JP2005061001A - 遮水膜昇降式選択取水設備 - Google Patents

遮水膜昇降式選択取水設備 Download PDF

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Abstract

【課題】 表水層と水温躍層と深水層とのいずれの層であっても正確に取水して放流できるようにする。
【解決手段】 堰堤1の前方で水面に浮かぶフロート5または水面よりも上方で堰堤1よりも前方に突出するデッキ30が設置されて、このフロート5またはデッキ30のほぼ真下に、所定の上下間隔で保持可能なフレーム31B〜31Gが多段で設けられ、この各フレーム31B〜31Gには、上側の遮水膜の下端が下側の遮水膜の上端にオーバーラップして取水口2aの周囲を遮水可能な遮水膜34B〜34Gが吊下げられるとともに、最上部のフレーム31Bの上方に、所定の上下間隔で保持されて取水開口44を形成する蓋付きフレーム31Aでなる整流板43が設けられ、この整流板43に、上記フロート5またはデッキ30に取付けられた昇降機15のワイヤー33が連結されて、昇降機15の駆動によって取水開口44を所定の取水層内に昇降させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、取水水深を任意に選択できる遮水膜昇降式選択取水設備に関する。
従来、選択取水設備としては、ダムの堰堤に深さの異なる取水口を多段で形成して、各取水口のゲートを開閉することで取水水深を選択するか、あるいは底部若しくは堰堤に固定されたテレスコープで上下できるシリンダー若しくは半円筒ゲートで必要な取水水深から取水を行うようにしたものが提案されている。
しかし、ダム湖の水位は常に変動するため、その変化に自動的に追随して、表層部や水温躍層若しくはその直下から有効に取水して放流するには煩雑な操作が多いという問題がある。さらに、既存のダムに新たに選択取水設備を設置するには、土木の大幅な変更を伴うばかりか、放流の一時停止、ときにはダム湖をドライにしなければならないから、施工が困難であるという問題がある。
このような諸問題を解決するために、本発明者等は、水位変動に自動的に追随して有効に取水できるとともに、土木構造物との取り合いを最小限に減らして施工を簡素化できるフロート式選択取水設備を提案した(例えば、特許文献1参照)。
かかるフロート式選択取水設備は、図8および図9に示すように、堰堤1の取水塔2に形成され、バースクリーン3が取付けられた取水口2aに対して、水位Lに応じて昇降するフロート5が設けられ、このフロート5に取付けられた電動ウインチ(昇降機)15のワイヤー22が最上部の水中フロート6Aに連結されている。
この最上部の水中フロート6Aと最下部の水中フロート6Eとの間には、所定の上下間隔が保持されるようチェーン23A〜23Dで連結された水中フロート6B〜6Dが多段で配置されて、各水中フロート6A〜6Eには、取水口2aの周囲および下側を遮水可能な遮水カーテン16A〜16Eがそれぞれ設けられている。なお、最下部の水中フロート6Eは湖底のアンカーブロック20にチェーン23Eで連結されている。
そして、水位Lに応じて昇降するフロートに取付けた電動ウインチ15で最上部の水中フロート6Aを上昇させると、チェーン23A〜23Dで連結された下側の水中フロート6B〜6Eも同時に上昇して、各水中フロート6A〜6Eの遮水カーテン16A〜16Eで取水口2aの周囲および下側が遮水されて、水が遮水カーテン16Aの上側とフロート5との間の隙間27からのみ遮水カーテン16A〜16E内に流入して、取水口2aから取水されるようになる。
したがって、例えば、最上部の遮水カーテン16Aとフロート5との間の隙間27が表水層内に位置するように水中フロート6A〜6Eを昇降操作すると、表水層のみを取水口2aから取水することができ〔図9(a)参照〕、最上部の遮水カーテン16Aを水温躍層内に位置させると、表水層と水温躍層とを同時に取水口2aから取水することができ、最上部の遮水カーテン16Aを深水層内に位置させると(つまり、遮水カーテンを最下降させる)、全層から取水することができる〔図9(b)参照〕。
したがって、かんがい用水の取水時には水温の高い表水層のみを正確に取水して放流できるとともに、大雨や洪水が終わって清澄になった表水層のみを正確に取水して放流できるようになる。
特開2002−275865号公報
しかしながら、例えば表水層と深水層との間の水温躍層の濁水だけを正確に取水して放流したいような場合、上記のようなフロート式選択取水設備では、最上部の遮水カーテン16Aを水温躍層内に位置させると、表水層と水温躍層とを同時に取水して放流されるという不具合がある。
本発明は、上記問題を解消するためになされたもので、表水層と水温躍層と深水層とのいずれの層であっても正確に取水して放流できる遮水膜昇降式選択取水設備を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、堰堤の下部に形成された取水口の上方位置に、堰堤の前方で水面に浮かぶフロートまたは水面よりも上方で堰堤よりも前方に突出するデッキが設置されて、このフロートまたはデッキのほぼ真下に、所定の上下間隔で保持可能なフレームが多段で設けられ、この各フレームには、上側の遮水膜の下端が下側の遮水膜の上端にオーバーラップして取水口の周囲を遮水可能な遮水膜が吊下げられるとともに、最上部のフレームの上方に、所定の上下間隔で保持されて取水開口を形成する蓋付きフレームでなる整流板が設けられ、この整流板に、上記フロートまたはデッキに取付けられた昇降機のワイヤーが連結されて、昇降機の駆動によって取水開口を所定の取水層内に昇降させることを特徴とする遮水膜昇降式選択取水設備を提供するものである。
請求項2のように、上記堰堤に、各フレームの端部との間の側部隙間を塞ぐ側部遮水カバーが設けられている構成とすることが好ましい。
請求項3のように、上記整流板のフレームに、蓋部分と堰堤との間の上部隙間を塞ぐ上部遮水カバーが設けられている構成とすることが好ましい。
請求項4のように、上記整流板のフレームに、蓋部分と堰堤との間の上部隙間を塞ぐ上部遮水カバーが設けられ、この上部遮水カバーは、堰堤の傾斜に倣うようヒンジ結合されて、その自由端部に、堰堤に接触するローラが取付けられている構成とすることが好ましい。
本発明によれば、フロートまたはデッキに取付けたワイヤーを整流板に連結することより、ワイヤーによる整流板の昇降に連動して、整流板と最上部のフレームとの間の取水開口が昇降するようになるから、取水開口を所定の取水層内に位置させることができる。
したがって、取水開口を表水層内に位置させると、表水層のみを正確に取水して放流でき、水温躍層内に位置させると、水温躍層のみを正確に取水して放流でき、深水層内に位置させると、深水層のみを正確に取水して放流できるようになる。
請求項2のように、堰堤と各フレームとの間の側部隙間を塞ぐ側部遮水カバーを設けると、側部の隙間から他層の水が遮水膜内に流入することを防止できるようになる。
請求項3のように、堰堤と整流板のフレームとの間の上部隙間を塞ぐ上部遮水カバーを設けると、上部の隙間から水が遮水膜内に流入することを防止できるようになる。
請求項4のように、堰堤と整流板のフレームとの間の上部隙間を塞ぐ上部遮水カバーを設け、この上部遮水カバーをフレームにヒンジ結合して、自由端部にローラを取付けると、堰堤が傾斜している場合でも堰堤に倣って上部遮水カバーが揺動するので、上部の隙間から水が遮水膜内に流入することを確実に防止できるとともに、堰堤にローラが接触するので、接触抵抗が減少して、上部遮水カバーがスムーズに揺動するようになる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、従来技術と同一構成・作用の箇所は、同一番号を付して詳細な説明を省略する。
図1〜図4はフロートタイプの実施例1であって、図1に示すように、ダムの堰堤(ダム壁)1の下部(ダム底付近)には発電用取水口2a−1と利水用取水口2a−2とでなる取水口2aが形成されるとともに、この取水口2aの前面には、流木等のゴミが取水口2aに入るのを阻止するバースクリーン(不図示)が取付けられている。
上記取水口2aが位置する堰堤1の前面(上流側の面)の前方には、水面Lに浮かぶ
フロート5が設置されている(図2(a)参照)。
このフロート5の上部には中央と両側に計3台の電動ウインチ(昇降機)15が設置されている。この各電動ウインチ15には、図4(c)に示すように、モータ15aで駆動される減速機15bにより、正逆回転可能なドラム15fが設けられ、このドラム15fにはワイヤー33が巻回されている。上記電動ウインチ15には、具体的に図示しないが堰堤1の上からキャップタイヤケーブルで電力が供給されている。
上記堰堤1の前面には、取水口2aの両側位置で上下方向に延在する一対のH形鋼製ガイドレール4が取付けられている〔図4(a)参照〕。
上記フロート5のほぼ真下には、平面視で半円形状のフレーム31B〜31Gが多段で(本例では6段)設けられている。
上記各フレーム31B〜31Gは、図4(b)に示すように、金属(例えばステンレス)ボックス製の外殻7を有し、この外殻7の内部に浮力材(例えば発泡ウレタン)8が充填されている。
上記各フレーム31B〜31Gの浮力は、後述する遮水膜34B〜34Gを加えた比重が1近くに設定されて、自ら浮き上がるだけの浮力は無く、後述するチェーン23B〜23F等の重りで緩やかに沈む(下降)ような浮力に設定されている。なお、各フレーム31A〜31Gは、外殻7の内部に浮力材8を充填したものではなく、例えばステンレス製パイプを半円形状に湾曲させたものであっても良い。また、最下部のフレーム31Gは、浮力が無くても良い。
最下部のフレーム31Gを除くフレーム31B〜31Fの外殻7の両端部は、図4(a)に示すように、上記各ガイドレール4にそれぞれ対向されて、この各両端部には、ゴム製のクッション材9を介してローラ基板10が取付けられ、このローラ基板10には、各フレーム31B〜31Fに作用する波による前方加重Fをガイドレール4の前面で受け止めるためのメインローラ11と、側方加重Sをガイドレール4の側面で受け止めるためのサイドローラ12とが設けられている。なお、11aは、後方荷重を受け止めるためのサブローラである。
この各ローラ11,12は、上記各加重F,Sを受け止める機能の他、外殻7の両端部をガイドレール4に対して位置決めする機能と、外殻7の両端部がガイドレール4に沿ってスムーズに昇降するようにガイドする機能とを有している。
上記クッション材9は、各フレーム31B〜31Fに作用する前方加重Fを吸収して、メインローラ11やガイドレール4及び堰堤1が損壊しないようにするためのもので、必要に応じて設ければよい。
最下部のフレーム31Gの外殻7の両端部は、上記ガイドレール4に固定されている。
上記各フレーム31B〜31Gの外周面には、図1に示したように、フレキシビリティを有する合成ゴム若しくは合成樹脂製、あるいは布製の遮水膜34B〜34Gがそれぞれ吊下げられている。
上記最上部のフレーム31Bの上方には、フレーム31Aにゴム製遮水膜製の蓋45が水平に張られて、縦横に取付けたチェーン46で撓みを防止してなる整流板43が配置されている。なお、フレーム31Aは、上記各フレーム31B〜31Gと同一構成である。
上記電動ウインチ15のドラム15fから垂れ下がらせたワイヤー33は、整流板43のフレーム31Aに連結する一方、この整流板43のフレーム31Aと最上部のフレーム31B、このフレーム31Bと2段目のフレーム31C、このフレーム31Cと3段目のフレーム31D、このフレーム31Dと4段目のフレーム31E、このフレーム31Eと5段目のフレーム31F、このフレーム31Fと最下部のフレーム31Gとを、それぞれ一定長さのチェーン23A〜23Fで連結する。
なお、整流板43のフレーム31Aと2段目のフレーム31Bとの間のチェーン23Aは、他のチェーン23B〜23Fよりも短く(例えば1/3の長さ)に設定されていて、整流板43のフレーム31Aと2段目のフレーム31Bとの間に取水開口44が形成されるようになる。
そして、電動ウインチ15のドラム15fによりワイヤー33を巻き上げた時には、チェーン23A〜23Fが引き延ばされて整流板43のフレーム31Aと各フレーム31B〜31Fが所定の水深位置に引き上げられて保持されるとともに、ドラム15fによりワイヤー33が緩め下げられた時には、チェーン23B〜23Fが弛まされて、整流板43のフレーム31Aを除く各フレーム31B〜31Fが最下部のフレーム31Gの上に重なり合って保持されるようになる。
このワイヤー33の巻き上げと緩め下げとは、整流板43のフレーム31Aと各フレーム31B〜31Fの昇降状態に応じて制御する。
上記各遮水膜34B〜34Fは、各フレーム31B〜31Fが所定の水深位置に保持されているときは、フレーム31B〜31Fから吊下げられた状態で、上側となる遮水膜34の下端が下側となる遮水膜34の上端に外方からオーバーラップして、隙間を遮水するように吊下げ長さが設定されているとともに、各フレーム31B〜31Fが最下部のフレーム31Gの上に重なり合って保持されているときは、厚み方向に重なり合うようになっている。なお、最下部のフレーム31Gの遮水膜34Gの下端は、ダム底の基礎コンクリート47に着地して周囲を遮水するようになる。
また、図2(b)(c)および図4(a)に示したように、上記堰堤1には、整流板43のフレーム31Aと各フレーム31B〜31Gの端部との間の側部隙間を塞ぐ側部遮水カバー48が設けられている。
また、整流板のフレーム31Aには、蓋45と堰堤1との間の上部隙間を塞ぐ上部遮水カバー49が設けられている。
上記各フレーム31C〜31Gの上部には、図4(b)に示したような凹部6aが形成され、この凹部6aの底に上記チェーン23B〜23Fの下部が連結されるとともに、各フレーム31B〜31Fの下部には、ショックアブゾーバー(若しくはダッシュポット)26が取付けられ、このショックアブゾーバー26に上記チェーン23B〜23Fの上部が連結されている。このショックアブゾーバー26は、波に対するショックを吸収して遮水膜34B〜23Fが揺動するのを防止するためのものであり、必要に応じて取付ければよい。
また、上記凹部6aは、各フレーム31B〜31Fが最下部のフレーム31Gの上に重なり合って保持されるときに、各チェーン23B〜23F及びショックアブゾーバー26を収納して、各フレーム31B〜31Fが隙間なく重なり合うようにするためのものである。なお、凹部6aにチェーン23B〜23Fが収納されることで、弛んだチェーン23B〜23Fによって遮水膜34B〜34Gが損傷されるおそれもなくなる。
上記のように構成した第1実施例の遮水膜昇降選択取水設備の取水操作方法を説明する。
図1は、電動ウインチ15によりワイヤー33を巻き上げることにより、まず、整流板43のフレーム31Aがワイヤー33で引き上げられ、チェーン23Bを介して2段目のフレーム31Bが引き上げられ、チェーン23Bを介して3段目のフレーム31Cが引き上げられてというように、フレーム31A〜31Fが全て引き上げられて、所定の水深位置に保持された状態である。
このとき、整流板43のフレーム31Aと2段目のフレーム31Bとの間に取水開口44は、常時満水位Lの直ぐ下に位置している。
そして、各遮水膜34B〜34Gで各フレーム31B〜31Fおよび基礎コンクリート47の間が遮水され、整流板43のフレーム31Aと各フレーム31B〜31Gの両側が側部遮水カバー48で遮水されることから、整流板43のフレーム31Aと2段目のフレーム31Bとの間に取水開口44が表水層内に位置するので、表水層のみが取水開口44から流入して、取水口2aから取水できるようになる。
また、水位が常時満水位Lから最低水位L´まで下がったような場合には、電動ウインチ15によりワイヤー33を緩め下げることにより、各フレーム31B〜31Fが最下部のフレーム31Gの上に重なり合って保持された状態となる。
したがって、各遮水膜34B〜34Fが最下降されるから、下降した整流板43のフレーム31Aと2段目のフレーム31Bとの間の取水開口44が最低水位L´の直ぐ下の表水層内に位置するので、表水層のみが取水開口44から流入して、取水口2aから取水できるようになる。
一方、常時満水位Lの状態で、水温躍層の濁水を取水したいような場合には、電動ウインチ15によりワイヤー33を緩め下げて、下降した整流板43のフレーム31Aと2段目のフレーム31Bとの間の取水開口44が水温躍層内に位置するように調整すると、水温躍層の濁水のみが取水開口44から流入して、取水口2aから取水できるようになる。なお、深水層のみを取水したい場合も同様にして行うことができる。
また、側部遮水カバー48を設けているから、整流板43のフレーム31Aと各フレーム31B〜31Gの端部7aとの間の側部隙間から他層の水が遮水膜34B〜34Gの内部に流入することを防止することができる。
さらに、上部遮水カバー49を設けているから、整流板43のフレーム31Aとの間の上部隙間から水が遮水膜34B〜34Gの内部に流入することを防止できるようになる。
図1および図2に示した堰堤1は、垂直面であることを前提としたが、図3に示すように、堰堤1の上部が傾斜面1aであることが多い。このような場合でも、ガイドレール4は垂直に取付けられるので、堰堤1の上部との間に、上方から下方に向かって徐々に狭くなる逆三角形状の隙間が生じるようになる。
このため、整流板43のフレーム31Aの蓋45と堰堤1との間の上部隙間を塞ぐ上部遮水カバー49が最上昇時に堰堤1に接触するような奥行き寸法であれば、整流板43のフレーム31Aの下降時に、傾斜面1aから垂直面1bに至ると、上部遮水カバー49が堰堤1に強く押し付けられて接触抵抗が急増して、自重で下降しにくくなることがある。
そこで、この上部遮水カバー49を整流板43のフレーム31Aにヒンジ部49aでヒンジ結合するとともに、上部遮水カバー49の自由端部にローラ50を取付ける。
このようにすれば、堰堤1が傾斜している場合でも、堰堤1に倣って上部遮水カバー49が揺動するので、上部の隙間から水が遮水膜34B〜34Gの内部に流入することを確実に防止できるとともに、堰堤1にローラ50が接触するので、接触抵抗が減少して、上部遮水カバー49がスムーズに揺動するようになる。
図5〜図7はデッキタイプの実施例2であって、フロートタイプの実施例1の図1は図5に、図2は図6に、図3は図7にそれぞれ対応する。
実施例1では、堰堤1の前面(上流側の面)の前方に、水面Lに浮かぶフロート5が設置されて、このフロート5に電動ウインチ(昇降機)15が設置されているのに対して、実施例2は、堰堤1の前面(上流側の面)の上部に、水面Lよりも上方で前方に突出するフライングデッキ(操作台)30が設置されて、このフライングデッキ30に、電動ウインチ(昇降機)15が設置されている構成のみが相違し、その他の構成および作用効果は、実施例1と同じであるから、実施例1と同一番号を付して詳細な説明は省略する。
実施例1のフロート5に代えて、実施例2のようなフライングデッキ30を用いると、フライングデッキ30には、堰堤1の頂部から梯子などを利用して簡単に乗り移ることができる。
そして、電動ウインチ15は、堰堤1に設置したフライングデッキ30に取付けているから、堰堤1からフライングデッキ30に乗り移るだけで電動ウインチ15の日常的な保守・点検作業が簡単に行えるようになる。また、波浪の影響による無理な荷重が電動ウインチ15に作用しなくなるので、電動ウインチ15の耐久性が向上するようになる。
上記実施例1,2においては、基本的には、電動ウインチ15を取付けたフロート5またはフライングデッキ30と、遮水膜34B〜34Gを有するフレーム31B〜34G、およびゴム製遮水膜製の蓋45を水平に張って取付けた最上部のフレーム31Aでなる整流板43とを設ければ良いから、構造が簡単でコスト安であり、既存のダムに本実施例の選択取水設備を新たに設置する場合には、放流の一時停止やダム湖をドライにする必要などが全くなく、通常の放流を継続しながらの施工が可能であるから、土木構造物との取り合いを最小限に減らして施工を簡素化できるようになる。
また、上下多段で設けたフレーム31B〜31Gの各遮水膜34B〜34Gを上下方向にオーバーラップさせることにより、水深の異なるダム湖でも段数を変更するだけで容易に適用できるから、設置工事コストが安くできる。
さらに、遮水膜34B〜34Gは、フレキシビリティを有する合成ゴム若しくは合成樹脂製、あるいは布製であるから、軽量であるので据え付け工事が容易であり、フレーム31A〜31Gの昇降も容易であるとともに、コストが安くできる。なお、遮水膜34B〜34Gは金属製であってもよい。
上記各実施例は、堰堤1に取水口2aが形成されたものであったが、発電取水などのように、ダム湖の横護岸に取水口2aが形成されたものであっても良い。また、取水口2aは、ダムの堰堤1の下部(ダム底付近)に形成されたものであったが、中間部と下部との間に形成されたものであっても良い。
上記各実施例において、上記取水口2a近くの堰堤1に水深方向の水温を計測する水温計を設けて、上流流入水温と同じ水温レベルから取水できるように電動ウインチ15により整流板43のフレーム31Aと各フレーム31B〜31Fとともに遮水膜34B〜34Fを昇降制御して、上流流入水温と同じ水温の層の水を取水して放流することができる。
また、上記取水口2a近くの堰堤1に水深方向の濁度を計測する濁度計を設けて、この濁度に応じて電動ウインチ15により整流板43のフレーム31Aと各フレーム31B〜31Fとともに遮水膜34B〜34Fを昇降制御して、濁りの有る層または無い層の水を取水して放流することもできる。
本発明にかかる実施例1のフロートタイプの選択取水設備であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。 (a)はフロートの平面図、(b)は整流板の平面図、(c)はフレームの平面図である。 傾斜した堰堤に適したフロートタイプの選択取水設備であり、(a)は側面断面図、(b)はフロートの平面図、(c)は整流板の平面図である。 (a)はフレームの端部の平面断面図、(b)はフレームの要部側面断面図、(c)電動ウインチの平面図である。 本発明にかかる実施例2のフライングデッキタイプの選択取水設備であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。 (a)はフライングデッキの平面図、(b)は整流板の平面図、(c)はフレームの平面図である。 傾斜した堰堤に適したフライングデッキタイプの選択取水設備であり、(a)は側面断面図、(b)はフライングデッキの平面図、(c)は整流板の平面図である。 先行技術の選択取水設備の斜視図である。 (a)は上層取水時の側面断面図、(b)は全層取水時の側面断面図である。
符号の説明
1 堰堤
2a 取水口
4 ガイドレール
5 フロート
15 電動ウインチ(昇降機)
30 フライングデッキ(デッキ)
31A〜31G フレーム
33 ワイヤー
34B〜34G 遮水膜
43 整流板
44 取水開口
45 蓋
46 チェーン
48 側部遮水カバー
49 上部遮水カバー
49a ヒンジ部
50 ローラ

Claims (4)

  1. 堰堤の下部に形成された取水口の上方位置に、堰堤の前方で水面に浮かぶフロートまたは水面よりも上方で堰堤よりも前方に突出するデッキが設置されて、このフロートまたはデッキのほぼ真下に、所定の上下間隔で保持可能なフレームが多段で設けられ、この各フレームには、上側の遮水膜の下端が下側の遮水膜の上端にオーバーラップして取水口の周囲を遮水可能な遮水膜が吊下げられるとともに、最上部のフレームの上方に、所定の上下間隔で保持されて取水開口を形成する蓋付きフレームでなる整流板が設けられ、この整流板に、上記フロートまたはデッキに取付けられた昇降機のワイヤーが連結されて、昇降機の駆動によって取水開口を所定の取水層内に昇降させることを特徴とする遮水膜昇降式選択取水設備。
  2. 上記堰堤に、各フレームの端部との間の側部隙間を塞ぐ側部遮水カバーが設けられている請求項1記載の遮水膜昇降式選択取水設備。
  3. 上記整流板のフレームに、蓋部分と堰堤との間の上部隙間を塞ぐ上部遮水カバーが設けられている請求項1または2記載の遮水膜昇降式選択取水設備。
  4. 上記整流板のフレームに、蓋部分と堰堤との間の上部隙間を塞ぐ上部遮水カバーが設けられ、この上部遮水カバーは、堰堤の傾斜に倣うようヒンジ結合されて、その自由端部に、堰堤に接触するローラが取付けられている請求項1または2記載の遮水膜昇降式選択取水設備。
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