JP2005060151A - シリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶ウェーハ - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコン同位体28Siの含有率が天然のシリコンよりも高く熱伝導率が高い高品質のシリコン単結晶を製造することができるシリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶ウェーハを提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法によりシリコン原料融液からシリコン単結晶を引上げて製造する方法であって、少なくとも、石英ルツボ中にシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のシリコン多結晶を充填し、加熱溶融してシリコン原料融液を生成し、種結晶を該シリコン原料融液に浸した後に引き上げてシリコン単結晶を成長させ、且つ該シリコン単結晶の引上げ速度Vと、シリコン固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配Gとの比V/Gを、前記シリコン単結晶の欠陥領域が径方向の全面にわたってN領域となるように保持しながら又は所定量窒素をドープして前記シリコン単結晶を成長させるシリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶ウェーハ。
【選択図】なし
【解決手段】チョクラルスキー法によりシリコン原料融液からシリコン単結晶を引上げて製造する方法であって、少なくとも、石英ルツボ中にシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のシリコン多結晶を充填し、加熱溶融してシリコン原料融液を生成し、種結晶を該シリコン原料融液に浸した後に引き上げてシリコン単結晶を成長させ、且つ該シリコン単結晶の引上げ速度Vと、シリコン固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配Gとの比V/Gを、前記シリコン単結晶の欠陥領域が径方向の全面にわたってN領域となるように保持しながら又は所定量窒素をドープして前記シリコン単結晶を成長させるシリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶ウェーハ。
【選択図】なし
Description
本発明は、半導体デバイス作製用のシリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶ウェーハに関する。詳しくは、シリコン元素の同位体28Siの含有率が天然のシリコン元素よりも高いシリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶ウェーハに関する。
従来、シリコン単結晶ウェーハや該ウェーハ上にシリコン薄膜を気相成長させたものを基板とし、その上にパワーデバイス等の個別半導体デバイスや半導体デバイス集積回路が作製された半導体装置が広く利用されている。近年、半導体デバイスの動作速度の高速化及び高電力化や、半導体デバイス集積回路の急速な高集積化に伴って、半導体デバイス自体の発熱が問題となっている。このような発熱は半導体デバイスの低速化を招き、或いは誤動作や破壊の原因となるため、発熱に対する対策は重要課題である。また、これは集積回路だけでなくパワーデバイスにおいても同様である。
半導体デバイス集積回路やパワーデバイス内に発生した熱の一部は、集積回路やパワーデバイスが作製されるシリコン基板を通して外部に放熱されることが確認されており、デバイスの作製段階でシリコン基板を薄くすることにより、デバイス内に発生した熱を効率よく外部に逃がすことができる。また、シリコン基板を温度の低いまたは放熱性の高い他の物体に密着させることにより、基板中の熱を外部に逃がしやすくする工夫も行われている。具体的にはシリコン基板を放熱板に物理的に密着させる方法、ペルチェ素子などの低温装置に物理的に密着させる方法、液体窒素などの冷媒により冷却する方法などがある。また、空冷ファンを用いて外部から冷却する方法もある。
このように従来では、半導体装置を外側から冷やすことに重点が置かれているが、その一方でシリコンの同位体組成比を制御してシリコン基板自体の熱伝導度を向上させて放熱効率を高める方法が開示されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。前述の通り、集積回路やパワーデバイス内に発生した熱の一部は回路やパワーデバイスが作製されるシリコン基板を通して外部に放出されるので、シリコン基板自体の熱伝導度を高めることで放熱を促進することが可能である。
具体的には、シリコン元素は28Si、29Si、30Siの3種類の安定同位体から構成されており、これら同位体の組成比は天然のシリコンにおいては28Siが92.23%、29Siが4.67%、30Siが3.10%と常に一定である。天然の同位体組成を有するシリコン単結晶基板の熱伝導度は室温において150Wm−1K−1程度であるが、この熱伝導度の値は上記3種類の安定同位体が上記の一定組成比で混在していることから制限されたものとなっている。Rufらは、同位体28Siの含有率を99.8588%にまで高めたシリコン単結晶を作製し、その熱伝導度が天然の同位体組成比を有するシリコン単結晶の熱伝導度と比較して、27℃で60%、100℃では40%以上も上昇することを示した(例えば非特許文献1参照)。この報告は、シリコン単結晶中に含まれる同位体28Siの含有率を、天然のシリコンにおける同位体28Siの含有率より高くすれば、シリコン単結晶の熱伝導度を高めることができることを示唆している。
ところで、従来シリコン単結晶の製造において用いられる代表的な方法にチョクラルスキー法(CZ法)がある。CZ法においてはシリコン単結晶の原料となるシリコン融液を収容するためにルツボが用いられるが、このルツボの材料としては通常、石英(SiO2)が選ばれる。この石英ルツボ中に含まれるシリコンも通常は天然の同位体組成比を有する。石英ルツボに収容された高温のシリコン融液は石英ルツボの内部表面を侵食するので、石英ルツボの内部表面を構成するシリコン原子と酸素原子がシリコン融液中に融け出す。ここで、天然の同位体組成比を有する単結晶シリコンを製造する場合には、通常シリコン原料融液も天然の同位体組成比を有するものを用いるので、石英ルツボを構成するシリコンの同位体組成比はシリコン融液の同位体組成比と一致する。従って、石英ルツボの内部表面からシリコン融液中へシリコン原子が融け出しても、製造するシリコン単結晶の同位体組成比がシリコン融液の同位体組成比から変化することはない。
しかしながら、上記3種のシリコン同位体28Si、29Si、30Siのうちのいずれかの含有率が天然のシリコンよりも高いシリコン単結晶を製造しようとする場合には、シリコン原料融液中における該同位体の含有率を天然のシリコンにおける含有率よりも充分に高くしていても、種結晶及び石英ルツボの原料として天然のシリコンの同位体組成比と同一のものを用いると、製造したシリコン単結晶における該同位体の含有率は原料であるシリコン融液における含有率よりも低下する結果となる(例えば非特許文献1及び非特許文献2参照)。これは、該同位体の含有率が高いシリコン融液に該同位体の含有率がそれよりは低い種結晶やルツボが接触してその一部が融け出すことにより、シリコン融液中のその同位体の含有率を低下させるためと考えられる。
上記問題を解決するため、特許文献3には、以下の2つの方法が開示されている。第1の方法は、例えばCZ法を用いたシリコン単結晶の製造方法において、シリコン融液及び種結晶におけるシリコン元素の同位体28Siの含有率をともに92.3%以上とする方法である。この方法では、シリコン融液のみならず種結晶についても同位体28Siの含有率が92.3%以上とするので、種結晶をシリコン融液に接触させる際に種結晶からシリコン融液中にシリコン原子が融け出しても、製造したシリコン単結晶における同位体28Siの含有率は92.3%以上に保たれ、同位体28Siの含有率が天然のシリコンよりも高いシリコン単結晶が確実に得られるようになる。ここで、種結晶における同位体28Siの含有率はシリコン融液における同位体28Siの含有率とほぼ等しいことが好ましく、このようにすれば、製造したシリコン単結晶における同位体28Siの含有率はそのシリコン融液及び種結晶における同位体28Siの含有率とほぼ一致するようになるので、シリコン単結晶の同位体28Siの含有率を所望の値に正確にコントロールできるようになるとされている。また、第2の方法は、CZ法を用いる場合に、上記の第1の方法に加えて、シリコン融液を収容するルツボの材料を石英とし、且つその石英におけるシリコンの同位体28Siの含有率を92.3%以上とする方法である。このようにすれば、シリコン単結晶の同位体28Siの含有率を所望の値にさらに正確にコントロールできるようになる。また、その石英における同位体28Siの含有率をシリコン融液におけるシリコン元素の同位体28Siの含有率とほぼ等しくすると更に好ましいことが開示されている。
なお、このように同位体の一種の含有率を高めたSiは、ガス拡散法、遠心分離法、レーザー分離法等により生産することができる(例えば特許文献4参照)。
また、CZ法において使用される石英ルツボとして、細かな気泡を高密度で含む多気泡層を外層として外部加熱源からルツボ内部への熱伝導を均一にし、その内層を所定の厚さ(0.5mm以上)からなる内表面が荒れていない平滑な合成シリカガラス層で形成した石英ルツボを用いると、単結晶の安定した成長が可能であるとされている(例えば特許文献5参照)。
一方、このように単結晶を成長させる場合に、グローンイン(Grown−in)欠陥と呼ばれる結晶欠陥が単結晶に取り込まれる。
一般に、シリコン単結晶を成長させるときに、結晶成長速度(結晶引き上げ速度)Vが比較的高速な場合には、空孔型の点欠陥が集合したボイド起因とされているFPD(Flow Pattern Defect)やCOP(Crystal Originated Particle)等の欠陥が結晶径方向全域に高密度に存在する。これらのボイド起因欠陥が存在する領域はV(Vacancy)領域と呼ばれている。
一般に、シリコン単結晶を成長させるときに、結晶成長速度(結晶引き上げ速度)Vが比較的高速な場合には、空孔型の点欠陥が集合したボイド起因とされているFPD(Flow Pattern Defect)やCOP(Crystal Originated Particle)等の欠陥が結晶径方向全域に高密度に存在する。これらのボイド起因欠陥が存在する領域はV(Vacancy)領域と呼ばれている。
また、結晶成長速度を低くしていくと、成長速度の低下に伴いOSF(Oxidation induced Stacking Fault:酸素誘起積層欠陥)領域が結晶の周辺からリング状に発生し、さらに成長速度を低速にすると、OSFリングが結晶の中心に収縮して消滅する。さらに成長速度を低速にすると、格子間シリコンが集合した転位ループ起因と考えられているLSEPD(Large Secco Etch Pit Defect)、LFPD(Large Flow Pattern Defect)等の欠陥が低密度に存在し、これらの転位ループ起因欠陥が存在する領域はI(Interstitial)領域と呼ばれている。
また、近年、V領域とI領域の中間に、上記のボイド起因欠陥も転位ループ起因欠陥も存在しないN(Neutral)領域と呼ばれる無欠陥領域の存在が発見されている。このN領域をさらに分類すると、OSFリングの外側に隣接するNv領域(空孔の多い領域)とI領域に隣接するNi領域(格子間シリコンが多い領域)とがあり、Nv領域では、熱酸化処理をした際に酸素析出量が多く、Ni領域では酸素析出が殆ど無いことがわかっている。
これらのグローンイン欠陥は、前記結晶引き上げ速度V(mm/min)と固液界面近傍のシリコンの融点から1400℃の間の引き上げ軸方向の結晶温度勾配G(℃/mm)の比であるV/G(mm2/℃・min)というパラメータにより、その導入量が決定されると考えらている(例えば非特許文献3)。すなわち、V/Gを所定の値で一定に制御しながら単結晶を成長させることにより、所望の欠陥領域あるいは所望の無欠陥領域を有する単結晶を製造することができる。図3はV/Gと上記の欠陥領域との関係を示す説明図である。
従来、CZ法において、同位体28Siの含有率が高い結晶はあったが、結晶の品質については全く考慮されておらず、結晶欠陥の少ない、高熱伝導率のシリコン単結晶の成長条件等に関しては全く開示されていなかった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、シリコン同位体28Siの含有率が天然のシリコンよりも高く熱伝導率やキャリア移動度が高い高品質のシリコン単結晶を製造することができるシリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶ウェーハを提供することを目的とする。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、シリコン同位体28Siの含有率が天然のシリコンよりも高く熱伝導率やキャリア移動度が高い高品質のシリコン単結晶を製造することができるシリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶ウェーハを提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明は、チョクラルスキー法によりシリコン原料融液からシリコン単結晶を引上げて製造する方法であって、少なくとも、石英ルツボ中にシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のシリコン多結晶を充填し、該シリコン多結晶をヒータで加熱溶融してシリコン原料融液を生成し、種結晶を該シリコン原料融液に浸した後に該種結晶を引き上げてシリコン単結晶を成長させ、且つ該シリコン単結晶の直胴部を成長させるときの引上げ速度をV(mm/min)、シリコン固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配をG(℃/mm)で表したとき、VとGの比V/G(mm2/℃・min)を、前記シリコン単結晶の欠陥領域が径方向の全面にわたってN領域となるように保持しながら前記シリコン単結晶を成長させることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法を提供する(請求項1)。
このように、同位体28Siが92.3%以上の含有率のシリコン原料融液を用いて、引上げ速度V(mm/min)と結晶温度勾配G(℃/mm)の比V/G(mm2/℃・min)を、シリコン単結晶の欠陥領域が径方向の前面にわたってN領域となるように保持しながらシリコン単結晶を成長させれば、結晶成長時に取り込まれるグローンイン欠陥をなくすことが可能となり、熱伝導率やキャリア移動度が十分高く、且つ転位ループ起因のLSEPD、LFPD等の欠陥や、空孔クラスタ起因のFPD、COP等のグローンイン欠陥のない無欠陥のシリコン単結晶を製造することが可能になる。
尚、熱伝導率やキャリア移動度をより高くするためには、28Siの含有率を94%以上とすることがより好ましく、さらに98%以上とすることが一層好ましい。
尚、熱伝導率やキャリア移動度をより高くするためには、28Siの含有率を94%以上とすることがより好ましく、さらに98%以上とすることが一層好ましい。
また、本発明は、チョクラルスキー法によりシリコン原料融液からシリコン単結晶を引上げて製造する方法であって、少なくとも、石英ルツボ中にシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のシリコン多結晶を充填し、該シリコン多結晶をヒータで加熱溶融してシリコン原料融液を生成し、種結晶を該シリコン原料融液に浸した後に該種結晶を引き上げてシリコン単結晶を成長させ、且つ該シリコン単結晶中の窒素濃度が1×1013から5×1015atoms/cm3となるように窒素をドープして該シリコン単結晶を成長させることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法を提供する(請求項2)。
このように、同位体28Siが92.3%以上の含有率のシリコン原料融液を用いて、シリコン単結晶中の窒素濃度が1×1013から5×1015atoms/cm3となるように窒素をドープして前記シリコン単結晶を成長させれば、シリコン単結晶の欠陥領域がV領域又はI領域であれば空孔クラスタ又は転位ループを縮小させることができるので、それに起因するグローンイン欠陥の大きさを小さくすることができ、N領域であればN領域となるV/Gの範囲を拡大させることができるので、V/Gの制御が容易となる。しかも、窒素ドープにより結晶中の酸素析出が促進され、ゲッタリング能力の高いシリコン単結晶を製造することができる。従って確実に結晶欠陥を減少させた高品質且つ熱伝導率やキャリア移動度が十分高いシリコン単結晶を製造することが可能になる。尚、窒素濃度が1×1013atoms/cm3未満であると窒素による効果が不十分となり、一方5×1015atoms/cm3を越えると単結晶が無転位とならない場合がある。
この場合も、熱伝導率やキャリア移動度をより高くするためには、28Siの含有率を94%以上とすることがより好ましく、さらに98%以上とすることが一層好ましい。
この場合も、熱伝導率やキャリア移動度をより高くするためには、28Siの含有率を94%以上とすることがより好ましく、さらに98%以上とすることが一層好ましい。
このとき、前記シリコン単結晶中の酸素濃度が5ppmaから25ppmaとなるように前記シリコン単結晶を成長させることが好ましい(請求項3)。
このように、シリコン単結晶中の酸素濃度が5ppmaから25ppma(JEIDA:日本電子工業振興協会規格)となるように前記シリコン単結晶を成長させれば、機械的強度が高く、適度にゲッタリング能力を有するとともに、熱伝導率やキャリア移動度が十分高い高品質のシリコン単結晶を製造することが可能になる。
このように、シリコン単結晶中の酸素濃度が5ppmaから25ppma(JEIDA:日本電子工業振興協会規格)となるように前記シリコン単結晶を成長させれば、機械的強度が高く、適度にゲッタリング能力を有するとともに、熱伝導率やキャリア移動度が十分高い高品質のシリコン単結晶を製造することが可能になる。
また、前記シリコン単結晶中の炭素濃度が0.18×1016から0.61×1016atoms/cm3となるように前記シリコン単結晶を成長させることが好ましい(請求項4)。
このように、シリコン単結晶中の炭素濃度が0.18×1016から0.61×1016atoms/cm3(New ASTM:新米国標準規格)となるように前記シリコン単結晶を成長させれば、低温域での酸素析出を促進するので、金属不純物等のゲッタリング能力が高く、且つ熱伝導やキャリア移動度が十分高い高品質のシリコン単結晶を製造することが可能になる。
このように、シリコン単結晶中の炭素濃度が0.18×1016から0.61×1016atoms/cm3(New ASTM:新米国標準規格)となるように前記シリコン単結晶を成長させれば、低温域での酸素析出を促進するので、金属不純物等のゲッタリング能力が高く、且つ熱伝導やキャリア移動度が十分高い高品質のシリコン単結晶を製造することが可能になる。
また、前記シリコン単結晶の直径が150mm以上となるように前記シリコン単結晶を成長させることが好ましい(請求項5)。
このように、シリコン単結晶の直径が150mm以上となるように前記シリコン単結晶を成長させれば、大口径ウェーハを作製できるので半導体デバイスを収率よく製造するのに適し、特に近年需要が高まっている直径が200mmや300mmといった大口径であり、且つ熱伝導やキャリア移動度が十分高い高品質のシリコン単結晶を製造することが可能になる。
このように、シリコン単結晶の直径が150mm以上となるように前記シリコン単結晶を成長させれば、大口径ウェーハを作製できるので半導体デバイスを収率よく製造するのに適し、特に近年需要が高まっている直径が200mmや300mmといった大口径であり、且つ熱伝導やキャリア移動度が十分高い高品質のシリコン単結晶を製造することが可能になる。
また、前記石英ルツボ内のシリコン原料融液に中心磁場強度が300から6000ガウスの磁場を印加しながら前記シリコン単結晶を成長させることが好ましい(請求項6)。
このように、シリコン原料融液に中心磁場強度が300から6000ガウスの磁場を印加しながら前記シリコン単結晶を成長させれば、シリコン融液の粘度が高まり、石英ルツボの内表面のシリコン融液による侵食が表面から深くまで及ばず、石英ルツボの寿命を延ばすことが可能になる。また、シリコン単結晶中に取り込まれる酸素濃度を制御し易くなるとともに、大口径結晶の育成における有転位化を防止して効率よく単結晶を製造できる。
このように、シリコン原料融液に中心磁場強度が300から6000ガウスの磁場を印加しながら前記シリコン単結晶を成長させれば、シリコン融液の粘度が高まり、石英ルツボの内表面のシリコン融液による侵食が表面から深くまで及ばず、石英ルツボの寿命を延ばすことが可能になる。また、シリコン単結晶中に取り込まれる酸素濃度を制御し易くなるとともに、大口径結晶の育成における有転位化を防止して効率よく単結晶を製造できる。
また、前記種結晶としてシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のものを使用することが好ましい(請求項7)。
このように、前記種結晶としてシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のものを使用すれば、成長させるシリコン単結晶の28Siの含有率を確実に天然のシリコンの同位体組成比以上とすることができ、熱伝導率やキャリア移動度が十分高いシリコン単結晶を製造することが可能になる。
このように、前記種結晶としてシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のものを使用すれば、成長させるシリコン単結晶の28Siの含有率を確実に天然のシリコンの同位体組成比以上とすることができ、熱伝導率やキャリア移動度が十分高いシリコン単結晶を製造することが可能になる。
また、本発明は、上記の方法により製造されたシリコン単結晶棒より製造されたものであることを特徴とするシリコン単結晶ウェーハを提供する(請求項8)。
上記の方法により製造されたシリコン単結晶棒より製造されたシリコン単結晶ウェーハであれば、これを基板として作製された半導体デバイスの動作時における発熱の放熱効率が高く、動作速度の速い高品質の半導体デバイスの作製に適し、且つ結晶欠陥の少ない高品質のシリコン単結晶ウェーハとすることが可能になる。
上記の方法により製造されたシリコン単結晶棒より製造されたシリコン単結晶ウェーハであれば、これを基板として作製された半導体デバイスの動作時における発熱の放熱効率が高く、動作速度の速い高品質の半導体デバイスの作製に適し、且つ結晶欠陥の少ない高品質のシリコン単結晶ウェーハとすることが可能になる。
本発明に従い、同位体28Siが92.3%以上の含有率のシリコン原料融液を用いて、V/G(mm2/℃・min)を、シリコン単結晶の欠陥領域が径方向の前面にわたってN領域となるように保持しながらシリコン単結晶を成長させれば、熱伝導率やキャリア移動度が十分高く、且つ転位ループ起因のLSEPD、LFPD等の欠陥や、空孔クラスタ起因のFPD、COP等のグローンイン欠陥のない無欠陥のシリコン単結晶を製造することが可能になる。
また、同位体28Siが92.3%以上の含有率のシリコン原料融液を用いて、シリコン単結晶中の窒素濃度が1×1013から5×1015atoms/cm3となるように前記シリコン単結晶を成長させれば、シリコン単結晶の欠陥領域がV領域又はI領域であれば空孔クラスタ又は転位ループを縮小させることができるので、それに起因するグローンイン欠陥の大きさを小さくすることができ、熱処理により消滅させ易いものとなるし、N領域であればN領域となるV/Gの範囲を拡大させることができるので、V/Gの制御が容易となる。しかも、窒素ドープにより結晶中の酸素析出が促進され、ゲッタリング能力の高いシリコン単結晶を製造することができる。従って確実に結晶欠陥を減少させた高品質のシリコン単結晶を製造することが可能になる。
さらに、シリコン原料融液に中心磁場強度が300から6000ガウスの磁場を印加しながら前記シリコン単結晶を成長させれば、シリコン融液の粘度が高まり、石英ルツボの内表面のシリコン融液による侵食が表面から深くまで及ばず、石英ルツボの寿命を延ばすことが可能になるとともに、大口径結晶の育成における有転位化を防止して効率よく単結晶を製造できる。
また、同位体28Siが92.3%以上の含有率のシリコン原料融液を用いて、シリコン単結晶中の窒素濃度が1×1013から5×1015atoms/cm3となるように前記シリコン単結晶を成長させれば、シリコン単結晶の欠陥領域がV領域又はI領域であれば空孔クラスタ又は転位ループを縮小させることができるので、それに起因するグローンイン欠陥の大きさを小さくすることができ、熱処理により消滅させ易いものとなるし、N領域であればN領域となるV/Gの範囲を拡大させることができるので、V/Gの制御が容易となる。しかも、窒素ドープにより結晶中の酸素析出が促進され、ゲッタリング能力の高いシリコン単結晶を製造することができる。従って確実に結晶欠陥を減少させた高品質のシリコン単結晶を製造することが可能になる。
さらに、シリコン原料融液に中心磁場強度が300から6000ガウスの磁場を印加しながら前記シリコン単結晶を成長させれば、シリコン融液の粘度が高まり、石英ルツボの内表面のシリコン融液による侵食が表面から深くまで及ばず、石英ルツボの寿命を延ばすことが可能になるとともに、大口径結晶の育成における有転位化を防止して効率よく単結晶を製造できる。
以下では、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
前述のように、シリコン単結晶中に含まれる同位体28Siの含有率を、天然のシリコンにおける同位体28Siの含有率より高くすれば、シリコン単結晶の熱伝導度を高めることができるので、そのようなシリコン単結晶ウェーハを基板として用いた半導体デバイス集積回路やパワーデバイス内に発生した熱の放熱を促進することができる。そしてその結果、キャリア移動度の低下を防ぐことができる。
前述のように、シリコン単結晶中に含まれる同位体28Siの含有率を、天然のシリコンにおける同位体28Siの含有率より高くすれば、シリコン単結晶の熱伝導度を高めることができるので、そのようなシリコン単結晶ウェーハを基板として用いた半導体デバイス集積回路やパワーデバイス内に発生した熱の放熱を促進することができる。そしてその結果、キャリア移動度の低下を防ぐことができる。
しかしながら、従来、CZ法において、同位体28Siの含有率が高く、且つ結晶欠陥の少ない、高品質のシリコン単結晶の成長条件等に関しては全く開示されていなかった。
本発明者らは、引上げ速度V(mm/min)と結晶温度勾配G(℃/mm)の比V/G(mm2/℃・min)を、シリコン単結晶の欠陥領域が径方向の前面にわたってN領域となるように保持しながらシリコン単結晶を成長させれば、結晶成長時に取り込まれるグローンイン欠陥をなくすことが可能となり、熱伝導率やキャリア移動度が十分高く、且つ転位ループ起因のLSEPD、LFPD等の欠陥や、空孔クラスタ起因のFPD、COP等のグローンイン欠陥のない無欠陥のシリコン単結晶を製造することが可能になることを見出し、本発明を完成させた。
以下では、本発明の実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法を用いてシリコン単結晶を製造する装置の一例を示したものである。この装置の基本構造は従来知られたCZ法によりシリコン単結晶を製造するためのものであり、引き上げ炉10の内部に、シリコン原料融液11を収容する石英ルツボ12が黒鉛ルツボ13に囲繞されて設置されている。
図1は、本発明の一実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法を用いてシリコン単結晶を製造する装置の一例を示したものである。この装置の基本構造は従来知られたCZ法によりシリコン単結晶を製造するためのものであり、引き上げ炉10の内部に、シリコン原料融液11を収容する石英ルツボ12が黒鉛ルツボ13に囲繞されて設置されている。
この石英ルツボ12については特に制限はないが、多気泡のルツボ基体12aと、気泡を含まず透明であり、表面が平滑な内層である合成シリカガラス層12bとからなるものであることが好ましい。
このような石英ルツボは従来の回転成型装置を用いて製造することができる。具体的には、まず成型装置の回転型内に結晶質天然石英粉及び/又はシリカ粉を供給して、型内に設置した電極を用いたアーク放電等で粉体を加熱熔融・冷却することにより多気泡ルツボ基体12aを形成する。次にルツボ基体12aの内側を加熱しながら高純度の合成シリカ粉を供給すると、供給された合成シリカの一部が熔融してルツボ基体12aの内表面に付着し、基体12aと一体的で実質的に無気泡な透明合成シリカガラス層12bが形成される。透明合成シリカガラス層12bは、形成したルツボ基体12a内部にCVD法等により形成してもよい。
このような石英ルツボは従来の回転成型装置を用いて製造することができる。具体的には、まず成型装置の回転型内に結晶質天然石英粉及び/又はシリカ粉を供給して、型内に設置した電極を用いたアーク放電等で粉体を加熱熔融・冷却することにより多気泡ルツボ基体12aを形成する。次にルツボ基体12aの内側を加熱しながら高純度の合成シリカ粉を供給すると、供給された合成シリカの一部が熔融してルツボ基体12aの内表面に付着し、基体12aと一体的で実質的に無気泡な透明合成シリカガラス層12bが形成される。透明合成シリカガラス層12bは、形成したルツボ基体12a内部にCVD法等により形成してもよい。
ルツボ基体12aの原料粉は、Na、K、Liの各々の含有量が0.3ppm以下でAl含有量が5ppm以上のものであることが好ましい。アルカリ金属であるNa、K、Liの各イオンは石英ガラス中の高温での拡散速度が比較的速く、内層表面の劣化に影響し、また引き上げるシリコン単結晶の品質を悪化させる。Na、K、Li含有量が0.3ppm以下であれば、上記のような問題は発生しない。また、Alが含有されることにより石英ルツボの耐熱強度が向上するが、十分な耐熱強度を確保するために5ppm以上含有されることが好ましい。Al含有量の上限は特に制限されるものではないが、結晶天然石英粉の原料として通常使用される水晶のAl含有量は約60ppm以下であり、それ以上増加させても耐熱強度は特に向上しないので、5〜60ppmのAl含有量の結晶質天然石英粉の使用が工業的に有利である。
ルツボ基体12aは多気泡であるため、シリコン単結晶引き上げ時に外部加熱源からのルツボ内部への熱伝導を均一にすると共にルツボの機械的強度を高め、シリコン単結晶引き上げ時(約1450℃)の熱変形を少なくする効果を持つ。基体12aの外表面近傍に結晶質石英成分が偏在するように構成すると、熱変形をさらに少なくすることができる。
無気泡の透明合成シリカガラス層12bは、ゾルゲル法、火炎加水分解法あるいは他の公知の方法により合成されたシリカから得られる非多孔性の非晶質シリカ粉体を用いて形成することができる。無気泡であり表面が平滑な透明合成シリカガラス層とするために、粉体は非多孔性を示す尺度である比表面積が5m2/g以下のものであることが望ましい。
さらに、透明シリカガラス層12bのOH基含有量は200ppm以下であることが好ましい。透明シリカガラス層12bのOH基含有量が200ppm以上であると、強度が低くなり軟化し易くなるとともに、シリコン融液に対する溶解速度が速くなる。その結果、この石英ルツボを用いてシリコン単結晶を引き上げる場合にシリコン融液との界面で凹凸が生じ、シリコン融液面の上下振動が起こり、引き上げたシリコン単結晶の直径が変動したり、引き上げ不良が増加し好ましくない。さらにOH基含有量が500ppm以上になるとシリコン単結晶の引き上げ中にしばしば結晶の切断が起こる。しかしOH基含有量が200ppm以下であれば、このような不具合は抑制され、安定したシリコン単結晶の引き上げを行うことができる。
また、透明シリカガラス層12bの厚さが0.5mm以上であれば、シリコン単結晶引き上げ中にルツボ内表面が溶け出しても十分な厚さがあるため、全てのガラス層12bが溶けて表面の荒れが発生することが非常に少ないので、シリコン単結晶の引き上げを安定して遂行でき、より長時間の使用にも耐え得る石英ルツボとなる。この場合透明シリカガラス層12bの厚さは厚い方が好ましいが、あまりに厚くするとコスト高となるので、20mmもあれば十分である。尚、石英ルツボの透明シリカガラス層12bのシリコン融液への溶出速度を予め測定しておき、シリコン単結晶育成時間の最大値から透明シリカガラス層12bの厚さの上限を求めることができる。
このような石英ルツボは、内層が平滑な透明シリカガラス層を有するので、結晶成長において、有転位を発生させることも非常に少ないものとなる利点がある。ルツボ基体12a及び透明シリカガラス層12bに含まれるSiの同位体28Siの含有率については限定はないが、92.3%以上であってもよい。
引け上げ炉10の内壁のこれらのルツボ12、13を囲む部分は断熱材15で覆われており、ルツボ12、13と断熱材15との間にはルツボ12、13を加熱するための黒鉛ヒータ16が備えられている。ヒータ16は図示しないヒータ駆動手段により駆動することが可能である。ルツボ12、13は引き上げ炉の下部から延びた回転軸17の上端部に取り付けられており、モータ26で回転軸17を駆動することにより石英ルツボ12を水平回転させることが可能である。
種結晶14は引き上げ炉10の上方空間内を上下に延びたワイヤ18の下端部に取り付けられており、このワイヤ18を引き上げ炉10の上部に設けられたワイヤ巻き取り機27により操作して、種結晶14を上下に移動させ、或いは軸まわりに回転させることが可能である。
引き上げ炉10の内部にはガス整流筒19が設けられており、このガス整流筒19の下部にはシリコン原料融液11と対向するように遮熱部材20を設置して、原料融液11の表面からの輻射をカットするとともに原料融液11の表面を保温するようにしている。また、ガス整流筒19の上部には、ガス整流筒19を昇降させて遮熱部材20の位置を上下に調整できる遮熱部材駆動手段21が設置されている。尚、遮熱部材20の形状や材質等は特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更することができるし、必ずしも上記のようにガス整流筒19の下部に設置されているものに限定されず、原料融液11の表面に対向して設置されたものであればよい。
また、引き上げ炉10の上部に設けられたガス導入口22からバルブ等により流量を調整しながらアルゴンガス等の不活性ガスを導入し、ガス流出口23からバルブ等により流量を調整しながら排出することができる。これらの機構により、引き上げ炉10内の圧力を調整できる。
引き上げ炉10の外部にはソレノイドを対向して置いた磁場発生装置24が設置されている。この磁場発生装置24は常伝導タイプのものでもよいが、消費電力を鑑みれば超伝導タイプのものが好ましい。
次にこの製造装置を用いたシリコン単結晶の製造工程の一例を図2(a)、(b)に従って説明する。まず図2(a)に示すように、石英ルツボ12にシリコン単結晶の原料である超高純度かつ28Siが92.3%以上の含有率のシリコン多結晶を粗く砕いて洗浄したものを充填し、同時にドープ剤も投入する。そしてヒータ16により高温に加熱溶融して、28Siが92.3%以上の含有率のシリコン融液11を生成する。投入するドープ剤として、シリコン単結晶を所望の電気抵抗率とするためにリン(P)やボロン(B)を含有したシリコン塊等の不純物ドープ剤と、グローンイン欠陥の大きさを小さくするために表面に窒化珪素膜を形成したシリコン基板等とを用いる。また、シリコン単結晶のゲッタリング能力を高めるために炭素粉を投入してもよい。尚、熱伝導率やキャリア移動度をより高くするためには、28Siの含有率を94%以上とすることがより好ましく、さらに98%以上とすることが一層好ましい。また、ドープ剤に含まれるシリコンも、28Siが92.3%以上の含有率のものであることが好ましい。その他ドープ剤の投入方法は任意である。
また、このとき投入するドープ剤は、成長させるシリコン単結晶中の窒素濃度が1×1013から5×1015atoms/cm3となるように投入量を調整する。このような窒素濃度であれば、後の結晶成長工程において導入されるグローンイン欠陥の大きさを小さくすることができる、あるいはそのようなグローンイン欠陥の無い無欠陥の単結晶製造を容易にすることができる。
このようにしてシリコン融液11が生成したら、ルツボ12、13をモータ26と回転軸17により水平回転させ、ワイヤ18をワイヤ巻き取り機27により降下させて28Siを92.3%以上含有する種結晶14をシリコン融液11に接触させる。また、シリコン融液11が生成してから種結晶14を融液に接触させる間に、磁場発生装置24によりシリコン融液11への磁場印加を開始する。
このとき印加する磁場は、中心磁場強度が300から6000ガウスであることが好ましい。このような磁場を印加しながら前記シリコン単結晶を成長させれば、シリコン融液11の粘度が高まり、石英ルツボ12の内表面の透明シリカガラス層12bのシリコン融液11による侵食が表面から深くまで及ばず、石英ルツボ12の寿命を延ばすことが可能になる。また、磁場強度の調整により、シリコン単結晶中に取り込まれる酸素濃度を容易に制御することができる。磁場の方向としては引き上げ軸と垂直であることが好ましいが上記効果が得られれば、磁場の方向は限定されない。
種結晶14をシリコン融液11に接触させる時に、種結晶の一部がシリコン融液11の中へわずかに融け出す。このとき、種結晶14としてシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のものを使用すれば、このように種結晶14の一部は融け出しても、シリコン融液11は28Siの含有率が確実に92.3%以上のものとなる。
種結晶14がシリコン融液11に接触したら、図2(b)に示すように種結晶14をルツボ12、13と反対方向に回転させながら静かに引き上げて、絞り部を形成した後直径が所望の値となるまで拡径し、所望の直径を有するほぼ円柱形状の直胴部を有するシリコン単結晶棒25を成長させることができる。
このようにして、28Siが92.3%以上の含有率のシリコン融液11から28Siが92.3%以上の含有率のシリコン単結晶棒25を成長させる。
このシリコン単結晶棒25は、熱伝導率やキャリア移動度が十分高いものとなり、このシリコン結晶棒25より製造されたシリコン単結晶ウェーハは、これを基板として作製された半導体デバイスの動作時における発熱の放熱効率が高く、動作速度の速い高品質の半導体デバイスの作製に適する高品質のシリコン単結晶ウェーハとなる。尚、熱伝導率やキャリア移動度をより高くし、放熱効率や動作速度をより高めるためには、28Siの含有率を94%以上とすることがより好ましく、さらに98%以上とすることが一層好ましい。
このシリコン単結晶棒25は、熱伝導率やキャリア移動度が十分高いものとなり、このシリコン結晶棒25より製造されたシリコン単結晶ウェーハは、これを基板として作製された半導体デバイスの動作時における発熱の放熱効率が高く、動作速度の速い高品質の半導体デバイスの作製に適する高品質のシリコン単結晶ウェーハとなる。尚、熱伝導率やキャリア移動度をより高くし、放熱効率や動作速度をより高めるためには、28Siの含有率を94%以上とすることがより好ましく、さらに98%以上とすることが一層好ましい。
このとき、シリコン単結晶25の直胴部を成長させるときの引上げ速度をV(mm/min)、シリコン固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配をG(℃/mm)で表したとき、VとGの比V/G(mm2/℃・min)を所定の値で一定に制御しながら単結晶を成長させることにより、N領域、V領域、I領域等の所望の欠陥領域あるいは無欠陥領域を有する単結晶を製造することができる。
特にV/Gを前記シリコン単結晶の欠陥領域が径方向の全面にわたってN領域となるように保持しながら前記シリコン単結晶を成長させれば、結晶成長時に取り込まれるグローンイン欠陥を減少させることが可能となり、熱伝導率やキャリア移動度が十分高く、且つ転位ループ起因のLSEPD、LFPD等の欠陥や、空孔クラスタ起因のFPD、COP等のグローンイン欠陥がない無欠陥のシリコン単結晶とすることが可能になる。このようなN領域単結晶が得られるV/Gの値としては、Gを固液界面近傍のシリコンの融点から1400℃までの平均値としたとき、0.14〜0.18mm2/℃・min程度である。
V/Gの制御は、引き上げ速度Vを調整したり、印加磁場の強度、ヒータ16の温度や位置、遮熱部材20の位置、種結晶14やルツボ12、13の回転速度、ガス導入口より導入されるアルゴンガス等の不活性ガスの流量や引き上げ炉内の圧力等を調整することにより制御することができる。ただし、直胴部の直径が一定となるように制御する必要がある。
また、前述のように、シリコン単結晶中の窒素濃度が1×1013から5×1015atoms/cm3であれば、V/Gの値によりシリコン単結晶ウェーハの欠陥領域がV領域又はI領域となる場合には、空孔クラスタ又は転位ループを縮小させることができるのでそれらに起因するグローンイン欠陥の大きさを小さくすることができる。また、グローンイン欠陥の大きさが小さくなることに伴い、V領域又はI領域とN領域の境界が移動し、N領域となるV/Gの範囲が拡大するので、N領域であれば、結晶成長の際にN領域となるようにV/Gを制御するのがより容易となる。さらに、窒素ドープにより結晶中の酸素析出が促進され、ゲッタリング能力の高いシリコン単結晶を製造することができる。
また、結晶成長中に石英ルツボ12の内表面の酸素原子がシリコン融液11中に融け出すことにより、シリコン単結晶棒25中に酸素が混入するが、このときのシリコン単結晶棒25中の酸素濃度が5ppmaから25ppmaであれば、シリコン単結晶棒25およびそれを用いて作製されたシリコン単結晶ウェーハの機械的強度を高め、適度にゲッタリング能力を有するものとできる。酸素濃度の調整は石英ルツボ12の内表面のOH基の含有量を調整することにより行ってもよいし、前述のようにシリコン融液11に印加する磁場強度や石英ルツボ12の回転数を調整することにより行ってもよい。
また、28Si含有率が92.3%以上のシリコン多結晶原料を石英ルツボに充填する際に、高純度の炭素を適量添加してシリコン単結晶を育成することで、シリコン単結晶棒25中に炭素が混入するが、この炭素は酸素析出物の形成を促進する。さらにこの酸素析出物は、金属不純物を捕獲するゲッタリング能力を有する。このときのシリコン単結晶棒25中の炭素濃度が0.18×1016から0.61×1016atoms/cm3であれば、適切な量の酸素析出物が形成され、ゲッタリング能力を高くすることができる。炭素濃度の調整はシリコン多結晶を石英ルツボに充填するときに炭素粉をドープ剤として投入することによって行ってもよいし、COを用いたガスドープとしてもよい。さらに、炭素をドープすることによりN領域単結晶が得られる引き上げ速度が速くなり、生産性を向上させることができるという効果がある。
また、シリコン単結晶棒25の直胴部の直径は150mm以上であることが好ましい。このように直径が150mm以上、特に近年需要が高まっている直径が200mmや300mmの大口径シリコン単結晶とすれば、それから作製したシリコン単結晶ウェーハから半導体デバイスを高品質に製造することが可能となる。
以下に本発明の実施例をあげてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1、実施例2)
図1に示したCZ法によるシリコン単結晶製造装置でシリコン単結晶を製造した。使用した石英ルツボは直径350mmの基体を天然石英で形成し、その内層に厚さ1mmの合成シリカガラス層をCVD法により成長させたものである。この石英ルツボを黒鉛ルツボで囲繞して引き上げ炉内に設置した。
(実施例1、実施例2)
図1に示したCZ法によるシリコン単結晶製造装置でシリコン単結晶を製造した。使用した石英ルツボは直径350mmの基体を天然石英で形成し、その内層に厚さ1mmの合成シリカガラス層をCVD法により成長させたものである。この石英ルツボを黒鉛ルツボで囲繞して引き上げ炉内に設置した。
次にこの石英ルツボにシリコン多結晶を粗く砕いて洗浄したものを充填した。充填したシリコン多結晶は、2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて測定した結果、28Siの含有量が99.900%であった。実施例1としてシリコン多結晶と同時にBを添加した窒化珪素膜付きのシリコン基板を投入した。また、実施例2としてシリコン多結晶と同時にBを添加した窒化珪素膜無しのシリコン基板を投入した。そしてヒータによりルツボを加熱してシリコン融液を生成した。
次に石英ルツボを水平回転させ、磁場印加装置により引き上げ軸と垂直方向に3000ガウスの磁場を印加した。そして種結晶をワイヤで降下させ、シリコン融液に接触させた。このとき用いた種結晶は、SIMSを用いて測定した結果、28Siの含有量が99.900%であった。
次に種結晶を石英ルツボと反対方向に回転させながら引き上げて、絞り部を形成した後直径を150mmまで拡径した。その後V/Gの値がN領域となる値でかつ直径が150mmで一定になるようにシリコン単結晶棒を直胴部の長さで約100cm成長させた。
このように成長させたシリコン単結晶棒の直胴部の長さ方向に等間隔な5点を測定点として選択し、SIMSによる測定を行ったところ、実施例1、2とも、28Siの含有量が99.800%であり、有意差は見られなかった。これは用いたシリコン多結晶、種結晶における28Siの含有量とほぼ同等の高い値である。
また、実施例1のシリコン単結晶棒中の格子間酸素濃度をFTIR(Fourier Transform Infrared Spectrometer)で測定した結果、12ppmaであった。また、石英ルツボの回転数と印加磁場強度を調整することにより、格子間酸素濃度を約5から25ppmaの値に調節できることがわかった。
また、SIMS及びFTIRの分析により、実施例1のシリコン単結晶中の窒素濃度は1×1014atoms/cm3であり、本発明において最適な窒素濃度である1×1013から5×1014atoms/cm3を満たす濃度であることが確認された。
さらに実施例1、2のシリコン単結晶棒から製造したシリコン単結晶ウェーハを赤外線トモグラフィーで調査したところ、グローンイン欠陥が観測されなかった。
さらに実施例1、2のシリコン単結晶棒から製造したシリコン単結晶ウェーハを赤外線トモグラフィーで調査したところ、グローンイン欠陥が観測されなかった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
10…引き上げ炉、 11…シリコン原料融液、
12…石英ルツボ、 12a…ルツボ基体、 12b…合成シリカガラス層、
13…黒鉛ルツボ、 14…種結晶、 15…断熱材、 16…ヒータ、
17…回転軸、 18…ワイヤ、 19…ガス整流筒、 20…遮熱部材、
21…遮熱部材駆動手段、 22…ガス導入口、 23…ガス流出口、
24…磁場発生装置、 25…シリコン単結晶、
26…モータ、 27…ワイヤ巻き取り機。
12…石英ルツボ、 12a…ルツボ基体、 12b…合成シリカガラス層、
13…黒鉛ルツボ、 14…種結晶、 15…断熱材、 16…ヒータ、
17…回転軸、 18…ワイヤ、 19…ガス整流筒、 20…遮熱部材、
21…遮熱部材駆動手段、 22…ガス導入口、 23…ガス流出口、
24…磁場発生装置、 25…シリコン単結晶、
26…モータ、 27…ワイヤ巻き取り機。
Claims (8)
- チョクラルスキー法によりシリコン原料融液からシリコン単結晶を引上げて製造する方法であって、少なくとも、石英ルツボ中にシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のシリコン多結晶を充填し、該シリコン多結晶をヒータで加熱溶融してシリコン原料融液を生成し、種結晶を該シリコン原料融液に浸した後に該種結晶を引き上げてシリコン単結晶を成長させ、且つ該シリコン単結晶の直胴部を成長させるときの引上げ速度をV(mm/min)、シリコン固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配をG(℃/mm)で表したとき、VとGの比V/G(mm2/℃・min)を、前記シリコン単結晶の欠陥領域が径方向の全面にわたってN領域となるように保持しながら前記シリコン単結晶を成長させることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
- チョクラルスキー法によりシリコン原料融液からシリコン単結晶を引上げて製造する方法であって、少なくとも、石英ルツボ中にシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のシリコン多結晶を充填し、該シリコン多結晶をヒータで加熱溶融してシリコン原料融液を生成し、種結晶を該シリコン原料融液に浸した後に該種結晶を引き上げてシリコン単結晶を成長させ、且つ該シリコン単結晶中の窒素濃度が1×1013から5×1015atoms/cm3となるように窒素をドープして該シリコン単結晶を成長させることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
- 前記シリコン単結晶中の酸素濃度が5ppmaから25ppmaとなるように前記シリコン単結晶を成長させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記シリコン単結晶中の炭素濃度が0.18×1016から0.61×1016atoms/cm3となるように前記シリコン単結晶を成長させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記シリコン単結晶の直径が150mm以上となるように前記シリコン単結晶を成長させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記石英ルツボ内のシリコン原料融液に中心磁場強度が300から6000ガウスの磁場を印加しながら前記シリコン単結晶を成長させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記種結晶としてシリコン同位体元素28Siが92.3%以上の含有率のものを使用することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の方法により製造されたシリコン単結晶棒より製造されたものであることを特徴とするシリコン単結晶ウェーハ。
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JP2007022901A (ja) * | 2005-06-15 | 2007-02-01 | Siltronic Ag | シリコン単結晶の製造装置及び製造方法 |
JP2010018500A (ja) * | 2008-07-11 | 2010-01-28 | Sumco Corp | シリコン単結晶の育成方法およびシリコン単結晶 |
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-
2003
- 2003-08-08 JP JP2003290743A patent/JP2005060151A/ja active Pending
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