JP2005068500A - 電気めっき鋼材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 有害金属であるクロムを全く使用せず、優れた耐食性を有し、しかも樹脂との接着性や撥水性にも優れる電気めっき鋼材を提供すること。
【解決手段】 亜鉛とコバルトの合金からなるめっき層が形成された電気めっき鋼材において、前記めっき層の表面にアルコキシシラン化合物が結合していることを特徴とする電気めっき鋼材とする。当該めっき層において、亜鉛とコバルトの合金からなるマトリックス中にシリカ微粒子を分散させることによって、アルコキシシラン化合物の結合性をより良好にすることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、亜鉛とコバルトの合金からなるめっき層が形成された電気めっき鋼材、特に、めっき層の表面にアルコキシシラン化合物が結合している電気めっき鋼材に関する。また、そのような電気めっき鋼材の製造方法に関する。
鉄鋼系工業製品の防食めっきとしては、安価で良好な犠牲防食能を有する亜鉛めっきが広く利用されている。その防錆性を向上させるために、亜鉛系合金めっきや多層めっきが採用されているが、ほとんどの場合、これらの亜鉛系めっきの最終仕上げには、6価クロムをベースとしたクロメート処理が施されている。しかしながら、6価クロムの使用は環境に悪影響を与えるため、自動車メーカーなどから6価クロム排除の自主規制が始まっている状況にある。さらに、6価クロムに限らず、有害金属であるクロムを全く使用しないクロムフリーのめっき技術も強く望まれている状況にある。したがって、クロメート処理の代替技術、さらにはクロムフリーのめっき技術の開発が急務となっており、環境適応性及び防食性に優れた亜鉛めっき鋼板が強く望まれている。
特開昭61−143597号公報(特許文献1)には、鋼材のめっきに際して、亜鉛めっき浴に対してシリカ微粒子を加えて電解処理し、次いで、シランカップリング剤で処理する、Zn−シリカ複合めっき鋼材の製造方法が記載されている。これによると、めっき層自体が耐食性を有する上に、下地処理なしで塗料などの接着性を改善することができるとされている。また、まてりあ、第42巻、p.61−63(非特許文献1)には、Zn−Ni−シリカ複合めっき鋼板の表面をシランカップリング剤で処理することが記載されている。これにより、亜鉛の腐食生成物(以下、「白さび」ということがある)や鉄素地の腐食生成物(以下、「赤さび」ということがある)の発生を効果的に防止でき、しかも塗料やゴムとの接着性に優れることが記載されている。
一方、特開平5−179481号公報(特許文献2)には、酸性めっき浴でZn−Co合金めっきを施す高耐食性のめっき鋼材の製造方法が記載されている。得られるめっき被膜は、優れた耐食性と良好な接着性及び有機被覆特性を示すとされている。また、特開平8−193296号公報(特許文献3)には、鋼板を電気めっきして鋼板表面上にシリカを分散共析させたZn−Co合金めっき層を形成する方法において、チェーン状シリカを使用し、特定のイオン濃度とpHにおいてめっき処理する電気めっき鋼板の製造方法が記載されている。当該めっき層は、密着性に優れ、しかも成型加工後の耐食性にも優れているとされている。さらに、表面技術、第49巻、p.79−83(非特許文献2)には、硫酸浴において鋼板に対してZn−Co−シリカ複合めっきを施す際の界面活性剤の影響が記載されている。
特開昭61−143597号公報(特許請求の範囲、発明の効果) 特開平5−179481号公報(特許請求の範囲、第2頁) 特開平8−193296号公報(特許請求の範囲、第3頁) 平松実、外2名、「シランカップリング剤を利用したクロメート処理代替Zn−Ni−シリカ/ハイブリッドコーティングの開発」、まてりあ、社団法人日本金属学会、平成15年1月、第42巻、第1号、p.61−63
上述のように、鋼材の表面に形成される亜鉛合金めっき被覆層を工夫することによって、耐食性や樹脂との接着性を改善する手法は、数多く提案されている。しかしながら、用途や目的によってはなお性能が不十分な場合があり、一層の性能改善が求められているところである。本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、有害金属であるクロムを全く使用せず、優れた耐食性を有して白さびと赤さびのいずれの発生も有効に防止でき、しかも樹脂との接着性や撥水性にも優れる電気めっき鋼材を提供することを目的とするものである。
上記課題は、亜鉛とコバルトの合金からなるめっき層が形成された電気めっき鋼材において、前記めっき層の表面にアルコキシシラン化合物が結合していることを特徴とする電気めっき鋼材を提供することによって達成される。亜鉛めっきがコバルト元素を含有することによって、めっき層表面にアルコキシシラン化合物が結合しやすくなり、得られる撥水効果や樹脂との接着性の改善効果が得られやすくなる。また、めっき層自身の耐食性も向上するので、アルコキシシラン化合物で処理することによる効果も併せて、結果として優れた耐食性を発揮することができるものである。このとき、前記めっき層に含まれる亜鉛元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の重量比[Co/(Zn+Co)]が0.02〜0.3であることが好適である。
また、前記めっき層において、亜鉛とコバルトの合金からなるマトリックス中にシリカ微粒子が分散していることが好適である。シリカ微粒子を含有することによってめっき層の耐食性がさらに向上し、アルコキシシラン化合物との結合性も一段と向上する。このとき、前記めっき層がシリカ微粒子を1〜20重量%含有することが好ましく、比較的多量のシリカを含有することで耐食性、接着性のいずれも改善される。また、前記めっき層の表面に樹脂が接着されてなることが好適な実施態様である。
上記課題は、亜鉛イオン及びコバルトイオンを含有するめっき浴中で電気めっきを行ってから、めっき層表面をアルコキシシラン化合物で処理することを特徴とする電気めっき鋼材の製造方法を提供することによっても達成される。亜鉛イオン及びコバルトイオンを含有することによって、亜鉛イオンのみを含有する場合、あるいは亜鉛イオン及びニッケルイオンを含有する場合に比べてシリカの共析量を増大させることができ、より効果的に本発明の効果を奏するめっき被膜を形成することができる。このとき、前記めっき浴中の亜鉛イオンの含有量が0.1〜0.5mol/L、コバルトイオンの含有量が0.5〜0.9mol/Lであり、かつ亜鉛イオンとコバルトイオンの合計含有量(mol/L)に対する、コバルトイオンの含有量(mol/L)の比[Co/(Zn+Co)]が0.5〜0.9であることが好適である。前記めっき浴が、さらにシリカ微粒子を10〜100g/L含有することも好ましい。また、前記めっき浴がコロイダルシリカ分散液を加えて調製されたものであることも好適である。
本発明の電気めっき鋼材は、優れた耐食性を有して白さびと赤さびのいずれの発生も有効に防止でき、しかも樹脂との接着性にも優れるものである。しかも、環境に悪影響を与えるおそれの大きい6価クロムはもとより、有害物質であるクロムを全く使用することがなく、環境にも配慮した製品である。自動車部品をはじめとする、高度な耐食性や高分子化合物への接着性が要求される用途に好適に使用することができる。
本発明では、亜鉛イオン及びコバルトイオンを含有するめっき浴中で電気めっきを行う。基材とされる鋼材の形態は特に限定されず、鋼板、鋳造品、鋼板の二次加工品などを使用することができる。めっき処理に先立って、鋼材を前処理することが好ましい。前処理としては、アルカリ脱脂、酸洗及び水洗操作を適宜併用して処理することが好ましい。前処理を施してから鋼材をめっき浴に浸漬して電気めっきを行う。
本発明で使用するめっき浴は亜鉛イオン及びコバルトイオンを含有するものである。亜鉛イオンの好適な含有量は0.1〜0.5mol/Lである。亜鉛イオンが0.1mol/L未満の場合には被膜中のコバルト元素含有量が増大し、耐食性が低下するおそれがあり、より好適には0.2mol/L以上である。一方、亜鉛イオンが0.5mol/Lを超える場合には、被膜中のコバルト元素含有量が減少し、この場合にも耐食性が低下するおそれがあり、より好適には0.4mol/L以下である。コバルトイオンの好適な含有量は0.5〜0.9mol/Lである。コバルトイオンが0.5mol/L未満の場合には被膜中のコバルト元素含有量が減少し、耐食性が低下するおそれがあり、より好適には0.6mol/L以上である。一方、コバルトイオンが0.9mol/Lを超える場合には被膜中のコバルト元素含有量が増大し過ぎ、逆に耐食性が低下するおそれがあり、より好適には0.8mol/L以下である。また、亜鉛イオンとコバルトイオンの合計含有量(mol/L)に対する、コバルトイオンの含有量(mol/L)の比[Co/(Zn+Co)]が0.5〜0.9であることが好ましい。比[Co/(Zn+Co)]を0.5以上にすること、すなわちコバルトイオン量を亜鉛イオン量よりも多くすることで、適切な量のコバルト元素をめっき被膜中に導入することができる。より好適には0.6以上である。一方、比[Co/(Zn+Co)]が0.9を超える場合には、被膜中のコバルト含有量が増大しすぎ、適切な量を超えるおそれがあり、より好適には0.8以下である。
めっき浴は、亜鉛イオン及びコバルトイオンに加えて、さらにシリカ微粒子を含有することが好ましい。めっき被膜中にシリカ微粒子を含有させることで、耐食性や接着性などを改善することができるが、コバルトイオンが存在することによって、シリカの共析量を著しく増加させることが可能である。添加されるシリカは微粒子であれば特に限定されないが、コロイダルシリカ分散液を液状のままめっき浴に加えることが好ましい。こうすることによって、シリカ微粒子を微粒子のままでめっき被膜中に均一に分散させることができ、シリカの共析量を多くすることが可能である。コロイダルシリカの一次粒子径は4〜100nmであることが好ましい。また、コロイダルシリカ分散液が酸性、特にpH1〜5の範囲に保たれていることが好ましい。本発明のめっき浴は後述するように酸性に保たれていることが好ましいが、そのような酸性条件下でも安定して分散可能なコロイダルシリカを使用することが好適だからである。
めっき浴中のシリカ微粒子の含有量は10〜100g/Lであることが好適である。シリカ微粒子の含有量が10g/L未満の場合には、被膜中に適切な量のシリカ微粒子を含有させることが困難になるおそれがあり、より好適には20g/L以上である。一方、シリカ微粒子の含有量が100g/Lを超える場合にはめっき浴の粘度が増大して撹拌が困難になるおそれがあり、より好適には60g/L以下である。
亜鉛イオン、コバルトイオンの対イオンとなるアニオン種は特に限定されるものではないが、得られる被膜の残留応力を小さくできる点などから、硫酸イオンが好適に使用される。まためっき浴には、他の成分を配合してもよい。例えば、めっき液の導電性を改善するために塩化アンモニウムなどに代表されるアンモニウム塩を含有させることが好ましい。また、めっき液のpH緩衝作用を得るためにホウ酸を含有させることも好ましい。このようなアンモニウム塩やホウ酸の好適な含有量は、0.1〜2mol/L程度である。
めっき浴のpHは1〜5に保たれていることが好ましい。pHが1未満の場合にはめっき電流効率が低下するおそれがある。またpHは、より好適には1.5以上であり、1.5未満の場合には被膜中のシリカ微粒子の含有量が低下するおそれがある。一方、pHが5を超える場合には、めっき液中に亜鉛水和物が生成するおそれがあり、より好適には3以下である。
こうして調製されためっき液に基材となる鋼材を浸漬し、それを陰極として通電してめっき処理が施される。好適な電流密度は1〜20A/dmである。電流密度が1A/dm未満の場合には、めっき被膜が析出しないおそれがあり、より好適には2A/dm以上である。一方、電流密度が20A/dmを超える場合には、均一な被膜を得ることが困難になるおそれがあり、より好適には10A/dm以下である。
めっき浴の温度は好適には10〜50℃である。めっき浴の温度がこの範囲にあることによって、均一なめっき被膜を得ることが容易になる。浴温は、より好適には20℃以上であり、またより好適には40℃以下である。
以上のようにして、亜鉛とコバルトの合金からなるめっき層が形成される。めっき層に含まれる亜鉛元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の重量比[Co/(Zn+Co)]が0.02〜0.3であることが好ましい。重量比[Co/(Zn+Co)]がこの範囲にあることによって、耐食性に優れた被膜とすることができる。重量比[Co/(Zn+Co)]は、より好適には0.05以上であり、またより好適には0.2以下である。
前記めっき層において、亜鉛とコバルトの合金からなるマトリックス中にシリカ微粒子が分散していることによって、耐食性が向上し、同時にアルコキシシラン化合物との結合性も向上する。シリカ微粒子の含有量は特に限定されず、例えば0.1重量%以上含有していればよい。しかしながら、シリカ微粒子の添加効果を明確にするには1重量%以上であることが好適であり、5重量%以上であることがより好適である。一方、シリカ微粒子の含有量が多すぎると、めっき被膜にザラツキが生じて外観が悪化するおそれがあるとともに、めっき電流効率も低下するおそれがある。したがって、シリカ微粒子の含有量は、好適には20重量%以下であり、より好適には15重量%以下である。
得られためっき層の表面をアルコキシシラン化合物で処理して、めっき層の表面にアルコキシシラン化合物を結合させる。これによって、撥水性や、樹脂に対する接着性を向上させられるのみならず、耐食性も向上させることができる。本発明においては、めっき層がコバルト元素を含有しているためにアルコキシシラン化合物の結合性が向上している。しかも、コバルトイオンの共存下でめっきすることによってシリカの共析量を増大させることもできるので、その場合には、アルコキシシラン化合物の結合性を一段と向上させることができる。
アルコキシシラン化合物としては、アルコキシル基とその他の有機基を有するシラン化合物を使用することができる。具体的には下記式(1)で示される化合物を使用することができる。ここでxは1〜3の整数であるが、x=1であることが好適である。
−Si−(OR)4−X (1)
上記式(1)において、(OR)は加水分解の可能なアルコキシル基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、β−メトキシエトキシ基などが例示される。なかでもメトキシ基、エトキシ基が好適である。また、Yはケイ素原子と直接結合する炭素原子を有する基であればよく、炭化水素基であっても構わないし、官能基を含む基であっても構わない。樹脂との接着性を向上させたい場合には、Yは反応性基を含む有機基であることが好ましい。Yに含まれる反応性基としては、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、ハロゲン基などが例示される。Yが反応性基を含む有機基である場合のアルコキシシラン化合物は、一般的にはシランカップリング剤と呼ばれるものであり、無機材料と有機材料を接着させるためのバインダーとして広く使用されるものである。
このような反応性基を有するアルコキシシラン化合物(シランカップリング剤)においては、接着される樹脂の種類によって好適な反応性基を選択できる。Yがアミノ基を含有する場合には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂などとの接着性が良好であり、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが例示される。Yがビニル基を含有する場合には、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂などとの接着性が良好であり、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどが例示される。Yがエポキシ基を含有する場合には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂などとの接着性が良好であり、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシランなどが例示される。Yが(メタ)アクリル基を含有する場合には、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、DAP、EPDMなどとの接着性が良好であり、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが例示される。Yがメルカプト基を含有する場合には、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、天然ゴム、SBR、塩化ビニル、ネオプレンゴムなどとの接着性が良好であり、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが例示される。Yがハロゲン基を含有するものとしては、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが例示される。
逆に、樹脂塗装などを施すことなく、剥き出しで使用する場合には、Yは炭化水素基であることが好ましい。このようなアルコキシシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランなどが例示される。
めっき層の表面をアルコキシシラン化合物で処理する方法は特に限定されないが、好適には、アルコキシシラン化合物を含有する溶液に浸漬するか、当該溶液を塗布する方法が採用される。溶液としては、少量の水を含むアルコールにアルコキシシラン化合物を溶解させたものが好適である。これによって、アルコキシル基を加水分解させて、シラノール基を生成させることができる。浸漬又は塗布する前には、予めめっき層の表面を十分に乾燥させることが好ましく、好適には加熱乾燥される。浸漬又は塗布した後は、加熱乾燥することが好ましい。これによって、めっき層の表面にシロキサン結合でアルコキシシラン化合物が結合されると推定される。
こうして、アルコキシシラン化合物が結合した電気めっき鋼材、特にシランカップリング剤が結合した電気めっき鋼材は、裸耐食性に優れており代替クロメートとして好適である。また、めっき層の表面に樹脂が接着されることも好適である。ここで、樹脂とは、高分子化合物を主たる構成成分とするもの全般をいい、樹脂塗装が施されたり、ゴムや樹脂成形品が接着されたりする態様を含むものである。このように樹脂が接着されて、各種の用途に使用される。例えば、高度な耐食性が要求される自動車部品などに好適に使用される。
以下、実施例によって、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1(Zn−Co合金めっき鋼材)
表1に示しためっき浴組成及びめっき条件によってZn−Co合金めっき鋼材を作製した。陽極には酸化インジウム電極(ペルメレックス電極株式会社製)を用いた。めっき基材は冷間圧延鋼板(SPCC、JIS G3141、標準調質、ブライト仕上げ;50×60×0.6mm)を用い、めっきの前処理としては、アルカリ脱脂(323K、アノード電解5A/dm×30秒)、水洗、酸洗(10%塩酸、5秒浸漬)及び水洗をこの順番で行った。上記アルカリ脱脂浴の組成は、水酸化ナトリウム30g/L、炭酸ナトリウム20g/L、オルト珪酸ナトリウム30g/L及び界面活性剤(日鉱メタルプレーティング株式会社製、「ポリチオン」)1mL/Lからなるものである。スタラーによりめっき液を撹拌しながら平均めっき厚が9μmとなるようにめっきした。
こうして得られたZn−Co合金めっき鋼材における被膜の組成を蛍光X線分析(理学電機工業株式会社製「RIX−3000」を使用)におけるファンダメンタル・パラメータ法によって求めたところ、被膜中の亜鉛元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の重量比[Co/(Zn+Co)]は0.1であった。得られた被膜に対してJIS Z2371にしたがって塩水噴霧試験を行い、その際の白さび及び赤さびの発生状況によって裸耐食性を評価したところ、白さびは120時間で、赤さびは8000時間で、それぞれ発生が認められた。
さらに、得られたZn−Co合金めっき鋼材を、105℃で2時間乾燥した後、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤)3重量部、水3重量部及びエタノール94重量部からなる処理液に0.5時間浸漬した。その後、120℃で1時間乾燥して、シランカップリング剤で処理されたZn−Co合金めっき鋼材を得た。シランカップリング処理におけるシランカップリング剤の結合量は、X線光電子分光装置(日本電子株式会社製;JPS−90)によって、被膜表面に存在するアミノ基由来の窒素元素の量を測定し、他の例と比較することによって相対的に評価した。
本実施例のZn−Co合金めっき鋼材は、後述の比較例1〜4に比べてシランカップリング剤の結合量が大きく、シランカップリング処理性に優れているといえる。その要因は、被膜中のコバルト成分が、シランカップリング剤との反応性に優れているためであると考えられる。
また、このようにシランカップリング処理を施したZn−Co合金めっき鋼材に対して、JIS Z2371にしたがって塩水噴霧試験を行い、その際の白さび及び赤さびの発生状況によって耐食性を評価したところ、白さびは480時間で、赤さびは10000時間で、それぞれ発生が認められた。すなわち、シランカップリング処理を行うことによって、被膜の耐食性、特に白さびの防止性が大きく向上することがわかった。
シランカップリング処理を施した後で、被膜面上にメラミン系塗料(関西ペイント株式会社製「2B―アミラック黒」)を用い、塗膜厚が20μmとなるよう塗装し、140℃で25分間焼付乾燥した。塗装の接着性について、エリクセン試験法(JIS Z2247)により評価したところ、剥離は認められなかった。以上の分析、評価結果を表2にまとめて示す。
実施例2(Zn−Co−シリカ複合めっき鋼材)
めっき浴組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてめっきを行い、Zn−Co−シリカ複合めっき鋼材を作製した。めっき浴に配合したシリカコロイドは酸性タイプシリカゾル水溶液(日産化学工業株式会社製「スノーテックスO」;粒子径10〜20nm、シリカ含有率20重量%、pH2〜4、比重1.12)を用い、シリカ重量で60g/L含有するように配合した。
得られたZn−Co−シリカ複合めっき鋼材に対して、実施例1と同様にしてシランカップリング剤で処理し、塗装を行った。実施例1と同様に分析、評価した結果を表2にまとめて示す。本実施例で得られたZn−Co−シリカ複合めっき鋼材は、同等の条件で作製した比較例2及び4のめっき鋼材に比べ、被膜中のシリカ微粒子含有量がおよそ3〜5倍となり、容易に被膜中にシリカ微粒子を複合化できるという特徴を有している。また、実施例1と比較して被膜中にシリカ微粒子が複合化されることにより、白さびに対しては実施例1と同程度の耐食性であるが、赤さびに対してはさらに良好な耐食性を示した。
比較例1(Znめっき鋼材)
めっき浴組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてめっきを行い、Znめっき鋼材を作製した。得られたZnめっき鋼材に対して、実施例1と同様にしてシランカップリング剤で処理し、塗装を行った。実施例1と同様に分析、評価した結果を表2にまとめて示す。本実施例で得られたZnめっき鋼材は、白さび及び赤さびに対する耐食性がいずれも実施例1及び2と比較して遙かに劣っている。また、被膜中にシリカ及びコバルトのいずれも含有していないため、被膜に対するシランカップリング処理性も良くない。
比較例2(Zn−シリカ複合めっき鋼材)
めっき浴組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてめっきを行い、Zn−シリカ複合めっき鋼材を作製した。使用したシリカコロイドは実施例2で使用したものと同じである。得られたZn−シリカ複合めっき鋼材に対して、実施例1と同様にしてシランカップリング剤で処理し、塗装を行った。実施例1と同様に分析、評価した結果を表2にまとめて示す。本実施例で得られたZn−シリカ複合めっき鋼材は、被膜中にシリカ微粒子を含有することによって、比較例1に比べて赤さびに対する耐食性が改善され、シランカップリング処理性も改善されているが、実施例1及び2と比べると十分ではない。また、白さびに対する耐食性は、比較例1と同様であり実施例1及び2と比較して遙かに劣っている。
比較例3(Zn−Ni合金めっき鋼材)
めっき浴組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてめっきを行い、Zn−Ni合金めっき鋼材を作製した。得られたZn−Ni合金めっき鋼材に対して、実施例1と同様にしてシランカップリング剤で処理し、塗装を行った。実施例1と同様に分析、評価した結果を表2にまとめて示す。本実施例で得られたZn−Ni合金めっき鋼材は、被膜中にニッケルを含有することによって、赤さびに対する耐食性が比較例1及び2に比べて格段に向上するが、実施例1及び2と比べると若干劣る。白さびに対する耐食性は、比較例1及び2よりも若干向上するが、実施例1及び2と比べると不十分である。また、被膜中にシリカ及びコバルトのいずれも含有していないため、被膜に対するシランカップリング処理性は、比較例1と同様に良くない。
比較例4(Zn−Ni−シリカ複合めっき鋼材)
めっき浴組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてめっきを行い、Zn−Ni−シリカ複合めっき鋼材を作製した。使用したシリカコロイドは実施例2で使用したものと同じである。得られた−Ni−シリカ複合めっき鋼材に対して、実施例1と同様にしてシランカップリング剤で処理し、塗装を行った。実施例1と同様に分析、評価した結果を表2にまとめて示す。本実施例で得られた−Ni−シリカ複合めっき鋼材は、被膜中にニッケルを含有することによって、赤さびに対する耐食性が比較例1及び2に比べて格段に向上するが、実施例1及び2と比べると若干劣る。白さびに対する耐食性は、比較例1及び2よりも若干向上するが、実施例1及び2と比べると不十分である。また、被膜中にシリカ微粒子を含有することによって、比較例3に比べてシランカップリング処理性が改善されているが、シリカの含有量も少なくコバルトも含有しないために実施例1及び2と比べると十分ではない。
Figure 2005068500
Figure 2005068500

Claims (9)

  1. 亜鉛とコバルトの合金からなるめっき層が形成された電気めっき鋼材において、前記めっき層の表面にアルコキシシラン化合物が結合していることを特徴とする電気めっき鋼材。
  2. 前記めっき層に含まれる亜鉛元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の重量比[Co/(Zn+Co)]が0.02〜0.3である請求項1記載の電気めっき鋼材。
  3. 前記めっき層において、亜鉛とコバルトの合金からなるマトリックス中にシリカ微粒子が分散している請求項1又は2記載の電気めっき鋼材。
  4. 前記めっき層がシリカ微粒子を1〜20重量%含有する請求項3記載の電気めっき鋼材。
  5. 前記めっき層の表面に樹脂が接着されてなる請求項1〜4のいずれか記載の電気めっき鋼材。
  6. 亜鉛イオン及びコバルトイオンを含有するめっき浴中で電気めっきを行ってから、めっき層表面をアルコキシシラン化合物で処理することを特徴とする電気めっき鋼材の製造方法。
  7. 前記めっき浴中の亜鉛イオンの含有量が0.1〜0.5mol/L、コバルトイオンの含有量が0.5〜0.9mol/Lであり、かつ亜鉛イオンとコバルトイオンの合計含有量(mol/L)に対する、コバルトイオンの含有量(mol/L)の比[Co/(Zn+Co)]が0.5〜0.9であることを特徴とする請求項6記載の電気めっき鋼材の製造方法。
  8. 前記めっき浴が、さらにシリカ微粒子を10〜100g/L含有する請求項6又は7記載の電気めっき鋼材の製造方法。
  9. 前記めっき浴がコロイダルシリカ分散液を加えて調製されたものである請求項8記載の電気めっき鋼材の製造方法。
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