JP2005060839A - 耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靱性鋼管及びその製造方法 - Google Patents

耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靱性鋼管及びその製造方法 Download PDF

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【課題】高製造効率、低コストで製造できる、耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靱性鋼管およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.1%、Si:0.01〜0.5%、Mn:1.2〜2.5%、Mo:0.05〜0.4%、Ti:0.005〜0.04%、Al:0.08%以下を含有し、残部が実質的にFeからなり、原子%でのC量とMo、Tiの合計量との比であるC/(Mo+Ti)が1.2〜3であり、金属組織が実質的にフェライトとベイナイトと島状マルテンサイトとの3相組織であり、島状マルテンサイトの面積分率が3〜20%であることを特徴とする、耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靭性鋼管を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に原油や天然ガスを輸送するラインパイプに好適な、コーティング処理後の材質劣化の小さな大径溶接鋼管(UOE鋼管、スパイラル鋼管)及びその製造方法に関するものである。
主に原油や天然ガスを輸送するラインパイプにおいては、高強度、高靱性化に加え、耐震性の観点から低降伏比化も要求されている。一般に、鋼材の金属組織を、フェライトの様な軟質相の中に、ベイナイトやマルテンサイトなどの硬質相が適度に分散した組織にすることで、鋼材の低降伏比化が可能であることが知られている。この様な軟質相の中に硬質相が適度に分散した組織を得る製造方法として、焼入れ(Q)と焼戻し(T)の中間に、フェライトとオーステナイトの2相域からの焼き入れ(Q’)を施す熱処理方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。
また、特許文献1に開示されている様な複雑な熱処理を行わずに低降伏比化を達成する技術として、Ar3変態点以上で鋼材の圧延を終了し、その後の加速冷却速度と冷却停止温度を制御することで、針状フェライトとマルテンサイトの2相組織とし、低降伏比化を達成する方法が知られている(例えば特許文献2参照。)。
しかし、ラインパイプに用いられるUOE鋼管やERW鋼管の様な溶接鋼管は、鋼板を冷間で管状へ成形して、突き合わせ部を溶接後、通常防食等の観点から鋼管外面にコーティング処理が施されるため、製管時の加工歪みとコーティング処理時の加熱により歪み時効が生じ、降伏応力が上昇する。そのため、上述の様な方法にて素材の鋼板の低降伏比を達成しても、鋼管における低降伏比化を達成することは困難である。
耐歪み時効特性に優れた鋼材およびその製造方法としては、歪み時効の原因であるC、N含有量を制限し、且つNb、Tiを添加しC、Nと結合させることで、歪み時効を抑制する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭55−97425号公報 特開平1−176027号公報 特開2002-220634号公報
しかし、特許文献3に記載の技術では、その実施例が示すように、熱間圧延仕上り温度が低いため、極端に生産性が低下し製造コストの上昇を招く。
このように従来の技術では、生産性を低下させることなく、また製造コストを上昇させることなく、コーティング処理後も低降伏比を有する鋼管を製造することは困難である。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、高製造効率、低コストで製造できる、耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靱性鋼管およびその製造方法を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)、質量%で、C:0.03〜0.1%、Si:0.01〜0.5%、Mn:1.2〜2.5%、Mo:0.05〜0.4%、Ti:0.005〜0.04%、Al:0.08%以下を含有し、残部が実質的にFeからなり、原子%でのC量とMo、Tiの合計量との比であるC/(Mo+Ti)が1.2〜3であり、金属組織が実質的にフェライトとベイナイトと島状マルテンサイトとの3相組織であり、島状マルテンサイトの面積分率が3〜20%であることを特徴とする、耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靭性鋼管。
(2)、さらに、質量%で、Nb:0.005〜0.07%および/またはV:0.005〜0.1%を含有し、原子%でのC量とMo、Ti、Nb、Vの合計量との比であるC/(Mo+Ti+Nb+V)が1.2〜3であることを特徴とする(1)に記載の耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靭性鋼管。
(3)、さらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Ca:0.0005〜0.003%、B:0.005%以下の中から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靭性鋼管。
(4)、(1)ないし(3)のいずれかに記載の成分組成を有する鋼を、1000〜1300℃の温度に加熱し、Ar3温度以上の圧延終了温度で熱間圧延した後、5℃/s以上の冷却速度で450〜650℃まで加速冷却を行い、その後直ちに0.5℃/s以上の昇温速度で550〜750℃まで再加熱を行い、金属組織が実質的にフェライトとベイナイトと島状マルテンサイトとの3相組織であり、島状マルテンサイトの面積分率が3〜20%である鋼板として、該鋼板を冷間にて管状に成形し、突き合わせ部を溶接して鋼管とすることを特徴とする、耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靭性鋼管の製造方法。
本発明によれば、耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靱性鋼管を、高製造効率、低コストで製造することができる。このためラインパイプに使用する鋼管を、安価で大量に安定して製造することができ、生産性および経済性を著しく高めることができる。
本発明者らは前記課題を解決するために、鋼管原板の製造方法、特に制御圧延後の加速冷却とその後の再加熱という製造プロセスについて鋭意検討した結果、以下の(a)〜(d)の知見を得た。
(a)、加速冷却過程でベイナイト変態途中すなわち未変態オーステナイトが存在する温度領域で冷却を停止し、その後ベイナイト変態終了温度(以下Bf点と記載する。)以上から再加熱を行うことにより、鋼板の金属組織が、フェライト、ベイナイトの混合相中に硬質相である島状マルテンサイト(以下MAと記載する。)が均一に生成した3相組織となり、低降伏比化が可能である。また、このMAはコーティング時に300℃以下に加熱されても安定である。MAは、たとえば3%ナイタール溶液(nitral:硝酸アルコール溶液)でエッチング後、電解エッチングして観察すると、容易に識別可能である。図2は走査型電子顕微鏡(SEM)で鋼管のミクロ組織を観察した場合の写真であるが、MAは白く浮き立った部分として観測され、フェライト、ベイナイトの混合組織にMAが均一に生成している様子が確認できる。また、このMAはコーティング時の加熱後も安定である。
(b)、再加熱時の未変態オーステナイトからのフェライト変態時に、Mo、Tiと、場合によっては更にNbおよび/またはVとを含む複合析出物が析出する。また、加速冷却時に変態したベイナイトはCを過飽和に固溶しており、再加熱後の空冷時にベイナイト中からも前述の微細析出物が析出する。微細析出物の析出により、歪み時効の原因となる固溶CやNが減少するため、鋼管成形、コーティング処理後の歪み時効による降伏応力上昇を抑制することが可能である。
(c)、上記の複合析出物は非常に微細であるため、加速冷却時のベイナイト変態による強化に加え、微細析出物による析出強化が得られるため、合金元素が少ない低成分系の鋼においても高強度化が可能になる。
(d)、上記(a)、(b)および(c)の効果は、Mn等の焼入性向上元素を添加しMAの生成を促進すると共に、Mo、Ti等の炭化物形成元素を添加した鋼を用いることで得られる。
本発明は上記の知見により得られたもので、圧延後の加速冷却によって生成したベイナイト相と、その後の再加熱によって生じるTi、Moを基本として含有する析出物が分散析出したフェライト相、ベイナイト相と、硬質相であるMAが均一に生成した3相組織を有する耐歪み時効特性に優れた低降伏比高強度高靱性鋼管に関するものである。
以下、本発明の高強度鋼管について詳しく説明する。まず、本発明の高強度鋼管の組織について説明する。
本発明では、フェライト、ベイナイトに硬質相であるMAが均一に生成した組織とし、且つフェライト相中に微細析出物を析出させ歪み時効の原因となる固溶C、Nを減少させることで、コーティング処理後の鋼管において低降伏比を達成している。本発明における、MA生成のメカニズムは以下の通りである。スラブを加熱後、オーステナイト領域で圧延を終了し、その後Ar3変態温度以上で加速冷却を開始する。加速冷却をベイナイト変態途中すなわち未変態オーステナイトが存在する温度域で終了し、その後ベイナイト変態終了温度(Bf点)以上で再加熱を行い、その後冷却するという製造プロセスである。その組織の変化は次の通りである。加速冷却終了時のミクロ組織はベイナイトと未変態オーステナイトであり、Bf点以上で再加熱を行うことで未変態オーステナイトからのフェライト変態が生じるが、フェライトはC固溶量が少ないためCが未変態オーステナイトへ排出される。そのため、再加熱時のフェライト変態の進行に伴い、未変態オーステナイト中のC量が増加する。このとき、焼き入れ性を高め、オーステナイト安定化元素である、Mn、Cu、Ni等が一定以上含有されていると、再加熱終了時でもCが濃縮した未変態オーステナイトが残存し、再加熱後の冷却でMAへと変態し、最終的にベイナイト、フェライト、MAの3相組織となる。本発明では、加速冷却後、未変態オーステナイトが存在する温度域から再加熱を行うことが重要であり、再加熱開始温度がBf点以下となるとベイナイト変態が完了し未変態オーステナイトが存在しなくなるため、再加熱開始はBf点以上とする必要がある。また、再加熱後の冷却については、MAの変態や後述する微細炭化物の粗大化に影響を与えないため特に規定しないが、基本的に空冷とすることが好ましい。本発明では、ベイナイト変態途中で加速冷却を停止し、その後連続的に再加熱を行うことで、製造効率を低下させることなく硬質相であるMAを生成させることができ、硬質相を含んだ複合組織である3相組織とすることで低降伏比が達成できる。3相組織中のMAの割合は、MAの面積分率(圧延方向や板幅方向等の鋼板の任意の断面におけるMAの面積の割合)で、3〜20%とすることが望ましい。MAの面積分率が3%未満では低降伏比化を達成するには不十分な場合があり、また20%を超えると母材靱性を劣化させる場合がある。また、低降伏比化および母材靭性の観点から、MAの面積分率は5〜15%とすることが特に望ましい。なお、MAの面積分率は、例えばSEM観察により得られたミクロ組織を画像処理することによってMAの占める面積率を求めることで得ることができる。また、MAが粗大であると破壊の起点となり母材靭性を劣化させるため、MAの平均粒径は、10μm以下であることが望ましい。なお、MAの平均粒径は、SEM観察により得られたミクロ組織を画像処理し、個々のMAと同じ面積の円の直径を個々のMAについて求め、それらの直径の平均値として求めることができる。
また、鋼管成形、コーティング処理後の歪み時効による降伏応力上昇を抑制し、且つ高強度化を達成するために、加速冷却時のベイナイト変態による変態強化と、加速冷却後に再加熱してフェライト中に析出する微細複合炭化物の析出による析出強化を複合して活用することにより、合金元素を多量に添加することなく高強度化を達成する。フェライトは延性に富んでおり、一般的には軟質であるが、本発明では以下に述べる微細な複合炭化物の析出により高強度化する。合金元素を多量に添加しない場合には、加速冷却で得られるベイナイト単相組織だけでは強度不足であるが、析出強化されたフェライトにより十分な強度を有するものとなる。析出強化を活用した鋼板では一般的に高降伏比となるが、本発明ではフェライトやベイナイトのような他相と硬度差の大きなMAを均一に生成させることにより低降伏化を実現している。さらに、歪み時効の原因である固溶C、Nが微細析出物として固定されるため、鋼管成形、コーティング時の加熱後の歪み時効を抑制することが可能である。
なお、金属組織が、実質的にフェライトとベイナイトと島状マルテンサイトとの3相組織からなるとは、本発明の作用効果を無くさない限り、フェライト、ベイナイトおよびMA以外の組織を含有するものが、本発明の範囲に含まれることを意味する。
フェライトとベイナイトとMAとの3相組織に、パーライトなどの異なる金属組織が1種または2種以上混在する場合は、強度が低下するため、フェライト、ベイナイトおよびMA以外の組織の面積分率は少ない程良い。しかし、フェライト、ベイナイトおよびMA以外の組織の面積分率が低い場合は影響が無視できるため、トータルの面積分率で3%未満の他の金属組織を、すなわちパーライトやセメンタイト等を1種または2種以上含有してもよい。また、強度確保の観点からフェライトの面積分率を5%以上に、母材の靭性確保の観点からベイナイトの面積分率を10%以上にする事が望ましい。
次に、上記のフェライト相内に析出する微細な析出物について説明する。
本発明の鋼管では、フェライト相、ベイナイト相中のMoとTiとを基本として含有する析出物を、析出強化と耐歪み時効特性向上に活用している。Mo及びTiは鋼中で炭化物を形成する元素であり、MoC、TiCの析出により鋼を強化することは従来行われているが、本発明ではMoとTiを複合添加して、MoとTiとを基本として含有する複合炭化物を鋼中に微細に分散析出させることにより、MoCまたはTiCの析出強化の場合に比べて、より大きな強度向上効果が得られることが特徴である。この従来にない大きな強度向上効果は、MoとTiとを基本として含有する複合炭化物が安定でかつ成長速度が遅いので、粒径が10nm未満の極めて微細な析出物が得られることによるものである。この複合炭化物の微細析出物の個数率はTiNを除いた全析出物の95%以上であることが好ましい。なお、この微細な複合炭化物の析出物の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影した写真を画像処理し、個々の析出物と同じ面積の円の直径を個々の複合炭化物について求め、それらの直径の平均値として求めることができる。
MoとTiとを基本として含有する複合炭化物は、Mo、Ti、Cのみで構成される場合は、MoとTiの合計とCとが原子比で1:1の付近で化合しているものであり、高強度化に非常に効果がある。本発明では、Nbおよび/またはVを複合添加することにより、析出物がMo、TiとNbおよび/またはVを含んだ複合炭化物となり、同様の析出強化が得られることを見出した。
フェライト相中の析出物は、再加熱時の未変態オーステナイトからのフェライト変態界面において析出し、ベイナイト相中の析出物は再加熱後の空冷時に析出する。
本発明の鋼管は以上のように、析出物が微細析出したフェライト、ベイナイト相と、MAとの3相からなる複合組織を有するが、このような組織は以下のような組成の鋼を用いて、以下のような方法で製造することにより得ることができる。
まず、本発明の高強度鋼管の化学成分について説明する。以下の説明において%で示す単位は全て質量%である。
C:0.03〜0.1%とする。Cは炭化物として析出強化に寄与し、且つMA生成に重要な元素であるが、0.03%未満ではMAの生成に不十分であり、また十分な強度が確保できない。0.1%を超える添加はHAZ靭性を劣化させるだけでなく、耐歪み時効特性が低下するため、C含有量を0.03〜0.1%に規定する。さらに好適には、0.03〜0.08%である。
Si:0.01〜0.5%とする。Siは脱酸のため添加するが、0.01%未満では脱酸効果が十分でなく、0.5%を超えると靭性や溶接性を劣化させるばかりか、耐歪み時効特性を低下させるため、Si含有量を0.01〜0.5%に規定する。さらに好適には、0.01〜0.3%である。
Mn:1.2〜2.5%とする。Mnは強度、靭性向上、更に焼き入れ性を向上しMA生成を促すために添加するが、1.2%未満ではその効果が十分でなく、2.5%を超えると靱性ならびに溶接性が劣化するため、Mn含有量を1.2〜2.5%に規定する。Cu、Ni等を複合添加しない場合は、成分や製造条件の変動によらず、安定してMAを生成するために、1.5%以上添加することが望ましい。
Mo:0.05〜0.4%とする。Moは本発明において重要な元素であり、0.05%以上含有させることで、熱間圧延後冷却時のパーライト変態を抑制しつつ、Tiとの微細な複合炭化物を形成し、強度上昇に大きく寄与する。しかし、Moは微細炭化物を形成する元素の一つでありCを消費するため、0.4%を超えるとMA生成に必要な余剰Cが不足することから、Mo含有量を0.05〜0.4%に規定する。さらに、溶接熱影響部靭性の観点からMo含有量を0.1〜0.3%とすることが好ましい。
Ti:0.005〜0.04%とする。TiはMoと同様に本発明において重要な元素である。0.005%以上添加することで、Moとの複合炭化物やTiNを形成し、強度上昇や耐歪み時効特性に大きく寄与する。しかし、0.04%を超える添加は溶接熱影響部靭性の劣化を招くため、Ti含有量は0.005〜0.04%に規定する。さらに、Ti含有量を0.02%未満にすると、より優れた靭性を示す。このため、Nbおよび/またはVを添加して強度が確保出来る場合は、Ti含有量を0.005%以上、0.02%未満とすることが好ましい。
本発明の高強度鋼管は上記の成分の鋼を用いることで、TiとMoを含有する複合炭化物の微細析出物が得られるが、析出強化を最大限に利用し且つMAを生成させるためには、炭化物を形成する元素の含有量の割合を以下のように制限することが必要である。すなわち、原子%でのC量とMo、Tiの合計量との比である、C/(Mo+Ti)を1.2〜3とする。本発明による高強度化はTi、Moを含む析出物によるものである。この複合炭化物による析出強化を有効に利用するためには、C量と炭化物形成元素であるMo、Ti量の関係が重要であり、これらの元素を適正なバランスのもとで添加することによって、熱的に安定かつ非常に微細な複合炭化物の析出物を得ることが出来る。また、低降伏比化を達成するためには、複合炭化物で消費されるCより過剰にCを添加する必要がある。このとき原子%でのC量とMo、Tiの合計量との比である、C/(Mo+Ti)の値が1.2未満の場合、Cが全て微細複合炭化物の析出物に消費され、MAが生成しないため低降伏比化が達成できない。また、原子%でのC量とMo、Tiの合計量との比であるC/(Mo+Ti)の値が3を超える場合はCが過剰であり、耐歪み時効特性が低下し、また溶接熱影響部に島状マルテンサイトなどの硬化組織が形成され溶接熱影響部靭性の劣化を招くため、C/(Mo+Ti)の値を1.2〜3とする。なお、質量%の含有量を用いる場合には、各元素記号を質量%での各元素の含有量として(C/12.01)/(Mo/95.9+Ti/47.9)の値を1.2〜3とする。さらに好適には、1.4〜3である。
Al:0.08%以下とする。Alは脱酸剤として添加されるが、0.08%を超えると鋼の清浄度が低下し、靱性が劣化するため、Al含有量は0.08%以下に規定する。好ましくは、0.01〜0.08%とする。
Nbおよび/またはVは、Ti及びMoとともに微細複合炭化物を形成するので、本発明の鋼管は、Nbおよび/またはVを含有してもよい。
Nb:0.005〜0.07%とする。Nbは組織の微細粒化により靭性を向上させるが、Ti及びMoと共に複合炭化物を形成し、強度上昇、耐歪み時効特性に寄与する。しかし、0.005%未満では効果がなく、0.07%を超えると溶接熱影響部の靭性が劣化するため、Nb含有量は0.005〜0.07%に規定する。
V:0.005〜0.1%とする。VもNbと同様にTi及びMoと共に複合炭化物を形成し、強度上昇、耐歪み時効特性に寄与する。しかし、0.005%未満では効果がなく、0.1%を超えると溶接熱影響部の靭性が劣化するため、V含有量は0.005〜0.1%に規定する。
Nbおよび/またはVを含有する場合には、原子%でのC量とMo、Ti、Nb、Vの合計量の比である、C/(Mo+Ti+Nb+V)は1.2〜3とする。本発明による高強度化はTi、Moを含む複合炭化物によるが、Nbおよび/またはVを含有する場合はそれらを含んだ複合析出物(主に炭化物)となる。このとき各元素の原子%の含有量で表される、C/(Mo+Ti+Nb+V)の値が1.2未満の場合、Cが全て微細複合炭化物に消費され、MAが生成しないため低降伏比化が達成できない。また、3を超える場合はCが過剰であり、耐歪み時効特性が低下し、また溶接熱影響部に島状マルテンサイトなどの硬化組織が形成し溶接熱影響部靭性の劣化を招くため、C/(Mo+Ti+Nb+V)の値を1.2〜3とする。なお、質量%の含有量を用いる場合には、各元素記号を質量%での各元素の含有量として(C/12.01)/(Mo/95.9+Ti/47.9+Nb/92.91+V/50.94)の値を1.2〜3とする。さらに好適には、1.4〜3である。
本発明では、鋼管の強度靱性をさらに改善し、且つ焼き入れ性を向上させMAの生成を促す目的で、以下に示すCu、Ni、Cr、B、Caの1種又は2種以上を含有してもよい。
Cu:0.5%以下とする。Cuは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素である。その効果を得るためには、0.1%以上添加することが好ましいが、多く添加すると溶接性が劣化するため、添加する場合は0.5%を上限とする。
Ni:0.5%以下とする。Niは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素である。その効果を得るためには、0.1%以上添加することが好ましいが、多く添加するとコスト的に不利になり、また、溶接熱影響部靱性が劣化するため、添加する場合は0.5%を上限とする。
Cr:0.5%以下とする。CrはMnと同様に低Cでも十分な強度を得るために有効な元素である。その効果を得るためには、0.1%以上添加することが好ましいが、多く添加すると溶接性が劣化するため、添加する場合は0.5%を上限とする。
B:0.005%以下とする。Bは強度上昇、HAZ靭性改善に寄与する元素である。その効果を得るためには、0.0005%以上添加することが好ましいが、0.005%を超えて添加すると溶接性を劣化させるため、添加する場合は0.005%以下とする。
Ca:0.0005〜0.003%とする。Caは硫化物系介在物の形態を制御して靭性を改善する。0.0005%以上でその効果が現れ、0.003%を超えると効果が飽和し、逆に清浄度を低下させて靭性を劣化させるため、添加する場合には0.0005〜0.003%とする。
N:好ましくは0.007%以下とする。Nは不可避的不純物として扱うが、0.007%を越えると、溶接熱影響部靭性が劣化するため、好ましくは0.007%以下とする。
さらに、Ti量とN量の比であるTi/Nを最適化することで、TiN粒子により溶接熱影響部のオーステナイト粗大化を抑制することでき、良好な溶接熱影響部靭性を得ることが出来るため、好ましくはTi/Nを2〜8、さらに好ましくは2〜5とする。
上記以外の残部は実質的にFeからなり、不可避不純物をはじめ、本発明の作用効果を害さない元素を微量に添加することができる。例えば、Mg、REM、W、Zrをそれぞれ、0.02%以下添加しても良い。
次に、本発明の高強度鋼管原板の製造方法について説明する。
本発明の高強度鋼管原板は上記の成分組成を有する鋼を用い、加熱温度:1000〜1300℃、圧延終了温度:Ar3温度以上で熱間圧延を行い、その後5℃/s以上の冷却速度で450〜650℃まで加速冷却を行い、その後Bf点以上の温度から0.5℃/s以上の昇温速度で550〜750℃の温度まで再加熱を行うことで、金属組織をフェライトとベイナイトとMAの3相組織とし、MoとTiとを主体とする微細な複合炭化物をフェライト中に分散析出することができる。ここで、加熱温度、圧延終了温度、冷却終了温度および、再加熱温度等の温度は鋼板の平均温度とする。平均温度は、スラブもしくは鋼板の表面温度より、板厚、熱伝導率等のパラメータを考慮して、計算により求めたものである。また、冷却速度は、熱間圧延終了後、冷却終了温度(450〜650℃)まで冷却に必要な温度差をその冷却を行うのに要した時間で割った平均冷却速度である。また、昇温速度は、冷却後、再加熱温度(550〜750℃)の温度までの再加熱に必要な温度差を再加熱するのに要した時間で割った平均昇温速度である。以下、各製造条件について詳しく説明する。
加熱温度:1000〜1300℃とする。加熱温度が1000℃未満では炭化物の固溶が不十分で必要な強度ならびに降伏比が得られず、1300℃を超えると母材靭性が劣化するため、1000〜1300℃とする。
圧延終了温度:Ar3温度以上とする。圧延終了温度がAr3温度未満であると、その後のフェライト変態速度が低下するため、再加熱によるフェライト変態時に十分な微細析出物の分散析出が得られず、強度が低下する。また、再加熱時の未変態オーステナイトへのCの濃縮が不十分となりMAが生成しないため、圧延終了温度をAr3温度以上とする。
圧延終了後、直ちに5℃/s以上の冷却速度で冷却する。冷却速度が5℃/s未満では冷却時にパーライトを生成するため、MAが生成せず、またベイナイトによる強化が得られないため、十分な強度が得られない。よって、圧延終了後の冷却速度を5℃/s以上に規定する。また、冷却開始温度がAr3温度以下となりフェライトが生成すると、再加熱時に微細析出物の分散析出が得られず強度不足を招き、且つMAの生成も起こらないため、冷却開始温度をAr3温度以上とする。このときの冷却方法については製造プロセスによって任意の冷却設備を用いることが可能である。本発明では、加速冷却によりベイナイト変態領域まで過冷することにより、その後の再加熱時に温度保持することなくフェライト変態を完了させることが可能である。
冷却停止温度:450〜650℃とする。このプロセスは本発明において、重要な製造条件である。本発明では再加熱後に存在するCの濃縮した未変態オーステナイトがその後の空冷時にMAへと変態する。すなわち、ベイナイト変態途中の未変態オーステナイトが存在する温度域で冷却を停止する必要がある。冷却停止温度が450℃未満では、ベイナイト変態が完了するため空冷時にMAが生成せず低降伏比化が達成できない。650℃を超えると冷却中にパーライトが析出するため微細炭化物の析出が不十分となり十分な強度が得られず、また、パーライトにCが消費されMAが生成しないため、加速冷却停止温度を450〜650℃に規定する。MA生成の観点からは、好ましくは500〜650℃であり、より好ましくは530〜650℃である。
加速冷却停止後直ちに0.5℃/s以上の昇温速度で550〜750℃の温度まで再加熱を行う。このプロセスも本発明において重要な製造条件である。軟質相の強化や耐歪み時効特性向上に寄与する微細析出物は、再加熱時に析出する。さらに、再加熱時の未変態オーステナイトからフェライト変態と、それに伴う未変態オーステナイトへのCの排出により、再加熱後の空冷時にCが濃化した未変態オーステナイトがMAへと変態する。このような微細複合炭化物の析出物ならびにMAを得るためには、加速冷却後Bf点以上の温度から550〜700℃の温度域まで再加熱する必要がある。昇温速度が0.5℃/s未満では、目的の再加熱温度に達するまでに長時間を要するため製造効率が悪化し、またパーライト変態が生じるため、微細複合炭化物の分散析出やMAが得られず、十分な強度、低降伏比を得ることができない。再加熱温度が550℃未満では十分な析出駆動力が得られず微細複合炭化物の量が少ないため、耐歪み時効特性の低下や強度不足を招き、750℃を超えると析出物が粗大化し十分な強度が得られないため、再加熱の温度域を550〜750℃に規定する。本発明では、加速冷却後、未変態オーステナイトが存在する温度域から再加熱を行うことが重要であり、再加熱開始温度がBf点以下となるとベイナイト変態が完了し未変態オーステナイトが存在しなくなるため、再加熱開始はBf点以上とする必要がある。確実にフェライト変態させるためには、再加熱開始温度より50℃以上昇温することが望ましい。再加熱温度において、特に温度保持時間を設定する必要はない。本発明の製造方法を用いれば再加熱後直ちに冷却しても、十分な微細複合炭化物が得られるため高い強度が得られる。しかし、十分な微細複合炭化物を確保するために、30分以内の温度保持を行うことができる。30分を超えて温度保持を行うと、複合炭化物の粗大化を生じ強度が低下する場合がある。また、再加熱後の冷却過程において冷却速度によらず微細複合炭化物は粗大化しないため、再加熱後の冷却速度は基本的には空冷とすることが好ましい。
加速冷却後の再加熱を行うための設備として、加速冷却を行うための冷却設備の下流側に加熱装置を設置することができる。加熱装置としては、鋼板の急速加熱が可能であるガス燃焼炉や誘導加熱装置を用いる事が好ましい。
本発明の製造方法を実施するための設備の一例を図1に示す。図1に示すように、圧延ライン1には上流から下流側に向かって熱間圧延機3、加速冷却装置4、誘導加熱装置5、ホットレベラー6が配置されている。誘導加熱装置5あるいは他の熱処理装置を、圧延設備である熱間圧延機3およびそれに引き続く冷却設備である加速冷却装置4と同一ライン上に設置する事によって、圧延、冷却終了後迅速に再加熱処理が行えるので、圧延冷却後の鋼板温度を過度に低下させることなく加熱することができる。
さらに、溶接鋼管の製造方法について説明する。
本発明の溶接鋼管は、上述の製造条件で製造された鋼板を冷間にて管状に成形し、突き合わせ部を溶接して鋼管とする。管状への成形方法については特に規定しない。成形した鋼管のコーティング処理は、鋼管の温度が300℃以下の範囲で行うことが好ましい。コーティング時の鋼管の加熱温度が300℃を超えると、耐歪み特性の低下やMA分解による応力比の増加を招く場合がある。
図2に上記の製造方法を用いて製造した本発明鋼管(0.05mass%C−1.5mass%Mn−0.2mass%Mo−0.01mass%Ti)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を示す。図2によれば、フェライト(F)、ベイナイト(B)の混合組織に島状マルテンサイト(MA)が均一に生成している様子が確認できる。
表1に示す化学成分の鋼(鋼種A〜I)を連続鋳造法によりスラブとし、これを用いて板厚18、26mmの鋼板を製造し、外径24、48インチの溶接鋼管(No.1〜16)を製造した。
加熱したスラブを熱間圧延により圧延した後、直ちに水冷型の加速冷却設備を用いて冷却を行い、誘導加熱炉またはガス燃焼炉を用いて再加熱を行い鋼板を作製し、該鋼板を用いUOEプロセスにて溶接鋼管を製造し、その後鋼管外面にコーティング処理を施した。誘導加熱炉は加速冷却設備と同一ライン上に設置した。各鋼管(No.1〜16)の製造条件を表2に示す。なお、加熱温度、圧延終了温度、冷却停止(終了)温度および、再加熱温度等の温度は鋼板の平均温度とした。平均温度は、スラブもしくは鋼板の表面温度より、板厚、熱伝導率等のパラメータ、計算により求めた。また、冷却速度は、熱間圧延終了後、冷却停止(終了)温度まで冷却に必要な温度差をその冷却を行うのに要した時間で割った平均冷却速度である。また、再加熱速度(昇温速度)は、冷却後、再加熱温度までの再加熱に必要な温度差を再加熱するのに要した時間で割った平均昇温速度である。
以上のようにして製造した鋼管の引張特性を測定した。測定結果を表2に併せて示す。引張特性は、圧延垂直方向の全厚引張試験片を2本採取し、コーティング前後で引張試験を行い、引張強度および降伏比を測定し、その平均値で評価した。引張強度580MPa以上を本発明に必要な強度とし、降伏比85%以下を本発明に必要な降伏比とした。
母材靭性については、圧延垂直方向のフルサイズシャルピーVノッチ試験片を3本採取し、シャルピー試験を行い、−10℃での吸収エネルギーを測定し、その平均値を求めた。−10℃での吸収エネルギーが200J以上のものを良好とした。
溶接熱影響部(HAZ)靭性については、図3に示すように試験片を採取してシャルピー試験を行った。図3は鋼管のシーム溶接部の断面の概略図であるが、ノッチ9の部分が長さの比で、溶接金属:HAZ=1:1になるように、シーム溶接部の板厚中央部より、フルサイズシャルピーVノッチ試験片10を3本採取して−10℃でのシャルピー吸収エネルギーを測定し、その平均値を求めた。−10℃での吸収エネルギーが100J以上のものを良好とした。
表2において、本発明例であるNo.1〜9はいずれも、化学成分および製造方法が本発明の範囲内であり、引張強度580MPa以上の高強度で、コーティング処理前の降伏比が80%以下で、コーティング処理後も降伏比85%以下の低降伏比であり、耐歪時効特性に優れ、母材ならびに溶接熱影響部の靭性は100J以上で良好であった。また、鋼管の組織はフェライト、ベイナイト、島状マルテンサイトの3相組織であり、島状マルテンサイトの面積分率は3〜20%の範囲内であった。なお、島状マルテンサイトの面積分率は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したミクロ組織から画像処理により求めた。また、透過型電子顕微鏡観察、エネルギー分散型X線分光法による分析の結果、フェライト相中にTiとMo、一部の鋼管についてはさらにNbおよび/またはVを含む粒径10nm未満の微細な複合炭化物の分散析出が観察された。
No.10〜12は、化学成分は本発明の範囲内であるが、製造方法が本発明の範囲外であるため、強度、降伏比が不十分であった。No.13〜16は化学成分が本発明の範囲外であるので、十分な強度が得られないか、降伏比が高いか、HAZ靭性が劣っていた。
本発明の製造方法を実施するための製造ラインの一例を示す概略図。 本発明の鋼管を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真。 試験片の採取位置を示す、鋼管のシーム溶接部の断面の概略図。
符号の説明
1 圧延ライン
2 鋼板
3 熱間圧延機
4 加速冷却装置
5 誘導加熱装置
6 ホットレベラー
7 鋼板
8 溶接金属
9 ノッチ
10 試験片
11 HAZ
F フェライト
B ベイナイト
MA 島状マルテンサイト

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.03〜0.1%、Si:0.01〜0.5%、Mn:1.2〜2.5%、Mo:0.05〜0.4%、Ti:0.005〜0.04%、Al:0.08%以下を含有し、残部が実質的にFeからなり、原子%でのC量とMo、Tiの合計量との比であるC/(Mo+Ti)が1.2〜3であり、金属組織が実質的にフェライトとベイナイトと島状マルテンサイトとの3相組織であり、島状マルテンサイトの面積分率が3〜20%であることを特徴とする、耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靭性鋼管。
  2. さらに、質量%で、Nb:0.005〜0.07%および/またはV:0.005〜0.1%を含有し、原子%でのC量とMo、Ti、Nb、Vの合計量との比であるC/(Mo+Ti+Nb+V)が1.2〜3であることを特徴とする請求項1に記載の耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靭性鋼管。
  3. さらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Ca:0.0005〜0.003%、B:0.005%以下の中から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靭性鋼管。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の成分組成を有する鋼を、1000〜1300℃の温度に加熱し、Ar3温度以上の圧延終了温度で熱間圧延した後、5℃/s以上の冷却速度で450〜650℃まで加速冷却を行い、その後直ちに0.5℃/s以上の昇温速度で550〜750℃まで再加熱を行い、金属組織が実質的にフェライトとベイナイトと島状マルテンサイトとの3相組織であり、島状マルテンサイトの面積分率が3〜20%である鋼板として、該鋼板を冷間にて管状に成形し、突き合わせ部を溶接して鋼管とすることを特徴とする、耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高靭性鋼管の製造方法。
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