JP2005062550A - 液晶配向用基板及びその製造方法並びに液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表示特性及び応答特性に優れたマルチドメイン方式の液晶表示装置を低コストの下に製造することを容易にする液晶配向用基板を提供する。
【解決手段】 マルチドメイン方式の液晶表示装置の表示用液晶パネルに使用される液晶配向用基板を構成している配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域を形成することにより、上記課題を解決した。このとき、位相補償要素が1/4λ板であることが好ましく、ジグザグ状の傾斜配向規制領域が90°よりも大きな角度で屈曲していることが好ましい。
【選択図】 図1


Description

本発明は、液晶配向用基板及びその製造方法並びに液晶表示装置に関し、特に、マルチドメイン方式の液晶表示装置に好適な液晶配向用基板及びその製造方法、並びに前記の液晶配向用基板を用いた液晶表示装置に関するものである。
液晶表示装置は、薄型化や低電圧駆動が容易なフラットパネルディスプレイの1つであり、今日では、構造や動作モード等が異なる種々の液晶表示装置が開発されている。
代表的な液晶表示装置としては、ノーマリホワイトモードのTN(ツイステッドネマティック)型液晶表示装置が広く知られている。TN型液晶表示装置の製造技術は格段の進歩を遂げており、アクティブマトリックス駆動タイプのTN型液晶表示装置では、正面視したときのコントラストや色再現性等の点でCRT(ブラウン管)を凌駕するまでに至っている。しかしながら、TN型液晶表示装置には視野角が狭い(視角依存特性が大きい)という大きな欠点がある。
近年では、視角依存特性が小さい液晶表示装置として、IPS(In-Plane-Switching)型液晶表示装置及びマルチドメイン方式の垂直配向型液晶表示装置が開発され、それぞれ、パーソナルコンピュータ用の表示装置や液晶テレビ等として実用化されている。
ただし、IPS型液晶表示装置は応答速度の向上や高精細化を図り難く、また、光学的特性のセル厚依存性が高いことから生産性を高め難い。一方、垂直配向型液晶表示装置は、液晶分子の複屈折性を利用したノーマリーブラックモードの液晶表示装置であり、TN型液晶表示装置に比べて表示のコントラストを高くし易く、黒レベル応答速度も速くし易いといった利点を有していることから、今日ではIPS型液晶表示装置よりも注目されている。
ここで、マルチドメイン方式の液晶表示装置とは、周知のように、個々の画素領域に平面視上含まれている多数の液晶分子が少なくとも中間調表示時に配向分割するように、換言すれば、平面視上の配向方向が互いに異なる複数の領域に分かれるように構成された液晶表示装置のことである。
有機膜にラビング処理を施して配向膜を作製する場合には、有機膜表面のうちで画素に対応する領域それぞれに、ラビング方向が異なる複数の微細領域を形成することによって、マルチドメイン方式の液晶表示装置に適用可能な配向膜を得ることができる。しかしながら、この場合には複数のマスクが必要であり、更には、ラビング処理で生じた塵埃を除去するための洗浄工程が必要となる。
配向膜を作製するにあたってラビング処理が不要なマルチドメイン方式の垂直配向型液晶表示装置として、例えば特許文献1には、対向電極の所定箇所、すなわち画素電極の中央部と向き合う箇所に開口部を設け、これによって、液晶分子を2方向又は4方向に配向分割する液晶表示装置が記載されている。
また、特許文献2には、特定形状の構造物、すなわち、鋸歯状の連続した凹凸構造面を有し、その凹凸構造面が、画素中央部が高く画素端部に向かって低くなるような構造単位からなるか、若しくは、画素端部が高く画素中央部に向かって低くなるような構造単位からなる構造物を配向膜として設けた垂直配向型液晶表示装置が記載されている。この垂直配向型液晶表示装置では、上記構造物の存在によって傾斜方向が異なる複数の傾斜面が各画素領域中の配向膜全体に形成され、傾斜面上の液晶分子の配向方向が当該傾斜面の傾斜方向によって規制されることから、各画素領域において液晶分子が複数方向に配向分割される。
特許文献3には、1画素あたり複数の凸部又は凹部が形成された構造物(膜)を電極上に設け、その上にラビング処理が不要な垂直配向膜を形成した垂直配向型液晶表示装置が記載されている。この垂直配向型液晶表示装置でも、上記特許文献2に記載された垂直配向型液晶表示装置と同様に、構造物の存在によって、傾斜方向が異なる複数の傾斜面が各画素領域中の配向膜全体に形成され、傾斜面上の液晶分子の配向方向が当該傾斜面の傾斜方向によって規制されることから、各画素領域において液晶分子が複数方向に配向分割される。また、特許文献3には、上述の構造物を設けることに加えて、対向電極の所定箇所にスリットを設けて、前述した特許文献1に記載されている垂直配向型液晶表示装置と同様に電圧印加時に電界が傾斜した部分を生じさせてもよい旨も記載されている。
特開平6−301036号公報 特開平7−199193号公報 特開平11−242225号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている垂直配向型液晶表示装置には、応答速度が比較的遅いという問題があり、特に、各液晶分子の配向が電圧を印加していない状態から印加した状態に変化するときの応答速度が遅いという問題がある。
特許文献2に記載されている垂直配向型液晶表示装置では、個々の画素に形成されている前述の傾斜面が当該画素の全体に亘っており、電圧を印加しないときには傾斜面上の液晶が全て当該傾斜面に沿って配向することから、完全な黒表示を得ることができずにコントラストが低下するという問題がある。
また、特許文献2に記載されている垂直配向型液晶表示装置において液晶分子の配向方向を十分に規制するためには、前述の傾斜面を急峻にすることが必要であり、そのためには前述した構造物を厚肉にすることが必要となることから、他の問題も生じる。すなわち、特許文献2では上記構造物の材料としてレジストが挙げられているが、レジストは誘電体であるため、誘電体製の構造物を厚肉にすると液晶表示装置の動作中に当該構造物中に電荷が蓄積され、その結果として、構造物に蓄積された電荷のために電極間に電圧を印加しても液晶分子の配向方向が変化しないという現象、いわゆる焼き付きといわれる現象が生じ易くなる。
更に、特許文献2に記載されている上述の構造物を形成するためには、レジスト塗布、プレベーク、露光、現像、ポストベークという工程を付加しなければならず、製造コストを上昇させる要因になる。
これら焼き付き現象の発生及び製造コストの上昇は、前述した構造物(膜)を使用する特許文献3記載の垂直配向型液晶表示装置においても問題となる。特許文献3には、前述の構造物に微細な孔を多数形成することによって焼き付き現象の発生を抑制し得ることが記載されているが、このような微細孔の形成は製造コストの更なる上昇をまねく。
本発明の第1の目的は、表示特性に優れたマルチドメイン方式の液晶表示装置を低コストの下に製造することを可能にする液晶配向用基板を提供することにある。
本発明の第2の目的は、表示特性に優れた液晶表示装置を低コストの下に製造することを可能にする液晶配向用基板の製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、表示特性に優れたものを低コストの下に製造すること可能なマルチドメイン方式の液晶表示装置を提供することにある。
基板界面の濡れ性(表面エネルギー)と液晶分子の配向状態については、式Δγ=γS−γLで表される関係が見出されている(L.T.Creagh and A.R.Kmetz:SID1972, International Symposium. Digest, P.90(1972))。ここで、式中のγS は固体の臨界表面エネルギーを、γL は液体の表面自由エネルギーをそれぞれ表し、液晶分子はΔγ>0のとき垂直配向となり、Δγ<0のとき水平配向となる。したがって、例えばネガ型液晶は、配向膜表面が疎水性である場合には垂直配向し、親水性である場合には水平配向する。
本件発明者らは、この知見に基づいて、配向膜表面に疎水性領域と親水性領域とを形成することによってマルチドメイン方式の液晶表示装置を作製するという着想を得、本発明を完成するに至った。
上記第1の目的を達成する本発明の液晶配向用基板は、マルチドメイン方式の液晶表示装置の表示用液晶パネルに使用される液晶配向用基板であって、基板と、該基板の片面に形成された電極と、当該電極を覆うと共に疎水性材料によって形成されて液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配向させる配向膜と、前記基板のいずれか一方の面に配設された位相補償要素とを少なくとも備え、前記配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に傾斜配向規制領域を形成したので、電源をオンしたとき(電圧を印加したとき)、傾斜配向規制領域上の液晶分子が配向膜上の液晶分子より先に傾斜する。このとき、傾斜配向規制領域上の液晶分子は、配向膜と傾斜配向規制領域との境界に沿って傾斜し、この傾斜配向規制領域上の液晶分子を起点として配向膜上の液晶分子が傾斜する。さらに、傾斜配向規制領域の形状が緩やかなジグザグ状に形成されているので、その傾斜配向規制領域上の液晶分子の配向変形が起こり易い状態となっている。そのため、電圧オン時における応答を速くすることができる。しかし、緩やかなジグザグ状に形成された傾斜配向規制領域での液晶分子の配向は、所定の配向方向への制御を乱し、透過率の減少を引き起こすことになるが、本発明では、位相補償要素を備えるので、その位相補償要素により、例えば凹凸状の構造物をLCD基板上に設置する等の手段を適用せずとも、TN並の透過率と応答性、および配向安定性を得ることが可能である。また、傾斜配向規制領域が形成された配向膜は、後述するように疎水性材料によって形成された有機膜の表面に親水化処理を施すことによって得ることができるので、低コストの下に比較的容易に製造することができる。また、配向膜を特段厚くする必要もないので、焼き付き現象の発生を容易に抑制することができる。
本発明の液晶配向基板において、(a)前記位相補償要素が1/4λ板であること、(b)前記位相補償要素に入射させる光を偏光する偏光要素をさらに備えること、(c)前記位相補償要素が基板と電極との間又は基板と偏光要素との間に配設されていること、(d)前記配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、前記傾斜配向規制領域のジグザグ状の屈曲部が少なくとも1つ配置されていること、(e)前記ジグザグ状の傾斜配向規制領域が、90°よりも大きな角度で屈曲していること、(f)前記傾斜配向規制領域が、所定の間隔を隔てて複数形成されていること、(g)前記配向膜が疎水性領域であり、前記傾斜配向規制領域が親水性領域であること、が好ましい。
上記第2の目的を達成する本発明の液晶配向用基板は、マルチドメイン方式の液晶表示装置の表示用液晶パネルに使用される液晶配向用基板の製造方法であって、片面に電極と該電極を覆う疎水性の有機膜とが少なくとも形成された基板を準備する工程と、前記有機膜の表面に選択的に親水化処理を施して、該有機膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域を形成する工程と、前記基板のいずれか一方の面に位相補償要素を配設する工程と、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、緩やかなジグザグ状に形成された傾斜配向規制領域での液晶分子の配向は、所定の配向方向への制御を乱し、透過率の減少を引き起こすことになるが、本発明では位相補償要素を備えるので、その位相補償要素により、例えば凹凸状の構造物をLCD基板上に設置する等の手段を適用せずとも、TN並の透過率と応答性、および配向安定性を有する液晶配向基板を、極めて容易な工程により製造できる。その結果、液晶配向用基板を効率的に製造することができ、歩留まりの低下を防止することができると共に、コストダウンに寄与することができる。
本発明の液晶配向基板の製造方法において、前記親水化処理が光触媒層を有するマスクを用いた露光処理により行われること、前記有機膜に光触媒を含有させること、が好ましい。
これらの発明によれば、露光光として比較的長波長の紫外光を用いることが可能になるので、露光光の光源装置として比較的安価なものを使用することができる。その結果として、液晶配向用基板の製造コストを抑えることが容易になる。
上記第3の目的を達成する本発明の液晶表示装置は、マルチドメイン方式の液晶表示装置であって、表示用液晶パネルを構成する2枚の液晶配向用基板のうちの一方又は両方が、基板と、該基板の片面に形成された電極と、当該電極を覆うと共に疎水性材料によって形成されて液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配向させる配向膜と、前記基板のいずれか一方の面に配設された位相補償要素とを少なくとも備え、前記配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域が形成されていることを特徴とする。
この発明の液晶表示装置は、表示用液晶パネルを構成する2枚の液晶配向用基板のうちの一方又は両方として前述した本発明の液晶配向用基板を用いたマルチドメイン方式の液晶表示装置である。したがって、本発明の液晶表示装置は、TN液晶表示装置並の透過率と応答性、および配向安定性を有する液晶表示装置を、極めて容易な工程により製造できると共に、表示特性に優れたものを低コストの下に製造することが可能なマルチドメイン方式の液晶表示装置である。
本発明の液晶表示装置において、(i)前記位相補償要素が1/4λ板であること、(ii)前記位相補償要素に入射させる光を偏光する偏光要素をさらに備えること、(iii)前記位相補償要素が基板と電極との間又は基板と偏光要素との間に配設されていること、(iv)前記配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、前記傾斜配向規制領域のジグザグ状の屈曲部が少なくとも1つ配置されていること、(v)前記ジグザグ状の傾斜配向規制領域が90°よりも大きな角度で屈曲していること、(vi)前記傾斜配向規制領域が所定の間隔を隔てて複数形成されていること、(vii)前記配向膜が疎水性領域であり、前記傾斜配向規制領域が親水性領域であること、が好ましい。
以上説明したように、本発明の液晶配向用基板によれば、緩やかなジグザグ状に形成された傾斜配向規制領域での液晶分子の配向は、所定の配向方向への制御を乱し、透過率の減少を引き起こすことになるが、本発明では位相補償要素を備えるので、その位相補償要素により、例えば凹凸状の構造物をLCD基板上に設置する等の手段を適用せずともTN並の透過率と応答性および配向安定性を得ることが可能となる。また、傾斜配向規制領域が形成された配向膜は、後述するように疎水性材料によって形成された有機膜の表面に親水化処理を施すことによって得ることができるので、低コストの下に比較的容易に製造することができる。また、配向膜を特段厚くする必要もないので、焼き付き現象の発生を容易に抑制することができる。
本発明の液晶配向用基板の製造方法によれば、露光処理によって上記の親水性領域を形成することができるので、製造コストを抑え易くなる。
本発明の液晶表示装置によれば、表示用液晶パネルが上述した本発明の液晶配向用基板を用いて形成されるので、TN液晶表示装置並の透過率と応答性、および配向安定性を有する液晶表示装置を、極めて容易な工程により製造できると共に、表示特性に優れたものを低コストの下に製造することが可能になる。
最初に、本発明の特徴についてさらに詳しく説明する。
本発明の液晶配向用基板では、配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域が形成されている。図1は、2種類の角度からなるジグザグ状の傾斜配向規制領域を比較したものであり、各液晶配向基板上における液晶分子の配向状態を併せて示している。本発明において、「緩やかなジグザグ状」とは、図1に示すように、いわゆるジグザグ形状を構成する2辺の角度が概ね90°を超える角度で組み合わされている態様のことである。
本発明の特徴は、緩やかなジグザグ状からなる傾斜配向規制領域が形成され、好ましくは90°を超える角度からなるジグザグ形状の傾斜配向規制領域が形成されることにある。本発明をこのように構成した理由は、液晶分子が傾斜配向又は水平配向し易い傾斜配向規制領域の屈曲部において、異なる方向に配向しようとする際の配向変形にある程度の力が必要となるが、その屈曲部の角度が緩やかであるほど(即ち90°を超えるほど、例えば110〜150°等)その配向変形に要する力が少なくてよく、その結果、液晶分子の傾斜配向又は水平配向が速やかに起こり易い状態となるからである。そのため、電圧オン時における応答を速くすることができる。
一方、緩やかなジグザグ状に形成された傾斜配向規制領域での液晶分子の配向は、所定の配向方向への制御を乱し、透過率の減少を引き起こすことになるが、本発明では、位相補償要素を備えるので、その位相補償要素により、例えば凹凸状の構造物をLCD基板上に設置する等の手段を適用せずとも、TN並の透過率と応答性、および配向安定性を得ることが可能である。
なお、本発明の液晶配向基板において、少なくとも1枚用いて空セルを作製し、その中にネガ型液晶を充填して縦電界型の表示用液晶表示パネルを製造した場合、上下の基板間に電圧が印加されていない状態下では、個々の画素領域における配向膜の疎水性領域上の液晶分子(表示用液晶パネルを平面視したときに疎水性領域と完全に重なる液晶分子を意味する。以下同じ。)は垂直配向しようとし、配向膜の傾斜配向規制領域である親水性領域上の液晶分子(表示用液晶パネルを平面視したときに親水性領域と完全に重なる液晶分子を意味する。以下同じ。)は傾斜配向又は水平配向しようとする。しかしながら、液晶は弾性体であり、局所的な配向歪みは内部エネルギーを増大させる要因となる。このため、局所的に配向歪みが生じた場合には、歪みを是正して安定を保とうとする。その結果として、上記の疎水性領域及び傾斜配向規制領域である親水性領域のいずれか一方が他方に比べて十分に小さければ、大きい方の領域の作用が支配的になって、液晶分子は略一様に配向する。すなわち、個々の画素領域において疎水性領域を親水性領域(傾斜配向規制領域のこと。以下同じ。)に比べて十分に大きくすることにより、電圧を印加しないときには液晶分子が略一様に垂直配向した、換言すれば黒表示が良好で表示のコントラストが高い垂直配向型表示用液晶パネルを得ることができる。
また、この表示用液晶パネルでは、傾斜配向規制領域上の液晶分子が傾斜配向又は水平配向し易い状態にあるので、上下の基板間に電圧が印加されたときには傾斜配向規制領域上の液晶分子が先ず傾斜配向する。そして、当該傾斜配向に伴う液晶の変形が疎水性領域上の液晶にも伝播するので、電圧印加と相俟って、全ての液晶分子を比較的短時間で、疎水性領域内の液晶分子のダイレクタを、「緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域」に沿って傾斜配向させることが可能である。
次に、位相補償要素を設けることによる透過率の向上効果について説明する。
液晶分子が偏光子の透過軸に平行又は検光子に平行なときは光が透過しないが、液晶分子が傾斜すると光は透過する。例えば、上述した液晶配向基板で液晶セルを構成して両電極に電圧を印加して偏光顕微鏡観察すると、液晶分子の傾斜が始まり、黒表示状態から徐々に光が透過するようになる。
本発明においては、配向膜上の疎水性領域と傾斜配向規制領域である親水性領域とが上述した構成となっているので、疎水性領域内の液晶分子は、電圧が印加されると、その傾斜配向規制領域の延びる方向に沿って液晶分子が傾斜配向しようとする。さらに強い電圧が加わると、液晶分子は水平配向に近づき例えば図1に示すように傾斜配向又は水平配向する。このとき、傾斜配向規制領域が90°でジグザグ状に形成されている場合(図1(a)参照)は、液晶分子の配向が斜めになる方向がそれぞれ90°ずつ異なる4つの方向になっているので、例えば、仮想座標軸に対し45°、135°、225°、315°に配向方向が分割されると視角依存性を小さくできる。しかし、本発明においては、傾斜配向規制領域が緩やかなジグザグ形状で形成されているので、その折返し部分の角度が90°を超える緩やかな角度になっている。そのため、上記のような配向方向の分割が行われない部分が生じ、結果として、透過率が低下するという問題が生じ易くなっている。
例えば、均等に配向分割された液晶分子において、基板上に投影した液晶分子のダイレクタの方位角(チルト角ともいう。)と透過率との関係としては、複屈折モードLCDにおいて、そのチルト角は45°が最適値であることが知られている。このことは下記数式からも明らかである。
Figure 2005062550
ここで、θはチルト角(ポラライザ方向からの傾き角度)であり、Δn(デルタn)は[液晶分子軸と垂直方向の屈折率]から[液晶分子長軸方向の屈折率]を差し引いた(減算)値であり、λは波長であり、dは液晶層厚であり。Iは入射光量であり、Iは透過光量(a.u.)である。
このとき、偏光板の偏光方向との関係で、斜めの液晶の配向が45°からずれる場合には、光の利用効率が低いという問題がある。例えば、偏光板の透過軸及び吸収軸の方向に平行なチルト角を示す液晶分子の配向領域では光が透過せずロスとなってしまう。そのため、光の利用効率を高く且つ視角を広くとるためには、液晶の配向が斜めになる方向が4つの方向で、各配向領域液晶表示装置の表示面への投影成分が90°ずつ異なる方向になるようにすることが望ましく、45°、135°、225°、315°に配向方向が分割されると視角依存性を小さくできる。
本発明は、傾斜配向規制領域が緩やかなジグザグ形状で形成された結果、上記のような配向方向の分割が行われない部分が生じない場合であっても、位相補償要素を基板に配設することにより、位相補償を行って透過率の減少を抑制できる。
この位相補償要素の作用について以下に説明する。図2は本発明で用いる偏光状態の簡略表記であり、図3は本発明の液晶配向基板で構成した液晶表示装置における円偏光モードの説明図である。
図2において、(a)は電界ベクトルのX成分と電界ベクトルのY成分と伝播方向とからなる座標形であり、(b)は直線偏光を表し、(c)は円偏光を表し、(d)は(b)における直線偏光の表記記号を示し、(e)は(c)における円偏光の表記記号を示している。なお、(e)は、λ/4だけ位相が遅れた場合の表記である。
本発明の液晶表示装置は、図3に示すように、円偏光モードを有するので、透過率が液晶分子のダイレクタの方位角に依存しなくなる。
すなわち、図3(a)に示すダイレクタ方位角が0°の場合において、直線偏光1140は、位相補償素子1121を通過する過程で右回り円偏光1141に変換される。次に、液晶層通過の過程では、液晶分子のダイレクタの方向が遅相軸となり、入射光のy方向成分が半波長分だけ位相が遅れる。次に、出射界面では、左回り円偏光1142に変換される。そして、位相補償素子1129で再び直線偏光1143となり、偏光板1130を通過する。
また、図3(b)に示すダイレクタ方位角が90°の場合においては、液晶分子のダイレクタが図3(a)と90°違うが、同様の透過状態を得ることができる。すなわち、直線偏光1140は、位相補償素子1121を通過する過程で右回り円偏光1144に変換される。次に、液晶層通過の過程では、液晶分子のダイレクタの方向が遅相軸となり、入射光のy方向成分が半波長分だけ位相が遅れる。次に、出射界面では、左回り円偏光1145に変換される。そして、位相補償素子1129で再び直線偏光1143となり、偏光板1130を通過する。
なお、図3の本発明に係る液晶表示装置は、図3を平面視した場合の下側から、偏光板1120、位相板1121、基板1122,透明電極1123、配向膜1124、液晶1125、配向膜1126、透明電極1127、基板1128,位相板1129、偏光板1130の順に配置されている。また、偏光状態の表記は、1140は直線偏光、1141は右円偏光、1142は左円偏光、1143は直線偏光、1144は右円偏光、1145は左円偏光を表している。
従って、本発明は、緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域が形成されたことに基づく透過率減少に対しては、位相補償要素を配設することにより解決したことに特徴がある。こうした構成により、凹凸状の構造物をLCD基板上に設置せずとも、TN並の透過率と応答性、および配向安定性を得ることが可能である。
次に、本発明の液晶配向用基板、液晶配向用基板の製造方法、及び液晶表示装置について、図面を参照しつつ順次説明する。
1.液晶配向用基板及び配向膜
(第1形態)
図4(a)は、本発明に係る第1形態の液晶配向用基板における構成部材の平面配置を概略的に示し、図4(b)は、図4(a)に示したI−I線断面を概略的に示す。
図示の液晶配向用基板10は、ネガ型液晶を用いたアクティブマトリックス駆動方式の垂直配向型液晶表示装置において表示用液晶パネルの表示面側の基板として用いられるものであり、当該液晶配向用基板10は、透光性基板1、カラーフィルターアレイ3、遮光層(ブラックマトリクス)5、透明電極パターン7、、配向膜9、位相補償要素である位相板6及び偏光板8を有している。
透光性基板1の片面にカラーフィルターアレイ3と遮光層5とが形成され、これらを覆うようにして透明電極パターン7が、また、当該透明電極パターン7を覆うようにして配向膜9がそれぞれ形成されている。なお、図4(a)においては、カラーフィルターアレイ3及び遮光層5の配置を判り易くするために、透明電極パターン7及び配向膜9の図示を省略している。
透光性基板1は、例えばガラスや透明プラスチック等によって形成され、カラーフィルターアレイ3は、所望色のカラーフィルターを一定のパターンの下に多数配置することによって形成される。個々のカラーフィルターは、例えば染料又は顔料を含有若しくは分散させた樹脂(カラーレジン)によって形成することができる。
液晶配向用基板10では、赤色のカラーレジンによって形成された赤色カラーフィルター3Rと、緑色のカラーレジンによって形成された緑色カラーフィルター3Gと、青色のカラーレジンによって形成された青色カラーフィルター3Bとをストライプ状に配置することによって、カラーフィルターアレイ3が形成されている。個々のカラーフィルター3R、3G、3Bが、それぞれ、1つの画素に対応する。1つの赤色カラーフィルター3Rと、その隣の緑色カラーフィルター3Gと、その隣の青色カラーフィルター3Bとが、1つの絵素を構成する。
遮光層5は、表示用液晶パネルにおける画素間からの光の漏れ(漏れ光)や、アクティブマトリックス駆動方式の表示用液晶パネルにおけるアクティブ素子の光劣化等を防止するために、カラーフィルターアレイ3を構成している各カラーフィルター3R、3G、3Bの周囲に配置される。この遮光層5は、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性又は光吸収性を有する金属薄膜によって形成することができる。有機材料によって遮光層5を形成することも可能である。図示の遮光層5は、アクティブ素子の光劣化等を防止するための領域5aを多数有している。
透明電極パターン7は、表示用液晶パネルにおいて縦電界を形成するための電極であり、例えば酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明電極材料によって形成される。図示の透明電極パターン7は、表示用液晶パネルにおいて共通電極(コモン電極)として使用されるものであり、その平面視上の形状は四角形である。
位相板6と偏光板8は、上述したように、液晶分子のチルト角が均等に配向分割することによる透過率の減少を抑制するために設けられている。
配向膜9は、表示用液晶パネルにおいて液晶分子の配向方向を制御するためのものであり、その材料としては、例えば、疎水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂(例えば東芝シリコーン社製の撥水膜用フッ素系シリコーン樹脂の市販品)、垂直配向膜形成用のポリイミド樹脂(例えば日産化学社製のSE−1211、SE−7511L)及びアルコキシシラン系化合物等、親水化処理が可能な疎水性材料が使用される。当該疎水性材料としては、特に、長い側鎖を有する疎水性の高分子材料が好ましい。また、配向膜9の膜厚は、概ね10〜1000nmの範囲内で適宜選択可能であるが、焼き付き現象を抑制するうえからは薄いほうが好ましい。配向膜9にラビング処理を施す必要はない。
必要に応じて、平均粒径が5〜20μm程度の酸化チタン(アナターゼ型)粒子や酸化亜鉛粒子等の光触媒を、配向膜9中に20〜40重量%の割合で含有させることができる。
本形態の液晶配向用基板10の特徴は、配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる傾斜配向規制領域が形成され、その傾斜配向規制領域が所定の幅で緩やかなジグザグ状に形成されていることにある。以下、この点について図5を参照しつつ詳述する。なお、ダイレクタとは、液晶分子の平均的配向方向を表す単位ベクトルのことである。
図5は、上述した配向膜の表面に形成されている傾斜配向規制領域のうち、1つの絵素を構成しているカラーフィルター3R、3G、3B及びその周囲の遮光層5それぞれの上方において、緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域52の形状を概略的に示している。
配向膜9としては、例えば、図6に示すように、側鎖の長い疎水性の膜(高分子膜)がよく、もともと疎水性であるが親水化処理をすることにより親水性とすることができる膜であることが好ましい。例えば、疎水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂、垂直配向膜形成用のポリイミド樹脂、又はアルコキシシラン系化合物等により形成された膜等が挙げられる。疎水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂としては、例えば、東芝シリコーン製等の撥水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂等の市販の樹脂を例示できる。また、垂直配向膜形成用のポリイミド樹脂としては、垂直配向用のポリイミド樹脂である日産化学工業製のSE−1211等の市販の樹脂を例示できる。
配向膜の厚さについては特に限定されないが、例えば10nm〜100nmであることが好ましい。配向膜は、配向膜形成用の材料を基板の全面にスピンコート等の塗布手段や各種の印刷手段で塗布されて形成される。
配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる、緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域52が形成されている。すなわち、配向膜の一部に傾斜配向規制領域52を形成すると共に、その傾斜配向規制領域52を形成しなかった配向膜(配向膜の残り)を疎水性領域52として形成した。
傾斜配向規制領域52は、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させることができるものならばどのように構成してもよく、例えば疎水性の配向膜を親水化処理することによって得られた図7に示すような側鎖を有する親水性領域等である。このとき、傾斜配向規制領域52である親水性領域の臨界表面自由エネルギーは、概ね40mN/m以上である。
このように、傾斜配向規制領域52を形成することにより、傾斜配向規制領域52上の液晶分子は基板法線方向に対して傾斜して配向されるため、電源オン時(基板間に電圧が印加された時)に、傾斜配向規制領域52上の液晶分子が疎水性領域53上の液晶分子よりさきにさらに傾斜することとなる。また、傾斜配向規制領域52上の液晶分子は、疎水性領域53の液晶分子と密接しているため、基板法線方向に対して傾斜せずに平行に配向していることもある。この場合、電源オン時(基板間に電圧が印加された時)、傾斜配向規制領域上の液晶分子が疎水性領域上の液晶分子よりさきに傾斜することとなる。特に電源オン時においては、傾斜配向規制領域である親水性領域の上の液晶分子は速やかに傾斜して倒れる。その結果、傾斜配向規制領域上の液晶分子を起点として疎水性領域上の他の液晶分子も一斉に傾斜するので、液晶の応答時間の短縮化を図れる。
傾斜配向規制領域52の形状は、電源オン時に、疎水性領域上の液晶分子のダイレクタを軸対称に配向させ得る形状であり、例えば、所定の幅で長く延びる細長い形状である。
傾斜配向規制領域52の形状としては、配向変形を小さくする緩やかなジグザグ状であれば特に各種の構成を適用でき、周期や屈曲角度が一定しない無秩序に屈曲するジグザグ形状でも、所定の周期で屈曲角度が同じジグザグ形状でもよい。例えば、図8に示すような矩形形状、図9に示すような台形形状、図10に示すような屈曲部がなだらかな略曲線となっている形状等、各種のものが挙げられる。
傾斜配向規制領域52のジグザグ状の屈曲部の角度θ(図8〜図10を参照)は、液晶分子の種類や配向パターン、偏光板等に応じて任意に決められるが、例えば、90°を超える緩やかな角度であることが望ましく、110°〜150°の範囲であることがより望ましい。
傾斜配向規制領域52のジグザグ状の屈曲部間の長さ(隣接する屈曲部の間隔)W3は、通常、200μm〜400μmであることが好ましく、特に好ましくは、290μm〜310μmである。傾斜配向規制領域52のジグザグ状の屈曲単位の長さW4は、通常、50μm〜150μmであることが好ましく、特に好ましくは、90μm〜110μmである。
傾斜配向規制領域52は、所定の間隔を隔てて複数形成されていることが好ましい。すなわち、傾斜配向規制領域52と配向膜9とが交互に配置されることが好ましい。傾斜配向規制領域52と配向膜9との境界は、隣接する境界と平行(ほぼ平行を含む)な直線状であることが好ましい。
傾斜配向規制領域52の幅W1は、通常、液晶分子の種類や配向パターン、偏光板等に応じて任意に決められるが、例えば、配向のし易さの観点から10μm〜30μmであることが好ましい。傾斜配向規制領域52の間隔(配向膜9の幅)W2は、通常、液晶分子の種類や配向パターン、偏光板等に応じて任意に決められるが、例えば、配向のし易さの観点から20μm〜90μmであることが好ましい。このような範囲が好ましいのは、傾斜配向規制領域52が狭すぎる場合には液晶分子の配向のし易さが乏しくなる傾向となり、広すぎる場合には液晶分子が基板に垂直に配向しなくなる傾向となるからである。
このように、傾斜配向規制領域52を緩やかなジグザグ状に形成することにより、電源オン時において傾斜配向規制領域52上の液晶分子が配向膜9上の液晶分子より先に傾斜する。このとき、傾斜配向規制領域52上の液晶分子は、配向膜9と傾斜配向規制領域52との境界に沿って傾斜し、この傾斜配向規制領域52上の液晶分子を起点として配向膜9上の疎水性領域53における液晶分子が傾斜するので、ジグザグを形成する2つの辺に沿った少なくとも2方向に配向制御されると考えられる(図11を参照)。
傾斜配向規制領域52は、例えば、画素毎に屈曲部が1つ又は2つ以上位置されるように位置決めされることが好ましい。特に好ましくは、傾斜配向規制領域52によって配向膜9上の液晶分子を配向制御する2つの傾斜領域が1つの画素領域内でほぼ同じ割合になるように配置することが好ましい。
このように画素領域毎に対応して、傾斜配向規制領域52の屈曲部が1つ又は2つ以上位置されることにより、電源オン時において各画素領域は液晶分子のダイレクタを少なくとも2方向に配向制御することになる。さらに、この配向状態は、互いに連続であるので、配向膜との間(境界)にディスクリネーションが形成されることがなく、表示品位の低下が起こらない。
したがって、本発明の液晶表示装置及び液晶配向用基板は、配向膜に緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域52を形成したので、構造物等を形成することなく配向制御が可能であり、製造工程の簡素化を図れると共に広視野角特性を有することができる。
(第2形態)
図12は、本発明に係る第2形態の液晶配向用基板の断面構造を概略的に示す。図示の液晶配向用基板20は、透明電極パターン7上に配向膜9の他に複数の柱状スペーサー12が形成され、これらの柱状スペーサー12それぞれの表面が制御膜15によって覆われているという点で、第1形態の液晶配向用基板10と構造上異なる。
液晶配向用基板20における他の構成は液晶配向用基板10の構成と同様であるので、図12に示した部材のうちで図4(b)に示した部材と機能上共通するものには図4(b)で用いた参照符号と同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
液晶配向用基板20に設けられている柱状スペーサー12の各々は、例えば感光性樹脂等の有機材料によって形成されたものであり、平面視したときに遮光層5と重なるようにして配置されている。これらのスペーサー12は、液晶配向用基板12と他の液晶配向用基板とを用いて表示用液晶セルを作製したときに、セルギャップを一定に保つ役割を果たす。柱状スペーサー12の総数は、表示用液晶セル全体に亘ってセルギャップを一定に保つことができる範囲内で適宜選定可能であり、隣り合うカラーフィルター同士の間に必ず設けなければならないというものではない。
制御膜15は、液晶分子をスペーサー12の表面に沿って配列させるための膜であり、例えば親水性材料によって形成される。
このような構成を有する液晶配向用基板20は、ネガ型液晶を用いたアクティブマトリックス駆動方式の垂直配向型液晶表示装置において表示用液晶パネルの表示面側の基板として用いられるものである。そして、当該液晶配向用基板12は、既に説明した配向膜9と位相補償要素である位相板6とを備えていることから、第1形態の液晶配向用基板10と同様の技術的効果を奏する。
(第3形態)
図13(a)は、本発明に係る第3形態の液晶配向用基板における構成部材の平面配置を概略的に示し、図13(b)は、図13(a)に示したVI−VI線断面を概略的に示す。
図示の液晶配向用基板50は、ネガ型液晶を用いたアクティブマトリックス駆動方式の垂直配向型液晶表示装置において表示用液晶パネルの背面側基板として用いられるものであり、当該液晶配向用基板50は、透光性基板31、透明電極パターン33、走査線35、信号線37、スイッチング回路部39、及び配向膜43を有している。
透光性基板31の片面に透明電極パターン33、走査線35、信号線37、及びスイッチング回路部39が形成され、これらを覆うようにして保護膜(パッシベーション膜)41が、また、当該保護膜41を覆うようにして配向膜43がそれぞれ形成されている。走査線35と信号線37とは、層間絶縁膜32によって電気的に分離されている。透明電極パターン33は、層間絶縁膜32上に形成されている。なお、図13(a)においては、透明電極パターン33、走査線35、信号線37及びスイッチング回路部39の配置を判り易くするために、層間絶縁膜32、保護膜41及び配向膜43の図示を省略している。
透光性基板31は、例えばガラスや石英等によって形成され、層間絶縁膜32は、例えばシリコン酸化物等の電気絶縁性物質によって形成される。
透明電極パターン33は、マトリックス状に配置された多数の画素電極33aによって構成されており、個々の画素電極33aの平面視上の形状は、例えば四角形や五角形等の多角形である。図示の画素電極33aは、それぞれ、長方形を呈している。
走査線35は、マトリックス状に配置された多数の画素電極33aの1つの列に1本ずつ対応するようにして配置されて前記列の長手方向に延び、信号線37は、マトリックス状に配置された多数の画素電極33aの1つの行に1本ずつ対応するようにして配置されて前記行の長手方向に延びている。これらの走査線35及び信号線37は、例えばタンタル(Ta)、チタン(Ti)等の金属によって形成される。なお、各走査線35は、透光性基板31の表面上に形成され、層間絶縁膜32によって覆われている。
スイッチング回路部39は、1つの画素電極33aに1つずつ対応して配置されており、当該スイッチング回路部39が対応している画素電極33a並びに当該画素電極33aに対応している走査線35及び信号線37と電気的に接続されている。そして、走査線35から信号の供給を受けて、信号線37と画素電極33aとの導通を制御する。各スイッチング回路部39は、例えば1個のアクティブ素子を用いて構成される。前記アクティブ素子としては、例えば薄膜トランジスタ等の3端子型素子やMIM(Metal Insulator Metal)ダイオード等の2端子型素子が用いられる。
保護膜41は、例えばシリコン窒化物等によって形成されて、その下の部材を保護する。
配向膜43は、疎水性材料によって形成された膜の表面に、第1形態の液晶配向用基板10での配向膜9と同様に形成したものである。配向膜43の材料としては、前述した配向膜9の材料と同じものが例示される。
上述した構成を有する液晶配向用基板50は、上記の配向膜43と位相補償要素である位相板6とを備えていることから、第1形態の液晶配向用基板10と同様の技術的効果を奏する。
(他の形態)
本発明の液晶配向用基板は、配向膜とその配向膜に対応した位相補償要素(例えば位相板)と偏光要素(例えば偏光板)との組合せに最大の特徴を有するものであり、それ以外の構成は、例えば、表示用液晶パネルの表示面側基板として用いるか背面側基板として用いるかに応じて、あるいは、得ようとする液晶表示装置の駆動方式や表示形態(白黒表示、モノカラー表示、マルチカラー表示及びフルカラー表示のいずれであるか)等に応じて、適宜変更可能である。
また、配向膜における親水性領域の配置パターンも、得ようとする液晶表示装置における1画素あたりのドメイン数や、画素の平面視上の形状等に応じて適宜選定可能である。
上述したように、本発明の配向膜には液晶分子の配向変形の力が小さくなるように、例えばその屈曲部の角度を大きくした(例えば90°を超えた角度であって好ましくは110〜150°程度)ので、偏光板の偏光方向との関係で、液晶分子の傾斜配向の方位が偏光板の透過軸及び吸収軸それぞれの方位と重なって光の利用効率が低くなるという問題が生じる。
本発明は、こうした問題に対し、図2及び図3において説明したように、基板の何れかの面に位相補償要素を設けている。この位相補償要素は、基板と電極の間に設けてもよいし、電極が設けられている面とは反対側の面に設けられていてもよい。好ましくは、λ/4の位相差板であり、その位相差板が基板と偏光板との間に設けられていることが好ましい。
2.液晶配向用基板の製造方法
本発明の液晶配向用基板の製造方法は、マルチドメイン方式の液晶表示装置の表示用液晶パネルに使用される液晶配向用基板、特に、上述した本発明の液晶配向用基板を製造するための方法として好適なものであり、次の3つの工程を含んでいる。
1つは、片面に透明電極パターンと該透明電極パターンを覆う疎水性の有機膜とが少なくとも形成された透光性基板を準備する工程(以下、「準備工程」という。)であり、他の1つは、有機膜の表面に選択的に親水化処理を施して、その有機膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域を形成する工程(以下、「親水化処理工程」という。)であり、さらに他の一つは、基板のいずれか一方の面に位相補償要素を配設する工程(以下、「位相補償要素配設工程」いう。)である。以下、これらの工程を順次説明する。
(準備工程)
この工程で準備する透光性基板は、上記の有機膜が仮に所望の配向膜であったならば、表示用液晶パネルにおける1対の透光性基板の一方としてそのまま用いることができる構造のものである。
当該透光性基板の構造をどのようなものにするかは、例えば、表示用液晶パネルの表示面側基板として用いるか背面側基板として用いるかに応じて、あるいは、得ようとする液晶表示装置の駆動方式や表示形態(白黒表示、モノカラー表示、マルチカラー表示及びフルカラー表示のいずれであるか)等に応じて、適宜選定可能であり、その製造方法は特に限定されるものではない。
ただし、上記の有機膜は、表面を親水化処理することが可能なものでなければならず、当該有機膜の材料としては、前述した本発明の液晶配向用基板に係る第1形態の液晶配向用基板10(図4(a)及び図4(b)参照)での配向膜9の材料と同じものが例示される。また、その膜厚は、配向膜9の膜厚と同じ基準の下に選定される。当該有機膜は、スピンコート等の塗布手段や各種の印刷手段によって形成することができる。
上述の透光性基板は、自ら作製してもよいし、市販品があるならそれを購入してもよい。
(親水化処理工程)
上述した有機膜の表面に選択的に親水化処理を施す方法としては、例えば次の3つの方法を挙げることができる。
<方法I>
上記の有機膜が光触媒を含有していないものである場合には、図14(a)に示すように、透光性基板100と、透光性基板100の片面に形成されたマスクパターン102と、マスクパターン102を覆う光触媒層104とを有するフォトマスク(紫外線マスク)110を用い、光触媒層104と上記の有機膜140との間隔を概ね5〜20μmに保ちつつ、波長380nm以下の紫外光UV1によって有機膜140を露光する。
<方法II>
上記の有機膜が光触媒を含有しているものである場合には、図14(b)に示すように、透光性基板120と、透光性基板120の片面に形成されたマスクパターン122とを有するフォトマスク(紫外線マスク)130を用い、当該フォトマスク130と上記光触媒を含有している有機膜145との間隔を概ね5〜20μmに保ちつつ、波長380nm以下の紫外光UV1によって有機膜145を露光する。
<方法III>
図14(c)に示すように、上記のフォトマスク130と同じ構造のフォトマスク(紫外線マスク)135を用い、当該フォトマスク135と上記の有機膜140との間隔を概ね5〜20μmに保ちつつ、波長200nm以下の紫外光UV2によって有機膜140を露光する。
これらの方法I〜方法III のいずれにおいても、マスクパターン102、122としては、有機膜140、145の表面に形成しようとする親水性領域の形状及び配置パターンに対応して複数の開口部が形成されているものを用いる。
例えば、図5に示した配置パターンで複数の親水性領域9aが形成されている配向膜9を得ようとする場合には、図15に示すフォトマスク150のように、親水性領域9aと形状及び大きさ(線幅W1、ピッチL1)が同じである開口部152が、親水性領域9aの配置パターンと同じパターンの下に形成されているマスクパターンを用いる。マスクパターン102、122は、例えばクロム薄膜を所定形状にパターニングすることによって作製することができる。
なお、方法Iで使用される光触媒層104としては、例えば、平均粒径が5〜20μm程度の酸化チタン(アナターゼ型)粒子や酸化亜鉛粒子等の光触媒をバインダー樹脂(例えばシリコーン樹脂)中に20〜40重量%の割合で含有させたものが用いられる。光触媒層104の膜厚は、概ね0.05〜0.5μmの範囲内とすることが好ましい。
いずれの方法によっても、有機膜140、145の表面のうちで露光された領域が酸化還元されて、当該領域が親水性領域に変化する。前記の酸化還元は、次のメカニズムで起こると考えられる。なお、メカニズムについての以下の説明は、露光対象物が有機膜140であり、かつ、この有機膜140がシリコーン系樹脂である場合を例にとり、行う。
有機膜140の表面が紫外光UV1によって選択的に露光されると、フォトマスク110と有機膜140との間に活性酸素種等(活性酸素O や活性水酸基−OH)が生じ、この活性酸素種等が、図16(a)に示すように、有機膜140の表面の側鎖(例えばアルキル側鎖)にアタックして当該側鎖の結合を切断する。そして、図16(b)に示すように、側鎖が切断された部分に活性酸素種等が入れ替わって結合し、ここが親水性領域に変化する。
方法I及び方法IIでは、光触媒の存在によって、長波長の紫外光の照射によっても活性酸素種等を生じさせることができる。
親水化処理工程での露光条件は、光触媒の有無や疎水性有機膜の材質等に応じて、臨界表面自由エネルギーが概ね40mN/m以上の親水性領域が得られるにように選定することが好ましい。
(位相補償要素配設工程)
位相補償要素としては、通常、位相差板が挙げられ、基板の液晶側とは反対側の面に設ける。具体的には基板と偏光板との間に配設する。位相補償要素は、基板の液晶側の面に設けてもよく、その場合には、電極と基板との間に設ける。
位相補償要素としては、基板とは別部材である位相差板が通常使用するが、基板のいずれか一方の面が位相補償要素を有すような基板を採用することもできる。
位相補償要素は液晶配向基板の製造工程中に設けてもよく、その場合には、位相補償要素を有する液晶配向基板を用いて液晶表示装置が製造される。一方、位相補償要素を液晶配向基板の製造工程中に設けず、2枚の液晶配向基板を用いて液晶表示装置を製造する際に、液晶表示装置を構成する基板の外表面に設けてもよい。
以上説明した準備工程、親水化処理工程及び位相補償要素配設工程を含む方法により、目的とする液晶配向用基板を得ることができる。
3.液晶表示装置
(第1形態)
図17は、本発明に係る第1形態の液晶表示装置の断面構造を概略的に示す部分断面図である。図示の液晶表示装置300は、表示用液晶パネル200と、この表示用液晶パネル200の背面側に設置されたバックライト部250とを備えたマルチドメイン方式の垂直配向型液晶表示装置である。
表示用液晶パネル200は、図4等で既に説明した液晶配向用基板10を表示面側基板とし、図13等を用いて既に説明した液晶配向用基板50を背面側基板とする液晶パネルである。図17に示した部材のうちで既に説明したものについては、図4(b)又は図13で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
液晶配向用基板10と液晶配向用基板50とは、互いに間隔をあけた状態でシール材(熱硬化性樹脂)205によって貼り合わされている。これらの液晶配向用基板10、50同士の間隔(セルギャップ)は、液晶配向用基板50の配向膜43上に予め散布された球状スペーサー210によって一定に保たれており、両者の間の空隙には負の誘電率異方性を有する液晶(ネガ型液晶;例えばメルク社製のMLC−6608、MLC−2037、MLC−2038等)210が充填されている。
また、液晶配向用基板10の外側面上には、板状又はフィルム状の第1の偏光素子が設けられ、液晶配向用基板50の外側面上には、板状又はフィルム状の第2の偏光素子が設けられている。これらの偏光素子220、225は、互いに直交ニコルの関係にある。その偏光素子220,225と基板1、1との間には、位相補償要素である位相板224,224が配設されている。
上述した構成を有する本形態の液晶表示装置300は、既に説明した本発明の液晶配向用基板10、50を用いて作製された表示用液晶パネル200を備えているので、表示特性及び応答特性に優れたものを低コストの下に製造することが容易な液晶表示装置である。
液晶配向用基板10の配向膜9における親水性領域の配置パターンと液晶配向用基板50の配向膜43における親水性領域の配置パターンとは、平面視上、一致させることができる。
(第2形態)
図18は、本発明に係る第2形態の液晶表示装置の断面構造を概略的に示す部分断面図である。図示の液晶表示装置500は、表示用液晶パネル400と、この表示用液晶パネル200の背面側に設置されたバックライト部250とを備えたマルチドメイン方式の垂直配向型液晶表示装置である。
表示用液晶パネル400は、表示面側の液晶配向用基板として、図12を用いて既に説明した液晶配向用基板20が用いられているという点で、第1形態の液晶表示装置300と異なる。他の構成は液晶表示装置300と同様であるので、図18に示した部材のうちで既に説明したものについては、図12は図17で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
このような構成を有する液晶表示装置500は、上述した液晶表示装置300と同様に、表示特性及び応答特性に優れたものを低コストの下に製造することが容易な液晶表示装置である。
(他の形態)
本発明の液晶表示装置は、表示用液晶パネルを構成する2枚の液晶配向用基板のうちの少なくとも一方が、前述した本発明の液晶配向用基板であればよい。他の構成は、液晶表示装置の駆動方式や表示形態(白黒表示、モノカラー表示、マルチカラー表示及びフルカラー表示のいずれであるか)等に応じて、適宜変更可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
<液晶配向用基板の製造>
先ず、片面にカラーフィルタアレイ、遮光層及び透明電極パターンが形成された透明基板を準備する。この透明ガラス基板に形成されているカラーフィルタアレイ、遮光層及び透明電極パターンの形状は、図4(a)及び図4(b)に示した液晶配向用基板10におけるカラーフィルタアレイ3、遮光層5及び透明電極パターン7の形状と同様である。
次に、上記の透明電極パターン上にフッ素系シリコーン樹脂(東芝シリコーン社製のTSL8233とTSL8114との混合物)をスピンコートし、150℃で10分間乾燥して、厚さ60nmの疎水性有機膜を形成する。
次いで、前述した方法Iによって上記疎水性有機膜の表面に選択的に親水化処理を施して、当該表面に、前述した第1形態の液晶配向用基板10の配向膜9に形成されている親水性領域9aの配置パターンと同じパターンで親水性領域を形成する。個々の親水性領域は、平面視上、図14に示す親水領域を形成するための幅W1を20μmとし、屈曲部までの長さL1を60mmとし、屈曲部の角度を130°とする。
親水化処理を行うにあたっては、平均粒径5〜20μmの酸化チタン(アナターゼ型)粒子が20〜40重量%の割合で分散されたシリコーン樹脂を用いて光触媒層を形成し、その厚さ(マスクパターンの開口部での厚さ)は0.05〜0.5μmとする。また、フォトマスクと上記疎水性有機膜との間隔を約20μmに保ちつつ、10mW/cm の紫外光(波長200〜370nm)を60〜180秒間照射する。
このようにして上記疎水性有機膜の表面に選択的に親水化処理を施すと共に、電極側(液晶側)とは反対の基板面に位相板6と偏光板8を貼り付けることにより、前述した第1形態の液晶配向用基板10と同様の構成の液晶配向用基板(以下、「第1の液晶配向用基板」という。)を得る。なお、位相板6と偏光板8は、第1の液晶配向用基板と第2の液晶配向基板とを張り合わせた後の両者の外表面にそれぞれ貼り付けて配設することもできる。
<液晶表示装置の製造>
先ず、上記第1の液晶配向用基板とは別に、アクティブマトリックス駆動方式の表示用液晶パネルにおける背面側基板(アクティブ素子が形成されている基板)として用いることができる液晶配向用基板(以下、「第2の液晶配向用基板」という。)を用意する。
当該第2の液晶配向用基板は、上記第1の液晶配向用基板と共に垂直配向型表示用液晶パネルを構成することができるものであり、第2の液晶配向用基板の配向膜に親水性領域は形成されていない。配向膜に親水性領域が形成されていない点を除けば、第2の液晶配向用基板は図13(a)及び図13(b)に示した液晶配向用基板50と同様の構成を有している。
次に、第2の液晶配向用基板の配向膜上に、スペーサードライ散布装置(株式会社アイエヌジー社製のSDI−12)を用いて、積水ファインケミカル社製の球状スペーサー(同社のSPシリーズ)を20〜50個/mmの密度となるように散布する。
次いで、第2の液晶配向用基板の縁部(配向膜上)に三井化学製のシール材(XN−5A)をシールディスペンサ装置により塗布し、当該第2の液晶配向用基板と上述の第1の液晶配向用基板とを、配向膜が内側となるようにして貼り合わせる。
貼り合わせた2枚の液晶配向用基板にプレス冶具を用いて20kPa前後の圧力をかけて、当該2枚の液晶配向用基板同士を密着させ、この状態で、温度180℃、時間60分、冷却放置時間約30分の条件の下に熱処理して、基板間のギャップが約4.5μmの空セルを得る。
この空セルに真空注入装置を用いてメルク社製のネガ型液晶(MLC−6608)を注入し、注入口を封止して、表示用液晶パネルを得る。
この後、第2の液晶配向用基板の背面側にバックライト部を設置して、マルチドメイン方式の垂直配向型液晶表示装置を得る。この液晶表示装置は、第2の液晶配向用基板の配向膜に親水性領域が形成されていない以外は、図17に示した液晶表示装置300と同様の構成を有する。
この液晶表示装置では、黒表示、中間調表示及び白表示のいずれもが良好な画像表示を行うことができる。また、視野角は全方位に亘って十分に広く、かつ、均質である。
(実施例2)
<液晶配向用基板の製造>
先ず、実施例1での第1の液晶配向用基板の製造と同じ要領で、前述した第1形態の液晶配向用基板10と同様の構成の液晶配向用基板(以下、「第3の液晶配向用基板」という。)を得る。
また、実施例1での第2の液晶配向用基板と同様の構成を有し、配向膜がフッ素系シリコーン樹脂(東芝シリコーン社製のTSL8233とTSL8114との混合物)によって形成されている液晶配向用基板を用意する。そして、この液晶配向基板の配向膜に、実施例1で第1の液晶配向用基板を得る際に疎水性有機膜に施した親水化処理と同様の条件の下に親水化処理を施して、前述した第3形態の液晶配向用基板50と同様の構成の液晶配向用基板(以下、「第4の液晶配向用基板」という。)を得る。
<液晶表示装置の製造>
表示用液晶パネルを構成する液晶配向用基板として、上記第3の液晶配向用基板と上記第4の液晶配向用基板とを用いる以外は実施例1と同様にして、マルチドメイン方式の垂直配向型液晶表示装置を得る。この液晶表示装置は、図17に示した液晶表示装置300と同様の構成を有する。
この液晶表示装置では、黒表示、中間調表示及び白表示のいずれもが良好な画像表示を行うことができる。また、視野角は全方位に亘って十分に広く、かつ、均質である。
2種類の角度からなるジグザグ状の傾斜配向規制領域を比較した図である。 本発明で用いる偏光状態の簡略表記である。 本発明で用いる円偏光モードである。 (a)は本発明に係る第1形態の液晶配向用基板における構成部材の平面配置の概略図であり、(b)は(a)に示したI−I線断面の概略図である。 本発明の液晶配向基板に形成された配向膜の形状を示す平面図である。 本発明の疎水性の配向膜表面の一例を示す図である。 本発明の親水性の配向膜表面の一例を示す図である。 本発明の傾斜配向規制領域の一例を示す図である。 本発明の傾斜配向規制領域の他の例を示す図である。 本発明の傾斜配向規制領域の他の例を示す図である。 電圧が印加された際における本発明の液晶配向基板上の液晶分子の様子を示す説明図である。 本発明に係る第2形態の液晶配向用基板を概略的に示す断面図である。 (a)は本発明に係る第3形態の液晶配向用基板における構成部材の平面配置を示す概略図であり、(b)は(a)に示したVI−VI線断面の概略図である。 (a)は本発明の液晶配向用基板の製造方法によって液晶配向用基板を製造する際に行われる露光処理の一例を概略的に示す断面図であり、(b)は前記露光処理の他の例を概略的に示す断面図であり、(c)は前記露光処理の更に他の例を概略的に示す断面図である。 基板の露光マスクパターンの平面図である。 (a)は本発明の液晶配向用基板の製造方法によって液晶配向用基板を製造する際に行われる露光処理時に活性酸素種が有機膜表面の側鎖を切断する様子を示す模式図であり、(b)は前記露光処理によって有機膜表面が選択的に親水性領域に変化した様子を示す模式図である。 本発明に係る第1形態の液晶表示装置を概略的に示す部分断面図である。 本発明に係る第2形態の液晶表示装置を概略的に示す部分断面図である。
符号の説明
1 透明基板
6 位相板
7 透明電極パターン
8 偏光板
9 配向膜
9a 親水性領域
10 液晶配向用基板
20 液晶配向用基板
31 透明基板
33 透明電極パターン
43 配向膜
43a 親水性領域
50 液晶配向用基板
52 傾斜配向規制領域
53 垂直配向規制領域
60 親水性領域
70 親水性領域
80 親水性領域
104 光触媒層
110 フォトマスク
130 フォトマスク
135 フォトマスク
140 有機膜
200 表示用液晶パネル
300 液晶表示装置
400 表示用液晶パネル
500 液晶表示装置

Claims (19)

  1. マルチドメイン方式の液晶表示装置の表示用液晶パネルに使用される液晶配向用基板であって、
    基板と、該基板の片面に形成された電極と、当該電極を覆うと共に疎水性材料によって形成されて液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配向させる配向膜と、前記基板のいずれか一方の面に配設された位相補償要素とを少なくとも備え、
    前記配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域が形成されていることを特徴とする液晶配向用基板。
  2. 前記位相補償要素が1/4λ板であることを特徴とする請求項1に記載の液晶配向基板。
  3. 前記位相補償要素に入射させる光を偏光する偏光要素をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶配向基板。
  4. 前記位相補償要素が、基板と電極との間又は基板と偏光要素との間に配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶配向用基板。
  5. 前記配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、前記傾斜配向規制領域のジグザグ状の屈曲部が少なくとも1つ配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液晶配向用基板。
  6. 前記ジグザグ状の傾斜配向規制領域が、90°よりも大きな角度で屈曲していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶配向用基板。
  7. 前記傾斜配向規制領域が、所定の間隔を隔てて複数形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液晶配向用基板。
  8. 前記配向膜が疎水性領域であり、前記傾斜配向規制領域が親水性領域であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液晶配向用基板。
  9. マルチドメイン方式の液晶表示装置の表示用液晶パネルに使用される液晶配向用基板の製造方法であって、
    片面に電極と該電極を覆う疎水性の有機膜とが少なくとも形成された基板を準備する工程と、
    前記有機膜の表面に選択的に親水化処理を施して、該有機膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域を形成する工程と、
    前記基板のいずれか一方の面に位相補償要素を配設する工程と、
    を含むことを特徴とする液晶配向用基板の製造方法。
  10. 前記親水化処理が、光触媒層を有するマスクを用いた露光処理により行われることを特徴とする請求項9に記載の液晶配向用基板の製造方法。
  11. 前記有機膜に光触媒を含有させることを特徴とする請求項9に記載の液晶配向用基板の製造方法。
  12. マルチドメイン方式の液晶表示装置であって、
    表示用液晶パネルを構成する2枚の液晶配向用基板のうちの一方又は両方が、基板と、該基板の片面に形成された電極と、当該電極を覆うと共に疎水性材料によって形成されて液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配向させる配向膜と、前記基板のいずれか一方の面に配設された位相補償要素とを少なくとも備え、
    前記配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜して配向させる緩やかなジグザグ状の傾斜配向規制領域が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
  13. 前記位相補償要素が1/4λ板であることを特徴とする請求項12に記載の液液晶表示装置。
  14. 前記位相補償要素に入射させる光を偏光する偏光要素をさらに備えることを特徴とする請求項12又は13に記載の液晶表示装置。
  15. 前記位相補償要素が、基板と電極との間又は基板と偏光要素との間に配設されていることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  16. 前記配向膜の表面のうちで画素に対応する個々の領域内に、前記傾斜配向規制領域のジグザグ状の屈曲部が少なくとも1つ配置されていることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  17. 前記ジグザグ状の傾斜配向規制領域が、90°よりも大きな角度で屈曲していることを特徴とする請求項12乃至16のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  18. 前記傾斜配向規制領域が、所定の間隔を隔てて複数形成されていることを特徴とする請求項12乃至17のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  19. 前記配向膜が疎水性領域であり、前記傾斜配向規制領域が親水性領域であることを特徴とする請求項12乃至18のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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