JP2005066903A - アセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材とその製造方法 - Google Patents
アセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材とその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 木材の優れた吸放湿性能を大きく低減させることなく、内部からのアセトアルデヒドの外部への放散を抑制することができく製材品又は木質材を提供する。
【解決手段】 製材品又は木質材の材1の表面にアルデヒドキャッチャー剤の塗布、含浸による付着層2を設けて、このアルデヒドキャッチャー剤の付着層2によりアセトアルデヒドを吸着させる。さらに、材1の表面全面に該付着層2を被覆するようにして透湿性を有する塗布層3を設けてこの塗布層3により材1の表面からのアルデヒドキャッチャー剤の脱落を防止すると共に、木材の有する優れた吸放湿性を大きく低減させないようにしている。
【選択図】 図1
【解決手段】 製材品又は木質材の材1の表面にアルデヒドキャッチャー剤の塗布、含浸による付着層2を設けて、このアルデヒドキャッチャー剤の付着層2によりアセトアルデヒドを吸着させる。さらに、材1の表面全面に該付着層2を被覆するようにして透湿性を有する塗布層3を設けてこの塗布層3により材1の表面からのアルデヒドキャッチャー剤の脱落を防止すると共に、木材の有する優れた吸放湿性を大きく低減させないようにしている。
【選択図】 図1
Description
本発明は住宅の内装材料や家具類として使用される製材品や木質材であって、製材品や木質材本来の吸放湿性能を大きく低減させることなく、内部からのアセトアルデヒドの放散量を抑制した製材品又は木質材と、これらの製材品又は木質材の製造方法に関するものである。
木材は優れた吸放湿性、透湿性を有しているため、この木材の製品を住宅の内装材料や家具類等として多く使用している室内空間は結露の発生が少なく、快適な住環境を形成するのに役立っている反面、木材製品から放散されるアルデヒド類などの有害な化学物質はシックハウス症候群を引き起こす原因と推定されている。この場合、木材自体はその木材成分中のヘミセルロースに含まれるアセチル基が酸化や光(紫外線)により分解されて人体に有害なアセトアルデヒドとして木材内部から放散されるが、木材自体から放散されるこのようなアセトアルデヒドに関しては現在まで殆ど問題とされていない。
しかしながら、近年、内装下地材に使用される合板の原料として、アセトアルデヒド放出量の比較的多い針葉樹が広く使用されるようになってきていると共に、住宅においては高気密化により換気量が低下し、室内で発生した化学物質は室外に拡散、放出しがたくなって、有害なアセトアルデヒドの室内気中濃度が生活者の健康を維持する上で無視できないレベルまで高くなる事態が生じている。
一方、木材製品においては、意匠性を向上させたり、耐傷性や耐汚染性を増大させ、さらには消臭機能を発揮させることによって商品価値を高めるために、表面仕上げとして消臭組成物を含んでいる塗装や化粧シート貼りを施すことが行われている(例えば、特許文献1参照)。また、ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物を放出する有機材料を用いることなく、且つ、木材本来の吸放湿性を大きく損なうことなく耐汚染性に優れた塗布層を木材の表面に施すことが行われている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前者によれば、通気性のない塗装や化粧シート貼りによって材内からのアセトアルデヒドの放散を抑制することができるが、木材本来の吸放湿機能が塗装や化粧シートによって大きく阻害されて室内に結露が発生し易くなるという問題点が生じることになる。一方、後者によれば、木材の表面に通気性、透湿性を有する塗装を施すものであるから、木材の有する吸放湿性を確保することができるが、木材成分中のヘミセルロースに含まれるアセチル基の分解により生じた上記アセトアルデヒドも室内に放散されることになり、上記問題点を解消することができない。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、木材の優れた吸放湿性能を大きく低減させることなく、木材成分中から発生するアセトアルデヒドの放散量を抑制することができる製材品又は木質材と、これらの製材品又は木質材を容易に製造することができる方法を提供するにある。
上記目的を達成するために、本発明のアセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材は、請求項1に記載したように、材表面にアルデヒドキャッチャー剤の付着層と、このアルデヒドキャッチャー剤の付着層を被覆した透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上の透湿性塗布層とを設けてなる構造を有していることを特徴とする。
さらに、請求項2に係る発明は、材表面にアルデヒドキャッチャー剤の付着層を設けていると共に、このアルデヒドキャッチャー剤の付着層を被覆した透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上のシートを貼着した構造としている。
また、請求項3に係る発明は、材表面にアルデヒドキャッチャー剤を含有し且つ透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上の透湿性塗布層を設けた構造としている。
一方、請求項4に係る発明は、上記アセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材の製造方法であって、材表面にアルデヒドキャッチャー剤を塗布、含浸させることによってアルデヒドキャッチャー剤の付着層を形成したのち、このアルデヒドキャッチャー剤を付着させている材の表面全面に、皮膜形成後の透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上となる塗料を塗布して透湿性塗布層を形成することを特徴とする。
さらに、請求項5に係る発明は上記アセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材の別な製造方法であって、材表面にアルデヒドキャッチャー剤を塗布、含浸させることによってアルデヒドキャッチャー剤の付着層を形成したのち、このアルデヒドキャッチャー剤を付着させている材の表面全面に、透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上のシートを貼着することを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は上記アセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材のさらに別な製造方法であって、材表面に、アルデヒドキャッチャー剤が添加され、且つ、皮膜形成後の透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上となる塗料を塗布することにより、透湿性塗布層を形成することを特徴とする。
請求項1及び請求項2に係る発明によれば、製材品や木質材の表面にアルデヒドキャッチャー剤の付着層を設けているので、これらの製材品や木質材内で発生するアセトアルデヒドを外部に放散させることなく、該アルデヒドキャッチャー剤によって確実に吸着させることができ、内装建材等として使用した場合には室内のアセトアルデヒドの濃度を確実に低減させることができる。
さらに、請求項1に係る発明においては、製材品や木質材の表面全面に上記アルデヒドキャッチャー剤の付着層を被覆した透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上の透湿性塗布層を設けている一方、請求項2に係る発明においては、製材品や木質材の表面全面に上記アルデヒドキャッチャー剤の付着層を被覆した透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上のシートを貼着しているので、透湿性塗布層やシートにより木材本来の優れた吸放湿機能を殆ど低下させることなく有効に発揮させて快適な住環境を形成することができると共に、意匠性、耐傷性、耐汚染性を向上させて商品価値を高めることができるものであり、その上、透湿性塗布層やシートが材の表面に付着しているアルデヒドキャッチャー剤を被覆して材の表面から脱落するのを確実に防止することができ、アルデヒドキャッチャー剤の機能を長期に亘り発揮させることができる。
また、請求項3に係る発明においては、製材品又は木質材の表面に、アルデヒドキャッチャー剤を含有し且つ透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上の透湿性塗布層を設けているので、この透湿性塗布層によって上記請求項1に記載した透湿塗布層同様に、木材本来の優れた吸放湿機能を殆ど低下させることなく有効に発揮させて快適な住環境を形成することができると共に、意匠性、耐傷性、耐汚染性を向上させて商品価値を高めることができるものであり、その上、この透湿性塗布層に含まれているアルデヒドキャッチャー剤によって製材品や木質材内で発生するアセトアルデヒドを吸着し、外部への放散を抑制することができる。
さらにまた、上記請求項1乃至請求項3に記載の製材品又は木質材においてはその表面に塗布している透湿性塗布層又はシートの透湿率がいずれも0.5g/m2 ・h・mmHg以上としているので、製材品や木質材の吸放能力を大きく低減させることはない。
請求項4に係る発明は、アセトアルデヒドの放散を抑制した上記製材品又は木質材の製造方法であって、製材品又は木質材の表面にアルデヒドキャッチャー剤を塗布、含浸させることによってアルデヒドキャッチャー剤の付着層を形成したのち、このアルデヒドキャッチャー剤を付着させている材の表面全面に、皮膜形成後の透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上となる塗料を塗布して透湿性塗布層を形成するので、木材本来のもつ吸放湿性能を大きく低減させることなく、アセトアルデヒドの放散を抑制することができる製材品又は木質材を安価に且つ容易に製造することができる。
同様に、請求項5に係る発明においては、上記透湿性塗布層を形成する代わりに材の表面全面に、透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上のシートを貼着することを特徴とし、請求項6に係る発明においては、材表面に、アルデヒドキャッチャー剤が添加され、且つ、皮膜形成後の透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上となる塗料を塗布することにより、透湿性塗布層を形成することを特徴とするものであるから、いずれの方法においては、請求項4に記載の方法と同じく、木材本来のもつ吸放湿性能を大きく低減させることなく、アセトアルデヒドの放散を抑制することができる製材品又は木質材を経済的に且つ能率よく製造することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明すると、図1は材1の表面全面にアルデヒドキャッチャー剤の付着層2とこのアルデヒドキャッチャー剤の付着層2を被覆した透湿性塗布層3を設けてなる製材品又は木質材の一部の簡略拡大断面図であって、材1が製材品の場合には原木の樹種に特に限定されない。一方、材1が木質材の場合には原料の樹種に特に限定されない。木質材としては合板、LVL、集成材、パーティクルボード、MDF(中比重繊維板)、HDF(高比重繊維板)、インシュレーションボード等が挙げられる。
製材品又は木質材(以下、材1という)の表面に付着しているアルデヒドキャッチャー剤は尿素やヒドラジド化合物など、アルデヒド類と反応する薬剤であって、この薬剤、即ち、アルデヒドキャッチャー剤を水等の溶媒に溶解させた溶液を材1の表面全面に塗布、含浸させ、乾燥させることによって材1の表面にアルデヒドキャッチャー剤の上記付着層2を設けている。この場合、材1の表面に対する溶液の塗布量は、1g/m2以下ではアセトアルデヒドの低減効果が少なく、10g/m2以上では溶媒の水を除去するための乾燥負荷が大きくなり、経済的ではないので、1〜10g/m2の範囲とする。
一方、このアルデヒドキャッチャー剤の付着層2を被覆した透湿性塗布層3は、透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上の塗料を材1の表面全面に塗装したのち乾燥させることによって形成される。このような塗料としてはセラミックス、イボタロウ、桐油、アマニ油、柿渋といった天然塗料の他、炭酸カルシウムや酸化チタン等の無機顔料を主成分とする塗料などが使用される。
なお、この透湿性塗布層3に代えて、材1の表面に付着しているアルデヒドキャッチャー剤の付着層を被覆するようにして透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上のシート(図示せず)を貼着しておいてもよい。このようなシートとしてはコーティング法やロータリー法によって製造されたオレフィン壁紙などの紙類が好適に使用される。このオレフィン壁紙の製造方法によると、オレフィン樹脂が比較的粒状のまま固化するので、ある程度の通気性を確保することができる。
上記透湿性塗布層3や透湿性シートの透湿率は、0.5g/m2 ・h・mmHg以上であれば木材の吸湿能力を大きく低減することはないが、好ましくは1.5g/m2 ・h・mmHg以上あればよい。なお、透湿度は25℃の恒温槽でカップ法で測定する。
このように構成した製材品又は木質材から例えば内装建材を製造してこの内装建材を住宅に施工した場合、材1内からはアセトアルデヒドが室内に放散されようとするが、材1の表面に付着しているアルデヒドキャッチャー剤の付着層2によってアセトアルデヒドが吸着されて室内に放散するのを抑制される。また、このアルデヒドキャッチャー剤の付着層2は材1の表面全面に塗装または貼着している透湿性塗布層3またはシートによって被覆されているので、材1の表面から脱落することなくアセトアルデヒドの吸着機能を確実に発揮すると共に、塗布層3またはシートは透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上の透湿性を有しているので、木材本来のもつ優れた吸放湿機能を殆ど低下させることなく、快適な住環境を形成することができる。
図2は本発明を実施するためのさらに別な実施の形態を示すもので、製材品又は木質材からなる材1の表面に、アルデヒドキャッチャー剤2'を含有し且つ透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上の透湿性塗布層3Aを設けてなるものである。この透湿性塗布層3Aを形成するための塗料としては、上記の塗料、即ち、セラミックス、イボタロウ、桐油、アマニ油、柿渋といった天然塗料の他、炭酸カルシウムや酸化チタン等の無機顔料を主成分とする塗料などが使用され、この塗料にアルデヒドキャッチャー剤2'を適量、添加して材1の表面に塗布したのち、乾燥させることにより表面に上記アルデヒドキャッチャー剤2'を含有した透湿性塗布層3Aを有する製材品又は木質材を製造することができる。
この製材品又は木質材によれば、透湿性塗布層3A内にアルデヒドキャッチャー剤2'が担持されていて脱落する虞れもなく、アセトアルデヒドを有効に吸着することができると共に、塗布層3Aの透湿性によって上記実施の形態と同様に材1のもつ優れた吸放湿機能を殆ど低下させることもない。次に、本発明の具体的な実施例と比較例を示す。
〔実施例1〕
針葉樹集成材(ラジアータパイン)の表面にアルデヒドキャッチャー剤(大塚化学株式会社製のケムキャッチH6000、以下、同じ)を固形分換算で7g/m2塗布、含浸させたのち、80℃で20分間乾燥処理した。しかるのち、アルデヒドキャッチャー剤が含浸、付着している針葉樹集成材の表面全面に、下記表1に示す組成の塗料を160 g/m2塗布し、180 ℃で3分間乾燥処理した。
針葉樹集成材(ラジアータパイン)の表面にアルデヒドキャッチャー剤(大塚化学株式会社製のケムキャッチH6000、以下、同じ)を固形分換算で7g/m2塗布、含浸させたのち、80℃で20分間乾燥処理した。しかるのち、アルデヒドキャッチャー剤が含浸、付着している針葉樹集成材の表面全面に、下記表1に示す組成の塗料を160 g/m2塗布し、180 ℃で3分間乾燥処理した。
〔実施例2〕
針葉樹集成材(ラジアータパイン)の表面にアルデヒドキャッチャー剤を下記表2に示す塗料に対して4.37%の割合で添加してなる該塗料を160 g/m2塗布し、180 ℃で3分間乾燥処理した。
針葉樹集成材(ラジアータパイン)の表面にアルデヒドキャッチャー剤を下記表2に示す塗料に対して4.37%の割合で添加してなる該塗料を160 g/m2塗布し、180 ℃で3分間乾燥処理した。
〔実施例3〕
針葉樹集成材(ラジアータパイン)の表面にアルデヒドキャッチャー剤を固形分換算で7g/m2塗布、含浸させたのち、80℃で20分間乾燥処理した。しかるのち、アルデヒドキャッチャー剤が含浸、付着している針葉樹集成材の表面全面に、壁紙を貼り付けた。
針葉樹集成材(ラジアータパイン)の表面にアルデヒドキャッチャー剤を固形分換算で7g/m2塗布、含浸させたのち、80℃で20分間乾燥処理した。しかるのち、アルデヒドキャッチャー剤が含浸、付着している針葉樹集成材の表面全面に、壁紙を貼り付けた。
〔比較例1〕
針葉樹集成材(ラジアータパイン)の表面にアルデヒドキャッチャー剤を塗布することなく、上記表1に示した塗料を160 g/m2塗布し、180 ℃で3分間乾燥処理した。
針葉樹集成材(ラジアータパイン)の表面にアルデヒドキャッチャー剤を塗布することなく、上記表1に示した塗料を160 g/m2塗布し、180 ℃で3分間乾燥処理した。
〔比較例2〕
針葉樹集成材(ラジアータパイン)の表面にアルデヒドキャッチャー剤を塗布することなく、塩化ビニル製の壁紙を貼り付けた。
180 ℃で3分間乾燥処理した。
針葉樹集成材(ラジアータパイン)の表面にアルデヒドキャッチャー剤を塗布することなく、塩化ビニル製の壁紙を貼り付けた。
180 ℃で3分間乾燥処理した。
以上の実施例1〜3と比較例1、2の方法で処理した針葉樹集成材と、無処理の針葉樹集成材とのアセトアルデヒド放散量と吸湿量を次に示す実験により測定した。
〔アセトアルデヒド放散速度の測定〕
アセトアルデヒドの放散速度は、上記実施例1〜3と比較例1、2の方法で処理した針葉樹集成材と無処理の針葉樹集成材をADPACシステム(Advanced Pollution and Air quality Chamber、アドパック製)に設置して測定した。測定は、28℃、50%RH、換気回数0.5 回/H(1時間)、気積率2.2m-1の条件で行った。空気捕集はDNPH管(XPOSURE Aldehyde Sampler、 Waters 製)に流速167 ミリリットル/minで10リットル捕集した。分析はアセトニトリルで抽出後、HPLC(SCL-10AVP 、島津製作所製)を使用して行った。
アセトアルデヒドの放散速度は、上記実施例1〜3と比較例1、2の方法で処理した針葉樹集成材と無処理の針葉樹集成材をADPACシステム(Advanced Pollution and Air quality Chamber、アドパック製)に設置して測定した。測定は、28℃、50%RH、換気回数0.5 回/H(1時間)、気積率2.2m-1の条件で行った。空気捕集はDNPH管(XPOSURE Aldehyde Sampler、 Waters 製)に流速167 ミリリットル/minで10リットル捕集した。分析はアセトニトリルで抽出後、HPLC(SCL-10AVP 、島津製作所製)を使用して行った。
〔吸放湿試験〕
上記実施例1〜3と比較例1、2の方法で処理した針葉樹集成材と無処理の針葉樹集成材の四方木口面と裏面をアルミ粘着テープでマスキングしたのち、25℃、50%RHに調湿したデシケータに一週間放置して養生した後、25℃、90%RHのデシケータに移して重量変化を測定し、単位面積当たりの吸湿量を算出した。
上記実施例1〜3と比較例1、2の方法で処理した針葉樹集成材と無処理の針葉樹集成材の四方木口面と裏面をアルミ粘着テープでマスキングしたのち、25℃、50%RHに調湿したデシケータに一週間放置して養生した後、25℃、90%RHのデシケータに移して重量変化を測定し、単位面積当たりの吸湿量を算出した。
上記アセトアルデヒドの放散速度の測定結果と吸放湿試験結果を下記表3にまとめた。
アセトアルデヒド濃度の指針値を満足するための放散速度(目標放散速度)は11μg/m2h であるが、無処理の針葉樹集成材のアセトアルデヒドの放散量は、上記表3から明らかなように103 μg/m2h と著しく高い。一方、実施例1〜3の針葉樹集成材ではいずれもアセトアルデヒドの目標放散速度を下回っている。また、これらの針葉樹集成材の吸湿量は無処理の針葉樹集成材より若干低下しているものの、比較的高い値を保持している。
また、比較例1の針葉樹集成材は、アルデヒドキャッチャー剤を使用することなく透湿度の大きい塗料で仕上げたものであるため、吸湿量は比較的大きいがアセトアルデヒドの放出速度も高い。これに反して比較例2の針葉樹集成材は透湿度の小さい壁紙で被覆しているので、アセトアルデヒドの放散速度は小さくなっているが、吸湿量も小さい値を示している。
以上のように本発明によれば、アセトアルデヒドと高い反応性を有するアルデヒドキャッチャー剤を透湿度の高い塗料やシート等の仕上げ材料と組み合わせて使用することにより、木材の有する優れた吸湿性を大きく低減させることなく、アセトアルデヒドの放散速度を人体に有害とならないレベルまで抑制することができる。
1 製材品又は木質材
2 アルデヒドキャッチャー剤の付着層
3 透湿性塗布層
2 アルデヒドキャッチャー剤の付着層
3 透湿性塗布層
Claims (6)
- 材表面にアルデヒドキャッチャー剤の付着層と、このアルデヒドキャッチャー剤の付着層を被覆した透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上の透湿性塗布層とを設けていることを特徴とするアセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材。
- 材表面にアルデヒドキャッチャー剤の付着層を設けていると共に、このアルデヒドキャッチャー剤の付着層を被覆した透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上のシートを貼着していることを特徴とするアセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材。
- 材表面にアルデヒドキャッチャー剤を含有し且つ透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上の透湿性塗布層を設けていることを特徴とするアセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材。
- 材表面にアルデヒドキャッチャー剤を塗布、含浸させることによってアルデヒドキャッチャー剤の付着層を形成したのち、このアルデヒドキャッチャー剤を付着させている材の表面全面に、皮膜形成後の透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上となる塗料を塗布して透湿性塗布層を形成することを特徴とするアセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材の製造方法。
- 材表面にアルデヒドキャッチャー剤を塗布、含浸させることによってアルデヒドキャッチャー剤の付着層を形成したのち、このアルデヒドキャッチャー剤を付着させている材の表面全面に、透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上のシートを貼着することを特徴とするアセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材の製造方法。
- 材表面に、アルデヒドキャッチャー剤が添加され、且つ、皮膜形成後の透湿率が0.5g/m2 ・h・mmHg以上となる塗料を塗布することにより、透湿性塗布層を形成することを特徴とするアセトアルデヒドの放散を抑制した製材品又は木質材の製造方法。
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CN100389942C (zh) * | 2005-12-06 | 2008-05-28 | 戴武兵 | 无醛实木复合地板的制作方法 |
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2003
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