JP2005065768A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のスピーカを遊技機の遊技領域を囲むように備え、表示装置に遊技に応じて図柄を変動表示するとともに、その図柄が移動する方向に合わせてスピーカから出力される楽音の音像位置が遊技領域上で移動するように制御する。よって遊技に対する楽音の寄与率を高めることができる。
【選択図】 図43
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機やスロットマシンなどに代表される遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スロットマシンやパチンコ機の遊技の制御は、MPUの利用などにより高度化が図られ、特に識別情報の変動表示については改良が重ねられてきている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−46633号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの遊技機における遊技に応じた識別情報の変動表示に対し、発生される楽音の制御については、種々の楽音を遊技に基づいて発生するだけのものであり、遊戯の演出に対する寄与率が低いというのが現状である。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、遊技機における遊技に基づいた楽音を放音する複数の放音部を備えた遊技機において、遊技に対する楽音の寄与率を高めることのできる遊技機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、遊技に応じた楽音を放音する複数の放音部を備えた遊技機において、前記複数の放音部は、直線上に配置される少なくとも2つの放音部とその直線上でなく、その直線と交差する直線上に配置される少なくとも1つの放音部により構成され、遊技の態様に基づいて、前記複数の放音部により形成される平面領域内に位置するように、楽音の音像の位置を制御する楽音制御手段を備えている。
【0007】
【発明の効果】請求項1記載の遊技機によれば、遊技の態様に基づいて複数の放音部により形成される平面領域内に位置するように楽音の音像位置を制御するので、楽音の音像位置を制御したり音像を移動制御することにより楽音による演出に対する寄与率を高めることができるという効果がある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、後述する外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。
【0009】
図1及び図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。よって、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて、構成部材の再利用が容易にされている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11を樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成するようにしてもよい。
【0010】
内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂により構成されている。ABS樹脂は、材料コストが安価で、メッキ等ののりが良く装飾性に優れ、耐衝撃性が大きいので、内枠12の構成材料として好適である。内枠12の開閉軸線は、パチンコ機10の正面からみて遊技球発射ハンドル18の設置箇所の反対側に上下に延設されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に開放できるようにされている。開閉軸線は遊技球発射ハンドル18の反体側に設けられているので、内枠12を大きく開放することができる。通常パチンコホールでは、パチンコ機10は互いに隣接して配設されるので、開閉軸線を遊技球発射ハンドル18側に設けると、内枠12と共に開放される遊技球発射ハンドル18が隣のパチンコ機10に当接して開放量が減少してしまうからである。
【0011】
内枠12には、その最下部に下皿ユニット13が取り付けられると共に、下皿ユニット13を除く範囲で内枠12を覆うようにして前面枠セット14が取り付けられている。下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。また、前面枠セット14は、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。この内枠12の外周には、前面側へ突設された外周壁が形成されており、その外周壁の内側に前面枠セット14が配設される。即ち、内枠12に前面枠セット14を取り付けた状態では、前面枠セット14の側面外周は、内枠12の外周壁により囲繞されるので、内枠12と前面枠セット14との間への針金等の挿入を困難なものにして、不正行為を抑制することができる。
【0012】
内枠12の上部には、円柱状に突出した押しボタン型の開閉スイッチ25が設けられている。この開閉スイッチ25は、前面枠セット14の開閉状態を検出するためのスイッチである。前面枠セット14が内枠12に対して閉じられている場合には開閉スイッチ25が押圧状態となり、逆に、前面枠セット14が内枠12に対して開放されている場合には開閉スイッチ25は非押圧の突出状態となって、前面枠セット14の開閉状態を検出する。また、内枠12の左上部(図2参照)には、配線孔26が穿設されている。配線孔26は、前面枠セット14の配線を内枠12を通過させて遊技盤30の裏面に配線するための孔である。配線孔26の角部にはRが形成されており、配線孔26内に配線される各コードが、角部で損傷しないようにされている。なお、図4に示す通り、遊技盤30の左上部にも配線孔26に対応して、配線孔37が穿設されている。
【0013】
図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示した正面図である。図3では、便宜上、遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している。図3に示すように、下皿ユニット13には、ほぼ中央部に球受皿としての下皿15が設けられ、排出口16から排出された遊技球が下皿15内に貯留可能に構成されている。下皿ユニット13は、内枠12と同様に、難燃性のABS樹脂により形成されている。必ずしも、この下皿15のすべてをABS樹脂で形成することは必要でないが、少なくとも下皿15の表面部分、即ち下皿15の表面層と下皿15奥方の前面パネルとをABS樹脂で形成することが好ましい。下皿15には、火のついた煙草が放置される危険があるので、少なくともその表面部分を難燃性のABS樹脂で形成することにより、パチンコ機10の損傷や火災の発生を抑止できるからである。
【0014】
下皿15の正面下方部には、下皿15に貯留された遊技球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー17が設けられている。この球抜きレバー17は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿15の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から遊技球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー17の操作は、通常、下皿15の下方に、下皿15から排出された遊技球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。また、下皿15の右方には、遊技球発射ハンドル18が下皿ユニット13から手前側へ突出した状態で配設されると共に、下皿15の左方には灰皿が片持状に取着されている。灰皿は下皿15に回転可能に取着された軸と共に手前方向及び奥方向へ回転可能にされている。このように、下皿15の一側に遊技球発射ハンドル18を、他側に灰皿を配設することにより、下皿ユニット13の左右の美的バランスを保ってパチンコ機10の装飾性を向上させている。
【0015】
一方、図1に示すように、下皿15の上方における前面枠セット14には、球受皿としての上皿19が一体的に設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置へ導出するためのものである。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方において内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。これは、本実施の形態の前面枠セット14は、従来のパチンコ機より大きく形成した遊技領域を外部から視認できるようにするために略楕円形状に大きく欠成された窓部101を備えているので、前面枠セット14の強度を少しでも向上させるべく、該前面枠セット14に上皿19を一体化して形成しているのである。この上皿19も下皿15と同様に、少なくとも表面層が難燃性のABS樹脂にて形成されている。なお、遊技領域が、従来のパチンコ機に比べて如何に大きく形成されているかについては後述する。
【0016】
また、図3において、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。この樹脂ベース20の後側には、遊技盤30が内枠12に対して着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板より構成され、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。即ち、遊技盤30を、従来のパチンコ機と同等サイズで形成しつつ、遊技領域を、従来のパチンコ機より大きく形成しているのである。
【0017】
次に、図4を参照して遊技盤30の構成を説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、大物口(始動口)33、小物門(スルーゲート)34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30の前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、大物口33に遊技球が入球し、後述する検出スイッチから所定の出力がなされると、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0018】
可変表示装置ユニット35には、小物門34の遊技球の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する小物図柄表示装置41と、大物口33への遊技球の入賞をトリガとして特別図柄を変動表示する図柄表示装置としての大物図柄表示装置42とが設けられている。小物図柄表示装置41は、普通図柄用の表示部43と保留ランプ44とを有し、遊技球が小物門34を通過する毎に、表示部43において表示図柄(普通図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に大物口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球の小物門34の通過回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44に点灯表示される。なお、普通図柄の変動表示は、本実施の形態のように、表示部43において複数のランプの点灯を切り換えることにより行うものの他、大物図柄表示装置42(液晶表示装置)の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、保留ランプ44の点灯についても、大物図柄表示装置42の一部で行うようにしても良い。
【0019】
大物図柄表示装置42は液晶表示装置により構成されており、後述する表示制御装置45によって表示内容が制御される。大物図柄表示装置42には、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして大物図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお、本実施の形態では、大物図柄表示装置42は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット35には、この大物図柄表示装置42を囲むようにして、センターフレーム47が配設されている。
【0020】
可変入賞装置32は、その中央部に横長矩形状に形成された大入賞口を備えている。大入賞口は、通常時は、遊技球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。詳しくは、大物口33に遊技球が入賞すると、大物図柄表示装置42で図柄が変動表示され、その停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組合せとなったことを必要条件に特別遊技状態が発生する。特別遊技状態が発生すると、可変入賞装置32の大入賞口が、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)、即ち所定の開状態となるよう構成されている。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数繰り返し開放される(開状態となる)。
【0021】
遊技球が大物口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。この保留ランプ46は、最大保留数分の4つ設けられ、大物図柄表示装置42の上方にバランス良く配設されている。なお、保留ランプ46を削除して、その点灯を、大物図柄表示装置42の一部で行うようにしても良い。
【0022】
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて遊技領域に案内される。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール部51と外レール取付部52とを有する。内レール部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成されると共に、外レール取付部52は、その一部(主に左側部)が内レール部51に向かい合うようにして形成されている。これら内レール部51と外レール取付部52とにより誘導レールが構成され、この内レール部51と外レール取付部52とが所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、即ち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0023】
内レール部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール部51及び外レール取付部52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、外レール取付部52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール取付部52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって、勢いが減衰されて跳ね返される。外レール取付部52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、長尺状のステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
【0024】
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされる。更に、本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、即ち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
【0025】
内レール部51及び外レール取付部52間の球案内通路の入口には、その球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール部51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)へ導くためのものである。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられており、この貼着スペースK1,K2を確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。このように、遊技盤30自体に証紙等の貼着スペースK1,K2を設けているので、証紙を遊技盤30に直接貼付することにより、その証紙により遊技盤30を一義的に特定することができる。即ち、遊技盤の不正な交換を容易に発見することができる。
【0026】
従来のパチンコ機では、レールは遊技盤に直接打ち込まれていた。しかし、上述するように本実施の形態のパチンコ機10では、レールユニット50は、フランジ56にネジ等が挿通されて遊技盤30に締結されている。即ち、本実施の形態では、遊技盤30を、従来のパチンコ機と同等サイズで形成しつつ、遊技領域を、従来のパチンコ機より大きく形成しているので、レールを遊技盤に直接打ち込むことができないので、レールユニット50をフランジ56と共に樹脂で一体成形し、このフランジ56をネジ止め等して遊技盤30に締結している。かかる構成を採用した本実施の形態によれば、廃棄時にレールユニット50を遊技盤30から容易に取り外すことができるので、樹脂成形されるレールユニット50を容易にリサイクルすることができる。なお、遊技球の発射を安定して行わせるために、遊技球の発射側のレールユニット50は、より多くのネジにより他のレールユニット50の部分に増してしっかりと固定されている。このレールユニット50を構成する樹脂材料としては、摩擦抵抗の小さいフッ素入りのポリカーボネートが好適である。
【0027】
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部に略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール取付部52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール取付部52の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール部51の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
【0028】
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール部51及び外レール取付部52によって囲まれる領域のうち、内レール部51及び外レール取付部52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール取付部52によってではなく内レール部51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール部51によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール取付部52によって特定される。従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
【0029】
ここで、遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更に460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。即ち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更には460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。即ち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
【0030】
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。更に好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。更には、80%以上であってもよい。
【0031】
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
【0032】
なお、可変表示装置ユニット35の両側に位置する小物門34は、該小物門34を通過した遊技球が遊技領域の中央へ寄せられる案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張された構成でも、遊技球を遊技領域中央の大物口33や可変入賞装置32の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞し難くなることによる興趣の低下を抑制することができる。更には、遊技領域が左右方向に拡張されているので、風車、小物門34、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、可変表示装置ユニット35の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができる。また、遊技領域が上下方向にも拡張されているので、更に風車、小物門34、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができる。
【0033】
図3に戻って説明する。前記樹脂ベース20において、窓孔21の下方(遊技盤30の下方)には、遊技球発射装置より発射された直後の遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後、前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて遊技領域に案内される。
【0034】
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないので、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くすると共に発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(即ち発射レール61を立ち上げるようにし)、更に発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保している。これにより、遊技球発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合、特に、発射レール61を、遊技球発射装置の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。
【0035】
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間が形成され、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15へ排出される。本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール61の先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
【0036】
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール取付部52に沿って流れ、外レール取付部52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール部51側へ跳ね上がるものもある。跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内される。よって、ファール球と次に発射される遊技球との干渉を抑制することができる。
【0037】
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側とにそれぞれガイド部材65,66を設置したので、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球は常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作を実現できる。
【0038】
また、遊技球発射装置には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射される。この打球槌に関しては軽量化が望まれているので、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなる。
【0039】
排出口67は上皿19に通じており、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される(払い出される)。排出口67には開閉式のシャッタ68が取り付けられており、前面枠セット14を開放した状態(図3の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ68が排出口67を閉鎖するように構成されている。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられるように構成されている。従って、前飾り枠が省略され前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
【0040】
図3に示すように、樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部の貼着スペースK1に張られたシール等は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
【0041】
図3における内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。また、前面枠セット14の図5の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14を開閉可能に装着することができる。更に、支持金具81の支持孔83は切欠を有し、且つ図5に図示する通り支持金具151の下端部は細く形成されているので、支持金具151を支持孔83から完全に抜かなくても、支持金具151の細い部分を支持孔83の切欠に通すことによって前面枠セット14を内枠12(パチンコ機10)から容易に取り外すことができる。
【0042】
次に、図1及び図5を参照して、前面枠セット14について説明する。図5は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には、遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。この窓部101の略中央部を直線状に形成してもよい。本実施の形態において、窓部101の上端(外レール取付部52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、大型の可変表示装置ユニット35を比較的上方に配置することができる。なお、前面枠セット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、更に望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
【0043】
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図5では右側に示されている)、即ち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1及び図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール取付部52の左端部はもちろん、内レール部51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール取付部52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール部51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
【0044】
加えて、前面枠セット14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行って、大当たり中であることを報知する。更に、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。
【0045】
また、遊技に応じた音声を出力するためのスピーカが中央電飾部103の左側方にスピーカ561と右側方にスピーカ562が設けられている。これらのスピーカの外側には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。
【0046】
また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂が取り付けられた小窓107が設けられている。環状電飾部102が手前に凸に形成されているのに対し、小窓107は平らに形成されている。前述した通り、小窓107の背面には、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられているので、そこに貼着されたシール等の内容を、スキャナなどの読み取り装置によって光学的に読み取り可能とするために平らにされているのである。また、小窓107部分を平らに形成することによって、2台のパチンコ機10間に配設される球貸機(図示せず)の貸し球レールがパチンコ機10から遊技者側へ出っ張らないようにして、球貸機を配設することができる。
【0047】
窓部101の下方には貸球操作部120が配設されている。貸球操作部120には、球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化を図ることができる。上皿19の上方左側には、スピーカ563と、上方右側にスピーカ564とが設けられ、このパチンコ機10には、合計4つのスピーカが設けられている。
【0048】
図5に示すように、前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図5の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。この樹脂パーツ135により、金属製の補強板131〜134が前面枠セット14にて環状にループ接続されるのを防いでいる。金属製の補強板131〜134が環状にループ接続されていると、遊技球の発射動作に伴う電磁ノイズが遊技盤30の前面に配設された前面枠セット14の周囲をループし、遊技盤30に悪影響を及ぼして、パチンコ機10の誤動作を誘発するが、本実施の形態のパチンコ機10では、樹脂パーツ135により、金属製の補強板131〜134の環状接続を回避しているので、かかるノイズの悪影響を抑制することができる。なお、金属製の補強板131〜134の一部に樹脂パーツ135を使用することによる強度の低下は、その樹脂パーツ135にリブを設けたり、樹脂パーツ135の厚さを増して、補っている。
【0049】
図5の右側の補強板131には、その中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりを防止することができる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等を抑制することができる。
【0050】
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となって、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないように機能している。
【0051】
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着される。
【0052】
前述の通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内レール部51及び外レール取付部52により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール取付部52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。
【0053】
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うように前面枠セット14の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール部51のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区間において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
【0054】
また、レールカバー140の右端部(即ち、レールカバー140を前面枠セット14に取着した図5の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール取付部52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
【0055】
更に、レールカバー140には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ図5の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた場合には、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール部51にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良い。かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させ難くなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
【0056】
次に、図6から図11を参照して、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図6はパチンコ機10の背面図であり、図7はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示した分解斜視図である。図8は、パチンコ機10裏面における第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203の配置を示す模式図であり、図9は、内枠12及び遊技盤30の構成を示す背面図である。図10は、内枠12を後方より見た斜視図であり、図11は、遊技盤30を後方より見た斜視図である。
【0057】
先ずはじめに、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10の背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、更に、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称する。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成について後述する。
【0058】
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更にこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0059】
実際には、図8の概略図に示すように、各ユニット201〜203が配置され、取り付けられている。なお、図8において、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
【0060】
第1制御基板ユニット201には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1の軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット201が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
【0061】
また、第2制御基板ユニット202には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4の軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット202が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
【0062】
更に、裏パックユニット203には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット203が開閉可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
【0063】
各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。
【0064】
一方、図9は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態を示す背面図である。また、図10は、内枠12を後方より見た斜視図であり、図11は、遊技盤30を後方より見た斜視図である。ここでは図9〜図11を用いて、内枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。
【0065】
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り替え可能に構成されている。図9は、係止固定具211,212がロック位置にある状態を示している。遊技盤30の左右3カ所の係止固定具211は、金属片を折り曲げ形成したL型の金具で構成され、遊技盤30を固定した状態では内枠12の外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具で構成される。
【0066】
遊技盤30の中央には、可変表示装置ユニット35が配置されている。可変表示装置ユニット35においては、センターフレーム47(図4参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる大物図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
【0067】
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成型品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般入賞口31、可変入賞装置32、大物口33(それぞれ図4参照)の遊技盤開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10の外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図9に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、更に排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10の外部に排出される。
【0068】
上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に裏枠セット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤30を内枠12から取り外す際において、排出通路盤217が遊技盤30の取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
【0069】
なお、排出通路盤217は、パチンコ機10前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられているので、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、更にその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機10の前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金等を利用して可変入賞装置32(大入賞口)を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
【0070】
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などへの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32には、特定領域スイッチ222とカウントスイッチ223とが設けられている。特定領域スイッチ222は、大当たり状態で可変入賞装置32に入賞した遊技球が特定領域(大当たり状態継続を判定するための領域)に入ったことを判定するスイッチであり、カウントスイッチ223は入賞球をカウントするスイッチである。また、大物口33に対応する位置には作動口スイッチ224が設けられ、小物門34に対応する位置にはゲートスイッチ225が設けられている。
【0071】
入賞口スイッチ221及びゲートスイッチ225は、図示しない電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、更にこの盤面中継基板226が後述する主基板(主制御装置261)に接続されている。また、特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223は大入賞口中継基板227に接続され、更にこの大入賞口中継基板227がやはり主基板に接続されている。これに対し、作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主制御装置261に接続されている。
【0072】
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口を開放するための大入賞口ソレノイドと、入賞球を特定領域に導くための入賞球振分板ソレノイドが設けられ、大物口33には、電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。なお、図9において、パチンコ機10の裏面左下方部には打球槌等を備えるセットハンドル228が配設され、その右横には発射モータ229が配設されている。
【0073】
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(即ち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。
【0074】
裏枠セット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる支持金具231が設けられ、この支持金具231には同一軸線上に上下一対の支持孔231aが形成されている。その他、遊技盤30の右下部には上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)232が設けられ、同左上部には係止爪片233が設けられている。
【0075】
内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12の右端部には、図12に示す長尺状の支持金具235が取り付けられている。図12に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット202用の支持孔部237が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット203用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット202用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット203用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット202用の支持金具と裏パックユニット203用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具である。
【0076】
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。即ち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている。また、内枠12の下端部には、下皿15に設置されたスピーカの背後を囲むための樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
【0077】
次に、図13〜図16を参照して、第1制御基板ユニット201を説明する。図13は第1制御基板ユニット201の正面図であり、図14は同ユニット201の斜視図であり、図15は同ユニット201の分解斜視図であり、図16は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
【0078】
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
【0079】
封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図14等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結される。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。即ち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0080】
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261又は表示制御装置45からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して表示制御装置45及び音声ランプ制御装置262に出力される。
【0081】
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明又は半透明の樹脂成型品であっても良い。
【0082】
一方の基板搭載面252上には、主制御装置261が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上には、音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置される。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているので、これら基板搭載面252,253に主制御装置261及び音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図14等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できると共に、各制御装置を効率良く設置できる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、可変入賞装置32やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
【0083】
図15及び図16に示すように、主基板用の基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ボックス263には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合を回避できる。また、主制御装置261は第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
【0084】
取付台251には、図14等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図9等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図9等に示す被締結孔232にはめ込むと共に、長孔258に図9等に示す係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定される。なお、支持金具231及び支軸256が前記図8の支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ257が締結部M2に、係止爪片233及び長孔258が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
【0085】
次に、図17〜図19を参照して、第2制御基板ユニット202を説明する。図17は第2制御基板ユニット202の正面図であり、図18は同ユニット202の斜視図であり、図19は同ユニット202の分解斜視図である。
【0086】
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機10の前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
【0087】
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
【0088】
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ358a部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータ358aが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0089】
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されるので、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
【0090】
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源装置313の基板ボックス317上に払出制御装置311が搭載されている。
【0091】
また、取付台301には、図17等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図9等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図9等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部237及び支軸305が前記図8の支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が締結部M5に、それぞれ相当する。
【0092】
次に、図20及び図21を参照して、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、図20はパチンコ機10の背面から見た裏パックユニット203の背面図を示しており、図21はその分解斜視図を示している。
【0093】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置45等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
【0094】
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。即ち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、更にタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図21に示す払出通路359等を通じて前記上皿19に供給される。
【0095】
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取り付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際には、バイブレータ360を駆動することによって球詰まりを解消できるようになっている。このバイブレータ360は、ユニット化されているので、タンクレール356へ容易に取り付けることができる。
【0096】
図22を参照してタンクレール356の構成ついて詳述すると、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有し、レール本体361の始端部には球面状の球受部362が設けられている。この球受部362により、タンク355から落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれる。また、レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、この仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋又は2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に開口部365が設けられている。
【0097】
また、レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。この整流板367は、下流側になるほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、更にその下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが解消される。なお、レール本体361は、黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は透明のポリカーボネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
【0098】
図20及び図21に戻って説明する。払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0099】
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
【0100】
また、裏パック351には、図20等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図9等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図9等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図9等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。固定具242及び係止孔387の部分にナイラッチを使用しないのは、図20における係止孔387の左隣に遊技球を貯留するタンク355が設けられるので、この部分を強固に固定するためである。固定具242の固定時には、図9等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。なお、支持孔部238及び支軸385が前記図8の支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が締結部M7に、固定具242及び係止孔387が係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が係止部M9に相当する。
【0101】
次に、図23を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0102】
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
【0103】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア503aへの書き込みはNMI割込処理(図33参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図26参照)において実行される。なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0104】
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、表示制御装置45や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
【0105】
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0106】
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
【0107】
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア513aへの書き込みはNMI割込処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0108】
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
【0109】
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
【0110】
表示制御装置45は、小物図柄表示装置41における小物図柄(普通図柄)の変動表示と、大物図柄表示装置42における大物図柄(特別図柄)の変動表示とを制御するものである。表示制御装置45は、MPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力側には主制御装置261の出力側が接続され、入力ポート527の出力側には、MPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力側には小物図柄表示装置41や、音声ランプ制御装置262が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力側には大物図柄表示装置42が接続されている。
【0111】
表示制御装置45のMPU521は、主制御装置261から送信される図柄表示コマンドに基づいて小物図柄表示装置41及び大物図柄表示装置42の表示を制御する。ROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
【0112】
ビデオRAM524は、大物図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き替えることにより、大物図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、大物図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して大物図柄表示装置42に表示させるものである。
【0113】
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323を有するRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては、払出制御装置311を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
【0114】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
【0115】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323が押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップエリア503a,513aのデータをクリアする。
【0116】
ここで、図24を参照して、大物図柄表示装置42の表示内容について説明する。大物図柄表示装置42には、上段・中段・下段の3つの図柄列が表示される。各図柄列は、多数の図柄により構成され、これらが周期性をもって右から左へとスクロールするように変動表示される。大物図柄表示装置42には、各図柄列毎に上・中・下の3段に大物図柄が表示される。従って、大物図柄表示装置42には、3段×3列の計9個の大物図柄が表示される。また、大物図柄表示装置42には、5つの有効ライン、即ち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、上段図柄列→下段図柄列→中段図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして、大当たり動画が表示される。上段の停止図柄と同一の下段の停止図柄とが、この有効ラインを形成する場合、このラインを特にリーチラインと呼ぶ。従って、リーチラインが形成され、中段の同一の図柄がこのリーチライン上で停止すると大当たりである。
【0117】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本実施の形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や大物図柄表示装置42の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図25に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大物図柄表示装置42の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、大物図柄表示装置42が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、大物図柄表示装置42の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2と、上段列、中段列及び下段列の各外れ図柄の設定に使用する上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。また、小物図柄表示装置41の抽選には小物図柄乱数カウンタC4が用いられる。
【0118】
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、MPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、大物口33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
【0119】
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜676)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が大物口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。なお、高確率時とは、大物図柄の組合せが予め定められた確率変動図柄の組合せによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない時をいう。
【0120】
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、大物図柄表示装置42の変動停止時の図柄を決定するものであり、本実施の形態では、大物図柄表示装置42において有効ラインが5ラインであり、特定図柄(主図柄)が10通り設定されているので、50個(0〜49)のカウンタ値が用意されている。即ち、大当たり図柄カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が大物口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
【0121】
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、リーチ乱数カウンタC3=0,1は前後外れリーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=2〜21は前後外れ以外リーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=22〜238は完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、大物図柄表示装置42の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が大物口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
【0122】
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。
【0123】
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、大物図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、大物図柄表示装置42による大物図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
【0124】
上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に上段列大物図柄、中段列大物図柄、下段列大物図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列では主図柄及び副図柄の合わせて20の大物図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより上段図柄列の左・中・右の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中段図柄列の左・中・右の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより下段図柄列の左・中・右の各図柄が決定される。
【0125】
本実施の形態では、MPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する。即ち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、大物図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
【0126】
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
【0127】
小物図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。小物図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかの小物門(スルーゲート)34を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」である。
【0128】
次に、図26から図33のフローチャートを参照して、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ミリ秒(以下「ms」で表す)周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
【0129】
図31は、タイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置261のMPU501により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S601)。即ち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。次に、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S602)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0130】
更に、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する(S603)。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。その後は、大物口33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する(S604)。
【0131】
図32のフローチャートを参照して、この始動入賞処理を説明する。まず、遊技球が大物口33に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチ224の検出情報により判別する(S701) 。遊技球が大物口33に入賞したと判別されると(S701:Yes)、大物図柄表示装置42の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S702)。大物口33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であれば(S702:Yes)、作動保留球数Nを1加算し(S703)、更に、前記ステップS603で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S704)。一方、大物口33への入賞がないか(S701:No)、或いは、大物口33への入賞があっても作動保留球数N<4でなければ(S702:No)、S703及びS704の各処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。始動入賞処理の終了後は、MPU501は本タイマ割込処理を一旦終了する。
【0132】
なお、遊技球が大物口33に入賞(始動入賞)した場合、それに伴い大物図柄表示装置42による大物図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後、大物図柄が変動し図柄停止に至るまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞が確認された場合、各カウンタ値の格納処理(S704)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットする。具体的には、上記始動入賞処理は2ms周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C3の値と共に、RAM503の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する大物図柄の変動パターン設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に図柄変動が停止されるよう)変動パターンが設定される。
【0133】
図33は、NMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置261のMPU501により実行される。このNMI割込処理により、電源遮断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から主制御装置261内のMPU501のNMI端子に出力され、MPU501は実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始する。図33のNMI割込処理のプログラムは、主制御装置261のROM502に記憶されている。停電信号SG1が出力された後所定時間は、主制御装置261の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
【0134】
NMI割込処理では、まず、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し(S801)、スタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する(S802)。更に、電源遮断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し(S803)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する(S804)。RAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する(S805)。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後は、RAM503のアクセスを禁止して(S806)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
【0135】
なお、上記のNMI割込処理は、払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、停電の発生等による電源遮断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされるのも同様である。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から払出制御装置311内のMPU511のNMI端子に出力され、MPU511は実行中の制御を中断して図33のNMI割込処理を開始する。その内容はステップS804の電源遮断通知コマンドの送信を行なわない点を除き上記説明と同様である。
【0136】
図26は、主制御装置261内のMPU501により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。メイン処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262、払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(例えば1秒程度)を実行する。払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信した後(S102)、RAM503のアクセスを許可する(S103)。
【0137】
その後は、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS114へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM503のバックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS114へ移行する。バックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS114へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0138】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323が押されていれば、RAMの初期化処理(S114〜S116)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(S114〜S116)に移行する。即ち、S114からのRAMの初期化処理では、RAM503の使用領域を0にクリアし(S114)、RAM503の初期値を設定する(S115)。その後、割込みを許可して(S116)、後述する通常処理に移行する。
【0139】
一方、RAM消去スイッチ323がオンされておらず(S104:No)、電源遮断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、処理をS108へ移行して復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、復電時の処理では、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S108)、電源遮断の発生情報をクリアする(S109)。次に、サブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時のコマンドを送信し(S110)、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる(S111)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S112)、割込みが許可状態であれば(S112:Yes)、割込みを許可し(S113)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S112:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
【0140】
次に、図27のフローチャートを参照して通常処理を説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S207の各処理が実行され、その残余時間でS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0141】
通常処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する(S201)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、大物図柄表示装置42による大物図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等を表示制御装置45に送信する。なお、大物図柄の変動開始後において、変動パターンコマンド→上段図柄列の停止図柄コマンド→中段図柄列の停止図柄コマンド→下段図柄列の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(即ち、4ms毎に1つずつ)コマンドが送信され、変動時間終了のタイミングで確定コマンドが送信されるようになっている。
【0142】
次に、変動種別カウンタCS1,CS2の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。更に、外れ図柄カウンタ更新処理により、上段図柄列、中段図柄列及び下段図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する(S203)。
【0143】
ここで、図28を参照して、外れ図柄カウンタ更新処理を説明する。まず、上段図柄列の外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し(S301)、更新時期であれば(S301:Yes)、上段図柄列の外れ図柄カウンタCLを更新する(S303)。次に、上段図柄列の更新時期でなければ(S301:No)、中段図柄列の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別し(S302)、更新時期であれば(S302:Yes)、中段図柄列の外れ図柄カウンタCMを更新する(S304)。更に中段図柄列の更新時期でなければ(S302:No)、下段図柄列の更新時期なので、下段図柄列の外れ図柄カウンタCRを更新する(S305)。
【0144】
上記S303〜S305の各処理における外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に20を減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。上記CL,CM,CRの更新処理によれば、上段図柄列、中段図柄列及び下段図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の通常処理で1つずつ順に更新されるので、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新される。
【0145】
その後、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせになっているか否かを判別し(S306)、大当たり図柄の組み合わせであれば(S306:Yes)、そのまま本処理を終了する。大当たり図柄の組み合わせでなければ(S306:No)、リーチ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し(S307)、リーチ図柄の組み合わせであれば(S307:Yes)、更にそれが前後外れリーチであるか否かを判別する(S308)。前後外れリーチの組み合わせであれば(S308:Yes)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納する(S309)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチの組み合わせであれば(S308:No)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する(S310)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせでなく(S306:No)、且つリーチ図柄の組み合わせでもなければ(S307:No)、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせは外れ図柄の組み合わせになっているので、かかる場合には、その外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の完全外れ図柄バッファに格納する(S311)。
【0146】
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理(S203)の終了後は、図27の通常処理へ戻って、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S204)、大物図柄表示装置42による大物図柄の変動表示を行うための大物図柄変動処理を実行する(S205)。この大物図柄変動処理により、大当たり判定や大物図柄の変動パターンの設定などが行われる。なお、大物図柄変動処理の詳細は後述する。
【0147】
大物図柄変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放又は閉鎖するための大入賞口開閉処理を実行する(S206) 。即ち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に大入賞口の連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。
【0148】
次に、小物図柄表示装置41による小物図柄(例えば「○」又は「×」の普通図柄)の表示制御を実行する(S207)。簡単に説明すると、遊技球が小物門(スルーゲート)34を通過したことを条件に、その都度の小物図柄乱数カウンタC4の値が取得されると共に小物図柄表示装置41の表示部43にて小物図柄の変動表示が実施される。そして、小物図柄乱数カウンタC4の値により小物図柄の抽選が実施され、小物図柄の当たり状態になると、大物口33に付随する電動役物が所定時間開放される。なお説明は省略したが、小物図柄乱数カウンタC4も、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3と同様に、図31に示すタイマ割込処理により更新される。
【0149】
その後は、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S208)、既に所定時間が経過していれば(S208:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
【0150】
一方、前回の通常処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S208:No)、所定時間に至るまでの、即ち次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(S209,S210)。まず、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S209)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。次に、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(S210)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0151】
ここで、S201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(即ち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
【0152】
次に、図29及び図30のフローチャートを参照して、大物図柄変動処理(S205)を説明する。大物図柄変動処理では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S401)。大当たり中としては、大当たりの際に大物図柄表示装置42で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S401:Yes)、そのまま本処理を終了する。
【0153】
大当たり中でなければ(S401:No)、大物図柄表示装置42による大物図柄の変動表示中であるか否かを判別し(S402)、大物図柄の変動表示中でなければ(S402:No)、大物図柄表示装置42の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する(S403)。作動保留球数Nが0であれば(S403:No)、そのまま本処理を終了する。作動保留球数N>0であれば(S403:Yes)、作動保留球数Nを1減算し(S404)、保留球格納エリアに格納されたデータをシフト処理する(S405)。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。データシフト処理の後は、大物図柄の変動開始処理を実行する(S406)。なお、変動開始処理については後述する。
【0154】
S402の処理において、大物図柄の変動表示中である場合には(S402:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S407)。大物図柄の変動時間はその大物図柄の変動パターンに応じて決められており、この変動時間が経過するまで、S408の処理の実行をスキップする(S407:No)。一方、大物図柄の変動時間が経過すれば(S407:Yes)、停止図柄の確定のために設定されている確定コマンドを設定して(S408)、本処理を終了する。
【0155】
次に、図30のフローチャートを参照して、変動開始処理を説明する。変動開始処理(S406)では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S501)。大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率時には「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。
【0156】
大当たりであると判別された場合(S501:Yes)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄を、即ち大当たり図柄を図示しないテーブル(大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表すテーブル)に基づいて求め、その図柄を停止図柄コマンドに設定する(S502)。このとき、大当たり図柄カウンタC2の数値0〜49は、全5つの有効ライン上における50通りの大当たり図柄の何れかに対応しており、停止図柄コマンドには50通りの大当たり図柄の何れかが設定される。これらの大当たり図柄のうち、予め定められた特定図柄(確変図柄)で揃った場合には以後確変状態に移行するが、予め定められていない特定図柄(非確変図柄)で揃った場合には確変状態に移行しない。
【0157】
次に、大当たり図柄で停止するまでの大物図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S503)。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。なお、第1変動種別カウンタCS1の数値とリーチパターンとの関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と停止図柄時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。但し、上記変動パターンは、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけでパターン設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値でパターン設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決められる。これは、後述する前後外れリーチ表示、前後外れ以外リーチ表示、完全外れ表示を行なう場合における変動パターンの設定でも同様である。
【0158】
S501の処理で大当たりではないと判別された場合には(S501:No)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生か否かを判別し(S504)、リーチ発生の場合には(S504:Yes)、同じくリーチ乱数カウンタC3の値に基づいて前後外れリーチであるか否かを判別する(S505)。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜238の何れかであり、そのうち「0,1」が前後外れリーチに該当し、「2〜21」が前後外れ以外リーチに該当し、「22〜238」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
【0159】
前後外れリーチ発生の場合(S505:Yes)、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S506)。また、前後外れリーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S507)。このとき、S503の処理と同様に、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。
【0160】
前後外れ以外リーチ発生の場合(S505:No)、RAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S508)。また、前後外れ以外リーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S509)。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。
【0161】
大当たりでなくリーチでもない場合には(S501:No,S504:No)、RAM503の完全外れ図柄バッファに格納されている上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S510)。また、完全外れ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S511)。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。上記の通り大当たり時、リーチ発生時、リーチ非発生時のいずれかで図柄停止コマンド及び変動パターンコマンドの設定が完了すると、本処理を終了する。
【0162】
次に、図34を参照して、払出制御装置311内のMPU511により実行される払出制御について説明する。図34は、払出制御装置311のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
【0163】
まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。次に、主制御装置261から送信される払出許可コマンドの受信を待機する(S902:No)。そして、払出許可コマンドを受信すると(S902:Yes)、RAMアクセスを許可すると共に(S903)、外部割込ベクタの設定を行う(S904)。
【0164】
その後は、MPU511内のRAM513に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押されているか否かを判別し(S905)、オンされていれば(S905:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS915へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323がオンされていなければ(S905:No)、更にRAM513のバックアップエリア513aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S906)、記憶されていなければ(S906:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS915へ移行する。バックアップエリア513aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S906:Yes)、RAM判定値を算出し(S907)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S908:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS915へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0165】
S915からのRAMの初期化処理では、RAM513の使用領域を0にクリアし(S915)、RAM513の初期値を設定する(S916)。その後、MPU511周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S917)、割込みを許可して(S918)、後述する払出制御処理に移行する。
【0166】
一方、RAM消去スイッチ323が押されておらず(S905:No)、電源遮断の発生情報が設定されており(S906:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S908:Yes)、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S909)、電源遮断の発生情報をクリアする(S910)。また、MPU511周辺デバイスの初期設定を行い(S911)、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる(S912)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S913)、割込みが許可状態であれば(S913:Yes)、割込みを許可し(S914)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S913:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
【0167】
次に、図35のフローチャートを参照して、払出制御処理を説明する。この払出制御処理は、払出制御装置311のメイン処理に続いて実行される。払出制御処理では、まず、主制御装置261からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する(S1001)。発射制御装置312に対して発射許可の設定を行い(S1002)、状態復帰スイッチ321をチェックした結果、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S1003)。
【0168】
その後、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S1004)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S1005)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する(S1006)。
【0169】
次に、S1007〜S1009の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つS1001の処理で記憶した総賞球個数が0でなければ(S1007:No,S1008:No)、図36に示す賞球制御処理を開始する(S1009)。一方、賞球の払出不可状態(S1007:Yes)または総賞球個数が0であれば(S1008:Yes)、貸球払出の処理に移行する。なお、賞球制御処理は後述する。
【0170】
S1010〜S1012の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S1010:No,S1011:Yes)、図37に示す貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S1010:Yes)または貸球払出要求を受信していなければ(S1011:No)、後続の球抜き処理を実行する(S1013)。なお、貸球制御処理は後述する。
【0171】
球抜き処理(S1013)では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続いて、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する(S1014)。その後は、本払出制御処理の先頭に戻り、以降は前述した処理を繰り返す。
【0172】
図36に示す賞球制御処理を説明する。賞球制御処理では、まず、払出モータ358aを正方向回転駆動させて賞球の払出を実行する(S1101)。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1102)、正常でなければ(S1102:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1103)、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0173】
また、払出モータ358aの回転が正常であれば(S1102:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1104)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1104:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1105)、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0174】
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1104:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別し(S1106)、払出が完了していれば(S1106:Yes)、払出モータ358aの停止処理を実行し(S1107)、その後、図35の払出制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1106:No)、そのまま、図35の払出制御処理に戻る。
【0175】
図37に示す貸球制御処理を説明する。貸球制御処理では、まず、払出モータ358aを逆方向回転駆動させて貸球の払出を実行する(S1201)。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1202)、正常でなければ(S1202:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1203)、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0176】
また、払出モータ358aの回転が正常であれば(S1202:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1204)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1204:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1205)、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0177】
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1204:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別し(S1206)、払出が完了していれば(S1206:Yes)、払出モータ358aの停止処理を実行し(S1207)、その後、図35の払出制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1206:No)、そのまま、図35の払出制御処理に戻る。
【0178】
次に、大物図柄表示装置42により表示される表示処理と4つのスピーカ561、562,563,564により出力される音声の発生制御処理について説明する。
【0179】
まず、図38を参照して表示制御装置45により表示される図柄と、その図柄に対応して発生される楽音の態様についてその概要を説明する。ここでは、表示される図柄の概略と、音像が移動される方向を矢印により表す。図38(a)は、リーチ予告として、魚群が表示画面の右方から左方へ泳いでいる画像を表示する場合であり、この場合には、魚群が画面に表示される少し前から画面の右方にその音像を定位させて、この画像に対応した楽音の発生を開始する。最初は小さい音量から徐々に音量を上げ、魚群が画面に表示され、右から左への動きに合わせて、音像位置を右から左へ徐々に移動するよう制御する。魚群が表示画面中央に表示されるとき、発音している楽音の音量を最大にし、魚群が画面から中央から遠ざかるに従って音量を徐々に下げる。
【0180】
図38(b)は、リーチ予告として、泡が画面の下方から上方へ上昇していく画面を表示する場合であり、この場合には、泡の表示が開始される少し前から「ブクブク」という楽音が画面の下方に定位するように発生を開始し、泡が画面に表示されて下方から上方への移動に合わせ、音像の位置を下方から上方へ移動する。このとき、画面の左側、中央、右側で少し時間を異ならせて音像の上昇が行われるよう制御する。図45は、その様子を模式的に表した図であり、横軸を時間、縦軸をそれぞれのスピーカに供給する信号レベルを表す。
【0181】
(a)は、左上のスピーカ561に、(b)は、右上のスピーカ562に、(c)は、左下のスピーカ563に,(d)は、スピーカ564に、それぞれ供給される楽音信号のレベルを表す。
【0182】
時間T1の間は、(a)は、次第にレベルが大きくなり、(c)は、最初レベルが大きく次第に減少する。したがって、音像は左下から、左上へ移動する。時間T2の間は、(b)は、次第にレベルが大きくなり、(d)は、最初レベルが大きく次第に減少する。したがって、音像は右下から、右上へ移動する。
【0183】
時間T3の間は、(a)と(b)は、次第にレベルが大きくなり、(c)と(d)は、最初レベルが大きく次第に減少する。したがって、音像は中央下から、中央上へ移動する。これらの左、右、中央に位置する楽音は、それぞれ、別の波形メモリから読み出すものでもよいが、一つの波形メモリから、読み出し位置を変えて読み出すようにしてもよい。
【0184】
図38(c)は、リーチラインが確定された場合であり、この図では右上と左下の図柄(提灯あんこう)が一致し、リーチラインが右上と左下を結ぶ線L4により形成された場合である。この場合は、このラインの方向に合わせ、リーチラインに対応する楽音を、画面の右上から左下への線上で音像が繰り返し行き来して移動するように制御する。
【0185】
図39は、リーチラインが形成され、次に中段図柄列の当たりとなる図柄(以下、最終停止図柄という)が右方から徐々に左方へ移動表示される場合を模式的に示したものである。この場合は、最終停止図柄に対応する楽音をまず画面の右方で発生を開始し、徐々に音量を大きくする(図39(1))。この図柄が画面に表示されると、画面の動きに合わせて楽音の定位も移動するよう制御し、図柄が表示画面中央に位置したとき(図39(2))、楽音の定位も中央に位置するとともに音量も最大とする。当たりの場合は、この位置で図柄が停止し、当たりに応じた楽音を発生する。当たりでなく、この図柄が先に進む場合(図39(3))には、楽音の定位を左方に移動するとともに、音量も急速に減衰させる。
【0186】
上記のように表示制御および楽音制御が行われる具体的構成を図40〜図44を参照して以下に説明する。
【0187】
図40は、表示制御装置45内のMPU521により実行されるメイン処理の中で実行される表示処理と楽音発生制御処理のフローチャートである。
【0188】
MPU521は、図示しない受信割り込み処理において、主制御装置261から制御用コマンドを受信すると、コマンド受信フラグをオンし、受信バッファに受信した制御用コマンドを書き込むものとする。
【0189】
図40の処理では、まず、コマンド受信フラグがオンされているか否かを確認する(S1401)。コマンド受信フラグがオンされていれば(S1401:Yes)、これをオフした後に(S1402)受信バッファに記憶されている制御用コマンドの上位バイトによりコマンドの種類を確認する(S1403)。その制御用コマンドが変動パターンコマンドであれば、大物図柄表示装置42に変動表示の開始を指示し(S1404)次に、その変動パターンに対応する楽音の発生を音声ランプ制御装置262へ指示する(S1405)。この指示するコマンドを楽音制御パターンコマンドという。
【0190】
一方S1403の処理において受信バッファに記憶される制御用コマンドが停止図柄コマンドであれば、このコマンドに含まれる図柄コードを対応する停止図柄メモリに書き込む。(S1406)。
【0191】
その後は、大物図柄表示装置42上で高速に変動表示されている図柄を、変動パターンとその変動パターンの進行状況とを考慮して、停止図柄1〜9メモリに記憶される図柄コードの図柄で停止するように、変動中の図柄の差し替えを行う(S1407)。次に9つの停止図柄のうち最終の停止図柄が指定されたか否かを確認し(S1408)、最終の停止図柄の指定であれば(S1408:Yes)停止図柄1〜9メモリに記憶された図柄コードから停止したときに形成されるリーチラインを確認する(S1409)。前述の通り大物図柄表示装置42に表示される複数の図柄は、その表示される位置に応じて5つの有効ラインがあり、その有効ライン上で2つ同じ図柄が決定されたとき、このラインをリーチラインという。このリーチラインが確認された場合は、そのリーチラインに対応する楽音の発生の開始を音声ランプ制御装置262に指示する(S1410)。このコマンドをリーチラインコマンドという。なお、S1409の処理において、リーチラインが形成されない場合と、S1408の処理で、最終の停止図柄に対応する停止図柄コマンドを受信していない場合はS1420の処理へ進む。
【0192】
受信バッファに記憶された制御用コマンドが図柄停止コマンドであれば、その図柄停止コマンドで指定された図柄の変動を停止し確定する(S1412)。最初に上段図柄列が停止し、つぎに下段図柄列が停止し、最後に中段図柄列が停止することにより、一連の変動表示が終了するが、最後の図柄列の停止指示か否かを確認し(S1413)、最後の図柄列の停止指示であれば、「当たり」か否かを確認し(S1414)、「当たり」であれば(S1414:Yes)、「当たり」に応じた表示を行うと共に、「当たり」に応じた楽音の発生を音声ランプ制御装置262に指示する。S1414の処理において「当たり」ではない場合(S1414:No)は、「前後はずれ」か否かを確認する(S1415)。この確認において「前後はずれ」であると確認された場合(S1415:Yes)は、「前後はずれ」に応じた表示を行うと共に、「前後はずれ」に応じた楽音を発生するよう音声ランプ制御装置262に指示し、「前後はずれ」ではないと確認された場合は(S1415:No)、「前後はずれ以外」に応じた表示を行い、「前後はずれ以外」に応じた楽音を発生するよう音声ランプ制御装置262に指示する。このコマンドを楽音終了コマンドといい、ここで指示された楽音が所定時間放音され、変動パターンコマンドにより始まった一連の表示および楽音の制御処理を終了する。
【0193】
S1401の処理においてコマンド受信フラグがオフの場合や(S1401:No)、S1405,S1410、S1415、S1417,S1418の各処理の実行後は、変動表示の状況に応じたその他の処理を実行し(S1420)、S1401の処理へ戻る。
【0194】
次に音声ランプ制御装置262について図41を参照して説明する。
【0195】
音声ランプ制御装置262は、表示制御装置45の変動表示に応じて楽音を発生し、その楽音の音像位置を制御したり、ランプの点灯、消灯を制御するものである。ランプの制御については、本発明と関係がないので詳細な説明は省く。
【0196】
音声ランプ制御装置262は、MPU551と、ROM(プログラムROM)552と、ワークRAM553と、DSP554と、入力ポート555と、ランプ制御回路558がバスライン557により接続され、DSP554には、波形ROM556が接続されている。
【0197】
MPU551は、表示制御装置45から送信される楽音発生コマンドに基づいて楽音を発生し、その音像位置を移動制御する。ROM552は、MPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、RAM553は、MPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0198】
DSP554は、デジタル・シグナル・プロセッサであり、波形ROM556に記憶された波形データに基づいて楽音を発生したり、4つのスピーカ561〜564に楽音を分配することにより、音像の位置を設定する。DSP554には、複数の波形を読み出すチャネルが備えられ、各チャネルに対し、どの波形を読み出すか、読み出した波形のレベルを時間的にどのように変化するかをMPU551が指示する。波形ROM556には、所定のサンプリング周期(例えば32kHz)でサンプリングされた波形の振幅値がアドレス順に記憶されている。記憶する際、所定の圧縮方法、例えばADPCMやMP3などで圧縮された波形データとして記憶し、読み出すときDSP等で非圧縮データに変換して出力するようにしてもよい。
【0199】
このDSP554により発生されたデジタル音声信号は、D/A変換器559によりアナログ信号に変換され、4チャネルのアンプ560により増幅され、それぞれのチャネルで増幅された音声信号は4つのスピーカ561,562,563,564から放音される。スピーカ563,564入力される信号は、アンプ565にも入力され、ローパスフィルタを通過した後増幅されてウーファー566へ出力される。このウーファーは、図示しないが遊技機1の下部などに備えられ、低音を増強することにより、より重厚な楽音を楽しむことができる。なお、上記説明では、DSP554により発生されたデジタル音声信号は、D/A変換器559によりアナログ信号に変換され、アナログアンプ560および565により増幅されるものとしたが、DSP554により発生されたデジタル信号を5つのデジタルアンプに出力し、それぞれスピーカ561,562,563,564、566から放音されるようにしてもよい。この場合、デジタルアンプ565に供給されるデジタル信号は、DSP554により形成されるデジタルローパスフィルタを通過した信号である。
【0200】
バスライン557には、各種ランプの点灯、消灯を制御するランプ制御回路558が接続されている。各種ランプのうちいずれかは、DSP554により、楽音のレベルに応じてオンオフ制御することも行われる。入力ポート555は、表示制御装置45から送信される楽音発生コマンドを入力するもので、表示制御装置45が主制御装置261から制御コマンドを受信するのと同様に、表示制御装置45から送信されてくるコマンドを入力しコマンドバッファに記憶する。
【0201】
次に、このようにして受信したコマンドに基づいて、音声ランプ制御装置262により制御される音声処理について、図42および図43を参照して説明する。
【0202】
図42は、楽音制御パターンコマンドを受信した後の楽音制御のタイミングを示す図である。変動表示については、変動パターンコマンドを受信すると、3っつのリール(左図柄列、中図柄列、右図柄列)は、高速変動を開始するが、その後、中速、あるいは低速に変更されるタイミングが予め定められている。同様に、楽音についても、楽音制御パターンコマンドによりどのタイミングでどの楽音を発生するのか、あるいは切り替えるのか、消音するのかなどが定められている。また、楽音の音像位置の移動態様も楽音制御パターンにより定められている。
【0203】
まず、図42に示すように楽音制御パターンコマンドを受信すると、所定の楽音の発生を開始する(この状態をフラグf=0とする)。楽音制御パターンコマンドを受信してからの時刻T1に、この楽音制御パターンにより指定され、先の楽音とは異なる楽音をこのパターンにより指定される音像位置から発生を開始する(f=1)。例えば、図38(a)を参照して説明した「泡」に対応する楽音で表示画面下方にその音像を定位させて発生を開始する。次に、時刻T2に表示画面にこの楽音制御パターンにより指定される態様で音像の移動が開始される。例えば、「泡」の場合には、「ブクブク」という楽音が表示画面の下方から上方へ上昇する。
【0204】
つぎにリーチラインコマンドを受信した場合は、そのコマンドにより指示されるリーチラインに対応する楽音を、その音像がリーチラインに対応する態様で移動されるよう制御を開始する。例えば、リーチラインが表示画面の右上から左下へ形成された場合は、音像は右上から左下への線上で往復移動制御される。つぎに、時刻がT3は、上段および下段の図柄列が停止制御された後であって、リーチを形成している図柄と同じ図柄である中段図柄列の最終図柄が、スクロールされて表示画面に現れる少し前の時刻であり、この時刻に至ると、この最終図柄に応じた楽音を、表示画面の上方から発生し初め、徐々に音量を大きくする。つぎに時刻T4では、最終図柄が、表示画面の右方に表示され、これに合わせて音像は右方から左方へ移動される。続づいて、時刻T5には最終図柄が中央に表示されるとともに、音量が最大に制御される。当たりとならずに最終図柄が中央に停止せず、通り過ぎると楽音の音量を急速に下げ、楽音を停止すると同時にはずれに応じた楽音を発生する。
【0205】
この一連の処理を図43のフローチャートを用いて説明する。表示制御装置45と同様に、音声ランプ制御装置262においても表示装置45制御用コマンドを受信すると、図示しない受信割り込み処理において、コマンド受信フラグをオンし、受信バッファにその制御用コマンドを書き込んでいる。
【0206】
図43のフローチャートは、表示装置45から楽音制御パターンコマンドを受信したとき、所定時間毎(例えば4ms)に起動されるよう設定されるタイマ・インタラプト・ルーチンであり、メインルーチンがこのインタラプトを設定する時、時刻tは0に、フラグfの値は0に初期設定される。
【0207】
このルーチンにおいて、まず、現在時刻を表す変数tを1進める(S1501)。次にコマンド受信フラグがオンか否かを確認する(S1502)。コマンド受信フラグがオンの場合は(S1502:Yes)コマンド受信フラグをオフし(S1503)受信した制御用コマンドを確認する(S)1504)。受信した制御用コマンドがリーチラインコマンドであれば、そのリーチラインに対応する楽音を、リーチラインに対応する音像の移動態様で発生を開始するようDSP554に指示し(S1505)、フラグfを3に設定する。S1504の処理において、受信したコマンドが楽音終了コマンドであれば、そのコマンドに応じた最終楽音の発生を開始するようDSP554に指示する。この最終楽音は、当たり、前後はずれ、前後以外はずれなどに対応する楽音であり、この楽音が所定時間発生されることにより、変動パターンコマンドにより開始された一連の変動表示とその表示に対応した楽音の発生が終了する。
【0208】
S1502の処理において、コマンド受信フラグがオフの場合は、フラグfの値を確認する(S1508)。fの値が0の場合は時刻tが時刻T1を過ぎているか否かを確認する(S1509)。時刻tが時刻T1を過ぎている場合は(S1509:Yes)フラグfを1に設定し、楽音制御パターンコマンドにより指定されている楽音の発生を、設定されている音像位置で開始するようDSP554に指示する。例えば、リーチ予告として「泡」が表示される場合には、表示機に「泡」が表示される少し前の時刻から「ブクブク」という楽音の発生を、表示画面の下方で開始するようDSP554に指示する。S1509の処理において、時刻tが時刻T1を過ぎていない場合は(S1509:No)リターンする。
【0209】
S1508の処理で、フラグfが1の場合は、時刻tが時刻T2を過ぎているか否かが確認される(S1512)。時刻T2を過ぎている場合は(S1512:Yes)フラグfを2に設定し(S1513)音像の移動制御を開始するようDSP554へ指示する。例えば、リーチ予告として「泡」が設定している場合は、音像が下方から上方へ上昇を開始するように、DSP554に指示する。
【0210】
S1512の処理において、時刻tが時刻T2を過ぎていない場合は(S1512:No)リターンする。
【0211】
S1508の処理において、フラグfが3の場合は、リーチラインが確定している場合であり、現在時刻tが時刻T3を過ぎているか否かが確認される(S1515)。時刻T3を過ぎている場合は(S1515:Yes)フラグfを4に設定し(S1516)最終図柄に対応する楽音を表示画面の右方に音像が定位し、音量は小さい音量で発生を開始し、徐々に大きくするようDSP554へ指示する。S1515の処理において時刻tが時刻T3を過ぎていない場合は(S1515:No)リターンする。
【0212】
S1508の処理で、フラグfが4の場合は、時刻tが時刻T4を過ぎているか否かが確認される(S1518)。時刻T4を過ぎている場合は(S1518:Yes)フラグfを5に設定し、最終図柄が表示画面に表示されスクロールされ始めているので、音像の右方から左方への移動を開始するようDSP554に指示する(S1520)。S1518の処理において、時刻tが時刻T4を過ぎていない場合は(S1518:No)リターンする。
【0213】
S1508の処理で、フラグfが5の場合は、時刻tが時刻T5を過ぎているか否かが確認される(S1521)。時刻T5を過ぎている場合は(S1521:Yes)最終図柄が画面中央を通り過ぎたので、楽音の音量を急速に減衰させるようDSP554へ指示する。S1521の処理において、時刻tが時刻T5を過ぎていない場合は(S1521:No)リターンする。
【0214】
次に、楽音の音像位置を時間経過に従って変更するDSP554の処理について説明する。図44は、リーチラインに応じて楽音の音像位置を右上から左下へ移動し、左下へ到達すると逆に左下から右上へ移動するような場合の処理を表すフローチャートであり、所定時間毎に起動されるタイマ・インタラプト・ルーチンである。ここでは、遊技機の枠に設置されているいずれかのスピーカ1と他のスピーカ2との間で、音像が移動する場合について説明する。音像がスピーカ1から徐々にスピーカ2の方へ移動し、時間T後にスピーカ2の位置に到達する。その後、再びスピーカ1の方へ移動し、更に時間T後にスピーカ1に到達するという処理を繰り返す。ここで、tを現在時刻、L1、L2(いずれかのスピーカへ供給するレベル)、kを音源が発生する楽音のレベル、フラグfを音像移動の往き、返りを表すフラグとする。
【0215】
まず、時刻tが1進められる(S1601)。フラグfが0であれば(S)1602:Yes)、「往き」であり、各レベルL1、L2が次の演算により求められる(S1603)。
L1=k・(T−t)/T、L2=k・t/T
フラグfが1であれば(S1602:No)、「帰り」であり、各レベルL1,L2が次の演算により求められる。
L1=k・t/T、L2=k・(T−t)/T
求められた各レベルは、指定されたスピーカへ供給される。次に時刻tが時間Tに一致または過ぎているかを確認し(S1605)、一致または過ぎている場合は(S1605:Yes)フラグfを反転し(S1606)、時刻tを0に設定する(S1607)。
【0216】
ここで、右上のスピーカ562にL1を供給し、左下のスピーカ563にL2を供給すれば、音像は、右上から左下のスピーカの間を片道時間Tで往復する。同様にL1を左上のスピーカ561に供給し、L2を右下のスピーカ564へ供給するように設定すれば、楽音の音像が左上のスピーカから右下のスピーカの間を往復する。また、L1の半分を右上のスピーカ562に、L1の半分を右下のスピーカ564に供給し、L2の半分を左上のスピーカ561に、L2の半分を左下のスピーカ563へ供給するように設定すれば画面中央を通る水平線上で楽音の音像位置を往復移動させることができる。
【0217】
同様に、図38(a)に示す魚群の変動表示に合わせて楽音を発生制御する場合は、魚群が表示器に表示される前に右上のスピーカ562と右下のスピーカ564に楽音の半分づつを供給し、魚群が表示器に表示され、右から左へ移動表示されるのに従って音像を右から左方向へ移動することができる。
【0218】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0219】
例えば、上記実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、LCD上で識別情報としての図柄を横方向にスクロールさせるものに限定されず、縦方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報と用いられる。
【0220】
また、上記実施例では、4つのスピーカから出力される楽音のレベルを制御することにより音像の位置を制御する例としたが、これに限らず、2つのスピーカでもよい。2つのスピーカのみで、楽音の位相を含む伝達関数を制御することにより、2つのスピーカを結ぶ直線上に限らず、受聴者の上、下または左右横に音像を定位させ得ることは知られている。
【0221】
また、上記実施例では、楽音は、波形メモリに記憶された波形を読み出すように構成したが、これに限らず演算方式により波形を合成する方法、基本波形を複数発生させてこれらを組み合わせて合成する方法、また、音高(ピッチ)や音量を指定するとその指定に応じた波形を合成する方法などにより発生してもよい。
【0222】
また、上記実施例では、一つの波形メモリから読み出した波形により楽音を形成し、この波形を複数のスピーカにレベルを制御して供給することにより、音像の位置を制御しているが、4つのスピーカそれぞれに波形メモリを備え、それぞれのメモリを読み出して、レベル制御することなく、音像位置が制御されるようにしてもよい。すなわち、レベル制御された波形をそれぞれのメモリに記憶し、それぞれ読み出した波形をスピーカに供給する。
【0223】
また、本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0224】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0225】
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【0226】
以下に本発明の遊技機および変形例を示す。以下に本発明の遊技機および変形例を示す。遊技に応じた楽音を放音する複数の放音部を備えた遊技機において、前記複数の放音部は、直線上に配置される少なくとも2つの放音部とその直線上でなく、その直線と交差する直線上に配置される少なくとも1つの放音部により構成され、遊技の態様に基づいて、前記複数の放音部により形成される平面領域内に位置するように、楽音の音像の位置を制御する楽音制御手段を備えていることを特徴とする遊技機1。
【0227】
なお、遊技領域とは、パチンコ機においては、レールユニットの内周部に略円形状に区画形成されており、遊技盤の盤面上に区画されて、遊技球による弾球遊技が行われる領域である。また、パチスロ機においては、複数の図柄がスクロール表示される領域である。
【0228】
遊技機1において、前記楽音制御手段は、遊技状態に応じて音像位置を移動制御するものであることを特徴とする遊技機2。この遊技機2によれば、遊技機1の奏する効果に加え、楽音の音像位置を移動することができるので、楽音に方向性を持たせることにより遊技の演出効果を高めることができる。
【0229】
遊技機1又2の遊技機において、遊技球が打ち込まれて弾球遊技が行われる遊技領域を一面に形成する本体部材と、その本体部材の前面を開閉すると共に遊技領域に重なる透明板を有するカバー部材とを備え、前記複数の放音部は前記カバー部材に取り付けられていることを特徴とする遊技機3。
【0230】
この遊技機3によれば、遊技機1又は2の遊技機の奏する効果に加え、1つのカバー部材に複数の放音部が取り付けられるため、放音部への配線を簡単に行うことができる。
【0231】
なお、特に放音部を少なくとも4つ備え、カバー部材の4つの隅またはその付近にそれぞれ放音部を配置してもよい。カバー部材の4隅付近に放音部を備えることにより、より広い面上での音像の位置設定が可能になるとともに、その面上で音像位置を移動することが可能になる。なお、カバー部材の4隅付近としては、例えば、外形が矩形のカバー部材の内側であり、且つ視認性を確保するための円形の開口部である遊技領域の外周により形成される4つの領域が例示される。また、カバー部材の4隅付近としては、カバー部材が矩形状または略矩形状に形成されると共に、遊技者に遊技領域を視認可能に開口した開口部がカバー部材の中央部に設けられる場合に、当該開口部を有するカバー部材を遊技者が遊技領域を見る方向視において上下方向および左右方向の4つの領域に等分に区画した各領域を意味している。また、遊技者から遊技領域を見る方向とは、遊技機の一面側に遊技領域が形成されると共にその遊技領域を遊技者に視認させるために遊技領域に重なる透明板が設けられる場合に、その透明板側から遊技機を見る方向が該当する。
【0232】
遊技機1から3において、前記楽音制御手段は、楽音発生手段を備え、その楽音発生手段が発生する楽音の前記複数の放音部へ供給する音量レベルをそれぞれ独立に制御することにより前記楽音の音像位置を制御するものであることを特徴とする遊技機4。この遊技機4によれば、遊技機1から3の奏する効果に加え、楽音発生手段が発生する楽音のレベルを制御して各放音部へ供給するので、各放音部毎に楽音発生手段を設けることなく簡単な構成で、音像の位置を制御することができる。
【0233】
遊技機4において、前記楽音制御手段は、時間経過に従って音像位置を移動制御するものである遊技機5。この遊技機5によれば、遊技機4の奏する効果に加え、時間経過に従って音像位置を移動制御することができるので、遊技に合わせて音像を移動制御することができる。
【0234】
遊技機5において、前記楽音制御手段は、制御プログラムを記憶する記憶手段を備え、その記憶手段に記憶された制御プログラムに従って音像位置を移動制御するものである遊技機6。この遊技機6によれば、遊技機5の奏する効果に加え、制御プログラムにより音像位置が制御されるので、制御プログラムを変更するだけで簡単に音像の移動態様を変更することができる。
【0235】
遊技機1から6において、複数の識別情報を表示する表示領域を備えた表示手段を備え、その表示領域は、前記複数の放音部により形成される平面領域と重なるように配置したことを特徴とする遊技機7。この遊技機7によれば、遊技機1から6の奏する効果に加え、表示領域と放音部により形成される平面領域とが、重なるので、表示画面の表示位置または表示領域に表示される複数の識別情報に対応して、音像位置を制御することができる。なお、ここで「表示領域は、複数の放音部により形成される平面領域と重なる」というのは、遊技者が遊技領域を見る場合に、遊技者から見る方向に対して表示領域と平面領域とが重なることを意味するものであり、これらの領域が必ずしも一致する、即ち同一平面内に位置することを意味するものではない。例えば、遊技者が遊技領域を見る場合に、遊技者から見て、奥行きが異なる位置に形成される平面であってもよく、表示領域と平面領域とが複数の平面上に位置するものであっても良い。
【0236】
遊技機7において、前記複数の放音部により形成される平面領域は、前記表示手段の表示領域を完全に含むものであることを特徴とする遊技機8。
【0237】
この遊技機8によれば、遊技機7の奏する効果に加え、複数の放音部により形成される平面領域は、表示手段が識別情報を表示する表示領域を完全に含むので、表示手段に表示される図柄などの識別情報に対応した位置に音像位置を設定することができる。
【0238】
なお、「複数の放音部により形成される平面領域は、表示手段が表示する表示領域を完全に含む」とは、遊技者から遊技領域を見る方向に対して含む、即ち遊技者から遊技領域を見る方向視において表示領域より平面領域が大きく形成され、その平面領域の内側に表示領域が位置することを意味しており、これらの領域が必ずしも一致する、即ち同一平面内に位置することを意味するものではない。例えば、遊技者が遊技領域を見る場合に、遊技者から見て、奥行きが異なる位置に形成される平面であってもよく、表示領域と平面領域とが複数の平面上に位置するものであっても良い。
【0239】
遊技機7又は8において、前記複数の放音部は前記表示手段の表示領域の中心を通る鉛直および水平な直線により区分される4つの空間にそれぞれ配置されることを特徴とする遊技機9。
【0240】
この遊技機9によれば、遊技機7又は8の奏する効果に加え、前記複数の放音部は前記表示手段の表示領域の中心を通る鉛直および水平な直線により区分される4つの空間にそれぞれ配置されるので、表示領域に表示される図柄等の識別情報の位置と一致する位置に音像の位置を設定することができる。
【0241】
遊技機7から9において、前記表示手段に表示する識別情報を制御する表示制御手段を備え、前記楽音制御手段は、前記表示制御手段により識別情報が移動表示される方向と同じ方向へ楽音の音像位置が移動されるように制御するものである遊技機10。この遊技機10によれば、遊技機7から9の奏する効果に加え、表示手段に表示される識別情報の移動方向と楽音が移動する方向が同じなので、視覚だけでなく聴覚によっても識別情報の移動方向を認識することができ、その方向により遊技の進行状況を把握することができるという効果がある。
【0242】
遊技機7から10において、前記楽音制御手段は、前記表示手段に表示される識別情報に対応する楽音を発生するものである遊技機11。この遊技機11によれば、遊技機7から10の奏する効果に加え、表示される識別情報に対応する楽音が発生されるので、遊技者は楽音により遊技の進行状況を把握することができ、より遊技機の演出効果を高くすることができるという効果がある。ここで、識別情報に対応する楽音とは、メロディやリズムや音色が異なる多数の楽音がメモリに記憶されており、識別情報の種類毎に対応付けされていることである。
【0243】
また、識別情報とは、表示手段に表示される図柄やキャラクタや数字であって、遊技の進行状況を示唆したり、当たりを予知させたり、当たりを表示する情報である。
【0244】
遊技機10又は11の遊技機において、前記楽音制御手段は、前記表示手段に表示される識別情報に対応する楽音を前記表示手段に表示を開始する以前から発生を開始する遊技機12。この遊技機12によれば、遊技機10又は11の奏する効果に加え、表示手段に識別情報が表示される前からその識別情報に対応する楽音が発生されるので、遊技の展開にバリエーションを持たせることができ、より遊技者の関心を引く演出ができる。
【0245】
遊技機10から12において、前記楽音制御手段は、前記表示手段に表示される識別情報に対応する楽音を前記表示手段に表示を開始する位置に応じた位置に音像位置を設定するものである遊技機13。
【0246】
この遊技機13によれば、遊技機10から12の奏する効果に加え、表示手段に表示が開始される位置に応じた位置に音像が設定されるので、視覚により識別情報を認識できなくても、音像の位置により表示位置を知ることができる。
【0247】
遊技機10から13の遊技機において、前記楽音制御手段は、音像位置の移動に応じて音量を変更制御するものである遊技機14。
【0248】
この遊技機14によれば、遊技機10から13の奏する効果に加え、音像位置の移動に応じて音量を変更制御できるので、例えば音像位置が中央へ近づくに従って音量を増大させたり、音像位置が中央位置から離れるに従って音量を減少させるなどの演出を行うことができる。
【0249】
遊技機7から9において、前記表示手段に複数の識別情報をそれぞれ所定の方向へ移動表示する表示制御手段と、前記表示手段により表示される複数の識別情報が所定の位置に配置される位置関係に応じて前記複数の放音手段により形成される楽音の音像位置の移動態様が異なるように制御する楽音制御手段とを備えた遊技機15。
【0250】
この遊技機15によれば、遊技機7から9の奏する効果に加え、複数の識別情報がそれぞれ動的表示され、それらの表示位置関係に応じて楽音の音像が移動する態様が異なるので、遊技者は楽音の移動方向を聞き分けることにより遊技の進行状況を知ることができ、より遊技者の関心を引く演出を行うことができる。
【0251】
遊技機15において、前記表示制御手段は、複数の識別情報をそれぞれ移動表示するものであって、前記楽音制御手段は、それぞれの識別情報の移動を停止したときの位置関係に応じて前記複数の放音手段により形成される楽音の音像位置の移動態様が異なるように制御するものである遊技機16。
【0252】
この遊技機16によれば、遊技機15の奏する効果に加え、移動表示されている複数の識別情報が停止するときの位置関係に応じて楽音の音像の移動態様が変化するので、遊技者は視覚的に識別情報の停止位置の関係を認識するだけでなく聴覚によっても認識することができる。
【0253】
遊技機15又は16において、前記表示制御手段は、複数組の一連の複数の識別情報を順次スクロール表示するものである遊技機17。
【0254】
この遊技機17によれば、遊技機15又は16の奏する効果に加え、表示手段は、複数組の識別情報をスクロール表示するので、表示の遊技効果と楽音の遊技効果を楽しむことができる。
【0255】
遊技機17において、前記楽音制御手段は、前記表示制御手段により表示される複数組の一連の複数の識別情報のスクロールを停止した時に前記表示手段に表示される識別情報の位置関係に応じて楽音の音像の移動方向を制御するものである遊技機18。
【0256】
この遊技機18によれば、遊技機17の奏する効果に加え、複数の識別情報のスクロールが停止した時の位置関係に応じて楽音の音像の移動方向を制御するので、複数の識別情報の停止した時の位置関係に応じて、当たり等を形成する場合に、視覚的に当たり等を確認できるとともに、楽音の移動方向によっても確認することができる。
【0257】
遊技機18において、前記表示手段は、複数の一連の複数の識別情報のスクロールが停止したときに複数の有効ラインのうちの一つの有効ラインにリーチラインを形成するものであり、前記楽音制御手段は、前記表示手段により形成されるリーチラインに応じた楽音を形成するものである遊技機19。
【0258】
この遊技機19によれば、遊技機18の奏する効果に加え、複数の有効ラインのうちの一つが、スクロールが停止することにより決定されるリーチラインの方向に応じた楽音が発生されるので、視覚的にリーチラインを認識できるとともに、楽音によっても認識することができる。すなわち、複数の有効ライン毎に、例えば異なるメロディの楽音が割り当てられていて、いずれかの有効ラインがリーチラインを形成する場合は、その有効ラインに応じた楽音が形成される。
【0259】
なお、有効ラインとは、予め定められた複数の識別情報が直線上で停止することにより当たりとするラインであり、リーチラインとは、複数の有効ラインのうちのいずれかの有効ラインにおいて、残り一つの識別情報がその有効ライン上に停止すれば当りとなるラインをいう。
【0260】
遊技機16において、前記表示手段は、複数の一連の複数の識別情報のスクロールが停止したときに形成される複数の有効ラインのうちの少なくとも一つの有効ラインにリーチラインを形成するものであり、前記楽音制御手段は、前記表示手段に形成されるリーチラインの方向に沿って楽音の音像位置を移動制御するものである遊技機20。
【0261】
この遊技機20によれば、遊技機16の奏する効果に加え、複数の有効ラインのうち、スクロールが停止することにより決定されるリーチラインの方向に沿って楽音の音像位置が移動されるので、視覚的にリーチラインの方向を認識できるだけでなく、聴覚によっても認識することができる。
【0262】
遊技機16において、前記楽音制御手段は、前記表示手段に表示される複数の一連の複数の識別情報のスクロールが停止したときに形成されるリーチラインを構成する識別情報に応じた楽音を形成するものである遊技機21。
【0263】
この遊技機21によれば、遊技機16の奏する効果に加え、リーチラインを構成する識別情報に応じた楽音が形成されるので、視覚的にいずれの識別情報によりリーチラインが形成されるのかを認識できるとともに、楽音によっても認識できる。
【0264】
遊技機20において、前記楽音制御手段は、前記表示手段により表示されるリーチラインの方向と同じ方向に楽音の音像位置を移動制御するものである遊技機22。
【0265】
この遊技機22によれば、遊技機20の奏する効果に加え、複数の有効ラインのうち、スクロールが停止することによりいずれかの有効ラインにリーチラインが形成される場合、そのリーチラインの方向と同じ方向へ楽音が移動されるので、リーチラインを視覚的に認識することができるとともに、楽音の移動方向によっても認識することができる。なお、形成されるリーチライン上を楽音の音像が移動するようにしてもよい。
【0266】
遊技機16において、前記表示手段は、複数の一連の複数の識別情報のスクロールが停止したときに複数の有効ラインのうちの一つの有効ラインにリーチラインを形成するものであり、前記楽音制御手段は、前記表示手段に形成されるリーチラインの方向に応じて楽音の音像位置を移動制御するものであり、前記表示手段に表示される一連の複数の識別情報が停止する前に音像の移動を開始するものである遊技機23。
【0267】
この遊技機23によれば、遊技機16の奏する効果に加え、複数の有効ラインのうち、スクロールが停止することによりいずれかの有効ラインにリーチラインが形成される場合に、そのリーチラインと同じ方向へ、スクロールが停止する以前から音像の移動が開始されるので、視覚的にリーチラインを認識する以前から音像の移動方向によりリーチラインを予知することができる。
【0268】
遊技機7から9において、前記表示手段に表示される複数組の一連の複数の識別情報を所定の方向へスクロール表示する表示制御手段と、その表示制御手段により移動表示される識別情報の移動方向に応じて前記複数の放音手段により形成される楽音の音像位置の移動態様が異なるように制御する楽音制御手段とを備えている遊技機24。
【0269】
この遊技機24によれば、遊技機7から9の奏する効果に加え、表示手段に表示される識別情報がスクロールされる方向に応じて音像位置の移動態様を変更できるので、スクロールの方向に応じた楽音の音像位置が移動され、視覚的にスクロールの方向を認識することができるとともに、楽音の音像位置によっても認識することができる。
【0270】
遊技機24において、前記楽音制御手段は、リーチラインを形成している識別情報と同じ識別情報がスクロールに応じて表示される位置に応じて音像位置を移動制御するものである遊技機25。
【0271】
この遊技機25によれば、遊技機24の奏する効果に加え、リーチラインを形成している識別情報と同じ識別情報がスクロールされ、その表示位置に応じて音像位置が移動されるので、当たりを形成する可能性がある識別情報の表示に合わせて、楽音の音像が移動されるので、演出効果を高めることができる。
【0272】
遊技機24又は25において、前記楽音制御手段は、リーチラインを形成している識別情報と同じ識別情報がスクロールに応じて表示される位置に応じて音量を変化するものである遊技機26。
【0273】
この遊技機26によれば、遊技機24又は25の奏する効果に加え、当たりを形成する識別情報の移動表示に合わせて楽音の音量が制御されるので、更に遊技の演出効果を高めることができる。
【0274】
遊技機24から26において、前記楽音制御手段は、リーチラインを形成している識別情報に対応した楽音を発生する遊技機27。
【0275】
この遊技機27によれば、遊技機24から26の奏する効果に加え、リーチラインを形成している識別情報に応じた楽音を形成するので、視覚的に当たりを予知できるだけでなく、楽音によっても認識することができる。
【0276】
遊技機24から27において、前記楽音制御手段は、リーチラインを形成している識別情報と同じ識別情報がスクロールに応じて前記表示画面に表示される前から対応する楽音の発生を開始するものである遊技機28。
【0277】
この遊技機28によれば、遊技機24から27の奏する効果に加え、当たりを予知させる識別情報が表示手段に表示される前に、識別情報に対応した楽音の発生が開始されるので、楽音の発生により当たりの可能性を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機の正面図である。
【図2】外枠に対して内枠と前面枠セットとを開放した状態を示す斜視図である。
【図3】パチンコ機から前面枠セットを取り外した状態を示した正面図である。
【図4】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図5】前面枠セットの背面図である。
【図6】パチンコ機の背面図である。
【図7】パチンコ機の背面構成を主要部品毎に分解して示した分解斜視図である。
【図8】パチンコ機裏面における第1制御基板ユニット、第2制御基板ユニット及び裏パックユニットの配置を示す模式図である。
【図9】内枠及び遊技盤の構成を示す背面図である。
【図10】内枠を後方より見た斜視図である。
【図11】遊技盤を後方より見た斜視図である。
【図12】支持金具を示す斜視図である。
【図13】第1制御基板ユニットの構成を示す正面図である。
【図14】第1制御基板ユニットの斜視図である。
【図15】第1制御基板ユニットの分解斜視図である。
【図16】第1制御基板ユニットを裏面から見た分解斜視図である。
【図17】第2制御基板ユニットの正面図である。
【図18】第2制御基板ユニットの斜視図である。
【図19】第2制御基板ユニットの分解斜視図である。
【図20】パチンコ機の背面から見た裏パックユニットの背面図を示した図である。
【図21】裏パックユニットの分解斜視図を示した図である。
【図22】タンクレールの構成を示した図である。
【図23】パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図24】大物図柄表示装置の表示内容を示す図である。
【図25】各種カウンタの概要を示した図である。
【図26】主制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
【図27】主制御装置内のMPUにより実行される通常処理を示したフローチャートである。
【図28】図27の通常処理の中で実行される外れ図柄カウンタの更新処理を示したフローチャートである。
【図29】図27の通常処理の中で実行される大物図柄変動処理を示したフローチャートである。
【図30】図29の大物図柄変動処理の中で実行される変動開始処理を示したフローチャートである。
【図31】タイマ割込処理を示したフローチャートである。
【図32】図31のタイマ割込処理の中で実行される始動入賞処理を示したフローチャートである。
【図33】NMI割込処理を示したフローチャートである。
【図34】払出制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
【図35】払出制御装置内のMPUにより実行される払出制御処理を示したフローチャートである。
【図36】払出制御装置内のMPUにより実行される賞球制御処理を示したフローチャートである。
【図37】払出制御装置内のMPUにより実行される貸球制御処理を示したフローチャートである。
【図38】表示機に表示される図柄がスクロール表示される様子と音声の音像の移動とを模式的に表す図である。
【図39】リーチの場合の表示と音声の音像の移動とを模式的に表す図である。
【図40】表示機に表示される変動表示と音声の音像の移動とを模式的に表す図である。
【図41】表示制御装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図42】音声を制御するタイムチャートである。
【図43】音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される音声処理のフローチャートである。
【図44】音声ランプ制御装置内のDSPにより実行される音像移動処理のフローチャートである。
【図45】表示に合わせて楽音の音像が移動するよう各スピーカのレベルを変化させる様子を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10 パチンコ機(遊技機)
42 大物図柄表示装置
45 表示制御装置(表示制御手段))
261 主制御装置
262 音声ランプ制御装置
501 主制御装置のMPU
521 表示制御装置のMPU
554 DSP(楽音制御手段の一部)
556 波形ROM
561〜564 スピーカ(放音手段)
Claims (1)
- 遊技に応じた楽音を放音する複数の放音部を備えた遊技機において、
前記複数の放音部は、直線上に配置される少なくとも2つの放音部とその直線上でなく、その直線と交差する直線上に配置される少なくとも1つの放音部により構成され、遊技の態様に基づいて、前記複数の放音部により形成される平面領域内に位置するように、楽音の音像の位置を制御する楽音制御手段を備えていることを特徴とする遊技機。
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