JP2005068012A - 芳香族アミドジヒドロキシ化合物及びその製造方法 - Google Patents

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寛 宮田
Satoshi Kondo
聡 近藤
Hiroshi Yamakawa
浩 山川
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Abstract

【課題】ブロック共重合体型熱可塑性エラストマーのハードセグメントのモノマー、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、液晶ポリマー等のモノマー、高分子化合物の添加剤としても有用な高結晶性、高融点、高反応性を有する新規の芳香族アミドジヒドロキシ化合物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】特定の構造を有する芳香族アミドジヒドロキシ化合物、並びに、特定の芳香族アミド化合物及び環状カーボネート化合物を、必要に応じて触媒の存在下、反応させる芳香族アミドジヒドロキシ化合物の製造方法。
【選択図】 選択図なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高結晶性、高融点、高反応性を有する新規な芳香族アミドジヒドロキシ化合物及びその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、ブロック共重合体型熱可塑性エラストマーのハードセグメントのモノマー、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、液晶ポリマー等のモノマー、高分子化合物の添加剤としても有用な新規の芳香族アミドジヒドロキシ化合物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、リサイクル性、省エネルギー性の観点から、熱可塑性エラストマーによる架橋ゴム代替が進んでいる。熱可塑性エラストマーは、ゴム弾性に富むソフトセグメントと分子鎖拘束相となるハードセグメントから構成され、ハードセグメントの種類の異なる各種熱可塑性エラストマーが開発、上市されている。なかでも、ポリアミド系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは耐熱性、耐油性に優れた熱可塑性エラストマーとして自動車部品、電気・電子部品、工業用部品等に幅広く用いられている。ポリアミド系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントに6−ナイロン、6,6−ナイロン、ポリ(ブチレンテレフタレート)等の高融点を有する高分子化合物から構成されている。しかしながら、これらは耐熱性の面で不十分であり、また、高分子化合物をハードセグメントとして用いているため比較的高硬度のものしか得られず、低硬度で耐熱性、ゴム弾性に優れた熱可塑性エラストマーを製造することは困難であった。
【0003】
上記課題を解決するものとして、高結晶性、高融点を有する芳香族オリゴマーをハードセグメントとする新しいタイプの熱可塑性エラストマーが提案されている。例えば4,4’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルをハードセグメントとし、脂肪族ポリエステル鎖をソフトセグメントとする低硬度かつ耐熱性に優れた熱可塑性エラストマーが提案されている(例えば特許文献1参照。)。また、芳香族オリゴエステルアミド化合物(例えば特許文献2参照。)をハードセグメントとし、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリエーテルカーボネート、ポリオルガノシロキサン、ポリオレフィンをソフトセグメントとする熱可塑性エラストマーが提案されている(例えば特許文献3〜7参照。)。このように高融点、高結晶性を有する芳香族オリゴマーは、熱可塑性エラストマーのハードセグメントとして有用であることが知られている。
【0004】
一方、フェノール系化合物のヒドロキシアルキル化合物は工業的に広く用いられている。例えば、レゾルシノールジ(2−ヒドロキシエチル)エーテルやビスフェノール−A−ジ(2−ヒドロキシエチル)エーテルはポリウレタンやポリエステルの中間体として用いられている。また、ビスフェノール−A−ジ(2−ヒドロキシプロピル)エーテルはガラス繊維のバインダー樹脂の製造に用いられている。フェノール系化合物のヒドロキシアルキル化方法としては、a)エチレンクロロヒドリンのようなハロゲン化アルキルアルコールとの反応、b)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドのような有機酸化物との反応、c)エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートのような環状カーボネートとの反応を挙げることができる。a)の方法には、毒性の強いアルコールを使用すること、b)の方法には、引火性かつ爆発しやすい低沸点の液体を使用することから、製造設備における安全対策を十分に行う必要があるとともに、取り扱いが困難であること、等の課題を有している。c)の方法では、上述した問題がないため、様々なフェノール性化合物の製造方法が提案されているが(例えば特許文献8〜12参照。)、芳香族アミド系フェノール化合物のヒドロキシアルキル化に関する報告例はない。
【0005】
【特許文献1】
特開平02−276817号公報
【特許文献2】
特開平07−112961号公報
【特許文献3】
特開平06−207006号公報
【特許文献4】
特開平06−207007号公報
【特許文献5】
特開平08−134210号公報
【特許文献6】
特開平08−217875号公報
【特許文献7】
特開平08−253569号公報
【特許文献8】
WO98/13327号公報
【特許文献9】
特開平08−295646号公報
【特許文献10】
特開平07−53459号公報
【特許文献11】
特開平04−230331号公報
【特許文献12】
特開平02−96545号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的とするところは、高耐熱性で機械特性に優れた熱可塑性エラストマーのハードセグメントのモノマー、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、液晶ポリマー等の高分子化合物のモノマー、あるいは高分子化合物の添加剤として有用な高結晶性、高融点で高反応性を有する新規な芳香族アミドジヒドロキシ化合物及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、新規な芳香族アミドジヒドロキシ化合物が高耐熱性で機械特性に優れた熱可塑性エラストマーのハードセグメントのモノマーとして有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする芳香族アミドジヒドロキシ化合物及びその製造方法に関するものである。
【0009】
【化4】(1)
Figure 2005068012
(ここで、R、Rはそれぞれ独立して炭素数2以上の2価のオキシアルキレン基を示す。)
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の新規な芳香族アミドジヒドロキシ化合物は、上記一般式(1)で示される化合物である。ここで、本発明の新規な芳香族アミドジヒドロキシ化合物を構成するR、Rはそれぞれ独立して炭素数2以上の2価のオキシアルキレン基である。R、Rの炭素数2以上の2価のオキシアルキレン基としては、例えばオキシエチレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基、オキシペンタメチレン基、オキシヘキサメチレン基等の無置換オキシアルキレン基またはこれらにメチル基、エチル基のようなアルキル置換基もしくはフェニル基のようなアリール置換基が1個以上結合したものが挙げられる。さらに、上記の無置換オキシアルキレン基単位やアルキルまたはアリール置換オキシアルキレン基単位が任意に2個以上結合したものであっても構わない。なかでも、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましい。
【0011】
本発明の新規な芳香族アミドジヒドロキシ化合物としては、上記一般式(1)に示される化合物であれば如何なるものでもよく、例えばN、N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(3−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(2−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(3−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(2−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(4−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(3−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(4−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(3−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)フェニル))−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)フェニル))−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)フェニル))−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)フェニル))−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)フェニル))−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)フェニル))−1,3−ベンゼンジカルボキサミド等が挙げられ、その中でも特に高耐熱性、機械特性に優れる熱可塑性エラストマーのハードセグメントを構成するモノマーとして有用な新規芳香族アミドジヒドロキシ化合物となることから、N、N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N、N’−ビス(4−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミドが好ましい。
【0012】
本発明の新規な芳香族アミドジヒドロキシ化合物の製造方法としては、上記一般式(1)で示される化合物が得られる限りにおいて如何なる製造方法を用いてもよい。例えばa)下記一般式(2)で示される芳香族アミド化合物とエチレンクロロヒドリンのようなハロゲン化アルキルアルコールとの反応を行う方法、b)下記一般式(2)で示される芳香族アミド化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、フェニルエチレンオキサイドのような有機酸化物との反応を行う方法、c)下記一般式(2)で示される芳香族アミド化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートのような環状カーボネートとの反応を行う方法、等を挙げることができる。なかでも、毒性の問題がなく取り扱いが容易で、常圧下で反応を行うことができ、反応効率に優れる環状カーボネート化合物を使用することが好ましく、特に、下記一般式(2)で示される芳香族アミド化合物及び下記一般式(3)で示される環状カーボネート化合物を、必要に応じて触媒の存在下、反応する方法が好ましい。
【0013】
【化5】(2)
Figure 2005068012
【化6】(3)
Figure 2005068012
(ここで、Rは水素または炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。)
ここで、一般式(2)で示される芳香族アミド化合物は、例えば特開平02−282375号公報、特開平09−254540号公報、等に記載の方法により得ることができ、該芳香族アミド化合物としては、例えばN,N’−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,2−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,2−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,2−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド等が挙げられ、なかでも、高融点を有する芳香族アミドジヒドロキシ化合物が得られることからN,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミドが好ましく、特にN,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミドが好ましい。
【0014】
また、環状カーボネート化合物は、一般式(3)で示されるものであり、Rは水素または炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。ここで、Rとしては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0015】
該環状カーボネート化合物としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート等が挙げられる。なかでも入手が容易で安価なエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。また、該環状カーボネート化合物は単独又は2種以上併用してもよい。
【0016】
また、必要に応じて用いてもよい触媒としては特に制限はなく、例えばアルカリ金属、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属水素化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属アルコキシド、アルカリ土類金属炭酸塩等の塩基触媒;アルカリ金属ハロゲン化物、トリオルガノホスフィン、イミダゾール化合物、アミン化合物、4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩等が用いられ、詳細には、例えば金属ナトリウム、金属カリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、塩化ナトリウム、フッ化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾール、トリエチルアミン等が挙げられる。なかでも、特に反応効率に優れることから水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
【0017】
該触媒の使用量としては、本発明の芳香族アミドジヒドロキシ化合物が得られる限りにおいて如何なるものでもよく、その中でも特に反応効率の面から芳香族アミド化合物に対し0.0001〜5重量%であることが好ましく、特に0.001〜2重量%であることが好ましい。
【0018】
また、この際の反応としては、芳香族アミド化合物に対して環状カーボネート化合物を2倍モル量以上であれば特に制限はなく用いることが可能であり、2〜10倍モル量を用いることが好ましい。この際、環状カーボネート化合物は反応初期から所定量添加してもよいし、一旦反応が終了した後、さらに逐次で分割添加してもかまわない。反応温度、時間は用いる触媒やその使用量等により変化するため任意に選択することが可能であり、通常120〜220℃とすることが好ましく、特に140〜200℃とすることが好ましい。反応時間は30分間〜24時間が好ましく、特に1〜8時間であることが好ましい。
【0019】
本反応を行う際には、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。また、溶媒中で行うことも可能であり、溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ホルムアミド、アセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N,N−ジエチルプロピオン酸アミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルホスホルトリアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、スルホラン、N−メチルカプロラクタム、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル等が挙げられ、該有機溶媒は単独又は二種以上を併用してもよい。
【0020】
これらの反応により、一般式(1)で示される芳香族アミドジヒドロキシ化合物を得ることができる。さらに適当な溶媒を用いて再結晶に処することにより、高純度の芳香族アミドジヒドロキシ化合物を得ることも可能である。
【0021】
本発明の新規な芳香族アミドジヒドロキシ化合物は、高融点、高反応性を示す高結晶性化合物である。該化合物は耐熱性、耐油性、機械特性に優れた熱可塑性エラストマーのハードセグメントのモノマー、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、液晶ポリマー等のモノマー、高分子化合物の添加剤として使用することができる。
【0022】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0023】
なお、実施例により得られた芳香族アミドジヒドロキシ化合物の分析、評価に用いた分析機器、方法を以下に示す。
【0024】
〜化合物の同定〜
得られた化合物の同定は、核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−270GSX)により、溶媒として重水素化ジメチルスルホキシドを用い、室温で測定したH−NMRスペクトルにより行った。
【0025】
〜化合物の融点、分解温度の測定〜
熱天秤(セイコー電子工業製、商品名TG−DTA200)を用い、昇温速度20℃/分で測定を行った。
【0026】
実施例1
窒素導入管、温度計、ジムロート冷却管および攪拌翼を備えた300mlの4つ口フラスコに、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド41.80g(0.12モル)、エチレンカーボネート22.02g(0.25モル)、炭酸カリウム0.0415g(0.3ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン180gを仕込み、窒素気流下、180℃で2時間反応を行った。反応混合物を冷却後、大量のメタノール中に投入し、吸引ろ過により固形分を回収した。得られた固体を0.5N塩酸水溶液で洗浄後、大量の水で洗浄を繰り返し、固形分を80℃で減圧乾燥することにより白色固体48.44g(収率92.5%)を得た。
【0027】
H−NMRにより、下記の構造式を有する芳香族アミドジヒドロキシ化合物であることを確認した。また、融点375℃であった。
【0028】
【化7】
Figure 2005068012
実施例2
N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミドの代わりに、N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミドを用いた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行い、白色固体44.31g(収率84.6%)を得た。
【0029】
H−NMRにより、下記の構造式を有する芳香族アミドジヒドロキシ化合物であることを確認した。また、融点250℃であった。
【0030】
【化8】
Figure 2005068012
実施例3
N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミドの代わりに、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミドを用いた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行い、白色固体47.92g(収率91.5%)を得た。
【0031】
H−NMRにより、下記の構造式を有する芳香族アミドジヒドロキシ化合物であることを確認した。また、融点288℃であった。
【0032】
【化9】
Figure 2005068012
実施例4
エチレンカーボネート22.02gの代わりに、プロピレンカーボネート25.52g(0.25モル)を用い、炭酸カリウム0.083g(0.6ミリモル)とした以外は、実施例1と同様の条件で反応を行い、白色固体49.11g(収率88.1%)を得た。
【0033】
H−NMRにより、下記式(4)の二級アルコール−エーテル構造を有する芳香族アミドジヒドロキシ化合物:下記式(5)の一級アルコール−エーテル構造を有する芳香族アミドジヒドロキシ化合物=85.2:14.8(wt%)であることを確認した。
【0034】
【化10】(4)
Figure 2005068012
【化11】(5)
Figure 2005068012
【発明の効果】
本発明により高結晶性、高融点の新規な芳香族アミドジヒドロキシ化合物を得ることができ、該芳香族アミドジヒドロキシ化合物は、耐熱性、耐油性、機械特性に優れた熱可塑性エラストマーのハードセグメントのモノマー、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、液晶ポリマー等のモノマー、高分子化合物の添加剤として有用である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で示されることを特徴とする芳香族アミドジヒドロキシ化合物。
    【化1】(1)
    Figure 2005068012
    (ここで、R、Rはそれぞれ独立して炭素数2以上の2価のオキシアルキレン基を示す。)
  2. 下記一般式(2)で示される芳香族アミド化合物及び一般式(3)で示される環状カーボネート化合物を、必要に応じて触媒の存在下、反応させることを特徴とする請求項1に記載の芳香族アミドジヒドロキシ化合物の製造方法。
    【化2】(2)
    Figure 2005068012
    【化3】(3)
    Figure 2005068012
    (ここで、Rは水素または炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。)
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WO2017110699A1 (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 日産化学工業株式会社 カルボン酸誘導体を含むポリアミド樹脂組成物
CN113667110A (zh) * 2021-09-06 2021-11-19 万华化学集团股份有限公司 一种光学聚碳酸酯树脂及其制备方法

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WO2017110699A1 (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 日産化学工業株式会社 カルボン酸誘導体を含むポリアミド樹脂組成物
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