JP2005068116A - 塩酸メトホルミンを含有する速放性フィルムコーティング錠剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小型で服用しやすい速放性錠剤で、かつ不快な食感等を生じない、不快味をマスキングした塩酸メトホルミンを含有する錠剤を提供すること。
【解決手段】 塩酸メトホルミンを含有する核錠に、20℃における2質量%水溶液の動粘度が5.2〜7.0mm2/sであるヒドロキプロピルメチルセルロース(HPMC)2910を含有するフィルムコーティング組成物によりフィルム層が形成されていることを特徴とする、速放性フィルムコーティング錠剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 塩酸メトホルミンを含有する核錠に、20℃における2質量%水溶液の動粘度が5.2〜7.0mm2/sであるヒドロキプロピルメチルセルロース(HPMC)2910を含有するフィルムコーティング組成物によりフィルム層が形成されていることを特徴とする、速放性フィルムコーティング錠剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、不快味のマスキングに優れ、ぬめり感等の不快な食感を感じず、かつ良好な放出性を有する塩酸メトホルミンの速放性フィルムコーティング錠剤に関する。
塩酸メトホルミンはビグアナイド系の血糖降下剤であり、II型糖尿病に対する経口糖尿病用薬として臨床の場で使用されている。更に、近年米国において肥満II型糖尿病のインスリン抵抗性を有する患者に対し第一選択薬として汎用されていることを受け、国内での需要も同様に高まっている。
塩酸メトホルミンの日本国内における先発製剤は、250mgを含有する普通錠として2品目が販売されているが、1錠あたりの重量が380mg又は350mgと大きく、服用に際して好ましいものとはいえなかった。糖尿病患者は、長期にわたり正確に血糖値をコントロールする必要があり、そのため糖尿病用薬のコンプライアンス向上は重要な課題である。服用感の悪さはコンプライアンスを大きく左右する重大な要因であり、塩酸メトホルミンについて服用の容易な小型の製剤が求められていた。
また、近年、薬物のバイオアベイラビリティを担保する観点から、固形製剤においては、速やかな溶出特性を保持することが必要とされている。特に、塩酸メトホルミンは胃腸管下部では透過性が低く、もっぱら胃腸管上部で吸収されるため、バイオアベイラビリティ向上のためには服用後速やかなる薬物の放出が望ましい。
このような事情の中、発明者らは塩酸メトホルミンを有効成分とする錠剤について鋭意検討を重ねた結果、結合剤として特定の粘度を有するヒドロキシプロピルセルロース(以下、「HPC」という)を使用することにより、塩酸メトホルミンを速やかに溶出でき、かつ小型に成形可能で、製造性及び安定性に優れた塩酸メトホルミン速放性錠剤を発明した(特許文献1参照)。
一方、薬剤の味も製剤の服用感を左右する大きな要因であるが、塩酸メトホルミンは苦味、塩辛味などの強い不快味を有しており、このことは患者が服用する上で大きな問題となっている。特に、前記塩酸メトホルミン速放性錠剤においては、小型化により不快味が増したとの意見もあり、不快味の改善が強く求められている。
薬剤の不快味を改善する方法としては、甘味剤、矯味剤等の味質改善剤を添加する方法、マトリックス製剤とする方法、高分子基剤で薬剤に被覆を施しフィルムコーティング錠とする方法などが一般的に用いられる。このうち、味質改善剤を添加する方法及びマトリックス製剤については、塩酸メトホルミンのように水溶性が高く、不快味の閾値が低い薬剤に対しては適さないことが多い。味質改善剤を用いたビグアナイド系薬物の不快味改善方法として有機酸を使用する方法が提案されているが(特許文献2参照)、当該処方は液剤、ゼリー剤等の錠剤以外の経口投与製剤に適するとされている。また、比較的多量の有機酸と更に糖類の添加を必要とし、大型化につながる点から錠剤への適用は好ましくない。
フィルムコーティング錠剤とする場合、基剤としては水不溶性高分子、胃溶性又は腸溶性の高分子、水溶性高分子などが一般的に用いられる。このうち、胃溶性や腸溶性の高分子を用いる場合、pHなどの液性によって溶解度が変化するため、低胃酸者など患者によっては薬効成分の血中濃度にばらつきが出やすいといった問題がある。水不溶性高分子は、薬効成分の溶出を大幅に遅延させるため、速放性錠剤には向かない場合がある。また、水不溶性高分子は、通常コーティングの工程に有機溶媒を使用するため、環境や作業者の健康に対する影響の問題から好ましくない。
経口固形製剤の水溶性高分子によるフィルムコーティングは、不快味のマスキング、薬物の安定性を保つための遮光、識別性向上のための着色コーティング、搬送過程における摩損防止などの目的で広く行われている。なかでも、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、「HPMC」という)は、柔軟性と強度に富んだフィルムを形成し、かつ水及び種々の緩衝溶液に溶解して速やかに薬物を溶出させる特性を有するので、優れたコーティング素材として普及している。しかし、HPMC自身も速やかに水に溶解するため、塩酸メトホルミンのように水溶性が高く不快味の閾値の低い薬物に対して、HPMCはマスキング力が充分といえず、この様な薬物の不快味のマスキングを目的とした使用には適さないと考えられている。また、HPMCでフィルムコーティングを施した製剤は、口腔中に含んだ際にぬめり感などの不快な食感を生じ、却って服用上問題となる場合もあった。
塩酸メトホルミンを含有する錠剤にHPMCでコーティングを施した例として、米国でブリストルマイヤーズ スクイブ社が販売するグルコファージ(登録商標)錠がある(非特許文献1参照)が、実際に服用したところ、わずか数秒で不快味を感じ、マスキングの効果は完全ではなかった。また、本錠剤について第14改正日本薬局方の溶出試験(パドル法、回転数50rpm、試験液:水)を行うとき、試験開始後15分時点における塩酸メトホルミンの溶出率は60%以下であり、速放性錠剤とはいえない。
塩酸メトホルミンの速放性錠剤に、HPC、HPMCなどの水溶性皮膜を施してフィルムコーティング錠剤とすることが知られているが(特許文献1参照)、不快味のマスキング効果については明らかではない。
従って、本発明の目的は、小型で服用しやすい速放性錠剤で、かつ不快な食感等を生じない、不快味をマスキングした塩酸メトホルミン含有錠剤を提供することにある。特にマスキング効果については、多くの糖尿病患者が高血圧症、腎疾患などを併発し、多種類の治療薬を併用している事実から、同時に複数の薬剤を服用することを考慮して、30秒程度持続する塩酸メトホルミン含有錠剤を提供する。
本発明者らは、斯かる実情に鑑み、塩酸メトホルミンを含有する速放性錠剤の不快味マスキングについて鋭意研究した結果、塩酸メトホルミンを含有する核錠を特定の粘度を有するHPMCを用いてフィルムコーティングすることにより、不快味のマスキング効果が30秒程度持続できることを見出し、本発明を解決した。
すなわち本発明は、塩酸メトホルミンを含有する核錠に、20℃における2質量%水溶液の動粘度が5.2〜7.0mm2/sであるHPMC 2910を含有するフィルムコーティング組成物によりフィルム層が形成されていることを特徴とする、速放性フィルムコーティング錠剤を提供する。
すなわち本発明は、塩酸メトホルミンを含有する核錠に、20℃における2質量%水溶液の動粘度が5.2〜7.0mm2/sであるHPMC 2910を含有するフィルムコーティング組成物によりフィルム層が形成されていることを特徴とする、速放性フィルムコーティング錠剤を提供する。
本発明の塩酸メトホルミンを含有する速放性フィルムコーティング錠剤は、服用時、30秒程度の間不快な味を感じず、またマスキング効果が持続している間、ぬめり感等の不快な食感を感じない。一方、第14改正日本薬局方の溶出試験(パドル法、回転数50rpm、試験液:水)において、フィルムコーティングを施さない核錠の溶出性をほとんど変化させない。
また、本発明の不快味をマスクした速放性フィルムコーティング錠剤は、薬効成分を含有する核錠として、公知の小型に成型された速放性錠剤を用いることができ、しかも大量のコーティング剤を必要としないので、小型で服用感に優れた製剤として製造できる。
更に、本発明の速放性フィルムコーティング錠剤は、多層のコーティングや複雑な工程を要しないため製造性に優れ、水溶性のコーティング基剤を使用するため有機溶媒が不要である点においても優れている。
また、本発明の不快味をマスクした速放性フィルムコーティング錠剤は、薬効成分を含有する核錠として、公知の小型に成型された速放性錠剤を用いることができ、しかも大量のコーティング剤を必要としないので、小型で服用感に優れた製剤として製造できる。
更に、本発明の速放性フィルムコーティング錠剤は、多層のコーティングや複雑な工程を要しないため製造性に優れ、水溶性のコーティング基剤を使用するため有機溶媒が不要である点においても優れている。
本発明のフィルムコーティング組成物の基剤として使用するHPMCは、第14改正日本薬局方のHPMC 2910である。この化合物は、当該化合物の全重量に基づいて、28〜30%のメトキシル基及び7〜12%のヒドロキシプロポキシル基を含有している。このうち、20℃における2質量%水溶液の動粘度が5.2〜7.0mm2/sのHPMC 2910が好ましい。このような粘度を示すHPMC 2910としては、例えば、TC-5 R(信越化学工業株式会社)やその白度改良品TC-5 RW、溶解度改良品TC-5 RGなどが挙げられ、なかでもTC-5 RGが好ましい。
本発明の速放性フィルムコーティング錠剤1錠あたりのコーティングに使用するHPMCの量は、核錠の重量に対し、0.041〜0.063倍が好ましく、特に0.047〜0.057倍が好ましい。HPMC量が核錠の重量に対し0.041倍より少ない場合、不快味のマスキング効果が充分でなく、0.063倍以上では溶出が遅くなり、ぬめり感など不快な食感を生じる。
前記フィルムコーティング組成物には、成分として滑沢剤及び着色料を添加することができる。滑沢剤としては、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。滑沢剤としてタルクを使用する場合、フィルムコーティング組成物の重量として2〜10%となるよう添加するのが好ましく、5〜7%が特に好ましい。着色料は目的に応じたものを適宜選択可能であるが、例えば酸化チタン等の顔料が挙げられる。酸化チタンを添加する場合、フィルムコーティング組成物の重量として2〜10%となるよう添加するのが好ましく、特に5〜7%が好ましい。
前記フィルムコーティング組成物には、清涼感の向上など風味改善のために更に味質改善剤を添加してもよい。この場合、本剤が糖尿病用薬であることを考慮すると、血糖値やインスリン分泌に影響を与えないものが好ましい。この様な味質改善剤としては、例えばソルビトール、エリスリトール等の糖アルコール類が挙げられる。
本発明の速放性フィルムコーティング錠剤のフィルム層は、充分な柔軟性及び強度を有し、ぬめり感等の不快な食感を感じないが、場合によっては前記コーティング溶液に可塑剤を添加してもよい。このような可塑剤としては、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル等の一般的に用いられている可塑剤を使用することができる。
その他フィルムコーティング組成物として、ゲル化剤、界面活性剤、香料など通常の医薬品製造において使用される添加剤を加えることもできる。
本発明のフィルムコーティング組成物を、薬効成分を含有する核錠にフィルム層として施すには、組成物を水性溶媒に溶解又は懸濁させ、コーティング液とすればよい。溶媒としては、水単独又は水とエタノールなどのアルコールの混合溶媒が使用できるが、環境や作業者及び患者への影響を考慮すると、水が好ましい。溶解又は懸濁の方法としては、手動で撹拌してもよいが、撹拌機、超音波発生装置等の機械的な混合装置を使用してもよく、また必要に応じて加熱処理を行ってもよい。
前記薬効成分を含有する核錠としては、例えば、前記特許文献1に記載された塩酸メトホルミンの速放性錠剤をそのまま使用することができる。核錠は、詳細には、(A)塩酸メトホルミン及び(B)20℃における2質量%水溶液の粘度が2.0〜10.0mPasであるHPCを含む製剤原料混合粉末を、エタノールで造粒、乾燥した後、(C)タルク、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を加えて打錠することによって製造することができる。この際の圧縮成形に使用する打錠機としては、通常の回転式打錠機を用いることができる。(A)、(B)、(C)の各成分は、それぞれ錠剤中85〜97.5質量%、2〜10質量%、0.5〜3質量%が好ましく、特に90〜95質量%、4〜9質量%、1〜2質量%が好ましい。
前記コーティング液を前記核錠にコーティングする方法としては、パンコーティング装置、通気式回転ドラム型コーティング装置などを使用することができるが、通気式回転ドラム型コーティング装置を使用するのが好ましい。コーティング液の供給方法は、スプレーノズルを使用して連続的に供給することもできるし、一度に一定量のコーティング液の供給を断続的に実施することもできるが、スプレーノズルを使用して連続的に供給することが好ましい。このようにしてコーティングを施す際、コーティング溶液中のHPMC濃度は、3.5〜10.0質量%が好ましく、特に8.0〜9.0質量%が好ましい。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
[参考例1]
塩酸メトホルミンを含有する速放性の素錠を以下のようにして製造した。各成分の分量及び濃度を表1に示す。
塩酸メトホルミンを含有する速放性の素錠を以下のようにして製造した。各成分の分量及び濃度を表1に示す。
塩酸メトホルミン及び粘度2.0〜2.9mPasのHPC(HPC-SSL)を高速撹拌造粒機(深江工業)中で混合した後、エタノールで造粒した。造粒物を流動層造粒乾燥機(フロイント産業)に移し、50℃で水分量が0.2%以下になるまで乾燥した。乾燥した造粒物は 目開き#18の篩を用いて篩過し、φ0.8mmの粉砕機(ダルトン)にて粉砕した。これに、タルク及びステアリン酸マグネシウムを添加して混合した後、高速打錠機(菊水製作所)で打錠し、1錠重量270mg中に塩酸メトホルミン250mgを含有する錠剤を製造した。
[実施例1]
参考例1で製造した塩酸メトホルミン速放性素錠を核錠として用い、本発明の速放性フィルムコーティング錠剤を製造した。各成分の分量を表2に示す。
参考例1で製造した塩酸メトホルミン速放性素錠を核錠として用い、本発明の速放性フィルムコーティング錠剤を製造した。各成分の分量を表2に示す。
HPMC(TC-5 RG)352gを撹拌しながら精製水4Lに溶解させた。更にタルク24g及び酸化チタン24gを添加し、超音波発生装置を用いて分散させ、これをコーティング液とした。このコーティング液を用いて核錠に通気式回転ドラム型コーティング装置(パウレック)で1錠あたりのフィルム層重量15mgのコーティングを施した。この時、核錠の仕込み量は3kgとし、10分間に錠剤重量が1.0mg増加するようスプレー速度を調整した。コーティング工程中、排気温度は40℃以上を保つようにし、コーティング終了後、吸気温度45℃で乾燥させた。
[実施例2及び3]
フィルム層重量13mg、17mgのコーティングを施す以外は実施例1と同様にして、本発明の速放性フィルムコーティング錠剤を製造した。
フィルム層重量13mg、17mgのコーティングを施す以外は実施例1と同様にして、本発明の速放性フィルムコーティング錠剤を製造した。
[比較例1及び2]
フィルム層重量10mg、21mgのコーティングを施す以外は実施例1と同様にして、速放性フィルムコーティング錠剤を製造した。
フィルム層重量10mg、21mgのコーティングを施す以外は実施例1と同様にして、速放性フィルムコーティング錠剤を製造した。
[比較例3]
20℃における2質量%水溶液の動粘度が3.6〜5.1mm2/sであるHPMC 2910を用いる以外は実施例1と同様にして、速放性フィルムコーティング錠剤を製造した。各成分の分量を表3に示す。
20℃における2質量%水溶液の動粘度が3.6〜5.1mm2/sであるHPMC 2910を用いる以外は実施例1と同様にして、速放性フィルムコーティング錠剤を製造した。各成分の分量を表3に示す。
[試験例1]溶出試験
実施例1〜3及び比較例1〜3のフィルムコーティング錠剤について、試験液として37℃に加温した水900mLを用い、第14改正日本薬局方による溶出試験法第2法(パドル法)により、毎分50回転で試験を行なった(n=6)。溶出試験開始後、5、10、15、20、30分の時点で試験液10mLを採取し、それぞれの時間ごとの溶出性評価サンプルとした。また、サンプリング直後に10mLの精製水を新たに加え、ベッセル中の試験液量は900mLを維持した。採取したサンプル液はHPLC法(カラム:ODS、移動相:1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム・リン酸水素二カリウム/水・アセトニトリル混液、検出:測定波長232nm)により測定した。試験開始後10分の時点における溶出率(%)から、各製剤の溶出性を評価した。溶出性の評価基準は下記の3段階とした。結果を表4に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜3のフィルムコーティング錠剤について、試験液として37℃に加温した水900mLを用い、第14改正日本薬局方による溶出試験法第2法(パドル法)により、毎分50回転で試験を行なった(n=6)。溶出試験開始後、5、10、15、20、30分の時点で試験液10mLを採取し、それぞれの時間ごとの溶出性評価サンプルとした。また、サンプリング直後に10mLの精製水を新たに加え、ベッセル中の試験液量は900mLを維持した。採取したサンプル液はHPLC法(カラム:ODS、移動相:1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム・リン酸水素二カリウム/水・アセトニトリル混液、検出:測定波長232nm)により測定した。試験開始後10分の時点における溶出率(%)から、各製剤の溶出性を評価した。溶出性の評価基準は下記の3段階とした。結果を表4に示す。
溶出性:
○:85%以上、△:80%以上〜85%未満、×:80%未満
○:85%以上、△:80%以上〜85%未満、×:80%未満
[試験例2]官能試験
実施例1〜3及び比較例1〜3の錠剤について、実食による官能試験を行った。各錠剤を口中に含んでから不快味を感じ始めるまでの時間を測定し、また、その間のぬめり感、ざらつき感などの不快な食感の有無を評価した。不快味のマスキング効果及び食感の評価基準は下記の通りとした。結果を表4に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜3の錠剤について、実食による官能試験を行った。各錠剤を口中に含んでから不快味を感じ始めるまでの時間を測定し、また、その間のぬめり感、ざらつき感などの不快な食感の有無を評価した。不快味のマスキング効果及び食感の評価基準は下記の通りとした。結果を表4に示す。
不快味のマスキング効果:
○:28秒以上、△:10〜27秒、×:9秒以下
○:28秒以上、△:10〜27秒、×:9秒以下
食感:
○:不快な食感を全く感じないか僅かに感じるが気にならない、△:不快な食感を感じる、×:不快な食感をはっきり感じ気になる
○:不快な食感を全く感じないか僅かに感じるが気にならない、△:不快な食感を感じる、×:不快な食感をはっきり感じ気になる
本発明のフィルムコーティング錠剤である実施例1〜3の製剤は、溶出試験において試験開始後10分時点で塩酸メトホルミンを85%以上溶出し、核錠として用いた速放性素錠と同等の溶出性を示した。一方、不快味のマスキング効果は28秒以上持続し、充分なマスキング性能を持つことが示された。このとき、ぬめり感などの不快な食感も示さなかった。これに対し、比較例1の製剤は充分な溶出性を示し、また不快な食感を生じなかったが、口中に含んでから20秒程度で不快味を感じ、マスキングの効果は充分でなかった。比較例2の製剤はマスキング効果及び食感に問題はなかったが、溶出性が大幅に低下した。比較例3の製剤は溶出性及び不快味のマスキング効果の点で良好であったが、服用中不快なぬめり感を感じた。
また、実施例1の製剤は、試験例1の溶出試験においてパドルの回転を毎分15回転として試験した場合、試験開始後30秒の時点で塩酸メトホルミンの溶出がほとんど認められず、本発明の製剤のマスキング効果を裏付けるものと考えられた。
また、実施例1の製剤は、試験例1の溶出試験においてパドルの回転を毎分15回転として試験した場合、試験開始後30秒の時点で塩酸メトホルミンの溶出がほとんど認められず、本発明の製剤のマスキング効果を裏付けるものと考えられた。
[試験例3]保存安定性試験
実施例1及び2の製剤についてPTP包装し、室内温度40℃、相対湿度75%の条件で2箇月間保存し、その後、試験例1の溶出試験及び試験例2の官能試験を行なった(n=6)。その結果、実施例1及び2の製剤はいずれも、外観に変化はなく、溶出試験においても試験開始後10分の時点で塩酸メトホルミンの溶出率は85%以上であり、ほとんど変化を示さなかった。また、実施例1及び2の製剤は、官能試験において不快味のマスキング時間についても変化を示さず、良好なマスキング性能を維持しており、食感の点においても変化はなかった。このことから、保存安定性は良好と判断された。
実施例1及び2の製剤についてPTP包装し、室内温度40℃、相対湿度75%の条件で2箇月間保存し、その後、試験例1の溶出試験及び試験例2の官能試験を行なった(n=6)。その結果、実施例1及び2の製剤はいずれも、外観に変化はなく、溶出試験においても試験開始後10分の時点で塩酸メトホルミンの溶出率は85%以上であり、ほとんど変化を示さなかった。また、実施例1及び2の製剤は、官能試験において不快味のマスキング時間についても変化を示さず、良好なマスキング性能を維持しており、食感の点においても変化はなかった。このことから、保存安定性は良好と判断された。
本発明の速放性フィルムコーティング錠剤により、不快な味や食感を感じずかつ小型で服用感に優れた速放性の塩酸メトホルミン錠剤を提供することができる。これにより長期にわたり正確な薬剤投与を必要とされる糖尿病患者においてコンプライアンス向上に資することができる。また、本発明の速放性フィルムコーティング錠剤は、製造性、安定性にも優れており、薬剤製造上有利である。
Claims (3)
- 塩酸メトホルミンを含有する核錠に、20℃における2質量%水溶液の動粘度が5.2〜7.0mm2/sであるヒドロキプロピルメチルセルロース(HPMC)2910を含有するフィルムコーティング組成物によりフィルム層が形成されていることを特徴とする、速放性フィルムコーティング錠剤。
- HPMC 2910を、核錠に対し、重量で0.041〜0.063倍含有するものである請求項1記載の速放性フィルムコーティング錠剤。
- 核錠中の塩酸メトホルミンの含有量が85〜97.5質量%であり、更に核錠が20℃における2質量%水溶液の粘度が2.0〜10.0mPasであるヒドロキシプロピルセルロースを2〜10質量%及び滑択剤を0.5〜3質量%含有するものである請求項1又は2記載の速放性フィルムコーティング錠剤。
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