JP2005059455A - 薬品包装用多層シートの製造方法 - Google Patents

薬品包装用多層シートの製造方法 Download PDF

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義之 山森
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Abstract

【課題】本発明の課題は、防湿特性の優れたPVDC層の厚みの厚いPTP用多層シートの生産性の優れる製造方法を提供することである。
【解決手段】ベース基材上に塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを塗布後、多数の乾燥ゾーンからなる乾燥機を通して乾燥するにあたり、ラテックス表層が皮膜化しないように、乾燥機の第一ゾーンにおいて塩化ビニリデン系共重合体ラテックス塗布層側に直接熱風を当てずに裏面からの加熱により加熱乾燥する薬品包装用多層シートの製造方法。

Description

本発明は、医薬品包装の分野で、固形剤包装用として一般に用いられているPTP(プレス・スルー・パック)用多層シートの製造方法に関する。
PTP包装は医薬品包装の分野で、錠剤、カプセル剤等の固形剤包装用として硬質ポリ塩化ビニル(PVC)やポリプロピレン(PP)からなるシートをベース基材として用い、該ベース基材をポケット形状に成形し、その中に固形剤(錠剤、カプセル剤等)を充填し、アルミ箔からなる蓋剤で密封した包装体であり、広く普及してきた。更に、固形剤に防湿性の求められるものには、上記硬質塩化ビニルやポリプロピレンに防湿特性の優れるポリ塩化ビニリデン(PVDC)やポリ塩化トリフルオロエチレン(PCTFE)を積層した多層シートが使われている。中でもPVCにPVDCを積層した多層シートはコストと防湿特性のバランスが優れている点から用いられる事が多い。本多層シートは一般にPVCシート上にPVDCラテックスを塗布・乾燥させて得られる。防湿特性はPVDC層の厚みが厚いほど優れているが、PVCシート上に水に分散したPVDCラテックスを塗布・乾燥させるときに一度に厚みを厚くすると、PVDCラテックスの表層が乾燥・皮膜化し、水の蒸発を阻害し、膜中に水分が多量に残留してしまう。膜中に水分が多量に残留しているとPTPシートを加熱・成形するときに、膜中に残留する水分が急激に気化・膨張するため発泡してしまう問題点を有していた。そのために一度に塗布するPVDCラテックス層は10μm以下の薄層とせざる得ず、厚いPVDC層を形成するためにはPVDC層を何層も繰り返し塗布・乾燥させる(特許文献1参照)必要があり、生産性や歩留まりの阻害要因となっていた。
特開昭61−268444号公報
本発明の課題は、防湿特性の優れたPVDC層の厚みの厚いPTP用多層シートの生産性の優れる製造方法を提供することである。
本発明は、
(1)ベース基材上に塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを塗布後、多数の乾燥ゾーンからなる乾燥機を通して乾燥するにあたり、乾燥機の第一ゾーンにおいて塩化ビニリデン系共重合体ラテックス塗布層側に直接熱風を当てずに裏面からの加熱により加熱乾燥することを特徴とする薬品包装用多層シートの製造方法、
(2)裏面からの加熱方法が、赤外線あるいは遠赤外線方式である(1)記載の薬品包装用多層シートの製造方法、
(3)一度に塗布する塩化ビニリデン系共重合体ラテックス層の厚みが、乾燥後に10μmを超え、しかもフィルム中に残留する水分量が2000ppm以下である(1)又は(2)記載の薬品包装用多層シートの製造方法、
(4)ベース基材が硬質塩化ビニルシートである(1)〜(3)のいずれか記載の薬品包装用多層シートの製造方法、
(5)ベース基材がポリプロピレンシートである(1)〜(3)のいずれか記載の薬品包装用多層シートの製造方法、
である。
本発明の製造方法によれば、一度に10μmを超える残留水分が少ないPVDC層を形成できるので、低コストで防湿性の優れる薬品包装用多層シートを生産することが可能となるばかりか、得られたシートはフィルムに残留する水分量が少ないために発泡しない成形条件(温度範囲)を広く設定できるため、生産性に優れる高温での成形が可能となる。
本発明における裏面からの乾燥方法としてはPVDC面に熱風を直接当てずに加熱できる方法であれば特に限定されないが、赤外線、遠赤外線等の放射線や熱風、熱盤等を利用した熱伝導等を使用することができる。特に赤外線、遠赤外線は放射線の一部がベース基材を通過して直接内部のPVDC層を加熱することができるのでより好ましい。
本発明における薬品包装用多層シート中の水分含有量は2000ppm以下であることが好ましい。層の厚み構成、成形条件にもよるが、一般に2000ppmを超えると残留している水分が成形時に一度に気化するために発泡することがある。本発明の方法を用いる事により塩化ビニリデン系共重合体ラテックス層の塗布厚みとして1層あたり10μmを超える量塗布することができる。もちろん10μm以下の塗布量でも塗布可能であるが、生産性が低下するので好ましくない。一方、従来の乾燥方法では、10μm以上一度に塗布すると乾燥初期(第一ゾーン)で表面にPVDCの皮膜が形成され、皮膜自身が水の蒸発を阻害するため、2ゾーン以下の滞在時間を長くしたり、乾燥温度を高温にしても残留水分量を2000ppm以下とすることは難しかった。
本発明において塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを塗布するベース基板としては、特に限定されないが一般にPTP用途に用いられる硬質塩化ビニルあるいはポリプロピレンシートが望ましい。また、PVDCとの密着性や防湿性を向上させる目的で、前記ベース基板とPVDC層の間にはアルキルチタネート系、ポリイソシアネート系、ポリアルキレンイミン系、ポリウレタン系等のアンカーコートやポリエチレン層が間に介在していても構わない。
本発明に用いられる塩化ビニリデン系共重合ラテックスは、塩化ビニリデンを主成分とし防湿性を損なわない程度に塩化ビニル、アクリルニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル等のうち1種または2種以上を選択して用いる事ができる。
以下、本発明の内容を実施例により詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。
<実施例1>
厚さ230μm硬質塩化ビニルシート(住友ベークライト社製:VSS−8142タイプ)をベース基材として用い、これにグラビアコート法でイソシアネート系のアンカーコート剤(日本ポリウレタン工業社製:コロネートLと東洋紡製:バイロン30−Sの12:2混合希釈物)を2μmの厚さに塗り・乾燥させてから塩化ビニリデン系共重合体ラテックス(旭化成工業製:サランラテックスL−509)をエアナイフコート法で1回あたりのPVDC層厚みが乾燥後に25μmとなるように2回塗布・乾燥を繰り返しPVDC層の合計厚みが50μmであるPTP用多層シートを得た。
このときの全部で4ゾーン(各ゾーンの長さは5m)から構成されるロールサポート乾燥装置を用いたが1ゾーン目のみ裏面からの遠赤外線加熱方式で他の3ゾーンは両面から熱風を吹きつける熱風吹き付け方式で構成されており。基材の表面温度が1ゾーン目からそれぞれ70−80−90−100℃となるように設定した。またライン速度は30m/分とした。
得られたPTPの残留水分量をカールフィッシャー法により測定したところ1000ppmであり、透湿度(JIS−Z−0208)も0.42g/m2・dayと良好であった。また本フィルムを120℃で成形、200℃でアルミ箔と張り合わせたが発泡は見られなかった。
<比較例1>
乾燥装置として4ゾーンとも全て両面から熱風を吹きつける熱風吹き付け方式で構成されている以外は全て実施例1と同様のベース基材、アンカーコート剤、塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを用い、実施例1と同様の工法、温度、速度で塗布・乾燥しPVDC層の合計厚みが50μmであるPTP用多層シートを得た。
得られたPTPの残留水分量をカールフィッシャー法により測定したところ3000ppmであり、透湿度(JIS−Z−0208)は0.44g/m2・dayであった。また本フィルムを120℃で成形、200℃でアルミ箔と張り合わせると発泡が見られた。
本発明の製造方法によれば防湿特性、加工特性(成形性)が優れるPTP用多層シート生産性良く提供できるため、要求特性の高度化してきた近年のPET包装に対応するのに最適なものである。

Claims (5)

  1. ベース基材上に塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを塗布後、多数の乾燥ゾーンからなる乾燥機を通して乾燥するにあたり、乾燥機の第一ゾーンにおいて塩化ビニリデン系共重合体ラテックス塗布層側に直接熱風を当てずに裏面からの加熱により加熱乾燥することを特徴とする薬品包装用多層シートの製造方法。
  2. 裏面からの加熱方法が、赤外線あるいは遠赤外線方式である請求項1記載の薬品包装用多層シートの製造方法。
  3. 一度に塗布する塩化ビニリデン系共重合体ラテックス層の厚みが、乾燥後に10μmを超え、しかもフィルム中に残留する水分量が2000ppm以下である請求項1又は2記載の薬品包装用多層シートの製造方法。
  4. ベース基材が硬質塩化ビニルシートである請求項1〜3のいずれか記載の薬品包装用多層シートの製造方法。
  5. ベース基材がポリプロピレンシートである請求項1〜3のいずれか記載の薬品包装用多層シートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014002623A1 (ja) 2012-06-26 2014-01-03 日本合成化学工業株式会社 積層体、及びそれを用いた包装体並びにプレススルーパック

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