JP2005062935A - 火災検出器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光検出手段からの検出信号が所定のレベルに達している時のみ、複数の光検出手段により検出される各検出信号の符号成分を、排他的論理和の論理演算器と積分器とで構成される符号比較器で比較する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は炎に特有な異なる波長の光をそれぞれ検出して火災時に発生する炎を検出する火災検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
炎は、燃焼光のスペクトラムに炎特有のピークが現れる。そこで複数の異なる波長の光成分を検出することで該ピークを測定し、炎を検出する火災検出器が知られている。
【0003】
このような構成の火災検出器は各波長の信号強度を用いて炎を検出するため、例えば監視視野範囲のずれ等により各波長の光検出部に異なる光源からの光が入射すると誤って炎と認識してしまうことがあった。
【0004】
このような問題を解決する従来の手段として、図4のブロック図に示すような火災検知器が知られている。
【0005】
図4において、10は火災検知器用相互相関回路であり、その動作を以下に示すと、長波長の赤外線を検出する熱検出器12と短波長の光を検出する光検出器14から出力される電気信号が、それぞれの信号チャンネルに配列された対応する増幅器16,18、及び低域通過フィルタ20,22に入力され、対応するサンプリング回路24,26によってサンプリングされる。サンプリングされた各信号は、乗算器28へ入力され、FIFOメモリ30に格納される。32は合計器で、乗算器28及びFIFOメモリ30の出力を加算し、相関関数信号φ12を出力する。34は閾値回路であり、相関関数信号φ12が35に印加される閾値を越えるならば火災信号を出力する。
【0006】
このような構成にすると、同じ光源から放射された光ならば相互相関関数信号が高くなり、異なる光源の場合は低くなるので、炎の検出精度が向上する。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特公平6−61119号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら相互相関関数を計算するためには乗算器或いは高感度位相検出器が必要である。火災検知器は一般的に低消費電力が要求されるため、上記のような規模の大きな回路を組み込むことは消費電力が増大するという問題があった。
また検出信号のゼロレベル付近は、ノイズや各検出信号間の時間遅延の影響が大きく、同一の光源からの光であっても位相が一致しない場合があり、その結果、同一の光源からの光と判断しないことにより炎を検出しないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、炎に特有な異なる波長の光をそれぞれ検出して火災時に発生する炎を検出する火災検出器に関し、極めて小さい回路規模及び消費電力で高精度に炎を検出することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、炎に特有な異なる波長の光をそれぞれ検出して各波長に応じた検出信号を出力する複数の光検出手段と、該複数の光検出手段により検出される各検出信号同士の比を算出する比率算出手段とを備えた火災検出器において、前記複数の光検出手段により検出される各検出信号の符号成分を抽出・生成する符号生成器と、該符号生成器によって生成された各検出信号の符号同士の時間的な一致度を測定する符号比較器と、前記比率算出手段により算出された各検出信号同士の比と前記符号比較器により測定された各検出信号の符号同士の時間的な一致度に基づいて火災か否かを判断する火災判断部とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
また、前記光検出手段により検出される検出信号が所定のレベルに達しているかを検出するレベル検出器をさらに備え、また、前記符号比較器は、前記符号生成器によって生成された各検出信号の符号同士の排他的論理和を演算する論理演算器と該排他的論理和の論理演算器の出力を平滑する積分器とで構成され、前記レベル検出器が前記検出信号が所定のレベル以上であることを検出しているときのみ前記積分器の出力を有効とすることを特徴とするものである。
【0012】
【実施例】
本発明を実施した形態について、図1〜図3に基づき説明する。
図1は本発明の火災検出器7のブロック図である。14a、14bは炎に特有な異なる波長の光をそれぞれ検出して各波長に応じた検出信号を出力する複数の光検出手段(光検出器)、71a、71bは複数の光検出手段14a、14bにより検出される後述する各検出信号の符号成分をそれぞれ抽出・生成する符号生成器、72は符号生成器71a、71bによって生成された各検出信号の符号同士の時間的な一致度を測定する符号比較器、73は光検出手段(図1の場合は、光検出手段14b)により検出される検出信号が所定のレベルに達しているかを検出するレベル検出器、74は複数の光検出手段14a、14bにより検出される各検出信号同士の比を算出する比率算出手段(比率算出器)、75は比率算出手段74により算出された各検出信号同士の比と符号比較器72により測定された各検出信号の符号同士の時間的な一致度に基づいて火災か否かを判断する火災判断部である。なお、後述するように、符号比較器72は、符号生成器71a、71bによって生成された各検出信号の符号同士の排他的論理和を演算する論理演算器と該排他的論理和の論理演算器の出力を平滑する積分器とで構成される。
【0013】
また、18a、18bは光検出器14a、14bの検出信号(出力信号)をそれぞれ増幅する増幅器、70a、70bは増幅器18a、18bの出力信号のうち特定周波数成分のみをそれぞれ通過させるバンドパスフィルタ、26a、26bはバンドパスフィルタ70a、70bの出力信号をそれぞれAD変換するサンプリング手段(サンプリング回路)である。
【0014】
火災検出器7は、各光検出器14a、14bによって周囲の特定波長の光、例えば4.4μm及び4.0μmの赤外線波長の光がそれぞれ入力され、増幅器18a、18bで増幅された後に、バンドパスフィルタ70a,70bによって炎に含まれるちらつきの周波数である例えば6〜10Hzの信号成分が抽出される。
【0015】
バンドパスフィルタ70a,70bで抽出された各信号は、サンプリング手段26a,26bによって定期的にA/D変換され、火災判断部75の図示しない記憶部に記憶される。また、バンドパスフィルタ70a,70bによって抽出された各信号は、信号の符号成分を検出する符合生成器71a,71bにも入力される。符号生成器71a,71bは、例えばコンパレータ等で構成され、バンドパスフィルタ70a,70bの交流信号のゼロクロス検出を行い、ゼロクロス点よりも高い電圧にあるか否かによる交流信号の符号成分をディジタル信号に対応させて出力するものである。例えば、交流信号がゼロクロス点よりも高い電圧であるプラス側の場合はディジタル信号「1」、ゼロクロス点以下の電圧であるマイナス側の場合はディジタル信号「0」として符号成分を出力する。
【0016】
また、バンドパスフィルタ70bによって抽出された信号は、レベル検出器73にも入力される。レベル検出器73は、入力された信号電圧が所定のレベルよりも大きいかどうかを比較し、結果をディジタル信号で出力する比較器である。
例えば、入力信号電圧が所定のレベル以上の場合はディジタル信号「1」、所定のレベル未満場合はディジタル信号「0」を出力する。この所定のレベルは、サンプリング手段26a、26bの分解能や、入力信号のS/N比等を考慮して適当な値に設定されている。このレベル検出器73の出力信号も、火災判断部75に入力され、図示しない記憶部に記憶される。なお、光検出器14b側のバンドパスフィルタ70bの抽出信号がレベル検出器73に入力されるような構成としたが、光検出器14a側のバンドパスフィルタ70aの抽出信号がレベル検出器73に入力されるような構成であってもよい。
【0017】
符合生成器71a、71bの各出力(符号成分)は符合比較器72へ入力され、符号生成器71a、71bの各出力の時間的な一致度が測定される。この符号比較器72は、符号生成器71a、71bの各出力同士の排他的論理和を演算する排他的論理和の論理演算器と、例えば排他的論理和の論理演算器の一定期間内の出力の平均を求めるなどして、排他的論理和の論理演算器の出力を平滑する積分器とで構成されている。排他的論理和の論理演算器は、符号生成器71a、71bの各出力(符号成分)が一致している場合は例えばローレベル出力を行い、また、一致していない場合は例えばハイレベル出力を行うなどのそれぞれ異なる出力を行い、積分器は、例えば排他的論理和の論理演算器の一定期間内の出力のロウレベル出力時間が長い場合は小さい値が出力され、また、例えば排他的論理和の論理演算器の一定期間内の出力のハイレベル出力時間が長い場合は大きい値が出力されるというように、符号生成器71a、71bの各出力の時間的な一致度に対応した値が出力される。この積分器は加算器等の独立した回路を設置しても良いが、本実施例では、火災判断部75の内部に構成されるようにした。
【0018】
符合比較器72はまた、レベル検出器73がバンドパスフィルタ70bからの入力信号電圧が所定のレベル以上であることを検出しているときのみ有効な出力をするように構成されており、これにより、詳細に後述するように、バンドパスフィルタ70a,70bの交流信号のゼロクロス点付近のノイズによる影響や信号間の微妙なタイミングのずれによって生じる不安定な出力が発生しないようになっている。本実施例では、この符号比較器72の出力が有効であるか否かの判定は、火災判断部75で行うようにしているが、独立した回路として構成しても良い。
【0019】
火災判断部75はレベル検出器73が所定のレベル以上を検出している期間の、サンプリング手段26a,26bからの各信号の平均(サンプリング手段26a,26bからの各信号の積分値の平均)を求め、各信号同士の比率を比率算出手段74で算出する。炎の場合、例えば、CO2共鳴放射帯である4.4μm付近の特有の波長にピークを持つスペクトルとなるので、各信号同士の比率から炎か否かを判断できる。また火災判断部75は、レベル検出器73が所定のレベル以上を検出している期間の符合比較器72の積分器の出力が入力される。火災判断部75は、前記2つの積分結果から火災か否かを最終的に判断する。つまり、まず各信号同士の比率が炎に特徴的な比率となっているか否かを判断し、炎に特徴的な比率となった場合、例えば比率が所定の範囲内である場合は、つぎに、符合比較器72の積分器の出力が同一光源からの入射光とみなされるべき値であるか否かを判断し、積分器の出力が同一光源からの入射光とみなされるべき値となった場合、例えば所定値以下である場合は、火災であると判断する。なお、本実施例の火災判断部75は例えばマイクロコンピュータにより構成されており、また、火災検出器7全体の制御を行う制御手段としての機能も備えている。しかし、制御手段としての機能は火災判断部75の外部に設けるようにしてもよい。
【0020】
図3は、符合比較器72の出力する信号波形について示したものであり、図中の横軸は時間の進行を示している。また図中左側は各光検出器14a、14bに炎の光が入力された場合であり、右側は各光検出器14a、14bに異なる光源からの光が入射した場合を示している。符号比較器72は排他的論理和で構成されているので、図3において、バンドパスフィルタ70a、70bからの各入力信号の位相がそろっていれば、符合生成器71a、71bからの各入力信号(符号成分)もそろうので、符号比較器72の排他的論理和の論理演算器の出力はローレベル(例えば、0)となり、異なる場合にはハイレベル(例えば、1)となる。そのため、積分器が排他的論理和の論理演算器の出力を平滑し、火災判断部75が積分器の出力が例えば所定値以下(例えば、0.1以下)の場合は同一の光源からの光と判断できる。
【0021】
また、符合比較器72の排他的論理和の論理演算器の出力は、バンドパスフィルタ70a、70bからの各入力信号成分が小さいゼロクロス点付近では信号間の微妙なタイミングのずれによってインパルス状のハイレベル信号が発生することがある。これは炎の光が同一の光源として入力されているにもかかわらず位相の一致を検出できていないタイミングがあるということであり、このような現象は正しい火災判断には不要な信号である。そこで図3のバンドパスフィルタ70bからの入力信号成分の振幅が検出レベル(所定のレベル)以上であることを示すディジタル信号(例えば、「1」)がレベル検出器73から出力されているときのみ、符合比較器72の信号を有効とすると、前記インパルス状のハイレベル信号は有効期間以外に発生することになり、符合比較器72の排他的論理和の論理演算器の出力は、炎の光が同一の光源として入力された場合には安定してローレベルを出力し、異なる光源からの光が入射した場合と明確に区別することができる。
【0022】
次に本発明における火災検出器の処理の流れを説明する。図2は、本実施例のフローチャートである。火災判断部75は、まず各光検出器14a、14bからの信号を増幅・周波数選択させ、サンプリング手段26a、26bによりサンプリングさせて入力する(ステップS1)。次にレベル検出器73からの信号もサンプリングして入力し(ステップS2)、符合比較器72(排他的論理和の論理演算器)からの符号信号もサンプリングして入力する(ステップS3)。サンプリングされた各信号データはそれぞれ図示しない記憶部に記憶される。
【0023】
火災判断部75は、前記記憶部に記憶されている過去から現在までの各信号データの内、レベル検出器73からの信号が所定のレベル以上である時の一定期間内における、各光検出器14a、14bからの信号データと、符合比較器72(排他的論理和の論理演算器)からの符合データのそれぞれの平均値を算出する(ステップS4)。
【0024】
火災判断部75は、前記光検出器14a、14bからの信号データの各平均値を用いて比率を計算し(ステップS5)、比率が所定の範囲内にあれば(ステップS6)、炎の可能性があるとして次の判断を行い(後述するステップS7)、所定の範囲内になければ(ステップS6)、再び一定時間後にサンプリングを行う(ステップS1)。
【0025】
前記光検出器14a、14bからの信号データの各平均値の比率が所定の範囲内にあるならば(ステップS6)、次に符合比較器72からの符合データの平均値を所定値と比較する(ステップS7)。符合データの平均値が所定値以下ならば(ステップS7)、前記比率は同一の光源からの光により算出されたものであるため、この結果から火災と判断して火災信号を出力し(ステップS8)、そうでなければ(ステップS7)、再び一定時間後にサンプリングを行う(ステップS1)。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、炎に特有な異なる波長の光をそれぞれ検出して各波長に応じた検出信号を出力する複数の光検出手段と、該複数の光検出手段により検出される各検出信号同士の比を算出する比率算出手段とを備えた火災検出器において、前記複数の光検出手段により検出される各検出信号の符号成分を抽出・生成する符号生成器と、該符号生成器によって生成された各検出信号の符号同士の時間的な一致度を測定する符号比較器と、前記比率算出手段により算出された各検出信号同士の比と前記符号比較器により測定された各検出信号の符号同士の時間的な一致度に基づいて火災か否かを判断する火災判断部とを備えた。そのため、極めて小さい回路規模及び消費電力の低減を実現するとともに、火災時に炎が発生した場合、まず、複数の光検出手段の各検出信号同士の比に基づいて炎である可能性を判断し、つぎに、各検出信号の符号同士の時間的な一致度に基づいて、各検出信号が同一の光源からの光によるものであることを確認してから炎であると判断するので、各光検出部に異なる光源からの光が入射した場合の誤報を排除して、炎を高精度に検出できる。
【0027】
また、前記光検出手段により検出される検出信号が所定のレベルに達しているかを検出するレベル検出器をさらに備え、また、前記符号比較器は、前記符号生成器によって生成された各検出信号の符号同士の排他的論理和を演算する論理演算器と該排他的論理和の論理演算器の出力を平滑する積分器とで構成され、前記レベル検出器が前記検出信号が所定のレベル以上であることを検出しているときのみ前記積分器の出力を有効とした。そのため、極めて小さい回路規模及び消費電力の低減を実現するとともに、各光検出部に炎からの光が入射した場合に異なる光源からの光が入射したと判断することなく、炎を高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の火災検出器のブロック図を示したものである。
【図2】本発明のフローチャートを示したものである。
【図3】本発明の信号波形を示したものである。
【図4】従来の発明の相互相関関数信号回路のブロック図である。
【符号の説明】
7 火災検出器
14 光検出器
18 増幅器
26 サンプリング回路
70 バンドパスフィルタ
71 符号生成器
72 符号比較器
73 レベル検出器
74 比率算出器
75 火災判断部
Claims (2)
- 炎に特有な異なる波長の光をそれぞれ検出して各波長に応じた検出信号を出力する複数の光検出手段と、該複数の光検出手段により検出される各検出信号同士の比を算出する比率算出手段とを備えた火災検出器において、
前記複数の光検出手段により検出される各検出信号の符号成分を抽出・生成する符号生成器と、該符号生成器によって生成された各検出信号の符号同士の時間的な一致度を測定する符号比較器と、前記比率算出手段により算出された各検出信号同士の比と前記符号比較器により測定された各検出信号の符号同士の時間的な一致度に基づいて火災か否かを判断する火災判断部とを備えたことを特徴とする火災検出器。 - 請求項1の火災検出器において、前記光検出手段により検出される検出信号が所定のレベルに達しているかを検出するレベル検出器をさらに備え、また、前記符号比較器は、前記符号生成器によって生成された各検出信号の符号同士の排他的論理和を演算する論理演算器と該排他的論理和の論理演算器の出力を平滑する積分器とで構成され、前記レベル検出器が前記検出信号が所定のレベル以上であることを検出しているときのみ前記積分器の出力を有効とすることを特徴とする火災検出器。
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