JP2005063798A - 錐体型微小構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電界集中が局所的に起こらず、従って発熱等による劣化が少ない先端が鋭く尖った構造体、並びに先端の曲率を一定に揃えることができ、且つ高密度に形成できるその製造方法を提供する。
【解決手段】Si単結晶基板1上にSi基板/金属シリサイド/Si薄膜のダブルヘテロエピタキシャル構造4を形成し、H2 中で熱処理し、自己整合的な再成長により、Si単結晶5からなる島状構造が形成すると共に島5と島5の間隙に金属シリサイド6を凝集させる。CVD法によりSiをエピタキシャル成長すれば、金属シリサイド6が表面反応過程を促進する触媒として働き、球状の金属シリサイド7を頂点に有するSi単結晶からなる錐体型微小構造体8が形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】Si単結晶基板1上にSi基板/金属シリサイド/Si薄膜のダブルヘテロエピタキシャル構造4を形成し、H2 中で熱処理し、自己整合的な再成長により、Si単結晶5からなる島状構造が形成すると共に島5と島5の間隙に金属シリサイド6を凝集させる。CVD法によりSiをエピタキシャル成長すれば、金属シリサイド6が表面反応過程を促進する触媒として働き、球状の金属シリサイド7を頂点に有するSi単結晶からなる錐体型微小構造体8が形成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電子の電界放出エミッタ等に使用可能な錐体型微小構造体及びその製造方法に関する。
先端が鋭く尖った構造体は電子の電界放出エミッタとして極めて広く利用されている。例えば、電界放射型電子銃においてはより小さな印加電圧で電子を放出するために、またトンネル電子顕微鏡においては空間分解能を向上するために、先端の曲率が極めて小さい棒状の構造体が必要である。また、固体表面の全面に先端が鋭く尖った構造体を一様に且つ高密度に形成し、これらの構造体を画素毎の電子銃とした画像表示装置も試みられている。
従来の先端が鋭く尖った構造体を製造する場合、フォトレジスト塗布、紫外線露光、エッチング等のプロセスを用いて、いわば、基板材料から削出しで作製している。
図6は、従来の代表的作製方法を示す図である。図6(a)に示すように、基板単結晶61の表面を熱酸化等の手段で酸化膜62を形成し、(b)に示すように、酸化膜62上にフォトレジスト63を用いて酸化膜62をパターンニングし、(c)に示すように、パターンニングした酸化膜62をマスクとして、ウェットエッチング、あるいはドライエッチングの等方向性エッチングを利用して先端の尖った錐体状構造体を作製する。
しかしながらこの方法は、等方向性エッチングの制御が難しいために、先端の曲率を所望の値にすることが難しく、従ってまた、基板上に複数の先端が鋭く尖った構造体を作製する場合には、その先端の曲率を揃えることは困難であるという課題がある。また、紫外線露光の場合、使用する紫外線波長によって空間分解能が制限されると言う課題があり、高密度化が困難であるという課題がある。また、電子線露光やX線露光を使用すれば高密度化が可能であるが、コストが高くなる。
また、このような方法で形成された構造体の先端の形状は、基板結晶の結晶構造を反映した原子レベルで鋭角的な形状を有するため、電子銃に使用した場合、電界集中が局所的に起こり、発熱等による劣化が激しいという課題がある。
Y.Tsuji,S.Noda,M.Mizukami,H.Komiyama,Proc.of 29th IEEE PVSC(2002)289
図6は、従来の代表的作製方法を示す図である。図6(a)に示すように、基板単結晶61の表面を熱酸化等の手段で酸化膜62を形成し、(b)に示すように、酸化膜62上にフォトレジスト63を用いて酸化膜62をパターンニングし、(c)に示すように、パターンニングした酸化膜62をマスクとして、ウェットエッチング、あるいはドライエッチングの等方向性エッチングを利用して先端の尖った錐体状構造体を作製する。
しかしながらこの方法は、等方向性エッチングの制御が難しいために、先端の曲率を所望の値にすることが難しく、従ってまた、基板上に複数の先端が鋭く尖った構造体を作製する場合には、その先端の曲率を揃えることは困難であるという課題がある。また、紫外線露光の場合、使用する紫外線波長によって空間分解能が制限されると言う課題があり、高密度化が困難であるという課題がある。また、電子線露光やX線露光を使用すれば高密度化が可能であるが、コストが高くなる。
また、このような方法で形成された構造体の先端の形状は、基板結晶の結晶構造を反映した原子レベルで鋭角的な形状を有するため、電子銃に使用した場合、電界集中が局所的に起こり、発熱等による劣化が激しいという課題がある。
Y.Tsuji,S.Noda,M.Mizukami,H.Komiyama,Proc.of 29th IEEE PVSC(2002)289
このように、従来の先端が鋭く尖った構造体は、電界集中が局所的に起こり、発熱等による劣化が激しいという課題がある。また、従来の先端が鋭く尖った構造体の製造方法では、先端の曲率を一定に揃えることが難しい、また高密度化が難しいという課題がある。 本発明は、電界集中が局所的に起こらず、従って発熱等による劣化が少ない先端が鋭く尖った構造体を提供することを目的とする。さらに本発明は、先端の曲率を一定に揃えることができ、また高密度に形成できるその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の錐体型微小構造体の第1の構成は、Si単結晶基板とこの基板上に垂直又はほぼ垂直に成長した錐体形状のSi単結晶とを有し、上記錐体形状のSi単結晶の先端に球形の金属シリサイドを有することを特徴とするものであり、さらに、第2の構成は、錐体形状のSi単結晶からなり、錐体の先端に球形の金属シリサイドを有し、且つSi基板に垂直、又はほぼ垂直にエピタキシャル成長していることを特徴とする。好ましくは、Si単結晶は導電性を有している。
この構造体は、先端が球形であるため、電界放射型エミッタに使用した場合に、電界の局所集中が起こりにくく、発熱等による劣化が起こりにくい。従って例えば、高精度、高信頼性の電子銃が得られる。
この構造体は、先端が球形であるため、電界放射型エミッタに使用した場合に、電界の局所集中が起こりにくく、発熱等による劣化が起こりにくい。従って例えば、高精度、高信頼性の電子銃が得られる。
本発明の錐体型微小構造体の製造方法は、第1の工程として、Si基板上に金属シリサイドがヘテロエピタキシャル成長し、金属シリサイド上にSi薄膜がヘテロエピタキシャル成長した、Si基板/金属シリサイド/Si薄膜のダブルヘテロエピタキシャル構造を形成することを特徴とする。
好ましくは、Si基板は(100)面単結晶基板である。ダブルヘテロエピタキシャル構造を形成するには、好ましくは、加熱したSi基板上に金属薄膜を成膜し、引き続きSi薄膜を成膜する。成膜方法は、好ましくはスパッタリング法である。
好ましくは、Si基板は(100)面単結晶基板である。ダブルヘテロエピタキシャル構造を形成するには、好ましくは、加熱したSi基板上に金属薄膜を成膜し、引き続きSi薄膜を成膜する。成膜方法は、好ましくはスパッタリング法である。
第2の工程として、ダブルヘテロエピタキシャル構造を有するSi基板をH2 中で熱処理することによる自己整合的な再成長により、微細なSi単結晶がSi基板上に多数分布した島状構造を形成すると共に、微細なSi単結晶である島と島の間隙に金属シリサイドを凝集させることを特徴とする。
微細なSi単結晶は、側面が(111)面からなり、上面が(100)面からなり、且つSi基板上にエピタキシャル成長している。金属シリサイドは、遷移金属のシリサイドであれば好ましく、特に好ましくは、CoSi2 である。
微細なSi単結晶は、側面が(111)面からなり、上面が(100)面からなり、且つSi基板上にエピタキシャル成長している。金属シリサイドは、遷移金属のシリサイドであれば好ましく、特に好ましくは、CoSi2 である。
第3の工程として、微細なSi単結晶である島と島の間隙に金属シリサイドが凝集したSi基板上に、SiH2 Cl2 、SiHCl3 、又はSiH4 を原料ガスとしたCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりSiをエピタキシャル成長することにより、金属シリサイドが存在した位置に錐体型微小構造体を形成する。
この方法で形成した構造体は、Si基板面にエピタキシャル成長した、Si単結晶からなる錐体形状の構造体であり、表面は(111)面から構成されている。また、錐体の先端は、ほぼ球形の金属粒子で構成されている。
この方法で形成した構造体は、Si基板面にエピタキシャル成長した、Si単結晶からなる錐体形状の構造体であり、表面は(111)面から構成されている。また、錐体の先端は、ほぼ球形の金属粒子で構成されている。
錐体型微小構造体の高さ及び先端の曲率は、Si基板/金属シリサイド/Si薄膜における金属シリサイド及びSi薄膜の厚さを制御することによって制御可能である。また、H2 中の熱処理温度を制御することによって制御可能である。
上記の製造方法によれば、基板上に形成した複数の錐体型微小構造体の形状を揃えることができ、先端の曲率を揃えることができるので、また、紫外線波長に制限されずに高密度に形成できるので、例えば、画像表示装置の画素電子銃として用いれば、極めて均一性の高い、且つ高分解能の画像表示装置が得られる。
上記の錐体型微小構造体の形成メカニズムは以下のように考えられる。尚、金属がCoであり、成膜方法がスパッタ法である場合を例に説明する。
SiとCoSi2 は、格子定数のミスマッチが1.2%程度であるため、互いに一方の結晶が他方の結晶の表面上に、ある定まった方位関係をとって成長できる、すなわちエピタキシャル成長できる関係にある。そのため、基板加熱式スパッタにより、Si基板上にSi基板/CoSi2 /Si薄膜からなるダブルヘテロエピタキシャル構造を成長させることができる(非特許文献1参照)。このダブルヘテロエピタキシャル構造をH2 で熱処理するが、この際、好ましくは、基板としてSi(100)面基板を用い、H2 熱処理の温度を適切に選択すれば、Si(111)面で囲まれてCoSi2 が凝集する。この凝集過程は、SiとCoSi2 の表面エネルギー、及びSi/CoSi2 の界面エネルギーがともに(111)面で最小になるため、(111)面で囲まれて凝集が進行するのがもっとも自由エネルギーが低いためである。この凝集過程は、Siの表面拡散と、CoSi2 中のCoのSiへの拡散によって決定される。拡散係数はプロセス温度が高いほど大きくなるので、H2 熱処理プロセスの温度と時間をコントロールすることによって、凝集の進行具合を決めることができる。
SiとCoSi2 は、格子定数のミスマッチが1.2%程度であるため、互いに一方の結晶が他方の結晶の表面上に、ある定まった方位関係をとって成長できる、すなわちエピタキシャル成長できる関係にある。そのため、基板加熱式スパッタにより、Si基板上にSi基板/CoSi2 /Si薄膜からなるダブルヘテロエピタキシャル構造を成長させることができる(非特許文献1参照)。このダブルヘテロエピタキシャル構造をH2 で熱処理するが、この際、好ましくは、基板としてSi(100)面基板を用い、H2 熱処理の温度を適切に選択すれば、Si(111)面で囲まれてCoSi2 が凝集する。この凝集過程は、SiとCoSi2 の表面エネルギー、及びSi/CoSi2 の界面エネルギーがともに(111)面で最小になるため、(111)面で囲まれて凝集が進行するのがもっとも自由エネルギーが低いためである。この凝集過程は、Siの表面拡散と、CoSi2 中のCoのSiへの拡散によって決定される。拡散係数はプロセス温度が高いほど大きくなるので、H2 熱処理プロセスの温度と時間をコントロールすることによって、凝集の進行具合を決めることができる。
その上にCVD成膜によって、Siをエピタキシャル成長させることにより、単結晶のSi膜を得ることが出来る。
凝集したCoSi2 の表面は、Si・CVDプロセスにおいて原料ガスにさらされる。CVDによるSiの成膜は、第1の段階である、原料ガスSiH2 Cl2 (または、SiHCl3 、SiH4 )の気相拡散、第2の段階である、気相での解離反応、第3の段階である、基板・膜表面での化学吸着、第4の段階である、HCl脱離とSi形成の段階に分けて考えられる。CoSi2 は、第3及び第4の段階の表面反応過程を促進する触媒として働き、生成したSiはCoSi2 中を拡散し、CoSi2 /Si界面で結晶Siとして析出すると考えられる。この触媒作用により、CoSi2 部位では周囲よりも、基板垂直方向に速くSiが成長するため、CoSi2 を頂点に有するSiの錐体状突起が形成される。頂点は触媒反応により、側面は無触媒反応により成長するため、水平方向よりも垂直方向に一定の比で速く成長し、両者のバランスで側面の角度が決まった錐体構造を形成すると考えられる。
凝集したCoSi2 の表面は、Si・CVDプロセスにおいて原料ガスにさらされる。CVDによるSiの成膜は、第1の段階である、原料ガスSiH2 Cl2 (または、SiHCl3 、SiH4 )の気相拡散、第2の段階である、気相での解離反応、第3の段階である、基板・膜表面での化学吸着、第4の段階である、HCl脱離とSi形成の段階に分けて考えられる。CoSi2 は、第3及び第4の段階の表面反応過程を促進する触媒として働き、生成したSiはCoSi2 中を拡散し、CoSi2 /Si界面で結晶Siとして析出すると考えられる。この触媒作用により、CoSi2 部位では周囲よりも、基板垂直方向に速くSiが成長するため、CoSi2 を頂点に有するSiの錐体状突起が形成される。頂点は触媒反応により、側面は無触媒反応により成長するため、水平方向よりも垂直方向に一定の比で速く成長し、両者のバランスで側面の角度が決まった錐体構造を形成すると考えられる。
従って、CoSi2 凝集体の数密度と錐体型微小構造体の数密度には強い相関がある。しかしながら、錐体の垂直方向の成長速度はCoSi2 中のSi拡散速度にも影響されるため、一般的に小さいCoSi2 凝集体を持つ錐体が速く成長し、大きいCoSi2 凝集体は埋め込まれてしまう傾向があり、このため、CoSi2 凝集体の数密度と錐体型微小構造体の数密度は一対一には対応しない。
以上の形成メカニズムから明らかなように、錐体型微小構造体のサイズと密度は、H2 熱処理によって形成されたCoSi2 のサイズと密度によって決まる。CoSi2 のサイズと密度は、ダブルヘテロエピタキシャル構造のCoSi2 及びSi薄膜の膜厚によって制御可能である。また、H2 熱処理の温度と時間によって制御することもできる。
本発明の錐体型微小構造体によれば、先端が球形であるので、例えば、安定性、信頼性に優れた電界放射型エミッタとして使用できる。また、本発明の錐体型微小構造体の製造方法によれば、先端の曲率が揃った錐体型微小構造体を基板上に高密度に並べて形成できるので、例えば、分解能及び均一性に優れた画像表示装置を実現することができる。
以下、本発明の最良の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
最初に、本発明の錐体型微小構造体の製造方法を説明し、次にこの方法を用いた実施例を説明し、実施例で製造した錐体型微小構造体に基づいて本発明の錐体型微小構造体の構成を説明する。
最初に、本発明の錐体型微小構造体の製造方法を説明し、次にこの方法を用いた実施例を説明し、実施例で製造した錐体型微小構造体に基づいて本発明の錐体型微小構造体の構成を説明する。
図1は、本発明の錐体型微小構造体の製造方法を示す模式図である。(a)は第1の工程、(b)は第2の工程、(c)は第3の工程を示し、(d)は完成図を示している。
図1(a)に示すように、Si単結晶基板1上に、遷移金属薄膜を10nm程度成膜し、さらに遷移金属薄膜上にSi薄膜を50nm程度成膜する。例えば、スパッタリング装置にSi単結晶基板1を設置し、600〜800℃程度に基板加熱しながら、連続して遷移金属薄膜及びSi薄膜を積層すれば、固相反応により、Si基板1上に金属シリサイド2がヘテロエピタキシャル成長し、金属シリサイド2上にSi薄膜3がヘテロエピタキシャル成長した、Si基板/金属シリサイド/Si薄膜のダブルヘテロエピタキシャル構造4が形成できる。Si単結晶基板1はSi(100)面基板が好ましく、遷移金属はCoが好ましい。また、実施例で示すように、成膜する遷移金属及びSi薄膜の厚さを制御することによって、錐体型微小構造体の形状及び密度を制御することができる。
図1(a)に示すように、Si単結晶基板1上に、遷移金属薄膜を10nm程度成膜し、さらに遷移金属薄膜上にSi薄膜を50nm程度成膜する。例えば、スパッタリング装置にSi単結晶基板1を設置し、600〜800℃程度に基板加熱しながら、連続して遷移金属薄膜及びSi薄膜を積層すれば、固相反応により、Si基板1上に金属シリサイド2がヘテロエピタキシャル成長し、金属シリサイド2上にSi薄膜3がヘテロエピタキシャル成長した、Si基板/金属シリサイド/Si薄膜のダブルヘテロエピタキシャル構造4が形成できる。Si単結晶基板1はSi(100)面基板が好ましく、遷移金属はCoが好ましい。また、実施例で示すように、成膜する遷移金属及びSi薄膜の厚さを制御することによって、錐体型微小構造体の形状及び密度を制御することができる。
図1(b)に示すように、ダブルヘテロエピタキシャル構造4が形成されたSi単結晶基板1を、950℃程度のH2 中で熱処理すると、自己整合的な再成長により、微細なSi単結晶5がSi単結晶基板1上に高密度に分布した島状構造が形成されると共に、微細なSi単結晶5である島5と島5の間隙に金属シリサイド6が凝集する。微細なSi単結晶5は、側面が(111)面からなり、上面が(100)面からなり、且つSi基板上にエピタキシャル成長している。金属シリサイド6は遷移金属のシリサイドであれば好ましく、特に好ましくは、CoSi2 である。
図1(c)に示すように、微細なSi単結晶5がSi単結晶基板1上に多数分布した島状構造が形成され且つ島5と島5の間隙に金属シリサイド6が凝集したSi単結晶基板1に、SiH2 Cl2 、SiHCl3 又はSiH4 を原料ガスとしたCVD法によりSiをエピタキシャル成長する。なお、導電性の錐体型微小構造体を形成する場合には、原料ガスにドーパントガスを混ぜてエピタキシャル成長する。
これにより、凝集した金属シリサイド6の表面が原料ガスにさらされ、金属シリサイド6が表面反応過程を促進する触媒として働き、生成したSiは金属シリサイド6中を拡散し、金属シリサイド/Si基板界面6aで結晶Siとして析出する。この触媒作用により、金属シリサイド/Si基板界面6aでは、微細なSi単結晶5上よりも速く基板垂直方向にSi単結晶が成長し、図1(d)に示すように、球状の金属シリサイド7を頂点に有するSi単結晶からなる錐体状突起が形成され、また頂点直下の基板垂直方向の成長速度は触媒反応により律速され、一方、側面方向の成長速度は無触媒反応により律速されるため水平方向より垂直方向の成長速度が一定の比で速く、両者のバランスで基板に対する側面の角度が定まった錐体型微小構造体8が形成される。
これにより、凝集した金属シリサイド6の表面が原料ガスにさらされ、金属シリサイド6が表面反応過程を促進する触媒として働き、生成したSiは金属シリサイド6中を拡散し、金属シリサイド/Si基板界面6aで結晶Siとして析出する。この触媒作用により、金属シリサイド/Si基板界面6aでは、微細なSi単結晶5上よりも速く基板垂直方向にSi単結晶が成長し、図1(d)に示すように、球状の金属シリサイド7を頂点に有するSi単結晶からなる錐体状突起が形成され、また頂点直下の基板垂直方向の成長速度は触媒反応により律速され、一方、側面方向の成長速度は無触媒反応により律速されるため水平方向より垂直方向の成長速度が一定の比で速く、両者のバランスで基板に対する側面の角度が定まった錐体型微小構造体8が形成される。
Si(100)基板上に、基板温度800℃でCoを10nmスパッタ成膜してCoSi2 を形成した後、真空を破ることなく、基板温度600℃で連続的にSiを50nmを成膜し、Si基板/CoSi2 /Si薄膜からなるダブルヘテロエピタキシャル構造を作製した。
その後、円管型CVD装置で950℃、15分、H2 中で熱処理した後、900℃でSiH2 Cl2 /H2 原料ガスを用いてSiを成膜すると、Si単結晶からなる錐体型微小構造体が基板に垂直に高密度に成長した。
H2 中熱処理前にCoSi2 を覆っていたSi薄膜は、H2 中熱処理によって凝縮・再成長し、(111)面を側面とし上面を(100)面とする微細な多数のSi単結晶となって基板上に分布し、島と島の間に凝集したCoSi2 の表面が現れた。CoSi2 自体も数10nm程度のナノ結晶の凝集体であった。
その後、円管型CVD装置で950℃、15分、H2 中で熱処理した後、900℃でSiH2 Cl2 /H2 原料ガスを用いてSiを成膜すると、Si単結晶からなる錐体型微小構造体が基板に垂直に高密度に成長した。
H2 中熱処理前にCoSi2 を覆っていたSi薄膜は、H2 中熱処理によって凝縮・再成長し、(111)面を側面とし上面を(100)面とする微細な多数のSi単結晶となって基板上に分布し、島と島の間に凝集したCoSi2 の表面が現れた。CoSi2 自体も数10nm程度のナノ結晶の凝集体であった。
図2は、形成した錐体型微小構造体の断面SEM像を示す図である。図から、基板面に垂直に高密度で錐体型微小構造体が形成されていることがわかる。形成された錐体型微小構造体のサイズは、ダブルヘテロエピタキシャル構造のCoSi2 およびSi薄膜の膜厚により異ったが、側面が(111)面に囲まれた錐体形状を成す点は同一であった。尚、基板垂直方向からやや傾いて成長した錐体型微小構造体も見られるが、これはCoSi2 やSi薄膜中の欠陥によるものと考えられ、プロセスを最適化することによって無くすことができる。
図3は、形成した錐体型微小構造体の先端部分のSEM像を示す図である。図から、先端の曲率は約100nmであることがわかる。
図4は、図3に示した錐体型微小構造体の先端部分及び錐体部分の電子線回折、及び元素分析を示す図であり、(a)は先端部の電子線回折及び元素分析であり、(b)は錐体部の電子線回折及び元素分析である。なお、元素分析は、エネルギー分散型X線元素分析装置を用いた。図から、先端部は、コバルトシリサイド(CoSi2 )の単結晶からなり、錐体部はSi単結晶であることがわかる。
なお、図2〜4から、本発明の錐体型微小構造体は、錐体形状のSi単結晶からなり、錐体の先端に球形の金属シリサイドを有し、且つSi基板に垂直、又はほぼ垂直にエピタキシャル成長した構成を有していることは明かである。
次に、ダブルヘテロエピタキシャル構造におけるCoSi2 とSi薄膜の膜厚及びH2 中の熱処理の温度を変えた場合の錐体型微小構造体のSi基板上における密度の変化を示す。
H2 熱処理条件と、CoSi2 とSi薄膜の厚さを変えた(a)〜(e)の5種類の製造条件により錐体型微小構造体を形成し、Si基板上における錐体型微小構造体の密度を比較した。(a)〜(e)の製造条件を以下に示す。
(a)950℃,10分のH2 熱処理、CoSi2 10nm,Si薄膜50nm
(b)950℃,10分のH2 熱処理、CoSi2 30nm,Si薄膜50nm
(c)950℃,10分のH2 熱処理、CoSi2 30nm,Si薄膜100nm
(d)950℃,45分のH2 熱処理、CoSi2 30nm,Si薄膜50nm
(e)900℃,10分のH2 熱処理、CoSi2 30nm,Si薄膜50nm
H2 熱処理条件と、CoSi2 とSi薄膜の厚さを変えた(a)〜(e)の5種類の製造条件により錐体型微小構造体を形成し、Si基板上における錐体型微小構造体の密度を比較した。(a)〜(e)の製造条件を以下に示す。
(a)950℃,10分のH2 熱処理、CoSi2 10nm,Si薄膜50nm
(b)950℃,10分のH2 熱処理、CoSi2 30nm,Si薄膜50nm
(c)950℃,10分のH2 熱処理、CoSi2 30nm,Si薄膜100nm
(d)950℃,45分のH2 熱処理、CoSi2 30nm,Si薄膜50nm
(e)900℃,10分のH2 熱処理、CoSi2 30nm,Si薄膜50nm
図5は、錐体型微小構造体の密度を示す図であり、Si基板表面真上から測定したSEM像を示す図である。(a)〜(e)は、それぞれ上記(a)〜(e)の製造条件で作製した試料のSEM像に対応する。
(a)及び(b)から、CoSi2 の膜厚が小さいほど、錐体型微小構造体の断面形状は小さくなり、密度は増加することがわかる。
(b)及び(c)から、Si薄膜の膜厚が大きいほど、錐体型微小構造体の密度は減少することがわかる。
(a)及び(d)から、H2 熱処理時間が長くなると、錐体型微小構造体の密度は減少することがわかる。
(b)及び(e)から、H2 熱処理温度が低くなると、錐体型微小構造体の密度は減少することがわかる。
なお、この図からは、先端の球形の金属シリサイドの曲率半径がわからないが、CoSi2 の厚さに依存して変化することを確認している。この図から明らかなように、CoSi2 、Si薄膜の厚さ及びH2 熱処理条件を選択することにより、錐体型微小構造体の密度及び先端の金属シリサイドの曲率半径を制御することができる。
(a)及び(b)から、CoSi2 の膜厚が小さいほど、錐体型微小構造体の断面形状は小さくなり、密度は増加することがわかる。
(b)及び(c)から、Si薄膜の膜厚が大きいほど、錐体型微小構造体の密度は減少することがわかる。
(a)及び(d)から、H2 熱処理時間が長くなると、錐体型微小構造体の密度は減少することがわかる。
(b)及び(e)から、H2 熱処理温度が低くなると、錐体型微小構造体の密度は減少することがわかる。
なお、この図からは、先端の球形の金属シリサイドの曲率半径がわからないが、CoSi2 の厚さに依存して変化することを確認している。この図から明らかなように、CoSi2 、Si薄膜の厚さ及びH2 熱処理条件を選択することにより、錐体型微小構造体の密度及び先端の金属シリサイドの曲率半径を制御することができる。
1 Si単結晶基板
2 金属シリサイド
3 Si薄膜
4 ダブルヘテロエピタキシャル構造
5 微細なSi単結晶
6 凝集した金属シリサイド
6a 凝集した金属シリサイドとSi単結晶基板との界面
7 金属シリサイド
8 錐体型微小構造体
2 金属シリサイド
3 Si薄膜
4 ダブルヘテロエピタキシャル構造
5 微細なSi単結晶
6 凝集した金属シリサイド
6a 凝集した金属シリサイドとSi単結晶基板との界面
7 金属シリサイド
8 錐体型微小構造体
Claims (8)
- Si単結晶基板とこの基板上に垂直又はほぼ垂直に成長した錐体形状のSi単結晶とを有し、上記錐体形状のSi単結晶の先端に球形の金属シリサイドを有することを特徴とする、錐体型微少構造体。
- 錐体形状のSi単結晶からなり、錐体の先端に球形の金属シリサイドを有し、且つSi単結晶基板に垂直又はほぼ垂直にエピタキシャル成長していることを特徴とする、錐体型微少構造体。
- 前記錐体形状のSi単結晶は導電性を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の錐体型微少構造体。
- Si単結晶基板上に金属シリサイドがヘテロエピタキシャル成長し、この金属シリサイド上にSi薄膜がヘテロエピタキシャル成長した、Si基板/金属シリサイド/Si薄膜のダブルヘテロエピタキシャル構造を形成する第1の工程と、
このダブルヘテロエピタキシャル構造を有するSi単結晶基板をH2 中で熱処理することによる自己整合的な再成長により、微細なSi単結晶がSi基板上に複数分布した島状構造を形成すると共に、上記微細なSi単結晶である島と島の間隙に上記金属シリサイドを凝集させる第2の工程と、
上記微細なSi単結晶である島と島の間隙に金属シリサイドが凝集したSi基板上に、SiH2 Cl2 、SiHCl3 、又はSiH4 を原料ガスとしたCVD法によりSiをエピタキシャル成長する第3の工程とからなることを特徴とする、錐体型微少構造体の製造方法。 - 前記Si単結晶基板は(100)面基板であることを特徴とする、請求項4に記載の錐体型微少構造体の製造方法。
- 前記ダブルヘテロエピタキシャル構造は、前記Si単結晶基板の温度を制御したスパッタリング法により、前記金属シリサイドを構成する金属とSiを、順次上記Si単結晶基板上に成膜することにより得られることを特徴とする、請求項4に記載の錐体型微少構造体の製造方法。
- 前記金属は、遷移金属であることを特徴とする、請求項6に記載の錐体型微少構造体の製造方法。
- 前記遷移金属はCoであることを特徴とする、請求項7に記載の錐体型微少構造体の製造方法。
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- 2003-08-11 JP JP2003291802A patent/JP2005063798A/ja active Pending
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