JP2005066393A - 乳化方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】平均粒径の制御が容易であり、且つ粒径分布のシャープな乳化液を作製できる乳化方法及び装置を提供する。
【解決手段】乳化装置10は、マイクロカプセルの製造装置12に用いられる。乳化装置10は、同軸上に重なって配置された外筒24と内筒26で構成され、外筒24は固定され、内筒26は周速ωで回転される。この外筒24と内筒26との間隙25に被処理液が供給されて乳化される。間隙25の大きさd(mm)と、被処理液の粘度η(mPa・sec)と、内筒の周速ω(m/sec) と、間隙25での被処理液の軸方向の平均流速v(m/sec) の関係が(1)η≦20のとき、5/ω<d≦10/ω、v≧0.3、(2)η≦20のとき、d>10/ω、v≧1.0、(3)20<η≦50のとき、10/ω<d≦20/ω、v≧0.3、(4)20<η≦50のとき、d>20/ω、v≧1.0、(5)50<η≦100のとき、d>20/ω、v≧0.3、のいずれかを満たすように周速ωと平均流速vが制御される。
【選択図】 図1
【解決手段】乳化装置10は、マイクロカプセルの製造装置12に用いられる。乳化装置10は、同軸上に重なって配置された外筒24と内筒26で構成され、外筒24は固定され、内筒26は周速ωで回転される。この外筒24と内筒26との間隙25に被処理液が供給されて乳化される。間隙25の大きさd(mm)と、被処理液の粘度η(mPa・sec)と、内筒の周速ω(m/sec) と、間隙25での被処理液の軸方向の平均流速v(m/sec) の関係が(1)η≦20のとき、5/ω<d≦10/ω、v≧0.3、(2)η≦20のとき、d>10/ω、v≧1.0、(3)20<η≦50のとき、10/ω<d≦20/ω、v≧0.3、(4)20<η≦50のとき、d>20/ω、v≧1.0、(5)50<η≦100のとき、d>20/ω、v≧0.3、のいずれかを満たすように周速ωと平均流速vが制御される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は乳化方法及び装置に係り、特にマイクロカプセルの製造工程に用いられる乳化方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロカプセルは、記録材料、農薬、電子ペーパー、ドラッグデリバリーシステム等、多岐にわたって利用されている。
【0003】
マイクロカプセルの製造においては、製品性能に応じた平均粒径にする技術だけでなく、個々の粒子サイズまで揃える技術、すなわち、粒径分布をシャープにする技術が求められている。例えばマイクロカプセルを感圧紙に用いた場合、微小粒子であると発色に寄与しないという問題があり、反対に、粗大粒子であると僅かな接触で発色してしまうという問題がある。このため、マイクロカプセルの製造時に個々の粒子サイズを適切な大きさに揃えることが重要である。
【0004】
マイクロカプセルの製造方法としては、互いに溶解しない水相と油相を混合、乳化し、生成した液滴の周囲に壁膜を形成する方式が知られている。この方式では、乳化工程においてマイクロカプセルの平均粒径や粒径分布が決定される。乳化工程で使用される装置としては、従来より高速攪拌機(ディゾルバー)、高圧ホモジナイザー、超音波乳化器等が知られている。
【0005】
しかし、いずれの装置においても、乳化作用を及ぼす力として剪断力、衝突力、キャビテーション等が複雑に関係しているため、微視的には被処理液中での力の分布は不均一となっている。したがって、これらの装置を使用して、所望の平均粒径で、且つ粒径分布のシャープなマイクロカプセルを製造することはできなかった。
【0006】
特許文献1には、いわゆるシリンドリカルミルを用いる乳化方法が記載されている。この乳化方法は、固定した外筒の中で内筒を回転させ、内筒と外筒との間隙に分散媒と分散液との混合液を通過させて乳濁液を得る乳化方法である。この乳化方法で得られる液滴粒径は、内筒の回転数と、内筒と外筒との間隙の大きさに依存し、平均粒径5mm以上ではシャープな粒径分布が得られている。
【0007】
【特許文献1】
特許第2630501号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年では、特許文献1で得られる粒径分布よりもシャープな粒径分布のマイクロカプセルが要望されており、特に平均粒径が1μm以下のサブミクロンオーダーにおいて、シャープな粒径分布のマイクロカプセルが要望されている。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、平均粒径の制御が容易であり、且つ粒径分布のシャープな乳化液を製造できる乳化方法及び装置を提供することを目的とする。また、その乳化方法及び装置を用いて製造した乳化液、並びにその乳化液を用いて製造したマイクロカプセルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、外筒と、該外筒内に同軸状に配置される内筒との間隙に、水相と油相から成る被処理液を通過させるとともに、前記内筒を0.1〜100m/sec の範囲の周速で回転させることによって前記被処理液を乳化する乳化方法において、前記間隙の大きさd(mm)が0.01〜2mmの範囲で一定であるとともに、該間隙の大きさに対して前記内筒の軸方向の長さが2倍以上であった場合に、前記被処理液の粘度η(mPa・sec)、前記周速ω(m/sec) 、前記間隙の大きさd、及び前記間隙での被処理液の軸方向の平均流速v(m/sec) の関係が(1)η≦20のとき、5/ω<d≦10/ω、v≧0.3、(2)η≦20のとき、d>10/ω、v≧1.0、(3)20<η≦50のとき、10/ω<d≦20/ω、v≧0.3、(4)20<η≦50のとき、d>20/ω、v≧1.0、(5)50<η≦100のとき、d>20/ω、v≧0.3、のいずれかを満たすことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は前記目的を達成するために、外筒と、該外筒内に同軸状に配置される内筒と、前記内筒を0.1〜100m/sec の範囲の周速で回転させる回転駆動装置と、前記内筒と前記外筒との間隙に水相と油相から成る被処理液を供給する供給装置と、を備えた乳化装置において、前記間隙の大きさd(mm)が0.01〜2mmの範囲で一定であるとともに、該間隙の大きさに対して前記内筒の軸方向の長さが2倍以上であった場合に、前記被処理液の粘度η(mPa・sec)、前記間隙の大きさd、前記内筒の周速ω(m/sec) 、及び前記間隙での被処理液の軸方向の平均流速v(m/sec) の関係が、(1)η≦20のとき、5/ω<d≦10/ω、v≧0.3、(2)η≦20のとき、d>10/ω、v≧1.0、(3)20<η≦50のとき、10/ω<d≦20/ω、v≧0.3、(4)20<η≦50のとき、d>20/ω、v≧1.0、(5)50<η≦100のとき、d>20/ω、v≧0.3、のいずれかを満たすように前記周速ωと前記平均流速vを制御する制御装置を備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明の発明者は、内筒と外筒との間隙における被処理液の流れを解析し、この解析した流れと、製造されたマイクロカプセルの粒径分布との因果関係を調べたところ、間隙を流れる被処理液に渦流や乱流が発生した際にマイクロカプセルの粒径分布がブロードになるという知見が得られた。反対に、間隙の被処理液に渦流のない層流状態が形成された際は、マイクロカプセルの粒径分布がシャープになるという知見が得られた。さらに、間隙における被処理液の流れは、被処理液の粘度η、間隙の大きさd、内筒の周速ω、間隙での被処理液の軸方向の平均流速vの関係に応じて変化し、請求項1または請求項4に記載の関係式(1)〜(5)のいずれかを満たせば、渦流のない層流状態が形成されるという知見が得られた。
【0013】
本発明はこのような知見に基づいて成されたものであり、請求項1または請求項4に記載の発明によれば、粘度η、周速ω、間隙の大きさd、平均流速vが上記の関係式(1)〜(5)を満たすことによって、前記間隙を流れる被処理液には、渦流のない層流状態が形成される。したがって、間隙を流れる被処理液には剪断力が微視的にも均等に付与され、所望の平均粒径で、且つ粒径分布のシャープな乳化液を得ることができる。また、この乳化液を用いることによって、所望の平均粒径で、且つ粒径分布のシャープなマイクロカプセルを製造することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乳化方法を用いて乳化液を得ることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2の乳化液によってマイクロカプセルを製造することを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る乳化方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0017】
図1は、本発明に係る乳化装置を用いたマイクロカプセルの製造装置を示す全体構成図である。
【0018】
同図に示すように、製造装置12は主として、予備乳化槽14、乳化装置10、及びカプセル化槽16で構成される。
【0019】
予備乳化槽14には、水相と油相がそれぞれ適切な割合で供給される。また、予備乳化槽14には、攪拌翼18Aとモータ18Bからなる撹拌機18が設けられており、モータ18Bで攪拌翼18Aを回転させることによって、水相と油相が混合されて予備乳化液(以下、被処理液という)が調製される。
【0020】
予備乳化槽14内の被処理液は、ポンプ20を駆動することによって、配管22を介して乳化装置10に送液される。配管22には流量計38が設けられており、この流量計38によって乳化装置10に流れる被処理液の流量が測定される。
【0021】
乳化装置10は主として、外筒24と、外筒24内の内筒26で構成される。外筒24と内筒26はそれぞれの中心軸が鉛直になるようにして同軸上に重ねて配置される。したがって、内筒26と外筒24との間隙25は、どの位置においても一定の大きさで形成されている。この間隙25の大きさdは、製造するマイクロカプセルの大きさに応じて設定され、例えば0.01〜2mmの範囲で一定値に設定される。また、内筒26は軸方向の長さが、間隙25の大きさdの二倍以上になっている。
【0022】
外筒24は不図示の躯体に固定されており、内筒26はこの外筒24に回動自在に支持されている。内筒26の上端部には、モータ28が接続されており、このモータ28を駆動することによって内筒26が回転するようになっている。内筒26の回転速度(周速)は制御装置30によって制御される。制御装置30は、流量計38の測定値から、間隙25での軸方向の平均速度v(m/sec) を求める。そして、この平均流速v、予め測定された被処理液の粘度η(mPa・sec)、間隙25の大きさd(mm)、及び内筒26の周速ω(m/sec) が、以下の関係式(1)〜(5)のいずれかを満たし、所望の平均粒径となるように、モータ28とポンプ20を制御して周速ωと平均流速vを調節する。
【0023】
(1)η≦20のとき、5/ω<d≦10/ω、v≧0.3、
(2)η≦20のとき、d>10/ω、v≧1.0、
(3)20<η≦50のとき、10/ω<d≦20/ω、v≧0.3、
(4)20<η≦50のとき、d>20/ω、v≧1.0、
(5)50<η≦100のとき、d>20/ω、v≧0.3、
図3は、上記の関係式(1)〜(5)を説明する説明図である。図3において、曲線X、Y、Zはそれぞれ、d=5/ω、d=10/ω、d=20/ωを示す曲線である。また、領域A、B、C、Dは、曲線X、Y、Zによって区切られた領域である。
【0024】
η≦20の場合、dとωが曲線Xよりも上側で、且つ曲線Yよりも下側の領域(すなわち領域B)に属すようにωを制御するとともに、vが0.3以上になるように制御する(関係式(1))。或いは、dとωが曲線Yよりも上側の領域(すなわち領域C、D)に属すようにωを制御するとともに、vが1.0以上になるように制御する(関係式(2))。
【0025】
20<η≦50の場合、dとωが曲線Yよりも上側で、且つ曲線Zよりも下側の領域(すなわち領域C)に属すようにωを制御するとともに、vが0.3以上になるように制御する(関係式(3))。或いは、dとωが曲線Zよりも上側の領域(すなわち領域D)に属すようにωを制御するとともに、vが1.0以上になるように制御する(関係式(4))。
【0026】
50<η≦100の場合、dとωが曲線Zよりも上側の領域(すなわち領域D)に属すようにωを制御するとともに、vが0.3以上になるように制御する(関係式(5))。
【0027】
なお、上記の関係式(1)〜(5)において、被処理液の粘度ηは、間隙25での剪断速度相当の粘度の値が使用される。
【0028】
一方、外筒24はその側面の下端部に流入口24Aが形成されており、この流入口24Aには前記配管22が接続される。また、外筒24はその側面の上端部に流出口24Bが形成されており、この流出口24Bは配管34を介してカプセル化槽16に接続されている。したがって、流入口24Aから被処理液が外筒24内に供給されると、被処理液は、外筒24と内筒26との間隙25を上昇し、流出口24Bから排出される。なお、流入口24Aは、図2に示すように、外筒24の接線方向に被処理液が供給されるように形成することが好ましい。同様に、流出口24Bは、外筒24の接線方向に被処理液が排出されるように形成することが好ましい。
【0029】
図1に示すように、外筒24にはチラー32が接続されており、このチラー32によって温度制御された流体(例えば冷却水)が外筒24のジャケットに送液される。これにより、外筒24と内筒26との間隙25を通過する被処理液が所定の温度(例えば30℃)に制御される。
【0030】
上記の如く構成された乳化装置10では、内筒26を回転させることによって、内筒26と外筒24との間隙25を流れる被処理液に剪断力が付与され、被処理液が乳化される。この乳化液は、流出口24Bから排出され、配管34を介してカプセル化槽16に送液される。
【0031】
カプセル化槽16には、攪拌翼36Aとモータ36Bから成る攪拌機36が設けられている。カプセル化槽16に供給された乳化液は、ここで加熱、排気などのカプセル化処理が施され、マイクロカプセルが製造される。
【0032】
次に上記の如く構成された乳化装置10の作用について説明する。
【0033】
乳化装置10では、被処理液の粘度ηと間隙25の大きさdの値に応じて、被処理液の平均流速vと内筒26の周速ωとを制御し、上述した関係式(1)〜(5)のいずれかを満たすようにしている。このように、粘度η、間隙25の大きさd、周速ωだけでなく、平均流速vも制御することによって、粘度η、間隙25の大きさd、周速ωだけの関係では間隙25に渦が発生する条件であっても、渦の発生を防止できる。したがって、間隙25を流れる被処理液には、渦流のない層流状態が形成されるので、被処理液には、微視的にも均一な剪断力が付与される。これにより、所望の平均粒径で、且つ粒径分布のシャープな乳化液、マイクロカプセルを得ることができる。
【0034】
このようにして得られたマイクロカプセルは、所望する平均粒径に対して精度良く製造されており、且つ、粒径分布がシャープであるので、インク、農薬、医薬品、化粧品等の様々な分野での用途に適している。また、マイクロカプセルをシート状の支持体上に塗布することによって得られる感熱記録材料や感圧記録材料にも適している。さらに、マイクロカプセルを使用した電子ペーパー(デジタルペーパーともいう)、ペーパーディスプレイ、或いはドラッグデリバリーシステムにも適している。特に感圧記録材料や感熱記録材料に適用した場合には、マイクロカプセルの粒径分布がシャープになることによって、常に一定の圧力、温度で発色させることができる。また、電子ペーパーやペーパーディスプレイに適用した場合には、マイクロカプセルの粒径分布がシャープになることによって、表示画像を鮮明にすることができる。さらに、ドラッグデリバリーの場合には、マイクロカプセルの粒径分布がシャープになることによって、マイクロカプセルに内包した薬剤を、所望する患部に精度良く供給することができる。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
水を主溶媒としてゼラチンを5%含有した水相と、酢酸エチルを主溶媒とし、オイル、壁剤を含有した油相を調製した。そして、この水相と油相を、後述する予備乳化条件で予備乳化した。次に、この予備乳化液を後述する乳化条件(条件式(1)に相当…η=15mPa ・sec 、d=0.3mm、ω=30m/s 、v=0.4m/sec )で乳化し、さらに後述するカプセル化条件でカプセル化し、マイクロカプセルを作製した。作製したマイクロカプセルをSEM(走査型電子顕微鏡)で写真撮影し、画像処理解析装置で粒径分布を調べたところ、平均粒径0.5μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルであることが確認された。ここで、スパン値とは、ε:スパン値、d90:90%積算径(体積基準)、d50:50%積算径(体積基準)、d10:10%積算径(体積基準)とした際に、ε=(d90−d10)/d50で表される値である。また、粘度の測定は、HAAKE製の二重円筒式回転粘度計 Roto Visco RV1 で行った。
(予備乳化条件)
調製量…3kg、水相/油相混合重量比率…2/1、撹拌機…φ50mmプロペラ羽根、攪拌回転数…500rpm、攪拌時間…1min 、保温温度…40℃
(乳化条件)
送液流量…2277g/min 、内筒直径100.4mm、内筒長さ…100mm、外筒直径…101.0mm、外筒長さ…110mm、内筒回転数…5707rpm 、外筒冷却温度…0℃、間隙での剪断速度相当の粘度…15mPa ・sec
(カプセル化条件)
調製量…500g 、撹拌機…φ30mmプロペラ羽根、攪拌回転数…300rpm 、攪拌時間3hr、保温温度…40℃
(実施例2)
実施例1の乳化条件に対して、送液流量を760g/min に、内筒直径を100.8mmに、内筒回転数を11368rpm に変更し、他は実施例1と同じ乳化条件(条件式(1)に相当…η=15mPa ・sec 、d=0.1mm、ω=60m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.2μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルが得られた。
(実施例3)
実施例1の乳化条件に対して、送液流量を3033g/min に、内筒直径を100.2mmに、内筒回転数を3812rpm に変更し、他は実施例1と同じ乳化条件(条件式(1)に相当…η=15mPa ・sec 、d=0.4mm、ω=20m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径1.0μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルが得られた。
(実施例4)
実施例1の乳化条件に対して、送液流量を9099g/min に、内筒直径を100.2mmに、内筒回転数を7624rpm に変更し、他は実施例1と同じ乳化条件(条件式(2)に相当…η=15mPa ・sec 、d=0.4mm、ω=40m/s 、v=1.2m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.6μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルが得られた。
(実施例5)
実施例4の乳化条件に対して、送液流量を3033g/min に変更し、さらに、水相のゼラチン濃度を7%に変更し、他は実施例4と同じ乳化条件(条件式(3)に相当…η=40mPa ・sec 、d=0.4mm、ω=40m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.4μmでスパン値0.5のシャープな粒径分布のマイクロカプセルが得られた。
(実施例6)
実施例5の乳化条件に対して、送液流量を11361g/min に、内筒直径を100.0mm、内筒回転数を9549rpm に変更し、他は実施例5と同じ乳化条件(条件式(4)に相当…η=40mPa ・sec 、d=0.5mm、ω=50m/s 、v=1.2m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.5μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルが得られた。
(実施例7)
実施例6の乳化条件に対して、送液流量を3787g/min に変更するとともに、水相のゼラチン濃度を10%に変更し、他は実施例6と同じ乳化条件(条件式(5)に相当…η=80mPa ・sec 、d=0.5mm、ω=50m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.3μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルが得られた。
(比較例1)
実施例1の乳化条件に対して、送液流量を3033g/min に、内筒直径を100.2mmに、内筒回転数を7624rpm に変更し、他は実施例1と同じ乳化条件(η=15mPa ・sec 、d=0.4mm、ω=40m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.5μmでスパン値0.9の、粒径分布のブロードなマイクロカプセルが得られた。
(比較例2)
実施例1と比較して、予備乳化条件、カプセル化条件を変更せずに、乳化方法のみを変更した。すなわち、乳化をφ30mmディゾルバーで行い、乳化条件を調製量500g、回転数13000rpm 、乳化時間10min としてマイクロカプセルを作製した。その結果、平均粒径0.5μmでスパン値1.0の粒径分布のブロードなマイクロカプセルが得られた。
(比較例3)
実施例5と比較して、送液流量を3787g/min に、内筒直径を100.0mm、内筒回転数を9549rpm に変更し、他は実施例5と同じ乳化条件(η=40mPa ・sec 、d=0.5mm、ω=50m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.4μmでスパン値0.9の、粒径分布のブロードなマイクロカプセルが得られた。
(比較例4)
実施例5と比較して、予備乳化条件、カプセル化条件を変更せずに、乳化方法のみを変更した。すなわち、乳化をφ30mmディゾルバーで行い、乳化条件を調製量500g、回転数13000rpm 、乳化時間7min としてマイクロカプセルを作製した。その結果、平均粒径0.4μmでスパン値1.0の粒径分布のブロードなマイクロカプセルが得られた。
(比較例5)
実施例7と比較して、予備乳化条件、カプセル化条件を変更せずに、乳化方法のみを変更した。すなわち、乳化をφ30mmディゾルバーで行い、乳化条件を調製量500g、回転数13000rpm 、乳化時間3min としてマイクロカプセルを作製した。その結果、平均粒径0.3μmでスパン値1.0の粒径分布のブロードなマイクロカプセルが得られた。
(感熱記録材料の作製)
次に本発明の乳化方法及び装置を用いて感熱記録材料用のマイクロカプセルを製造し、感熱記録材料を作製する実施例について説明する。
【0036】
感熱記録材料の感熱記録層は、発色成分として、ジアゾニウム塩化合物または電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルが含まれており、このマイクロカプセルには、発色成分に応じて顕色剤であるカプラーあるいは電子受容性化合物が含まれている。顕色剤は、乳化分散あるいは固体分散されて微粒子化されている。感熱記録層は、後述の如く調製されたマイクロカプセル液と顕色剤の分散液を混合したものを支持体に塗布することにより形成される。
(マイクロカプセルの製造)
ジアゾニウム塩化合物または電子供与性染料前駆体を含むマイクロカプセルの製造は、まず、ジアゾニウム塩化合物または電子供与性染料前駆体およびマイクロカプセル壁材料を含む油相液と、水相液とを用意し、これらを本発明に係る乳化装置を用いて乳化分散させる。次いで、得られた乳化分散液を用いてマイクロカプセル化し、マイクロカプセルを得る。その際、乳化分散液に、界面活性性を有する水溶性高分子化合物を含む水溶液を加え、その後マイクロカプセル化することが好ましい。
【0037】
前記水相液としては、少なくとも界面活性性を有する水溶性高分子化合物を含む水溶液が用いられる。水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、例えばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは予め反応性をなくしておくことが必要である。
【0038】
マイクロカプセル化工程において、乳化分散液に、さらに、少なくとも界面活性性を有する水溶性高分子化合物を含む水溶液を加え、その後マイクロカプセル壁材料を反応させてマイクロカプセル壁を形成することが好ましい。この水溶液を加えることにより、反応過程でまれに生ずるマイクロカプセル粒子の凝集を防ぐことができる。加える水溶液は、反応後のマイクロカプセル分散液の固形分濃度が5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%になるように加えるのが適切である。なお、以下において、乳化分散時に油相液に加える水相液を第1水相液と、また、マイクロカプセル化時に乳化分散液に加える水相液を第2水相液ということがある。
【0039】
第2水相液に添加する少なくとも界面活性性を有する水溶性高分子化合物としては、第1水相液に含ませる水溶性高分子化合物が同様に用いられる。第2水相液における水溶性高分子化合物の含有濃度は、1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%であることが望ましい。
【0040】
一方、前記油相液の調製は、ジアゾニウム塩化合物または電子供与性染料前駆体、マイクロカプセル壁材料、及びこれらに必要に応じて各種添加剤を、水に難溶または不溶の有機溶剤に溶解させることにより行われる。
【0041】
有機溶剤としては、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤及び/又はりん酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系、フェノール系、エーテル系、モノオレフィン系、エポキシ系などが挙げられる。具体例としては、りん酸トリクレジル、りん酸トリオクチル、りん酸オクチルジフェニル、りん酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコールなどの高沸点オイルが挙げられるが、この中でも特にアルコール系、りん酸エステル系、カルボン酸系エステル系、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが好ましい。更に上記高沸点オイルにヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。また、オイルとしては、特に不飽和脂肪酸を有するものが望ましく、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。α−メチルスチレンダイマーには、例えば、三井東圧化学社製の商品名「MSD100」等がある。
【0042】
前記ジアゾニウム塩化合物とは下記式により表される化合物であり、加熱によりカプラーとカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
Ar−N2 + X− ( 式中、Arは芳香族部分を示し、X− は酸アニオンを示す。)
塩を形成するジアゾニウムの具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−[N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−[N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−[N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−[ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ]ベンゼンジアゾニウム、2−ベンジルスルホニル−4−[N−メチル−N−(2−オクタノイルオキシエチル)]アミノベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0043】
ジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するカプラーとしては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラーはすべてカプラーとして使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
【0044】
具体例を挙げると、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等がある。カプラーの詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特願平5−278608号、特願平5−297024号、特願平6−18669号、特願平6−18670号、特願平7−316280号、特願平8−027095号、特願平8−027096号、特願平8−030799号、特願平8−12610号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−069990号等に記載されている。
【0045】
マイクロカプセルに内包される電子供与性染料前駆体としては、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物などが挙げられ、とりわけトリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が発色濃度が高く有用である。これらの一部を例示すれば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0046】
電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
【0047】
増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル等が挙げられる。
【0048】
マイクロカプセルの壁材料は高分子物質が好ましく、その具体例としては、例えばポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらのうち特に好ましい壁剤としてはポリウレタン・ポリウレア樹脂である。ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルは、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化すべき芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0049】
ここで多価イソシアネート化合物の具体例の一部を以下に示す。例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。また必要に応じ二種類以上の併用も可能である。これらのうち特に好ましいものは分子内にイソシアネート基を三個以上有するものである。
【0050】
また、感熱記録材料の感熱記録層に含ませる前記カプラーあるいは電子受容性化合物は乳化分散あるいは固体分散して微粒子化するが固体分散して用いることが好ましい。本発明の感熱記録材料は、前記のようにして調製したマイクロカプセル分散液とカプラーあるいは電子受容性化合物の分散液を混合し、これを支持体に塗布して感熱記録層を形成することにより作製することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る乳化方法及び装置によれば、被処理液の粘度η、内筒と外筒の間隔の大きさd、内筒の周速ω、及び間隙での被処理液の軸方向の平均流速vが所定の関係を満たすようにしたので、間隙を流れる被処理液には、渦流のない層流状態が形成される。したがって、被処理液に均等な剪断力が付与されるので、液滴が均等な大きさに分散された乳化液を製造することができ、この乳化液を用いることによって粒径分布のシャープなマイクロカプセルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る乳化装置が適用されたマイクロカプセルの製造装置を示す全体構成図
【図2】乳化装置を示す斜視図
【図3】関係式(1)〜(5)の説明図
【符号の説明】
10…乳化装置、12…製造装置、14…予備乳化槽、16…カプセル化槽、18…攪拌機、20…ポンプ、22…配管、24…外筒、25…間隙、26…内筒、28…モータ、30…制御装置、32…チラー、34…配管、36…撹拌機、38…流量計
【発明の属する技術分野】
本発明は乳化方法及び装置に係り、特にマイクロカプセルの製造工程に用いられる乳化方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロカプセルは、記録材料、農薬、電子ペーパー、ドラッグデリバリーシステム等、多岐にわたって利用されている。
【0003】
マイクロカプセルの製造においては、製品性能に応じた平均粒径にする技術だけでなく、個々の粒子サイズまで揃える技術、すなわち、粒径分布をシャープにする技術が求められている。例えばマイクロカプセルを感圧紙に用いた場合、微小粒子であると発色に寄与しないという問題があり、反対に、粗大粒子であると僅かな接触で発色してしまうという問題がある。このため、マイクロカプセルの製造時に個々の粒子サイズを適切な大きさに揃えることが重要である。
【0004】
マイクロカプセルの製造方法としては、互いに溶解しない水相と油相を混合、乳化し、生成した液滴の周囲に壁膜を形成する方式が知られている。この方式では、乳化工程においてマイクロカプセルの平均粒径や粒径分布が決定される。乳化工程で使用される装置としては、従来より高速攪拌機(ディゾルバー)、高圧ホモジナイザー、超音波乳化器等が知られている。
【0005】
しかし、いずれの装置においても、乳化作用を及ぼす力として剪断力、衝突力、キャビテーション等が複雑に関係しているため、微視的には被処理液中での力の分布は不均一となっている。したがって、これらの装置を使用して、所望の平均粒径で、且つ粒径分布のシャープなマイクロカプセルを製造することはできなかった。
【0006】
特許文献1には、いわゆるシリンドリカルミルを用いる乳化方法が記載されている。この乳化方法は、固定した外筒の中で内筒を回転させ、内筒と外筒との間隙に分散媒と分散液との混合液を通過させて乳濁液を得る乳化方法である。この乳化方法で得られる液滴粒径は、内筒の回転数と、内筒と外筒との間隙の大きさに依存し、平均粒径5mm以上ではシャープな粒径分布が得られている。
【0007】
【特許文献1】
特許第2630501号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年では、特許文献1で得られる粒径分布よりもシャープな粒径分布のマイクロカプセルが要望されており、特に平均粒径が1μm以下のサブミクロンオーダーにおいて、シャープな粒径分布のマイクロカプセルが要望されている。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、平均粒径の制御が容易であり、且つ粒径分布のシャープな乳化液を製造できる乳化方法及び装置を提供することを目的とする。また、その乳化方法及び装置を用いて製造した乳化液、並びにその乳化液を用いて製造したマイクロカプセルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、外筒と、該外筒内に同軸状に配置される内筒との間隙に、水相と油相から成る被処理液を通過させるとともに、前記内筒を0.1〜100m/sec の範囲の周速で回転させることによって前記被処理液を乳化する乳化方法において、前記間隙の大きさd(mm)が0.01〜2mmの範囲で一定であるとともに、該間隙の大きさに対して前記内筒の軸方向の長さが2倍以上であった場合に、前記被処理液の粘度η(mPa・sec)、前記周速ω(m/sec) 、前記間隙の大きさd、及び前記間隙での被処理液の軸方向の平均流速v(m/sec) の関係が(1)η≦20のとき、5/ω<d≦10/ω、v≧0.3、(2)η≦20のとき、d>10/ω、v≧1.0、(3)20<η≦50のとき、10/ω<d≦20/ω、v≧0.3、(4)20<η≦50のとき、d>20/ω、v≧1.0、(5)50<η≦100のとき、d>20/ω、v≧0.3、のいずれかを満たすことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は前記目的を達成するために、外筒と、該外筒内に同軸状に配置される内筒と、前記内筒を0.1〜100m/sec の範囲の周速で回転させる回転駆動装置と、前記内筒と前記外筒との間隙に水相と油相から成る被処理液を供給する供給装置と、を備えた乳化装置において、前記間隙の大きさd(mm)が0.01〜2mmの範囲で一定であるとともに、該間隙の大きさに対して前記内筒の軸方向の長さが2倍以上であった場合に、前記被処理液の粘度η(mPa・sec)、前記間隙の大きさd、前記内筒の周速ω(m/sec) 、及び前記間隙での被処理液の軸方向の平均流速v(m/sec) の関係が、(1)η≦20のとき、5/ω<d≦10/ω、v≧0.3、(2)η≦20のとき、d>10/ω、v≧1.0、(3)20<η≦50のとき、10/ω<d≦20/ω、v≧0.3、(4)20<η≦50のとき、d>20/ω、v≧1.0、(5)50<η≦100のとき、d>20/ω、v≧0.3、のいずれかを満たすように前記周速ωと前記平均流速vを制御する制御装置を備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明の発明者は、内筒と外筒との間隙における被処理液の流れを解析し、この解析した流れと、製造されたマイクロカプセルの粒径分布との因果関係を調べたところ、間隙を流れる被処理液に渦流や乱流が発生した際にマイクロカプセルの粒径分布がブロードになるという知見が得られた。反対に、間隙の被処理液に渦流のない層流状態が形成された際は、マイクロカプセルの粒径分布がシャープになるという知見が得られた。さらに、間隙における被処理液の流れは、被処理液の粘度η、間隙の大きさd、内筒の周速ω、間隙での被処理液の軸方向の平均流速vの関係に応じて変化し、請求項1または請求項4に記載の関係式(1)〜(5)のいずれかを満たせば、渦流のない層流状態が形成されるという知見が得られた。
【0013】
本発明はこのような知見に基づいて成されたものであり、請求項1または請求項4に記載の発明によれば、粘度η、周速ω、間隙の大きさd、平均流速vが上記の関係式(1)〜(5)を満たすことによって、前記間隙を流れる被処理液には、渦流のない層流状態が形成される。したがって、間隙を流れる被処理液には剪断力が微視的にも均等に付与され、所望の平均粒径で、且つ粒径分布のシャープな乳化液を得ることができる。また、この乳化液を用いることによって、所望の平均粒径で、且つ粒径分布のシャープなマイクロカプセルを製造することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乳化方法を用いて乳化液を得ることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2の乳化液によってマイクロカプセルを製造することを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る乳化方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0017】
図1は、本発明に係る乳化装置を用いたマイクロカプセルの製造装置を示す全体構成図である。
【0018】
同図に示すように、製造装置12は主として、予備乳化槽14、乳化装置10、及びカプセル化槽16で構成される。
【0019】
予備乳化槽14には、水相と油相がそれぞれ適切な割合で供給される。また、予備乳化槽14には、攪拌翼18Aとモータ18Bからなる撹拌機18が設けられており、モータ18Bで攪拌翼18Aを回転させることによって、水相と油相が混合されて予備乳化液(以下、被処理液という)が調製される。
【0020】
予備乳化槽14内の被処理液は、ポンプ20を駆動することによって、配管22を介して乳化装置10に送液される。配管22には流量計38が設けられており、この流量計38によって乳化装置10に流れる被処理液の流量が測定される。
【0021】
乳化装置10は主として、外筒24と、外筒24内の内筒26で構成される。外筒24と内筒26はそれぞれの中心軸が鉛直になるようにして同軸上に重ねて配置される。したがって、内筒26と外筒24との間隙25は、どの位置においても一定の大きさで形成されている。この間隙25の大きさdは、製造するマイクロカプセルの大きさに応じて設定され、例えば0.01〜2mmの範囲で一定値に設定される。また、内筒26は軸方向の長さが、間隙25の大きさdの二倍以上になっている。
【0022】
外筒24は不図示の躯体に固定されており、内筒26はこの外筒24に回動自在に支持されている。内筒26の上端部には、モータ28が接続されており、このモータ28を駆動することによって内筒26が回転するようになっている。内筒26の回転速度(周速)は制御装置30によって制御される。制御装置30は、流量計38の測定値から、間隙25での軸方向の平均速度v(m/sec) を求める。そして、この平均流速v、予め測定された被処理液の粘度η(mPa・sec)、間隙25の大きさd(mm)、及び内筒26の周速ω(m/sec) が、以下の関係式(1)〜(5)のいずれかを満たし、所望の平均粒径となるように、モータ28とポンプ20を制御して周速ωと平均流速vを調節する。
【0023】
(1)η≦20のとき、5/ω<d≦10/ω、v≧0.3、
(2)η≦20のとき、d>10/ω、v≧1.0、
(3)20<η≦50のとき、10/ω<d≦20/ω、v≧0.3、
(4)20<η≦50のとき、d>20/ω、v≧1.0、
(5)50<η≦100のとき、d>20/ω、v≧0.3、
図3は、上記の関係式(1)〜(5)を説明する説明図である。図3において、曲線X、Y、Zはそれぞれ、d=5/ω、d=10/ω、d=20/ωを示す曲線である。また、領域A、B、C、Dは、曲線X、Y、Zによって区切られた領域である。
【0024】
η≦20の場合、dとωが曲線Xよりも上側で、且つ曲線Yよりも下側の領域(すなわち領域B)に属すようにωを制御するとともに、vが0.3以上になるように制御する(関係式(1))。或いは、dとωが曲線Yよりも上側の領域(すなわち領域C、D)に属すようにωを制御するとともに、vが1.0以上になるように制御する(関係式(2))。
【0025】
20<η≦50の場合、dとωが曲線Yよりも上側で、且つ曲線Zよりも下側の領域(すなわち領域C)に属すようにωを制御するとともに、vが0.3以上になるように制御する(関係式(3))。或いは、dとωが曲線Zよりも上側の領域(すなわち領域D)に属すようにωを制御するとともに、vが1.0以上になるように制御する(関係式(4))。
【0026】
50<η≦100の場合、dとωが曲線Zよりも上側の領域(すなわち領域D)に属すようにωを制御するとともに、vが0.3以上になるように制御する(関係式(5))。
【0027】
なお、上記の関係式(1)〜(5)において、被処理液の粘度ηは、間隙25での剪断速度相当の粘度の値が使用される。
【0028】
一方、外筒24はその側面の下端部に流入口24Aが形成されており、この流入口24Aには前記配管22が接続される。また、外筒24はその側面の上端部に流出口24Bが形成されており、この流出口24Bは配管34を介してカプセル化槽16に接続されている。したがって、流入口24Aから被処理液が外筒24内に供給されると、被処理液は、外筒24と内筒26との間隙25を上昇し、流出口24Bから排出される。なお、流入口24Aは、図2に示すように、外筒24の接線方向に被処理液が供給されるように形成することが好ましい。同様に、流出口24Bは、外筒24の接線方向に被処理液が排出されるように形成することが好ましい。
【0029】
図1に示すように、外筒24にはチラー32が接続されており、このチラー32によって温度制御された流体(例えば冷却水)が外筒24のジャケットに送液される。これにより、外筒24と内筒26との間隙25を通過する被処理液が所定の温度(例えば30℃)に制御される。
【0030】
上記の如く構成された乳化装置10では、内筒26を回転させることによって、内筒26と外筒24との間隙25を流れる被処理液に剪断力が付与され、被処理液が乳化される。この乳化液は、流出口24Bから排出され、配管34を介してカプセル化槽16に送液される。
【0031】
カプセル化槽16には、攪拌翼36Aとモータ36Bから成る攪拌機36が設けられている。カプセル化槽16に供給された乳化液は、ここで加熱、排気などのカプセル化処理が施され、マイクロカプセルが製造される。
【0032】
次に上記の如く構成された乳化装置10の作用について説明する。
【0033】
乳化装置10では、被処理液の粘度ηと間隙25の大きさdの値に応じて、被処理液の平均流速vと内筒26の周速ωとを制御し、上述した関係式(1)〜(5)のいずれかを満たすようにしている。このように、粘度η、間隙25の大きさd、周速ωだけでなく、平均流速vも制御することによって、粘度η、間隙25の大きさd、周速ωだけの関係では間隙25に渦が発生する条件であっても、渦の発生を防止できる。したがって、間隙25を流れる被処理液には、渦流のない層流状態が形成されるので、被処理液には、微視的にも均一な剪断力が付与される。これにより、所望の平均粒径で、且つ粒径分布のシャープな乳化液、マイクロカプセルを得ることができる。
【0034】
このようにして得られたマイクロカプセルは、所望する平均粒径に対して精度良く製造されており、且つ、粒径分布がシャープであるので、インク、農薬、医薬品、化粧品等の様々な分野での用途に適している。また、マイクロカプセルをシート状の支持体上に塗布することによって得られる感熱記録材料や感圧記録材料にも適している。さらに、マイクロカプセルを使用した電子ペーパー(デジタルペーパーともいう)、ペーパーディスプレイ、或いはドラッグデリバリーシステムにも適している。特に感圧記録材料や感熱記録材料に適用した場合には、マイクロカプセルの粒径分布がシャープになることによって、常に一定の圧力、温度で発色させることができる。また、電子ペーパーやペーパーディスプレイに適用した場合には、マイクロカプセルの粒径分布がシャープになることによって、表示画像を鮮明にすることができる。さらに、ドラッグデリバリーの場合には、マイクロカプセルの粒径分布がシャープになることによって、マイクロカプセルに内包した薬剤を、所望する患部に精度良く供給することができる。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
水を主溶媒としてゼラチンを5%含有した水相と、酢酸エチルを主溶媒とし、オイル、壁剤を含有した油相を調製した。そして、この水相と油相を、後述する予備乳化条件で予備乳化した。次に、この予備乳化液を後述する乳化条件(条件式(1)に相当…η=15mPa ・sec 、d=0.3mm、ω=30m/s 、v=0.4m/sec )で乳化し、さらに後述するカプセル化条件でカプセル化し、マイクロカプセルを作製した。作製したマイクロカプセルをSEM(走査型電子顕微鏡)で写真撮影し、画像処理解析装置で粒径分布を調べたところ、平均粒径0.5μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルであることが確認された。ここで、スパン値とは、ε:スパン値、d90:90%積算径(体積基準)、d50:50%積算径(体積基準)、d10:10%積算径(体積基準)とした際に、ε=(d90−d10)/d50で表される値である。また、粘度の測定は、HAAKE製の二重円筒式回転粘度計 Roto Visco RV1 で行った。
(予備乳化条件)
調製量…3kg、水相/油相混合重量比率…2/1、撹拌機…φ50mmプロペラ羽根、攪拌回転数…500rpm、攪拌時間…1min 、保温温度…40℃
(乳化条件)
送液流量…2277g/min 、内筒直径100.4mm、内筒長さ…100mm、外筒直径…101.0mm、外筒長さ…110mm、内筒回転数…5707rpm 、外筒冷却温度…0℃、間隙での剪断速度相当の粘度…15mPa ・sec
(カプセル化条件)
調製量…500g 、撹拌機…φ30mmプロペラ羽根、攪拌回転数…300rpm 、攪拌時間3hr、保温温度…40℃
(実施例2)
実施例1の乳化条件に対して、送液流量を760g/min に、内筒直径を100.8mmに、内筒回転数を11368rpm に変更し、他は実施例1と同じ乳化条件(条件式(1)に相当…η=15mPa ・sec 、d=0.1mm、ω=60m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.2μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルが得られた。
(実施例3)
実施例1の乳化条件に対して、送液流量を3033g/min に、内筒直径を100.2mmに、内筒回転数を3812rpm に変更し、他は実施例1と同じ乳化条件(条件式(1)に相当…η=15mPa ・sec 、d=0.4mm、ω=20m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径1.0μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルが得られた。
(実施例4)
実施例1の乳化条件に対して、送液流量を9099g/min に、内筒直径を100.2mmに、内筒回転数を7624rpm に変更し、他は実施例1と同じ乳化条件(条件式(2)に相当…η=15mPa ・sec 、d=0.4mm、ω=40m/s 、v=1.2m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.6μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルが得られた。
(実施例5)
実施例4の乳化条件に対して、送液流量を3033g/min に変更し、さらに、水相のゼラチン濃度を7%に変更し、他は実施例4と同じ乳化条件(条件式(3)に相当…η=40mPa ・sec 、d=0.4mm、ω=40m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.4μmでスパン値0.5のシャープな粒径分布のマイクロカプセルが得られた。
(実施例6)
実施例5の乳化条件に対して、送液流量を11361g/min に、内筒直径を100.0mm、内筒回転数を9549rpm に変更し、他は実施例5と同じ乳化条件(条件式(4)に相当…η=40mPa ・sec 、d=0.5mm、ω=50m/s 、v=1.2m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.5μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルが得られた。
(実施例7)
実施例6の乳化条件に対して、送液流量を3787g/min に変更するとともに、水相のゼラチン濃度を10%に変更し、他は実施例6と同じ乳化条件(条件式(5)に相当…η=80mPa ・sec 、d=0.5mm、ω=50m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.3μmでスパン値0.5の、粒径分布のシャープなマイクロカプセルが得られた。
(比較例1)
実施例1の乳化条件に対して、送液流量を3033g/min に、内筒直径を100.2mmに、内筒回転数を7624rpm に変更し、他は実施例1と同じ乳化条件(η=15mPa ・sec 、d=0.4mm、ω=40m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.5μmでスパン値0.9の、粒径分布のブロードなマイクロカプセルが得られた。
(比較例2)
実施例1と比較して、予備乳化条件、カプセル化条件を変更せずに、乳化方法のみを変更した。すなわち、乳化をφ30mmディゾルバーで行い、乳化条件を調製量500g、回転数13000rpm 、乳化時間10min としてマイクロカプセルを作製した。その結果、平均粒径0.5μmでスパン値1.0の粒径分布のブロードなマイクロカプセルが得られた。
(比較例3)
実施例5と比較して、送液流量を3787g/min に、内筒直径を100.0mm、内筒回転数を9549rpm に変更し、他は実施例5と同じ乳化条件(η=40mPa ・sec 、d=0.5mm、ω=50m/s 、v=0.4m/sec )でマイクロカプセルを製造した。その結果、平均粒径0.4μmでスパン値0.9の、粒径分布のブロードなマイクロカプセルが得られた。
(比較例4)
実施例5と比較して、予備乳化条件、カプセル化条件を変更せずに、乳化方法のみを変更した。すなわち、乳化をφ30mmディゾルバーで行い、乳化条件を調製量500g、回転数13000rpm 、乳化時間7min としてマイクロカプセルを作製した。その結果、平均粒径0.4μmでスパン値1.0の粒径分布のブロードなマイクロカプセルが得られた。
(比較例5)
実施例7と比較して、予備乳化条件、カプセル化条件を変更せずに、乳化方法のみを変更した。すなわち、乳化をφ30mmディゾルバーで行い、乳化条件を調製量500g、回転数13000rpm 、乳化時間3min としてマイクロカプセルを作製した。その結果、平均粒径0.3μmでスパン値1.0の粒径分布のブロードなマイクロカプセルが得られた。
(感熱記録材料の作製)
次に本発明の乳化方法及び装置を用いて感熱記録材料用のマイクロカプセルを製造し、感熱記録材料を作製する実施例について説明する。
【0036】
感熱記録材料の感熱記録層は、発色成分として、ジアゾニウム塩化合物または電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルが含まれており、このマイクロカプセルには、発色成分に応じて顕色剤であるカプラーあるいは電子受容性化合物が含まれている。顕色剤は、乳化分散あるいは固体分散されて微粒子化されている。感熱記録層は、後述の如く調製されたマイクロカプセル液と顕色剤の分散液を混合したものを支持体に塗布することにより形成される。
(マイクロカプセルの製造)
ジアゾニウム塩化合物または電子供与性染料前駆体を含むマイクロカプセルの製造は、まず、ジアゾニウム塩化合物または電子供与性染料前駆体およびマイクロカプセル壁材料を含む油相液と、水相液とを用意し、これらを本発明に係る乳化装置を用いて乳化分散させる。次いで、得られた乳化分散液を用いてマイクロカプセル化し、マイクロカプセルを得る。その際、乳化分散液に、界面活性性を有する水溶性高分子化合物を含む水溶液を加え、その後マイクロカプセル化することが好ましい。
【0037】
前記水相液としては、少なくとも界面活性性を有する水溶性高分子化合物を含む水溶液が用いられる。水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、例えばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは予め反応性をなくしておくことが必要である。
【0038】
マイクロカプセル化工程において、乳化分散液に、さらに、少なくとも界面活性性を有する水溶性高分子化合物を含む水溶液を加え、その後マイクロカプセル壁材料を反応させてマイクロカプセル壁を形成することが好ましい。この水溶液を加えることにより、反応過程でまれに生ずるマイクロカプセル粒子の凝集を防ぐことができる。加える水溶液は、反応後のマイクロカプセル分散液の固形分濃度が5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%になるように加えるのが適切である。なお、以下において、乳化分散時に油相液に加える水相液を第1水相液と、また、マイクロカプセル化時に乳化分散液に加える水相液を第2水相液ということがある。
【0039】
第2水相液に添加する少なくとも界面活性性を有する水溶性高分子化合物としては、第1水相液に含ませる水溶性高分子化合物が同様に用いられる。第2水相液における水溶性高分子化合物の含有濃度は、1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%であることが望ましい。
【0040】
一方、前記油相液の調製は、ジアゾニウム塩化合物または電子供与性染料前駆体、マイクロカプセル壁材料、及びこれらに必要に応じて各種添加剤を、水に難溶または不溶の有機溶剤に溶解させることにより行われる。
【0041】
有機溶剤としては、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤及び/又はりん酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系、フェノール系、エーテル系、モノオレフィン系、エポキシ系などが挙げられる。具体例としては、りん酸トリクレジル、りん酸トリオクチル、りん酸オクチルジフェニル、りん酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコールなどの高沸点オイルが挙げられるが、この中でも特にアルコール系、りん酸エステル系、カルボン酸系エステル系、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが好ましい。更に上記高沸点オイルにヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。また、オイルとしては、特に不飽和脂肪酸を有するものが望ましく、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。α−メチルスチレンダイマーには、例えば、三井東圧化学社製の商品名「MSD100」等がある。
【0042】
前記ジアゾニウム塩化合物とは下記式により表される化合物であり、加熱によりカプラーとカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
Ar−N2 + X− ( 式中、Arは芳香族部分を示し、X− は酸アニオンを示す。)
塩を形成するジアゾニウムの具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−[N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−[N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−[N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−[ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ]ベンゼンジアゾニウム、2−ベンジルスルホニル−4−[N−メチル−N−(2−オクタノイルオキシエチル)]アミノベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0043】
ジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するカプラーとしては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラーはすべてカプラーとして使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
【0044】
具体例を挙げると、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等がある。カプラーの詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特願平5−278608号、特願平5−297024号、特願平6−18669号、特願平6−18670号、特願平7−316280号、特願平8−027095号、特願平8−027096号、特願平8−030799号、特願平8−12610号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−069990号等に記載されている。
【0045】
マイクロカプセルに内包される電子供与性染料前駆体としては、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物などが挙げられ、とりわけトリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が発色濃度が高く有用である。これらの一部を例示すれば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0046】
電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
【0047】
増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル等が挙げられる。
【0048】
マイクロカプセルの壁材料は高分子物質が好ましく、その具体例としては、例えばポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらのうち特に好ましい壁剤としてはポリウレタン・ポリウレア樹脂である。ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルは、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化すべき芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0049】
ここで多価イソシアネート化合物の具体例の一部を以下に示す。例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。また必要に応じ二種類以上の併用も可能である。これらのうち特に好ましいものは分子内にイソシアネート基を三個以上有するものである。
【0050】
また、感熱記録材料の感熱記録層に含ませる前記カプラーあるいは電子受容性化合物は乳化分散あるいは固体分散して微粒子化するが固体分散して用いることが好ましい。本発明の感熱記録材料は、前記のようにして調製したマイクロカプセル分散液とカプラーあるいは電子受容性化合物の分散液を混合し、これを支持体に塗布して感熱記録層を形成することにより作製することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る乳化方法及び装置によれば、被処理液の粘度η、内筒と外筒の間隔の大きさd、内筒の周速ω、及び間隙での被処理液の軸方向の平均流速vが所定の関係を満たすようにしたので、間隙を流れる被処理液には、渦流のない層流状態が形成される。したがって、被処理液に均等な剪断力が付与されるので、液滴が均等な大きさに分散された乳化液を製造することができ、この乳化液を用いることによって粒径分布のシャープなマイクロカプセルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る乳化装置が適用されたマイクロカプセルの製造装置を示す全体構成図
【図2】乳化装置を示す斜視図
【図3】関係式(1)〜(5)の説明図
【符号の説明】
10…乳化装置、12…製造装置、14…予備乳化槽、16…カプセル化槽、18…攪拌機、20…ポンプ、22…配管、24…外筒、25…間隙、26…内筒、28…モータ、30…制御装置、32…チラー、34…配管、36…撹拌機、38…流量計
Claims (4)
- 外筒と、該外筒内に同軸状に配置される内筒との間隙に、水相と油相から成る被処理液を通過させるとともに、前記内筒を0.1〜100m/sec の範囲の周速で回転させることによって前記被処理液を乳化する乳化方法において、
前記間隙の大きさd(mm)が0.01〜2mmの範囲で一定であるとともに、該間隙の大きさに対して前記内筒の軸方向の長さが2倍以上であった場合に、
前記被処理液の粘度η(mPa・sec)、前記周速ω(m/sec) 、前記間隙の大きさd、及び前記間隙での被処理液の軸方向の平均流速v(m/sec) の関係が
(1)η≦20のとき、5/ω<d≦10/ω、v≧0.3、
(2)η≦20のとき、d>10/ω、v≧1.0、
(3)20<η≦50のとき、10/ω<d≦20/ω、v≧0.3、
(4)20<η≦50のとき、d>20/ω、v≧1.0、
(5)50<η≦100のとき、d>20/ω、v≧0.3、
のいずれかを満たすことを特徴とする乳化方法。 - 請求項1に記載の乳化方法を用いて得られることを特徴とする乳化液。
- 請求項2に記載の乳化液を用いて製造されることを特徴とするマイクロカプセル。
- 外筒と、該外筒内に同軸状に配置される内筒と、前記内筒を0.1〜100m/sec の範囲の周速で回転させる回転駆動装置と、前記内筒と前記外筒との間隙に水相と油相から成る被処理液を供給する供給装置と、を備えた乳化装置において、
前記間隙の大きさd(mm)が0.01〜2mmの範囲で一定であるとともに、該間隙の大きさに対して前記内筒の軸方向の長さが2倍以上であった場合に、
前記被処理液の粘度η(mPa・sec)、前記間隙の大きさd、前記内筒の周速ω(m/sec) 、及び前記間隙での被処理液の軸方向の平均流速v(m/sec) の関係が、
(1)η≦20のとき、5/ω<d≦10/ω、v≧0.3、
(2)η≦20のとき、d>10/ω、v≧1.0、
(3)20<η≦50のとき、10/ω<d≦20/ω、v≧0.3、
(4)20<η≦50のとき、d>20/ω、v≧1.0、
(5)50<η≦100のとき、d>20/ω、v≧0.3、
のいずれかを満たすように前記周速ωと前記平均流速vを制御する制御装置を備えたことを特徴とする乳化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003208968A JP2005066393A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | 乳化方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003208968A JP2005066393A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | 乳化方法及び装置 |
Publications (1)
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JP2005066393A true JP2005066393A (ja) | 2005-03-17 |
Family
ID=34402047
Family Applications (1)
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JP2003208968A Pending JP2005066393A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | 乳化方法及び装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005066393A (ja) |
-
2003
- 2003-08-27 JP JP2003208968A patent/JP2005066393A/ja active Pending
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