JP2005069872A - 粘性測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 液体中に気泡がある場合でも、液体の粘性を好適に測定できる粘性測定装置を提供すること。
【解決手段】 センサ部(11)は、ベース部(9)に立設された筒状部(17)と、筒状部(17)の先端側を閉塞する振動板(19)と、振動板の表面に立設された柱状部材(21)と、振動板(19)の表面側を覆う振動吸収層(23)とを備えている。柱状部材(21)は、まっすぐな長尺の部材であり、振動板(19)の液体側の表面において、振動板(19)の中心に振動板(19)と垂直に立設されている。振動吸収層(23)は、柱状部材(21)の周囲を覆う様に、柱状部材(21)以外の振動板(19)の表面側全体を覆う環状の部材である。この振動吸収層(23)は、多数の空孔があるスポンジ状の部材であり、振動を吸収できるクッション性を有している。
【選択図】 図2
【解決手段】 センサ部(11)は、ベース部(9)に立設された筒状部(17)と、筒状部(17)の先端側を閉塞する振動板(19)と、振動板の表面に立設された柱状部材(21)と、振動板(19)の表面側を覆う振動吸収層(23)とを備えている。柱状部材(21)は、まっすぐな長尺の部材であり、振動板(19)の液体側の表面において、振動板(19)の中心に振動板(19)と垂直に立設されている。振動吸収層(23)は、柱状部材(21)の周囲を覆う様に、柱状部材(21)以外の振動板(19)の表面側全体を覆う環状の部材である。この振動吸収層(23)は、多数の空孔があるスポンジ状の部材であり、振動を吸収できるクッション性を有している。
【選択図】 図2
Description
本発明は、例えばオイル等の液体の粘性を測定することができる粘性測定装置に関する。
従来より、オイル等の液体の粘性を測定する装置として、例えば振動板に圧電体を接合させた振動子を有する粘性測定装置(引用文献1参照)が提案されている。
この引用文献1には、振動板の一方の表面に圧電素子を貼り付けるとともに、振動板の他方の表面(液体に臨む側の表面)にロッドを立設した粘性測定装置が記載されている。
この引用文献1には、振動板の一方の表面に圧電素子を貼り付けるとともに、振動板の他方の表面(液体に臨む側の表面)にロッドを立設した粘性測定装置が記載されている。
前記粘性測定装置では、振動板及び圧電素子からなる振動子を用いて、エンジンオイル等の粘性を測定する場合には、液体に接して剪断振動を発生させる部分(即ちロッドの部分)の粘性抵抗から、液体の粘性を検出している。
特開2001−264148号公報 (第7頁、図10)
しかしながら、上述した装置では、ロッドの部分以外に、液体中に伝わる振動を発生させる部分があるので、液体中に多くの気泡がある場合には、正確に液体の粘性を測定することができないことがあった。
つまり、ロッド以外に、ロッドの周囲の振動板の表面も液体に接触しているので、圧電素子を用いて振動板を振動させてロッドを振動させる際には、ロッド周囲の振動板の振幅まで液体中に伝わることになるが、その場合には、気泡がダンパーの様に作用して、振動子の振動状態が気泡の影響を大きく受けてしまい、正確に液体の粘性を測定できないという問題があった。
本発明は、こうした問題を解決するためになされたものであり、その目的は、液体中に気泡がある場合でも、正確に液体の粘性を測定できる粘性測定装置を提供することにある。
(1)請求項1の発明は、圧電素子を振動板のうちで液体に臨む側の表面とは反対側に位置する面に接合してなる振動子を振動させ、その際の前記圧電素子の電気的特性の変化から、前記液体の粘性を測定する粘性測定装置であって、前記振動板の液体に臨む側の表面に、該表面に対して略垂直に立設されて前記液体中に伸びる柱状部材を備えるとともに、前記振動板の前記表面上の前記柱状部材の周囲に、前記振動板が前記液体に与える振動を吸収する振動吸収層を備えたことを特徴とする粘性測定装置を要旨とする。
本発明では、基本的に、圧電素子に交流(交番電圧)を印加して、圧電素子自体の電歪作用によって柱状部材が備えられた振動板を共振(振動)させる。そして、液体の粘度が変化すると、柱状部材を備える振動板の振動形態が変化し、その結果、この柱状部材を備える振動板とともに振動子を形成する圧電素子の電気的特性(例えばインピーダンス)が変化することになるため、この圧電素子の電気的特性を測定する。
つまり、一表面に圧電素子が貼り付けられると共に外周を固定された振動板は、圧電素子に交番電圧が印加されると共振する。この振動板に備えられた柱状部材は、液体に接触しており、振動板の共振に伴ってその軸方向に振動して剪断振動を発生させるので、柱状部材は、液体による粘性抵抗に応じて、その剪断振動の形態が変化する。例えば、柱状部材を備える振動板の振動形態は、高粘度では小さく低粘度では大きくなる傾向を示す。この様に柱状部材を備える振動板が、液体の特性に基づいて、機械的抵抗を受けることにより、振動子を形成する圧電素子の電気的特性が変化するので、この電気的特性を測定することで、液体の粘性を測定することができる。
特に本発明では、振動板の柱状部材が立設された表面側、即ち液体に臨む側である表面側に、振動板が液体に与える振動を吸収する振動吸収層を設けたので、液体中に気泡がある場合でも、正確に液体の粘性を測定することができる。
つまり、液体中に気泡がある場合に、柱状部材以外に液体と接触して振動する表面(即ち振動板の表面)が存在すると、振動子の振動状態が気泡の影響を受けてしまい、液体の粘性に対応した振動状態となり難いが、本発明では、振動板の表面上に振動吸収層が設けてあるので、柱状部材以外の振動板の表面が振動した場合でも、(柱状部材以外の)振動板の表面の液体に対する振動を振動吸収層が吸収するので、振動子の振動状態が液体の気泡による影響を受けにくくなっている。
そのため、柱状部材の剪断振動から、精度良く粘性抵抗を求めることができるので、液体の粘性を正確に測定することができる。
尚、ここで、略垂直とは、柱状部材の剪断振動から粘性を測定できる範囲であればよく、垂直が最も好ましいが、多少(例えば垂直から±3°の範囲内)傾いていてもよい。
尚、ここで、略垂直とは、柱状部材の剪断振動から粘性を測定できる範囲であればよく、垂直が最も好ましいが、多少(例えば垂直から±3°の範囲内)傾いていてもよい。
(2)請求項2の発明は、前記振動吸収層は、内部に多数の空孔を有する発泡層であることを特徴とする請求項1に記載の粘性測定装置を要旨とする。
本発明は、振動吸収層を例示したものである。つまり、(振動を吸収できる)内部に多数の空孔を有する発泡層は、例えばスポンジの様なクッション性がありダンパーの様に機能するので、振動子の振動を好適に吸収できる。
本発明は、振動吸収層を例示したものである。つまり、(振動を吸収できる)内部に多数の空孔を有する発泡層は、例えばスポンジの様なクッション性がありダンパーの様に機能するので、振動子の振動を好適に吸収できる。
尚、内部の空孔としては、独立気泡が好適である。
(3)請求項3の発明は、前記振動吸収層は、周囲が前記振動板の前記表面を含む壁面で囲まれた所定領域内に形成された空気層であることを特徴とする請求項1に記載の粘性測定装置を要旨とする。
(3)請求項3の発明は、前記振動吸収層は、周囲が前記振動板の前記表面を含む壁面で囲まれた所定領域内に形成された空気層であることを特徴とする請求項1に記載の粘性測定装置を要旨とする。
本発明は、振動吸収層を例示したものである。つまり、(振動を吸収できる)空気層は、例えば空気ダンパーの様に機能するので、振動子の振動を好適に吸収できる。
(4)請求項4の発明は、前記振動吸収層は、前記柱状部材が貫く部分を除いて、前記柱状部材の周囲に環状に配置された層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘性測定装置を要旨とする。
(4)請求項4の発明は、前記振動吸収層は、前記柱状部材が貫く部分を除いて、前記柱状部材の周囲に環状に配置された層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘性測定装置を要旨とする。
本発明は、柱状部材と振動吸収層との配置を例示したものである。本発明では、柱状部材の周囲を覆う様に環状に振動吸収層が設けられているので、振動子の振動を効率良く吸収できる。
(5)請求項5の発明は、前記振動吸収層の厚みが、2mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘性測定装置を要旨とする。
本発明は、振動吸収層の好ましい厚みを例示したものである。この範囲であれば、振動子の吸収を効率良く吸収できる。
本発明は、振動吸収層の好ましい厚みを例示したものである。この範囲であれば、振動子の吸収を効率良く吸収できる。
尚、振動吸収層の厚みの上限として特に制限は無いが、装置の小型化等の観点から、3mm以下とするのが好ましい。
(6)請求項6の発明は、前記柱状部材の先端側が、先端ほど径の小さなテーパ形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の粘性測定装置を要旨とする。
(6)請求項6の発明は、前記柱状部材の先端側が、先端ほど径の小さなテーパ形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の粘性測定装置を要旨とする。
本発明では、柱状部材の先端側がテーパ状とされているので、柱状部材の先端側が液体に振動を与えにくくなっており、よって、柱状部材の剪断振動のみから、液体の粘性を抽出し易いという利点がある。
(7)請求項7の発明は、前記粘性測定装置は、前記粘性の測定によって、オイルの劣化を検出するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の粘性測定装置を要旨とする。
本発明は、例えば自動車のエンジンの潤滑油(オイル)の粘性を(従って劣化をも)検出することができる測定装置である。
例えば自動車の潤滑油(オイル)の様な液体においては、粘性の増加が劣化を直接的に示すので、オイルの粘性を測定することにより、オイルの劣化を検出することができる。
例えば自動車の潤滑油(オイル)の様な液体においては、粘性の増加が劣化を直接的に示すので、オイルの粘性を測定することにより、オイルの劣化を検出することができる。
以下に、本発明の粘性測定装置を実施するための最良の形態の例(実施例)を、図面に基づいて説明する。
例えば自動車のエンジンの潤滑油(オイル)を考えると、オイルの粘性の変化がオイルの劣化を示すものと考えられるので、ここでは、粘性測定装置により、オイルの粘性(よって劣化)を測定する場合を例にあげる。
a)まず、本実施例の粘性測定装置の装置構成について説明する。
尚、図1は粘性測定装置の装着状態を模式的に示し、図2は粘性測定装置の断面を拡大して示している(図2では先端側を上にして記載してある)。
尚、図1は粘性測定装置の装着状態を模式的に示し、図2は粘性測定装置の断面を拡大して示している(図2では先端側を上にして記載してある)。
図1に示す様に、粘性測定装置1は、オイルを入れた容器5の側壁7に取り付けられており、主として、側壁7に固定されるベース部9と、液面と平行に側壁7からオイル中に突出するセンサ部11と、オイルの温度を検出する温度センサ13(図2参照)とを備えている。尚、この粘性測定装置1は、容器5のどの位置に取り付けられてもよく、センサ部11の向きも液面とは無関係に設定できる。
図2に示す様に、絶縁性樹脂から形成される前記ベース部9の内部には、センサ部11を駆動してオイルの粘性を測定したり、温度センサ13を駆動してオイルの温度を測定する回路基板15が配置されている。
前記センサ部11は、主として、ベース部9から垂直(従って水面に水平)に立設された筒状部17と、筒状部17の先端(同図上方)側を閉塞する振動板19と、振動板19の表面(同図上方である先端側)に立設された柱状部材21と、柱状部材21以外の振動板19のオイルに臨むことになる表面側を覆う振動吸収層23とを備えている。
このうち、前記筒状部17は、鉄−ニッケル合金(Fe−42Ni)からなる高さ22.3mm×内径φ16mm×外径φ31mmの円筒形の部材である。
前記振動板19は、厚み0.3mmの円盤形状を有しており、例えば円柱状の部材の中央を、軸方向の一方からくり抜く様にして、筒状部17と一体に(切削加工により)形成されたものである。
前記振動板19は、厚み0.3mmの円盤形状を有しており、例えば円柱状の部材の中央を、軸方向の一方からくり抜く様にして、筒状部17と一体に(切削加工により)形成されたものである。
この振動板19のオイルに臨む表面の反対側(同図下方)には、円盤状の圧電セラミック本体部の表裏面に電極がそれぞれ形成された圧電素子25が接着剤により接合されている。従って、柱状部材21を備えた振動板19と圧電素子25とにより振動子27が構成されている。
また、圧電素子25の一方の面に設けられた電極には、リード29が接続され、他方の面に設けられた電極は振動板19に当接して該振動板19と電気的に接続されている。更に、リード29、振動板19は、それぞれ第1中継端子43、第2中継端子45を介して、回路基板15、ひいては粘性測定装置1の外部回路(図示せず)に電気的に接続されている。
そして、圧電素子25(従って振動子27)を駆動する場合には、第1中継端子43、第2中継端子45との間に、例えば正弦波等の交流(交番電圧)が印加される。尚、振動板19の内側に空間31には空気が充填されている。
前記柱状部材21は、高さ20mm×直径φ3mmのまっすぐな円柱状の長尺の部材であり、前記振動板19の液体に臨む側の表面(同図上方)において、筒状部17の軸中心に(従って振動板19の中心に)、振動板19と垂直に立設されている。
この柱状部材21の先端側は、先端ほど径が小さくなる様に(先端の径はφ2mm)、テーパ角45°にてテーパ状に形成されている。尚、柱状部材21は、筒状部材17や振動板19と同様に、一体形成されたものである。
特に本実施例では、前記振動吸収層23は、柱状部材21の周囲を覆う様に、即ち柱状部材21以外の振動板19の表面側全体を覆う様に配置された環状の部材である。つまり、振動吸収層23は、発泡シリコン材からなる外径φ31mm×内径φ4mm×厚み2mmのクッション性を有するスポンジ状の部材であり、その内部には、多数の独立気泡が含まれている。
また、前記圧電素子25及び温度センサ13は、マイクロコンピュータ(図示せず)を含む電子部品を実装した前記回路基板15に電気的に接続されており、この回路基板15の制御によって、後に詳述する様にして、オイルの粘性を測定することができる。
つまり、圧電素子25の電極間に交番電圧を印加して圧電素子25(従って振動子27)を振動させ、その際に、柱状部材21(振動子27)がオイルの粘性に基づいて機械的抵抗を受けることにより、圧電素子25の電気的特性(本実施例では具体的にインピーダンス特性)が変化するので、この電気的特性の情報に基づいて、オイルの粘性を測定することができる。
そして、オイルの粘性の測定の際には、温度センサ13からの信号に基づいて、オイルの温度を測定し、その温度情報に基づいて、オイルの粘性を測定する際のデータを補正することができる。
b)次に、前記オイルの粘性の測定方法について、詳細に説明する。
図3に、オイルの粘性(粘性抵抗)を測定するための電気的構成を示す。
本実施例の粘性測定装置1では、圧電素子25に電圧印加部41から、周波数を変化させた交番電圧を印加する。例えば周波数を周波数fLからfHまで掃引し、このときの圧電素子25の両端の電圧を測定してインピーダンスを求める。
図3に、オイルの粘性(粘性抵抗)を測定するための電気的構成を示す。
本実施例の粘性測定装置1では、圧電素子25に電圧印加部41から、周波数を変化させた交番電圧を印加する。例えば周波数を周波数fLからfHまで掃引し、このときの圧電素子25の両端の電圧を測定してインピーダンスを求める。
この周波数を変化させた場合の圧電素子25の両端の電圧の変化を、図4に示すが、電圧がV字状に急減して急増する点(変化点)が、圧電素子25の共振点(共振周波数)である。
また、図5に各液体に対する圧電素子25のインピーダンス特性を示す様に、インピーダンスが減少して増加に転ずる極小値の変曲点が、振動子27(圧電素子25)の共振点(共振周波数)である。更に、この極小値の変曲点から、インピーダンスが増加から減少に転ずる極大値の変曲点が、反共振点(反共振周波数)である。
この共振周波数や反共振周波数が変化すると変化するので、具体的には、粘性が増加する(従ってオイルが劣化する)と共振周波数や反共振周波数は小さくなるので、この共振周波数等の変化によって、オイルの粘性の変化を検出することができる。
例えば図4に示す様に、新しいオイルの場合は粘性が低いので、共振周波数f0は高いが、劣化したオイルの場合は、共振周波数f1は低くなるという現象があるので、共振周波数からオイルの劣化の程度を測定することができる。
また、オイルの劣化の程度(オイルの粘度)を測定する別の手法としては、以下の方法が挙げられる。共振点での圧電素子25のインピーダンスの逆数(換言すれば、共振点での圧電素子25のアドミッタンス)と、反共振点での圧電素子25のインピーダンスの逆数(換言すれば、反共振点での圧電素子25のアドミッタンス)との差の逆数は、圧電素子25の共振抵抗(圧電素子25を等価回路で表したときの抵抗成分)に対応した値となることが知られている。それより、インピーダンスの逆数であるアドミッタンスの最大値と最小値との差の逆数を測定値の指標とすることで、オイルの劣化の程度を測定することができる。
そして、回路基板15のメモリ(図示せず)に記憶している共振周波数とオイルの粘性との関係を示すマップや、共振抵抗とオイルの粘性との関係を示すマップから、オイルの劣化を判定する。
尚、オイルの粘性は温度により変化するので、温度による補正を行う。つまり、温度が低下するほどオイルの粘性は増加するので、温度とオイルの粘性との関係を示すマップを予めメモリに記憶しておき、このマップを用いてオイルの粘性を補正する。例えば温度が低い場合は、測定されたオイルの粘性を低めに補正するのである。
c)次に、本実施例の効果を説明する。
本実施例の粘性測定装置1は、振動板19の先端側の表面に柱状部材21を立設しているので、柱状部材21の剪断振動によって発生するオイルからの機械的抵抗(粘性抵抗)に基づいて、オイルの粘性を測定することができる。
本実施例の粘性測定装置1は、振動板19の先端側の表面に柱状部材21を立設しているので、柱状部材21の剪断振動によって発生するオイルからの機械的抵抗(粘性抵抗)に基づいて、オイルの粘性を測定することができる。
特に、本実施例では、柱状部材21以外に振動板19の表面を覆う様に、クッション性を有する振動吸収層23を設けているので、オイル中に気泡がある場合でも、正確にオイルの粘性を測定することができる。
つまり、オイル中に気泡がある場合には、柱状部材21以外にオイルと接触して振動する表面(即ち振動板19の表面)が存在すると、振動子27の振動状態が気泡の影響を受けてしまい、オイルの粘性に対応した振動状態となり難いが、本実施例では、振動板19の表面側に振動吸収層23が設けてあるので、柱状部材21以外の振動板19の表面が振動した場合でも、その部分の振動を振動吸収層23が吸収するので、振動子27の振動状態がオイルの気泡による影響を受けにくくなっている。
そのため、柱状部材21の剪断振動から、精度良く粘性抵抗を求めることができるので、オイルの粘性(従ってオイルの劣化の程度)を正確に測定することができる。
また、本実施例では、柱状部材21の先端はテーパ状にとがっているので、その点からも、気泡による影響を受けにくいという利点がある。
また、本実施例では、柱状部材21の先端はテーパ状にとがっているので、その点からも、気泡による影響を受けにくいという利点がある。
d)次に、本実施例の効果を確認した実験例について説明する。
この実験例は、実際の振動子(圧電素子)のインピーダンス特性とオイルの粘性との関係を測定したものである。
この実験例は、実際の振動子(圧電素子)のインピーダンス特性とオイルの粘性との関係を測定したものである。
ここでは、上記実施例の粘性測定装置を、下記種類のオイル(具体的には、3つの異なる粘度を有するオイルであって、気泡の有無をふった計6種類)を各々満たした同様な容器の側壁に取り付け、下記の条件において、圧電素子の電極間に交番電圧を印加し、その際の圧電素子のインピーダンス[Ω]を、インピーダンスアナライザ(アジレントテクノロジー(株)製)により測定した。
<測定条件>
オイルの粘度:57.0mPaS(気泡有り、気泡無し)
102 mPaS(気泡有り、気泡無し)
280 mPaS(気泡有り、気泡無し)
温度 :室温(約25℃)
その結果を、図5に示す。図5から明らかな様に、本実施例の粘性測定装置を用いた場合には、気泡の有無にかかわらず、オイルの粘性に応じたインピーダンス特性が得られるので、精度良くオイルの粘性を測定できることが分かる。
オイルの粘度:57.0mPaS(気泡有り、気泡無し)
102 mPaS(気泡有り、気泡無し)
280 mPaS(気泡有り、気泡無し)
温度 :室温(約25℃)
その結果を、図5に示す。図5から明らかな様に、本実施例の粘性測定装置を用いた場合には、気泡の有無にかかわらず、オイルの粘性に応じたインピーダンス特性が得られるので、精度良くオイルの粘性を測定できることが分かる。
また、これとは別に、振動吸収層を備えていないこと以外は前記実施例と同様な比較例の粘性測定装置を用い、粘度が57mPaSのオイルを用いて、同様な実験を行った。
その結果を、図6に示す。図6から明らかな様に、比較例のものは、気泡の有無に応じて、インピーダンス特性が変化し、よって、精度良くオイルの粘性を測定できず、好ましくない。
その結果を、図6に示す。図6から明らかな様に、比較例のものは、気泡の有無に応じて、インピーダンス特性が変化し、よって、精度良くオイルの粘性を測定できず、好ましくない。
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は簡略化する。
本実施例は、振動吸収層として、空気層を利用したものである。
図7に示す様に、本実施例の粘性測定装置51は、前記実施例1と同様に、ベース部53、センサ部55、温度センサ57、回路基板59等を備えている。
本実施例は、振動吸収層として、空気層を利用したものである。
図7に示す様に、本実施例の粘性測定装置51は、前記実施例1と同様に、ベース部53、センサ部55、温度センサ57、回路基板59等を備えている。
このうち、前記センサ部55は、前記実施例1と同様に、筒状部61、振動板63、圧電素子65、柱状部材67等を備えている。
特に本実施例では、筒状部61の先端側を覆う様に、同様な材質からなる外径φ31mm×高さ7mmの円盤状のカバー部69が取り付けられている。
特に本実施例では、筒状部61の先端側を覆う様に、同様な材質からなる外径φ31mm×高さ7mmの円盤状のカバー部69が取り付けられている。
このカバー部69は、ネジ71にて筒状部61に密着して固定され、密着部分からオイルが浸入しないようにされている。また、カバー部69の中心には、柱状部材67が摺動自在に貫挿される貫通孔73が開けられており、この貫通孔73には、柱状部材67の外周に密着して、オイルをシールするOリング75が配置されている。
更に、カバー部材69の振動板63側の中心部分は、直径17mm×高さ0.5mmの円柱状に切りかかれており、カバー部材69の内壁面と振動板63の表面とに挟まれた円環状の空間により、空気からなる振動吸収層75が形成されている。
従って、本実施例では、圧電素子65に交番電圧が印加されて、振動子77が振動した場合でも、振動板63は振動吸収層75である空間内で振動するだけで、その振動は(柱状部材69の剪断振動を除いて)直接にオイルに伝わらない。
よって、オイル中に気泡が含まれていた場合でも、振動板63の振動は気泡の影響を受けることがないので、気泡の有無にかかわらず、常に精度良くオイルの粘性を測定することができる。
尚、本発明は、前記実施例に限定されることなく、本発明の範囲内にて各種の態様で実施できることは勿論である。
例えば温度変化があまりない場合には、温度センサを省略してもよい。また、測定対象となる液体は、自動車のエンジンの潤滑油に限定されることなく、ペンキ等に適用できることも勿論可能である。
例えば温度変化があまりない場合には、温度センサを省略してもよい。また、測定対象となる液体は、自動車のエンジンの潤滑油に限定されることなく、ペンキ等に適用できることも勿論可能である。
更に、柱状部材の形態は、円柱状に限定されることなく、角柱等の各種の柱形状、或いは円筒などの各種の筒状形状であってもよい。
1、51…粘性測定装置
9、53…ベース部
11、55…センサ部
15、59…回路基板
17、61…筒状部
19、63…振動板
21、67…柱状部材
23、75…振動吸収層
25、65…圧電素子
27、77…振動子
9、53…ベース部
11、55…センサ部
15、59…回路基板
17、61…筒状部
19、63…振動板
21、67…柱状部材
23、75…振動吸収層
25、65…圧電素子
27、77…振動子
Claims (7)
- 圧電素子を振動板のうちで液体に臨む側の表面とは反対側に位置する面に接合してなる振動子を振動させ、その際の前記圧電素子の電気的特性の変化から、前記液体の粘性を測定する粘性測定装置であって、
前記振動板の液体に臨む側の表面に、該表面に対して略垂直に立設されて前記液体中に伸びる柱状部材を備えるとともに、前記振動板の前記表面上の前記柱状部材の周囲に、前記振動板が前記液体に与える振動を吸収する振動吸収層を備えたことを特徴とする粘性測定装置。 - 前記振動吸収層は、内部に多数の空孔を有する発泡層であることを特徴とする請求項1に記載の粘性測定装置。
- 前記振動吸収層は、周囲が前記振動板の前記表面を含む壁面で囲まれた所定領域内に形成された空気層であることを特徴とする請求項1に記載の粘性測定装置。
- 前記振動吸収層は、前記柱状部材が貫く部分を除いて、前記柱状部材の周囲に環状に配置された層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘性測定装置。
- 前記振動吸収層の厚みが、2mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘性測定装置。
- 前記柱状部材の先端側が、先端ほど径の小さなテーパ形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の粘性測定装置。
- 前記粘性測定装置は、前記粘性の測定によって、オイルの劣化を検出するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の粘性測定装置。
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2003
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