JP2005060452A - ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】スコーチ特性を損なうことなく、高温での加硫時におけるリバージョンを抑制し、効率的に硫黄架橋させたゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム、および下記一般式(1)を満足するフッ化黒鉛を含有するゴム組成物。ジエン系ゴム100重量部に対して、前記フッ化黒鉛を0.1〜50重量部含有することが好ましい。
−(CFx)n− (1)
(式(1)中、nは整数、xは1または2である。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジエン系ゴムの高温での硫黄加硫時においてフッ化黒鉛化合物を配合したゴム組成物に関し、とくに、スコーチ特性を損なうことなくリバージョン(加硫戻り)を抑制するゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ジエン系ゴムに加硫剤として硫黄を用い高温加硫すると、図1のような架橋点間をつないだポリサルファイド結合が開裂し、リバージョン(加硫戻り)がおこる。リバージョンがおこると、加硫物特性が低下し、目的の物性を得ることが困難であった。その対策法として、加硫温度を低くする方法や、通常の配合量よりも硫黄量を減らし加硫促進剤量を増やすことで、効率的に硫黄加硫反応させるセミEV加硫(準有効加硫)やEV加硫(有効加硫)等の方法がとられてきたが、その副次効果として、加硫速度に時間を要し加硫ゴムの生産性を下げたり、スコーチ特性を損ない加工性等に問題を生じることがあった。
【0003】
また、ジエン系ゴムに膨張黒鉛を配合したゴム組成物が報告されているが、リバージョン抑制効果は満足いくものではなかった(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−293990号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、スコーチ特性を損なうことなく、高温での加硫時におけるリバージョンを抑制し、効率的に硫黄架橋させることで得られるゴム組成物の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ジエン系ゴム、および下記一般式(1)を満足するフッ化黒鉛を含有するゴム組成物に関する。
【0007】
−(CFx)n− (1)
(式(1)中、nは整数、xは1または2である。)
【0008】
また、ジエン系ゴム100重量部に対して、前記フッ化黒鉛を0.1〜50重量部含有することが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物はジエン系ゴムおよびフッ化黒鉛からなる。
【0010】
本発明のゴム組成物に用いられるジエン系ゴム成分としては、任意のジエン系ゴムが用いられ、たとえば天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ポリクロロプレンゴム(CR)などがあげられる。ジエン系ゴムは単独で、あるいは任意のブレンドとして使用できる。
【0011】
本発明のゴム組成物には、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM、EPDM)、および炭素数が4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムの中から選ばれる少なくとも1種の非ジエン系ゴムを任意のブレンドとして使用できる。
【0012】
前記ジエン系ゴムには、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂を任意のブレンドとして使用できる。
【0013】
本発明で用いられるフッ化黒鉛は一般式(1)で表される。
【0014】
−(CFx)n− (1)
(式(1)中、nは整数、xは1または2である。)
【0015】
フッ化黒鉛の含有量は、ゴム成分100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜10重量部である。フッ化黒鉛の含有量が0.1重量部未満では、リバージョン抑制効果が得られない傾向がある。また、50重量部をこえると、耐摩耗性が低下する傾向がある。
【0016】
本発明のゴム組成物には、他にカーボンブラックなどの補強剤、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、カップリング剤等のタイヤまたは一般のゴム組成物に用いられる各種配合剤および添加剤を配合することができ、これら配合剤、添加剤の配合量も一般的な量とすることができる。
【0017】
カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100重量部に対して、0〜200重量部であることが好ましく、20〜100重量部であることがより好ましい。200重量部をこえると、加工性が悪化する傾向がある。
【0018】
本発明では、補強剤として、シリカおよび/または一般式(2)で表わされる無機充填剤を配合することができる。
【0019】
mM・xSiOy・zHO (2)
(Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウムおよびジルコニウムからなる群から選ばれる金属、該金属の酸化物、水酸化物およびそれらの水和物、ならびに該金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも1種であり、m、x、yおよびzは定数)
【0020】
加硫剤としては硫黄を用いることが好ましい。
【0021】
加硫剤の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜4重量部であることがより好ましい。配合量が0.1重量部未満では、架橋密度が少なく物性が著しく低下する傾向がある。また、10重量部をこえると、硬度が高くなりすぎ、また耐熱性および耐老化性が低下する傾向がある。
【0022】
加硫促進剤の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることがより好ましい。配合量が0.1重量部未満では、加硫速度が著しく低下する傾向がある。また、10重量部をこえると、ゴム焼けが発生する傾向がある。
【0023】
本発明で用いられるオイルとしては、具体的にはプロセスオイル、アロマオイル、植物性オイルなどがあげられる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例にもとづいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
【0025】
実施例1〜3および比較例
実施例および比較例で使用した原料を以下にまとめて示す。
天然ゴム:テックビーハング社製のRSS#3
カーボンブラック:昭和キャボット(株)製のショウワブラックN220
オイル:(株)ジャパンエナジー製のJOMOプロセスX140
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
フッ化黒鉛:セントラルガラス(株)製のセフボン−CMA
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
【0026】
<加工方法>
硫黄、加硫促進剤を除く配合成分を、1.7リットルの密閉型バンバリーミキサーで3〜5分混練りし、温度が165℃に達したら配合ゴムを排出し、ベース練りゴムとする。ベース練りゴム、硫黄および加硫促進剤をオープンロールで混練りし、ゴム組成物を得る。
【0027】
<試験方法>
(1)スコーチ時間
JIS K6300に基づき、130℃にて粘度が5ポイント上昇する時間(分)を測定した。
(2)加硫時間
JIS K6300に基づき、170℃にて95%加硫度に達する時間(分)を測定した。また、最大トルクから30分後のトルクの変化率を一般式(3)により求めた。
{(最大トルク)−(30分後のトルク)}/(最大トルク)×100=(最大トルクからの減少率(%)) (3)
【0028】
結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 2005060452
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、フッ化黒鉛化合物を配合することにより、通常の加硫剤量および加硫促進剤量を配合したゴム組成物のリバージョンを抑制し、かつスコーチ特性を損なうことのないゴム組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、架橋点間をつなぐポリサルファイド結合が開裂して生じるリバージョンを説明する図である。

Claims (2)

  1. ジエン系ゴム、および下記一般式(1)を満足するフッ化黒鉛を含有するゴム組成物。
    −(CFx)n− (1)
    (式(1)中、nは整数、xは1または2である。)
  2. ジエン系ゴム100重量部に対して、前記フッ化黒鉛を0.1〜50重量部含有する請求項1記載のゴム組成物。
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