JP2005063689A - バッテリ冷却制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主バッテリ8は冷却ファン23の冷却風によって冷却される。温度センサ20により検出される主バッテリ8の温度と、温度センサ30によって検出された冷却風温度とに基づいて、冷却ファン23を駆動する際のファンデューティを決定する。例えば、主バッテリ80と冷却風との温度差が小さいほどファンデューティを大きくして冷却風量を大きくする。それによって、温度差が小さくなっても冷却性能がほぼ一定に保たれる。逆に冷却風温度が低くて温度差が大きいときには、風量を小さくするので、主バッテリが必要以上に冷却されるのを防止できるとともに、省電力化を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却ファン等により冷却風を送風してバッテリを冷却するバッテリ冷却制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気モータの駆動力によって走行する電気自動車やエンジンとモータの両方の駆動力を使用するハイブリッド電気自動車が普及しつつある。バッテリは充放電時に発熱するが、電池温度が上昇すると電池性能が低下するばかりでなく寿命も著しく低下するため、バッテリ冷却用の冷却ファンを備えたものがある。
そのような冷却ファンを備えたものでは、バッテリ温度やバッテリ収容空間の温度に基づいて冷却ファンを駆動させ、バッテリ温度を所定温度範囲に維持させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。その場合、バッテリ温度が高いほど冷却ファンの風量を大きくしていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−306722号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷却ファンによる冷却能力はファン風量だけでなく冷却風温度にも依存しており、同じファン風量でも冷却風温度が低いほど冷却能力が高くなる。そのため、上述したように冷却風温度に関わらずファン風量を設定した場合、冷却風温度が低いときには設定風量よりも低いファン風量でも、バッテリ冷却に十分な冷却性能を得られる場合がある。そのような場合、必要以上にファン風量が大きいことになり、無駄に電力を消費することになる。
【0005】
本発明は、冷却風による冷却効率を考慮して冷却風量を設定して、バッテリを冷却するバッテリ冷却制御装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、冷却手段からバッテリに冷却風を供給してバッテリを冷却するものであって、制御手段は、冷却風温度検出手段により検出された冷却風温度に基づいて、冷却手段の冷却量がほぼ一定となるように冷却手段を制御することを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、冷却風温度に基づいて冷却手段の冷却量がほぼ一定となるように制御されるので、冷却手段が必要以上の冷却性能で駆動されるのを避けることができ、消費電力の無駄を省くことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明によるバッテリ冷却制御装置の一実施の形態を説明する図である。図1は、本発明のバッテリ冷却制御装置をハイブリッド自動車のバッテリ冷却に適用した場合の、概略構成を示すブロック図である。図1に示すハイブリッド自動車はパラレル方式とシリーズ方式とを組み合わせたものであり、駆動源としてエンジン1と電動モータ2とを備えている。エンジン1は動力分割機構3を介して減速機5および発電機4と接続され、エンジン1の駆動力は動力分割機構3によって車輪6の駆動力と発電機4の駆動力とに分割される。
【0009】
電動モータ2はインバータ7を介して主バッテリ8と接続されている。モータ走行時には主バッテリ8から電動モータ2に電力が供給され、制動時には電動モータ2を回生発電させ、その回生電力により主バッテリ8を充電する。車両コントローラ(HCM)9は、アクセルセンサ10で検出されたアクセルペダル踏み込み量、ブレーキセンサ11で検出されたブレーキペダル踏み込み量、車速センサ12で検出された車両の走行速度等に基づいて、エンジンコントローラ(E/C)13,モータコントローラ14,バッテリコントローラ15およびブレーキコントローラ16を制御し、車両の駆動力と制動力とを制御する。
【0010】
ブレーキコントローラ16は、車両コントローラ9からの指令信号に基づいて油圧源17を制御して、車輪6に設けられた油圧ブレーキ(不図示)による制動力を調整する。エンジンコントローラ(E/C)13は、車両コントローラ9から送信されるエンジン1の始動/停止信号に基づいてエンジン1の始動・停止制御を行うとともに、エンジントルクが車両コントローラ9からのトルク指令値に一致するように不図示のスロットルバルブ開閉装置、燃料噴射装置および点火時期制御装置を制御する。
【0011】
モータコントローラ14は、車両コントローラ9から送信される電動モータ2の駆動(力行)指令および回生制動(発電制動)指令と回転速度指令とに基づいて、インバータ7を制御して電動モータ2の回転速度およびトルクを調整する。
バッテリコントローラ15は、車両コントローラ9からの指令信号、電圧センサ18で検出されたバッテリ電圧、電流センサ19で検出された充放電電流、温度センサ20で検出されたバッテリ温度などに基づいて、主バッテリ8の充放電制御および充電状態(SOC:State Of Charge)の演算を行う。
【0012】
補記用バッテリ21はエアコンやオーディオや等の補機22や主バッテリ用冷却ファン23を駆動するためのバッテリであり、例えば12Vのバッテリが用いられる。DC/DCコンバータ24は主バッテリ1の高電圧の電力を12Vの電力に変換し、変換された電力は補記用バッテリ21に供給される。冷却ファン23は、主バッテリ8が収納されているバッテリ室25の冷却風出口25a付近に設けられている。冷却ファン23を駆動すると、冷却風がバッテリ室25の冷却風取り入れ口25bから強制的の取り込まれ、主バッテリ8から熱を奪った後に冷却風出口25aから排出される。30は、冷却風取り入れ口25bから取り込まれる冷却風の温度を検出する温度センサである。なお、冷却ファン23の駆動制御は、車両コントローラ9によって行われる。
【0013】
図1に示したハイブリッド自動車では、発進時や、ごく低速で走行する場合には、主バッテリ8の電力で電動モータ2を駆動して走行する。通常走行時には、エンジン動力を動力分割機構3で2経路に分割し、分割された動力の一方は車輪5を直接駆動する。他方は発電機4を駆動して発電し、その電力で電動モータ2を駆動して走行駆動力をアシストする。より大きな駆動力を必要とする全開加速時には、主バッテリ8からも電動モータ2に電力が供給される。
【0014】
このような力行時には、前述したようにアクセル操作量、ブレーキ操作量、車速に基づいて車両の駆動力を決定する。また、演算されたバッテリ1のSOCに基づいて発電の必要があるか否かを決定し、上述した駆動力および発電の必要性などの情報に基づいてエンジン1、電動モータ2、発電機4の発生するトルクを演算し、エンジン1、電動モータ2および発電機4を制御する。例えば、主バッテリ8のSOCが小さくなりすぎた場合には、エンジン1の動力で発電機4を駆動して主バッテリ8を充電する。
【0015】
制動時および減速時には、車輪5の駆動力によって電動モータ2を駆動し、電動モータ2を発電機として動作させて回生発電を行う。そして、その回生電力で主バッテリ8を充電する。その際、車両の回生制動力を考慮したうえでエンジン1,電動モータ2,発電機4を制御するとともに、要求制動力から主バッテリ8の最大充電可能電力に相当する回生制動力を減じた制動力を、エンジンブレーキまたは油圧ブレーキで発生させる。
【0016】
《冷却ファン駆動制御の説明》
次に、図2のフローチャートを参照して、冷却ファンの駆動動作について説明する。図2のフローチャートは車両のイグニッションスイッチがオンされると実行され、イグニッションスイッチがオフされるまで所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0017】
フローチャートが実行されると、ステップS10において、温度センサ20により主バッテリ8のバッテリ温度TB1を検出する。ステップS20では、予め決められた設定温度T0と検出されたバッテリ温度TB1とを比較し、バッテリ温度TB1が設定温度T0よりも大きいか否かを判定する。ステップS20でにおいてTB1>T0と判定されるとステップS30に進んで冷却ファン23が駆動されるファン作動状態とされ、TB1≦T0と判定されるとステップS110へ進んで冷却ファン停止状態であるファン非作動状態とされる。
【0018】
主バッテリ8の充電効率は、図3に示すようにバッテリ温度が上昇するにつれて低下する傾向がある。図3に示す例では35℃までは直線的に緩やかに変化しているが、35℃を越えると充電効率が急激に低下している。そのため、本実施の形態では、設定温度T0(例えば、35℃)を設定して、バッテリ温度TB1が設定温度T0を越えたら、主バッテリ8をファン冷却する。
【0019】
ステップS30でファン作動状態とされたならば、ステップS40に進んで温度センサ30により冷却風温度TWを検出する。ステップS50では、ステップS10で検出されたバッテリ温度TB1とステップS40で検出された冷却風温度TWとの差T=TB1−TWを算出する。
【0020】
ステップS60では、ステップS50で算出された温度差Tに基づいて冷却ファン23のデューティ(冷却ファン風量)を設定する。図4はファンデューティ設定の一例を示す図であり、縦軸がファンデューティであり、横軸がバッテリ温度TB1と冷却風温度TWとの温度差Tである。
【0021】
ところで、バッテリ室25に収納された主バッテリ8からその周囲の冷却風への熱伝達量は、主バッテリ8と冷却風との温度差が大きいほど大きく、また、冷却風の風量が大きいほど大きい。そこで、図4に示す例では、温度差TがT2以上の場合には、温度差Tの増加とともにファンデューティを100%から直線的に減少させ、温度差T1ではファンデューティ=0%(OFF)とするようにした。
【0022】
ファンデューティ=0%とされる温度差T1は、主バッテリ8の周囲空気温度が低くて自然放熱でもバッテリ温度を所定温度以内にすることができる温度として予め設定されている。また、温度差がT2よりも小さい場合にはファンデューティ=100%とされ、温度差がT1よりも大きい場合にはファンデューティ=0%とされる。
【0023】
このように、温度差が小さいときには冷却風量を大きくし、温度差Tが大きいときは冷却風量を小さくすることによって、温度差の大きさによらずファン冷却の冷却性能がほぼ一定となるようにした。そのため、外気温の変化等により冷却風の温度が変化して主バッテリ8と冷却風との温度差Tに変化が生じても、冷却性能が一定に保たれる。その結果、冷却風温度が低い場合に主バッテリ8の温度が低くなりすぎるようなことを避けることができるとともに、ファン駆動に消費される電力の低減を図ることができる。
【0024】
図5はファンデューティ設定の他の例を示す図であり、温度差の増加とともにファンデューティを階段状に減少させるようにした。さらに、ファンデューティが変化する場合の温度差の値を、温度差が増加している場合と温度差が減少している場合とで変えてヒステリシスを有するようにした。すなわち、ファン駆動時のファンデューティをHi(100%),Mid,Loの3段階に分け、温度差増加の局面では、温度差T4のときにHiからMidへと切り換え、温度差T6,T8のときにそれぞれMid→Lo,Lo→OFF(0%)のように切り換えるようにした。逆に温度差減少の局面では、温度差T7,T5,T3において、それぞれOFF→Lo,Lo→Mid,Mid→Hiへと切り換えるようにした。
【0025】
図2に戻って、ステップS70では、ステップS10でバッテリ温度TB1を検出してから所定時間Δtが経過したかを判定し、所定時間Δtが経過したならばステップS80へ進む。ステップS80では再びバッテリ温度を検出し、それをTB2とする。ステップS90ではステップS10で検出したバッテリ温度TB1とステップS80で検出したバッテリ温度TB2とに基づいて、バッテリ温度の時間的な変化率ΔTB/Δtを算出する。ここで、ΔTB=TB2−TB1であり、Δtはバッテリ温度TB2の検出時刻t2とバッテリ温度TB1の検出時刻t1との差Δt=t2−t1に等しい。
【0026】
ステップS100では、ステップS90で算出された変化率ΔTB/Δtの大きさである|ΔTB/Δt|が、予め決められた所定値Ts以下か否かを判定する。ステップS100で|ΔTB/Δt|≦Tsと判定されると、冷却ファン23による冷却効果が得られていないと判断して、ステップ110に進んで冷却ファン23の駆動を停止してファン非作動状態とする。一方、ステップS100で|ΔTB/Δt|>Tsと判定されると、ファン駆動を継続して一連の処理を終了する。
【0027】
このように、本実施の形態では、冷却ファン23による冷却を行っているにもかかわらず冷却効果が得られないような場合には、冷却ファン23を停止させて無駄な電力消費を行わないようにした。本実施の形態では図4,5に示したように温度差Tが小さい場合にはファンデューティを大きくして冷却性能(冷却量)が一定に保たれるように制御しているので、上述した無駄は温度差Tが小さいときほど大きくなる。そのため、温度差Tが小さいときほど電力消費低減の効果が大きくなる。
【0028】
図6は本実施の形態のようにファンデューティを図4や図5のように制御した場合(破線L1)と、一定のファンデューティで冷却ファン23を駆動させた場合(実線L2)の消費電力を示す図である。なお、図6はファンデューティ制御による効果をみるためのものであって、破線L1は図2のステップS80〜S100までの処理を省略して制御した場合の消費電力を示している。
【0029】
図6は10−15モード走行中のファン消費電力の積算値の変化を示したものであり、実験開始してから1時間後(3600秒後)の積算消費電力を100として示した。なお、実験開始前のバッテリ温度は35℃で、冷却風温度は25℃であり、最終的なバッテリ温度はいずれの場合も30℃であった。図6からも分かるように、図4,5のようなファンデューティ制御を行うことにより、消費電力を30%程度低減させることができた。さらに、ファンデューティ制御に加えて、図2のステップS80〜S110の処理を行った場合、図6に示す消費電力に対してさらに30%程度低減させることができた。なお、これは主バッテリ8の周囲空気温度が低く自然放熱でもバッテリ温度を所定温度以内にできる場合であって、温度が高い場合にはこの低減率は減少することもある。
【0030】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、主バッテリ8はバッテリを、冷却ファン23は冷却手段を、温度センサ30は冷却風温度検出手段を、車両コントローラ9は制御手段および温度変化検出手段を、温度センサ20はバッテリ温度検出手段をそれぞれ構成する。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるバッテリ冷却制御装置の一実施の形態を説明する図である。
【図2】冷却ファン駆動制御を説明するフローチャートである。
【図3】バッテリの充電効率の温度変化の一例を示す図である。
【図4】ファンデューティ設定の一例を示す図である。
【図5】ファンデューティ設定の他の例を示す図である。
【図6】実施の形態における消費電力を説明する図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 電動モータ
7 インバータ
8 主バッテリ
9 車両コントローラ
13 エンジンコントローラ
14 モータコントローラ
15 バッテリコントローラ
18 電圧センサ
19 電流センサ
20,30 温度センサ
21 補記用バッテリ
23 冷却ファン
Claims (4)
- バッテリに冷却風を供給して前記バッテリを冷却する冷却手段と、
前記バッテリに供給される冷却風の温度を検出する冷却風温度検出手段と、
前記冷却風温度検出手段により検出された冷却風温度に基づいて、前記冷却手段の冷却量がほぼ一定となるように前記冷却手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするバッテリ冷却制御装置。 - 請求項1に記載のバッテリ冷却制御装置において、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ温度検出手段で検出されたバッテリ温度と前記冷却風温度検出手段で検出された冷却風温度との温度差に基づいて、前記冷却量がほぼ一定となるように前記冷却手段を制御することを特徴とするバッテリ冷却制御装置。 - 請求項2に記載のバッテリ冷却制御装置において、
前記制御手段は、前記温度差が小さいほど前記冷却風の風量が大きくなるように前記冷却手段を制御することを特徴とするバッテリ冷却制御装置。 - 請求項2または3に記載のバッテリ冷却制御装置において、
前記バッテリ温度の時間的変化を検出する温度変化検出手段を備え、
前記制御手段は、前記温度変化検出手段で検出された温度変化が所定値以下の場合に前記冷却手段による前記バッテリの冷却を停止することを特徴とするバッテリ冷却制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003207328A JP2005063689A (ja) | 2003-08-12 | 2003-08-12 | バッテリ冷却制御装置 |
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2003
- 2003-08-12 JP JP2003207328A patent/JP2005063689A/ja not_active Withdrawn
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