JP2005069155A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Masaki Fujino
正樹 藤野
Takayoshi Nakazawa
貴義 中澤
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Abstract

【課題】 加工性および組立性のよいクランク軸を備えたスクロール圧縮機を提供する。
【解決手段】 回転駆動軸6のクランク軸62として主軸61に一体成型されたクランクピン64と、クランクピン65に対して着脱自在に取り付けられるブッシュ65とを有し、クランクピン64とブッシュ65とを固定ピン7を介して固定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、空気調和機などの冷凍サイクルに用いられるスクロール圧縮機に関し、さらに詳しく言えば、加工性および組立性のよいスクロール圧縮機に関する。
スクロール圧縮機は、鏡板に直立する螺旋状のスクロールラップを有する固定スクロールと旋回スクロールとを互いのスクロールラップ同士を噛み合わせ、内部に密閉作動室を形成してなる冷媒圧縮部が設けられている。
冷媒圧縮部は、旋回スクロールをクランク軸を備えた回転駆動軸により旋回運動させることにより、ラップ同士で形成される三日月状の空間が密閉作動室の外側から内側に向かって、その容積を減少しながら移動することで、内部に導かれた低圧冷媒を高圧冷媒へと圧縮するようになっている。
回転駆動軸は、電動機の出力軸としての主軸に対してクランク軸が偏心して配置されており、従来は偏心したクランク軸が一体となった回転駆動軸であった。この場合、アプセット鍛造や鋳造により素材を作り、クランク軸が付いた状態で切削研磨を行っていたため加工コストが高くついた。
そこで、回転駆動軸をより安価に製造する方法の一例として、例えば特許文献1がある。この回転駆動軸は、主軸の上端に主軸よりも小さいクランクピンを形成しておき、そのクランクピンに対してリング状のブッシュを嵌合することで主軸にクランク軸を形成している。
これによれば、主軸は、クランクピンを形成するだけでよいため、従来よりも加工にかかる費用を安価できる。また、クランクピンを主軸中心付近に形成した場合、ブッシュの形状を変えるだけでクランク軸の偏心量を任意に調節できる。
しかしながら、この回転駆動軸にも次にような課題が残されている。すなわち、従来の回転駆動軸は、主軸のクランクピンに対してブッシュが挿入されているため、回転駆動軸を回転させたときに、クランクピンに対してブッシュが回転摺動することがあり、摺動損失となっていた。
この摺動損失を解決する手段の一例としては、クランクピンとブッシュの間の位置精度を高くする方法もあるが、この方法だと研磨などの精密加工を必要とする分、加工コストがかかることは否めない。
特許第2787145号公報
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、より加工性および組立性のよいクランク軸を備えたスクロール圧縮機を提供することにある。
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示すいくつかの特徴を備えている。請求項1において、電動機にて生成された回転駆動力を旋回スクロールに伝達する回転駆動軸を有するスクロール圧縮機において、上記回転駆動軸は、上記電動機の出力軸である主軸と、上記主軸の上端側に回転軸に対して偏心して配置されたクランク軸とを含み、上記クランク軸は、上記主軸の上端に形成されたクランクピンと、上記クランクピンに対して着脱自在に取り付けられるブッシュとを備えており、上記クランクピンと上記ブッシュとの間には、それらを互いに係止するための係止手段が設けられていることを特徴としている。
請求項2において、上記係止手段は、上記クランクピンと上記ブッシュとの合わせ面に形成された凹溝と、同凹溝内に差し込まれる固定ピンとからなることを特徴としている。
請求項3において、上記凹溝は、上記クランクピンの外周面と上記ブッシュの内周面の互いに対向する面に設けられた一対の凹溝メンバーからなることを特徴としている。
請求項4において、上記凹溝は、上記回転駆動軸を回転させた際に上記クランク軸に加わる負荷方向に対して反負荷側に形成されていることを特徴としている。
請求項5において、上記固定ピンは、弾性を有する板体を円筒状に丸めたもの、もしくは、合成樹脂の円筒体からなることを特徴としている。
請求項6において、上記クランクピンと上記ブッシュとの間の隙間を大きく形成して、上記クランク軸の偏心量を可変としたことを特徴としている。
請求項7において、上記ブッシュの外径には、潤滑油を流すための油溝が設けられていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、クランクピンとブッシュとの間にそれらを互いに係止する係止手段を設けたことにより、ブッシュの回転を拘束することにより、摺動損失を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、クランクピンとブッシュとの合わせ面の間に形成された凹溝内に固定ピンを差し込むだけで、簡単にブッシュの回転を拘束でき、安価に製造することができる。
請求項3に記載の発明によれば、これによれば、クランクピンとブッシュの一部に凹溝メンバーを例えばスライス加工などによって形成することで、簡単に位置決めすることができとともに、その加工コストも安く抑えられる。
請求項4に記載の発明によれば、凹溝をクランク軸の回転時にその負荷方向に対して反負荷方向に設けたことにより、消費電力あたりの加熱能力、いわゆるCOP(Coefficient of Performance)を高くでき、高効率なスクロール圧縮機が得られる。
請求項5に記載の発明によれば、固定ピンを安価に製造できる。また、請求項6に記載の発明によれば、固定ピンの径を変えるだけで、クランクピンとブッシュとの間に形成される隙間の大きさが変わるため、クランク軸の偏心量を調節することができる。
請求項7に記載の発明によれば、ブッシュの外周に潤滑油を摺動部に送り込むための油溝を設けたことにより、潤滑不良などを効果的に抑えることができる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機の内部構造を概略的に示した断面図である。このスクロール圧縮機1は、円筒状の密閉シェル2を縦置きしたものからなり、内部がメインフレーム3を挟んで圧縮室21と、電動機室22とに区画されている。
圧縮室21には、固定スクロール41および旋回スクロール42からなる冷媒圧縮部4が設けられており、電動機室22内には、冷媒圧縮部4を駆動するモータ(電動機)5と、その出力軸としての回転駆動軸6とが設けられている。
固定スクロール41には、円盤状の鏡板411の下面に渦巻状のスクロールラップ412が一体的に立設されており、そのほぼ中央には、内部で生成された高圧冷媒を吐出するための吐出口413が設けられている。
旋回スクロール42は、円盤状の鏡板421の上面に渦巻状のスクロールラップ422が一体的に形成されており、鏡板421の背面中央には、回転駆動軸6のクランク軸62が差し込まれるボス423が形成されている。
この固定スクロール41と旋回スクロール42の各スクロールラップ412,422同士を互いに噛み合わせることにより、内部に冷媒を圧縮するための密閉作動室43が形成される。
この例において、スクロール圧縮機10は内部高圧型であり、密閉シェル2の上部(圧縮室21)には、図示しない冷凍サイクルにて仕事を終えた低圧冷媒を密閉作動室43に引き込むための冷媒吸入管23が設けられ、密閉シェル2の電動機室22の側部には、冷媒圧縮部4によって圧縮された高圧冷媒を電動機室22から冷凍サイクルに送り出すための冷媒吐出管24が設けられている。また、密閉シェル2内の底部には、潤滑油Oが一定量貯留されている。
なお、本発明において、メインフレーム3およびモータ5の構成は、あくまでスクロール圧縮機構を備えるに必要な構成要素を備えていればよく、その構成は従来のものと同じであってよいため、本発明では、その具体的な説明は省略する。
電動機5の回転駆動軸6は、モータ5に対して同軸的に配置される主軸61と、主軸61の上端側に一体的に形成され、主軸61に対して偏心配置されたクランク軸62とを備えている。
主軸61は、電動機5の出力軸として電動機室22内に同軸的に配置されており、下端側が密閉シェル2の底部に貯留する潤滑油Oに向けて差し込まれている。主軸61の内部には、電動機室22内に貯留する潤滑油Oを圧縮室21の各摺動部および軸受部に供給するための潤滑油供給管63が形成されている。
図2および図3に示すように、クランク軸62は、主軸61の上端に一体的に突設されたクランクピン64と、同クランクピン64の上端から差し込まれるブッシュ65とからなり、その合わせ面には係止手段としての固定ピン7が差し込まれる凹溝66が形成されている。
クランクピン64は、主軸61の上端に主軸61の軸線に対して偏心して配置された円筒状を有し、その内部には主軸61から続く潤滑油供給管63が延在されており、天端面には、潤滑油Oの吐出口631が開口されている。
クランクピン64の外周面(ブッシュ65との合わせ面)の一部には、クランクピン側の凹溝66の一部を構成する凹溝メンバー641が形成されている。凹溝メンバー641は、この実施形態において、半円弧状に切り欠かれた切欠溝からなり、軸方向に沿ってクランクピン64の付け根から先端にかけて形成されている。
ブッシュ65は、クランクピン64とほぼ同じ高さを有するリング状の円筒体からなり、軸方向の高さがクランクピン64とほぼ同じ高さとされている。ブッシュ65の内周面(クランクピン64との合わせ面)には、ブッシュ側の凹溝66の一部を形成する凹溝メンバー651が形成されている。
凹溝面メンバー651は、クランクピン64のものと同じく半円弧状に切り欠かれた切欠溝からなり、軸方向に沿ってブッシュ65の付け根から先端にかけて形成されている。
凹溝66は、クランクピン64側およびブッシュ64側の各凹溝メンバー641,651同士が互いに向き合って配置されることにより形成される円筒上の丸孔からなり、この実施形成においては、固定ピン7とほぼ同径の大きさを備えている。
凹溝66は、回転駆動軸6を回転駆動したときに、回転駆動軸6にかかる負荷に対して反負荷側、すなわち、中心軸方向に設けられている。これによれば、反負荷側に設けられていることにより、遠心力やガス圧などによって回転駆動軸6にかかる偏心応力を小さくすることができ、結果、高いエネルギー効率(COP)が得られる。
この実施形態において、凹溝66は、半円状に形成されているが、例えば図4(a)に示すように、V字状の凹溝メンバー641,651を互いに向き合うように配置して、断面四角状の凹溝66としてもよい。また、図4(b)に示すように、多角形状(この実施形態では6角形)に形成してもよい。
再び図2および図3を参照して、ブッシュ65の外周面側には、クランクピン64の吐出口631から吐出される潤滑油Oを確実に各摺動部に送り出すための油溝652が設けられている。油溝652は、ブッシュ65の外周面、この実施形態では、反凹溝66側にブッシュ65の軸方向に沿って切り欠かれた切欠溝からなる。
これによれば、吐出口631から吐出された潤滑油Oは、クランク軸62の上部から油溝652を通ってメインフレーム3の上面側に運ばれた後、各摺動部に供給されることで確実に潤滑油Oを供給することができる。
この実施形態において、油溝652は、ブッシュ65の外周面の一部を平坦に切り落とした形状となっているが、これ以外に、図4(a)に示すように、V字状に切り落としてもよいし、図4(b)に示すように、多角形状に切り落としてもよく、潤滑油Oを確実に供給できる形状であれば、その形状は特に限定されない。
再び図2を参照して、固定ピン7は、弾性を有する金属板をC字状に折り曲げて円筒状にしたものからなり、この実施形態では、凹溝66の径よりも若干大きい径とされている。この固定ピン7は、凹溝66内に挿入されることにより、弾性変形して、凹溝66を内側から押さえ付けることにより、クランクピン64とブッシュ65を互いに固定する。
この実施形態において、クランクピン7は金属板をC字状に折り曲げたものから構成されているが、例えば合成樹脂製であってもよい。また、その形状は図5(a)に示しように、単なる棒状であってもよいし、図5(b)に示す円筒状であってもよい。また、図4(a)に示した凹溝66のような多角形状の場合は、図5(c)に示すように、角柱体であってもよく、凹溝66の形状に応じて任意に変更可能である。
図6には、本発明の回転駆動軸の変形例が示されている。この回転駆動軸6aは、主軸61の上端に形成されたクランクピン64が主軸61に対して同軸的に突設されており、そのクランクピン64に対して偏心した挿入孔を持つブッシュ65が差し込まれ、固定ピン7によって固定されている。
これによれば、回転駆動軸6の駆動効率を変えることなく、主軸61の加工コストをより抑えることができる。このような態様も本発明に含まれる。
このスクロール圧縮機1を駆動すると、図1に示すように、仕事を終えた低圧冷媒は冷媒吸入管23から密閉作動室43内に引き込まれ、密閉作動室43の外周側から内周側に移動するにつれて圧縮される。圧縮された高圧冷媒は、吐出口413から圧縮室21内に吐出され、固定スクロール41とメインフレーム3に設けられた冷媒通路37を通って電動機室22に運ばれた後、冷媒吐出管24から再び冷凍サイクルへと送り出される。
潤滑油Oは、回転駆動軸6の回転により、内部の潤滑油供給管63を通って旋回スクロール42のボス423に持ち上げられ、ブッシュ65の油溝652を通りながらボス423や主軸受けなどの各摺動部を潤滑する。仕事を終えた潤滑油Oは、図示しない排油通路を通って再び電動機室22内に引き戻される。
この実施形態において、スクロール圧縮機1は、圧縮された高圧冷媒を一旦密閉シェル内に吐出する内部高圧型であるが、本発明に記載された回転駆動軸の構造は、仕事を終えた低圧冷媒を密閉シェル内を経由して圧縮部に引き込む内部低圧型に適用してもよい。
本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機の内部構造を概略的に示した断面図。 上記実施形態のスクロール圧縮機の回転駆動軸の拡大斜視図。 上記回転駆動軸のクランク軸の断面図。 クランクピンおよびブッシュの変形例を説明する模式図。 固定ピンの各種変形例を説明する説明図。 上記実施形態の回転駆動軸の変形例を模式的に示した縦・横断面図。
符号の説明
1 スクロール圧縮機
2 密閉シェル
21 圧縮室
22 電動機室
3 メインフレーム
4 冷媒圧縮部
41 固定スクロール
42 旋回スクロール
5 モータ(電動機)
6 回転駆動軸
61 主軸
62 クランク軸
63 潤滑油供給管
64 クランクピン
65 ブッシュ
66 凹溝
7 固定ピン

Claims (7)

  1. 電動機にて生成された回転駆動力を旋回スクロールに伝達する回転駆動軸を有するスクロール圧縮機において、
    上記回転駆動軸は、上記電動機の出力軸である主軸と、上記主軸の上端側に回転軸に対して偏心して配置されたクランク軸とを含み、上記クランク軸は、上記主軸の上端に形成されたクランクピンと、上記クランクピンに対して装着されるブッシュとを備えており、上記クランクピンと上記ブッシュとの間には、それらを互いに係止するための係止手段が設けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 上記係止手段は、上記クランクピンと上記ブッシュとの合わせ面に形成された凹溝と、同凹溝内に差し込まれる固定ピンとからなる請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 上記凹溝は、上記クランクピンの外周面と上記ブッシュの内周面の互いに対向する面に設けられた一対の凹溝メンバーからなる請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 上記凹溝は、上記回転駆動軸を回転させた際に上記クランク軸に加わる負荷方向に対して反負荷側に形成されている請求項1,2または3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 上記固定ピンは、弾性を有する板体を円筒状に丸めたもの、もしくは、合成樹脂の円筒体からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  6. 上記クランクピンと上記ブッシュとの間に形成される隙間を大きく形成して、上記クランク軸の偏心量を可変としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 上記ブッシュの外径には、潤滑油を流すための油溝が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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