化合物との間で分子間水素結合能を形成することが可能な非液晶性化合物を添加することによって、上記分子間水素結合能を有する液晶性化合物と、分子間水素結合能を有する非液晶性化合物との間で形成されていてもよいことは言うまでもない。
【0153】
分子間水素結合能を有する非液晶性化合物としては、上記誘電性液体6の物性を阻害せず、該誘電性液体6を、可視光に対して透明な等方相状態とすることができるものであれば、特に限定されるものではない。このような非液晶性化合物としては、具体的には、例えば、エタノール等のアルコール類や、フェノール、チオフェノール類等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0154】
上記誘電性液体6が、分子間水素結合能を有する非液晶化合物を含む場合、上記誘電性液体6中における上記非液晶化合物の割合は、10重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましい。上記非液晶化合物の割合が10重量%を超えると、誘電性液体6がクラスタ形成能を持たなくなるおそれがある。
【0155】
また、本発明においては、上記したように分子間水素結合に限らず、錯体形成により上述のクラスタサイズが大きくなる場合も同様の効果が期待される。
【0156】
次に、スメクチック液晶相(Sm相)を有するスメクチック液晶化合物を含む誘電性液体6を用いた表示装置について以下に説明する。なお、該表示装置においても、該表示装置の構成並びに表示原理は前記した通りである。よって、以下の説明では、主に、上記表示装置に用いられる誘電性液体6について説明するものとする。
【0157】
本実施の形態において用いられるスメクチック液晶化合物は、ネマティック相が有する分子長軸の配列の秩序に加えて、分子重心位置にも秩序がある一次元の並進周期性を有する層構造を有する液晶性化合物であり、具体的には、例えば、順に下記構造式(24)〜(27)
【0158】
【化8】
【0159】
で表される、p−クロル安息香酸、4−ヘキシルオキシフェニル−4’−アゾピリジン、1−(4−n−ペンチルビフェニル)−2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)エタン、4‘−2−メチルブチル−4−シアノビフェニル等が挙げられる。なお、上記スメクチック液晶化合物は、例えば上記構造式(24)で表されるp−クロル安息香酸のように、分子間水素結合能を有していてもよい。
【0160】
また、本実施の形態で用いられるスメクチック液晶化合物としては、上記した液晶性化合物以外にも、順に下記構造式(28)〜(41)
【0161】
【化9】
【0162】
で表される化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。なお、上記構造式(33)および(34)において、R12〜R15は、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基、アルキルオキシ基、またはアルキルオキシアルキル基を示す。
【0163】
これらスメクチック液晶化合物は、1種類のみを用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。これらスメクチック液晶化合物の中でも、より大きな双極子能率を示すことにより、分子末端にシアノ基を有する液晶性化合物が特に好ましい。
【0164】
これらスメクチック液晶化合物は、前記構造式(15)〜(23)で表されるその他の液晶性化合物や、前記分子間水素結合を有する液晶性化合物から選ばれる少なくとも1種の液晶性化合物等と混合して前記誘電性液体6として用いることができる。
【0165】
上記スメクチック液晶化合物は、SmA相、SmB相、SmC相等の何れの相を有していてもよく、右旋性のカイラル液晶であってもよく、左旋性の材料であってもよく、旋光性を有さないスメクチック液晶化合物であってもよい。
【0166】
上記誘電性液体6として用いられる上記スメクチック液晶化合物を含む液晶性組成物の組成は、該誘電性液体6中にスメクチック液晶化合物を含んでさえいれば、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、前記構造式(24)で表されるp−クロル安息香酸と、前記構造式(25)で表される4−ヘキシルオキシフェニル−4’−アゾピリジンと、前記構造式(15)で表されるp−ブトキシベンジリデン−シアノアニリンと、前記構造式(16)で表されるp−ヘキシルオキシベンジリデン−シアノアニリンと、前記構造式(17)で表されるp−オクチルオキシベンジリデン−シアノアニリンとの混合物や、前記構造式(26)で表される1−(4−n−ペンチルビフェニル)−2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)エタンと、上記構造式(15)〜(17)で表される液晶性化合物との混合物、前記構造式(27)で表される4−2−メチルブチル−4−シアノビフェニルと、前記構造式(21)で表される1,2−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンと、前記構造式(22)で表される1,2−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンと、前記構造式(23)で表される1,2−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンとの混合物等が、その一例として挙げられる。
【0167】
また、上記構造式(24)〜(27)で表されるスメクチック液晶化合物に代えて、前記構造式(28)〜(41)で表されるスメクチック液晶化合物を用いた液晶性組成物もまた本実施の形態にかかる誘電性液体6の一例として的確な材料である。
【0168】
本実施の形態におけるスメクチック液晶化合物の使用量は、用いる誘電性液体6の組成、特に、スメクチック液晶化合物の種類等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではなく、上記誘電性液体6としてスメクチック液晶化合物のみからなる液晶性組成物(混合液晶)を用いることもできるが、上記誘電性液体6中におけるスメクチック液晶化合物の合計の含有量が、10重量%以上、90重量%以下の範囲内となるように上記誘電性液体6の組成が設定されることが望ましい。
【0169】
上記含有量が10重量%未満の場合には、クラスタサイズ拡大に対する効果が小さく、上記分子間水素結合能を有する液晶性化合物を使用する効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記含有量が90重量%よりも多い場合には、誘電性液体6の抵抗率が小さくなり、セル31の電圧保持特性が低下する場合がある。
【0170】
上記誘電性液体6中におけるスメクチック液晶化合物の合計の含有量は、カー定数Bの温度依存性の低減効果が高く、実用的な電圧保持特性を得ることができると共に、カー定数Bの温度変動を±30℃未満に抑制することができる温度範囲が広いことから、その下限値がより好適には20重量%、さらに好適には30重量%であり、その上限値がより好適には60重量%、さらに好適には40重量%である。
【0171】
誘電性液体6中にスメクチック液晶化合物を含むカー効果液晶は、分子間相互作用が強く、カー定数Bの温度依存性が低減されることから、その実用的価値は極めて大きい。本実施の形態によれば、上記したように、スメクチック液晶化合物を含む液晶材料を誘電性液体6として用いることによっても、カー効果の温度依存性が低減された表示装置を提供することができる。
【0172】
次に、クラスタの核として微粒子を含む表示装置について以下に説明する。なお、該表示装置においても、該表示装置の構成並びに表示原理は前記した通りである。よって、以下の説明では、主に、上記表示装置に用いられる誘電性液体6について説明するものとする。
【0173】
本実施の形態において用いられる微粒子は、前記したように、クラスタの核として用いられ、該微粒子を含む誘電性液体6が、使用環境温度で可視光に対して透明な液体である必要があることから、光の波長よりも小さく、可視光に対して透明な粒子、具体的には、0.1μm以下の粒子である。
【0174】
このように粒子径が0.1μm以下、つまり、粒子の粒子径が入射光波長よりも小さい場合の光の散乱は無視することができる。このため、粒子径が0.1μm以下であれば、上記微粒子もまた可視光に対して透明である。
【0175】
このため、本実施の形態では、上記条件を満たす微粒子として、具体的には、例えば、いわゆるナノ粒子と称される微粒子が使用される。上記微粒子の粒子径は、該微粒子を核とするクラスタの粒子径(より正確には、クラスタ長軸の長さ)が光の波長よりも小さく、使用環境温度で可視光に対して透明な誘電性液体6を得る上で、80nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。前記したように、粒子径が光の波長よりも小さい場合の散乱は無視することができる。
【0176】
上記微粒子としては、例えば、上記したように粒子径が0.1μm以下であり、かつ、該微粒子表面に液晶分子が物理的あるいは化学的に吸着し易い粒子であれば、適格に用いることができる。該微粒子としては、具体的には、例えば、パラジウム、二酸化珪素、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン等の無機化合物や、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリチオフェン等の有機化合物、およびこれらに表面処理を施した粒子等が用いられる。これら微粒子は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を適宜混合して用いても構わない。
【0177】
これら微粒子の中でも、表面にパラジウム(Pd)を有する微粒子、特に、Pdからなるナノ粒子(Pdナノ粒子)あるいは担体にPdを担持してなるナノ粒子が好適に用いられる。その中でも、より好ましくはPdナノ粒子である。上記微粒子が、表面にPdを有することで、該微粒子表面に液晶分子が物理的あるいは化学的に吸着し易く、クラスタサイズが大きく、温度上昇に対して寿命が長いクラスタを形成することができる。
【0178】
上記微粒子は、誘電性液体6中に分散させて用いてもよく、該誘電性液体6からなる誘電性液体層41と接する誘電体薄膜26・27のうち少なくとも一方、例えば、画素基板32上に設けられた櫛形電極24・25の表面に設けられた有機薄膜である誘電体薄膜26に分散させて用いても構わない。
【0179】
上記微粒子を誘電性液体6中に分散させて用いる場合には、上記微粒子を、上述した液晶性化合物(液晶性組成物)に添加、混合して用いればよい。また、上記微粒子を誘電体薄膜26・27のうち少なくとも一方に分散させて用いる場合には、予め、誘電体薄膜26および/または誘電体薄膜27の製膜前に、上記微粒子を誘電体薄膜材料に添加、混合した後、製膜して用いてもよく、未硬化状態の誘電体薄膜26・27のうち少なくとも一方の表面に上記微粒子を添加した上で硬化を行なっても構わない。
【0180】
上記微粒子を誘電性液体6中に分散させて用いる場合に用いられる上記液晶性化合物(液晶性組成物)、つまり、微粒子以外の誘電性液体6の組成(成分)としては、前述の各種液晶性化合物(液晶性組成物)を用いることができる。
【0181】
同様に、上記微粒子を誘電体薄膜26・27のうち少なくとも一方に分散させて用いる場合に用いられる誘電性液体6にも、前述の各種液晶性化合物(液晶性組成物)を用いることができる。
【0182】
このように上記誘電性液体6もしくは上記誘電体薄膜26・27のうち少なくとも一方が上記微粒子を含む場合、上記微粒子を核として該微粒子表面に液晶分子が物理的あるいは化学的に吸着し、クラスタサイズが大きく、寿命が長いクラスタが形成される。このため、この場合においても、カー効果の温度依存性が低減された表示装置を提供することができる。
【0183】
なお、上記表示装置において、誘電性液体6に用いられる液晶性化合物(液晶性組成物)としては、上記したように前述した各種液晶性化合物(液晶性組成物)を適宜選択して用いることができ、特に限定されるものではないが、該液晶性組成物、つまり、誘電性液体6は、分子末端にシアノ基を有する液晶性化合物を含んでいることが好ましい。このように上記誘電性液体6に含まれる液晶性化合物が末端基としてシアノ基を有していると、該シアノ基中の窒素原子が上記微粒子に対して配向し易いことからクラスタを形成し易く、クラスタサイズが大きく、寿命が長いクラスタが形成される。
【0184】
例えば、上記誘電性液体6が5CBを含む場合、5CBは、そのシアノ基をPd側に向けて配位(配向)しており、クラスタを形作っている。このクラスタは5CBの透明点以上の幅広い温度範囲にわたって安定であり、カー効果の温度依存性の低減に極めて有効である。
【0185】
上記表示装置において、カー効果は、上記微粒子の含有割合の増加とともに大きくなる傾向がある。しかしながら、微粒子の分散性の観点より、上記微粒子の含有割合が一定量を越えるとその効果が飽和する傾向にある。
【0186】
前者、つまり、誘電性液体6中に微粒子を添加する場合、該誘電性液体6中の微粒子の含有割合が10重量%を超えるとその効果が飽和する。一方、後者、つまり、上記誘電体薄膜26・27のうち少なくとも一方が微粒子を含む場合、これら誘電体薄膜26・27中の微粒子の微粒子の含有割合が20重量%を超えるとその効果が飽和する。
【0187】
このため、上記含有割合は、前者の場合、実用的には、3重量%以上、10重量%以下の範囲内であることが好ましく、5重量%以上、10重量%以下の範囲内であることがより好ましい。また、後者の場合、実用的には、3重量%以上、10重量%以下の範囲内であることが好ましく、5重量%以上、10重量%以下の範囲内であることがより好ましい。
【0188】
以上のように、本実施の形態にかかる表示装置は、何れも、少なくとも一方が透明な一対の基板、つまり、画素基板32および対向基板33と、該一対の基板間に挟持され、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層41と、上記誘電性液体層41に電界を印加する例えば櫛形電極24・25等の電極とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層41は、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度で上記液晶性化合物の液晶分子が部分的に配列したクラスタを含み、かつ、可視光に対して透明である構成を有している。
【0189】
クラスタが、前記したように、例えば分子間水素結合した液晶性化合物、スメクチック液晶化合物、微粒子のうち少なくとも一種を含む場合、通常の液晶材料、つまり、これらを含まない場合よりもクラスタサイズが大きく、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度でも上記誘電性液体層41中にクラスタが残存する。そして、このように、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度において、クラスタが存在している場合、該温度でのカー効果の低下が抑制される。
【0190】
このため、本実施の形態によれば、温度上昇に伴うクラスタの寿命が長く、カー効果の温度依存性が小さく、広視野角で高速応答性を有する表示装置を提供することができる。つまり、本実施の形態にかかる表示装置に用いられる誘電性液体層41のカー定数Bの温度依存性が小さい理由としては、以下のように考えられる。すなわち、液晶性化合物そのものは前記したように短距離秩序を有する液体であり、温度上昇とともに、配向秩序の度合いが低下し、ついには分子レベルでランダムな配向となるが、上記したように、上記誘電性液体層41を構成する液晶性化合物の分子間相互作用を高めることで、クラスタサイズを大きくすることができ、このことが温度上昇に伴うクラスタの寿命を長くし、カー定数Bの温度依存性を小さくすることに繋がっていると考えられる。
【0191】
ここで、カー効果の温度依存性が小さいとは、駆動電圧の温度依存性(表示特性の温度依存性と同義)が小さいことを意味しており、その実用的価値は極めて大きい。
【0192】
前記したように、誘電性液体層41のカー定数の温度依存性は、駆動電圧の温度依存性に関係し、±15%程度の電圧変動であれば、温度変動を補償する回路、あるいは画素の電気特性をモニターし、駆動電圧値にフィードバックする回路等を用いることにより、実用的な表示装置を構成することができる。±15%の駆動電圧変動は、カー定数Bの大きさでおよそ±30%の変動に相当する。本発明によれば、前記したように上記誘電性液体層41が、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度下において前記クラスタを含むことで、カー定数の変動値を、上記液晶−等方相相転移温度に対する二次の相転移温度を基準として+5℃の温度範囲内において±30%以内に抑えることが可能となる。
【0193】
また、本発明によれば、カー定数Bが低下しないので、印加電圧が増大することなく、低電圧で上記表示装置を駆動することができる。
【0194】
さらに、本実施の形態によれば、従来のように液晶材料の領域を小区域に分割するための手段を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0195】
以下に、本実施の形態にかかる表示装置におけるカー効果の温度依存性について実施例および比較例を用いて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0196】
〔セル(A)の作製〕
以下の実施例1〜7および比較例1で用いたセル(A)は、以下のようにして作製した。まず、ガラス製の基板23の表面に、電極材料としてアルミニウムを0.2μmの厚みで積層してパターニングすることにより、図2および図3に示すように線幅並びに電極間隔が10μmの櫛形電極24・25を形成した。次いで、上記基板23の表面に、上記櫛形電極24・25を覆うように、誘電体薄膜26として、ポリイミド膜(日産化学工業(株)製配向膜「SE−7792(商品名)」)を製膜し、その表面を、図3に示すように、櫛形電極24・25の櫛歯に沿って矢印J方向にラビング処理することにより、画素基板32を作製した。
【0197】
一方、ガラス製の基板28の表面に、誘電体薄膜27として、誘電体薄膜26と同様のポリイミド膜を製膜し、その表面を、図3に示すように、前記櫛形電極24・25の櫛歯に沿って、矢印J方向とは反対向き(矢印K方向)にラビング処理することにより、対向基板33を作製した。
【0198】
次いで、上記画素基板32と対向基板33とを、両基板間のギャップAが10μmとなるようにガラスファイバースペーサおよびシール剤34を介して貼り合わせ、上記ギャップAに誘電性液体6としての液晶材料(液晶性組成物)を導入してこれら画素基板32および対向基板33の外側に、図1に示すように偏光板22・29を、各々、互いの吸収軸方向が直交すると共に、上記ラビング方向である矢印J方向および矢印K方向とは45度の角度をなすように貼着することにより、セル31としてのセル(A)を作製した。
【0199】
なお、カー定数Bの測定にあたっては、セル31の温度制御が重要である。そこで、以下の実施例および比較例では、カー定数Bの測定にあたって、セル31としてのセルを、電子冷却装置(日本電子株式会社(特注品))中に保持して温度制御(PID;Proportional、Integral、Differential制御)を行い、該セル(A)の温度を変化させた時のI=I0となる半波長電圧Vπを測定し、前記(6)式からカー定数Bを算出した。なお、この時の温度精度は、−20℃〜40℃においては±0.05℃、40℃〜150℃においては±0.1℃とした。
【0200】
また、以下の実施例において、構造式(1)で表される4−n−ヘキシルオキシ安息香酸並びに構造式(2)で表される4−(4−オクチルオキシフェニルエチニル)ピリジンは、キサンギ ソン等の方法(Liquid Crystals, 2002, Vol.29, No.12, pp.1533−1537)にて合成した。その他の化合物は市販のものを使用した。
【0201】
〔実施例1〕
前記構造式(1)で表される4−n−ヘキシルオキシ安息香酸20.7重量部と、前記構造式(2)で表される4−(4−オクチルオキシフェニルエチニル)ピリジン29.3重量部と、前記構造式(15)で表されるp−ブトキシベンジリデン−シアノアニリンおよび前記構造式(16)で表されるp−ヘキシルオキシベンジリデン−シアノアニリン並びに前記構造式(17)で表されるp−オクチルオキシベンジリデン−シアノアニリンの等量混合物(以下、等量混合物(I)と記す)50重量部との混合物を調製し、ヒータで加熱して本実施の形態にかかる誘電性液体6として透明な液晶材料(液晶性組成物)を得た。該液晶材料を用いて、上述の方法にて、セル(A)の温度を変化させながらカー定数Bを測定した。この結果を図7に示す。図7において、本実施例1の横軸は測定温度Tと二次転移温度T*(=106.3℃)との差を表している。
【0202】
〔比較例1〕
実施例1において、分子間水素結合を有する液晶性化合物を用いない以外は、実施例1と同様にしてカー定数Bの温度依存性を測定した。つまり、前記構造式(15)で表されるp−ブトキシベンジリデン−シアノアニリンと前記構造式(16)で表されるp−ヘキシルオキシベンジリデン−シアノアニリンと前記構造式(17)で表されるp−オクチルオキシベンジリデン−シアノアニリンとの等量混合物(I)を調製し、ヒータで加熱して透明な液晶材料(液晶性組成物)を得た。該液晶材料を用いて、実施例1と同様にしてセル(A)の温度を変化させながらカー定数Bを測定した。この結果を図7に、前記実施例1の結果と併せて示す。なお、図7において、比較例1の横軸は測定温度Tと二次転移温度T*(=95.7℃)との差を表している。
【0203】
図7より明らかなように、本実施の形態にかかる表示装置に用いられる誘電性液体6は、分子間水素結合能を有する液晶性化合物を用いない場合と比較してカー定数Bの温度依存性が小さい特徴を有している。すなわち、このことは駆動電圧の温度依存性(表示特性の温度依存性と同義)が小さいことを意味しており、その実用的価値は極めて大きい。
【0204】
本実施の形態にかかる表示装置に用いられる誘電性液体6のカー定数Bの温度依存性が小さい理由としては、以下のように考えられる。つまり、上記実施例1のように、分子間水素結合形成能を有する液晶性化合物は、分子間相互作用が強く、分子間水素結合能を有する液晶性化合物を用いない場合と比較して前記クラスタサイズを大きくすることが可能であり、この結果、温度上昇に対するクラスタの寿命が長くなっているものと考えられる。そして、このことがカー定数Bの温度依存性を小さくすることに繋がっているものと考えられる。
【0205】
なお、上記実施例1では、分子間水素結合能を有する液晶性化合物として水酸基を有する液晶性化合物を用いたが、これにより本発明を何ら限定するものではない。また、水素結合に限らず、錯体形成により上述のクラスタサイズが大きくなる場合も同様の効果が期待される。
【0206】
〔実施例2〕
実施例1で用いた前記構造式(1)で表される4−n−ヘキシルオキシ安息香酸と前記構造式(2)で表される4−(4−オクチルオキシフェニルエチニル)ピリジンとの等モル混合物(以下、等モル混合物(II)と記す)を、前記等量混合物(I)に添加していった時のカー定数Bの温度依存性を、実施例1と同様にして測定した。表1は、測定温度Tと二次転移温度T*との差が2℃の時のカー定数Bの大きさを、これら液晶性化合物からなる液晶性組成物における分子間水素結合能を有する液晶性化合物の含有割合、つまり、上記等モル混合物(II)の含有割合に対して示したものである。
【0207】
【表1】
【0208】
表1より、上記等モル混合物(II)の含有割合が10重量%以上、70重量%以下の範囲内において大きなカー定数Bを示していることがわかる。このことは、上記等モル混合物(II)の含有割合が、10重量%以上、70重量%以下の範囲内においては、クラスタサイズが上記等量混合物(I)だけの場合に比べて大きくなっており、大きなカー定数Bが発現していることを示す。なお、上記等モル混合物(II)の含有割合が10重量%未満の場合にはクラスタサイズ拡大に対する効果は小さく、70重量%より大きい場合には誘電性液体6の抵抗率が小さくなり、セル(A)(表示素子)の電圧−保持特性が低下するため好ましくない。
【0209】
〔実施例3〕
実施例1において、本実施の形態にかかる誘電性液体6として、前記構造式(3)で表されるp−シアノベンザル−p−アミノ安息香酸20重量部と、前記構造式(4)で表されるp−n−アミル安息香酸20重量部と、前記構造式(18)で表される4−n−ペンチル−4−シアノビフェニル(5CB)60重量部とからなる混合物(液晶性組成物)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてカー定数Bを測定した。この結果を図8に示す。図8において、横軸は測定温度Tと二次転移温度T*(=109.7℃)との差を表している。
【0210】
本実施例において、前記構造式(3)で表されるp−シアノベンザル−p−アミノ安息香酸と前記構造式(4)で表されるp−n−アミル安息香酸とを含む誘電性液体6は、液体中で分子間水素結合を形成することにより、クラスタサイズが大きくなっているため、カー定数Bの温度依存性が低減されているものと考えられる。
【0211】
〔実施例4〕
実施例1において、本実施の形態にかかる誘電性液体6として、前記構造式(24)で表されるp−クロル安息香酸17.8重量部と、前記構造式(25)で表される4−ヘキシルオキシフェニル−4’−アゾピリジン32.2重量部と、前記等量混合物(I)50重量部とからなる混合物(液晶性組成物)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてカー定数Bを測定した。この結果を図9に示す。図9において、横軸は測定温度Tと二次転移温度T*(=108.8℃)との差を表している。
【0212】
本実施例において、前記構造式(24)で表されるp−クロル安息香酸と前記構造式(25)で表される4−ヘキシルオキシフェニル−4’−アゾピリジンとはスメクチック液晶相を示し、その分子間相互作用も強いため、これらスメクチック液晶化合物を含む誘電性液体6は、前記クラスタサイズが大きく、カー定数Bの温度依存性が低減されているものと考えられる。
【0213】
〔実施例5〕
実施例1において、本実施の形態にかかる誘電性液体6として、前記構造式(26)で表される1−(4−n−ペンチルビフェニル)−2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)エタン40重量部と、前記等量混合物(I)60重量部とからなる混合物(液晶性組成物)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてカー定数Bを測定した。この結果を図10に示す。図10において、横軸は測定温度Tと二次転移温度T*(=110.0℃)との差を表している。
【0214】
上記実施例4・5より明らかなように、誘電性液体6中にスメクチック液晶化合物を有するカー効果液晶は分子間相互作用が強く、カー定数Bの温度依存性が低減されており、その実用的価値は極めて大きい。
【0215】
〔実施例6〕
前記構造式(27)で表される4−2−メチルブチル−4−シアノビフェニルを、前記構造式(21)で表される1,2−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンおよび前記構造式(22)で表される1,2−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼン並びに前記構造式(23)で表される1,2−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンの等量混合物(以下、等量混合物(III)と記す)に添加していった時のカー定数Bの温度依存性を、実施例1と同様にして測定した。表2は、測定温度Tと二次転移温度T*との差が2℃の時のカー定数Bの大きさを、これら液晶性化合物からなる液晶性組成物におけるスメクチック液晶化合物の含有割合、つまり、前記構造式(27)で表される4−2−メチルブチル−4−シアノビフェニルの含有割合に対して示したものである。
【0216】
【表2】
【0217】
表2より、前記構造式(27)で表されるスメクチック液晶化合物の含有割合が10重量%以上、90重量%以下の範囲内において大きなカー定数を示していることがわかる。このことは、上記スメクチック液晶化合物の含有割合が10重量%以上、90重量%以下の範囲内においては、クラスタサイズが上記等量混合物(III)だけの場合に比べて大きくなっており、大きなカー定数Bが発現していることを示す。
【0218】
また、等方相状態でのカー効果の温度依存性の程度TR(℃)を、カー定数Bの温度変動幅が±30%未満である温度範囲と定義した時の実測値を表2に併せて記載する。表2より、スメクチック液晶化合物の含有割合が10重量%以上、60重量%以下の時に、カー定数Bの温度変動幅が±30%未満である温度範囲が顕著に広くなり、カー定数Bの温度依存性の低減効果が大きくなることがわかる。上記の結果から明らかなように、本実施の形態にかかる表示装置はカー定数Bの温度依存性が大幅に低減されており、その実用的価値は極めて大きい。
【0219】
なお、本実施例では、スメクチック液晶化合物として右旋性のカイラル液晶を用いたが、前記したように、左旋性の材料を用いてもよいし、旋光性を有しないスメクチック液晶化合物を用いてもよいことは言うまでもない。
【0220】
〔実施例7〕
定法により、酢酸パラジウムと、モル数にして酢酸パラジウムの10倍量の前記構造式(18)で表される5CBとの混合物の10重量%エタノール溶液に紫外線照射することにより還元して、5CB−Pdナノ粒子を作成した。次に、この5CB−Pdナノ粒子と5CBとの混合物(液晶性組成物)を、その混合割合を変えて調製し、それぞれについて、二次転移温度T*+5℃でのカー定数Bを測定した。この結果を表3に示す。
【0221】
【表3】
【0222】
表3より、5CB−Pdナノ粒子の含有割合の増加とともにより大きなカー効果が発現することがわかる。また、表3より、上記微粒子の含有割合が10重量%を越えるとその効果が飽和することがわかる。
【0223】
さらに、5CB−Pdナノ粒子5重量%と5CB95重量%との混合組成物について、実施例1と同様にしてカー定数Bの温度依存性を測定した。この結果を図11に示す。図11において、横軸は測定温度Tと二次転移温度T*(=32.4℃)との差を表している。
【0224】
本実施例において、5CBは、そのシアノ基をPd側に向けて配位しており、クラスタを形作っている。このクラスタは5CBの透明点以上の幅広い温度範囲にわたって安定であり、カー定数温度依存性の低減に極めて有効である。
【0225】
なお、本実施例ではPdに配位する液晶分子として5CBを用いたが、これにより何ら本発明は何ら限定されるものではない。
【0226】
〔実施例8〕
まず、ガラス製の基板23の表面に、電極材料としてITOを0.2μmの厚みで積層してパターニングすることにより、図2および図3に示すように線幅並びに電極間隔が10μmの櫛形電極24・25を形成した。次いで、上記基板23の表面に、上記櫛形電極24・25を覆うように、誘電体薄膜26として、Pd微粒子を5重量%の割合で含有するポリイミド膜(日産化学工業株式会社製配向膜「SE−7792(商品名)」)を製膜し、その表面を、図3に示すように、櫛形電極24・25の櫛歯に沿って矢印J方向にラビング処理することにより、画素基板32を作製した。
【0227】
一方、ガラス製の基板28の表面に、誘電体薄膜27として、誘電体薄膜26と同様のポリイミド膜を製膜し、その表面を、図3に示すように、前記櫛形電極24・25の櫛歯に沿って、矢印J方向とは反対向き(矢印K方向)にラビング処理することにより、対向基板33を作製した。
【0228】
次いで、上記画素基板32と対向基板33とを、両基板間のギャップAが10μmとなるようにガラスファイバースペーサおよびシール剤34を介して貼り合わせ、定法に従い、上記ギャップAに、前記等量混合物(II)を封入し、これら画素基板32および対向基板33の外側に、図1に示すように偏光板22・29を、各々、互いの吸収軸方向が直交すると共に、上記ラビング方向である矢印J方向および矢印K方向とは45度の角度をなすように貼着することにより、本実施の形態にかかるセル31としてのセル(B)を、本実施の形態にかかる表示装置として作製した。
【0229】
上記表示装置の雰囲気温度を変化させながら、前記半波長電圧Vπを測定したところ95.0℃で36.0V、101.3℃で36.4V、107.2℃で37.1Vの値が得られた。
【0230】
本実施例においては、Pd微粒子が誘電体薄膜26・27(配向膜)中に分散されており、これにシッフベース系液晶中のシアノ基が配位するため、大きなクラスタが得られ、半波長電圧Vπの温度変化が大きく抑えられている。
【0231】
なお、本実施例においては、上記誘電体薄膜26・27としてポリイミド薄膜を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本実施例では電極上に誘電体薄膜26・27を配設したが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。本実施例のように、ラビング処理により、上記誘電性液体6からなる誘電性液体層41に配向性を付与させると、本来等方的になり、液晶分子の方位がランダムとなる温度においても、基板界面近傍においては、複数の液晶分子はクラスタとして振る舞うため(マクロに見れば等方相を示している)、見かけ上、大きなカー定数を得ることができる。
【0232】
〔実施例9〕
前記セル(A)の作製に際し、実施例1、3、4、5、7で調製した液晶性組成物を誘電性液体6として各々用いると共に、各々表4に示す条件に従って作製したセル(C)、(D)、(E)、(F)、(G)における二次転移温度T*+5℃での半波長電圧Vπを、前記実施例8と同様にして測定した。各セルの設計パラメータとともに、上記半波長電圧Vπを表4に示す。
【0233】
【表4】
【0234】
表4からも明らかなように、本実施の形態にかかる表示装置は実用的な電圧で駆動可能であり、その価値は大きい。なお、前記(5)式によりカー定数Bの大きさから推定される半波長電圧Vπに比べ、表4の実測値では大きな値を示しているが、これは櫛形電極24・25の電界効果が各セルの厚み方向に充分には及ばないためと、電界Eの方向が光の進行方向に対して直交していないためであると考えられる。
【0235】
なお、本実施例においても誘電体薄膜26・27としてはポリイミド薄膜を用いたが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。
【0236】
以上のように、本実施の形態にかかる表示装置は、高速応答特性を示すカー効果を利用した表示装置であり、表示特性の温度依存性を大幅に低減することが可能であり、その実用的価値は極めて高いものである。
【0237】
また、上記の実施例から、本発明によれば、例えば、カー定数Bのセンター値が、500×10−10cm/V2以上、具体的には、600×10−10cm/V2〜900×10−10cm/V2という高い値を得ることができると共に、カー定数の変動値を、上記液晶−等方相相転移温度に対する二次の相転移温度(T*)を基準として+5℃の温度範囲内において±30%以内に抑えることが可能となることがわかる。
【0238】
なお、上記の実施例においては、カー効果を利用して表示を行うために、誘電性液体層41に電界を印加する電界印加手段として、例えば櫛形電極24・25を用いて光の進行方向に垂直に電界Eを印加する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、カー効果を利用して表示を行うことが可能な構成(電極構造)を有していれば、上記電界印加手段の構成は特に限定されるものではない。さらに、上記の実施の形態および実施例においては、少なくとも一方が透明な一対の基板間に誘電性液体6を注入することにより上記基板間に誘電性液体層41が挟持された構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記誘電性液体層41は、必ずしも一対の基板間に挟持されている必要はない。上記誘電性液体層41は、誘電性液体6の保持が可能な基板以外の誘電性液体保持材によって保持されていてもよく、また、上記誘電性液体保持材は可撓性を有していても構わない。
【0239】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0240】
【発明の効果】
本発明にかかる表示装置は、以上のように、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層は、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度で上記液晶性化合物の液晶分子が部分的に配列したクラスタを含み、かつ、可視光に対して透明である構成である。
【0241】
上記の構成によれば、上記誘電性液体層が、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度においても上記液晶性化合物の液晶分子が部分的に配列したクラスタを含むことで、上記カー効果の温度依存性を低減させることができる。また、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性を低減させるために、例えば液晶材料の領域を小区域に分割するための手段等を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0242】
また、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記誘電性液体層におけるカー定数の変動率は、上記液晶−等方相相転移温度に対する二次の相転移温度を基準として+5℃の温度範囲内において±30%以内である構成である。
【0243】
二次の電気光学効果、すなわち、誘電性液体層のカー定数の温度依存性は、駆動電圧の温度依存性に関係する。それゆえ、上記の構成によれば、カー定数の温度依存性が低減された、実用的な表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0244】
また、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記クラスタは、分子間水素結合した液晶性化合物を含んでいる構成である。さらに、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記クラスタは、スメクチック液晶化合物を含んでいる構成である。さらに、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記クラスタは0.1μm以下の粒子径を有する微粒子を核として形成されている構成である。
【0245】
上記の各構成によれば、上記クラスタは温度上昇に伴う寿命が長く、また、簡素な構成にてカー効果の温度依存性を低減することができるので、製造が容易な表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0246】
本発明にかかる表示装置は、以上のように、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、分子間水素結合形成能を有する液晶性化合物を含んでいる構成である。
【0247】
上記の構成によれば、上記液晶性化合物が水素結合を形成するため、クラスタサイズを大きくすることができ、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度においても上記液晶性化合物の液晶分子が部分的に配列したクラスタを含む表示装置を得ることが可能となる。このため、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性を低減させることができると共に、カー効果の温度依存性を低減させるために、例えば液晶材料の領域を小区域に分割するための手段等を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0248】
また、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記分子間水素結合形成能を有する液晶性化合物は水酸基を有している構成である。
【0249】
水酸基を有する液晶性化合物は、入手が容易であり、かつ、該水酸基と酸素原子との間の結合距離が短く、分子間相互作用が大きい。このため、上記の構成によれば、温度上昇に伴うクラスタの延命効果が大きく、カー効果の温度依存性を十分に大きくすることができるという効果を奏する。
【0250】
また、本発明にかかる表示装置は、以上のように、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、スメクチック液晶化合物を含んでいる構成である。
【0251】
スメクチック液晶化合物は、分子間相互作用が強く、上記誘電性液体層が、スメクチック液晶化合物を含んでいることで、クラスタサイズを大きくすることができ、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度においても上記液晶性化合物の液晶分子が部分的に配列したクラスタを含む表示装置を得ることが可能となる。このため、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性を低減させることができると共に、カー効果の温度依存性を低減させるために、例えば液晶材料の領域を小区域に分割するための手段等を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0252】
さらに、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記スメクチック液晶化合物は、分子末端にシアノ基を有している構成である。
【0253】
上記の構成によれば、より大きな双極子能率を有することができるので、大きなカー効果が得られるという効果を奏する。
【0254】
また、本発明にかかる表示装置は、以上のように、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段(例えば櫛形電極等の電極)とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、上記誘電性液体層中に、0.1μm以下の粒子径を有する微粒子が分散されている構成である。
【0255】
粒子径が0.1μm以下、つまり、粒子の粒子径が入射光波長よりも小さい場合の光の散乱は無視することができる。このため、粒子径が0.1μm以下であれば、上記微粒子もまた可視光に対して透明である。
【0256】
そして、上記誘電性液体層が、上記微粒子を含んでいると、該微粒子を核として該微粒子表面に液晶分子が物理的あるいは化学的に吸着(配向)し易く、クラスタサイズが大きなクラスタが形成されることから、上記の構成によれば、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度においても上記液晶性化合物の液晶分子が部分的に配列したクラスタを含む表示装置を得ることが可能となる。このため、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性を低減させることができると共に、カー効果の温度依存性を低減させるために、例えば液晶材料の領域を小区域に分割するための手段等を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0257】
さらに、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面側に誘電体薄膜が形成されている構成である。
【0258】
上記の構成によれば、上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面側に誘電体薄膜が形成されていることで、液晶の配向の秩序の度合いを向上させることができ、より大きなカー効果を得ることができるという効果を奏する。
【0259】
また、本発明にかかる表示装置は、以上のように、電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段(例えば櫛形電極等の電極)とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面に接触するように、0.1μm以下の粒子径を有する微粒子を含む誘電体薄膜が形成されている構成である。
【0260】
前記したように、粒子径が0.1μm以下、つまり、粒子の粒子径が入射光波長よりも小さい場合の光の散乱は無視することができる。このため、上記の場合においても、粒子径が0.1μm以下であれば、上記微粒子もまた可視光に対して透明である。
【0261】
そして、上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面に接触するように形成された誘電性液体層が、上記微粒子を含んでいることで、該微粒子を核として該微粒子表面に液晶分子が物理的あるいは化学的に吸着(配向)し易く、クラスタサイズが大きなクラスタが形成されることから、上記の構成によれば、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度においても上記液晶性化合物の液晶分子が部分的に配列したクラスタを含む表示装置を得ることが可能となる。このため、上記の構成によれば、カー効果の温度依存性を低減させることができると共に、カー効果の温度依存性を低減させるために、例えば液晶材料の領域を小区域に分割するための手段等を講じる必要がなく、製造が容易で、かつ、信頼性の高い表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0262】
さらに、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記誘電体薄膜が有機薄膜である構成である。
【0263】
上記の構成によれば、上記表示装置が、有機薄膜からなる誘電体薄膜を備えていることで、良好な配向効果を得ることができ、液晶の配向の秩序の度合いの向上効果が大きく、より大きなカー効果を得ることができるという効果を奏する。
【0264】
また、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記有機薄膜はポリイミド薄膜である構成である。
【0265】
ポリイミド薄膜は、極めて優れた配向効果を示すため、上記の構成によれば、液晶の配向の秩序の度合いの向上効果をさらに高めることができる。それゆえ、上記の構成によれば、より大きなカー効果を安定して得ることができるという効果を奏する。また、ポリイミドは安定性が高い材料であり、信頼性が高いことから、ポリイミドを使用することにより、良好な表示性能を示す表示装置を提供することができるという効果を併せて奏する。
【0266】
さらに、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記微粒子は表面にパラジウムを有している構成である。
【0267】
上記の構成によれば、上記微粒子が、表面にパラジウムを有することで、該微粒子表面に液晶分子が物理的あるいは化学的に吸着し易く、クラスタサイズが大きく、温度上昇に対して寿命が長いクラスタを形成することができるという効果を奏する。
【0268】
また、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記誘電性液体層は、分子末端にシアノ基を有する液晶性化合物を含んでいる構成である。
【0269】
上記の構成によれば、上記スメクチック液晶化合物が末端基としてシアノ基を有していることでクラスタを形成し易く、結果として、クラスタサイズが大きく、寿命が長いクラスタを形成することができるという効果を奏する。
【0270】
さらに、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記電界印加手段は、上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面側に形成された櫛形電極である構成である。
【0271】
上記の構成によれば、上記誘電体層表面に対して垂直の方向に通過する光に対して、直交する方向、つまり、上記誘電体層表面に平行な方向に容易に電界を印加することができ、これにより、電界印加で発生する複屈折異方性を光信号の変化として取り出すことが容易にできるという効果を奏する。
【0272】
さらに、本発明にかかる表示装置は、以上のように、上記誘電性液体を上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度に加熱する加熱手段をさらに備えている構成である。
【0273】
上記の構成によれば、上記液晶性化合物が室温で液晶相を示す場合、すなわち、該液晶性化合物の等方相転移温度が室温よりも高い場合であっても該液晶性化合物の等方相転移を生じさせることができるので、可視光に対して透明でかつ巨視的には等方相状態の液体を容易に得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる表示装置の概略構成の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す表示装置の要部の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示す表示装置におけるセルを構成する基板の配向処理方向を示す説明図である。
【図4】カー定数の測定系の概略構成を示す模式図である。
【図5】温度上昇に伴う液晶配列の変化を示す模式図である。
【図6】図1に示す表示装置において櫛形電極を用いた場合の光路長を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の一形態で用いた誘電性液体のカー定数の温度依存性を測定した結果を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の他の形態で用いた誘電性液体のカー定数の温度依存性を測定した結果を示すグラフである。
【図9】本発明の実施のさらに他の形態で用いた誘電性液体のカー定数の温度依存性を測定した結果を示すグラフである。
【図10】本発明の実施のさらに他の形態で用いた誘電性液体のカー定数の温度依存性を測定した結果を示すグラフである。
【図11】本発明の実施のさらに他の形態で用いた誘電性液体のカー定数の温度依存性を測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 光源
2 偏光子
3 セル
4 電極(電界印加手段)
5 電極(電界印加手段)
6 誘電性液体
7 検光子
8 光線
9 検知器
20 光線
22 偏光板
29 偏光板
23 基板
24 櫛形電極(電界印加手段)
25 櫛形電極(電界印加手段)
26 誘電体薄膜
27 誘電体薄膜
28 基板
29 偏光板
31 セル
32 画素基板(基板)
33 対向基板(基板)
34 シール剤
41 誘電性液体層
51 ヒータ(加熱手段)
Claims (18)
- 電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、
上記誘電性液体層は、上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度で上記液晶性化合物の液晶分子が部分的に配列したクラスタを含み、かつ、可視光に対して透明であることを特徴とする表示装置。 - 上記誘電性液体層におけるカー定数の変動率は、上記液晶−等方相相転移温度に対する二次の相転移温度を基準として+5℃の温度範囲内において±30%以内であることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 上記クラスタは、分子間水素結合した液晶性化合物を含んでいることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 上記クラスタは、スメクチック液晶化合物を含んでいることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 上記クラスタは0.1μm以下の粒子径を有する微粒子を核として形成されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、
上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、分子間水素結合形成能を有する液晶性化合物を含んでいることを特徴とする表示装置。 - 上記分子間水素結合形成能を有する液晶性化合物は水酸基を有していることを特徴とする請求項6記載の表示装置。
- 電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、
上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、スメクチック液晶化合物を含んでいることを特徴とする表示装置。 - 上記スメクチック液晶化合物は、分子末端にシアノ基を有していることを特徴とする請求項8記載の表示装置。
- 電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、
上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、上記誘電性液体層中に、0.1μm以下の粒子径を有する微粒子が分散されていることを特徴とする表示装置。 - 上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面側に誘電体薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1、6、8、10の何れか1項に記載の表示装置。
- 電界の印加により屈折率が変化する液晶性化合物を含む誘電性液体層と、上記誘電性液体層に電界を印加する電界印加手段とを備え、上記屈折率が電界の二次に比例する二次の電気光学効果により表示を行う表示装置であって、
上記誘電性液体層は、可視光に対して透明であり、かつ、
上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面に接触するように、0.1μm以下の粒子径を有する微粒子を含む誘電体薄膜が形成されていることを特徴とする表示装置。 - 上記誘電体薄膜が有機薄膜であることを特徴とする請求項11または12記載の表示装置。
- 上記有機薄膜はポリイミド薄膜であることを特徴とする請求項13記載の表示装置。
- 上記微粒子は表面にパラジウムを有していることを特徴とする請求項10または12記載の表示装置。
- 上記誘電性液体層は、分子末端にシアノ基を有する液晶性化合物を含んでいることを特徴とする請求項10または12記載の表示装置。
- 上記電界印加手段は、上記誘電性液体層の少なくとも一方の表面側に形成された櫛形電極であることを特徴とする請求項1、6、8、10、12の何れか1項に記載の表示装置。
- 上記誘電性液体を上記液晶性化合物の液晶−等方相相転移温度以上の温度に加熱する加熱手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1、6、8、10、12の何れか1項に記載の表示装置。
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