《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図19に基づいて説明する。図1には、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
この図1に示される光ディスク装置20は、対象物としての光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本第1の実施形態では、一例としてDVD系の規格に準拠した情報記録媒体が光ディスク15に用いられるものとする。
前記バッファRAM34は、光ディスク15に記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスク15から再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納されるバッファ領域と、各種プログラム変数などが格納される変数領域とを有している。
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理する。そして、バッファ領域に蓄積されたデータ量が所定量になるとCPU40に通知する。
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいてバッファRAM34に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、データの変調及びエラー訂正コードの付加等を行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成する。ここで生成された書き込み信号はレーザコントロール回路24に出力される。
前記レーザコントロール回路24は、エンコーダ25からの書き込み信号及びCPU40の指示に基づいて光ディスク15に照射するレーザ光の出力を制御する。
前記インターフェース38は、ホスト(例えばパーソナルコンピュータ)との双方向の通信インターフェースであり、一例としてATAPI(AT Attachment Packet Interface)の規格に準拠している。
前記フラッシュメモリ39はプログラム領域とデータ領域とを備えており、プログラム領域には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。また、データ領域には、光ピックアップ装置23のシーク動作に関する情報(以下「シーク情報」と略述する)、及び記録ストラテジ情報などが格納されている。
前記CPU40は、フラッシュメモリ39のプログラム領域に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをバッファRAM34の変数領域及びRAM41に保存する。
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。この光ピックアップ装置23の構成等について一例として図2〜図7を用いて説明する。なお、ここでは、X軸方向をラジアル方向、及びトラッキング方向、Y軸方向をタンジェンシャル方向、Z軸方向をフォーカス方向としている。
図2に示される光ピックアップ装置23は、スピンドルモータ22によって回転している光ディスク15の記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するピックアップ本体101と、このピックアップ本体101を保持するとともに、ピックアップ本体101のX軸方向への移動をガイドする2本のシークレール102と、ピックアップ本体101をX軸方向に駆動するためのシークモータ(図示省略)と、傾きセンサとしてのチルトセンサ110などを含んで構成されている。
前記ピックアップ本体101は、ハウジング71と、このハウジング71の内部に格納され、波長が660nmの光束を光ディスク15の記録面方向に出射する光束出射系12(図2では不図示、図3参照)と、この光束出射系12からの光束を光ディスク15の記録面の所定位置に集光する集光系11とから構成されている。
前記光束出射系12は、図3に示されるように、光源ユニット51、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ54、立ち上げミラー56、検出レンズ58、シリンドリカルレンズ57及び信号光検出器としての受光器59などを備えている。
上記光源ユニット51は、波長が660nmの光束を発光する信号用光源としての半導体レーザ(図示省略)を備えている。この光源ユニット51は、光源ユニット51から出射される光束の最大強度出射方向が+X方向となるようにハウジング71に固定されている。
前記コリメートレンズ52は、光源ユニット51の+X側に配置され、光源ユニット51から出射された光束を略平行光とする。前記ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52の+X側に配置され、コリメートレンズ52からの光束はそのまま透過させ、かつ光ディスク15の記録面からの反射光(戻り光束)は−Y方向に分岐する。前記立ち上げミラー56は、ビームスプリッタ54の+X側に配置され、ビームスプリッタ54を透過した光束の光路を+Z方向に曲げる。立ち上げミラー56で曲げられた光束は、ハウジング71に設けられた開口部53を介して前記集光系11に入射する。
前記検出レンズ58は、ビームスプリッタ54の−Y側に配置され、ビームスプリッタ54で−Y方向に分岐された戻り光束を集光する。前記シリンドリカルレンズ57は、検出レンズ58の−Y側に配置され、検出レンズ58で集光された戻り光束を整形する。前記受光器59は、シリンドリカルレンズ57の−Y側に配置され、シリンドリカルレンズ57で整形された戻り光束をその受光面で受光する。この受光器59には、通常の光ディスク装置と同様に4つの部分受光素子からなる4分割受光素子が用いられており、各部分受光素子からは、それぞれ受光量に応じた信号が再生信号処理回路28に出力される。すなわち、ハウジング71の内部には、光源ユニット51から出射された光束を集光系11に導くとともに、戻り光束を受光器59に導くための光路が形成されている。
前記集光系11は、図4及び図5に示されるように、対物レンズ60、レンズホルダ81、複数のコイルからなる駆動用コイル82、ベース板85、2つのヨーク(86a,86b)、2つの永久磁石(91a,91b)、2つのステム(87a,87b)、導電性を有する8本の線ばね(92a1、92a2、92b1、92b2、92c1、92c2、92d1、92d2)、及び2つの基板(93a,93b)などから構成されている。なお、線ばね92c2は線ばね92c1の−Z側に配置され、線ばね92d2は線ばね92d1の−Z側に配置されている。
上記ベース板85は、外形が長方形の板状部材であり、そのほぼ中央部には、ハウジング71に設けられた前記開口部53とほぼ同形状の開口部が設けられている。このベース板85は、長手方向がY軸方向とほぼ一致するとともに、その開口部がハウジング71に設けられた開口部53と重なるように、その一側の面がハウジング71の+Z側の面と貼り合わされている。なお、ベース板85は磁気回路を形成するためのヨークとしての役割を有している。
前記ヨーク86a及びヨーク86bは、それぞれほぼ同形状の板状部材であり、所定の位置関係を有してベース板85上に固定されている。ここでは、ヨーク86aはベース板85の+Y側端部に配置され、ヨーク86bはベース板85の−Y側端部に配置されている。
前記ステム87a及びステム87bは、それぞれほぼ同形状のブロック状部材である。ここでは、ステム87aはヨーク86aの+Y側に配置され、ステム87bはヨーク86bの−Y側に配置されている。各ステムにはY軸方向に延びる貫通孔が、−X側の端部近傍に2カ所、+X側の端部近傍に2カ所それぞれ形成されている。なお、ステム87aとヨーク86a、及びステム87bとヨーク86bは、それぞれ一体化されている。
前記永久磁石91a及び91bは、それぞれほぼ同形状のブロック状の永久磁石である。永久磁石91aはヨーク86aの−Y側の面に貼り付けられ、永久磁石91bはヨーク86bの+Y側の面に貼り付けられている。すなわち、永久磁石91aの−Y側の面と永久磁石91bの+Y側の面とは、Y軸方向に関して互いに対峙している。
前記基板93a及び93bは、それぞれほぼ同形状の板状部材である。基板93aは一部ダンパ材を介してステム87aの+Y側の面に固定されており、複数の入力端子及び出力端子を備えている。基板93bは一部ダンパ材を介してステム87bの−Y側の面に固定されており、複数の入力端子及び出力端子を備えている。各入力端子には、モータドライバ27からの複数の信号線がそれぞれ接続される。なお、各基板は、Y軸方向の振動を吸収するためにY軸方向への若干の弾性変形が可能である。
前記レンズホルダ81は、外形形状が立方体に類似した部材であり、永久磁石91aと永久磁石91bとの間に配置されている。また、図4のA−A線断面図である図6に示されるようにレンズホルダ81の中央部には光束出射系12からの光束の光路となるZ軸方向に延びる貫通孔83が形成されている。この貫通孔83の+Z側の端部には、前記対物レンズ60がその光軸と貫通孔83の中心軸とがほぼ一致するように配置されている。さらに、レンズホルダ81の隅には、図4のB−B線断面図である図7に示されるように、メディアチルト検出用の光束の光路となるZ軸方向に延びる貫通孔84が形成されている。そして、この貫通孔84の直下のベース板85上には、光路を曲げるための反射ミラー83が配置されている。
また、レンズホルダ81には、前記駆動用コイル82が所定の位置関係で一体化されている。なお、対物レンズ60、レンズホルダ81及び駆動用コイル82は一体となって移動及び回動するので、以下では、便宜上これらが一体化したものを「可動部」と呼ぶこととする。
そして、レンズホルダ81には、駆動用コイル82に駆動電流を供給するための8つの端子(Ta1、Ta2、Tb1、Tb2、Tc1、Tc2、Td1、Td2とする)が設けられている。ここでは、レンズホルダ81の−X側の面に端子Ta1、Ta2、Tb1、及びTb2が、レンズホルダ81の+X側の面に端子Tc1、Tc2、Td1、及びTd2が設けられている。そして、端子Ta1には線ばね92a1の一端が接続され、端子Ta2には線ばね92a2の一端が接続され、端子Tb1には線ばね92b1の一端が接続され、端子Tb2には線ばね92b2の一端が接続されている。また、端子Tc1には線ばね92c1の一端が接続され、端子Tc2には線ばね92c2の一端が接続され、端子Td1には線ばね92d1の一端が接続され、端子Td2には線ばね92d2の一端が接続されている。
各線ばねはY軸方向に延び、線ばね92a1、92a2、92c1、及び92c2の他端はステム87aに設けられた前記貫通孔を介して基板93aの出力端子に、はんだ付け等によってそれぞれ接続されている。また、線ばね92b1、92b2、92d1、及び92d2の他端はステム87bに設けられた前記貫通孔を介して基板93bの出力端子に、はんだ付け等によってそれぞれ接続されている。すなわち、可動部は線ばねを介して各ステムに弾性的に支持されている。
前記駆動用コイル82は、可動部をZ軸方向に駆動するためのフォーカス用コイル、可動部をX軸方向に駆動するためのトラッキング用コイル、可動部をY軸方向の回転軸周りに回動するためのラジアルチルト用コイル、及び可動部をX軸方向の回転軸周りに回動するためのタンジェンシャルチルト用コイルなどを含んで構成されている。
フォーカス用コイルに駆動電流が供給されると、可動部は駆動電流の大きさに応じて+Z方向(又は−Z方向)に駆動する。なお、駆動方向はフォーカス用コイルを流れる電流の向きによって制御することができる。
トラッキング用コイルに駆動電流が供給されると、可動部は駆動電流の大きさに応じて+X方向(又は−X方向)に駆動する。なお、駆動方向はトラッキング用コイルに流れる電流の向きによって制御することができる。
ラジアルチルト用コイルに駆動電流が供給されると、可動部は駆動電流の大きさに応じてY軸方向の回転軸周りに回動する。なお、回動の方向(時計方向又は反時計方向)はラジアルチルト用コイルに流れる電流の向きによって制御することができる。
タンジェンシャルチルト用コイルに駆動電流が供給されると、可動部は駆動電流の大きさに応じてX軸方向の回転軸周りに回動する。なお、回動の方向(時計方向又は反時計方向)はタンジェンシャルチルト用コイルに流れる電流の向きによって制御することができる。
ここで、前述のようにして構成された光束出射系12及び集光系11の作用について簡単に説明する。
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54を透過した光束は、立ち上げミラー56でその光路が+Z方向に曲げられ、ハウジング71の開口部53及びベース板85の開口部を介して集光系11に入射する。集光系11に入射した光束は、レンズホルダ81の貫通孔83を介して対物レンズ60に入射し、対物レンズ60によって光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
光ディスク15の記録面にて反射した反射光は、戻り光束として対物レンズ60で再び略平行光とされ、貫通孔83、ベース板85の開口部及びハウジング71の開口部53を介して立ち上げミラー56に入射する。立ち上げミラー56に入射した戻り光束はその光路が−X方向に曲げられ、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で−Y方向に分岐した戻り光束は、検出レンズ58及びシリンドリカルレンズ57を介して受光器59で受光される。受光器59を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた電流信号をそれぞれ生成する。各電流信号はそれぞれ再生信号処理回路28に出力される。
前記チルトセンサ110は、ハウジング71上に配置され、一例として図8に示されるように、センサ用光源としての半導体レーザLD、光学素子としてのカップリングレンズ111、複数の受光素子からなる光検出器としての受光器PD、第1回折素子としてのホログラム素子113、及び第2回折素子としてのホログラム素子114を有している。ここでは、半導体レーザLD、カップリングレンズ111、及び受光器PDは、同一の筐体PK内に収納され、パッケージ化されている。また、ホログラム素子113とホログラム素子114は積層され、筐体PKと一体化されている。
半導体レーザLDは、対象物としての光ディスク15の傾きに関する情報を検出するための光束(以下「傾き検出用光束」ともいう)を出射する。チルトセンサ110は、半導体レーザLDから出射される傾き検出用光束の最大強度出射方向が+X方向となるようにハウジング71に固定されている。
カップリングレンズ111は、半導体レーザLDの+X側に配置され、半導体レーザLDから出射された傾き検出用光束を略平行光とする。
ホログラム素子113は、一例として図9に示されるように、ラジアル方向(第1軸方向)に対応する軸方向(以下、便宜上「ラジアル対応方向」ともいう)DirRに直交する格子方向の回折格子G1が形成されており、傾き検出用光束の光ディスク15からの戻り光束(以下、便宜上「戻りチルト光束」ともいう)をラジアル対応方向DirRに回折する。本明細書においては「回折方向」とは、回折光をホログラム素子の格子面上に写像した際の回折光の方向を意味している。
ホログラム素子114は、一例として図10に示されるように、タンジェンシャル方向(第2軸方向)に対応する軸方向(以下、便宜上「タンジェンシャル対応方向」ともいう)DirTに直交する格子方向の回折格子G2が形成されており、ホログラム素子113で回折された回折光及びホログラム素子113を透過した0次光をそれぞれタンジェンシャル対応方向DirTに回折する。
すなわち、ラジアル方向とタンジェンシャル方向とは互いに直交しているため、ホログラム素子113に形成されている回折格子の格子方向と、ホログラム素子114に形成されている回折格子の格子方向とは、互いに直交している。
ところで、小山次郎、西原浩著、「光波電子工学」(コロナ社、1993年7月15日、p.117−132)によると、ホログラムは、一例として図11に示されるように、次の(1)式で算出されるパラメータQの値(Q値)によって回折特性が異なっている。ここで、λは入射光の波長、Tは格子の溝深さ、nは屈折率、dは格子ピッチである。
Q=2πλT/(nd2) ……(1)
Q≦0.5のホログラムでは、光の入射角度に関係なく回折効率はほぼ一定であるが、Q≧2のホログラムでは、光の入射角度により回折効率は大きく変化し、特定の入射角θB(ブラッグ角)のときに回折効率が最大となる。このブラッグ角θBは次の(2)式から求めることができる。
θB=sin-1(λ/2d) ……(2)
なお、Q値が10を超えると、入射角が0°近傍での回折効率が低いため、本第1の実施形態では一例として、ホログラム素子113及びホログラム素子114では、それぞれ2≦Q<10となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどが設定されている。従って、ホログラム素子113に入射した光束は、ラジアル対応方向DirRに関する入射角(以下、便宜上「ラジアル入射角」ともいう)に応じた回折効率で回折され、ホログラム素子114に入射した光束は、タンジェンシャル対応方向DirTに関する入射角(以下、便宜上「タンジェンシャル入射角」ともいう)に応じた回折効率で回折されることとなる。
受光器PDは、一例として図12に示されるように、8つの受光素子(PD1,PD2,PD3,PD4,PD5,PD6,PD7,PD8)を有している。なお、8つの受光素子で囲まれた領域には半導体レーザLDが配置される。ここでは、一例として図13に示されるように、受光素子PD1はホログラム素子113からの+1次回折光で、かつホログラム素子114からの+1次回折光を受光する。受光素子PD2はホログラム素子113からの+1次回折光で、かつホログラム素子114からの0次光を受光する。受光素子PD3はホログラム素子113からの+1次回折光で、かつホログラム素子114からの−1次回折光を受光する。受光素子PD4はホログラム素子113からの0次光で、かつホログラム素子114からの+1次回折光を受光する。受光素子PD5はホログラム素子113からの0次光で、かつホログラム素子114からの−1次回折光を受光する。受光素子PD6はホログラム素子113からの−1次回折光で、かつホログラム素子114からの+1次回折光を受光する。受光素子PD7はホログラム素子113からの−1次回折光で、かつホログラム素子114からの0次光を受光する。受光素子PD8はホログラム素子113からの−1次回折光で、かつホログラム素子114からの−1次回折光を受光する。また、本第1の実施形態では、一例としてホログラム素子114からの各回折光は、カップリングレンズ111を介さずに各受光素子に入力される。
次に、前述のようにして構成されたチルトセンサ110の作用について簡単に説明する。なお、チルトセンサ110は、可動部が所定の基準姿勢(ラジアル方向及びタンジェンシャル方向に関する傾きがほぼ0)にあるときに、対物レンズ60の光軸に直交する仮想面が基準面となるように配置されている。
半導体レーザLDから+X方向に出射された傾き検出用光束は、カップリングレンズ111で略平行光となった後、ホログラム素子114に入射する。ホログラム素子114を透過した傾き検出用光束はホログラム素子113に入射する。ホログラム素子113を透過した傾き検出用光束は、反射ミラー83でその光路が+Z方向に曲げられ、貫通孔84を介して光ディスク15に照射される。
光ディスク15で反射された傾き検出用光束は、戻りチルト光束として貫通孔84を介して反射ミラー83に入射する。この戻りチルト光束は、反射ミラー83でその光路が−X方向に曲げられ、ホログラム素子113に入射する。戻りチルト光束はホログラム素子113にてラジアル入射角に応じた回折効率でラジアル対応方向DirRに回折される。ホログラム素子113からの回折光(ここでは±1次回折光)は、0次光とともにホログラム素子114に入射する。ホログラム素子113からの回折光及び0次光は、それぞれホログラム素子114にてタンジェンシャル入射角に応じた回折効率でタンジェンシャル対応方向DirTに回折される。ホログラム素子114からの回折光(ここでは±1次回折光)は、受光器PDでを構成する各受光素子で受光される。各受光素子は受光量に応じた電流信号をそれぞれ生成する。各電流信号はそれぞれ再生信号処理回路28に出力される。
前記再生信号処理回路28は、図14に示されるように、2つのI/Vアンプ(28a,28f)、サーボ信号検出回路28b、ウォブル信号検出回路28c、RF信号検出回路28d、デコーダ28e、及びチルト検出回路28gなどから構成されている。
I/Vアンプ28aは、受光器59の出力信号である電流信号を電圧信号に変換するとともに、所定のゲインで増幅する。サーボ信号検出回路28bは、I/Vアンプ28aからの電圧信号に基づいてサーボ信号(フォーカスエラー信号及びトラックエラー信号など)を検出する。ここで検出されたサーボ信号はサーボコントローラ33に出力される。ウォブル信号検出回路28cは、I/Vアンプ28aからの電圧信号に基づいてウォブル信号を検出する。RF信号検出回路28dは、I/Vアンプ28aからの電圧信号に基づいてRF信号を検出する。デコーダ28eは、ウォブル信号検出回路28cで検出されたウォブル信号からADIP(Address In Pregroove)情報及び同期信号などを抽出する。ここで抽出されたADIP情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。また、デコーダ28eは、RF信号検出回路28dで検出されたRF信号に対して復号処理及び誤り検出処理等を行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。
I/Vアンプ28fは、受光器PDの出力信号である電流信号を電圧信号に変換するとともに、所定のゲインで増幅する。
チルト検出回路28gは、I/Vアンプ28fからの電圧信号に基づいて、ラジアルチルトに関する情報、及びタンジェンシャルチルトに関する情報を検出する。ここで検出された各情報はサーボコントローラ33に出力される。ここでは、チルト検出回路28gは、一例として図15に示されるように、ラジアルチルト検出回路RT及びタンジェンシャルチルト検出回路TTを有している。
ラジアルチルト検出回路RTは、3つの加算器(R1,R2,R4)、減算器R3、及び除算器R5を備えている。
加算器R1は、I/Vアンプ28fの出力信号S1とS2とS3を加算した信号を生成する。ここで、信号S1は受光素子PD1の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号であり、信号S2は受光素子PD2の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号であり、信号S3は受光素子PD3の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号である。加算器R1の出力信号は、ホログラム素子113における+1次回折光の光強度に関する情報を含んでいる。
加算器R2は、I/Vアンプ28fの出力信号S6とS7とS8を加算した信号を生成する。ここで、信号S6は受光素子PD6の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号であり、信号S7は受光素子PD7の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号であり、信号S8は受光素子PD8の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号である。加算器R2の出力信号は、ホログラム素子113における−1次回折光の光強度に関する情報を含んでいる。
減算器R3は、加算器R1の出力信号から加算器R2の出力信号を減算した信号を生成する。減算器R3の出力信号は、ホログラム素子113における+1次回折光の光強度と−1次回折光の光強度との差に関する情報を含んでいる。
加算器R4は、加算器R1の出力信号と加算器R2の出力信号を加算した信号を生成する。加算器R4の出力信号は、ホログラム素子113における+1次回折光の光強度と−1次回折光の光強度との和に関する情報を含んでいる。
除算器R5は、減算器R3の出力信号を加算器R4の出力信号で除算した信号を生成する。ここで生成された信号Srtは、ラジアルチルトに関する情報を含み、サーボコントローラ33に出力される。この出力信号(以下「ラジアルチルト情報信号」ともいう)Srtは次の(3)式で示される。
Srt={(S1+S2+S3)-(S6+S7+S8)}/(S1+S2+S3+S6+S7+S8) ……(3)
ここでは、光ディスク15の記録面に垂直な軸方向とZ軸方向とがラジアル方向に関してほぼ一致するときに、ホログラム素子113に入射する戻りチルト光束のラジアル対応方向DirRに関する入射角が0°となるように設定されている。そこで、一例として図16に示されるように、ラジアル方向に関する光ディスク15の傾きがほぼ0°のときには、ホログラム素子113における+1次回折光の光強度と−1次回折光の光強度とがほぼ等しくなり、ラジアルチルト情報信号Srtはほぼ0レベルとなる。また、ラジアル方向に関する光ディスク15の傾きがθr(≠0°)のときには、その傾斜角θrに応じてホログラム素子113に入射する戻りチルト光束のラジアル入射角が変化し、+1次回折光の光強度と−1回折光の光強度とに差を生じる。ここでは、一例として図16に示されるように、θr>0°のときに+1次回折光の光強度が−1回折光の光強度よりも大きくなり、θr<0°のときに−1次回折光の光強度が+1回折光の光強度よりも大きくなるように設定されている。従って、+1次回折光の光強度と−1回折光の光強度との差信号には、ラジアルチルトに関する情報が含まれることとなる。また、+1次回折光の光強度と−1回折光の光強度との差信号を、+1次回折光の光強度と−1回折光の光強度の和信号で除算した信号をラジアルチルト情報信号Srtとしているため、光ディスク15の反射率が変動しても、安定したラジアルチルト情報信号Srtを生成することができる。
図15に戻り、タンジェンシャルチルト検出回路TTは、3つの加算器(T1,T2,T4)、減算器T3、及び除算器T5を備えている。
加算器T1は、I/Vアンプ28fの出力信号S1とS4とS6を加算した信号を生成する。ここで、信号S4は受光素子PD4の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号である。加算器T1の出力信号は、ホログラム素子114における+1次回折光の光強度に関する情報を含んでいる。
加算器T2は、I/Vアンプ28fの出力信号S3とS5とS8を加算した信号を生成する。ここで、信号S5は受光素子PD5の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号である。加算器T2の出力信号は、ホログラム素子114における−1次回折光の光強度に関する情報を含んでいる。
減算器T3は、加算器T1の出力信号から加算器T2の出力信号を減算した信号を生成する。減算器T3の出力信号は、ホログラム素子114における+1次回折光の光強度と−1次回折光の光強度との差に関する情報を含んでいる。
加算器T4は、加算器T1の出力信号と加算器T2の出力信号を加算した信号を生成する。加算器T4の出力信号は、ホログラム素子114における+1次回折光の光強度と−1次回折光の光強度との和に関する情報を含んでいる。
除算器T5は、減算器T3の出力信号を加算器T4の出力信号で除算した信号を生成する。ここで生成された信号Sttはタンジェンシャルチルトに関する情報を含み、サーボコントローラ33に出力される。この除算器T5の出力信号(以下「タンジェンシャルチルト情報信号」ともいう)Sttは次の(4)式で示される。
Stt={(S1+S4+S6)-(S3+S5+S8)}/(S1+S3+S4+S5+S6+S8) ……(4)
ここでは、光ディスク15の記録面に垂直な軸方向とZ軸方向とがタンジェンシャル方向に関してほぼ一致するときに、ホログラム素子114に入射する戻りチルト光束のタンジェンシャル入射角が0°となるように設定されている。そこで、一例として図17に示されるように、タンジェンシャル方向に関する光ディスク15の傾きがほぼ0°のときには、ホログラム素子114における+1次回折光の光強度と−1次回折光の光強度とがほぼ等しくなり、タンジェンシャルチルト情報信号Sttはほぼ0レベルとなる。また、タンジェンシャル方向に関する光ディスク15の傾きがθt(≠0°)のときには、その傾斜角θtに応じてホログラム素子114に入射する戻りチルト光束のタンジェンシャル入射角が変化し、+1次回折光の光強度と−1回折光の光強度とに差を生じる。ここでは、一例として図17に示されるように、θt>0°のときに+1次回折光の光強度が−1回折光の光強度よりも大きくなり、θt<0°のときに−1次回折光の光強度が+1回折光の光強度よりも大きくなるように設定されている。従って、+1次回折光の光強度と−1回折光の光強度との差には、タンジェンシャルチルトに関する情報が含まれることとなる。また、+1次回折光の光強度と−1回折光の光強度との差信号を、+1次回折光の光強度と−1回折光の光強度の和信号で除算した信号をタンジェンシャルチルト情報信号Sttとしているため、光ディスク15の反射率が変動しても、安定したタンジェンシャルチルト情報信号Sttを生成することができる。
図1に戻り、前記サーボコントローラ33は、再生信号処理回路28からの各信号に基づいて各種制御信号を生成する。ここでは、フォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号が生成され、トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号が生成される。また、ラジアルチルト情報信号Srtに基づいてラジアルチルトを補正するためのラジアルチルト制御信号が生成され、タンジェンシャルチルト情報信号Sttに基づいてタンジェンシャルチルトを補正するためのタンジェンシャルチルト制御信号が生成される。ここで生成された各制御信号は、それぞれモータドライバ27に出力される。なお、フォーカスエラー信号とフォーカス制御信号との関係、トラックエラー信号とトラッキング制御信号との関係、ラジアルチルト情報信号Srtとラジアルチルト制御信号との関係、及びタンジェンシャルチルト情報信号Sttとタンジェンシャルチルト制御信号との関係は、それぞれ予め実験などにより取得され、前記フラッシュメモリ39のデータ領域に格納されている。
前記モータドライバ27は、各制御信号に応じて駆動電流(又は駆動電圧)を出力する。ここでは、フォーカス制御信号に応じてフォーカス用コイルの駆動電流が光ピックアップ装置23に出力され、トラッキング制御信号に応じてトラッキング用コイルの駆動電流が光ピックアップ装置23に出力される。すなわち、サーボ信号検出回路28b、サーボコントローラ33及びモータドライバ27によってトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。また、ラジアルチルト制御信号に応じてラジアルチルト用コイルの駆動電流が光ピックアップ装置23に出力され、タンジェンシャルチルト制御信号に応じてタンジェンシャルチルト用コイルの駆動電流が光ピックアップ装置23に出力される。すなわち、チルト検出回路28g、サーボコントローラ33及びモータドライバ27によってラジアルチルト制御及びタンジェンシャルチルト制御が行われる。
さらに、モータドライバ27は、CPU40からの制御信号に基づいてスピンドルモータ22及びシークモータにそれぞれ駆動電流(又は駆動電圧)を出力する。
ここで、光ディスク装置20における対物レンズ60の位置及び姿勢の制御について説明する。
《フォーカス制御》
1.再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号をI/Vアンプ28aで電圧信号に変換した後、サーボ信号検出回路28bでフォーカスエラー信号を検出し、サーボコントローラ33に出力する。
2.サーボコントローラ33は、フォーカスエラー信号に基づいてフォーカス制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
3.モータドライバ27は、フォーカス制御信号に対応したフォーカス制御用の駆動電流を光ピックアップ装置23に出力する。
4.光ピックアップ装置23は、モータドライバ27からのフォーカス制御用の駆動電流を各基板の所定の入力端子及び所定の線ばねを介してフォーカス用コイルに供給する。これにより、駆動電流の大きさ及び電流の向きに応じた駆動力がZ軸方向に発生し、それによって可動部がZ軸方向に駆動される。その結果対物レンズ60がZ軸方向にシフトし、フォーカスずれが補正される。
《トラッキング制御》
1.再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号をI/Vアンプ28aで電圧信号に変換した後、サーボ信号検出回路28bでトラックエラー信号を検出し、サーボコントローラ33に出力する。
2.サーボコントローラ33は、トラックエラー信号に基づいてトラッキング制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
3.モータドライバ27は、トラッキング制御信号に対応したトラッキング制御用の駆動電流を光ピックアップ装置23に出力する。
4.光ピックアップ装置23は、モータドライバ27からのトラッキング制御用の駆動電流を各基板の所定の入力端子及び所定の線ばねを介してトラッキング用コイルに供給する。これにより、駆動電流の大きさ及び電流の向きに応じた駆動力がX軸方向に発生し、それによって可動部がX軸方向に駆動される。その結果対物レンズ60がX軸方向にシフトし、トラックずれが補正される。
《ラジアルチルト制御》
1.再生信号処理回路28は、チルトセンサ42の出力信号をI/Vアンプ28fで電圧信号に変換した後、ラジアルチルト検出回路RTでラジアルチルト情報信号Srtを生成し、サーボコントローラ33に出力する。
2.サーボコントローラ33は、ラジアルチルト情報信号Srtに基づいてラジアルチルト制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
3.モータドライバ27は、ラジアルチルト制御信号に対応したラジアルチルト制御用の駆動電流を光ピックアップ装置23に出力する。
4.光ピックアップ装置23は、モータドライバ27からのラジアルチルト制御用の駆動電流を各基板の所定の入力端子及び所定の線ばねを介してラジアルチルト用コイルに供給する。これにより、駆動電流の大きさ及び電流の向きに応じたY軸方向の回転軸まわりの回転トルクが発生し、可動部がY軸方向の回転軸まわりに回動する。その結果対物レンズ60がXZ面内で回動し、ラジアルチルトが補正される。
《タンジェンシャルチルト制御》
1.再生信号処理回路28は、チルトセンサ42の出力信号をI/Vアンプ28fで電圧信号に変換した後、タンジェンシャルチルト検出回路TTでタンジェンシャルチルト情報信号Sttを生成し、サーボコントローラ33に出力する。
2.サーボコントローラ33は、タンジェンシャルチルト情報信号Sttに基づいてタンジェンシャルチルト制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
3.モータドライバ27は、タンジェンシャルチルト制御信号に対応したタンジェンシャルチルト制御用の駆動電流を光ピックアップ装置23に出力する。
4.光ピックアップ装置23は、モータドライバ27からのタンジェンシャルチルト制御用の駆動電流を各基板の所定の入力端子及び所定の線ばねを介してタンジェンシャルチルト用コイルに供給する。これにより、駆動電流の大きさ及び電流の向きに応じたX軸方向の回転軸まわりの回転トルクが発生し、可動部がX軸方向の回転軸まわりに回動する。その結果対物レンズ60がYZ面内で回動し、タンジェンシャルチルトが補正される。
《記録処理》
次に、ホストからの記録要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(記録処理)について図18を用いて簡単に説明する。図18のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから記録要求コマンドを受信すると、図18のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
最初のステップ501では、記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、ホストから受信したデータ(記録用データ)のバッファRAM34への蓄積をバッファマネージャ37に指示する。
次のステップ503では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如くラジアルチルト制御、タンジェンシャルチルト制御、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、ラジアルチルト制御、タンジェンシャルチルト制御、トラッキング制御及びフォーカス制御は記録処理が終了するまで随時行われる。
次のステップ505では、記録速度に基づいてOPC(Optimum Power Control)を行い、最適な記録パワーを取得する。すなわち、記録パワーを段階的に変化させつつ、PCA(Power Calibration Area)と呼ばれる試し書き領域に所定のデータを試し書きした後、それらのデータを順次再生し、例えばRF信号から検出されたアシンメトリの値が予め実験等で求めた目標値とほぼ一致する場合を最も高い記録品質であると判断し、そのときの記録パワーを最適な記録パワーとする。
次のステップ507では、デコーダ28eからのADIP情報に基づいて現在のアドレスを取得する。
次のステップ509では、現在のアドレスと記録要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
次のステップ511では、アドレス差に基づいてシークが必要であるか否かを判断する。ここでは、前記シーク情報の一つとしてフラッシュメモリ39に格納されている閾値を参照し、アドレス差が閾値を越えていれば、ここでの判断は肯定され、ステップ513に移行する。
このステップ513では、アドレス差に応じたシークモータの制御信号をモータドライバ27に出力する。これにより、シークモータが駆動し、シーク動作が行なわれる。そして、前記ステップ507に戻る。
なお、前記ステップ511において、アドレス差が閾値を越えていなければ、ここでの判断は否定され、ステップ515に移行する。
このステップ515では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ517に移行する。
このステップ517では、ADIP情報に基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ515に戻る。
以下、前記ステップ515での判断が肯定されるまで、ステップ515→517の処理を繰り返し行う。
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ515での判断は肯定され、ステップ519に移行する。
このステップ519では、エンコーダ25に書き込みを許可する。これにより、記録用データは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に書き込まれる。記録用データがすべて書き込まれると、所定の終了処理を行った後、記録処理を終了する。
《再生処理》
さらに、ホストから再生要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(再生処理)について図19を用いて説明する。図19のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから再生要求コマンドを受信すると、図19のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、再生処理がスタートする。
最初のステップ701では、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
次のステップ703では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如くラジアルチルト制御、タンジェンシャルチルト制御、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、ラジアルチルト制御、タンジェンシャルチルト制御、トラッキング制御及びフォーカス制御は再生処理が終了するまで随時行われる。
次のステップ705では、デコーダ28eからのADIP情報に基づいて現在のアドレスを取得する。
次のステップ707では、現在のアドレスと再生要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
次のステップ709では、前記ステップ511と同様にして、シークが必要であるか否かを判断する。シークが必要であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ711に移行する。
このステップ711では、アドレス差に応じたシークモータの制御信号をモータドライバ27に出力する。そして、前記ステップ705に戻る。
一方、前記ステップ709において、シークが必要でなければ、ここでの判断は否定され、ステップ713に移行する。
このステップ713では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ715に移行する。
このステップ715では、ADIP情報に基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ713に戻る。
以下、前記ステップ713での判断が肯定されるまで、ステップ713→715の処理を繰り返し行う。
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ713での判断は肯定され、ステップ717に移行する。
このステップ717では、再生信号処理回路28に読み取りを指示する。これにより、再生信号処理回路28にて再生データが取得され、バッファRAM34に格納される。この再生データはセクタ単位でバッファマネージャ37及びインターフェース38を介してホストに転送される。そして、ホストから指定されたデータの再生がすべて終了すると、所定の終了処理を行った後、再生処理を終了する。
以上の説明から明らかなように、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20では、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって、処理装置が実現されている。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記第1の実施形態は一例に過ぎず、上記のCPU40によるプログラムに従う処理によって実現した処理装置の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
また、チルト検出回路28gとサーボコントローラ33とモータドライバ27とによって、補正手段が実現されている。
以上説明したように、本第1の実施形態に係るチルトセンサ110によると、半導体レーザLD(センサ用光源)から出射された光束は光ディスク15(対象物)で反射され、戻りチルト光束としてホログラム素子113(第1回折素子)及びホログラム素子114(第2回折素子)を介して受光器PD(光検出器)で受光される。光ディスク15が所定の基準面に対してラジアル方向(第1軸方向)に傾斜していると、その傾斜角に応じてホログラム素子113における+1次回折光の光強度及び−1次回折光の光強度がそれぞれ変化する。また、光ディスク15が所定の基準面に対してタンジェンシャル方向(第2軸方向)に傾斜していると、その傾斜角に応じてホログラム素子114における+1次回折光の光強度及び−1次回折光の光強度がそれぞれ変化する。そして、各回折光をそれぞれ個々の受光素子で受光しているため、各受光素子での受光光量にラジアル方向及びタンジェンシャル方向に関する光ディスク15の傾き情報が含まれることとなる。従って、ラジアル方向及びタンジェンシャル方向に関する光ディスク15の傾き情報を含む信号を精度良く出力することができる。
また、ホログラム素子113及びホログラム素子114では、2≦Q<10となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどがそれぞれ設定されているため、検出感度が向上するとともに、広い検出範囲を確保することが可能となる。
また、各回折光をそれぞれ個々の受光素子で受光しているため、分割受光素子を用いる前記従来例(特許文献1〜特許文献3参照)に比べて、各受光素子の位置に関する許容範囲を広くすることができる。これにより、製造時の歩留りが向上するとともに、組み付け作業及び調整作業を簡素化することが可能となり、チルトセンサの製造コストを低減することができる。また、戻りチルト光束における光強度分布が一様でなくても、光ディスク15のラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトの情報を含む信号を精度良く出力することができる。
また、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、チルトセンサ110を備えているため、光ディスク15のラジアルチルトに関する情報及びタンジェンシャルチルトに関する情報を含む信号を精度良く出力することができる。また、ラジアルチルト用コイル及びタンジェンシャルチルト用コイルを有しているため、対物レンズをラジアル方向及びタンジェンシャル方向に回動することが可能である。従って、結果として対物レンズの位置制御に必要な情報を含む信号を精度良く出力することが可能となる。
また、対物レンズ60の近傍から傾き検出用光束が光ディスク15に照射されるため、対物レンズによって形成される光スポット位置の近傍でのラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトの情報を含む信号がチルトセンサ110から出力される。従って、結果としてラジアルチルト制御及びタンジェンシャルチルト制御を精度良く行なうことが可能となる。
また、チルトセンサ110の配置位置に関する制限が従来よりも少ないため、光ピックアップ装置の設計の自由度を向上させることができる。従って、光ピックアップ装置の小型化を促進することが可能となる。
また、チルトセンサ110の位置に関する許容範囲が従来よりも広いため、組み付け作業及び調整作業を簡素化することが可能となり、光ピックアップ装置の製造コストを低減することができる。
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20によると、データの記録及び再生に先だってメディアチルトに起因する波面収差が精度良く補正されるため、形状品質に優れた光スポットを記録面の所定位置に形成することが可能となる。従って、結果として光ディスクに対する記録及び再生を含むアクセスを精度良く安定して行うことができる。
また、各受光素子の出力信号に含まれるオフセット成分が極めて少ないため、各受光素子の出力信号からラジアルチルトチルト制御信号及びタンジェンシャルチルトチルト制御信号を求めるための回路あるいは処理を簡素化することができる。
また、メディアチルトがほぼリアルタイムで補正されるため、記録速度が高速化しても記録品質の低下を抑制することができる。
また、いわゆるノート型パソコン等の持ち運び可能な情報機器に内蔵され、振動や温度変化などによりメディアチルトが生じ易い環境下で使用されても、安定した記録及び再生が可能となる。
なお、上記第1の実施形態のチルトセンサ110において、半導体レーザLDから出射される光束と戻りチルト光束とが、互いに偏光方向が異なる場合には、前記ホログラム素子113及び前記ホログラム素子114の少なくとも一方が、入射光束の偏光方向によって回折効率が異なる偏光性を有しても良い。例えば半導体レーザLDから出射される光束がP偏光であり、戻りチルト光束がS偏光の場合に、前記ホログラム素子113及び前記ホログラム素子114の少なくとも一方が、P偏光に対しては透過率が高く(例えば透過率95%)、S偏光に対しては回折効率が高い(例えば回折効率40%)、偏光性を有することにより、半導体レーザLDから出射された光束の光量ロスが減少し、光利用効率を向上させることができる。また、戻りチルト光束の回折光の光量が増加するため、検出感度を向上させることができる。従って、反射率の低い光ディスクであっても傾き情報の検出が可能となる。さらに、各受光素子を半導体レーザLDに近接して配置することが可能となり、小型化を促進することができる。なお、この場合には、戻りチルト光束をS偏光とするために、例えば図20に示されるように、前記ホログラム素子113と光ディスク15との間の光路上に1/4波長板55が配置されることとなる。図20では、1/4波長板55は貫通孔84の反射ミラー83側の端部に配置されているが、これに限定されるものではない。
また、上記第1の実施形態において、ホログラム素子113での戻りチルト光束の入射位置のシフト量が大きい場合には、例えば図21に示されるように、前記カップリングレンズ111に代えて、前記カップリングレンズ111よりも大きいカップリングレンズ111aを配置し、ホログラム素子114からの回折光がカップリングレンズ111aに入力されるようにしても良い。例えば、光ディスクとホログラム素子113との間の光路長が30mmのときにメディアチルトθが−1°〜+1°まで変化すると、ホログラム素子113における戻りチルト光束の入射位置は−523μm〜+523μmまでシフトする。回折光がそのまま受光素子で受光されると、受光素子における回折光の受光位置も−523μm〜+523μmまでシフトする。すなわち、回折方向に関する受光素子の幅として1mm以上が必要となる。また、回折光のビーム径が1mmであれば受光素子は2mm以上の幅が必要となる。そこで、回折光がカップリングレンズ111aで集光されるようにすることにより、メディアチルトによる受光位置のシフトはほぼ0となり、カップリングレンズ111aの焦点距離をfとするとftanθのみが受光位置のシフト量となるため、受光素子の幅を小さくすることができるとともに、光ディスク15とチルトセンサ110間の距離に関する制約がなくなる。また、ホログラム素子114からの回折光は集光されるため、回折光のビーム径が小さくなり、各受光素子の受光面積を小さくすることができる。従って、チルトセンサの小型化及び高速応答性を促進することが可能となる。この場合に、一例として図22に示されるカップリングレンズ111bのように、ホログラム素子114に近い位置に配置することにより、各ホログラム素子のQ値を小さくすることなく、すなわち回折角を小さくすることなく、カップリングレンズの大きさを小さくすることが可能である。すなわち、高い検出感度を維持しつつ、小型化を促進することができる。また、一例として図23に示されるカップリングレンズ111cのように、ホログラム素子114と一体化しても良い。カップリングレンズ111a,111b,111cは、それぞれ集光レンズとしての役割も有することとなる。
また、上記第1の実施形態において、ホログラム素子114とカップリングレンズ111との間の光路上に、一例として図24に示されるように、ホログラム素子114からの回折光を半導体レーザLD側に偏向する偏向光学素子としての偏向回折素子118を配置しても良い。これにより各受光素子の配置位置を半導体レーザLDに近づけることができ、チルトセンサの小型化を更に促進することができる。なお、偏向回折素子には、回折効率の入射角依存性は不要であり、比較的ピッチの大きい安価な回折素子を用いることができる。
また、上記第1の実施形態では、前記半導体レーザLDと前記受光器PDとが、同一の筐体PK内に収納され、パッケージ化されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図25に示されるように、半導体レーザLDと受光器PDがそれぞれ個別に配置されても良い。この図25に示されるチルトセンサ110では、半導体レーザLDは最大強度出射方向が−Z方向となるように配置されている。また、前記カップリングレンズ111は半導体レーザLDの−Z側に配置されている。この場合には、カップリングレンズ111で略平行光とされた傾き検出用光束の光路を+X方向に曲げるためのビームスプリッタ115がカップリングレンズ111の−Z側に配置されている。そして、このビームスプリッタ115の−X側に、前記ホログラム素子113、前記ホログラム素子114、及び前記受光器PDが順に配置されている。ここでは、半導体レーザLDから出射された傾き検出用光束はカップリングレンズ111で略平行光とされた後、ビームスプリッタ115に入射する。ビームスプリッタ115で光路が+X方向に曲げられた傾き検出用光束は、前記反射ミラー83を介して光ディスク15に照射される。光ディスク15で反射された傾き検出用光束は、戻りチルト光束として反射ミラー83を介してビームスプリッタ115に入射する。そして、ビームスプリッタ115を透過した戻りチルト光束が、ホログラム素子113に入射する。
この場合に、一例として図26に示されるように、前記ホログラム素子114と前記受光器PDとの間の光路上に、前記ホログラム素子114からの回折光を集光する集光レンズ116を設けても良い。これにより各受光素子を小さくすることができ、チルトセンサの小型化を更に促進することができる。さらに、前記ホログラム素子114と集光レンズ116とを一体化させても良い。また、一例として図27に示されるように、前記ホログラム素子114と受光器PDとの間の光路上に、前述した偏向回折素子118を配置しても良い。
また、上記第1の実施形態では、前記ホログラム素子113と前記ホログラム素子114とが積層されている場合について説明したが、これに限らず、例えば前記ホログラム素子113と前記ホログラム素子114とが離れていても良い。
また、上記第1の実施形態において、前記ホログラム素子113及び前記ホログラム素子114での0次光の光強度が回折光の光強度に比べて小さい場合には、前記受光素子PD2、PD4、PD5及びPD7での受光量をそれぞれ無視しても良い。すなわち、図28に示されるように、前記チルト検出回路28gにおいて、前記加算器R1に代えて信号S1と信号S3の加算信号を生成する加算器R1'を、前記加算器R2に代えて信号S6と信号S8の加算信号を生成する加算器R2'を用いても良い。また、前記加算器T1に代えて信号S1と信号S6の加算信号を生成する加算器T1'を、前記加算器T2に代えて信号S3と信号S8の加算信号を生成する加算器T2'を用いても良い。そこで、この場合には、受光素子PD2、PD4、PD5及びPD7はなくても良い。
また、上記第1の実施形態では、ラジアルチルト検出用に前記ホログラム素子113が設けられ、タンジェンシャルチルト検出用に前記ホログラム素子114が設けられる場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば図29及び図30に示されるように、ラジアル対応方向DirRに直交する格子方向の回折格子(第1回折格子)G1と、タンジェンシャル対応方向DirTに直交する格子方向の回折格子(第2回折格子)G2とが同一面に形成された回折素子としてのホログラム素子117を前記ホログラム素子113及び前記ホログラム素子114に代えて用いても良い。この場合に、ホログラム素子117に入射した戻りチルト光束は、回折格子G1によってラジアル対応方向DirRに回折され、回折格子G2によってタンジェンシャル対応方向DirTに回折される。これによって、チルトセンサの小型化を更に促進することが可能となる。また、格子の形成工程が1回で済むため、製造コストを低減することができる。さらに、部品点数が減少するため、組み付け作業及び調整作業の作業時間を短縮することができる。また、半導体レーザLDから出射される光束と戻りチルト光束とが、互いに偏光方向が異なる場合には、ホログラム素子117は、入射光束の偏光方向によって回折効率が異なる偏光性を有しても良い。
この場合には、受光器PDは、一例として図31に示されるように、ラジアル対応方向DirRに回折された+1次回折光を受光する受光素子PDa、ラジアル対応方向DirRに回折された−1次回折光を受光する受光素子PDb、タンジェンシャル対応方向DirTに回折された+1次回折光を受光する受光素子PDc、及びタンジェンシャル対応方向DirTに回折された−1次回折光を受光する受光素子PDdとを備えることとなる。
そして、これに対応して図32に示されるように、前記チルト検出回路28gのラジアルチルト検出回路RTは、信号Saと信号Sbとの差信号を生成する減算器Ra、信号Saと信号Sbとの和信号を生成する加算器Rb、及び減算器Raの出力信号を加算器Rbの出力信号で除算した信号を生成する除算器Rcを備えることとなる。ここで、信号Saは受光素子PDaの出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号であり、信号Sbは受光素子PDbの出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号である。また、前記チルト検出回路28gのタンジェンシャルチルト検出回路TTは、信号Scと信号Sdとの差信号を生成する減算器Ta、信号Scと信号Sdとの和信号を生成する加算器Tb、及び減算器Taの出力信号を加算器Tbの出力信号で除算した信号を生成する除算器Tcを備えることとなる。ここで、信号Scは受光素子PDcの出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号であり、信号Sdは受光素子PDdの出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号である。
また、上記第1の実施形態において、前記加算器R2及び前記加算器T2の出力信号の信号レベルがそれぞれほぼ一定となるように、半導体レーザLDの駆動信号を制御するLD制御回路を前記サーボコントローラ33に備えても良い。これにより、光ディスク15の反射率が変動しても、チルトセンサ110の出力信号におけるレベル変動を抑えることができる。
また、上記第1の実施形態では、前記ホログラム素子113では、ラジアル対応方向DirRに直交する格子方向の回折格子が形成され、ホログラム素子114では、タンジェンシャル対応方向DirTに直交する格子方向の回折格子が形成されている場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。要するに、互いに異なる方向に格子が形成されていれば良い。演算処理によりラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトをそれぞれ求めることができる。また、ラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトから任意の方向に関するメディアチルトを求めることも可能である。
また、上記第1の実施形態では、光学回折手段としてホログラム素子を用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図33〜図38に基づいて説明する。本第2の実施形態は、前述したチルトセンサ110の代わりに、一例として図33に示されるように、第1対象物としての光ディスク15の傾き情報と、第2対象物としての対物レンズ60の傾き情報とを個別に検出することができるチルトセンサ120を用いる点に特徴を有する。そして、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
ここでは、例えば図34に示されるように、前記レンズホルダ81に形成されている貫通孔84の光ディスク15側の端部に分割光学素子としての1/4波長板55aが配置されている。この1/4波長板55aの前記反射ミラー83側の面は、反射ミラー83からの傾き検出用光束の一部を反射する反射膜が形成されている。
上記チルトセンサ120は、前記チルトセンサ110と同様にハウジング71上に配置され、センサ用光源としての半導体レーザLD、光学素子としてのカップリングレンズ111、複数の受光素子からなる光検出器としての受光器PD、第1光束用回折手段としてのホログラム素子121、及び第2光束用回折手段としてのホログラム素子123を有している。ここでは、ホログラム素子121とホログラム素子123は積層されている。また、一例として半導体レーザLDから出射される光束はP偏光であるものとする。
ホログラム素子121は、P偏光に対して高い回折効率を有し、S偏光に対して高い透過率を有している。そして、ホログラム素子121には、ラジアル対応方向DirRに直交する格子方向の回折格子(第1光束用第1回折格子)と、タンジェンシャル対応方向DirTに直交する格子方向の回折格子(第1光束用第2回折格子)とが同一面に形成されている。なお、各回折格子は2≦Q<10となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどがそれぞれ設定されている。従って、ホログラム素子121に入射したP偏光の光束は、ラジアル入射角に応じた回折効率でラジアル対応方向DirRに回折され、タンジェンシャル入射角に応じた回折効率でタンジェンシャル対応方向DirTに回折されることとなる。また、ホログラム素子121に入射したS偏光の光束は、その殆どがそのまま透過する。
ホログラム素子123は、S偏光に対して高い回折効率を有し、P偏光に対して高い透過率を有している。そして、ホログラム素子123には、ラジアル対応方向DirRに直交する格子方向の回折格子(第2光束用第1回折格子)と、タンジェンシャル対応方向DirTに直交する格子方向の回折格子(第2光束用第2回折格子)とが同一面に形成されている。なお、各回折格子は2≦Q<10となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどがそれぞれ設定されている。従って、ホログラム素子123に入射したS偏光の光束は、ラジアル入射角に応じた回折効率でラジアル対応方向DirRに回折され、タンジェンシャル入射角に応じた回折効率でタンジェンシャル対応方向DirTに回折されることとなる。また、ホログラム素子123に入射したP偏光の光束は、その殆どがそのまま透過する。
受光器PDは、一例として図35に示されるように、8つの受光素子(PDa1,PDb1,PDc1,PDd1,PDa2,PDb2,PDc2,PDd2)を有している。ここでは、一例として、受光素子PDa1はホログラム素子121でラジアル対応方向DirRに回折された+1次回折光を受光する。受光素子PDb1はホログラム素子121でラジアル対応方向DirRに回折された−1次回折光を受光する。受光素子PDc1はホログラム素子121でタンジェンシャル対応方向DirTに回折された+1次回折光を受光する。受光素子PDd1はホログラム素子121でタンジェンシャル対応方向DirTに回折された−1次回折光を受光する。受光素子PDa2はホログラム素子123でラジアル対応方向DirRに回折された+1次回折光を受光する。受光素子PDb2はホログラム素子123でラジアル対応方向DirRに回折された−1次回折光を受光する。受光素子PDc2はホログラム素子123でタンジェンシャル対応方向DirTに回折された+1次回折光を受光する。受光素子PDd2はホログラム素子123でタンジェンシャル対応方向DirTに回折された−1次回折光を受光する。
ここで、前述のようにして構成されたチルトセンサ120の作用について簡単に説明する。
半導体レーザLDから−Z方向に出射された傾き検出用光束は、カップリングレンズ111で略平行光となった後、ビームスプリッタ115に入射する。ビームスプリッタ115でその光路が+X方向に曲げられた光束は反射ミラー83でその光路が+Z方向に曲げられ、貫通孔84を介して前記1/4波長板55aに入射する。
1/4波長板55aの反射膜で反射された傾き検出用光束(第1光束:以下、便宜上「レンズ戻り光束」ともいう)は、反射ミラー83を介してビームスプリッタ115に入射する。ビームスプリッタ115を透過したレンズ戻り光束はホログラム素子121に入射する。レンズ戻り光束はP偏光であるため、ホログラム素子121にて、ラジアル入射角に応じた回折効率でラジアル対応方向DirRに回折され、かつタンジェンシャル入射角に応じた回折効率でタンジェンシャル対応方向DirTに回折される。ホログラム素子121からの回折光は、P偏光であるため、ホログラム素子123をそのまま透過し、受光素子PDa1、PDb1、PDc1、PDd1で受光される。各受光素子は受光量に応じた電流信号をそれぞれ生成する。各電流信号はそれぞれ再生信号処理回路28に出力される。
一方、1/4波長板55aの反射膜を透過した傾き検出用光束は、円偏光となり、光ディスク15に照射される。光ディスク15で反射された傾き検出用光束(第2光束:以下、便宜上「ディスク戻り光束」ともいう)は、1/4波長板55aでS偏光となり、反射ミラー83を介してビームスプリッタ115に入射する。ビームスプリッタ115を透過したディスク戻り光束はホログラム素子121に入射する。ディスク戻り光束はS偏光であるため、その大部分はホログラム素子121を透過し、ホログラム素子123に入射する。ディスク戻り光束はS偏光であるため、ホログラム素子123にて、ラジアル入射角に応じた回折効率でラジアル対応方向DirRに回折され、かつタンジェンシャル入射角に応じた回折効率でタンジェンシャル対応方向DirTに回折される。ホログラム素子123からの回折光は、受光素子PDa2、PDb2、PDc2、PDd2で受光される。各受光素子は受光量に応じた電流信号をそれぞれ生成する。各電流信号はそれぞれ再生信号処理回路28に出力される。
本第2の実施形態における再生信号処理回路28では、図36に示されるように、前記第1の実施形態における前記チルト検出回路28gに代えてレンズチルト検出回路28h、及びディスクチルト検出回路28iが用いられる。
レンズチルト検出回路28hは、一例として図37に示されるように、ラジアルチルト検出回路RT1とタンジェンシャルチルト検出回路TT1とを有している。このラジアルチルト検出回路RT1は、信号Sa1と信号Sb1との差信号を生成する減算器Ra1、信号Sa1と信号Sb1との和信号を生成する加算器Rb1、及び減算器Ra1の出力信号を加算器Rb1の出力信号で除算した信号を生成する除算器Rc1を備えている。ここで、信号Sa1は前記受光素子PDa1の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号であり、信号Sb1は受光素子PDb1の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号である。除算器Rc1で生成された信号Srt1は対物レンズ60のラジアル方向の傾きに関する情報を含み、サーボコントローラ33に出力される。
また、タンジェンシャルチルト検出回路TT1は、信号Sc1と信号Sd1との差信号を生成する減算器Ta1、信号Sc1と信号Sd1との和信号を生成する加算器Tb1、及び減算器Ta1の出力信号を加算器Tb1の出力信号で除算した信号を生成する除算器Tc1を備えることとなる。ここで、信号Sc1は受光素子PDc1の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号であり、信号Sd1は受光素子PDd1の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号である。除算器Tc1で生成された信号Stt1は対物レンズ60のタンジェンシャル方向の傾きに関する情報を含み、サーボコントローラ33に出力される。
ディスクチルト検出回路28iは、一例として図38に示されるように、ラジアルチルト検出回路RT2とタンジェンシャルチルト検出回路TT2とを有している。このラジアルチルト検出回路RT2は、信号Sa2と信号Sb2との差信号を生成する減算器Ra2、信号Sa2と信号Sb2との和信号を生成する加算器Rb2、及び減算器Ra2の出力信号を加算器Rb2の出力信号で除算した信号を生成する除算器Rc2を備えている。ここで、信号Sa2は前記受光素子PDa2の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号であり、信号Sb2は受光素子PDb2の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号である。除算器Rc2で生成された信号Srt2は光ディスク15のラジアルチルト情報を含み、ラジアルチルト情報信号としてサーボコントローラ33に出力される。
また、タンジェンシャルチルト検出回路TT2は、信号Sc2と信号Sd2との差信号を生成する減算器Ta2、信号Sc2と信号Sd2との和信号を生成する加算器Tb2、及び減算器Ta2の出力信号を加算器Tb2の出力信号で除算した信号を生成する除算器Tc2を備えることとなる。ここで、信号Sc2は受光素子PDc2の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号であり、信号Sd2は受光素子PDd2の出力信号に対応するI/Vアンプ28fの出力信号である。除算器Tc2で生成された信号Stt2は光ディスク15のタンジェンシャルチルト情報を含み、タンジェンシャルチルト情報信号としてサーボコントローラ33に出力される。
サーボコントローラ33は、前記第1の実施形態と同様にしてフォーカス制御信号及びトラッキング制御信号を生成する。また、サーボコントローラ33は、ラジアルチルト情報信号Srt2に基づいてラジアルチルトを補正するためのラジアルチルト制御信号を生成し、タンジェンシャルチルト情報信号Stt2に基づいてタンジェンシャルチルトを補正するためのタンジェンシャルチルト制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号は、それぞれモータドライバ27に出力される。なお、ラジアルチルト情報信号Srt2とラジアルチルト制御信号との関係、及びタンジェンシャルチルト情報信号Stt2とタンジェンシャルチルト制御信号との関係は、それぞれ実験などにより予め取得され、前記フラッシュメモリ39のデータ領域に格納されている。
また、サーボコントローラ33は、信号Srt1に基づいてラジアルチルトが補正されたか否かをチェックし、補正が不十分であれば、ラジアルチルト制御信号を補正する。同様に、サーボコントローラ33は、信号Stt1に基づいてタンジェンシャルチルトが補正されたか否かをチェックし、補正が不十分であれば、タンジェンシャルチルト制御信号を補正する。なお、信号Srt1と対物レンズ60のラジアル方向の傾斜角との関係、及び信号Stt1と対物レンズ60のタンジェンシャル方向の傾斜角との関係は、それぞれ予め実験などにより取得され、前記フラッシュメモリ39のデータ領域に格納されている。
その他の光ピックアップ装置及び光ディスク装置の構成などは、前述した第1の実施形態とほぼ同様である。
以上の説明から明らかなように、本第2の実施形態に係る光ディスク装置では、第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様に、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されている。そして、第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様にして記録及び再生処理を行うことができる。
また、本第2の実施形態では、レンズチルト検出回路28hとディスクチルト検出回路28iとサーボコントローラ33とモータドライバ27とによって、補正手段が実現されている。
以上説明したように、本第2の実施形態に係るチルトセンサ120によると、半導体レーザLDから出射された光束の一部は可動部と連動する1/4波長板(分割光学素子)55aの表面で反射し、残りは光ディスク(第2対象物)15で反射する。ホログラム素子121では、光ディスク15で反射した光束(第2光束)がラジアル入射角に応じた回折効率でラジアル対応方向DirRに回折され、タンジェンシャル入射角に応じた回折効率でタンジェンシャル対応方向DirTに回折される。そして、各回折光は、受光素子LDa2、LDb2、LDc2及びLDd2でそれぞれ受光される。そこで、光ディスク15が所定の基準面に対してラジアル方向に傾斜すると、その傾斜角に応じて受光素子LDa2及びLDb2での受光光量がそれぞれ変化する。また、光ディスク15が所定の基準面に対してタンジェンシャル方向に傾斜すると、その傾斜角に応じて受光素子LDc2及びLDd2での受光光量がそれぞれ変化する。すなわち、受光素子LDa2、LDb2、LDc2及びLDd2での受光光量そのものが、ラジアル方向及びタンジェンシャル方向における光ディスク15の傾きに関する情報を含んでいるために、前記第1の実施形態におけるチルトセンサ110と同様な効果を得ることができる。
また、ホログラム素子121では、1/4波長板55aの表面で反射した光束(第1光束)が、ラジアル入射角に応じた回折効率でラジアル対応方向DirRに回折され、タンジェンシャル入射角に応じた回折効率でタンジェンシャル対応方向DirTに回折される。そして、各回折光は、それぞれ受光素子LDa1、LDb1、LDc1及びLDd1で受光される。そこで、可動部が所定の基準面に対してラジアル方向に傾斜すると、その傾斜角に応じて受光素子LDa1及びLDb1での受光光量がそれぞれ変化する。また、可動部が所定の基準面に対してタンジェンシャル方向に傾斜すると、その傾斜角に応じて受光素子LDc1及びLDd1での受光光量がそれぞれ変化する。すなわち、受光素子LDa1、LDb1、LDc1及びLDd1での受光光量そのものが、ラジアル方向及びタンジェンシャル方向における対物レンズ(第1対象物)60の傾きに関する情報を含んでいる。従って、ラジアル方向及びタンジェンシャル方向における対物レンズ60の傾きに関する情報を含む信号を精度良く出力することができる。
すなわち、本第2の実施形態に係るチルトセンサ120によると、2つの対象物について、それぞれ2方向における傾きに関する情報を含む信号を精度良く出力することができる。
また、本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、チルトセンサ120を備えているため、光ディスク15のラジアルチルト情報及びタンジェンシャルチルト情報を含む信号を精度良く出力することができる。従って、前記第1の実施形態における光ピックアップ装置23と同様な効果を得ることができる。
また、対物レンズ60のラジアル方向における傾きに関する情報及びタンジェンシャルチルト方向における傾きに関する情報を含む信号も精度良く出力することができるため、ラジアルチルト制御及びタンジェンシャルチルト制御において、精度の良い閉ループ制御が可能となる。
また、本第2の実施形態に係る光ディスク装置20によると、データの記録及び再生に先だってメディアチルトに起因する波面収差が精度良く補正されるため、前記第1の実施形態における光ディスク装置20と同様な効果を得ることができる。
また、対物レンズ60のラジアル方向における傾きに関する情報及びタンジェンシャルチルト方向における傾きに関する情報を含む信号に基づいて、ラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトが補正されたか否かをチェックし、ラジアルチルトの補正が不十分であれば、ラジアルチルト制御信号を補正し、タンジェンシャルチルトの補正が不十分であれば、タンジェンシャルチルト制御信号を補正している。これにより、例えば温度変化や経年変化などにより、ラジアルチルト情報信号Srt2とラジアルチルト制御信号との関係、及びタンジェンシャルチルト情報信号Stt2とタンジェンシャルチルト制御信号との関係が変化しても、ラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトを精度良く補正することが可能となる。
なお、上記第2の実施形態では、第1光束用回折手段として、ラジアル対応方向DirRに直交する格子方向の回折格子と、タンジェンシャル対応方向DirTに直交する格子方向の回折格子とが同一面に形成されたホログラム素子121を用いる場合について説明したが、これに限らず、例えばラジアル対応方向DirRに直交する格子方向の回折格子が形成されたホログラム素子(第1光束用第1回折素子)と、タンジェンシャル対応方向DirTに直交する格子方向の回折格子が形成されたホログラム素子(第1光束用第2回折素子)とを積層しても良い。
また、上記第2の実施形態では、第2光束用回折手段として、ラジアル対応方向DirRに直交する格子方向の回折格子と、タンジェンシャル対応方向DirTに直交する格子方向の回折格子とが同一面に形成されたホログラム素子123を用いる場合について説明したが、これに限らず、例えばラジアル対応方向DirRに直交する格子方向の回折格子が形成されたホログラム素子(第2光束用第1回折素子)と、タンジェンシャル対応方向DirTに直交する格子方向の回折格子が形成されたホログラム素子(第2光束用第2回折素子)とを積層しても良い。
また、上記第2の実施形態では、ホログラム素子121とホログラム素子123とが積層されている場合について説明したが、これに限らず、ホログラム素子121とホログラム素子123とが離れて配置されても良い。
また、上記第2の実施形態において、受光器LDとホログラム素子123との間に集光レンズを配置しても良い。これにより、受光素子を小さくすることができ、結果としてチルトセンサの小型化を促進することができる。
また、上記第2の実施形態において、受光器LDとホログラム素子123との間に偏向光学素子としての偏向回折素子を配置しても良い。これにより、チルトセンサの小型化を促進することができる。
また、上記第2の実施形態において、加算器Rb1、加算器Tb1、加算器Rb2及び加算器Tb2のうちの少なくとも1つの出力信号の信号レベルがほぼ一定となるように、半導体レーザLDの駆動信号を制御するLD制御回路を前記サーボコントローラ33に備えても良い。これにより、光ディスク15の反射率が変動しても、チルトセンサ120の出力信号におけるレベル変動を抑えることができる。
また、上記第2の実施形態において、一例として図39に示されるように、半導体レーザLDに代えて発光ダイオードLEDを用いても良い。但し、この場合には、カップリングレンズ111とビームスプリッタ115との間の光路上に、P偏光のみを透過する偏光フィルタ125が配置される。
また、上記第2の実施形態では、第1光束用回折手段及び第2光束用回折手段として、それぞれホログラム素子を用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
また、上記第2の実施形態では、分割光学素子として、反射膜が形成された1/4波長板55aを用いる場合について説明したが、これに限らず、反射膜と同様な光学特性を有するハーフミラーなどを1/4波長板55とは個別に配置しても良い。
なお、上記各実施形態では、ラジアルチルトを補正する手段としてラジアルチルトコイルを用いる場合について説明したが、これに限らず、例えば電気光学効果を示す電気光学結晶や液晶などを含み、光束に光学的位相差を付与する光学素子を前記光源ユニット51と対物レンズとの間の光路上に配置して、ラジアルチルトに起因する波面収差を相殺しても良い。この場合には、前記モータドライバ27は、ラジアルチルト制御信号に応じて前記光学的位相差を付与する光学素子に駆動電圧を印加することとなる。
また、上記各実施形態では、タンジェンシャルチルトを補正する手段としてタンジェンシャルコイルを用いる場合について説明したが、これに限らず、例えば電気光学効果を示す電気光学結晶や液晶などを含み光束に光学的位相差を付与する光学素子を前記光源ユニット51と対物レンズとの間の光路上に配置して、タンジェンシャルチルトに起因する波面収差を相殺しても良い。この場合には、前記モータドライバ27は、タンジェンシャルチルト制御信号に応じて前記光学的位相差を付与する光学素子に駆動電圧を印加することとなる。
また、上記各実施形態では、レンズホルダ81がレンズホルダ81から+Y側に延びる線ばねと、レンズホルダ81から−Y側に延びる線ばねとから支持される場合について説明したが、これに限らず、いずれか一方に延びる線ばねから支持されていても良い。
また、上記各実施形態では、各回折格子は2≦Q<10となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどがそれぞれ設定されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば入射角がブラッグ角を基準として変動するように設定されている場合にはQ値が10よりもある程度大きくても良い。
また、上記各実施形態では、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち、少なくとも情報の再生が可能な光ディスク装置であれば良い。
また、上記各実施形態では、光ディスク15が660nmの波長のレーザ光に対応する情報記録媒体である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば約405nmの波長のレーザ光又は約780nmの波長のレーザ光に対応する情報記録媒体であっても良い。
また、上記各実施形態では、光ピックアップ装置が信号用光源として1つの半導体レーザを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば互いに異なる波長の光束を発光する複数の半導体レーザを備えていても良い。この場合に、例えば波長が約405nmの光束を発光する半導体レーザ、波長が約660nmの光束を発光する半導体レーザ及び波長が約780nmの光束を発光する半導体レーザの少なくとも1つを含んでいても良い。すなわち、光ディスク装置が互いに異なる規格に準拠した複数種類の光ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。
また、上記各実施形態では、インターフェースがATAPIの規格に準拠する場合について説明したが、これに限らず、例えばATA(AT Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、USB(Universal Serial Bus)1.0、USB2.0、IEEE1394、IEEE802.3、シリアルATA及びシリアルATAPIのうちのいずれかの規格に準拠しても良い。
また、本発明の傾きセンサは、光ディスクの傾き検出以外にも用いることができる。例えばジョイスティックのように傾きが大きく変化する場合には、傾きセンサにおける各回折格子のQ値を小さくすることにより、広い角度範囲で傾きを検出することができる。また、例えばステッパにおけるウエハのように高い検出精度を必要とする場合には、傾きセンサにおける各回折格子のQ値を大きくすることにより、検出感度が高くなり、微少な角度変化を検出することができる。
15…光ディスク(対象物、第2対象物)、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、27…モータドライバ(補正手段の一部)、28g…チルト検出回路(補正手段の一部)、28h…レンズチルト検出回路(補正手段の一部)、28i…ディスクチルト検出回路(補正手段の一部)、33…サーボコントローラ(補正手段の一部)、40…CPU(処理装置)、51a…半導体レーザ(レーザ光源)、54…ビームスプリッタ(分割光学素子)、55a…1/4波長板(分割光学素子)、59…受光器(信号光検出器)、60…対物レンズ(第1対象物)、110…チルトセンサ(傾きセンサ)、111,111a,111b,111c…カップリングレンズ(光学素子、集光レンズ)、113…ホログラム素子(第1回折素子)、114…ホログラム素子(第2回折素子)、116…集光レンズ、117…ホログラム素子(光学回折手段)、118…偏向回折素子(偏向光学素子)、121…ホログラム素子(第1光束用回折手段)、123…ホログラム素子(第2光束用回折手段)、G1…第1回折格子、G2…第2回折格子、LD…半導体レーザ(センサ用光源)、PD…(光検出器)PK…筐体。