JP2005068442A - アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン - Google Patents

アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン Download PDF

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Abstract

【課題】 長期貯蔵安定性と造膜性が良好で、形成される皮膜の耐久性に優れたアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンの提供。
【解決手段】 (1)アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びモノアルケニルベンゼンから選択される単量体、(2)(a)γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランから選択されるシランならびに(b)γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン及びγ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、からなる単量体及びシランの混合物を反応性界面活性剤を使用して乳化重合させてなる、生成した共重合体の数平均分子量が5万以上であるアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加水分解性アルコキシシリル基を有するアクリル系エマルジョンであって、長期の貯蔵安定性が良好で、かつエマルジョンから形成される皮膜の耐久性が優れ、塗料用、シーラント用、被覆用などのベースエマルジョンとして有用とされるアクリル系エマルジョンに関するものである。
アクリル系重合体は塗料等のコーティング剤用に以前から使用されてきた。ところで、この塗料等のコーティング剤には耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐湿性をはじめ耐久性や耐候性が求められており、その対応策のひとつとして溶液型の加水分解性基を有するシリル基(けい素原子との間の結合が加水分解性である基を有するシリル基。以下同様。)を含有する室温硬化性共重合体を用いることがよく知られている。この共重合体としては、特許文献1に開示されている、1分子中に少なくとも2個の加水分解性基を有するシリル基を導入した数平均分子量300〜30,000の溶液重合による共重合体などがあげられる。しかし、近年、低公害、省資源、安全衛生の面から、これらのコーティング剤にも水系であるエマルジョンタイプが求められているが、加水分解性基を有するシリル基が水系において加水分解及び縮合しやすく、貯蔵安定性の良いエマルジョンタイプの製造が困難であった。
特許文献2には、貯蔵安定性向上のため加水分解性基を有するシリル基とアミンイミド基を各々1分子中に少なくとも1個有する樹脂を含有する反応型樹脂エマルジョンが提案されているが、その製造には有機溶媒中で溶液重合したのち溶液をトッピングして残った樹脂を乳化する方法、または溶液のままで水を加えて乳化したあとトッピングする方法がとられており、工程が複雑で経済的不利はまぬがれない。さらに貯蔵中の加水分解性基を有するシリル基の縮合反応の防止が十分できず、長期間保存した場合に、エマルジョンのゲル化は見られないものの、エマルジョン粒子内の加水分解性基を有するシリル基の縮合による粒子内架橋が進み、エマルジョンの造膜性が悪くなり、良好な皮膜を形成するのが難しくなるという問題点があった。
特公昭63−60046号公報 特開平5−25354号公報
前記のような状況から、本発明は、アルコキシシリル基による粒子内架橋を著しく減少させることにより長期貯蔵安定性と造膜性が良好で、かつ形成される皮膜の耐久性に優れたアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンを提供しようとしてなされたものである。
本発明者らは前記の課題を解決するため鋭意検討の結果、アクリル基又はメタクリル基を有し、アルコキシシリル基の中でアルコキシル基−けい素原子間結合の加水分解性が高いトリメトキシシリル基を有するアルコキシシランと、アクリル基又はメタクリル基を有し、加水分解性が低いジメトキシシリル基、ジエトキシシリル基又はトリエトキシシリル基を有するアルコキシシランとを組み合わせること、このアルコキシシランを導入した共重合体の数平均分子量を5万以上とすること、また、重合に際して反応性界面活性剤を使用することにより、アクリル系エマルジョンの貯蔵安定性が長期にわたって良好なことと共に特性の優れた皮膜が得られることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
本発明のアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンは前記の課題を解決したものであり、これは
(1)アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びモノアルケニルベンゼンから選択される単量体 80〜99重量%及び
(2)(a)γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランから選択されるシランならびに(b)γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン及びγ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランから選択されるシラン[ただし、(a)成分のシラン/(b)成分のシランの重量比が60/40〜10/90である]を合計で 1〜20重量%
からなる単量体及びシランの混合物を、反応性界面活性剤を使用して乳化重合させてなる、生成した共重合体の数平均分子量が5万以上のエマルジョンである。なお、本願明細書において、数平均分子量はGPCによる数平均分子量を意味する。
以下に本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明における(1)成分はアクリル系共重合体の骨格を形成させるための主成分単量体であり、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、すなわち炭素数が1〜18のアルキル基を有するアルコールのアクリル酸エステルや炭素数が1〜18のアルキル基を有するアルコールのメタクリル酸エステル、及びモノアルケニルベンゼンから選択されたものが使用される。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおける炭素数が1〜18のアルキル基の具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基等が挙げられ、モノアルケニルベンゼンとしては例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。
(1)成分としてはこれらの(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びモノアルケニルベンゼンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。なお、モノアルケニルベンゼンは一般にエマルジョンの造膜温度を高くするので、通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと併用される。
この(1)成分の使用量は、アクリル系共重合体の特性を発揮させるために、単量体全量[(1)成分と(2)成分の合計量]の80〜99重量%とされるが好ましくは85〜95重量%である。
(2)成分はγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランから選択される(a)成分と、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランから選択される(b)成分の組み合わせからなり、アクリル系共重合体の架橋成分として共重合体に導入される。
このうちの(a)成分単独では加水分解速度及び縮合速度が速く、エマルジョンの状態で共重合体粒子内あるいは粒子間の架橋が進み易く、そのままあるいは塗料として保管中にエマルジョンの最低造膜温度(以後MFTと略す)が上昇して、良好な塗膜が形成されにくくなり貯蔵安定性に劣ることになる。逆に(b)成分単独では加水分解速度及び縮合速度が遅く、共重合体粒子内あるいは粒子間の架橋が進みにくく、MFTの変化が少なくて貯蔵安定性には優れるものの架橋度が低く塗膜の耐久性が劣ることになる。
(a)成分/(b)成分の重量比率を60/40〜10/90にした時に、エマルジョンあるいは塗料として保管中のMFTの上昇が少なく、良好な塗膜を形成しかつ皮膜の架橋度が高く、貯蔵安定性と塗膜の耐久性の両方を満足するエマルジョンが得られる。(a)成分/(b)成分の重量比率で(a)成分が60/40を超えると貯蔵安定性が劣り、10/90未満では塗膜の耐久性が劣り、両者を満足させることができない。
(a)、(b)各成分とも先に示したシランの中から1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、両者合計の(2)成分としての使用量は単量体全量[(1)成分と(2)成分の合計量]の1〜20重量%とされ、好ましくは5〜10重量%である。(2)成分の量が単量体全量の1重量%未満では形成された皮膜の架橋度が低く耐久性が不十分であるし、逆に、20重量%を超えるとMFTの上昇が大きく長期貯蔵後にはMFTが高くなり良好な塗膜が形成できなくなり、貯蔵安定性、塗膜の耐久性ともに不十分となる。
ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等も(b)成分として使用可能ではあるが、ラジカル重合性が(メタ)アクリル酸アルキルエステルより大巾に低いため重合効率が悪く好ましくない。
また、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、エマルジョンの機械的安定性、形成された皮膜の耐水性、光沢、その他の機能性付与のため、(1)及び(2)成分と共重合可能な単量体を用いることができる。
このような単量体としては具体的に、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基又はその無水物基含有単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有単量体、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシル基含有単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基含有単量体、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の1分子中にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル単量体などが例示され、これらの中から1種又は2種以上が選択して用いられ、その使用量は単量体全量[(1)成分及び(2)成分との合計量]の10重量%以下とされる。
また、本発明のエマルジョンから形成される皮膜の耐水性等の耐久性を著しく向上させ、溶液重合品に近い性能を得るためには、界面活性剤(乳化剤)として反応性界面活性剤を使用するとよいことが分った。この反応性界面活性剤の例としては、
Figure 2005068442
Figure 2005068442
等の非イオン性反応性界面活性剤、あるいは第4級アンモニウム塩や第3級アミン塩と重合性基を含むカチオン性反応性界面活性剤などが挙げられる。
この反応性界面活性剤は1種のみ用いても2種以上を併用してもよいが、その量が少なすぎると製造したエマルジョンに凝塊物が多く発生するようになるし、得られる皮膜も良好な物性を示さないようになる。また、多すぎる場合にもエマルジョン粒子の粒径が細かくなってエマルジョンの粘度が上がりすぎるし、皮膜の耐水性も悪くなってくる。したがって、この反応性界面活性剤の使用量は全単量体の0.5〜15重量%が好ましく、特には1〜7重量%が好ましい。
また、本発明の目的を損なわない限りにおいて、この反応性界面活性剤と組み合わせて通常の乳化重合に用いられる非反応性界面活性剤を使用することが可能であり、界面活性剤全量の30重量%以下の範囲で1種又は2種以上が併用されることがある。
これらの非反応性界面活性剤としてはアルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル等の非イオン性界面活性剤などが例示される。
本発明で使用されるラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキシド、アゾビスアミジノプロパンの塩酸塩等の水溶性タイプ、ベンゾイルパーオキシド、キュメンハイドロパーオキシド、ジブチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性タイプなどが例示される。さらに必要に応じ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用したレドックス系も使用することができる。この重合開始剤の使用量は単量体全量に対して通常は0.1〜10重量%とすればよいが、より好ましくは 0.5〜5重量%である。
本発明のアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンを製造するにあたって、アルコキシシリル基の加水分解や縮合を抑えるため重合中のpHを 6.5〜7.5 に制御することが好ましい。重合は通常10〜90℃の温度で行われる。乳化重合の最後には、生成ポリマーの望ましくない架橋反応を防ぎ本発明の目的のひとつである貯蔵安定性をさらに良好とするために、塩基性物質を添加してpH7〜8に調整することが好ましく、これらの物質としてアンモニア、アミン類、アルカノールアミン類、炭酸ソーダ、苛性アルカリ等が例示される。
本発明のアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンにおいては共重合体の数平均分子量は5万以上とされる。5万未満では共重合体の柔軟性、弾性が不十分となり、例えば塗工した場合、基材の伸縮に追従できなくなってクラックの発生を引き起こしたり、塗膜の粘着性が強くなって汚染しやすくなる等の欠点が生じる。数平均分子量の上限についてはエマルジョンに造膜性がある限り特に制限はない。数平均分子量5万以上は、ラジカル重合開始剤量及び重合温度を調整すれば、通常、達成することができる。
本発明のエマルジョンを塗料用等に利用した場合、エマルジョン粒子中の共重合体側鎖に導入されたアルコキシシリル基において、造膜と共に次第に縮合が起こって架橋皮膜を形成するが、必要に応じて縮合反応触媒を添加して架橋反応を促進させることができる。アルコキシシリル基における縮合は脱水縮合又は脱アルコール縮合であり、これによりシロキサン結合が形成されて架橋が起こる。
縮合反応触媒としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等の有機チタネート系化合物、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等の有機アルミニウム系化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート、ジオクチル酸錫等のカルボン酸型錫化合物、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫化合物、オクチル酸鉛、ナフテン酸コバルト等のカルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル、カルボン酸及びその酸無水物、トリエチルアミン、ジブチルアミン−2−ヘキソエート等のアミン及びその塩などが例示される。
これらの触媒は、水溶性であればそのまま添加すれば良いが、油溶性のものは水分散体にして添加するのが好ましく、添加量は本発明のエマルジョンに対して0.01〜10重量%が好ましい。
本発明のエマルジョンを屋外塗料用のベースエマルジョンに使用する場合、塗装時の温度で良好な皮膜を形成する必要があり、塗装温度より低い温度で皮膜形成できる共重合体とするか、あるいは、より高温のMFTを持つエマルジョンに適切な皮膜形成助剤をエマルジョンに必要量添加してMFTを塗装温度より下げることができる。好ましい皮膜形成助剤としてはブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブアセテート、ベンジルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどが例示され、これらの中から1種又は2種以上が用いられる。
また、工場ラインで塗装する塗料の場合は強制乾燥が可能であるから、その乾燥温度、時間で良好な皮膜を形成できる範囲内で高MFTのエマルジョンを使用した方が硬い塗膜が形成され、耐ブロッキング性、耐汚染性に優れたものが得られる。この場合も必要により皮膜形成助剤を使用しても差しつかえない。
本発明の効果は、加水分解速度及び縮合速度の速いアルコキシシリル基[(a)成分]と、これ等の速度の遅いアルコキシシリル基[(b)成分]とを適切な割合で組み合わせることにより、両者の相乗効果によって発現できたものと考えられる。
本発明のアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンは、長期の貯蔵安定性が良好であり、かつ得られる塗膜の耐久性が優れているため、実用的に塗料、シーラント、被覆剤等のベースエマルジョンとして有用である。
次に、本発明の実施の形態を例をあげて説明する。なお、例中の部及び%はそれぞれ重量部と重量%を示す。また、得られた各エマルジョンについて、その特性及び共重合体の分子量を下記の方法で測定した。
a.最低造膜温度(MFT)
造膜しうる最低温度を理学工業社製の最低造膜温度測定機で測定した。
b.塗膜の耐久性
塗膜の耐久性の評価としては、重要度の高い、塗膜のゲル分率及び耐水性を下記の方法で測定した。
1)塗膜のゲル分率
アルミ箔に乾燥膜厚が約25μmになるようにエマルジョンを塗布し、23℃×68%RHの条件で7日間養生して得られた塗膜を細断し、これをメチルエチルケトンを用いて3時間ソックスレー抽出し、非抽出量からゲル分率を算出した。
2)塗膜の耐水性
ガラス板に乾燥膜厚が約25μmになるようにエマルジョンを塗布し、23℃×68%RHの条件で7日間養生したものについて、50℃の温水に5日間浸漬した後の表面状態を観察し、下記によって示した。
〇:異常なし、△:やや白化、×:白化、ブリスター発生
c.塗膜の粘着性
ガラス板に乾燥膜厚が約25μmになるようにエマルジョンを塗布し、25℃×68%RHの条件で7日間養生したものについて、塗膜表面のタックの有無を指触により判定した。
d.共重合体の平均分子量
重合直後のエマルジョンを凍結してゲル化させ、ゲル状物をメタノールで充分洗浄して水分を除いたものをテトラヒドロフランに溶解し、GPCにより数平均分子量を測定した。
実施例1
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水 100部及びpH緩衝剤として炭酸ソーダ0.03部、ホウ酸 0.3部を仕込み、攪拌しながら60℃に昇温させたのち窒素置換した。これにロンガリット0.15部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.09部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.03部を添加すると同時に、メタクリル酸メチル37部、アクリル酸ブチル43部、スチレン10部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2部、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン8部、下記構造式で示される反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬社製商品名)3.2部、アクアロンHS−10(第一工業製薬社製商品名) 1.4部及びt−ブチルハイドロパーオキシド(純分69%) 0.3部の混合液 104.9部を内温を60℃に保持しながら攪拌下に3時間かけて均一に添加し、さらに60℃で1時間反応させて重合を終了した。得られたエマルジョンの固形分濃度は50.6%、pH7.2であった。
Figure 2005068442
上記で得られたエマルジョン及び塗膜の特性は表2に示すとおりであった。
実施例2
実施例1と同様にして表1に示される単量体、界面活性剤の種類、量(部数)で重合を行い固形分濃度50.5%、pH 6.9のエマルジョンを得た。得られたエマルジョン及び塗膜の特性は表2に示すとおりであった。
実施例3
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水50部及びpH緩衝剤として炭酸ソーダ0.03部、ホウ酸 0.3部を仕込み、攪拌しながら60℃に昇温させたのち窒素置換した。これにロンガリット0.15部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.09部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.03部を添加すると同時に、別途、メタクリル酸メチル39部、アクリル酸ブチル46部、スチレン10部、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン1部、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン4部及びt−ブチルハイドロパーオキシド(純分69%)0.3部の混合物を反応性界面活性剤アクアロンRN−20(前出) 3.2部、アクアロンHS−10(前出) 1.4部及び脱イオン水50部の溶液中に投入し、そしてホモミキサーで乳化した154.9部の乳化液の中から 7.7部を重合容器に加えて攪拌下に重合反応させ、発熱がおさまった後、残りの乳化液を器内温を60℃に保持しながら攪拌下に 2.5時間かけて均一に添加し、さらに60℃で1時間反応させてエマルジョンを得た。
得られたエマルジョンの固形分濃度は50.8%、pH 7.1であった。また、得られたエマルジョン及び塗膜の特性は表2に示すとおりであった。
実施例4
実施例1と同様にして表1に示される単量体、界面活性剤の種類、量(部数)で重合を行い、固形分濃度50.5%、pH 7.1、MFT44℃のエマルジョンを得た。得られたエマルジョンの固形分100部に皮膜形成助剤としてブチルカルビトールアセテートを10部添加し調合したエマルジョン及び塗膜の特性は表2に示すとおりであった。
また、皮膜形成助剤を添加しないMFT44℃のままのエマルジョンをガラス板に乾燥膜厚が約25μmになるように塗布し、 105℃で30分間乾燥させたところ亀裂のない塗膜を形成した。これを50℃の温水に5日間浸漬した後の表面状態を観察し耐水性を評価したところ異常なかった。さらにアルミ箔に乾燥膜厚が約25μmになるように塗布し、105℃で30分間乾燥させた塗膜を細断し、これをメチルエチルケトンで3時間ソックスレー抽出し、非抽出量からゲル分率を算出したところ96%と高く、ライン塗装用の塗料用ベースエマルジョンとして有用であることが分った。
比較例1〜3
実施例1と同様にして表1に示される単量体、界面活性剤の種類、量(部数)で重合を行いエマルジョンを得た。得られたエマルジョン及び塗膜の特性は表2に示すとおりであった。なお、各エマルジョンは下記のようであった。
比較例1:固形分濃度50.5%、pH 7.1
比較例2:固形分濃度50.6%、pH 7.1
比較例3:固形分濃度50.4%、pH 7.0
比較例4
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水 100部及びpH緩衝剤として炭酸ソーダ0.03部、ホウ酸 0.3部を仕込み、攪拌しながら60℃に昇温させたのち窒素置換した。器内温を80℃にさらに上昇させた後、これにロンガリット0.15部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.09部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.03部を添加すると同時に、メタクリル酸メチル39部、アクリル酸ブチル46部、スチレン10部、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン1部、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン4部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20(前出)3.2部、アクアロンHS−10(前出) 1.4部、t−ブチルハイドロパーオキシド(純分69%) 0.3部及びドデシルメルカプタン1部の混合液 105.9部を内温を80℃に保持しながら攪拌下に3時間かけて均一に添加し、さらに80℃で1時間反応させて重合を終了した。得られたエマルジョンの固形分濃度は50.2%、pH6.9であった。また得られたエマルジョン及び塗膜の特性は表2に示すとおりであった。
Figure 2005068442
表1中のアデカリアソープSE−10N、アデカリアソープNE−10(いずれも旭電化社製商品名)は下記構造式で示されるものである。
Figure 2005068442
Figure 2005068442

Claims (1)

  1. (1)アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びモノアルケニルベンゼンから選択される単量体 80〜99重量%及び
    (2)(a)γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランから選択されるシランならびに(b)γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン及びγ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランから選択されるシラン[ただし、(a)成分のシラン/(b)成分のシランの重量比が60/40〜10/90である]を合計で 1〜20重量%
    からなる単量体及びシランの混合物を、反応性界面活性剤を使用して乳化重合させてなる、生成した共重合体の数平均分子量が5万以上であるアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン。
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US9404006B2 (en) 2013-03-15 2016-08-02 Akzo Nobel Coatings International B.V. Hybrid water dispersions, (poly)ethylene (meth)acrylic acid copolymer composite latex emulsions, hybrid (poly)ethylene (meth)acrylic acid organosilane composite latex emulsions, and coating compositions formed therefrom

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