JP2005067993A - 低熱膨張材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 タングステン酸化物は、一般に焼結率が悪く、通常の焼成方法では空孔率が20%以下のものを得ることが難しい。このためバルク内に空孔が存在し、熱膨張係数だけでなく、材料の物性値に影響する。
【解決手段】 本発明は(R4+2+)(Q6+43(ただし、RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg、Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素で定義される物質)で示される複合酸化物において、アルカリ土類金属、Al、Y、Sc、Lu、Zr、Hf、W、Mo、Fe、Mn、Si,Niの酸化物または酸素含有化合物を少なくとも1種含むことを特徴とし、ち密で、熱膨張係数や誘電率など、物性値の良好な再現性と高い機械強度を有する低熱膨張複合酸化物材料を提供できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、低熱膨張係数を有する材料に関する。
通常、酸化物や樹脂、あるいはガラスや金属などの材料は正の熱膨張材料である。しかしながら、近年、Evansらにより様々な負の熱膨張材料を示す複合酸化物が報告されている。例えば、ZrW28やSc(WO43などのタングステン酸化物であって、筆者らは負の熱膨張のメカニズムについて詳細な解析を行っている。Evansらの米国特許には、正と負の材料の組み合わせにより低熱膨張材料の可能性が示唆されており、実施例としてエポキシ樹脂に負の熱膨張複合酸化物を分散する例が開示されている(特許文献1〜5、非特許文献1〜2)。
また一方で、酸化タングステン(WO3)の焼結助剤の検討がされている(特許文献6)。さらに、上記の既存の負熱膨張材料に対する焼結助剤も検討がされていて、焼結率の向上とともに、用途として光学部材、光学装置が開示されている。(特許文献7)
上記負の熱膨張に加えて、新たな低熱膨張複合酸化物も開発されている。この低熱膨張複合酸化物は、化学式(R4+2+)(Q6+43(ただし、RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg、Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素で定義される物質)で示される複合酸化物である。特に、従来のA3+ 2(M6+43やR4+6+ 28と比較して、金属元素2種類(R4+2+)の組み合わせを多様に選択できることによって、複合酸化物単体として熱膨張係数の選択の自由度が広がるという特徴を有している。
米国特許第5322559号明細書 米国特許第5433778号明細書 米国特許第5514360号明細書 米国特許第5919720号明細書 米国特許第6183716号明細書 特開平10−259054号公報 特表2002−517377号公報 J.S.O.Evans et al.,Physica B,241−243, pp.311−316(1998) J.S.O.Evans et al., J.Solid State Chem,137, pp148−160(1998)
上記タングステン酸化物は、一般に焼結率が悪く、通常の焼成方法では空孔率が20%以下のものを得ることが難しい。このため、負の熱膨張係数を示す興味深い材料にもかかわらず、焼成プロセス(原材料粒径、昇温速度、保持時間、酸化タングステンの昇華の制御など)の条件によって、空孔率のばらつきが大きく、様々な特性がばらついてしまうという課題がある。
例えば、非特許文献2にSc(WO43の熱膨張係数を測定結果が報告されているが、中性子線回折法を用いて、格子定数の変化を測定し、体積熱膨張係数αvが−2.2×10-6-1であることを報告している。ところが同じ文献で熱機械分析測定(TMA)を用いて、焼成後のSc(WO43の線熱膨張係数αLを測定し、実際に焼成したセラミックでは体積熱膨張係数αvが−6〜−11×10-6-1であると報告している。物理法則によればαv=3αLであり、この結果は矛盾している。と同時に、焼成したセラミックのαLのばらつきが大きくなっていることが開示されている。
これは焼結率が悪くバルク内に空孔が存在するためで、熱膨張係数だけでなく、機械強度特性が悪いことはもちろん、材料の電気特性(特に誘電率)、光学特性などの材料の物性値にも影響するという課題がある。特に、これら負または低い熱膨張材料と正の熱膨張材料を混合して、より低い熱膨張係数をもつ材料を得ようとする際には、混合物の熱膨張係数の設計が困難になるという課題がある。
当然のことながら、粒径、昇温速度、焼成温度やその保持時間、さらには降温速度、WO3の昇華制御など、焼成プロセスの改善によって焼結率の向上を図ることも試みられているが、材料の諸特性を制御に関しては、依然として困難である。
本発明は上記課題を解決するためのものであり、焼結率が高く安定な物性値を有する低熱膨張材料を得るとともに、これら材料を応用する際の材料設計を容易にすることを目的とするものである。
請求項1記載の発明は、(R4+2+)(Q6+43(ただし、RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg、Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素で定義される物質)で示される複合酸化物において、アルカリ土類金属、Al、Y、Sc、Lu、Zr、Hf、W、Mo、Fe、Mn、Si,Niの酸化物または酸素含有化合物(以下、これらの酸化物または酸素含有化合物をまとめて「添加物」ということがある)を少なくとも1種含むことを特徴とし、焼結率を向上した低熱膨張材料を提供する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の低熱膨張材料においてRはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg、Caまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはWで示される6価の金属元素であることを特徴とし、焼結率を向上した低熱膨張材料を提供する。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の低熱膨張複合酸化物においてRはHf、MはMg、QはWであることを特徴とし、焼結率を向上した低熱膨張材料を提供する。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載の低熱膨張複合酸化物において、アルカリ土類金属、Al、Y、Sc、Lu、Zr、Hf、W、Mo、Fe、Mn、Si,Niから選択される金属酸化物の含有量が5%以下であることを特徴とし、焼結率を向上した低熱膨張材料を提供する。特に含有量が2%であることが好ましい。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4記載の低熱膨張複合酸化物と正の熱膨張材料の混合物からなることを特徴とし、焼結率を向上した低熱膨張材料を提供する。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の正の熱膨張材料がAQO4(Aはアルカリ土類金属またはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素)を含むことを特徴とし、焼結率を向上した低熱膨張材料を提供する。特にMgWO4であれば好ましい。
請求項7記載の発明は、請求項1〜4記載の低熱膨張複合酸化物と負の熱膨張材料と正の熱膨張材料の混合物からなることを特徴とし、焼結率を向上した低熱膨張材料を提供する。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の負の熱膨張複合酸化物がRQ28(RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素)を含むことを特徴とし焼結率を向上した低熱膨張材料を提供する。特にHfW28またはZrW28または、これらの混合系であれば好ましい。
請求項9記載の発明は、請求項7,8記載の低熱膨張材料において、負の熱膨張材料がA2312(AはAl,Sc,Y,Luまたはこれらの混合系で示される3価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素)を含むことを特徴とし、焼結率を向上した低熱膨張材料を提供する。特にY2312またはSc2312または、これらの混合系であれば好ましい。
本発明によれば、厳密な精度を要求される電子部品や精密機械等の様々な分野において、さらには多種多様な低熱膨張材料の必要性が要求される分野において、ち密で、熱膨張係数、誘電率など物性値の良好な再現性を有し、さらには高い機械強度を有する低熱膨張複合酸化物材料の提供が可能となる効果を有する。
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
結晶構造が(RM)(QO43(ただし、RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg、Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素で定義される物質)である複合酸化物は、通常RO2で示される酸化物(RはZr,またはHf)とMO(MはMg、Ca,Sr,Ba,Ra)とQO3(Qは、WまたはMo)から作製できる。通常複合酸化物は、混合粉砕、仮焼成、粗粉砕、成形、本焼成のプロセスにより作製される。本発明は、アルカリ土類金属、Al、Y、Sc、Lu、Fe、Mn、Si,Ni、Zr、Hf、W、Moの酸化物または酸素含有化合物を少なくとも1種含むことを特徴とし、主原料となる(RM)(QO43と均一に混合することが好ましい。これを成形、本焼成することにより、ち密で熱膨張係数、誘電率など物性値の再現性が良好な、さらに高い機械強度を有する低熱膨張材料を得ることが可能となる。
なお、本構成による複合酸化物は、例えば、HfMg(WO4)3、ZrMg(WO4)3、HfCa(WO4)3、ZrCa(WO4)3、HfMg(MoO4)3、ZrMg(MoO4)3、ZrxHf1-xMg(WO4)3(0<x<1)、ZrxHf1-xCa(WO4)3(0<x<1)、ZrMgxCa1-x(WO4)3(0<x<1)、HfMgxCa1-x(WO4)3(0<x<1)、HfMg(WyMo1-y42(0<y<1)、ZrMg(WyMo1-y43(0<y<1)、HfMg(WyMo1-y43(0<y<1)O43(0<y<1)、Zr(WyMo1-y42(0<y<1)、Hf(WyMo1-y42(0<y<1)などであり、上記化学式で示される複合酸化物であれば、これらの複合酸化物に限定されない。このうちタングステン酸化物がより好ましく、2価の金属としてマグネシウムを用いるのがより好ましい。
これら複合酸化物の原材料としては、各構成金属元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩などを用いることができる。例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどである。また、各構成金属元素の有機金属化合物、例えば、金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート、酢酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸金属塩などを用いてもよい。さらに原料として、MgWO4,HfW28,ZrW28などの複合酸化物を用いることも可能である。
本実施の形態の混合粉砕、粗粉砕の方法としては、ライカイキや湿式ボールミルだけでなく、遊星ミル、媒体ミル(例えばアトライター、振動ミル)などの混合粉砕方法であれば湿式乾式を問わず均一な混合が可能であり、本発明の効果を得ることが可能である。
また成形は複合酸化物の形態を整えるために実施するものであって、加圧成型だけでなく各種シート塗布装置を用いたグリーンシートより成型するなど、成型方法によらず同様の効果が得られることはいうまでもない。
焼成温度は、タングステン複合酸化物については1000℃〜1100℃が好ましく、モリブデン酸化物については800℃〜900℃が好ましい。本発明の添加剤のうち、Fe,Mn、Ni、W.Moは融点を降下させる効果があるので、特に添加量によっては焼成温度を0〜100℃程度低くできるという特徴があって好ましく用いることができる。また、焼成時間は、4時間以下が好ましい。これは原料の酸化タングステン、酸化モリブデンが上記焼成温度において昇華するためであり、4時間以上焼成温度を保持すると所望の低熱膨張酸化物を得ることができにくいためである。ただし昇華分を見積もって、酸化タングステン、酸化モリブデンを原料に加えておくなどの方法であればこれ以上の保持時間であってもよい。
本構成の添加剤はアルカリ土類金属、Al、Y、Sc、Lu、Zr、Hf、W、Mo、Fe、Mn、Ni,Siの酸化物または酸素含有化合物であって、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化鉄、二酸化マンガン、二酸化珪素、酸化ニッケル、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タングステンなどの酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩などを用いることができる。
ここで、酸素含有化合物とは、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩など、酸素と、酸素以外の原子とを有する化合物を意味する。
これら添加剤の選択は以下に示すそれぞれの特徴をかんがみて選択することができる。
たとえば、Fe,Mn,Niの酸化物または酸素含有化合物は、主原料の融点を向上させる効果をもち焼結率向上に効果がある。またSiの酸化物または酸素含有化合物は、主原料中にガラス成分として存在し結着剤として働くため焼結率向上に効果がある。
また、アルカリ土類金属、Al,Y,Sc,Lu、Hf,Zrの酸化物または酸素含有化合物は、タングステン酸、モリブデン酸と反応し、タングステン酸マグネシウム、タングステン酸アルミニウム、タングステン酸スカンジウム、タングステン酸ハフニウムなどの複合酸化物を形成しうる金属元素であって、主原料の固相反応を促進する作用をもち、焼結率向上に効果がある。また、これらの添加剤の場合は添加剤として焼成物に存在するのではなく(RM)(QO43の結晶構造中に取り込まれる場合もある。
また、W,Moの酸化物または酸素含有化合物は、主原料中のマグネシウム、カルシウムなどの2価の金属元素、ハフニウム、ジルコニウムと反応し、タングステン酸マグネシウム、モリブデン酸マグネシウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸ハフニウム、タングステン酸ジルコニウムを形成する金属元素であって、主原料の固相反応を促進する作用をもち、焼結率向上に効果がある。また、これらの添加剤の場合は添加剤として焼成物中に存在するだけではなく(RM)(QO43の結晶構造中に取り込まれる場合もある。これらW,Moの酸化物または酸素含有化合物は、融点降下の効果もあって焼結率向上に効果がある。
Fe,Mn,Ni酸化物または酸素含有化合物は、主原料に対して5重量%以下の添加量で効果が得られ、0.5重量%以上2重量%以下の添加量が特に好ましい。添加量が少ないと効果が十分に得られず、添加量が5%を超えると、融点降下によって融解したり、主原料の一部もしくは主原料そのものと反応して副生成物が生成したりして、主原料本来の特性に影響してしまうので好ましくない。
Si酸化物または酸素含有化合物は、主原料に対して5重量%以下の添加量で効果が得られ、0.1〜2重量%の添加量が特に好ましい。添加量が少ないと効果が十分に得られず、添加量が5%を超えると主原料の一部もしくは主原料そのものと反応して副生成物が生成して、主原料本来の特性に影響してしまうので好ましくない。
一方、アルカリ土類金属、Al,Y,Sc,Lu、Hf,Zrの酸化物または酸素含有化合物は、主原料に対して5重量%以下の添加量で効果が得られ、0.1〜2重量%の添加量が特に好ましい。これらは主原料中のタングステン酸、モリブデン酸と反応し、タングステン酸マグネシウム、タングステン酸アルミニウム、タングステン酸スカンジウム、タングステン酸ハフニウムなどの複合酸化物を形成する金属元素であって、添加量が5%を超えるとこれら副生成物の生成により、主原料本来の特性に影響してしまうので好ましくない。
さらに、WまたはMoの酸化物または酸素含有化合物は、主原料中のマグネシウム、カルシウムなどの2価の金属元素、4価の金属元素のハフニウム、ジルコニウムと反応し、タングステン酸マグネシウム、モリブデン酸マグネシウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸ハフニウム、タングステン酸ジルコニウムを形成する金属元素であって、添加量が5%を超えるとこれら副生成物の生成により、主原料本来の特性に影響してしまうので好ましくない。また、5%以上添加した場合に、融点降下によって融解する場合もあって好ましくない。
また、これら添加剤は、複数を組み合わせて用いてもよく、それぞれの添加剤の作用に応じた効果をえることができる。添加剤を組み合わせで用いる場合、添加剤同士が焼成の過程で反応してしまう場合もあって複雑な作用がおきる場合もあるが、主原料の一部もしくは主原料そのものと反応して生成する副生成物が諸特性に影響しない範囲であれば、本発明の効果を得ることができる。混合した添加剤の添加量は主原料に対して、併せて5%以下が好ましい。
本実施の形態において作製される複合酸化物は、X線回折などの測定により格子定数の決定が容易で、温度を変化させた測定によって格子定数の変化が解析可能で、材料本来の体積熱膨張係数αvは格子定数の変化によって確認される。
(実施の形態2)
本実施の形態2のアルカリ土類金属、Al、Y、Sc、Lu、Zr、Hf、W、Mo、Fe、Mn、Ni,Siの酸化物または酸素含有化合物は、負の熱膨張複合酸化物であるRQ28(RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素)、A2312(AはSc、Y、Luまたはこれらの混合系で示される3価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素)で表される複合酸化物に対しても、ち密性を向上する効果をもつため、(実施の形態1)の複合酸化物とこれら負の熱膨張複合酸化物を混合して焼成する際の添加剤として用いることにより、焼結率向上に効果がある。これによって、ち密性の高い複合酸化物が得られ、物性値の再現性も良好になる。
ところが、これら負の熱膨張材料と本発明の低熱膨張複合酸化物(RM)(QO43(ただし、RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg、Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素で定義される物質)を混合して用いる場合は、これに加えて正の熱膨張材料も混合して用いることが好ましい。
例えば、負の熱膨張材料と本発明の複合酸化物からなる焼成物を混合して用いると、ち密性の高い焼成物は得られ諸特性の再現性も良好にはなるが、焼成物そのものが負の熱膨張材料であって、これを用いたデバイスの特性は、負の熱膨張をもつことによって変化してしまう。例えば、誘電率の再現性がよくても、板厚や形状が変化するため、コンデンサ容量や共振器の共振周波数が変化してしまうので、好ましく用いることができない。焼成物自体が高い機械強度をもつ場合も同様で、焼成物の機械強度が高くても、負の熱膨張材料であれば周辺基板、部品、配線が通常正の熱膨張を有するため、剥離などが生じてしまい好ましくない。
本実施の形態による低熱膨張複合酸化物と負の熱膨張材料、正の熱膨張材料の混合物は、ち密性と物性値の再現性、高機械強度を兼ね備え、デバイスに用いた場合のデバイス特性へも優れた効果を発揮することができる。
なお、本実施の形態において正の熱膨張材料は、金属、ガラス、高分子樹脂、複合酸化物またはこれらの混合物であればよく、デバイスの用途よって選択することが好ましい。たとえば、導電性が必要であれば金属、光透過性が必要であればガラス、柔軟性であれば高分子樹脂、誘電体であれば複合酸化物といったように材料を選択し、上記負の熱膨張材料と混合した時に所望の熱膨張係数が得られるように混合比、組み合わせを設計、選択してよい。
正の熱膨張材料として、AQO4(Aはアルカリ土類金属またはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素)を用いると特に好ましい。AQO4は、本実施の形態の低熱膨張複合酸化物、負の熱膨張酸化物と同じようにタングステン酸、モリブデン酸を結晶構造中に含むため、混合して焼成する際に焼結温度が同程度であり、相互に相溶性も高く、焼結率向上に対して悪影響をしないため、特に好ましい。
また、添加剤と主原料が反応して生成する副生成物は、ほとんどの場合、正の熱膨張材料でかつ複合酸化物や酸化物の混合物となる。本実施の形態における正の熱膨張材料として、これら副生成物を利用する製造方法も考えられる。例えば、主原料としてHfMg(WO)を用い、添加剤として、Fe23を用いた場合、添加量を増やすと、副生成物としてFeWO4が生成し、同時にHfO2,MgO、HfW28,MgWO4が生成し、主原料とともに複雑な混合物となる。この時生成する副生成物のうち、FeWO4、HfO2,MgO、MgWO4は正の熱膨張材料であり、HfW28は負の熱膨張材料である。添加量をコントロールすると、正の熱膨張材料、負の熱膨張材料、主材の低熱膨張材料の量が制御でき、かつFe23の添加効果により融点降下作用もあるため、ち密性の高い複合酸化物を得ることができる。本製造方法による複合酸化物も本発明の低熱膨張材料に含まれる。本実施の形態によれば、正の熱膨張材料を特別に準備することなく添加剤の添加量を制御するだけで低熱膨張材料を得ることが可能であり好ましい。本方法の添加剤はFe23に限定されずち密性向上の作用を有するAl、Y、Sc、Lu、Zr、Hf、W、Mo、Fe、Mn、Ni,Siの酸化物または酸素含有化合物から選択されることはいうまでもない。また本実施の形態による正の熱膨張係数を含む低熱膨張材料を作成する場合は、添加剤の添加量が5%以下に限定されず添加剤の種類によって生成する多様な副生成物の熱膨張係数と生成量によって決定されることはいうまでもない。
なお、本明細書において、「低熱膨張」とは、線熱膨張係数が−2.0×10-6/K以上2.0×10-6/K以下であることを意味する。「正の熱膨張」とは、線熱膨張係数が0×10-6/Kを超えることを意味する。「負の熱膨張」とは、線熱膨張係数が0×10-6/K未満であることを意味する。
本発明のより具体的な実施の形態について具体的な実施例を示すが、本発明はこれらのみに限定されない。
(実施例1)
出発原料として、HfO2(関東化学製、純度99.5%)とMgO(キシダ化学製)とWO3(高純度化学製、純度4N)をモル比1:1:3で秤量し、純水を溶媒とした湿式ボールミルにより144hの混合粉砕を行った。一昼夜乾燥して水分を除いたのち、得られた原料紛を1000〜1100℃で仮焼成を行い、仮焼成粉を作製した。仮焼成粉はX線回折を測定し、HfMg(WO43が出来ていることを確認した。
作製した仮焼成粉に対して、MgO,CaCO3、BaCO3,Al23,Y23、Sc2O3、Fe23、MnO2、SiO2,NiO、ZrO2、HfO2、WO3、MoO3をそれぞれ1.0重量%、2.0重量%、5重量%、10重量%添加して、ライカイキによる混合を行ったのち、加圧成型、本焼成(1100℃4時間)を行った。試料は、密度測定用に焼成後φ20mm、高さ20mmになるサンプルと、膨張係数測定用に焼成後φ5mm、高さ10mmになるサンプルを焼成した。焼成後の密度は、焼成後の試料直径、高さ、重量を測定し算出した。熱膨張係数は、試料各3個について熱機械分析(リガクThermoPlus2)を行い、測定値のばらつきを計測した。
比較例として、添加剤をいれない試料も同様に作製し、密度、700℃の熱膨張係数を測定した。
結果を(表1)〜(表4)に示す。
一方、HfMg(WO43の格子定数の変化は、高温X線回折(室温、700℃)を測定し、得られたデータを解析することにより、算出した。結果を(表5)に示す。これから算出された体積熱膨張係数αvは、−2.9×10-6-1であり、αL=αv/3の式により、本複合酸化物の線熱膨張係数は、−1.0×10-6-1であることがわかった。
(表1)〜(表3)の結果から、添加剤を添加した試料の線熱膨張係数が−2×10-6/K以上2×10-6/K以下であり比較例の添加剤なしと比較して、ばらつきが小さく安定した値がえられている。また、HfMg(WO43の理論密度は5.20g/cm3であり、比較例と比べて大きく添加剤を混合した試料は焼結率が向上しており、理論密度に対して>90%が安定得られている。
添加剤を5%添加した試料(表3)は、X線回折によって明らかに副生成物が生成していた。また、線熱膨張係数が正にシフトする傾向が見られたり、密度が理論密度に対して100%を越えたりしていて、線熱膨張のばらつきも大きくなる傾向がでていて、添加剤を1%添加した試料(表1)および添加剤を2%添加した試料(表2)と比較して、好ましくない。
(表4)に示した10%添加した試料は、密度用に焼成した焼成物が変形していて、正確な密度を測定できなかった。また熱膨張係数の測定も、焼成した試料が変形していて正確な値が得られていない。熱膨張係数の測定が可能であった試料については、結果を示したが、正の熱膨張を示していて主原料本来の特性が得られていないことは明らかである。特に、Fe23、MnO2、NiO、SiO2、WO3、MoO3を10重量%添加したものは、焼成物が完全に融解してしまった。
これらの結果から、添加量5%以下、特に2重量%以下の添加量で添加剤の効果によって焼結率が向上し、材料本来の熱膨張係数に近い値が再現性よく得られたことがわかる。
これらの結果のうち、Fe23、SiO2、NiOを5重量%添加した試料、35、37、38は、熱膨張係数が0±1×10-6/Kを示していて、熱膨張係数の再現性がよいだけでなく主原料よりも低熱膨張を示している。これをX線回折により解析したところ、添加剤によって生成した副生成物が含まれていることがわかった。副生成物は、それぞれFeWO4、SiWO4、NiWO4を主成分としていて、MgO,HfO2などを含んでいる。副生成物が正の熱膨張を示すため、これを含む焼成物が主原料よりも低い熱膨張を示していると考えられる。このように添加剤の量を制御し副生成物の生成量を制御することで、主原料よりも低い熱膨張材料が好ましく得られることがわかる。
Figure 2005067993
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(実施例2)
実施例1で作製した試料のうち、No.1.4.7.11、15、18、21、23、27、29、32、35、40、41について、密度を測定した試料を厚さ500μmまで研磨し、両面にスパッタ法により金電極を作製して、インピーダンスアナライザー(HP−4194A)を用いて10kHzの容量を測定し、誘電率を算出した。結果を(表6)に示す。
比較例は、サンプル2個のうち1つが研磨の際に割れてしまい測定ができなかった。また、残った一つもひびが入っていて、正確な値は得られていない。
添加剤を入れた試料は、研磨時の割れもなく、誘電率も安定して測定できた。これより算出された誘電率も全ての試料において11〜13で安定した値を得ることができた。
これらの結果から、添加量5%以下の複合酸化物は焼結率が向上しているだけでなく、機械強度が高く、誘電率特性も安定して得られることがわかる。また、1,15,29や4,18,32は添加量を変えた試料であって、誘電率のばらつきが小さく再現性も良好なことは明白である。
Figure 2005067993
(実施例3)
主原料としてZrMg(WO43を使用した場合の実施例について説明する。
出発原料として、ZrO2(第一希元素学製)とMgO(キシダ化学製)とWO3(高純度化学製、純度4N)をモル比1:1:3で秤量し、純水を溶媒とした湿式ボールミルにより144hの混合粉砕を行った。一昼夜乾燥して水分を除いたのち、得られた原料紛を1000〜1100℃で仮焼成を行い、仮焼成粉を作製した。仮焼成粉はX線回折を測定し、ZrMg(WO43が出来ていることを確認した。
作製した仮焼成粉に対して、MgO,Fe23、SiO2,HfO2をそれぞれ1.0重量%添加して、ライカイキによる混合を行った。これら4種の仮焼成粉と比較例として添加剤なしの仮焼成粉を使用して、以下のようにグリーンシートを作製した。
まず仮焼成混合粉/バインダー/可塑剤/溶媒=50/7/3/40(重量比)で秤量する。用いたバインダーは積水化学製ポリビニルブチラール(以下PVB)、可塑剤はジブチルフタル酸(以下DBP)、溶剤は酢酸ブチルである。
続いてこれらを1週間ボールミルにより混合した。
最後に、得られた溶液をドクターブレード法により、グリーンシートの厚さ100μmになるように塗布し、合計5種類のグリーンシートを作製した。
次に作製した5種類のグリーンシートをそれぞれ5枚づつ積層したのち、十分加圧して張り合わせ、縦20mm、横2mm、厚さ400μmの成型体を得た。これを600℃4h大気中でバインダーアウトし、1150℃4hで本焼成を行い試料とした。
作製した複合酸化物の板状試料について、3点曲げによる機械強度の測定を行った。比較例は非常に脆くすぐに波損してしまうため、信頼性の高い測定結果が得られなかった。一方添加剤を混合した4種類は、比較例より高い機械強度が得られた。添加剤の添加により焼結率が向上し、機械強度も向上したことが明確となった。
本実施例で用いたグリーンシートによる成型は既存の成型方法の一つであって、本発明の効果をえるために成型方法を限定するものではない。また実施例で用いた溶剤、バインダー、可塑剤も、限定されないことはいうまでもない。例えば、有機溶剤としてアセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、O−ジクロルベンゼン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、クロロホルム、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ペンチル、酢酸メチル、四塩化炭素、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエチレン、ジクロルメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、スチレン、1・1・2・2−テトラクロルエタン、テトラクロルエチレン、テトラヒドロフラン、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、トルエン、二硫化炭素、ノルマルヘキサン、1−ブタノール、2−ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチルブチルケトンの1種またはこれらの混合溶剤またはこれら1種以上を含む混合溶剤で作製可能である。また、バインダーとして、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリフルオロエチレン系、ポリアクリル系、ポリビニルアルコール系から1種またはこれらを混合して用いてもよい。このとき、溶剤はバインダーを十分溶解するものを用いることはいうまでもない。
可塑剤は、バインダーに柔軟性を持たせるために用いられ、ほとんどが酸とアルコールとから合成されるエステル化合物で、酸としてはフタル酸、アジピン酸など、アルコールとしてオクタノ−ル、ノナノール、混合アルコールなどが用いられている。可塑剤は数百種類があり、特に記述しないが、バインダー、溶剤との相性によって最適なものを選択してよい。
(実施例4)
正の熱膨張材料としてMgWO4を用いた場合の実施例について説明する。
実施例3で作製したZrMg(WO43にSiO2を添加した仮焼成粉を加圧成型して、1100℃4hの焼成を行い、熱機械分析(リガクThermoPlus2)を用いて熱膨張係数を算出した。その結果、−1.3×10-6-1、−1.5×10-6-1、−2.0×10-6-1の値が得られ、本材料の熱膨張係数が−1.5±1×10-6-1であることを確認した。
次に、MgO(キシダ化学製)とWO3(高純度化学製、純度4N)をモル比1:1で秤量し、純水を溶媒とした湿式ボールミルにより混合粉砕を行った。一昼夜乾燥して水分を除いたのち、得られた原料紛を1000℃で仮焼成を行い、仮焼成粉を作製した。仮焼成粉はX線回折を測定し、MgWO4が出来ていることを確認した。この仮焼成粉の一部を用いて、加圧成型後1100℃で焼成後して熱機械分析(リガクThermoPlus2)を行い、熱膨張係数を算出した。その結果、+8.7×10-6-1、+8.1×10-6-1、+7.8×10-6-1の値が得られ、本材料の熱膨張係数が+8±1×10-6-1であることを確認した。
ZrMg(WO43の焼成後の密度は約4.8g/cm3であり、MgWO4の理論密度が5.77g/cm3である。それぞれの熱膨張係数と密度によって、混合物の熱膨張係数を低熱膨張とするため、以下の式に従い、混合物の熱膨張係数がゼロになるように、混合量を決定した。
γVc =αVA + βVB =αWA/ρA + βWB/ρB ・・・(1)
α:原料Aの熱膨張係数 VA:原料Aの体積 WA:原料Aの重量 ρA:原料Aの密度
β:原料Bの熱膨張係数 VB:原料Bの体積 WB:原料Bの重量 ρB:原料Bの密度
γ:混合物Cの熱膨張係数 Vc:原料Bの体積 ρC:混合物Cの密度。
(1)式においてγをゼロとして、上記ZrMg(WO43、MgWO4のそれぞれの熱膨張係数と密度から、WA=0.225×WBを得た。SiO2を添加したZrMg(WO43とMgWO4を算出した混合量で秤量し、ライカイキによる混合を行ったのち、加圧成型、本焼成(1100℃4時間)を行った。試料は、熱膨張測定用試料を3個作成して熱機械分析(リガクThermoPlus2)を行った。
同時に添加剤なしのZrMg(WO43とMgWO4を算出した混合量で秤量し、WO3、Al23をZrMg(WO43に対して1.0重量%、合計2.0重量%添加した後、ライカイキによる混合を行ったのち、加圧成型、本焼成(1100℃4時間)を行った。試料は、同様に熱膨張測定用試料を3個作成した。
同様に、MnO2を1.0重量%添加した混合試料、Fe23、HfO2を1.0重量%づつ合計2重量%添加して、熱膨張測定用試料を作製した。
比較例として、添加剤なしのZrMg(WO43とMgWO4を同様に秤量、混合し、焼成を行って、熱膨張係数の測定を行った。
(表7)に示すように、比較例は焼結性が悪く、熱膨張係数のばらつきも大きい。一方、添加剤を添加した混合焼成物は、所望の低い熱膨張係数を再現性よく得ることができた。この表7に示されるように、本実施例4において得られた混合焼成物は、熱膨張係数のバラツキ(同一の添加物を含有する3つの混合焼成物のうち、熱膨張係数が最大の混合焼成物から熱膨張係数が最小の混合焼成物を引いたもの)が1×10-6/K以下と小さく、また、熱膨張係数の絶対的な値が0±1×10-6/Kと小さかった。
Figure 2005067993
(実施例5)
負の熱膨張材料のHfW28を用いた場合の実施例について説明する。
原料として、HfO2(関東化学製、純度99.5%)とWO3(高純度化学製、純度4N)をモル比1:2で秤量し、これまでの実施例と同様に湿式ボールミルを用いて混合し、1000℃で仮焼成を行い、仮焼成粉を作製した。仮焼成粉はX線回折を測定し、HfW28が出来ていることを確認した。
負の熱膨張材料であるHfW28の密度と熱膨張係数の測定は、添加剤としてMnO2を1重量%添加したもので評価し、それぞれ5.8g/cm3、−8±1×10-6-1であることを確認した。
正の熱膨張材料MgWO4と低熱膨張材料HfMg(WO43と負の熱膨張材料あるHfW28の密度と熱膨張係数から、(1)式により熱膨張係数がゼロになるような混合比を算出し、添加剤なしの仮焼成粉を秤量した後、ライカイキをもちいて混合した。ライカイキで混合する際に、添加剤としてHfMg(WO43に対して、NiOを1重量%加えた試料、Al(OH)3を2重量%加えた試料、CaMoO4を2重量%加えた試料をそれぞれ作製した。
比較例として、添加剤なし混合物も作製した。
これら4種の仮焼成粉を用いて、熱膨張測定用試料を各3個作成して熱機械分析を行ったところ、添加剤なしの試料は焼結性が悪く熱膨張係数もばらついた。一方、添加剤を混合した試料は、焼結性も良好で熱膨張係数も3種の試料それぞれ3個、合計9個とも0±1×10-6-1を示し良好な再現性を示すことを確認できた。
これらの材料を用いて、誘電率の測定を行った。試料はφ20mm、厚さ1mmになるようにそれぞれ3個焼成し、焼成後500μm程度まで研磨して作製した。両面にスパッタ法により金電極を形成し、インピーダンスアナライザーにより10kHzの容量を測定し、誘電率を算出した。結果を(表8)に示す。
(表8)に示すように、比較例は焼結性が悪く実施例3の時と同様に試料3個のうち2個が研磨時に割れてしまった。一方、添加剤を添加した混合焼成物は、誘電率12〜15の値を再現性よく得ることができた。
Figure 2005067993
(実施例6)
負の熱膨張材料のY2(WO43を用いた場合の実施例について説明する。
原料として、Y23(フルウチ化学製)とWO3(高純度化学製、純度4N)をモル比1:3で秤量し、これまでの実施例と同様に湿式ボールミルを用いて混合し、1000℃で仮焼成を行い、仮焼成粉を作製した。仮焼成粉はX線回折を測定しY2(WO43が出来ていることを確認した。
負の熱膨張材料であるY2(WO43の密度と熱膨張係数の測定は、添加剤としてMnO2を1重量%添加したもので評価した。
正の熱膨張材料MgWO4と低熱膨張材料HfMg(WO43と負の熱膨張材料あるY2(WO43を密度と熱膨張係数から、(1)式により熱膨張係数がゼロになるような混合比を算出し、添加剤なしの仮焼成粉を秤量しライカイキをもちいて混合した。混合の際に、添加剤としてHfMg(WO43に対して、MnO2を1重量%加えた試料、Fe23を2重量%加えた試料、Sc23を2重量%加えた試料をそれぞれ作製した。比較例として、添加剤なし混合物も作製した。
これら4種の仮焼成粉を用いて、熱膨張測定用試料を各3個作成して熱機械分析(リガクThermoPlus2)を行ったところ、添加剤なしの試料は焼結性が悪く熱膨張係数もばらついた。一方、添加剤を混合した試料は、焼結性も良好な試料が得られ9個の試料とも0±1×10-6-1を示し良好な再現性を示すことを確認できた。
本発明にかかる低熱膨張材料は、ち密で、熱膨張係数、誘電率など物性値の良好な再現性を有し、光学基板、光学装置などの光学部材用途、フィルター、誘電体基板などの電子部品用途として有用である。また精密機械、半導体装置など、低熱膨張が必要性となる多種多様な用途に応用が可能である。

Claims (9)

  1. (R4+2+)(Q6+43(ただし、RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg、Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素で定義される物質)で示される複合酸化物において、アルカリ土類金属、Al、Y、Sc、Lu、Zr、Hf、W、Mo、Fe、Mn、Si,Niの酸化物または酸素含有化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする低熱膨張複合酸化物
  2. RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg,Ca、で示される2価の金属元素、QはWまたはMoで示される6価の金属元素であることを特徴とする請求項1記載の低熱膨張複合酸化物。
  3. RはHf、MはMgまたはCa、QはWであることを特徴とする請求項1または2記載の低熱膨張複合酸化物。
  4. アルカリ土類金属、Al、Y、Sc、Lu、Zr、Hf、W、Mo、Fe、Mn、Si,Niから選択される金属酸化物の含有量が5%以下であることを特徴とする請求項1〜3記載の低熱膨張複合酸化物。
  5. 請求項1〜4記載の低熱膨張複合酸化物と正の熱膨張材料の混合物からなる低熱膨張材料
  6. 正の熱膨張材料がAQO4(Aはアルカリ土類金属またはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素)を含むことを特徴とする請求項4記載の低熱膨張材料。
  7. 請求項1〜4記載の低熱膨張複合酸化物と負の熱膨張材料と正の熱膨張材料の混合物からなる低熱膨張材料
  8. 負の熱膨張複合酸化物がRQ28(RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素)を含むことを特徴とする請求項7記載の低熱膨張材料。
  9. 負の熱膨張材料がA2312(AはAl,Sc,Y,Luまたはこれらの混合系で示される3価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素)を含むことを特徴とする請求項7、8記載の低熱膨張材料。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018016977A (ja) * 2016-07-26 2018-02-01 川崎重工業株式会社 コントローラユニット、及び液圧駆動システム。
CN115448717A (zh) * 2022-09-27 2022-12-09 厦门稀土材料研究所 一种稀土基钼酸盐高熵负热膨胀陶瓷材料及其制备方法
CN115491135A (zh) * 2022-10-17 2022-12-20 广东皇冠新材料科技有限公司 一种耐高温网格丙烯酸压敏胶带及其制备方法

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