従来、光ディスクであるコンパクトディスクには、CD−DA(Compact Disc Digital Audio)型コンパクトディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)型コンパクトディスクがある。更に、コンパクトディスクには、CD−DA(Compact Disc Digital Audio)型コンパクトディスクのフォーマットを基礎にしたCD−R(Compact Disc Recordable)型コンパクトディスク、CD−RW(Compact Disc Rewritable)型コンパクトディスク、CD−Extra型コンパクトディスク等のマルチセッション型のコンパクトディスクがある。例えば、マルチセッション型であるCD−Extra型コンパクトディスクでは、内周側のセッションに一又は複数のオーディオデータを記録し、外周側のセッションに、内周側セッションに記録されたオーディオデータに関連した画像データ、映像データ、コンピュータプログラム等の関連データが記録される。なお、このマルチセッション型のコンパクトディスクに関しては、下記特許文献1がある。
以上のようなコンパクトディスクの再生装置としては、専らCD−DA(Compact Disc Digital Audio)型コンパクトディスク等に記録されたオーディオデータの再生を目的としたオーディオ専用再生装置と、上述のコンパクトディスク全ての再生を可能とする複合再生装置とがある。
ここで、マルチセッション型コンパクトディスクを例に取り説明すると、このマルチセッション型コンパクトディスク1は、図11に示すように、センタ孔2の周囲にクランピングエリア2が設けられ、このクランピングエリア2aの外周側に、オーディオデータ等が記録される第1のセッション3が設けられ、この第1のセッション3の外周側に、第1のセッション3に関連した関連データが記録される第2のセッション4が設けられている。各セッション3,4は、内周側に、TOC(Table Of Contents)データが記録されるリードインエリア3a,4aが設けられ、リードインエリア3a,4aの外周側に、オーディオデータ、関連データ等の一又は複数のコンテンツデータが記録されるプログラムエリア3b,4bが設けられ、プログラムエリア3b,4bの外周側に、セッション3,4の終わりを示すリードアウトエリア3c,4cが設けられている。なお、CD−DA型コンパクトディスクは、全体が一のセッションで構成されている。
コンパクトディスク1では、各セッション3,4に、8−14変調(EFM変調:Eight to Fourteen Modulation)されたデータが図12に示す記録フォーマットで記録されている。すなわち、図12に示すように、各セッション3,4に記録されるデータを構成するフレームは、例えば32個のシンボル(1シンボルは14ビットで構成される。)を一まとめで取り扱うことができるように、フレームの先頭に24ビットの同期信号(11T,11T’(’は反転を示す。),2Tのパターン又はこの逆パターン)が設けられ、次いで、1シンボル(14ビット)のサブコードデータが設けられ、次いで、32シンボルからなる主信号データと訂正用パリティが設けられ、全体が588チャンネルビットで構成されている。また、各シンボルの間には、フレーム同期信号とサブコードデータとの間を除き3ビットの接続ビットが挿入されている。
サブコードデータは、1つのシンボルが各フレームに1つ記録されている。このサブコードデータには、アドレス情報等が記録されている。サブコードデータを構成するEFM変調前の8ビットのデータは、P、Q、R、S、T、U、V、Wのチャンネルに割り振られている。サブコードデータは、図13に示すように、98フレームで1つのブロックを構成し、このブロックの先頭には、当該ブロックの先頭を識別するための同期信号S0,S1が格納されている。この同期信号S0,S1には、EFM変換テーブルに用いられないパターンが用いられている。すなわち、図14に示すように、サブコードデータは、2バイトの同期信号を除いた96バイトで1ブロックを構成する。サブコードデータのP〜Wの各チャンネルのブロックは、P1〜W1からP96〜W96、すなわち96ビット(同期信号を含めて98ビット)で構成される。
サブコードデータのPチャンネルは、主として、スタートフラグとして用いられ、Qチャンネルは、主として、アドレス情報等が記録され、リードインエリア3a,4aでは、TOCデータとなる。また、R〜Wチャンネルは、ユーザーズビットとして、6つをひとまとまりとして、グラフィック、エラーチェック等に使用される。なお、リードインエリア3a,4aに記録されるTOCデータについては後述する。
更に、図12に示すように、サブコードデータ以降に設けられる主信号データは、12シンボルで構成されており、主信号データに次いで設けられる訂正用パリティは、4シンボルで構成されている。訂正用パリティには、(Cross Interleave Reed-Solomon Code;CIRC)のリードソロ符号記号が格納されている。1フレームには、サブコードデータに次いで12シンボルの主信号データが設けられ、次いで、4シンボルの訂正用パリティが設けられ、次いで、12シンボルの主信号データが設けられ、次いで、4シンボルの訂正用パリティが設けられている。
次いで、図15を参照して、リードインエリア3a,4aのQチャンネル、すなわちTOCデータについて説明する。このQチャンネルは、先頭から順に、4ビットのコントロールブロックCNT、4ビットのアドレスブロックADR、8ビットのトラック番号ブロックTNO、8ビットのポイントブロックPOINT、8ビットの分成分ブロックMin、8ビットの秒成分ブロックSec、8ビットのフレーム成分ブロックFrame、「0」が記録された8ビットのゼロブロックZERO、8ビットの分成分ブロックPmin、8ビットの秒成分ブロックPsec、フレーム成分ブロックPframeが設けられている。
コントロールブロックCNTには、データ用であるとき「1」が設定され、オーディオ用であるとき「0」が設定されている。また、コントロールブロックCNTは、トラック毎に記録されており、ポイントブロックPOINTが1〜99の場合、トラックナンバを示し、このトラックナンバそのものがオーディオ用であることを示し、これ以外のとき、データ用であることを示す。
アドレスブロックADRは、CD−DA型であるか、マルチセッション型であるかの識別データが記録されている。具体的に、CD−DA型のRed Book規格に従っているとき、「1」が設定され、マルチセッション型のOrange Book規格に従っているとき、「5」が設定されている。
トラック番号ブロックTNOには、リードインエリア3a,4aを示す「0」が設定されている。
ポイントブロックPOINTには、アドレスブロックADRがCD−DA型を示す「1」が設定されているとき、16進数の「A0」、「A1」及び「A2」並びに10進数の「01」〜「99」が設定されている。「A0」を設定したときに、秒成分ブロックPsecに「$00」又は「$20」を設定する場合は、分成分ブロックPminに最初のトラックナンバが設定される。秒成分ブロックPsecに「$10」を設定する場合は、分成分ブロックPminに最後のトラックナンバ+1が設定される。「A1」が設定されたときには、分成分ブロックPminに最後のトラックナンバ又は最後のトラックナンバ+1が設定され、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeは「0」が設定される。「A2」が設定されたときには、分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeに、リードアウトエリア3c,4cの開始時間が設定される。「01」〜「99」が設定されたときには、分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeに、各トラックの開始時間が設定される。
なお、ポイントブロックPOINTにC0が設定されたディスクでは、アドレスブロックADRが「1」に設定されているとき、分成分ブロックMin、秒成分ブロックSec及びフレーム成分ブロックFrameには、絶対時間が記録されている。すなわち、POINTにC0が設定されていないときには、分成分ブロックMin、秒成分ブロックSec及びフレーム成分ブロックFrameに絶対時間が記録されない。なお、以下、秒成分ブロックSec及びフレーム成分ブロックFrameを単に「MSF(Min,Sec,Frame)」ともいう。
また、ポイントブロックPOINTには、アドレスブロックADRが「5」に設定されているとき、「B0」、「C0」等が設定されている。「B0」が設定されているとき、MSFには、次のプログラムエリアの開始時間が記録されている。例えば、2セッションで構成されているとき、第1セッション3のポイントブロックPOINTに「B0」が設定されていると、MSFには、第2セッション4のプログラムエリア4bの開始時間が記録される。また、3セッションで構成されているときには、第1セッションのポイントブロックPOINTに「B0」が設定されていると、MSFは、第2セッションのプログラムエリア4bの開始時間を示し、第2セッションのポイントブロックPOINTに「B0」が設定されていると、MSFは、第3セッションのプログラムエリアの開始時間を示す。
また、「B0」が設定されているとき、分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeには、最も外側のリードアウトエリアの最大開始時間が記録されている。
「C0」は、最初のセッションのリードインエリアのポイントブロックPOINTに設定されることがある。「C0」が設定されているとき、分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeには、最初のリードインエリアの開始時間が記録されている。
以上のような、マルチセッション型コンパクトディスクは、専らCD−DA型コンパクトディスク等に記録されたオーディオデータの再生を目的としたオーディオ専用再生装置に装着されたとき、第1のセッション3のみにアクセスし、第1のセッション3のリードインエリア3aに記録されたTOCデータを読み出した後、プログラムエリア3bに記録されたオーディオデータの読出を行う。オーディオ専用再生装置では、オーディオデータの再生を目的としているため、オーディオデータ以外が記録された第2のセッション4を再生することはできない。具体的に、オーディオ専用再生装置は、第1のセッションのリードインエリア3aのTOCデータを構成するポイントブロックPOINTの「B0」や「B0」のときのMSFを無視し、第2のセッション4にアクセスすること無く第1のセッション3のプログラムエリア3bに記録されたオーディオデータの再生を開始する。したがって、CD−Extra型コンパクトディスクを再生するときにも、オーディオ専用再生装置は、オーディオデータが記録された第1のセッションのみにアクセスし読み出したオーディオデータを再生する。
また、マルチセッション型のコンパクトディスクには、第1のセッション3にオーディオデータを記録している他、第2のセッション4にも、MP3(MPEG-1 Audio Layer3)等の音楽ファイルを格納したものがあり、オーディオ専用再生装置の中にも、CD−DA型コンパクトディスクのみならず、マルチセッション型コンパクトディスクにも対応したものがある。第2のセッション4に音楽ファイルが記録されているときには、オーディオデータの再生という点でCD−DA型コンパクトディスクの規格のみに対応したオーディオ専用再生装置と目的が共通しているからである。このため、マルチセッション型に対応したオーディオ専用再生装置は、次に説明する複合再生装置と同様な動作をする。
マルチセッション型のコンパクトディスクが複合再生装置に装着されると、第1のセッション3や第2のセッション4のリードインエリア3a,4aに記録されたTOCデータの読出を行う。具体的に、複合再生装置は、第1のセッションのリードインエリア3aのTOCデータを構成するポイントブロックPOINTの「B0」や「B0」のときのMSFを参照して、第2のセッション4のリードインエリア4aのTOCデータ、更に、第2のセッション4の外周に更にセッションがあるときにはそのセッションのTOCデータの読出を開始し、ユーザの指定に応じたセッションのプログラムエリアに記録されたデータの再生を開始する。
ところで、光ディスクの中には、オーディオデータを記録したCD−DA型コンパクトディスクに極めて類似しているものの、CD−DA型コンパクトディスクやマルチセッション型のコンパクトディスクの規格から外れた規格外光ディスクがある。この規格外光ディスクは、CD−DA型やマルチセッション型のコンパクトディスクの規格から外れているために、複合再生装置で再生することができない他、マルチセッション型に対応したオーディオ専用再生装置でも再生することができないことがある。
以下、この規格外光ディスクがコンパクトディスクの規格に外れている点を説明すると共に、マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置や複合再生装置がこの規格外光ディスクを再生することができない理由を説明する。
第1に、規格外光ディスクには、第1及び第2のセッション3,4のリードインエリア3a,4aに記録されたTOCデータのポイントブロックPOINTが「01」〜「99」で分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeに、各トラックの開始時間が設定されているときに、第2のセッション4側の各トラックの開始時間が第1のセッション3側の各トラックの開始時間と重複し、各トラックの再生時間を極めて短くした偽トラック情報が記録されていることがある。
すなわち、規格上、第1のセッションのプログラムエリア3bに書かれているトラックの開始時間は、第1のセッションのリードインエリア3aのみに書かれてなければならず、また、第2のセッションのプログラムエリア4bに書かれているトラックの開始時間は、第2のセッションのリードインエリア4aのみに書かれている必要がる。しかしながら、規格外ディスクでは第2のセッションのリードインエリア4aに第1のセッションのプログラムエリア3bに書かれているトラックの開始時間が重複してかかれており、不正な情報となっていることがある。
更に、第2のセッション4側のコントロールブロックCNTには、CD−DA型を示す「0」ではなくデータ用(ROM型)を示す「1」が設定されていることがある。マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置や複合再生装置は、第1のセッション3のリードインエリア3aに記録されたTOCデータを読み出した後、ポイントブロックPOINTの「B0」に基づいて第2のセッション4のリードインエリア4aにアクセスし、第2のセッション4のTOCデータを読み出す。全てのセッションのTOCデータを読み出した結果、マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置や複合再生装置は、第1のセッション3側の各トラックの時間と第2のセッション4側の各トラックの開始時間とが重複していると、後から読み出した第2のセッション4側のTOCデータを上書きしてしまう。3セッション以上あるときにも、第3のセッションのTOCデータの各トラックの開始時間が第1のセッションや第2のセッションのTOCデータと重複していると、同様に、第3のセッションのTOCデータで、先に読み出した第1、第2のセッションに属するトラックの開始時間を上書きしてしまうこともある。更に、マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置や複合再生装置は、第1のセッション3のコントロールブロックCNTの設定を、CD−DA型を示す「0」であってもデータ用(ROM型)を示す「1」に変更してしまう。
このような場合、マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置や複合再生装置は、仮に、コントロールブロックCNTがCD−DA型を示す「0」であっても、第1のセッション3のプログラムエリア3bに記録されたオーディオデータの再生時間は極めて短時間しか再生されないことになり、更に、コントロールブロックCNTがデータ用(ROM型)を示す「1」であるときには、ミュートされてしまい、再生音が放音されなくなってしまう。
第2に、規格外光ディスクには、第2のセッション4のリードインエリア4aのTOCデータのポイントブロックPOINTに「B0」が設定されているとき、MSFに、第3セッションのプログラムエリアの開始時間(図示せず)が記録されるのではなく、第2のセッションのプログラムエリアの開始時間が記録されていることがある。
MSFに、「B0」が設定されたポイントブロックPOINTの時間が記録されていると、リンク情報が誤っていることから、マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置や複合再生装置は、同じセッションのリードインエリア4aのTOCデータを繰り返し読み出し、無限ループに陥ってしまう。同様に第3のリードインエリアに記録されている「B0」ポインタのMSFに第3のセッションのプログラムエリアの開始時間が記録されていることがあり、この場合は、第3のリードインエリアを繰り返して読み出し、無限ループに陥ってしまう。
第3に、規格外光ディスクには、第1のセッション3のリードインエリア3aのTOCデータのポイントブロックPOINに「C0」が設定され、分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeに、正しい最初のリードインエリアの開始時間が記録されているが、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFに不正な絶対時間が記録されていることがある。
例えば、第1のセッション3のリードインエリア3aのTOCデータのポイントブロックPOINに「C0」が設定され、分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeにリードインエリアの開始時間が絶対時間で「95:00:00」と記録されているが、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFに、第1のセッション3のプログラムエリア3bの開始時間「00:00:00」近くの「02:xx:yy」等の時間が記録されていることがある。ポイントブロックPOINに「C0」が設定されている場合は、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFに絶対時間が記録されていることになっており、このMSFに不正な絶対時間が記録されていると、マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置や複合再生装置は、第1のセッション3のリードインエリア3aの位置を誤認し、リードインエリア3aから抜け出せなくなり、無限ループに陥ることになる。
第4に、規格外光ディスクには、第1のセッション3のリードインエリア3aのTOCデータのポイントブロックPOINに「C0」が設定され、MSFに、正しい最初のリードインエリアの開始時間が記録されているときで、第2のセッション4のリードインエリア4aのTOCデータのアドレスブロックADRが「1」のときのMSFが前後のエリアと連続しない時間、例えば「FF:FF:FF」が記録されていることがある。規格外光ディスクが3セッション以上で構成されているときに、中間のセッションのリードインエリアのTOCデータのアドレスブロックADRが「1」がときのMSFに「FF:FF:FF」が紛れ込んでいると、マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置や複合再生装置は、光ピックアップの移動量等を計算することができなくなり、また、誤計算をしてしまい、そのリードインエリアから抜け出せなくなり無限ループに陥り、また、ディスクの最内周まで光ピックアップを移動させてしまう。これは、トラックジャンプ時等の動作途中に、上述の「FF:FF:FF」を検出したときも、同様である。
また、規格外光ディスクは、5番目として、再生時にバーストエラーが多く発生するようにデータが記録されたものがある。複合再生装置は、コンピュータプログラム等が記録されたROM型のコンパクトディスクも再生可能である。複合再生装置は、ROM型のコンパクトディスクに記録されたコンピュータプログラムを読み出すときに読出エラーが発生すると、パーソナル・コンピュータ等の情報処理装置に読み出されたコンピュータプログラムは、プログラムの一部が欠落し機能しなくなってしまう。そこで、複合再生装置は、読出エラーが発生したときには、読出の再試行をし又は読出動作を中止するようにしている。このため、複合再生装置では、規格外光ディスクに記録されたオーディオデータを再生することができなくなる。また、マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置も、複合再生装置の機能を流用したものが多く、したがって、規格外光ディスクに記録されたオーディオデータを再生することができなくなる。
また、マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置には、光ディスクに記録されたオーディオデータを光磁気ディスクを記録媒体に用いるディスクカートリッジに高速ダビングする機能を有するものがある。このオーディオ専用再生装置では、光ディスクのオーディオデータをディスクカートリッジに複写するときに、光ディスクから読み出したオーディオデータのエラー訂正処理を超えるバーストエラーが発生することがある。バーストエラーを補間処理したオーディオデータをディスクカートリッジの光磁気ディスクに記録すると、光ディスク10に記録されたオーディオデータを正確に光磁気ディスクに複写することができなくなり、したがって、光磁気ディスクに複写したオーディオデータを再生したときには、音質等が劣化してしまう。このため、この種のオーディオ専用再生装置では、エラー訂正処理能力を超えるバーストエラーが発生したときには、直ちに補間処理を行うのではなく、ダビングするソースが記録された光ディスクの回転速度を落とし、読出処理を再試行するようにしている。
しかしながら、規格外光ディスクは、バーストエラーが予め多く発生するようにオーディオデータが記録されていることから、オーディオ専用再生装置は、実際にはバーストエラーが発生していなくても、光ディスクの回転数を落としてしまい、ディスクカートリッジへの複写を迅速に行うことができなくなってしまう。
規格外光ディスクは、以上のような問題点を有しているが、コンパクトディスク規格に準拠した光ディスクと外観上極めて類似しているものである。ユーザがオーディオデータで再生を目的として、マルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置を所有しているときに、このユーザが、以上のような理由で専用再生装置でも再生することができない規格外光ディスクを、コンパクトディスクと誤って購入してしまうと、購入した規格外光ディスクに記録されたオーディオデータを視聴することができなくなってしまう。また、規格外光ディスクに記録されたオーディオデータをディスクカートリッジに複写するときにも、高速でダビングすることができないことがあり、不便なことがある。
以下、本発明を適用したコンパクトディスクの再生装置を図面を参照して説明する。本発明を適用したコンパクトディスクの再生装置は、CD−ROM型コンパクトディスク等からコンピュータプログラム、コンピュータで処理される文書データ、図表データ等の読出を行うものではなく、専らオーディオデータの再生を目的としたCE(Consumer Electronics)機器であり、CD−DA型コンパクトディスクやマルチセッション型であるCD−Extra型コンパクトディスク等の再生が可能な装置で、更に、上述の規格外光ディスクの再生を可能にする装置である。
図1に示すように、本発明を適用した再生装置11は、規格外光ディスクやコンパクトディスク規格に準拠したコンパクトディスク等の光ディスク10を回転するモータ12と、モータ12の回転を制御する回転制御部13と、光ディスク10に対して光ビームを出射し反射した戻りの光ビームを検出する光ピックアップ14と、光ピックアップ14を光ディスク10の径方向に送り操作するスレッド機構15と、光ピックアップ14からの出力よりRF信号等を生成するRFアンプ16と、光ピックアップ14の対物レンズのフォーカシングサーボ制御及びトラッキングサーボ制御を行うサーボ制御部17とを備える。
また、再生装置11は、RFアンプ16から出力されたRF信号より同期信号を検出しクロックを生成する同期信号検出部18と、EFM変調されているオーディオデータ等の記録データを復調する復調部19と、復調されたデータのエラー訂正処理を行うエラー訂正処理部20と、エラー訂正処理部20のエラー訂正能力を超えたエラーを補間する補間処理部21と、ディジタルのオーディオデータ等の記録データをアナログに変換し出力端子23より出力するディジタル/アナログ変換部(以下、単にD/A変換部という。)22とを備える。
更に、再生装置11は、RF信号より復調部19の前段でサブコードデータを抽出し復調するサブコード復調部24と、サブコード復調部24で復調したサブコードデータより抽出したTOCデータを保存するTOC用メモリ25と、ユーザによって操作される操作部26と、装置の動作に関連した情報を表示する表示部27と、全体の動作を制御する制御部28とを備える。
モータ12は、駆動軸にディスクテーブルが一体的に設けられており、光ディスク10の回転駆動部となる。ディスクテーブルは、光ディスク10のセンタ孔に係合することによって、光ディスク10のセンタリングを図った状態でクランプする。そして、モータ12は、ディスクテーブルと一体的に光ディスク1を回転する。なお、ここで、ディスクテーブルに装着される光ディスク10は、主として、CD−DA型のコンパクトディスク、マルチセッション型のコンパクトディスク、上述の規格外光ディスクであるが、その他、コンパクトディスクより高密度記録されたディジタル・バーサタイル・ディスク、ブルーレイディスク等であってもよい。
回転制御部13は、光ディスク10が線速度一定に回転するようにモータ12を駆動制御する。回転制御部13は、同期信号より生成したクロックが水晶発振器からの基準クロックと周波数、位相と同期するように回転サーボ信号を生成し、この回転サーボ信号に基づいて光ディスク10が線速度一定で回転するようにモータ12を駆動制御する。なお、回転制御部13は、線速度一定で光ディスク10を回転する他に、角速度一定で光ディスク10を回転するようにしてもよい。
光ピックアップ14は、光ビームを出射する半導体レーザ、半導体レーザより出射された光ビームを集束する対物レンズ、光ディスク10の反射膜で反射された戻りの光ビームを検出する光検出器等を備える。半導体レーザより出射された光ビームは、対物レンズにより集束され、光ディスク10の信号記録面に照射される。光ディスク10の信号記録面で反射された戻りの光ビームは、光検出器により電気信号に変換され、光検出器は、この電気信号をRFアンプ16に出力する。また、対物レンズは、2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構に保持され、対物レンズの光軸と平行なフォーカシング方向及び対物レンズの光軸に直交するトラッキング方向に駆動変位される。
スレッド機構15は、光ピックアップ14を光ディスク10の内外周に亘って直線的に移動させる。具体的に、スレッド機構15は、待機時において、光ディスク10の最内周側に位置させ、内周側から順次読出を行うとき、光ピックアップ14を内周側から外周側に順に移動する。また、スレッド機構15は、ユーザによって順方向又は逆方向のトラックジャンプ操作がされたとき、ユーザが指定したトラックの読出を行うことができるように、光ピックアップ14を移動する。
RFアンプ16は、光ピックアップ14を構成する光検出器からの出力信号に基づいて、RF信号、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する。例えばフォーカシングエラー信号は、非点収差法等により生成され、トラッキングエラー信号は、3ビーム法、プッシュプル法等により生成される。RFアンプ16は、同期信号検出部18を介してRF信号をEFM変調されたデータを復調するため復調部19に出力すると共に、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ制御部17に出力する。
サーボ制御部17は、RFアンプ16から入力されたフォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいて、これらのエラー信号がゼロとなるようなフォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらのサーボ信号を光ピックアップ14の対物レンズ駆動機構の駆動回路に出力する。これにより、対物レンズ駆動機構に保持された対物レンズは、フォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号に基づいて、対物レンズの光軸と平行なフォーカシング方向及び対物レンズの光軸に直交するトラッキング方向に駆動変位される。
同期信号検出部18は、RFアンプ16より出力されたRF信号より、フレーム同期信号(11T,11T’(’は反転を示す。),2Tのパターン又はこの逆パターン)を検出すると共に、サブコードを復調する際の同期信号を検出し、検出した同期信号を回転制御部13に出力する。
復調部19は、EFMのアルゴリズムに従ってオーディオデータ等の記録データを復調する。具体的に、復調部19は、EFM変換テーブルに従って、14ビットの記録符号系列のデータビットを8ビットの系列のデータビットに変換し復調する。
エラー訂正処理部20は、12シンボルで構成された主信号データに次いで設けられた訂正用パリティに格納されたリードソロモン符号を用いて復号処理する。エラー訂正処理部20は、CIRCで用いられている2段のリードソロモン符号の内、最初のC1符号によってランダムエラーの訂正処理を行い、次いで、デインターリーブ処理を行い、次いで、C2符号を用いてバーストエラーの訂正処理を行い、補間処理部21に出力する。補間処理部21は、CIRCのエラー訂正能力を超えたエラーの平均値補間等の補間処理を行うい、D/A変換部22に出力する。D/A変換部22は、補間処理部21から入力されたディジタルデータをアナログデータに変換し、スピーカ、イヤホン、ヘッドフォン等の電気音響変換器が接続された出力端子23に出力する。
サブコード復調部24は、RFアンプ16で生成されたRF信号より図15等に示したPチャンネルやQチャンネルのサブコードを抽出する。このサブコードデータは、上述のEFM変換テーブルのアウトオブルールで変調されており、サブコード復調部24は、EFM変換テーブルのアウトオブルールで14ビットの記録符号系列のデータビットを8ビットの系列のデータビットに変換し復調し、復調して得られたTOCデータ等を制御部28に出力する。
TOC用メモリ25は、サブコード復調部24が復調したTOCデータが制御部28を保持する。具体的に、TOC用メモリ25には、光ディスク10のリードインエリアに格納されたサブコードのQチャンネルのデータが格納される。再生装置11は、光ディスク10がディスクテーブルに装着されると、光ディスク10の最内周のリードインエリアにアクセスし、リードインエリアに記録されたTOCデータを読み出す。TOC用メモリ25は、光ディスク10が装着されて最初にTOCデータを読み出してから光ディスク10が取り出され又は電源がオフされるまでTOCデータを保存する。
操作部26は、光ディスク10を再生するための再生開始、再生停止、順方向又は逆方向トラックジャンプ、再生停止、再生一時停止等の機能を実行するための押しボタン、ダイヤル等で構成されている。操作部26は、ユーザによって操作されると、操作信号を発生し、発生した操作信号を制御部28に入力する。
表示部27は、液晶表示パネル等で構成されており、TOC用メモリ25に保存されているTOCデータに基づいて再生時間、再生中のトラックナンバ、タイトル等を文字、記号等を用いて表示する。
制御部28は、再生装置11の機能を実現するためのプログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)、ROMに保存されたプログラム、TOC用メモリ25から読み出したTOCデータ等が一時的にロードされるRAM(Random Access Memory)、ROMに格納されたプログラム等に応じて演算するCPU(Central Processing Unit)等で構成されている。制御部28は、操作部26から入力された操作信号に応じて全体の動作を制御する。例えば、操作部26よりトラックジャンプの操作信号が入力されたとき、制御部28は、スレッド機構15を駆動し、光ピックアップ14を、指定されたトラックの先頭位置まで移動する。また、制御部28は、操作部26より再生開始信号が入力されると、スレッド機構15を駆動し、光ピックアップ14を、光ディスク10の内周側から順に移動させる。
次に、光ディスク10がディスクテーブルに装着され再生に至るまでの動作について説明する。図2に示すように、制御部28は、ステップS1において、光ディスク10が回転駆動部を構成するディスクテーブルに装着され、光ディスク10がディスクテーブルに装着されたことを検出すると、モータ12を線速度一定でディスクテーブルに装着された光ディスク10を回転する。これと共に、制御部28は、光ピックアップ14を駆動する。すなわち、光ピックアップ14は、光ビームを光ディスク10に出射し、光ディスク10の信号記録面で反射された戻りの光ビームは、光検出器により電気信号に変換され、光検出器は、この電気信号をRFアンプ16に出力する。RFアンプ16は、RF信号を生成し同期信号検出部18及び復調部19に出力すると共に、フォーカシングエラー信号とトラッキングエラー信号を生成し、サーボ制御部17に出力する。サーボ制御部17は、フォーカシングエラー信号に基づき、フォーカシングサーボ信号を生成し、また、トラッキングエラー信号に基づき、トラッキングサーボ信号を生成し、これらのエラー信号を、光ピックアップ14を構成する対物レンズ駆動機構の駆動回路に出力する。そして、光ピックアップ14は、対物レンズ駆動機構を駆動し、対物レンズを光ビームの光軸方向に駆動変位させることによってフォーカシング制御を行い、対物レンズを光ビームの光軸に直交する方向に駆動変位させることによってトラッキング制御を行う。
制御部28は、ステップS2において、最初に、光ディスク10の最内周の、すなわち第1のセッションのリードインエリアに記録されたTOCデータの読出を行う。具体的に、制御部28は、光ピックアップ14をディスクテーブルに装着された光ディスク10の最内周に移動させる。ここで、光ピックアップ14は、光ビームを出射し、光ディスク10で反射された戻りの光ビームを検出することによって光電変換し、RFアンプ16に出力する。そして、サブコード復調部24は、RF信号の中からサブコードデータを抽出し、14ビットの記録符号系列のデータビットを8ビットの系列のデータビットに変換復調し制御部28に出力する。第1のセッションのTOCデータの読み出しが完了すると、制御部28は、ステップS3において、次のセッション、すなわち第2のセッションまで光ピックアップ14を移動させ、第2のセッションのリードインエリアにアクセスし、第2のセッションのTOCデータの読出を行い、順次TOC用メモリ25に保存する。なお、3以上のセッションがあるとき、制御部28は、内周側のセッションから順にアクセスし、各セッションのTOCデータを抽出する。
次いで、制御部28は、装着された光ディスク10が規格外光ディスクであるかどうかの判断を、ステップS3〜ステップS6に基づいて行う。制御部28は、ステップS3において、第1及び第2のセッションのリードインエリアに記録されたTOCデータのポイントブロックPOINTが「01」〜「99」で分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeに、各トラックの開始時間が設定されているときに、第2のセッション側の各トラックの開始時間が第1のセッション側の各トラックの時間と重複し、各トラックの再生時間を極めて短くした偽トラック情報が記録されているかを判断する。
また、制御部28は、ステップS4において、第2のセッションのリードインエリアのTOCデータのポイントブロックPOINTに「B0」が設定されているとき、MSFに、第3セッション4のプログラムエリアの開始時間でない偽リンク情報が記録されているかを判断する。
また、制御部28は、ステップS5において、規格外光ディスクには、第1のセッションのリードインエリアのTOCデータのポイントブロックPOINに「C0」が設定され、MSFに、正しい最初のリードインエリアの開始時間が記録されているときに、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFに不正な絶対時間が記録されているかを判断する。更に、制御部28は、ステップS6において、第1のセッションのリードインエリアのTOCデータのポイントブロックPOINに「C0」が設定され、MSFに、正しい最初のリードインエリアの開始時間が記録されているときで、第2のセッションのリードインエリアのTOCデータのアドレスブロックADRが「1」のときのMSFが前後のエリアと連続しない誤った時間が記録されているかを判断する。
かくして、制御部28は、TOCデータに基づいて、回転駆動部のディスクテーブルに装着された光ディスク10が先ず最初に規格外光ディスクであるかを判断する。以下、ステップS3からステップS6について詳細に説明する。
先ず、ステップS3は、上述した第1の問題点を解決するための処理であり、その詳細を図3に示す。ステップS11において、制御部28は、第1のセッションのTOCデータに含まれる第1のセッションの各トラックの開始時間が他のセッションのTOCに含まれる各トラックの開始時間と重複するかどうかを判断する。
具体例を図4を用いて説明する。図4(A)に示すように、光ディスク10の第1のセッションのTOCデータには、トラック1が2秒から開始し、トラック2が4分から開始し、トラック3が8分から開始し、これらのトラックは、全てオーディオデータであることが記録されている。また、第2のセッションには、トラック1が2秒から開始し、トラック2が12秒から開始し、トラック3が22秒から開始し、これらのトラックは、全てデータ用(ROM型)であることが記録されている。この例では、第1のセッションのリードインエリアに書かれた各トラックの開始時間やトラックの属性(オーディオかROM)の情報が、第2のセッションのリードインエリアにも書かれ、なおかつ、その内容が第1のセッションのリードインエリアに書かれていた情報と異なる。すなわち、規格上、第1のセッションのプログラムエリアに書かれているトラックの開始時間は、第1のセッションのリードインエリアのみに記録されていなければならず、また、第2のセッションのプログラムエリアに書かれているトラックの開始時間は、第2のセッションのリードインエリアのみに書かれている必要がる。しかしながら、この規格外ディスクでは、第2のセッションのリードインエリアに第1のセッションのプログラムエリアに書かれているトラックの開始時間が重複してかかれており、なおかつ、その情報が不正である。
この場合、制御部28は、第1のセッションの各トラックの開始時間が第2のセッションの各トラックの開始時間が重複していると判断し、ステップS12に進む。なお、制御部28は、第1のセッションの各トラックの開始時間が第2のセッションの各トラックの開始時間が重複していないとき、ステップS13に進む。
ステップS12において、制御部28は、第2のセッション以降のTOCデータを無視し、ステップS13において、第2のセッション以降のTOCデータを無視した光ディスク10の全体の管理情報を生成し、TOC用メモリ25に格納する。具体的に、図4(B)に示すように、制御部28は、トラック1が2秒から開始し、トラック2が4分から開始し、トラック3が8分から開始し、これらのトラックは、全てオーディオデータであること示すTOCデータを全体管理情報としてTOC用メモリ25に格納する。これにより、制御部28は、装着された光ディスク10を、実際にはマルチセッション型コンパクトディスクに類似した規格外光ディスクであるにもかかわらず、CD−DA型コンパクトディスクのようなシングルセッションの光ディスク10とみなし、TOC用メモリ25に格納された第1のセッションのTOCデータのみで構成された全体管理情報に基づいて光ディスク10を管理し再生可能な状態にする。ステップS11で制御部28が1のセッションの各トラックの情報、すなわち開始時間だけでなく、オーデイオあるいはROMの属性が書かれてい情報が第2のセッションの各トラックの情報と重複していないときは、第2のセッションのTOCデータが正しく記録されている場合であり、この場合、制御部28は、第2のセッションのTOCデータを無視すること無く、第2のセッション、更に多くのセッションが存在するときには全てのセッションのTOCデータを読み出し、光ディスク10の全体の管理情報を生成し、TOC用メモリ25に保存する。
なお、従来のマルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置や複合再生装置は、図4(C)に示すように、第1のセッションのTOCデータを読み出した後第2のセッションのTOCデータを読み出したとき、第1のセッションと各トラックに割り振られた各トラックの情報が第2のセッションの各トラックに割り当てられた各トラックの情報と重複していることから、第2のセッションのTOCデータを第1のセッションのTOCデータに上書きしてしまう。したがって、従来のマルチセッション型にも対応したオーディオ専用再生装置や複合再生装置では、第1のセッションにはトラック1が2秒から開始し、トラック2が12秒から開始し、トラック3が22秒から開始する極めて短いトラックのデータが記録されているといった誤った判断をし、更に、これらのトラックが全てデータ用(ROM型)であることが記録されていることから、ミュートし再生音も放音されない。すなわち、従来の装置は、この光ディスク10が再生不能となる。
以上のような処理に基づくことにより、制御部28は、第2のセッション以降のTOCデータに偽トラック情報が記録された規格外の光ディスク10を検出することができ、規格外光ディスク10であっても、第1のセッションのTOCデータを光ディスク10全体のTOCデータとして取り扱うことで、オーディオデータが記録された第1のセッションを再生することができる。
次に、図2に示したステップS4の処理について図5を参照して説明する。ステップS4の処理は、上述した第2の問題点を解決するための処理である。具体的に、制御部28は、ステップS21において、第2のセッションのリードインエリアに記録されたTOCデータに含まれる「B0」ポインタを検出したかを判断する。そして、制御部28は、「B0」ポインタを検出したとき、MSFの読出を行い、ステップS22に進み、「B0」ポインタを検出しなかったとき、CD−DA型のコンパクトディスク等のシングルセッションのコンパクトディスクであると判断し、ステップS24に進む。
ところで、マルチセッション型のコンパクトディスクでは、1つのセッションのサイズが、リードインエリアが60秒、リードアウトエリアが30秒と規定されていることから、プログラムエリアを含めると少なくとも90秒以上となる。そこで、制御部28は、ステップS23において、「B0」ポインタが示す次のセッションのプログラムエリアの開始時間が、現在のセッションのプログラムの開始時間から所定時間、ここでは90秒以上離れているかどうかを判断する。すなわち、制御部28は、次のセッションのプログラムエリアの開始アドレスまでの規格上の最低限の時間間隔があるかを判定する。そして、制御部28は、MSFが現在位置より90秒以上離れた位置を示しているとき、ディスクテーブルに装着された光ディスク10が正規なマルチセッション型のコンパクトディスクであると判断し、ステップS23に進み、他の処理を続行し、光ディスク10が再生可能な状態にする。すなわち、制御部28は、第2のセッションのTOCデータを無視すること無く、第2のセッション、更に多くのセッションが存在するときには全てのセッションのTOCデータを読み出し、光ディスク10の全体の管理情報を生成し、TOC用メモリ25に保存する。
また、制御部28は、MSFが現在位置より90秒以上離れた位置を示していないとき、ディスクテーブルに装着された光ディスク10が規格外光ディスクであると判断し、ステップS24に進む。ステップS24において、制御部28は、ポイントブロックPOINTに記録されたB0をポインタを無視する。すなわち、制御部28は、「B0」ポインタを無視することによって、それ以上セッションが記録されていない光ディスク10と判断し、それまでにTOC用メモリ25に格納されたセッションのTOCデータのみで構成された全体管理情報に基づいて光ディスク10を管理し再生可能な状態にする。例えば、3番目のセッションの「B0」ポインタが不正な場合は2番目のセッションのリードインエリアまでに書かれた情報から全体管理情報を作成する。
以上のような処理によれば、制御部28は、「B0」ポインタのMSFに「B0」ポインタの偽リンク情報が記録されているときであっても、オーディオデータが記録された第1のセッションを再生することができる。
次に、図2に示したステップS5の処理について図6を参照して説明する。ステップS5の処理は、上述した第3の問題点を解決する処理である。コンパクトディスクでは、第1のセッションのプログラムエリアの開始位置に絶対時間の「00:00:00」が割り振られ、絶対時間が最大値、例えば80分まで外周側に向かって漸次絶対時間が増大するように付与されている。そして、第1のセッションのリードインエリアでは、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFに、コンパクトディスクの規格の最大値である99分59秒74フレームで終了するように最内周から漸次増大するように、例えば99分台に付与されている。
制御部28は、ステップS31において、第1のセッションのリードインエリアのTOCデータのポイントブロックPOINTに「C0」が設定されているかを判断し、「C0」ポインタがあるとき、ステップS32に進み、「C0」ポインタが無いとき、ステップS37に進む。ステップS32において、制御部28は、「C0」ポインタの分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeより絶対時間で記述されたリードインエリアの開始時間を読み出し、第1のセッションのリードインエリアの開始位置を特定する。ステップS33において、制御部28は、アドレスブロックADRが「1」のときのMSF、すなわち絶対時間を読み出す。ステップS34において、制御部28は、ポイントブロックPOINTが「A2」のときの分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeより絶対時間で記述された第1のセッションのリードアウトエリアの開始時間を読み出す。
ステップS35において、制御部28は、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが第1のセッションのリードアウトエリアの開始時間より内周を示しているかを判断する。例えば、制御部28は、リードアウトエリアの開始アドレスが「30:00:00」のとき、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが「02:xx:yy」であると、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが第1のセッションのリードアウトエリアの開始時間より内周を示していると判断する。これとは逆に、制御部28は、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが「99:xx:yy」であると、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが第1のセッションのリードアウトエリアの開始時間より内周を示していない、すなわち外周を示していると判断する。コンパクトディスク規格に合った光ディスクは、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが第1のセッションのリードアウトエリアの開始時間より外周を示している。したがって、制御部28は、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが第1のセッションのリードアウトエリアの開始時間より内周を示しているとき、規格外光ディスクが装着されていると判断して、ステップS36に進み、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが第1のセッションのリードアウトエリアの開始時間より内周を示していないとき、コンパクトディスク規格に準拠した光ディスク10が装着されたと判断してステップS38に進み、通常の場合と同様に他の処理を続行する。
装着された光ディスク10が規格外光ディスクであると判断したとき、制御部28は、ステップS36において、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFを無視し、ステップS37に進む。
ステップS37において、制御部28は、第1のセッションのTOCデータをTOC用メモリ25に保存し、光ピックアップ14少しずつ外周側にトラックジャンプさせてプログラムエリアの開始位置を検出する。これは、TOCデータのポイントブロックPOINTに「C0」が設定されていないコンパクトディスクを再生するときの処理と同様である。
以上のような処理によれば、制御部28は、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが第1のセッションのリードアウトエリアの開始時間より内周を示しているかを判断することで、装着された光ディスク10が規格外光ディスクであるかどうかを判断することができ、規格外光ディスクが装着されたときであっても、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFを無視することで、TOCデータのポイントブロックPOINTに「C0」が設定されていないコンパクトディスクを再生するときの処理と同様な処理で規格外光ディスクを再生することができる。
次に、図2に示したステップS6の処理について図7を参照して説明する。ステップS6の処理は、上述した第4の問題点を解決する処理である。制御部28は、ステップS41において、第1のセッションのリードインエリアにアクセスし、第1のセッションのリードインエリアのTOCデータのポイントブロックPOINTに「C0」を検出すると、次いで、ステップS42において、「C0」ポインタの分成分ブロックPmin、秒成分ブロックPsec及びフレーム成分ブロックPframeより絶対時間で記述されたリードインエリアの開始時間を読み出し、第1のセッションのTOCデータを読み出す。
次いで、制御部28は、第2のセッションがあるとき、ステップS43において、第2のセッションのリードインエリアにアクセスし、ステップS44において、アドレスブロックADRが「1」のときのMSF、すなわち絶対時間を読み出す。そして、制御部28は、ステップS45において、読み出した絶対時間が前後と連続しない時間、例えば「FF:FF:FF」であるかを判断し、「FF:FF:FF」であるとき、ステップS46に進み、「FF:FF:FF」でないとき、ステップS49に進む。すなわち、コンパクトディスク規格に従った光ディスクは、連続して絶対時間が付与されており、非連続とはならない。そこで、制御部28は、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが「FF:FF:FF」があるかを判断することで、装着された光ディスク10が正規な光ディスク10であるかどうかを判断する。制御部28は、「FF:FF:FF」があるとき、規格外光ディスクであると判断して、ステップS46に進み、「FF:FF:FF」が無いとき、コンパクトディスク規格に準拠した光ディスク10が装着されたと判断してステップS49に進み、通常の場合と同様に他の処理を続行する。
装着された光ディスク10が規格外光ディスクであると判断したとき、制御部28は、ステップS47において、アドレスブロックADRが「1」のときの「FF:FF:FF」を無視し、ステップS47に進む。ステップS47において、制御部28は、アドレスブロックADRが「1」の検出を繰り返し、所定回数、例えば6回アドレスブロックADRを検出しても、そのMSFに正規な絶対時間が記録されていないとき、ステップS48に進む。また、制御部28は、所定回数内に、正しいアドレスブロックADRが「1」のときのMSFを検出すると、ステップS44に戻り、再度、「FF:FF:FF」の検出を繰り返す。
ステップS48において、制御部28は、第2のセッションのTOCデータをTOC用メモリ25に保存し、光ピックアップ14少しずつ外周側にトラックジャンプさせて第2のセッションのプログラムエリアの開始位置や更に外周側のセッションのリードインエリアにアクセスする。
以上のような処理によれば、制御部28は、所定回数、アドレスブロックADRが「1」を検出する中で正規なMSFが無いときには、光ピックアップ14少しずつ外周側にトラックジャンプさせ、正しいMSFを検出するようにすることで、規格外光ディスクであってもTOCデータを確実に読み出すことができる。
なお、図7の例では、処理の簡素化を図るため、ステップS47の処理を省略して、アドレスブロックADRが「1」のときのMSFが「FF:FF:FF」であれば、規格外の光ディスクが装着されていると判断して、直ちにステップS48に進むようにしてもよい。
また、第1のセッションのリードインエリアではなく、2番目以降のセッションのリードインエリアに、絶対時間が前後と連続しない時間、例えば「FF:FF:FF」が記録されている場合は、再生中のセッションから他のセッションのトラックにトラックジャンプする際に、「FF:FF:FF」を検出すると、制御部28は、現在アクセスしている位置を特定することができなくなってしまう。したがって、制御部28は、再生中に他のセッションに移動するようなトラックジャンプを行う際に、「FF:FF:FF」を検出したときにも、正しいMSFを検出することができるまで光ピックアップ14少しずつ外周側にトラックジャンプさせるようにしてもよい。
以上のように、再生装置11は、装着された光ディスク10が規格外光ディスクであるかを判断し、コンパクトディスク規格に合致した光ディスクが装着されているとき、通常通り、TOCデータを読み出し、TOC用メモリ25に保存し、規格外光ディスクが装着されているとき、上述の処理により第1のセッションのTOCデータをTOC用メモリに保存する。次いで、例えばユーザにより操作部26を構成する再生ボタンが押されると、制御部28は、光ピックアップ14を駆動し、TOC用メモリ25に保存されたTOCデータに基づいて、第1のセッションのプログラムエリアの開始位置にアクセスし、アドレス順に記録されているオーディオデータの読み出しを行う。
具体的に、光ピックアップ4は、光ビームを光ディスク10に照射し、光ディスク10で反射された戻りの光ビームを検出し、光電変換しRFアンプ16に出力する。RFアンプ16で生成されたRF信号は、復調部19で入力された14ビットの記録符号系列のデータビットから8ビットの系列のデータビットに変換され、エラー訂正処理部20で訂正用パリティに格納されたリードソロモン符号を用いて復号処理され、エラー訂正能力を超えたエラーの補間処理がなされた後、D/A変換部22でディジタルデータからアナログデータに変換され、スピーカ、イヤホン、ヘッドフォン等の電気音響変換器が接続された出力端子23に出力される。かくして、光ディスク10の第1のセッションに記録された一又は複数のオーディオデータは、電気音響変換器より再生音として放音される。
以上のように構成された再生装置では、図2のステップS3〜ステップS6に示すような処理で回転駆動部のディスクテーブルに装着された光ディスク10が正規なコンパクトディスクであるか規格外光ディスクであるかを判別することができ、更に、規格外光ディスクであっても、規格に外れている部分のデータを無視するようにすることで、少なくとも一又は複数のオーディオデータが記録されている第1のセッションの再生を行うことができる。
次に、本発明の他の例として、コンパクトディスクの再生機能と光磁気ディスクを記録媒体に用いるディスクカートリッジの記録再生機能とを備えた記録再生装置を、図8を参照して説明する。なお、上述の再生装置11と同様な構成については同一符号を付しその詳細は省略する。
図8に示すように、本発明を適用した記録再生装置50は、コンパクトディスクを再生する再生部51と、光磁気ディスク101を回転可能に収納したディスクカートリッジ100の記録再生をする記録再生部52と、全体の動作を制御するシステムコントローラ53とから構成されている。また、記録再生装置50は、ユーザによって操作される操作部54と、装置の動作に関連した情報を表示する表示部55とを備えている。
操作部54は、光ディスク10やディスクカートリッジ100を再生するための再生開始、再生停止、順方向又は逆方向トラックジャンプ、再生停止、再生一時停止等の機能を実行するための押しボタン、ダイヤル等で構成されている。また、操作部54は、光ディスク10に記録されているオーディオデータをディスクカートリッジ100の光磁気ディスク101にダビングするためのダビングボタンを有する。操作部54は、ユーザによって操作されると、操作信号を発生し、発生した操作信号をシステムコントローラ53に入力する。
表示部55は、液晶表示パネル等で構成されており、TOC用メモリ25に保存されているTOCデータに基づいて再生時間、再生中のトラックナンバ、タイトル等を文字、記号等を用いて表示する。
コンパクトディスクの再生をする再生部51は、上述の再生装置11とほぼ同様な構成を有し、格外光ディスクやコンパクトディスク規格に準拠したコンパクトディスク等の光ディスク10を回転するモータ12と、モータ12の回転を制御する回転制御部13と、光ディスク10に対して光ビームを出射し反射した戻りの光ビームを検出する光ピックアップ14と、光ピックアップ14を光ディスク10の径方向に送り操作するスレッド機構15と、光ピックアップ14からの出力よりRF信号等を生成するRFアンプ16と、光ピックアップ14の対物レンズのフォーカシングサーボ制御及びトラッキングサーボ制御を行うサーボ制御部17とを備える。ここで、回転制御部13は、光ディスク10が線速度一定に回転するようにモータ12を定速で駆動制御する他、光ディスク10に記録されているオーディオデータをディスクカートリッジ100にダビングするとき、2倍速、4倍速等で光ディスク10を高速回転する制御を行う。
また、再生部51は、RFアンプ16から出力されたRF信号より同期信号を検出しクロックを生成する同期信号検出部18と、EFM変調されているオーディオデータ等の記録データを復調する復調部19と、復調されたデータのエラー訂正処理を行うエラー訂正処理部20と、エラー訂正処理部20のエラー訂正能力を超えたエラーを補間する補間処理部21と、ディジタルのオーディオデータ等の記録データをアナログに変換し出力端子23より出力するD/A変換部22とを備える。
更に、再生部51は、RF信号より復調部19の前段でサブコードデータを抽出し復調するサブコード復調部24と、サブコード復調部24で復調したサブコードデータより抽出したTOCデータを保存するTOC用メモリ25とを備える。
更に、再生部51は、エラー訂正処理部20のエラー訂正能力を超えたバーストエラーを検出するエラー検出部29を備える。このエラー検出部29は、C2符号を用いたバーストエラーの訂正処理を超えたC2エラーの数を検出し、システムコントローラに出力する。
なお、再生部51は、更に、CD−R型コンパクトディスク、CD−RW型コンパクトディスクの記録機能を備えていても良い。
また、ディスクカートリッジ100の記録再生をする記録再生部52は、ディスクカートリッジ100の光磁気ディスク101を回転するモータ61と、モータ61の回転を制御する回転制御部62と、光磁気ディスク101に対して光ビームを出射し反射した戻りの光ビームを検出する光ピックアップ63と、光ピックアップ63からの出力よりRF信号等各種信号を生成するRFアンプ65と、光ピックアップ63、モータ61等を駆動するドライバ66と、光ピックアップ63等のサーボ信号を生成するサーボ制御部67と、RFアンプ65からグルーブ情報信号が供給されるアドレスデコーダ68と、変調及び復調処理並びにエラー訂正符号化及び復号化処理を行うEFM/CIRCエンコーダ/デコーダ69と、記録及び/又は再生用のデータを一時的に蓄積する耐震用メモリとなるバッファメモリ70の書込及び読出を制御する耐振用メモリコントローラ71と、データの圧縮伸長処理をする圧縮エンコーダ/デコーダ72と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するディジタル/アナログ変換部(以下、単にD/A変換部という。)73と、記録データを出力する出力端子74と、光磁気ディスク101に対して磁界を印加しオーディオデータを記録する磁気ヘッド75と、磁気ヘッド75の駆動制御を行うヘッド駆動部76とを備える。
モータ12は、駆動軸にマグネットが内蔵されたディスクテーブルが一体的に取り付けられており、光磁気ディスク101の回転駆動部となる。ディスクカートリッジ100には、下面略中央に中央開口部が設けられており、ディスクテーブルは、この中央開口部よりディスクカートリッジ100内に進入し、光磁気ディスク101の中央に取り付けられたクランピングプレートを磁気吸引し、光磁気ディスク101を一体的に回転できるようにする。
回転制御部62は、光磁気ディスク101が線速度又は角速度一定に回転するようにモータ12を駆動制御する。また、回転制御部62は、光ディスク10に記録されているオーディオデータをディスクカートリッジ100の光磁気ディスク101にダビングするとき、2倍速、4倍速等で光磁気ディスク101を高速回転する制御を行う。
光ピックアップ63は、光ビームを出射する半導体レーザ、半導体レーザより出射された光ビームを集束する対物レンズ、光磁気ディスク101の反射膜で反射された戻りの光ビームを検出する光検出器等を備える。半導体レーザより出射された光ビームは、対物レンズにより集束され、ディスクカートリッジ100の下面の前面側に設けられた略矩形の記録再生用の開口部を介して光磁気ディスク101の信号記録面に照射される。光磁気ディスク101の信号記録面で反射された戻りの光ビームは、光検出器により電気信号に変換され、光検出器は、この電気信号をRFアンプ65に出力する。また、対物レンズは、2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構に保持され、対物レンズの光軸と平行なフォーカシング方向及び対物レンズの光軸に直交するトラッキング方向に駆動変位される。光ピックアップ63は、スレッド機構によって、光磁気ディスク101の内外周に亘って直線的に移動される。具体的に、光ピックアップ63は、待機時において、光磁気ディスク101の最内周側にあり、内周側から順次読出を行うとき、光ピックアップ63を内周側から外周側に順に移動する。また、光ピックアップ63は、ユーザによって順方向又は逆方向のトラックジャンプ操作がされたとき、ユーザが指定したトラックの読出を行うことができるように移動される。
RFアンプ65は、光ピックアップ63を構成する光検出器からの出力信号に基づいて、RF信号、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する。また、RFアンプ65は、光磁気ディスク101にウォブリンググルーブとして記録された絶対位置情報であるグルーブ情報信号を抽出する。例えばフォーカシングエラー信号は、非点収差法等により生成され、トラッキングエラー信号は、3ビーム法、プッシュプル法等により生成される。そして、RFアンプ65は、RF信号をEFM/CIRCエンコーダ/デコーダ69に出力し、グルーブ情報信号をアドレスデコーダ68に出力し、更に、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ制御部67に出力する。
サーボ制御部67は、RFアンプ65から供給されるフォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号に基づくフォーカシングサーボ制御やトラッキングサーボ制御等を行う。具体的に、このサーボ制御部67は、RFアンプ65から供給されたフォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号から、フォーカシング方向やトラッキング方向の目標値との誤差量を検出し、この検出結果に基づいたサーボ信号をドライバ66に出力する。ドライバ66は、このフォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号に応じた駆動電流を光ピックアップ63の対物レンズ駆動機構のフォーカシングコイルやトラッキングコイルに出力することにより、対物レンズを光磁気ディスク101の信号記録面に対して近接離間するフォーカシング方向や記録トラックに対して直交するトラッキング方向に駆動変位させる。
アドレスデコーダ68は、RFアンプ65から供給されたグルーブ情報信号をデコードしてアドレス情報を抽出する。このアドレス情報は、システムコントローラ53に供給され、各種の駆動制御に用いられる。
EFM/CIRCエンコーダ/デコーダ69は、光磁気ディスク101に記録されたオーディオデータの再生をするとき、RFアンプ65から入力されたRF信号に対して、EFM(Eight to Fourteen Modulation)復調等の復調処理やCIRC(Cross Interleave Reed-Solomon Code)等のエラー訂正復号処理を行う。また、光磁気ディスク101にデータを記録するとき、耐振用メモリコントローラ71の制御によってバッファメモリ70に一時的に記録されたデータが所定のデータ単位で入力され、入力されたデータに対してCIRC等のエラー訂正符号化処理を施すと共に、EFM等の変調処理を施し、ヘッド駆動部76へ出力する。
耐振用メモリコントローラ71は、D−RAM(Dynamic-Random Access Memory )等のバッファメモリ70へのデータの書込やバッファメモリ70からのデータの読出を制御する。具体的に、耐振用メモリコントローラ71は、光磁気ディスク101に記録されているデータの再生をするとき、EFM/CIRCエンコーダ/デコーダ69から出力されたデータをバッファメモリ70に書き込み、この後、所定データ単位でデータを読み出し、読み出したデータを圧縮エンコーダ/デコーダ72に出力する。また、耐振用メモリコントローラ71は、光磁気ディスク101にデータを記録するとき、圧縮エンコーダ/デコーダ72より入力されたデータをバッファメモリ70に書き込み、この後、所定データ単位でデータを読み出し、読み出したデータをEFM/CIRCエンコーダ/デコーダ72へ出力する。
圧縮エンコーダ/デコーダ72は、オーディオデータの圧縮伸長を行う。具体的に、圧縮エンコーダ/デコーダ72は、光磁気ディスク101に記録されているオーディオデータの再生をするとき、バッファメモリ70から読み出されたATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding)等の方式で圧縮されているデータの伸長処理を行い、D/A変換部73に出力する。また、圧縮エンコーダ/デコーダ72は、光磁気ディスク101にオーディオデータを記録するとき、コンパクトディスク等の再生部51からのディジタルデータの圧縮処理をし、圧縮したデータをバッファメモリ70に出力する。
ヘッド駆動部76は、EFM/CIRCエンコーダ/デコーダ69でエラー訂正符号化処理や変調処理が施された記録データに応じて外部磁界を磁気ヘッド75に発生させる。このとき、ヘッド昇降機構は、磁気ヘッド76を光磁気ディスク101の光ピックアップ63と対向する面とは反対側の面に接触又は近接させる。光磁気ディスク101は、光磁気記録層に光ピックアップ63により光ビームが照射されてキュリー温度以上に加熱され磁気ヘッド75により磁界が印加されることによってオーディオデータ等が記録される。
次に、以上のように構成された記録再生装置50の再生部51に光ディスク10が装着されたときの動作を図9を参照して説明する。システムコントローラ53は、光ディスク10が回転駆動部のディスクテーブルに装着され、光ディスク10がディスクテーブルに装着されたことを検出すると、モータ12を線速度一定でディスクテーブルに装着された光ディスク10を回転する。これと共に、システムコントローラ53は、光ピックアップ14を駆動する。すなわち、光ピックアップ14は、光ビームを光ディスク10に出射し、光ディスク10の信号記録面で反射された戻りの光ビームは、光検出器により電気信号に変換され、光検出器は、この電気信号をRFアンプ16に出力する。RFアンプ16は、RF信号を生成し同期信号検出部18に出力すると共に、フォーカシングエラー信号とトラッキングエラー信号を生成し、サーボ制御部17に出力する。サーボ制御部17は、フォーカシングエラー信号に基づき、フォーカシングサーボ信号を生成し、また、トラッキングエラー信号に基づき、トラッキングサーボ信号を生成し、これらのエラー信号を、光ピックアップ14を構成する対物レンズ駆動機構の駆動回路に出力する。そして、光ピックアップ14は、対物レンズ駆動機構を駆動し、対物レンズを光ビームの光軸方向に駆動変位させることによってフォーカシング制御を行い、対物レンズを光ビームの光軸に直交する方向に駆動変位させることによってトラッキング制御を行う。
そして、システムコントローラ53は、ステップS51において、最初に、光ディスク10の最内周の、すなわち第1のセッションのリードインエリアに記録されたTOCデータの読出を行う。具体的に、システムコントローラ53は、光ピックアップ14をディスクテーブルに装着された光ディスク10の最内周に移動させる。ここで、光ピックアップ14は、光ビームを出射し、光ディスク10で反射された戻りの光ビームを検出することによって光電変換し、RFアンプ16に出力する。そして、サブコード復調部24は、RF信号の中からサブコードデータの抽出をし、14ビットの記録符号系列のデータビットを8ビットの系列のデータビットに変換復調し制御部28に出力する。第1のセッションのTOCデータの読出が完了すると、システムコントローラ53は、ステップS52において、装着された光ディスク10がマルチセッション型の光ディスク10であるかどうかの判断を行う。具体的に、システムコントローラ53は、第1セッション3のポイントブロックPOINTに「B0」が設定されていかを判断する。そして、システムコントローラ53は、「B0」ポインタが設定されているとき、マルチセッション型であると判断してステップS53に進み、「B0」ポインタが設定されていないとき、シングルセッションのCD−DA等の通常の光ディスクであると判断して他の処理を続行する。
ステップS53において、システムコントローラ53は、次のセッションにアクセスする。すなわち、n(セッションの数)に「2」を代入する。次いで、システムコントローラ53は、ステップS54において、「B0」ポインタに基づき、次のセッションにアクセスをし、ステップS54において、第2のセッションのTOCデータを読み出す。
ステップS55において、システムコントローラ53は、第2のセッションのリードインエリアに「B0」ポインタが記録されているかどうか、すなわち更に外周側にセッションがあるかどうかを判断する。そして、システムコントローラ53は、「B0」ポインタが設定されているとき、ステップS56に進み、「B0」ポインタが設定されていないとき、第2のセッション以降には更なるセッションが存在しないとして、処理を終了する。
ステップS56において、システムコントローラ53は、第2のセッション以降のセッションの「B0」ポインタのMSFが特定情報であるか、例えば「00:00:00」若しくは「FF:FF:FF」であるかを判断し、これらの特定情報がMSFに設定されているとき、「B0」ポインタが設定されていないとみなして、処理を終了する。すなわち、システムコントローラ53は、外側に更なるセッションは存在しないと判断する。また、システムコントローラ53は、特定情報がMSFに設定されていないとき、ステップS57に進む。
ステップS57において、システムコントローラ53は、装着された光ディスク10が規格外光ディスクであるかどうかの判断を行う。具体的に、このステップS57では、上記図2に示すステップS3〜ステップS6の処理を行うことによって、装着された光ディスク10が規格外光ディスクであるかどうかの判断を行う。そして、システムコントローラ53は、装着された光ディスク10が規格外光ディスクであるとき、ステップS58に進み、装着されている光ディスク10が規格外光ディスクであることを示すフラグ「1」を立てる。また、システムコントローラ53は、装着された光ディスク10が規格外光ディスクでない正規な光ディスクであると判断したとき、ステップS59に進み、次のセッションのTOCデータの読出を続行し、TOC用メモリ25に保存する。
この記録再生装置50は、光ディスク10の再生の他、更に光ディスク10に記録されたオーディオデータをディスクカートリッジ100の光磁気ディスク101にダビングすることもできる。この記録再生装置50では、高速で光ディスク10を再生し、短時間でディスクカートリッジ100の光磁気ディスク101へのダビングを可能としている。システムコントローラ53は、操作部54より光ディスク10のオーディオデータをディスクカートリッジ100の光磁気ディスク101に高速ダビングする操作信号が入力されると、再生部51の回転制御部13を制御して、光ディスク10を高速回転し、光ディスク10に記録されているオーディオデータの高速読出をすると共に、記録再生部52の回転制御部62を制御して、ディスクカートリッジ100の光磁気ディスク101を高速回転し、高速で光ディスク10から読み出されたオーディオデータを光磁気ディスク101に記録できるようにする。
具体的に、高速回転されている光ディスク10から読み出されたオーディオデータは、光ピックアップ14は、RF信号として、RFアンプ16に出力され、復調部19で復調された後、エラー訂正処理部20でCIRCの復号処理がされ、CIRCのエラー訂正能力を超えたエラーに関して補間処理が施される。補間処理がされたオーディオデータは、アナログ信号に変換される前に、すなわちD/A変換部22の前段で、記録再生部52の圧縮エンコーダ/デコーダ72に出力される。
記録再生部52においても、ディスクカートリッジ100の光磁気ディスクは、システムコントローラ53の制御に基づいて、高速回転されている。そして、圧縮エンコーダ/デコーダ72に入力された再生部51からのディジタルのオーディオデータは、圧縮エンコーダ/デコーダ72でATRACにより圧縮され、耐振用メモリコントローラ71によってバッファメモリ70へ一時的に書き込まれ、このバッファメモリ70より所定のデータ単位毎に読み出されて、EFM/CIRCエンコーダ/デコーダ69でEFM変調、並びにエラー訂正に関するCIRC等のエンコード処理が行われた後に、ヘッド駆動部76へと供給される。そして、ヘッド駆動部76は、光ディスク10から読み出されたオーディオデータに応じて変調された外部磁界を磁気ヘッド76に発生させる。そして、磁気ヘッド75は、光ピックアップ63により光ビームが照射されキュリー温度以上に加熱された位置に外部磁界を印加して光ディスク10から読み出されたダビングするオーディオデータを記録する。
光ディスク10のオーディオデータをディスクカートリッジ100の光磁気ディスク101にダビングするとき、光磁気ディスク101には、光ディスク10に記録されたオーディオデータを正確に記録した方が、光磁気ディスク101に記録されたオーディオデータを再生した際の音質も維持できる。すなわち、光ディスク10を再生する再生部51のエラー訂正処理部20のエラー訂正能力を超えるエラーが発生したときには、光ディスク10の回転速度を落とし、読出を再試行して、補間処理の必要の無いデータをディスクカートリッジ100の記録再生部52に出力した方がよい。
そこで、光ディスク10から読み出したオーディオデータをディスクカートリッジ100の光磁気ディスク101にダビングするとき、光ディスク10の読出を行う再生部51のエラー検出部29は、エラー訂正処理部20で行うC2符号を用いたバーストエラーの訂正処理を超えたC2エラーの数を検出し、C2エラー数信号をシステムコントローラ53に出力する。そして、システムコントローラ53は、C2エラーが閾値以上発生したとき、光ディスク10の回転速度を落とすように回転制御部13を制御すると共に、これに合わせて、光磁気ディスク101の回転速度を落とすように回転制御部62を制御する。そして、光ディスク10の再生部51は、段階的に定速まで光ディスク10の回転速度を落としても、C2エラーが発生したときには、補間処理を行ってから、ディスクカートリッジ100の記録再生部52の圧縮エンコーダ/デコーダ72に光ディスク10から読み出したオーディオデータを出力する。
ところで、上述したように、規格外光ディスクは、上述した第5の問題点で説明したように、再生時にバーストエラーが多く発生するものがある。この規格外光ディスクは、予めC2エラーが発生するようにオーディオデータが記録されているのであるから、高速ダビングの際、光ディスク10の回転速度を落としても、C2エラーが無くなるわけではない。そこで、システムコントローラ53は、光ディスク10が規格外光ディスクであるとき、回転速度を下げる際のC2エラー数の閾値を高くするようにしている。
具体的に、図10に示すように、システムコントローラ53は、ステップS61において、装着された光ディスク10の種類が規格外光ディスクであるかどうかを判断する。システムコントローラ53は、上記図9に示したように、光ディスク10がディスクテーブルに装着されたとき、ステップS57で規格外光ディスクであるかを判断し、装着された光ディスク10が規格外光ディスクであるとき、ステップS58で規格外光ディスクであることを示すフラグ「1」を立てている。ステップS61において、システムコントローラ53は、フラグ「1」が立っているかを判断することによって、複写の際のソースとなる光ディスク10が規格外光ディスクであるかを判断する。システムコントローラ53は、フラグ「1」が立っているとき、規格外光ディスクであると判断してステップS63に進み、フラグ「0」が立っているとき、コンパクトディスク規格に従った光ディスクが装着されていると判断し、ステップS62に進む。
コンパクトディスク規格に従った光ディスクが装着されていると判断したとき、システムコントローラ53は、ステップS62において、C2エラー数の閾値をデフォルトのa1に設定する。閾値a1は、コンパクトディスク規格に従った光ディスクをダビングする際、C2エラーが発生し光ディスク10の回転速度を段階的に落とすときの閾値である。そして、システムコントローラ53は、C2エラー数として閾値a1を設定すると、ステップS64に進む。
また、規格外光ディスクが装着されているとき、システムコントローラ53は、ステップS63において、閾値a1より大きい閾値2を設定する。閾値2は、コンパクトディスク規格に従った光ディスクでも発生するC2エラーに加え、規格外光ディスクはC2エラーがコンパクトディスク規格に従った光ディスクより多く発生することを考慮して設定された値である。そして、システムコントローラ53は、C2エラー数として閾値a2を設定すると、ステップS64に進む。
ステップS64において、システムコントローラ53は、光ディスク10を高速回転し、光ディスク10に記録されているオーディオデータの読出を開始すると共に、読み出したオーディオデータの複写先となるディスクカートリッジの光磁気ディスク101の高速回転を開始する。
光ディスク10の読出を行っているとき、システムコントローラ53は、ステップS65において、エラー検出部29から入力されたC2エラーが閾値a1,a2より大きいかを判断し、大きいとき、C2エラーが発生しすぎていると判断して、ステップS67に進む。また、システムコントローラ53は、エラー検出部29から入力されたC2エラーが閾値a1,a2より大きくないとき、すなわち小さいとき、光ディスク10を高速回転してもデータがC2エラーが発生すること無く読み出されていると判断してステップS66に進む。ステップS66において、システムコントローラ53は、複写するオーディオデータが全て完了したかを判断し、全て終了したとき、高速ダビングの処理を終了する。また、システムコントローラ53は、全てのオーディオデータの複写が完了していないとき、ステップS64からの処理を繰り返す。
また、ステップS65でエラー検出部29から入力されたC2エラーが閾値a1,a2より大きいとき、システムコントローラ53は、光ディスク10の高速回転によってC2エラーが発生していると判断して、ステップS67において、光ディスク10の回転速度を落とす。また、システムコントローラ53は、光ディスク10の回転速度を減速するに伴って、光磁気ディスク101の回転速度も減速する。ステップS68において、システムコントローラ53は、エラー検出部29から入力されたC2エラーが閾値a1,a2より大きかったトラックの先頭にアクセスし、ステップS68において、エラー検出部29から入力されたC2エラーが閾値a1,a2より大きかったトラックの再生を開始する。
以上のような処理によれば、再生部51に装着される光ディスク10が規格外光ディスクでC2エラーが多く発生するものであっても、C2エラー数の閾値を通常より高く設定することから、従来のように、光ディスク10の再生速度が落ちることが無くなり、従って、短時間で光ディスク10に記録されたオーディオデータをディスクカートリッジ100の光磁気ディスク101にダビングすることができる。
なお、以上の例では、複写先の記録媒体を、光磁気ディスク101を記録媒体に用いるディスクカートリッジ100を例に取り説明したが、ディスクカートリッジ100に限定されるものではなく、この他に、オーディオデータの記録用のCD−R型コンパクトディスク、CD−RW型コンパクトディスクであってもよく、更に、半導体メモリを記憶素子に用いるICカード等であってもよい。
10 光ディスク、11 再生装置、29 エラー検出部、50 記録再生装置、51 光ディスクの再生部、52 ディスクカートリッジの記録再生部、53 システムコントローラ