JP2005061544A - 断熱材料および断熱シート - Google Patents
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Abstract
【課題】 極微細空隙による高度の断熱性を有する材料を提供することにある。更には、透明な断熱材料、あるいは薄い断熱シートを提供することにある。
【解決手段】 分子内に空孔を有し、その空孔の最小空孔径が100nm以下であるカーボン系のナノ材料とポリマーとから構成され、熱伝導率が0.2W/m・K以下である断熱材料。カーボン系ナノ材料はフラーレン類、カーボンナノチューブ類およびツェッペリン類から選択される。厚さ10μm〜5mmのシート状の断熱材料が製造でき、透明度が50%以上である断熱材料が製造できる。
【選択図】 なし
【解決手段】 分子内に空孔を有し、その空孔の最小空孔径が100nm以下であるカーボン系のナノ材料とポリマーとから構成され、熱伝導率が0.2W/m・K以下である断熱材料。カーボン系ナノ材料はフラーレン類、カーボンナノチューブ類およびツェッペリン類から選択される。厚さ10μm〜5mmのシート状の断熱材料が製造でき、透明度が50%以上である断熱材料が製造できる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、住宅用、電子機器用、熱記録材料用などに使用される断熱性に優れる材料、中でも、シート状断熱材料、透明断熱材料に関する。
一般の断熱材料やシートは、家庭用、工業用等、様々な分野において使用されている。例えば、一般住宅や、オフィス用ビル等の建物においては、壁等に断熱材を用いて室温調節の効率化が図られている。この様な建物の場合、室内と外気との熱の出入りの約7割もが、ガラス窓やガラス扉を介するものであることから、窓ガラス部分を断熱する方法として、従来からある二重窓構造や複層ガラス化した構造に加え、既存のガラスが利用出来て比較的安価である断熱シートも提案されている。
然しながら、これらの窓用断熱シートは樹脂シートが積層された構造になっており構造が複雑である。 例えば、特開平7−42456号公報では透明または半透明の合成樹脂シートに網目状のスぺーサーを積層しており、特開平10−205236号公報では貫通孔を設けたシートを中間層にしている構造となっている。
然しながら、これらの窓用断熱シートは樹脂シートが積層された構造になっており構造が複雑である。 例えば、特開平7−42456号公報では透明または半透明の合成樹脂シートに網目状のスぺーサーを積層しており、特開平10−205236号公報では貫通孔を設けたシートを中間層にしている構造となっている。
断熱性は熱伝導率の低下で評価出来るが、空隙構造が小さいほど熱伝導率が低下することが一般に知られており、前述のフィルムでは、空隙構造に含まれる空孔径が比較的大きいため、熱伝導率を効果的に下げることが不可能である。また、空孔径が可視光の波長より大きいため採光は可能であるが、窓としての透視性の機能が著しく損なわれ、透明性が著しく悪いという欠点もあった。
高性能で高価なIC部品を搭載している精密機器、電子機器などにおいては、外気温が低すぎたり高すぎたりすると動作異常を起こす場合があり、また、それら電子機器等には発熱する部分も存在する場合がある。機器の心臓部を温度変化から保護するために断熱材料が用いられているが、電子機器等は小型化、軽量化の一途をたどっており、断熱材料も極薄にすることが求められている。
また、サーマル記録用基材においては、基材の断熱性を高めることによって熱記録感度が大幅に向上することが知られている。一般には顔料を含有する熱可塑性樹脂を延伸して形成したミクロボイドを有する発泡フィルムが使用されているが、やはり、空隙構造の大きさから熱伝導率を効果的に下げることが不可能なため延伸することでボイドを偏平に形成しなければならず、複雑な製造工程をとっている。また、これらの発泡フィルムは白色で透明性が全くないため、OHP用途やアミューズメントに使われる透明シール等など透明性が要求されるものについては使用が不可能であった。
一方において、微細空隙材料に関与できると思われる材料として、分子内に空孔を持つカーボン系ナノ材料であるフラーレン類もしくはナノチューブ類について本発明者らは調べた。
例えば、特許文献1ではポリエステル類とフラーレン類を含む微小な力価の繊維、フィルム、中空体が記載されており、フラーレンによって強度が高くなることを利用し、帆や包装材料または縫い糸として用いることが記載されている。
例えば、特許文献1ではポリエステル類とフラーレン類を含む微小な力価の繊維、フィルム、中空体が記載されており、フラーレンによって強度が高くなることを利用し、帆や包装材料または縫い糸として用いることが記載されている。
また、特許文献2では、閉殻構造を持つフラーレンと透明樹脂についての記載がされ、入射光量によって透過光量が特異的に変化するという光学的性質を利用して光リミッターとして使われている。
また、フラーレン類を利用して多孔質体を形成する方法もいくつか挙げられている。例えば、特許文献3では、絶縁層にフラーレンを含有させることで低誘電化を図ると同時に酸化などの化学的方法や溶解などの手法でフラーレンを取り除き空隙構造を作ることも提案されている。
更に、特許文献4では、フラーレンをスぺーサーとして働かせて高密度な欠陥を導入し、電子線でフラーレンの周囲の炭素原子をグラファイト化することで結晶性を変化させた非晶質膜についての記載がある。
以上のいずれの文献にも、カーボンナノ材料を混合したポリマーの断熱性に関する記載は見当たらない。
特開平8−49116号公報
特開平6−25461号公報
US−5744399号公報
特開平9−110408
更に、特許文献4では、フラーレンをスぺーサーとして働かせて高密度な欠陥を導入し、電子線でフラーレンの周囲の炭素原子をグラファイト化することで結晶性を変化させた非晶質膜についての記載がある。
以上のいずれの文献にも、カーボンナノ材料を混合したポリマーの断熱性に関する記載は見当たらない。
本発明の課題は、極微細空隙による高度の断熱性を有する材料を提供することにある。更には、透明な断熱材料、あるいは薄い断熱シートを提供することにある。
本発明は前記課題を解決するため以下の(1)〜(5)の発明から構成される。
(1) 分子内に空孔を有し、その空孔の最小空孔径が100nm以下であるカーボン系のナノ材料とポリマーとから構成され、熱伝導率が0.2W/m・K以下であることを特徴とする断熱材料。
(2) 上記(1)の発明において、該カーボン系ナノ材料はフラーレン類、カーボンナノチューブ類およびツェッペリン類から成る群より選択された少なくとも一種であることを特徴とする断熱材料。
(3) 上記(1)または(2)の発明において、光透過率が50%以上であることを特徴とする断熱材料。
(4) 上記(3)の発明において、分子内に空孔を有するカーボン系のナノ材料が活性エネルギー線によって少なくとも一部分解されていることを特徴とする断熱材料。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかの発明において、厚さ10μm〜5mmのシート状であることを特徴とする断熱材料。
(1) 分子内に空孔を有し、その空孔の最小空孔径が100nm以下であるカーボン系のナノ材料とポリマーとから構成され、熱伝導率が0.2W/m・K以下であることを特徴とする断熱材料。
(2) 上記(1)の発明において、該カーボン系ナノ材料はフラーレン類、カーボンナノチューブ類およびツェッペリン類から成る群より選択された少なくとも一種であることを特徴とする断熱材料。
(3) 上記(1)または(2)の発明において、光透過率が50%以上であることを特徴とする断熱材料。
(4) 上記(3)の発明において、分子内に空孔を有するカーボン系のナノ材料が活性エネルギー線によって少なくとも一部分解されていることを特徴とする断熱材料。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかの発明において、厚さ10μm〜5mmのシート状であることを特徴とする断熱材料。
本発明の断熱材料およびシートは、分子内に空孔を有するカーボン系ナノ材料とポリマーを混合することで熱伝導率が0.2W/m・K以下の断熱材料およびシートが簡単に得られる。
ナノ材料の微小な空孔を利用することで断熱性が効率よく発現するため、ナノ材料の含有量は10体積%以上(好ましくは15体積%以上)で充分に効果がある。更に、混合するポリマーの透明性を制御したり、活性エネルギー線を利用することで透明性を付与できるため、実用上の用途の限定も少なく、リーズナブルで有用な断熱材料およびシートを得ることが出来る。
ナノ材料の微小な空孔を利用することで断熱性が効率よく発現するため、ナノ材料の含有量は10体積%以上(好ましくは15体積%以上)で充分に効果がある。更に、混合するポリマーの透明性を制御したり、活性エネルギー線を利用することで透明性を付与できるため、実用上の用途の限定も少なく、リーズナブルで有用な断熱材料およびシートを得ることが出来る。
本発明の断熱材料およびシートは、分子内に空孔を有し、その空孔の最小空孔径が100nm以下であるカーボン系のナノ材料とポリマーからなる。良好な断熱性を有するために熱伝導率が0.2W/m・K以下である必要であり、0.2W/m・Kを越えると熱伝導が速くなってしまい良好な断熱性を発揮することが出来ない。
分子内の空孔は、フラーレン類のような球に近いものでも、ツェッペリン類の様な楕円球のようなものでもナノチューブ類のように筒状やコップ型のものでも良く、その形状にはとらわれない。ここでいう最小空孔径とは、分子内の空孔の中心部を介して空孔の内壁と内壁を結んだ時の最も短い距離である。例えば、球体の場合の最小空孔径は球の直径であり、楕円球体の場合は楕円の短軸に相当し、チューブ状の場合はチューブの直径、底面の直径よりも高さが短いような円柱体の場合は、円の直径が最小空孔径となる。
分子内の空孔は、フラーレン類のような球に近いものでも、ツェッペリン類の様な楕円球のようなものでもナノチューブ類のように筒状やコップ型のものでも良く、その形状にはとらわれない。ここでいう最小空孔径とは、分子内の空孔の中心部を介して空孔の内壁と内壁を結んだ時の最も短い距離である。例えば、球体の場合の最小空孔径は球の直径であり、楕円球体の場合は楕円の短軸に相当し、チューブ状の場合はチューブの直径、底面の直径よりも高さが短いような円柱体の場合は、円の直径が最小空孔径となる。
ポリマーと混合する分子内に空孔を有するカーボン系ナノ材料の空孔の最小空孔径は100nm以下であることが必要である。更に好ましくは、カーボン系ナノ材料の空孔の最小空孔径が60nm以下である。最小空孔径が100nm以下であれば、断熱材料およびシート内に形成される空孔の隔壁間距離を100nm以下にすることが出来るため、効率よく熱伝導率を下げることが出来る。この隔壁間距離は、全方向とも100nm以下にする必要はなく、少なくとも熱の伝わり方を抑制したい方向(一般には厚さ方向)における隔壁間距離を100nmにすれば良い。例えば、長さが100nm以上のナノチューブでも最小空孔径に相当するチューブの直径が100nm以下であれば、厚さ方向の隔壁間距離を100nmにすることが出来るため、厚さ方向の熱伝導率を効率よく低下し、高断熱性を付与できる。
最小空孔径が100nmより大きいと断熱材料およびシートの隔壁間距離を100nm以下にすることが出来ないので、効率よく熱伝導率を下げることが出来ない場合がある。また良好な断熱性を得るためにナノ材料を多く含有させなければならなくなる場合もある。図1に、様々な形をした空孔における隔壁間距離についてのイメージ図の一例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
最小空孔径が100nmより大きいと断熱材料およびシートの隔壁間距離を100nm以下にすることが出来ないので、効率よく熱伝導率を下げることが出来ない場合がある。また良好な断熱性を得るためにナノ材料を多く含有させなければならなくなる場合もある。図1に、様々な形をした空孔における隔壁間距離についてのイメージ図の一例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
さらに、良好な断熱性を満足するためには、ポリマーと混合する分子内に空孔を有するカーボン系のナノ材料の含有率が10〜80体積%あることが好ましい。更に好ましくは15〜75体積%である。ナノ材料の含有率が少なすぎると充分な断熱性が得られない場合があり、含有率が多すぎると断熱材料あるいはシート全体の強度を維持することが難しくなったり、ポリマーとの混合が難しくなる場合がある。
本発明の断熱材料およびシートにおいて、該ポリマーの光透過率を50%以上にすることによって該断熱材料およびシートの光透過率を50%以上に保つことが出来る。また、最小空孔径が100nm以下のカーボン系ナノ材料を利用することで透明性のある断熱材料およびシートを得ることが出来る。更に好ましくは、最小空孔径が60nm以下である。最小空孔径が100nmを越えたり、空孔のサイズが大きい場合は断熱材料およびシートの透明性が不足することがある。該ナノ材料を10〜80体積%含有させても、光透過率をはじめ樹脂強度などの物性を大きく変化させることはない。
さらに、ポリマーと混合するカーボン系ナノ材料は、活性エネルギー線を照射することによって、分解することができる。ナノ材料の少なくとも一部を分解することで更にポリマー自体の透明性に近づけることが出来る。また、ナノ材料が2次粒子の状態でポリマーに分散してしまった場合でも、活性エネルギー線で分解することでポリマー自体の透明性に近づけることが出来る。
ナノ材料を分解するための活性エネルギー線としては、電子線、イオンビーム、γ線等の電離性放射線が好ましいが、本発明はこれに限定されない。更に好ましくは、酸素存在下でこれらの活性エネルギー線を照射する。酸素を吹き付けながら活性エネルギー線を照射することによって、ナノ材料の分解が促進される。
本発明で用いられる分子内に空孔を有するカーボン系ナノ材料としては、フラーレン類、ツェッペリン類、ナノチューブ類などが挙げられる。例えば、炭素が60個集合してできたサッカーボール状のC60をはじめ、C70、C68、C76、C112、C160、C224、C268、C292などが例示されるがこれに限定されない。また、これらは単層球形の形をしているが多層球形であっても良く、既知のフラーレン誘導体や水素添加フラーレンや水酸化フラーレンやフラーレンが2量体などに重合しているものも利用出来る。特に水素添加フラーレンは、その2次粒子自体が白色であるため、光透過性の高い断熱材を得る場合に有利である。ちなみにカーボン系のナノ材料の殆どは2次粒子の状態で黒色である。また、カーボンナノチューブとしては、単層や多層のものやチューブ内にフラーレンなどを内包したもの、更にはカップ型やカップスタック型などが例示される。
しかし、本発明は前記のナノ材料に限定されるものではなく、分子内に最小空孔径100nm以下の空孔を有すれば良い。また空孔構造も閉殻構造や開殻構造に関わらず分子内に空孔を有すれば良く、その空孔の大きさが均一でなくても良い。更にいえば、異なるナノ材料を2つ以上混合しても良いし、ナノ材料の製造時の不純物が混合していたり純度が低くても差し支えない。
本発明に利用されるポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、セルロース誘導体、ジアリルフラレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、アルキド樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、フェノール樹脂、パラフィンワックスなどの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などを例示することが出来るが、ここに例示されたものに限られず、断熱材料およびシートの用途に合わせて、任意に選ぶことができる。また、2つ以上の樹脂を混合して用いてもいいし、共重合体を利用してもよく、更にアクリル基やメタクリル基を有した光硬化性あるいは電子線硬化性樹脂を用いても良い。
断熱材料および断熱シートの厚さは、必要とされる断熱性や強度、或は作業性等を考慮して適宜選択される。例えば、窓ガラス用透明断熱シート等の場合には、10μm〜5mmが好適である。5mmより厚くなると窓に貼り付けるときの作業性が悪くなったり、剥がれやすくなる場合があり、10μm未満ではハンドリングが悪く、窓にきれいに貼り付けるのが困難になる場合があるからである。
同様な理由から、より好ましくは20μm〜3mmであり、さらに好ましくは25μm〜2.5mmである。
同様な理由から、より好ましくは20μm〜3mmであり、さらに好ましくは25μm〜2.5mmである。
さらに、上記の断熱材料およびシートにおいては、その強度を補う目的で、実質的に空孔を有しない別の樹脂層を支持体として、その片面、または両面上に断熱材料あるいはシートを形成、もしくは積層して使用することも可能である。
前記の空孔を有さない樹脂層(支持体)に使用される樹脂としては、特別の制限はないが、補強する目的のためには、ある程度の強度を有する樹脂が好適である。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド等、あるいはポリ(エチレンテレフタレート−co−1,4−ベンゾエート)、ポリヒドロキシ安息香酸共重合体等の液晶ポリマーは強度的に優れており、好ましく用いられる。その他、スチレン−アクリロニトリル共重合体等の共重合体も好ましく用いられる。
また、断熱材料やシートが廃棄される時の環境負荷を考慮して、汎用の生分解性を有する樹脂を用いることもできる。例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどが好ましく用いられる。
前記の空孔を有さない樹脂層(支持体)に使用される樹脂としては、特別の制限はないが、補強する目的のためには、ある程度の強度を有する樹脂が好適である。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド等、あるいはポリ(エチレンテレフタレート−co−1,4−ベンゾエート)、ポリヒドロキシ安息香酸共重合体等の液晶ポリマーは強度的に優れており、好ましく用いられる。その他、スチレン−アクリロニトリル共重合体等の共重合体も好ましく用いられる。
また、断熱材料やシートが廃棄される時の環境負荷を考慮して、汎用の生分解性を有する樹脂を用いることもできる。例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどが好ましく用いられる。
透明断熱シートの場合には、断熱性と強度のバランスを考慮して、シート全体(支持体を含む)に対するナノ材料の割合を決める必要があるが、例えば、窓ガラス用透明断熱シートの場合には、樹脂に対する該ナノ材料の含有量を10〜80体積%とすることで目的を達成することができる。より好ましい範囲は15〜75体積%であり、さらに好ましくは16〜50体積%である。
カーボン系ナノ材料とポリマーを混合する方法としては、以下のような方法が例示される。例えば、カーボン系ナノ材料の溶媒である、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼンなどにカーボンナノ材料を溶解し、別途、ポリマーを前記溶媒または前記溶媒と相溶性がある溶媒に溶解させ、これら2つの溶液を攪拌しながら混合する。
また、ガラス用透明断熱シート等の場合には、使用時に、何れかの面を窓ガラスや扉ガラス等のガラス面の少なくとも片面に貼り付けるように止着すればよい。さらに、ガラス用透明断熱シートをガラス面に止着するとき、窓や扉が引き戸形式の時に、これらの開閉の支障とならないように、上記合成樹脂シートの厚さの合計が、窓等のガラスの保持枠とガラスの厚さの寸法差以下に形成されていることが好ましい。
また、ガラス用透明断熱シートをガラス面へ貼り付ける場合の止着強度を確保するために、前記ガラスへの止着面に粘着性物質を塗布した層を形成することが好ましい。粘着性物質としては、一般の公知の粘着剤、接着剤などを用いることができる。ガラスへの貼付け作業における効率の点からは、必要とされる粘着性や接着性が、貼り付け作業直後から約10時間以上経過してから発現することが好まれる。例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール(PVA)等が好ましく使用される。
図2に、本発明の断熱シートの実施態様の一例として、ガラス窓に透明断熱シートを取付けた時の概略図を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
本発明の断熱材料およびシートは、粘着剤、接着剤などを用いることにより、一般の住宅用またはオフィス用建物等の窓用や、扉用のガラスに限らず、自動車の窓ガラス用等、様々な大きさ、形状、面積を有した既存のガラスに対して、簡単に止着、張設することができる。透明断熱シートに使用により、ガラスが有する透視性を損なうことなく、ガラス面を介した断熱性能を向上させることが可能で、室内からの暖房熱のガラス面を通した放熱を遮断すると共に、ガラス面への結露発生を防止することも可能であり、また、ガラス破砕時にガラス破片の飛散を抑止すること等もできる。
さらに、断熱性を利用して食品などの梱包ややけど防止として飲食容器に貼り付けたり、保温や保冷を目的としたケースやカバーや袋などにも利用出来るが、これに限定されるものではない。
また、本発明の断熱シートは、サーマル記録用基材としても用いることが出来、用途に合わせて従来困難であった透明タイプのサーマル記録用基材としても用いることが出来る。具体的には昇華熱転写記録用OHPフィルムや透明シール、透明感熱記録用紙などに応用することにより、優れた透明サーマル記録媒体を提供することが可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における各種の物性の測定は、以下の評価方法により測定したものである。
評価方法
(1)熱伝導率
透明断熱シートの熱伝導率は、定常状態で薄膜の熱拡散率を測定できる交流通電加熱法により求めた。この方法はガラス板上に金属薄膜電極を形成した、いわゆるガラス電極上に試料を乗せ、上から同様のガラス電極を向かい合わせにして試料を挟み込んで試料セルとし、片方の電極をヒーターとして交流を通電して加熱し、片方の電極を抵抗式温度計としてその位相の遅れを測定する。その位相遅れと周波数の平方根とが直線関係となる。その傾きから次式により熱拡散率を求めるものである。
Δθ=(πf/α)0.5・d+β(ただし、Δθ:位相遅れ、f:印加電圧の周波数、α:熱拡散率、d:試料厚さ、β:装置定数を表す。)
熱伝導率(W/m・K)は前記の熱拡散率と定圧比熱および密度の積から算出される。
(1)熱伝導率
透明断熱シートの熱伝導率は、定常状態で薄膜の熱拡散率を測定できる交流通電加熱法により求めた。この方法はガラス板上に金属薄膜電極を形成した、いわゆるガラス電極上に試料を乗せ、上から同様のガラス電極を向かい合わせにして試料を挟み込んで試料セルとし、片方の電極をヒーターとして交流を通電して加熱し、片方の電極を抵抗式温度計としてその位相の遅れを測定する。その位相遅れと周波数の平方根とが直線関係となる。その傾きから次式により熱拡散率を求めるものである。
Δθ=(πf/α)0.5・d+β(ただし、Δθ:位相遅れ、f:印加電圧の周波数、α:熱拡散率、d:試料厚さ、β:装置定数を表す。)
熱伝導率(W/m・K)は前記の熱拡散率と定圧比熱および密度の積から算出される。
(2)フィルム光透過率、及び透視性
透明断熱シートの光透過率は、ヘイズメーター(商品名:HAZEMETER HM−150、村上色彩研究所製)を用いて、10点の平均値で評価した。
また、透視性は、印刷物上に透明断熱シートを重ねて文字の認識が可能かどうかを目視評価にて行った。
透明断熱シートの光透過率は、ヘイズメーター(商品名:HAZEMETER HM−150、村上色彩研究所製)を用いて、10点の平均値で評価した。
また、透視性は、印刷物上に透明断熱シートを重ねて文字の認識が可能かどうかを目視評価にて行った。
<実施例1>
予めトルエンに、濃度25質量%となるように溶解したポリエステル(商品名:バイロン290、東洋紡社製)と濃度0.1質量%となるように溶解したフラーレンC60(東京化成工業製試薬)とをポリエステル樹脂83体積%とフラーレン17体積%となるように混合し、塗料を調整した。この塗料をガラストレーに流延した後、乾燥して溶媒を除去し、ガラス板から樹脂シートを剥がして厚さ50μmのシートを得た。
予めトルエンに、濃度25質量%となるように溶解したポリエステル(商品名:バイロン290、東洋紡社製)と濃度0.1質量%となるように溶解したフラーレンC60(東京化成工業製試薬)とをポリエステル樹脂83体積%とフラーレン17体積%となるように混合し、塗料を調整した。この塗料をガラストレーに流延した後、乾燥して溶媒を除去し、ガラス板から樹脂シートを剥がして厚さ50μmのシートを得た。
<実施例2>
フラーレンC60の替わりにカーボンナノチューブ(single-walled)(Aldrich社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてシートを作成した。
フラーレンC60の替わりにカーボンナノチューブ(single-walled)(Aldrich社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてシートを作成した。
<実施例3>
実施例1で得られたシートに酸素を吹き付けながら電子線を照射し、フラーレンを分解して厚さ50μmのシートを得た。電子線照射条件としては、加速電圧80kV、照射量20kGyで行った。
実施例1で得られたシートに酸素を吹き付けながら電子線を照射し、フラーレンを分解して厚さ50μmのシートを得た。電子線照射条件としては、加速電圧80kV、照射量20kGyで行った。
<実施例4>
実施例2で得られたシートを実施例3と同様の条件で電子線を照射してナノチューブを分解し、シートを得た。
実施例2で得られたシートを実施例3と同様の条件で電子線を照射してナノチューブを分解し、シートを得た。
<比較例1>
実施例のフラーレンの替わりにスチレン及びアクリルを主体とする共重合体樹脂からなる中空粒子(空孔径20μm)を17体積%用いてシートを作成した。
実施例のフラーレンの替わりにスチレン及びアクリルを主体とする共重合体樹脂からなる中空粒子(空孔径20μm)を17体積%用いてシートを作成した。
<比較例2>
比較例1で得られたシートを実施例3と同様の条件で電子線照射を行ってシートを作成した。
比較例1で得られたシートを実施例3と同様の条件で電子線照射を行ってシートを作成した。
上記各実施例及び比較例で得られた断熱シートの評価結果を表1に示す。
本発明は、住宅用、電子機器用、熱記録材料用などに使用される断熱性材料として利用できる。
Claims (5)
- 分子内に空孔を有し、その空孔の最小空孔径が100nm以下であるカーボン系のナノ材料とポリマーとから構成され、熱伝導率が0.2W/m・K以下であることを特徴とする断熱材料。
- 該カーボン系ナノ材料はフラーレン類、カーボンナノチューブ類およびツェッペリン類から成る群より選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の断熱材料。
- 光透過率が50%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の断熱材料。
- 分子内に空孔を有するカーボン系のナノ材料が活性エネルギー線によって少なくとも一部分解されていることを特徴とする請求項3に記載の断熱材料。
- 厚さ10μm〜5mmのシート状であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の断熱材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003293752A JP2005061544A (ja) | 2003-08-15 | 2003-08-15 | 断熱材料および断熱シート |
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