JP2005068100A - プロラミン蛋白の分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易にプロラミン蛋白を高度に純化し、脱色度を高め、経済的にみてもツェインの安定生産が可能な、プロラミン蛋白の分離方法を提供すること。
【解決手段】(1)プロラミン蛋白を含有するアセトン水溶液からプロラミン蛋白を採取するに際し、該水溶液にアセトンを加えて、アセトン濃度を81〜90重量%に高めることにより、不溶化したプロラミン蛋白を沈降物として分離回収することを特徴とするプロラミン蛋白の分離方法、(2)プロラミン蛋白を含有するエタノール水溶液からプロラミン蛋白を採取するに際し、該水溶液にエタノールを加えて、エタノール濃度を96〜99重量%に高めることにより、不溶化したプロラミン蛋白を沈降物として分離回収することを特徴とするプロラミン蛋白の分離方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロラミン蛋白の分離方法に関するものである。
プロラミン蛋白は含水アルコールに可溶な蛋白である。トウモロコシ由来のプロラミンはツェイン(ゼイン)と呼ばれている。ツェイン蛋白は、容易にフイルムを形成するという性質から食品用皮膜剤として汎用されており、サプリメント等のコーティングに幅広く利用されている。通常、ツェインはトウモロコシまたはコーングルテンミールから抽出・精製して得られる。抽出溶媒には含水アルコールや含水アセトンなどが使用される。
ツェインの分離精製に関するものとしては、例えば、穀類グルテンを60〜95重量%のアルコールやアセトン等の濃水溶液と混合し、得られた混合物を50〜75℃の温度に加熱し、ゼイン5〜15%並びに抽出油及び上記溶媒に溶解した油溶性物質を含有する粗製ゼイン溶液から溶解されていない固形物を機械的に分離する穀類グルテンからゼインを分離する方法において、上記の粗製ゼイン溶液の凝固点以上の+10℃〜−25℃に冷却して、20〜40%のゼイン及び少量の抽出油及び溶媒に溶解した油溶性物質を含有するタフィー状底部液体層及び油溶性物質及び少量の溶解したゼインを含有する表面に浮かんだ液体溶媒層とに分離し、表面の浮かんだ液体を冷却されたタフィー状ゼイン−溶媒層から分離することを特徴とする方法(特許文献1)、含水イソプロパノール、含水メタノール、又は含水アセトンを溶媒とするゼインの着色溶液から、色素含有量及び臭気の少ないゼインを取り出すための方法において、ゼインの着色溶液を冷却することにより、該着色溶液中に溶存するゼインを析出せしめ、該析出液から析出ゼインを分離、採取することを特徴とする色素含有量並びに臭気の少ないゼインの調製方法(特許文献2)、含水エタノールを溶媒とするゼインの着色溶液から、色素含有量及び臭気の少ないゼインを取り出すための方法において、ゼインの着色溶液を冷却することにより、該着色溶液中に溶存するゼインを析出せしめ、該析出液から析出ゼインを分離、採取することを特徴とする色素含有量並びに臭気の少ないゼインの調製方法(特許文献3)、ツェインを含む含水アセトンの水分濃度を45〜55重量%に調製した後、該溶液を冷却し(−10〜−30℃)、ツェインをを析出させることを特徴とするツェインの分離方法(特許文献4)等がある。
特公昭50−16800号公報 特開平5−130835号公報 特開平5−222097号公報 特願2002−223123号
しかし、これらの技術では、ツェイン蛋白を十分に回収するために、生産コストの点で不利なマイナス域の温度において長時間の冷却が必要であることに加えて、ツェイン溶液の水分が高いと蛋白変性し易いという問題点があり、工業的生産性の点では十分な技術とは言えない。
そのため、経済的にみても、ツェインの安定生産が可能な技術の開発が待たれている。
本発明の課題は、容易にプロラミン蛋白を高度に純化し、脱色度を高め、経済的にみても安定生産が可能な、プロラミン蛋白の分離方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、アセトン水溶液又はエタノール水溶液に対するツェインの溶解度は、アセトン又はエタノールの濃度に影響を受け、該溶剤の濃度が一定以下であるとツェインの溶解度は高いが、該濃度が一定以上になるとツェインの溶解度は低くなることを知り、更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の発明から構成されるものである。
1.プロラミン蛋白を含有するアセトン水溶液からプロラミン蛋白を採取するに際し、該水溶液にアセトンを加えて、アセトン濃度を81〜90重量%に高めることにより、不溶化したプロラミン蛋白を沈降物として分離回収することを特徴とするプロラミン蛋白の分離方法。
2.含水アセトンが50〜80重量%のアセトン水溶液である上記1記載のプロラミン蛋白の分離方法。
3.プロラミン蛋白を含有するエタノール水溶液からプロラミン蛋白を採取するに際し、該水溶液にエタノールを加えて、エタノール濃度を96〜99重量%に高めることにより、不溶化したプロラミン蛋白を沈降物として分離回収することを特徴とするプロラミン蛋白の分離方法。
4.含水エタノールが、50〜93重量%のエタノール水溶液である上記3記載のプロラミン蛋白の分離方法。
5.沈澱物からのプロラミン蛋白の分離回収が、沈殿物をアセトン中に分散させてプロラミン蛋白を析出させるものである上記1、2、3又は4記載のプロラミン蛋白の分離方法。
6.プロラミン蛋白が、ツェインである上記1、2、3、4又は5記載のプロラミン蛋白の分離方法。
7.上記5記載の方法によって回収された析出物を乾燥して得られる、蛋白含量95%以上(窒素15.2%以上)のプロラミン蛋白素材。
8.プロラミン蛋白が、ツェインである上記7記載のプロラミン蛋白素材。
本発明は、プロラミン蛋白を含有するアセトン水溶液又はエタノール水溶液からプロラミン蛋白を採取するに際し、該水溶液にアセトン又はエタノールを加え、アセトン濃度を81〜90重量%に、又はエタノール濃度を96〜99重量%に高めて、プロラミン蛋白の不溶物を生成させる点に特徴を有する。
本発明は、従来のような温度コントロール、即ち、マイナス域の温度において長時間の冷却という方法ではなくて、溶媒の濃度コントロールという簡単な操作によって、プロラミン蛋白を取得し得るので経済的にも有利であるとともに、得られたプロラミン蛋白が高品質である点で優れている。
このような本発明は、以下の知見に基づいてなされたものである。
(1)ツェインは、通常濃度のアセトン水溶液又はエタノール水溶液等には溶解するので、該水溶液では、アセトン又はエタノールはツェインを溶解する機能を発揮しているといえる。
(2)ところが、上記のアセトン又はエタノール自身は、反対に、ツェインを含有するアセトン水溶液又はエタノール水溶液から、ツェインを不溶物として分離させるという、意外な特性のあること、しかも、分離されたツェインは脱色度の高いものであることをつきとめた。
(3)このようなアセトン又はエタノールのツェインに対する2つの特性は、次のことに起因するものと推察される。
「ツェインに対するアセトンやエタノールの溶剤特性は、水の存在量で全く逆になる。即ち、ツェインは、水の存在量が比較的多いアセトン又はエタノールには溶解するが、水の存在量が少ない(高濃度の)アセトン又はエタノールには溶解しない。」
本発明におけるプロラミン蛋白としては、トウモロコシ由来のツェイン、小麦由来のグリアジン、大麦由来のホルデインなどを挙げることができる。
本発明では、ツェイン蛋白等のプロラミン蛋白を含有するアセトン水溶液又はエタノール水溶液に、操作温度0〜50℃において、エタノール又はアセトンを加えることによって、エタノール濃度又はアセトン濃度を96〜99重量%又は81〜90重量%にすることにより、不溶化したプロラミン蛋白を沈降物として分離回収することが出来る。
このようにエタノール濃度又はアセトン濃度を調整することによって、特別な冷却を必要とせずに、プロラミン蛋白を含有するエタノール溶液又はアセトン溶液から、高度に純化された色の少ないプロラミン蛋白を、極めて簡便に安定生産できる点で優れている。
また、本発明によれば、使用溶媒は、水とアセトン又は水とエタノールの混合溶媒であるので、複数溶剤の混合系よりも容易に、高濃度のアセトン又はエタノールを蒸留又は精留によって回収することができる。更に、沈澱としてプロラミン分離後に回収される析出用溶剤は、抽出用溶剤よりも水分濃度が低下しているので、蒸留や精留等による溶剤回収の効率が比較的高く、経済的なメリットが大きい。
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明のプロラミン蛋白の分離方法は、プロラミン蛋白を含有するアセトン水溶液又はエタノール水溶液からなるプロラミン蛋白溶液からプロラミン蛋白を採取するに際し、該水溶液にアセトン又はエタノールを加えて、アセトン濃度を81〜90重量%に、又はエタノール濃度を98〜96重量%に高めることにより、不溶化したプロラミン蛋白を沈降物として分離回収することを特徴とするものである。
そこで、上記の本発明の構成要件について、以下説明する。
(1)プロラミン蛋白溶液
本プロラミン蛋白溶液は、プロラミン蛋白を含有するエタノール水溶液又はアセトン水溶液であれば、如何なる状態でも使用することができる。プロラミン蛋白濃度の制限は特にない。
トウモロコシやコーングルテンミール、小麦、大麦などからエタノール水溶液又はアセトン水溶液を溶媒として得られたプロラミン蛋白抽出液が使用できることは勿輪、抽出液を減圧濃縮や限外濾過等に供して得られた濃縮液を使用することもできる。更には、プロラミン蛋白乾燥品をエタノール水溶液又はアセトン水溶液に溶解した溶液を使用することもできる。例えば、コーングルテンミールから溶剤抽出した後の乾燥しただけの未精製プロラミン蛋白を本発明の技術に供することで、色の少なくなった高純度プロラミン蛋白を得ることができる。
具体的には、50〜93重量%好ましくは75〜90重量%エタノールを溶媒として30〜78℃好ましくは50〜70℃にてプロラミン蛋白を抽出した抽出液、その抽出液から得られた濃縮液、または50〜93重量%好ましくは80〜90重量%エタノールを溶媒としてプロラミン蛋白を溶解した溶液を本発明に供することができる。
また、50〜80重量%好ましくは60〜75重量%アセトンを溶媒として30〜57℃好ましくは45〜55℃にてプロラミン蛋白を抽出した抽出液、その抽出液から得られた濃縮液、または50〜80重量%好ましくは70〜78重量%アセトンを溶媒としてプロラミン蛋白を溶解した溶液を本発明に供することができる。
プロラミン蛋白溶液のエタノール濃度またはアセトン濃度は、出来るだけ高い方がエタノール又はアセトンの添加量が少なくなるので有利であるが、エタノール濃度又はアセトン濃度が極端に高くなるとプロラミン蛋白の抽出率や溶解度が顕著に低下するので好ましくない。
(2)プロラミン蛋白の分離回収法
1)プロラミン蛋白の不溶化
プロラミン蛋白溶液からのプロラミン蛋白の不溶物の生成は、該溶液のエタノール濃度又はアセトン濃度を調整することにより行うことができる。
上記の濃度調整法には、特に制限はなく、例えば、エタノール水溶液又はアセトン水溶液の抽出で得られたプロラミン蛋白溶液に、所定量のエタノール又はアセトンを加えることで、目的とするエタノール濃度又はアセトン濃度に調整すればよい。
エタノール水溶液の場合、エタノール濃度を96〜99重量%に調整することで、高度に純化されたプロラミン蛋白を不溶物として回収することができる。
また、アセトン水溶液の場合、アセトン濃度を81〜90重量%に調整することで、高度に純化されたプロラミン蛋白を不溶物として回収することができる.
この場合、溶剤濃度が低すぎると、回収量が著しく低下する(殆んど不溶物が形成されない)。また、溶剤濃度が高すぎても、使用する溶剤量が増えるだけで、精製度に顕著な差は認められないばかりか、付着し易い性状を呈するようになって、ハンドリングが非常に悪くなる。
エタノール又はアセトンの添加方法や添加速度にも、特に制限はない。エタノール又はアセトンを素早く添加して、溶媒濃度の局所的勾配が形成されたとしても、十分に混合することで均一な溶媒濃度とすることができる。
操作温度は0〜50℃の範囲とするのが好ましい。操作温度を0℃以下としても回収量や精製度に顕著な差は見られない。操作温度が高くなると、溶剤の蒸発が顕著になって濃度調整の精度が低下する。
所定のエタノール濃度又はアセトン濃度に調整した後、撹拌を停止して静置状態とすることによって、不溶物は速やかに沈降する。その後、沈降した不溶物は凝集して均質な層を形成する。不溶物の下層形成に要する静置時間は1時間以内でよい。通常は、数分から数10分程度で十分である。
2)プロラミン蛋白不溶物の回収
上記の操作によって生成したプロラミン蛋白不溶物は、上部に分離した上澄みを取り除いて、底部に沈降した不溶物を回収する。上澄みの除去は、分離缶上部からの吸引や分離缶側面からの抜液等によって実施することができる。また、上澄みを取り除かずに、底部に沈降凝集した不溶物を分離缶底部から抜き取っても構わない。
本方法によって得られるプロラミン蛋白の不溶物は、付着性が低いので、静置による不溶物の沈降操作を経ずに、遠心分離や液体サイクロン等によって、連続的に上澄みと沈降物に分離することもできる。
ここで得られる上澄みは、蒸留などの従来技術により、溶剤を回収して再利用することができる。
3)プロラミン蛋白
回収したプロラミン蛋白の不溶物は、ベルト乾燥やドラム乾燥などによって、プロラミン蛋白乾燥品とすることができる。また、エタノール水又はアセトン水の添加によって、不溶物の水分を調整することで、流動性の高いプロラミン蛋白溶液とすることもできる。この溶液を更に精製することも可能であるが、流動性が高くハンドリングし易くなった溶液を、ベルト乾燥や噴霧乾燥に供して、プロラミン蛋白乾燥物を得ることもできる。
更に、プロラミン蛋白の不溶物又は不溶物にアセトン水等を添加した溶液を、アセトン中に分散させることにより、プロラミン蛋白を析出させて、高度に純化されたプロラミン蛋白画分を得ることができる。このプロラミン蛋白画分の蛋白含量は、乾物換算で95%以上(ケルダール法:NX6.25)となる。
本発明の方法に従えば、高度に純化された脱色度の高いプロラミン蛋白が極めて簡便に安定生産できる。この利点は、産業上の生産性や経済性の点から大きな意義を持つ。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない
(実施例1〜4)
予め55℃に加温した72重量%アセトン水3200mlに、コーングルテンミール500gを投入し、55℃湯浴中にて時々撹拌しながら2時間抽出した。室温(25℃)に1時間放冷した後、濾別によってコーングルテンミールを除去し、得られた回収液を助剤濾過して清澄な抽出液を得た。
抽出液およびアセトンを予め20℃に冷却した。そして、ガラス瓶に採取した抽出液100gに対して、アセトン60g(実施例1)、80g(実施例2)、100g(実施例3)、150g(実施例4)を、撹拌しながら加えた。
所定量のアセトンを添加した後、直ちに撹拌を停止して30分間静置した。次に、デカンテーションによって上澄み(上層)を取り除き、沈降凝集した不溶物(下層)を回収した。
回収した下層に、適量の65%アセトンを添加し、撹拌混合することで清澄な溶液を得た。この溶液を加熱プレート(120〜130℃)上にて薄膜乾燥した。続いて、カッターミルを使用して粉砕することで乾燥粉砕物を得た(表1参照)。この乾燥粉砕物に含まれる蛋白質は、ケルダール法(窒素換算係数:6.25)によって分析した。
尚、実施例1、2、3、4における蛋白回収率は、各々81、87、94、94%であった。
(比較例1)
実施例1〜4にて使用した抽出液を加熱プレート(120〜130℃)上にて薄膜乾燥した。続いて、カッターミルを使用して粉砕することで抽出液の乾燥粉砕物を得た。
実施例1〜4及び比較例1の結果は、表1に示す。
Figure 2005068100
(実施例5〜7)
実施例1〜4にて使用した抽出液およびアセトンを、予め0℃(実施例5)、30℃(実施例6)、または50℃(実施例7)に加温した。そして、所定温度において、抽出液100gに対して、アセトン100gを撹拌しながら添加した。所定量のアセトンを添加した後、直ちに撹拌を停止して30分静置した。次に、デカンテーションによって上澄み(上層)を取り除き、沈降凝集した不溶物(下層)を回収した。回収した下層に適量の65%アセトンを添加し、撹拌混合することで清澄な溶液を得た。この溶液を加熱プレート(120〜180℃)上にて薄膜乾燥した。続いて、カッターミルを使用して粉砕することで乾燥粉砕物を得た。
尚、実施例5、6、7において蛋白回収率は、各々92、92、91%であった。
実施例5〜7の結果は、表2に示す。
Figure 2005068100
(実施例8〜9)
実施例1〜4にて使用した抽出液およびアセトンの液温を予め25℃に調整した。そして、抽出液300gに、アセトン330gを撹拌しながら投入した。投入後のアセトン濃度は87重量%であった。所定量のアセトンを添加した後、撹拌を停止して30分間静置した。次に、デカンテーションによって上澄み(上層)を取り除き、沈降凝集した不溶物(下層)を回収した。回収した下層に、適量の60重量%アセトンを添加し、撹拌混合することで清澄な溶液を得た。この溶液の一部を加熱プレート(120〜130℃)上にて薄膜乾燥した。続いて、カッターミルを使用して粉砕することで乾燥粉砕物を得た(実施例8)。一方、回収した下層に60重量%アセトンを添加して得られた溶液の一部を10倍重量の冷アセトン(10℃)中に強撹拌しながら滴下して分散させた。分散液から濾別して得られる析出物を真空乾燥(70℃、24時間)に供した。更に、カッターミルを使用して乾燥粉砕物を得た(実施例9)。
これらの乾燥粉砕物0.3gを、74重量%エタノール10mlに溶解し、遠心分離(5,000g、10分)によって、微粒子を除去した後の470nmにおける透過率を測定した。
尚、実施例8における蛋白回収率は93%であった。
また、比較例1のものを用いて、470nmにおける透過率を測定した。
(比較例2)
実施例1〜4にて使用した抽出液を、10倍重量の冷アセトン(10℃)中に強撹拌しながら滴下して分散させた。分散液から濾別して得られる析出物を真空乾燥(70℃、24時間)に供した。更に、カッターミルを使用して乾燥粉砕物を得た。
実施例8及び比較例1の結果は表3に、また、実施例9及び比較例2の結果は表4に、それぞれ示す。
Figure 2005068100
Figure 2005068100
表3に示したとおり、本発明の方法によって、極めて脱色度(470nmT%)の向上した製品が得られることが分かる。更に、溶液を冷アセトン中に分散させて高度精製を図った場合でも、表4に示したとおり、本発明の分離方法に供した溶液の方が、蛋白純度及び脱色度ともに顕著に向上することが分かる。
(実施例10)
コーングルテンミール500gに、93重量%エタノール2000gを加え、25℃に24時間静置した(脱脂操作)。そして、濾別によってコーングルテンミールを回収して真空乾燥に供した。次に、得られた真空乾燥物に、予め50℃に加温した86重量%エタノール2000gを加え、50℃湯浴中に24時間静置した(抽出操作)。濾別によってコーングルテンミールを除去し、得られた回収液を助剤濾過して清澄な抽出液を得た。抽出液およびエタノールを予め25℃として、ガラス瓶に採取した抽出液100gに対して、エタノール360gを撹拌しながら加えた。このときのエタノール濃度は97重量%であった。
撹拌を停止して30分間静置した後、上澄みをデカンテーションによって取り除き、沈澱した不溶物を回収した。得られた不溶物に、適量の74重量%エタノールを添加し、撹拌混合することで清澄な溶液を得た。この溶液を加熱プレート上(120〜130℃)にて薄膜乾燥した。続いて、カッターミルを使用して粉砕することで乾燥粉砕物を得た。 尚、実施例10における蛋白回収率は31%であった。
(比較例3)
実施例1〜4にて使用した抽出液を、加熱プレート上(120〜130℃)にて薄膜乾燥した。続いて、カッターミルを使用して粉砕することで乾燥粉砕物を得た。
(実施例11)
比較例3の乾燥粉砕物25gを86重量%エタノール75gに溶解した。この溶液にエタノール980gを撹拌しながら加えた。このときのエタノール濃度は99重量%であった。撹拌を停止して5分間静置した後、上澄みをデカンテーションによって取り除き、沈澱した不溶物を回収した。得られた不溶物に適量の74重量%エタノールを添加し、撹拌混合することで清澄な溶液を得た。この溶液を加熱プレート上(120〜130℃)にて薄膜乾燥した。続いて、カッターミルを使用して粉砕することで乾燥粉砕物を得た。
尚、実施例11における蛋白回収率は58%であった。
実施例10〜11及び比較例3の結果は、表5に示す。
Figure 2005068100
*:カールフィッシャー法にて測定した溶液水分から計算した。
以上の表1〜表5の結果から、本発明によれば、高度に純化された脱色度の高いプロラミン蛋白が極めて簡便に得ることができることが確認された。
本発明のプロラミン蛋白、特にツェイン蛋白は、容易にフイルムを形成するという性質から食品用皮膜剤として利用でき、サプリメントや錠菓等のコーティングに幅広く利用し得る。



Claims (8)

  1. プロラミン蛋白を含有するアセトン水溶液からプロラミン蛋白を採取するに際し、該水溶液にアセトンを加えて、アセトン濃度を81〜90重量%に高めることにより、不溶化したプロラミン蛋白を沈降物として分離回収することを特徴とするプロラミン蛋白の分離方法。
  2. アセトン水溶液が、50〜80重量%のアセトン水溶液である請求項1記載のプロラミン蛋白の分離方法。
  3. プロラミン蛋白を含有するエタノール水溶液からプロラミン蛋白を採取するに際し、該水溶液にエタノールを加えて、エタノール濃度を96〜99重量%に高めることにより、不溶化したプロラミン蛋白を沈降物として分離回収することを特徴とするプロラミン蛋白の分離方法。
  4. エタノール水溶液が、50〜93重量%のエタノール水溶液である請求項3記載のプロラミン蛋白の分離方法。
  5. 不溶物からのプロラミン蛋白の分離回収法が、不溶物をアセトン中に分散させてプロラミン蛋白を析出させる方法である請求項1、2、3又は4記載のプロラミン蛋白の分離方法。
  6. プロラミン蛋白が、ツェインである請求項1、2、3、4又は5記載のプロラミン蛋白の分離方法。
  7. 請求項5記載の方法によって回収された析出物を乾燥して得られる、蛋白含量95%以上(窒素15.2%以上)のプロラミン蛋白素材。
  8. プロラミン蛋白が、ツェインである請求項7記載のプロラミン蛋白素材。




















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