JP2005067920A - スラリーの評価方法、スラリーの調製方法、及びセラミックグリーンシートの製造方法 - Google Patents

スラリーの評価方法、スラリーの調製方法、及びセラミックグリーンシートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 スラリー中の粉体の分散状態を高精度に評価できるスラリーの評価方法を提供する。また、スラリー中の粉体の分散状態を分散途中にインラインで制御し、分散状態を常に一定にすることのできるスラリーの調製方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも無機粉体、バインダー、及び分散媒を含むスラリーを、スラリーに加わるせん断速度を制御して膜状に成形し、乾燥し、シートを得る。得られたシートの物性値を測定し、スラリー中の粉体の分散及び再凝集の状態を評価する。また、シートの物性値を用いてスラリー中の粉体の分散及び再凝集の状態を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スラリーの評価方法及びスラリーの調製方法に関する。また、本発明はセラミックグリーンシートの製造方法に関する。
近年、電子部品の小型化、高機能化を目的として、積層構造を有するコンデンサやインダクタ、あるいはこれらを含む積層複合部品等の積層デバイスの生産が進んでいる。
以下に、図2を用いて積層デバイスの作成方法について説明する。
原料である1種類以上の無機粉体と、バインダーと、分散媒と、更に必要に応じて分散剤、可塑剤、消泡剤等を所定量調合し、ボールミルあるいは媒体撹拌ミルなどで混合・分散を一律の条件で行い、無機粉体の初期凝集を解砕し、セラミックスラリーを得る。次に、このスラリーをフィルム上に、膜厚を制御しながら、ドクターブレード方式、あるいはダイコーティング方式により塗工し、乾燥することで密度及び厚みの均一なグリーンシート201を得る。
次に、前記グリーンシート201上に、必要に応じてパンチングあるいはレーザによりビアホールと呼ばれる穴の穴開け加工を行った後、スクリーン印刷によって導電性ペースト202を前記穴開け加工された部分に印刷し、穴を埋める。その後、再びグリーンシート201面に導電性ペーストをスクリーン印刷などにより印刷塗布し、回路パターンの電極203を形成する。
このようにして得た複数枚のグリーンシート201を、図2(a)に示すように、各々のシート201に形成された電極パターン203が電気的に接続するよう、高い位置精度で積層する。得られた積層体をシート201の面に対して垂直方向に加圧し各シート201を圧着し、図2(b)に示すような積層体204を得る。この積層体204を所定の温度で焼成する。最後に表面に部品実装・切断等を行うことにより積層デバイスを得る。
ところで、積層デバイスの特性を確保するには焼成後のシート201の厚みを一定にすることが必要である。なぜなら、例えば、シート201の両面に電極を形成して焼成してコンデンサとしたとき、その容量値はシート201の厚みに直接影響を及ぼすからである。さらに、シート201の原料であるスラリーの分散状態はシート201の厚みばらつきに大きな影響を与えるため、スラリーを均一分散させるとともに、スラリーの分散状態を評価するための指標が必要である。
従来の塗料の分散状態の評価方法としては、分散度粒ゲージによる粒度測定法が知られている。粒ゲージにより、塗料の分散の程度を顔料の粒度として評価し、塗料製造工程における分散工程の完了か否かを決定している(例えば、非特許文献1参照。)。
また、塗料中の顔料の分散性を評価する粒度の測定を、遠心沈降法により行うことも知られている(例えば、特許文献1参照。)。
JIS K 5600−2−5:1999 特開2002−243625号公報(第1−4頁)
ボールミルや媒体撹拌ミルを用いると無機粉体の初期凝集は解砕されるが、粉砕も進む。粉砕された微粉体がサブミクロンオーダーのものを含むと、無機粉体が再凝集を起こしやすくなることが知られている。これが原因となり、シートの厚みばらつき、ひいてはデバイス特性の精度に悪影響を及ぼす。
しかしながら、非特許文献1の方法では分散状態が良好なスラリー間の差を定量的に評価することが困難である。また、無機粉体の再凝集を検出できず、再凝集の顕著なスラリーと、顕著でないスラリーと間の差を評価できない。なぜなら、再凝集の力は初期凝集の力に比べ弱く、観察することが不可能であるからである。にもかかわらず、再凝集がシートの厚みばらつき、ひいてはデバイス特性の精度に悪影響を及ぼしており、重要な問題となっている。
また、特許文献1の方法では、塗料中の無機粉体が塗料全体の10vol%以上であると希釈が必要となり、希釈すると原液での粒径を保持することができず正確な分散状態の評価が困難である。特に、無機粉体の再凝集を検出できず、再凝集の顕著なスラリーと、顕著でないスラリーとの間の差を評価できない。
そこで本発明は上記課題を解決するため、スラリー中の粉体の分散状態を高精度に評価することのできるスラリーの評価方法を提供することを目的とする。また、本発明は、スラリー中の粉体の分散状態を分散途中にインラインで制御し、スラリーの分散状態を常に一定にすることのできるスラリーの調製方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、品質の安定したセラミックグリーンシートを提供できるセラミックグリーンシートの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明におけるスラリーの第1の評価方法は、少なくとも無機粉体、バインダー、及び分散媒を含むスラリーを10sec-1未満のせん断速度を加えて膜状に成形し、乾燥し、シートを得るシート作製工程と、前記シート作製工程で作製されたシートの物性値を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたシートの物性値から前記スラリー中の粉体の分散状態を評価する評価工程とを有することを特徴とする。
本発明におけるスラリーの第1の調製方法は、少なくとも無機粉体、バインダー、及び分散媒を含むスラリーを分散する分散工程と、前記分散工程の途中でスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を10sec-1未満のせん断速度を加えて膜状に成形し、乾燥し、シートを得るシート作製工程と、前記シート作製工程で作製されたシートの物性値を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたシートの物性値を用いて前記スラリー中の粉体の分散状態を制御する制御工程とを有することを特徴とする。
本発明におけるスラリーの第2の評価方法は、少なくとも無機粉体、バインダー、及び分散媒を含むスラリーを複数のせん断速度を加えて膜状に成形し、乾燥し、複数種類のシートを得るシート作製工程と、前記シート作製工程で作製された複数種類のシートの物性値を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたシートの物性値のせん断速度に対する変化率を求め、この値から前記スラリー中の粉体の分散状態を評価する評価工程とを有することを特徴とする。
本発明におけるスラリーの第2の調製方法は、少なくとも無機粉体、バインダー、及び分散媒を含むスラリーを分散する分散工程と、前記分散工程の途中でスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を複数のせん断速度を加えて膜状に成形し、乾燥し、複数種類のシートを得るシート作製工程と、前記シート作製工程で作製された複数種類のシートの物性値を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたシートの物性値のせん断速度に対する変化率を求め、この値を用いて前記スラリー中の粉体の分散状態を制御する制御工程とを有することを特徴とする。
更に、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法は、スラリーを調製する調製工程と、前記調製工程により調製されたスラリーを基材上に塗工する塗工工程とを有するセラミックグリーンシートの製造方法であって、前記調製工程が、上記本発明のスラリーの第1又は第2の調製方法に従って行われることを特徴とする。
本発明のスラリーの第1及び第2の評価方法によれば、スラリーの分散状態を高精度に評価することができる。
また、本発明のスラリーの第1及び第2の調製方法によれば、スラリーの分散をインラインで制御し、スラリーの分散状態を常に一定に調製できる。このため、例えば、この調製されたスラリーを用いてシートを作成した場合には、スラリー中に含まれる凝集物に起因するシート物性値(例えば、光沢度、表面粗さ、密度、透気度)のばらつきを抑えることができる。
更に、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法によれば、ロット内やロット間での特性のばらつきが少ない、安定した品質のセラミックグリーンシートを効率よく製造できる。従って、このセラミックグリーンシートを用いることにより、品質が安定し、高信頼性の各種デバイス(例えば、コンデンサ、インダクタ、あるいはこれらを含む積層複合部品等)を製造できる。
以下、本発明を実施形態を示して説明する。なお、以下の各実施形態では、積層構造を有する、コンデンサやインダクタ、あるいはこれらを含む積層複合部品等に用いられるセラミックグリーンシートを製造する場合を例にとって説明する。但し、本発明のスラリーの評価方法及びスラリーの調製方法は、セラミックグリーンシートの製造に限られず、他の用途に利用することが可能である。
(実施の形態1)
請求項1及び5に対応する実施形態について説明する。
本発明者らはシート成形時のスラリーに加わるせん断速度を10sec-1未満としてシートを作成すると、ほぼ静置状態のスラリーの分散状態をシートの物性値に反映できることを見出した。
スラリーに加わるせん断速度を10sec-1未満としてフィルム上に薄いシートを作成したとき、上記せん断速度が加えられた状態でのスラリー中の粉体の分散・凝集の度合いと、得られるシート構造との関係について図3のスラリー模式図及び図4のシート模式図により説明する。
まず、図3(a)に示すように、初期凝集の解砕が不十分なときは、スラリー301中において、粉体302の初期凝集が解砕しておらず、粉体302による初期凝集粉体303が形成されている。前記初期凝集粉体303の見かけの径は大きい。そのため、10sec-1未満のせん断速度をこのスラリー301に加えてフィルム401上にシート402を成形すると、図4(a)のように、初期凝集粉体303は解砕されず、得られるシート402の表面性は悪い。また、初期凝集粉体303間の隙間403及び初期凝集粉体303内の隙間404が大きいのでシート402の密度は小さい。
次に、分散が進むと、図3(b)に示すように、スラリー301中において粉体302同士の初期凝集が壊れ、見かけの径が小さくなる。そのため、10sec-1未満のせん断速度をこのスラリー301に加えてフィルム401上にシート402を成形すると、図4(b)のように、得られるシート402の表面性は良好となる。また、粉体302間の隙間が小さくなりシート402の密度は大きくなる。但し、分散が進むと、粉体302の微粉化に起因する粉体302同士の再凝集が現れ再凝集粉体304が発生し始める。この再凝集粉体304は、10sec-1未満のせん断速度では解砕されない。従って、図4(b)のように、シート402中に再凝集粉体304が含まれる。なお、図3,図4では、凝集体を構成する粉体302には斜線を施し、凝集していない粉体302には斜線を施さないで、両者を視覚的に区別している。
更に分散が進むと、図3(c)に示すように、粉体302の微粉化に起因する粉体302同士の再凝集が顕著となり、再び見かけの粉体の径が大きくなる。そのため、10sec-1未満のせん断速度をこのスラリー301に加えてフィルム401上にシート402を成形すると、図4(c)のようにシート402の表面性は再び悪化する。また、シート密度は再び小さくなる。このようにシートの表面と内部構造は相関を持って変化する。
さて、原料である0.1〜10μmの平均粒径を有する無機粉体100重量部に対して、有機バインダー1〜20重量部、分散媒10〜120重量部、可塑剤1〜20重量部を配合し予備撹拌する。これを玉石φ0.5mmのジルコニアを用いた媒体撹拌ミルにより凝集が顕著になるまで過分散する。その際、一定の時間おきに、スラリーの一部を採取し、複数種類の分散時間を変えたサンプルを用意する。採取した各スラリーを用いて、ドクターブレード法によりシート(簡易シート)を成形する。シートの膜厚は1〜1000μmのうちの特定の厚さで一定とし、スラリーに加わるせん断速度を10sec-1未満のある特定の値とする。また、比較のため100sec-1以上のある特定のせん断速度を加えて同様にシート(簡易シート)を成形する。それぞれのシートの60°光沢度を測定する。
図5に分散時間とシート60°光沢度の測定結果との関係を示す。曲線501はスラリーに加わるせん断速度を10sec-1未満にしてシートを作成した場合についての結果であり、曲線502はスラリーに加わるせん断速度を100sec-1以上にしてシートを作成した場合についての結果である。曲線501に対する矢印(a)、(b)、(c)は、図3及び図4の(a)、(b)、(c)にそれぞれ対応している。曲線501に示されているように、10sec-1未満のせん断速度で簡易シートを成形したとき、シート60°光沢度は、分散時間の経過とともに、漸増し、ピークを迎え、その後漸減する。スラリーの組成や分散条件が一定の場合、スラリーに加わるせん断速度が10sec-1未満であれば、シート60°光沢度がピークとなるときの分散時間は変わらない。図5の曲線501より、シート60°光沢度を測定することにより、図3及び図4の(a)、(b)、(c)の状態を判別することができ、その結果、スラリー中の粉体の分散状態を評価することができる。これに対して、曲線502に示されているように、100sec-1以上のせん断速度で簡易シートを成形したとき、シート60°光沢度は分散時間に対して単調増加する。これは、再凝集粉体304が100sec-1以上のせん断速度により解砕されるためである。従って、スラリーに加わるせん断速度を100sec-1以上にしてシートを成形すると、得られたシートのシート60°光沢度からはスラリー中の粉体の分散状態を評価することはできない。
通常の量産工程では、スラリーを塗工する際に数100sec-1以上の高せん断速度域でスラリーを成形してシートを作製する。このような場合には、ほとんどの再凝集した粉体は解砕される。にもかかわらず、解砕されないわずかな凝集粉に起因して、デバイス特性が、作成ロット内・ロット間で変動してしまう。本発明のスラリー評価方法によれば、再凝集を解砕することなく、ほぼ静置状態のスラリーの見かけ粒径を反映したシートを用いてスラリーの分散状態を高精度に評価できる。
(実施の形態2)
請求項2及び6に対応する実施形態について説明する。
図1は本発明におけるスラリーの調製方法の一実施形態を示す模式図である。ポンプ5によりスラリー撹拌機4からスラリー1をスラリー分散装置3を通過させスラリー撹拌機4に送る循環経路6と、スラリー撹拌機4からスラリー1を簡易シート作製装置7に誘導する経路8と、スラリー撹拌機4からスラリー1を量産の塗工機(図示せず)に誘導する経路9とが分岐している。例えば媒体撹拌ミルからなるスラリー分散装置3は、循環経路6を循環するスラリー1に対して分散を行う。スラリー分散制御装置2はスラリー分散装置3を制御する。簡易シート作製装置7は、ブレード10とベルトコンベア11と乾燥炉12とキャリアフィルム13とから構成される。14はスラリー分散状態評価装置である。以下に、量産の塗工機におけるシート作成までの流れを説明する。
0.1〜10μmの平均粒径を有する無機粉体とバインダー溶液とを図1の撹拌機4に投入口15より投入する。バインダー溶液は、無機粉体100重量部に対して、有機バインダー1〜20重量部、分散媒10〜120重量部、可塑剤1〜20重量部を配合及び攪拌して作製する。次に、攪拌機4のモータ16により所定の時間撹拌したスラリー1を、ポンプ5で経路6を循環させながら、スラリー分散装置3で分散を行う。撹拌機4からの経路6の途中に、量産の塗工機にスラリー1を誘導する経路9とは別に、分散途中のスラリー1を簡易シート作製装置7に誘導する経路8が設けられている。分散が終了するまでは、量産の塗工機にスラリー1を誘導する経路9にはスラリー1を流さないようにする。
分散途中のスラリー1の分散状態を評価するために、上記分散途中のスラリー1を一定時間間隔おきに経路8を介して簡易シート作製装置7に誘導する。スラリー供給はギアポンプやチューブポンブなどのポンプを用いてもよいし、圧縮空気を用いてもよい。
簡易シート作製装置7に供給されたスラリー1をドクターブレード方式で、ブレード10の厚みを一定とし、且つせん断速度を10sec-1未満の一定の速度として、ベルトコンベア11により送られるフィルム13上に簡易塗工し、乾燥炉12により乾燥させて、簡易シート17を得る。簡易シート17のシート60°光沢度をスラリー分散状態評価装置14により測定する。得られたシート60°光沢度のデータをスラリー分散制御装置2に送信する。スラリー分散制御装置2は、受信したシート60°光沢度のデータから、分散をこれ以上すすめるかどうかを決定し、スラリーの分散状態を制御する。
分散状態の制御は、例えば、スラリー分散装置3の撹拌速度や撹拌時間を調整することにより行うことができるが、安定した分散状態のスラリーを調製する点からは、分散時間を制御する方法が望ましい。
簡易シート17の60°光沢度は、分散時間の経過とともに図5の曲線501のように変化する。従って、一定時間間隔でサンプリングしたスラリー1を用いて得た簡易シート17のシート60°光沢度の変化を観察し、その値が極大値を示し、シート60°光沢度の時間微分値が下降し始めたとき、スラリー1の分散を終了し、スラリーが完成する。
もしくは、例えば図7のように、簡易シート17のシート60°光沢度と量産シートの密度との関係をあらかじめ測定により求めておけば、簡易シート17のシート60°光沢度から量産シートの密度を算出できる。従って、所望する密度の量産シートを得たい場合には、その密度に対応したシート60°光沢度に簡易シート17が到達したときに、スラリーの分散を終了することもできる。この場合には、簡易シート17のシート60°光沢度が極大値を示すよりも早い段階でスラリーの分散を終了させることができる。
このようにして調製したスラリー1を経路9を介して量産の塗工機に誘導し、ダイコーティング方式で膜厚を制御しながら基材フィルム上に塗工し、乾燥させることにより、高精度のセラミックグリーンシートを得ることができる。
このように、本発明のスラリー調製方法では、再凝集を解砕することなく、ほぼ静置状態のスラリーの見かけ粒径を反映した簡易シート17を用いてスラリーの分散状態を高精度に評価し、その評価結果を用いて分散状態を制御する。よって、作成ロット内・ロット間で特性の変動の少ない量産シート及びデバイスを作製することが可能となる。
(実施の形態3)
請求項3及び5に対応する実施形態について説明する。
本発明者らは、複数のせん断速度をスラリーに加えて複数種類のシートを作製した場合、スラリー中の粉体の分散・凝集の度合いが、シートの物性値のせん断速度に対する変化の度合い、即ち、シート物性値のせん断速度依存性の程度に反映されることを見出した。
スラリーに加わるせん断速度を10sec-1以上1000sec-1未満としてフィルム上に薄いシートを作成したとき、上記せん断速度が加えられた状態でのスラリー中の粉体の分散・凝集の度合いと、シート構造との関係について図8のスラリー模式図及び図9のシート模式図により説明する。なお、図8の(a)、(b)、(c)は図3の(a)、(b)、(c)にそれぞれ対応しており、図9の(a)、(b)、(c)は図4の(a)、(b)、(c)にそれぞれ対応しており、異なるのはスラリーに加わるせん断速度のみである。
まず、図3(a)に示すように、初期凝集の解砕が不十分なときは、図8(a)に示すように10sec-1以上1000sec-1未満のせん断速度が加わってもこのような凝集は解砕されることはない。そのため、10sec-1以上1000sec-1未満のせん断速度をこのスラリー301に加えてフィルム401上にシート402を成形すると、図9(a)に示すように、図4(a)と同様の構造及び物性値を有するシートが得られる。この分散状態では、せん断速度を10sec-1以上1000sec-1未満の範囲内で変化させてもシート構造及びシート物性値はほとんど変化しない。即ち、シート物性値の単位せん断速度に対する増加の割合は0に限りなく近い。
次に、分散が進むと、図3(b)に示すように、スラリー301中において粉体302同士の初期凝集が壊れ、見かけの径が小さくなる。但し、これと同時に粉体302の微粉化に起因する粉体302同士の再凝集がわずかに現れはじめる。再凝集は初期凝集に比べ極めて軽い凝集であるため、10sec-1以上1000sec-1未満のせん断速度が加わると図8(b)のように解砕される。そのため、10sec-1以上1000sec-1未満のせん断速度をこのスラリー301に加えてフィルム401上にシート402を成形すると、図9(b)のように、図4(b)と比較して、得られるシート402の表面性が良化し、密度も大きくなる。ここで、粉体302同士の再凝集が解砕される程度は、せん断速度に応じて変化する。従って、シート構造及びシート物性値は、せん断速度依存性を有するようになる。即ち、シート物性値の単位せん断速度に対する増加の割合は0より大きい。
更に分散が進むと、図3(c)に示すように、粉体302の微粉化に起因する粉体302同士の再凝集が顕著になる。再凝集は初期凝集に比べ極めて軽い凝集であるため、10sec-1以上1000sec-1未満のせん断速度が加わると図8(c)のように解砕される。そのため、10sec-1以上1000sec-1未満のせん断速度をこのスラリー301に加えてフィルム401上にシート402を成形すると、図9(c)のように、図4(c)と比較して、得られるシート402の表面性が極めて良化し、密度も大きくなる。この分散状態では、粉体302同士の再凝集が解砕される程度は、せん断速度の違いにより大きく変化する。従って、シート構造及びシート物性値は、より大きなせん断速度依存性を有する。即ち、シート物性値の単位せん断速度に対する増加の割合は更に大きくなる。
さて、実施の形態1と同一組成のスラリーを実施の形態1と同一の分散条件で分散する。その際、一定の時間おきに、スラリーの一部を採取し、複数種類の分散時間を変えたサンプルを用意する。採取した各スラリーを用いて、ドクターブレード法によりシート(簡易シート)を成形する。シートの膜厚は1〜1000μmのうちの特定の厚さで一定とし、スラリーに加わるせん断速度を10sec-1以上1000sec-1未満の範囲内で複数種類に変える。それぞれのシートのシート60°光沢度を測定する。そして、縦軸をシート60°光沢度、横軸をせん断速度としたグラフからシート60°光沢度の単位せん断速度に対する変化率を、例えば近似直線の傾きより算出する。
図10に分散時間とシート60°光沢度の単位せん断速度に対する変化率との関係を示す。図10の曲線に対する矢印(a)、(b)、(c)は、図8及び図9の(a)、(b)、(c)にそれぞれ対応している。図10より、10sec-1以上1000sec-1未満のせん断速度で簡易シートを成形したとき、シート60°光沢度の変化率は、分散時間の経過とともに大きくなるが、その変化の程度は、矢印(b)に対応する分散時間を過ぎる頃から急激に大きくなる。図10より、シート60°光沢度の単位せん断速度に対する変化率(即ち、シート60°光沢度のせん断速度依存性の程度)を測定することにより、図8及び図9の(a)、(b)、(c)の状態を判別することができ、その結果、スラリー中の粉体の分散状態を評価することができる。
図11は、せん断速度に対するシート60°光沢度の変化の様子を、代表的な3通りの分散時間について示したグラフである。図11の(a)、(b)、(c)は、図8及び図9の(a)、(b)、(c)にそれぞれ対応している。分散が進行した状態((c))では、せん断速度が大きいほど、粉体の再凝集がより解砕されるために、シート60°光沢度が増大する。これに対して、分散がほとんど進行していない状態((a))では、せん断速度をいくら大きくしても、粉体の初期凝集はほとんど解砕されないため、シート60°光沢度はほとんど変化していない。
このように、本発明のスラリー評価方法によれば、シート作成時に加えるせん断速度を複数種類に変えると、得られる複数種類のシートにスラリー中の粉体の再凝集の度合いが反映されることを利用して、スラリーの分散状態を高精度に評価できる。
(実施の形態4)
請求項4及び6に対応する実施形態について図1を用いて説明する。実施の形態2と同一組成のスラリーを図1に示した装置で同様に分散する。一定時間間隔おきに簡易シート作製装置7に供給されるスラリー1をドクターブレード方式で、ブレード10の厚みを一定とし、且つせん断速度を0.1sec-1から1000sec-1までの間で複数種類にステップ状に変化させ、ベルトコンベア11により送られるフィルム13上に簡易塗工し、乾燥炉12により乾燥させて、簡易シート17を得る。簡易シート17の各せん断速度におけるシート60°光沢度をスラリー分散状態評価装置14により測定する。そして、縦軸をシート60°光沢度、横軸をせん断速度としたグラフからシート60°光沢度の単位せん断速度に対する変化率を、例えば近似直線の傾きより算出する。この値をスラリー分散制御装置2に送信する。スラリー分散制御装置2は、受信したシート60°光沢度のせん断速度に対する変化率のデータから、分散をこれ以上すすめるかどうかを決定し、スラリーの分散状態を制御する。
シート60°光沢度のせん断速度に対する変化率は、分散時間の経過とともに図10のように変化する。従って、例えば、一定時間間隔でサンプリングしたスラリー1を用いて得た簡易シート17のシート60°光沢度のせん断速度に対する変化率の変化を観察し、その値が急激に増加し始めたとき(あるいは、ある値に達したとき)、スラリー1の分散を終了させることができる。
もしくは、例えば図13のように、簡易シート17のシート60°光沢度のせん断速度に対する変化率と量産シートの密度との関係をあらかじめ測定により求めておけば、簡易シート17のシート60°光沢度のせん断速度に対する変化率から量産シートの密度を算出できる。従って、所望する密度の量産シートを得たい場合には、その密度に対応したシート60°光沢度のせん断速度に対する変化率に簡易シート17が到達したときに、スラリーの分散を終了することもできる。この場合には、簡易シート17のシート60°光沢度のせん断速度に対する変化率が急激に増加し始めるよりも早い段階でスラリーの分散を終了させることができる。
このようにして調製したスラリー1を経路9を介して量産の塗工機に誘導し、ダイコーティング方式で膜厚を制御しながら基材フィルム上に塗工し、乾燥させることにより、高精度のセラミックグリーンシートを得ることができる。
このように、本発明のスラリー調製方法では、シート作成時に加えるせん断速度を複数種類に変えると、得られる複数種類のシートにスラリー中の粉体の再凝集の度合いが反映されることを利用して、スラリーの分散状態を高精度に評価し、その評価結果を用いて分散状態を制御する。よって、作成ロット内・ロット間で特性の変動の少ない量産シート及びデバイスを作製することが可能となる。
なお、以上に示した実施形態1〜4は本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
上記実施形態1〜4において、スラリーの構成材料は上記のものに限定されず、本発明においてはスラリーの構成材料は少なくとも粉体、バインダー、分散媒を含むものであればよい。粉体は、鉄、ステンレス、アルミなどの金属、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタン酸バリウム、フェライトなどのセラミック、シリケート系、ボレート系などのガラス、のうち少なくとも1つを含む。バインダーは、ポリビニルアセタール、ビニルアルコール、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、エチルセルロース、ポリウレタンなどが用いられる。分散媒は、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、エタノール、ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、水などが挙げられる。必要により添加される可塑剤は、グリセリン、ポリエチレングリコールなどのグリコール系、ジブチルフタレート、ベンジルブチルフタレートなどのフタール酸系が挙げられる。また、分散剤なども適宜用いることができる。
また、上記実施形態1〜4において、光沢度の測定において入射角を60°としたが、特に指定はない。なお、光沢度測定方法はJIS Z8741:1997による。なお、上記実施形態1〜4ではシートの物性値を光沢度としたが、上述のようにシートの表面及び内部構造はスラリー分散状態に影響をうけ、これと相関を持って変化するため、シートの表面及び内部構造を表す物性値であれば特に限定はない。図6(a)、(b)、(c)に、分散時間とシート密度との関係、分散時間とシート表面粗さRaとの関係、分散時間とシート透気度との関係を順に示す。また、図12(a)、(b)、(c)に、分散時間とシート密度のせん断速度に対する変化率との関係、分散時間とシート表面粗さRaのせん断速度に対する変化率との関係、分散時間とシート透気度のせん断速度に対する変化率との関係を順に示す。これらの図から、シートの物性値として、密度、表面粗さ、透気度なども有効であることがわかる。なお、表面粗さの測定方法はJIS B0601:1994による。透気度の測定方法はJIS P 8117:1998による。また、簡易シートの厚みを一定とするならば、シート密度をシート密度とシート厚みとの積であるシート面密度で代用してもよい。
粉体の粒度分布の累積径D10が1μm以下、あるいは累積径D50が2μm以下であるような微粉体を多く含む粉体の場合、再凝集によってシートの特性ばらつきに多大な影響を与えるため、上記実施形態1〜4に示した本発明の評価方法及び調製方法は特に有効である。
上記実施形態1〜4において、ブレード10の厚みは一定としたが、ブレード10の厚みを変化させてせん断速度を変えることも可能である。また、簡易シート17の作製時のブレード10の厚みは凝集物の最大径以上であれば特に問題はない。また、乾燥炉12の温度は、用いる粉体や分散媒の種類、配合比率によって異なるが、通常は10〜120℃、好ましくは60〜100℃で乾燥するのがよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(スラリーの評価方法に関する実施例)
原料である累積平均径D50が1μmの平均粒径を有するアルミナを主成分とする無機粉体100重量部に対して、有機バインダーであるポリビニルアセタール樹脂10重量部、分散媒である酢酸ブチル80重量部、可塑剤であるフタル酸ジブチル8重量部を混合し、スラリーとした。スラリー全量は1ロット5kgとした。
前記スラリーについて、撹拌機で2000rpm、1時間の予備混合を行った後、媒体撹拌ミルを用いたスラリー混合装置に投入し、3000rpmの分散を行った。分散時間を60、120、180、240、300分の5通りに変えて5種類のスラリーサンプルを作成した。それぞれを以下の実施例1,2,比較例1により評価した。
[実施例1]
実施の形態1によるスラリー評価方法を用いた。各分散時間におけるスラリー1を図1の簡易シート作製装置7に供給し、ドクターブレード方式で、ブレード10の厚みを1mmで一定とし、せん断速度が1sec-1となるよう一定の速度でベルトコンベア11により送られるフィルム13上に簡易塗工し、乾燥炉12により乾燥させて、簡易シート17を作成した。スラリー分散状態評価装置14により簡易シート17のシート面密度ρtを測定した。
[実施例2]
実施の形態3によるスラリー評価方法を用いた。各分散時間におけるスラリー1を図1の簡易シート作製装置7に供給し、ドクターブレード方式で、ブレード10の厚みを1mmで一定とし、スラリーに加わるせん断速度が10、20、50、100、200sec-1の5種類のせん断速度となるようにステップ状に速度が変化されたベルトコンベア11により送られるフィルム13上に簡易塗工し、乾燥炉12により乾燥させて、簡易シート17を作成した。スラリー分散状態評価装置14により簡易シート17の各せん断速度におけるシート60°光沢度を測定した。そして、縦軸を光沢度、横軸をせん断速度(対数目盛)としてプロットした測定点を直線近似し、この直線の傾きから、シート60°光沢度のせん断速度の対数に対する変化率を算出した。
[比較例1]
比較例として、遠心分離型粒度分布計を用いて累積平均径D50を測定した。
各分散時間のスラリーを用いて周知の方法でセラミックグリーンシートをそれぞれ作成した。このグリーンシートを切断して100×100mmの複数のグリーンシート201を得た。図14に示すように、1枚のグリーンシート201の両面に、互いに対向するように内部電極1401を形成し、これと接続して引き出し電極1402を形成した。この両面に、貫通穴内に導電性ペースト202を充填した複数のグリーンシート205を積層し、表裏面に電極1403を形成した。この積層体をグリーンシート201,205の面方向の収縮を拘束しながら焼成し、焼成後厚みが約10μmとなるコンデンサを100個作成した。
得られたコンデンサについて、ショート不良率(ショート不良個数/検査個数)を調べた。また、LCRメーターによりその容量値を測定し、ばらつきを容量変動係数(%)(=100×標準偏差/平均値)で評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005067920
表1より、実施例1、2と比較例1とを比較すると、比較例1では特に分散時間180分、240分と300分における評価値とコンデンサ特性との相関が見られない。これに対して、実施例1、2では全ての分散時間で評価値とコンデンサ特性とに相関が認められる。
(スラリーの調製方法に関する実施例)
前記スラリーの評価方法に関する実施例と同様の組成でスラリーを調製した。
[実施例3]
実施の形態2によるスラリー調製方法を用いた。図1の装置を用いてスラリー1を分散させながら、一定時間間隔おきにスラリー1を簡易シート作製装置7に供給し、ドクターブレード方式で、ブレード10の厚みを1mmで一定とし、せん断速度が1sec-1となるよう一定の速度でベルトコンベア11により送られるフィルム13上に簡易塗工し、乾燥炉12により乾燥させて、簡易シート17を作成した。スラリー分散状態評価装置14により簡易シート17のシート表面粗さRaを測定した。得られたシート表面粗さRaのデータをスラリー分散制御装置2に送信した。スラリー分散制御装置2で受信したシート表面粗さRaのデータから、分散をこれ以上すすめるかどうかを決定した。つまり、簡易シート17のシート表面粗さRaが極大値を示し、シート表面粗さRaの時間微分値が下降し始めたとき、スラリー1の分散を終了した。
[実施例4]
実施の形態2によるスラリー調製方法を用いた。実施例3と同様に、スラリー1を分散させながら、一定時間間隔おきに簡易シート17を作成した。スラリー分散状態評価装置14により簡易シート17のシート面密度を測定した。あらかじめ求めておいた簡易シート17のシートの面密度と量産シートのシート密度との関係を用いて、簡易シート17のシート面密度が2.50(g/m2)となったときスラリー1の分散を終了した。
[実施例5]
実施の形態4によるスラリー調製方法を用いた。図1の装置を用いてスラリー1を分散させながら、一定時間間隔おきにスラリー1を簡易シート作製装置7に供給し、ドクターブレード方式で、ブレード10の厚みを1mmで一定とし、10、20、50、100、200sec-1の5種類のせん断速度となるようにステップ状に速度を変化させたベルトコンベア11により送られるフィルム13上に簡易塗工し、乾燥炉12により乾燥させて、簡易シート17を作成した。スラリー分散状態評価装置14により簡易シート17の各せん断速度におけるシート60°光沢度を測定した。そして、縦軸をシート60°光沢度、横軸をせん断速度(対数目盛)としてプロットした測定点を直線近似し、この直線の傾きから、シート60°光沢度のせん断速度の対数に対する変化率を算出した。得られた変化率のデータをスラリー分散制御装置2に送信した。スラリー分散制御装置2で受信したシート60°光沢度のせん断速度の対数に対する変化率のデータから、分散をこれ以上すすめるかどうかを決定した。具体的には該変化率が1.0となったところで分散を終了した。
[比較例2]
比較例として、遠心分離型粒度分布計を用いた。累積平均径D50が1.00μmとなるまでスラリーの分散がすすんだとき、スラリーの分散を終了した。
実施例3〜5,比較例2において分散が終了した直後に、調製したスラリー1を経路9を介して量産の塗工機に誘導し、ダイコーティング方式で乾燥後の膜厚が10μmとなるように膜厚を制御しながら、毎分8mの塗工速度で基材フィルム上に塗工し、乾燥炉温度80℃で乾燥させ、セラミックグリーンシートを作成した。
このセラミックグリーンシートを用いて実施例1,2,比較例1と同様にコンデンサを作製し、ショート不良率と容量変動係数で評価した。結果を表2に示す。
Figure 2005067920
表2より、実施例3、4、5と比較例2とを比較すると、比較例2ではショート不良の発生が認められ、コンデンサ容量値の変動係数も1%を越えており、比較例2で得たスラリーの分散状態は良好でない。これに対して、実施例3、4、5ではショート不良の発生は認められず、コンデンサ容量値の変動係数も0.3%であり、これらで得たスラリーの分散状態は良好である。
本発明のスラリーの評価方法及び調製方法の利用分野は特に限定はなく、粉体の分散を行う分野に広範に利用できるが、中でも、例えば、セラミックグリーンシートの原料であるセラミックスラリーの分散状態の評価方法及びセラミックスラリーの調製方法に利用することができる。
また、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法の利用分野についても特に限定はないが、例えば、積層構造を有するコンデンサやインダクタ、あるいはこれらを含む積層複合部品等に用いられるセラミックグリーンシートの製造に利用することができる。
本発明における実施形態2及び4のスラリー及びグリーンシート製造プロセスを示す図である。 積層デバイスの製造工程を示す模式的断面図である。 (a)〜(c)は、10sec-1未満のせん断速度を加えたときのスラリー中の粉体の状態を示した模式的断面図である。 (a)〜(c)は、スラリーに10sec-1未満のせん断速度を加えて作製したグリーンシートを示す模式的断面図である。 分散時間と簡易シートのシート60°光沢度との関係を示す図である。 (a)、(b)、(c)は、順に、分散時間とシート密度との関係、分散時間とシート表面粗さRaとの関係、分散時間とシート透気度との関係を示す図である。 簡易シートのシート60°光沢度と量産シートの密度との関係を示す図である。 (a)〜(c)は、10sec-1以上1000sec-1未満のせん断速度を加えたときのスラリー中の粉体の状態を示した模式断面図である。 (a)〜(c)は、スラリーに10sec-1以上1000sec-1未満のせん断速度を加えて作製したグリーンシートを示す模式断面図である。 分散時間と簡易シートのシート60°光沢度のせん断速度に対する変化率との関係を示す図である。 スラリーに加わるせん断速度と簡易シートのシート60°光沢度との関係を示す図である。 (a)、(b)、(c)は、順に、分散時間とシート密度のせん断速度に対する変化率との関係、分散時間とシート表面粗さRaのせん断速度に対する変化率との関係、分散時間とシート透気度のせん断速度に対する変化率との関係を示す図である。 簡易シートのシート60°光沢度のせん断速度に対する変化率と量産シートの密度との関係を示す図である。 実施例で作成したコンデンサの部分断面図である。
符号の説明
1 スラリー
2 スラリー分散制御装置
3 スラリー分散装置
4 スラリー撹拌機
5 ポンプ
6 スラリー分散装置を通る循環経路
7 簡易シート作製装置
8 簡易シート作製装置にスラリーを誘導する経路
9 量産の塗工機にスラリーを誘導する経路
10 ブレード
11 ベルトコンベア
12 乾燥炉
13 キャリアフィルム
14 スラリー分散状態評価装置
15 撹拌機の投入口
16 攪拌機のモータ
17 簡易シート
201 グリーンシート
202 導電性ペースト
203 電極
204 積層体
301 スラリー
302 粉体
303 初期凝集粉体
304 再凝集粉体
401 フィルム
402 シート
403 初期凝集粉体間の隙間
404 初期凝集粉体内の隙間
501 10sec-1未満のせん断速度で簡易シートを成形したときの、分散時間に対するシート60°光沢度曲線
502 100sec-1以上のせん断速度で簡易シートを成形したときの、分散時間に対するシート60°光沢度曲線
1401 内部電極
1402 引き出し電極
1403 電極

Claims (7)

  1. 少なくとも無機粉体、バインダー、及び分散媒を含むスラリーを10sec-1未満のせん断速度を加えて膜状に成形し、乾燥し、シートを得るシート作製工程と、
    前記シート作製工程で作製されたシートの物性値を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定されたシートの物性値から前記スラリー中の粉体の分散状態を評価する評価工程と
    を有することを特徴とするスラリーの評価方法。
  2. 少なくとも無機粉体、バインダー、及び分散媒を含むスラリーを分散する分散工程と、
    前記分散工程の途中でスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、
    採取された前記試料を10sec-1未満のせん断速度を加えて膜状に成形し、乾燥し、シートを得るシート作製工程と、
    前記シート作製工程で作製されたシートの物性値を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定されたシートの物性値を用いて前記スラリー中の粉体の分散状態を制御する制御工程と
    を有することを特徴とするスラリーの調製方法。
  3. 少なくとも無機粉体、バインダー、及び分散媒を含むスラリーを複数のせん断速度を加えて膜状に成形し、乾燥し、複数種類のシートを得るシート作製工程と、
    前記シート作製工程で作製された複数種類のシートの物性値を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定されたシートの物性値のせん断速度に対する変化率を求め、この値から前記スラリー中の粉体の分散状態を評価する評価工程と
    を有することを特徴とするスラリーの評価方法。
  4. 少なくとも無機粉体、バインダー、及び分散媒を含むスラリーを分散する分散工程と、
    前記分散工程の途中でスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、
    採取された前記試料を複数のせん断速度を加えて膜状に成形し、乾燥し、複数種類のシートを得るシート作製工程と、
    前記シート作製工程で作製された複数種類のシートの物性値を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定されたシートの物性値のせん断速度に対する変化率を求め、この値を用いて前記スラリー中の粉体の分散状態を制御する制御工程と
    を有することを特徴とするスラリーの調製方法。
  5. 前記シートの物性値が、光沢度、表面粗さ、密度、及び透気度のうちのいずれかである請求項1又は3に記載のスラリーの評価方法。
  6. 前記シートの物性値が、光沢度、表面粗さ、密度、及び透気度のうちのいずれかである請求項2又は4に記載のスラリーの調製方法。
  7. スラリーを調製する調製工程と、前記調製工程により調製されたスラリーを基材上に塗工する塗工工程とを有するセラミックグリーンシートの製造方法であって、前記調製工程が、請求項2又は4に記載のスラリーの調製方法に従って行われることを特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
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JP2015053125A (ja) * 2013-09-05 2015-03-19 トヨタ自動車株式会社 導電ペーストの評価方法、及び、正極板の製造方法

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