JP2005059208A - クーラント穴付き穴明け工具 - Google Patents

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浩 早崎
Hiroshi Ikeuchi
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Abstract

【課題】 工具本体1の剛性を損なうことなくクーラントの供給量や供給圧を増大させ、たとえ脆性材料に穴明けを行う場合であっても効率的な冷却や潤滑を図る。
【解決手段】 軸線O回りに回転される略円柱状の工具本体1の先端面に、工具内周側からこの先端面の外周に達する切刃5を形成するとともに、工具本体1後端側から穿設したクーラント穴11を開口させ、工具本体1の心厚Eを切刃5の外径Dに対して40%以上とする一方、軸線Oに直交する断面におけるクーラント穴11の総面積を、切刃5により形成される加工穴の断面積の5〜30%の範囲に設定、さらにクーラント穴11を工具本体1の心厚円Cの内側に形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、切削油剤等のクーラントを供給するクーラント穴が工具本体に穿設されてその先端面に開口させられたクーラント穴付き穴明け工具(以下、単に穴明け工具と称する。)に関するものである。
この種の穴明け工具においては、一般的な鋼材等に加工穴を形成するものとして、軸線回りに回転される略円柱状の工具本体の先端部外周に一対の切屑排出溝が上記軸線に対称に工具後端側に向かうに従い工具回転方向後方側に螺旋状に捩れるように形成されて、これらの切屑排出溝の工具回転方向を向く壁面と工具本体の先端面との交差稜線部に工具内周側から工具外周に達する切刃が形成された、いわゆる2枚刃のツイストドリルがよく知られている。そして、このような穴明け工具では、穴明け加工時に弦巻状やチップ状に生成される切屑を確実に排出するために切屑排出溝の断面積をある程度確保しなければならない関係から、逆に工具本体の心厚はあまり大きくすることはできず通常切刃の外径の10〜30%程度とされており、従って切削油剤やエアー等のクーラントを切削部位に供給するためのクーラント穴も、上記心厚が描く円の内側に形成することは工具本体の剛性を考慮すると困難であって、この心厚円よりも外周側のランド部分を通して工具後端側から穿設されて、先端面の切刃の工具回転方向後方側に連なる逃げ面上に、1つの切刃に対して1つずつの合計2つのクーラント穴が1つの工具本体について開口させられているだけであった。
ところが、このようにクーラント穴を工具本体のランド部分に形成して工具本体の剛性を確保するようにしても、クーラント穴自体の径や数を増やそうとすると工具剛性が損なわれてしまうことは避けられず、穴明け加工時の切削抵抗によって工具本体が捩り折れたりするおそれが生じるため、これらクーラント穴径や穴数も自ずと制限されざるを得なかった。因みに、例えば切刃の外径が34.4mmの穴明け工具においては、2枚の切刃の逃げ面にそれぞれ穴径3.7mmのクーラント穴が形成されている程度であって、上記切刃によって形成される加工穴の断面積に対し、クーラント穴の総断面積は2.4%程度にすぎず、このためクーラントの供給量や供給圧を増大させて冷却や潤滑の効率を向上させるにも限度があった。また、螺旋状に捩れた切屑排出溝の間に形成されて同様に捩れるランド部分にクーラント穴を穿設するには、このクーラント穴も切屑排出溝と等リードで螺旋状としなければならず、このクーラント穴の形成が煩雑となるのは勿論、クーラント穴の全長が長くなるためにやはりクーラントの供給が損なわれるという問題もある。
また、その一方で、本発明の発明者らは、先に特願2000−331507号において、シリコンやセラミックス、ガラス、あるいは炭化タングステン(WC)などの超硬合金材等の脆性材料に穴明け加工を行う穴明け加工方法として、軸線回りに回転される穴明け工具を0.025〜0.15μm/revの極小さい送り量で軸線方向先端側に送り出して穴明け加工を行うことを提案しており、このような穴明け加工方法によれば、穴明け工具が加工物に押し込まれる際の押し込み力が低減されて加工物に過大な負荷が作用することがなくなるので、この加工物が上述のような脆性材料であっても、ひびやクラック等に起因するコバ欠けが生じるのを防ぐことができる。しかしながら、このような脆性材料に穴明け加工を行う場合には、当該脆性材料の熱伝導率の低さなどから加工熱が加工穴内にこもりやすく、このためクーラントをより効率的に切削部位に供給して冷却を図ることは一層重要な課題となる。
本発明は、このような背景の下になされたもので、工具本体の剛性を損なうことなくクーラントの供給量や供給圧を増大させることができて、たとえ脆性材料に穴明けを行う場合であっても効率的な冷却や潤滑を図ることが可能な穴明け工具を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転される略円柱状の工具本体の先端面に、工具内周側からこの先端面の外周に達する切刃を形成するとともに、上記工具本体後端側から穿設したクーラント穴を開口させ、上記工具本体の心厚を上記切刃の外径に対して40%以上とする一方、上記軸線に直交する断面における上記クーラント穴の総面積を、上記切刃により形成される加工穴の断面積の5〜30%の範囲に設定し、さらに上記クーラント穴を上記工具本体の心厚円の内側に形成したことを特徴とする。従って、このような穴明け工具においては、工具本体の心厚を切刃外径の40%以上と大きくすることにより、心厚円の内側にクーラント穴を穿設することができ、これによって工具本体の剛性を損なうことなく個々のクーラント穴の断面積を増大させたりクーラント穴の数を増やしたりすることが可能となって、このクーラント穴の総面積を加工穴の断面積の5〜30%と従来よりも大幅に大きくすることができる。
なお、心厚が切刃外径の40%未満では工具剛性を損なうことなく心厚円の内側にクーラント穴を穿設することは困難となり、またクーラント穴の総面積が加工穴断面積の5%未満ではクーラント供給量や供給圧の増大を図ることができない一方、30%を上回ると如何に心厚を大きくしても工具剛性の維持が困難となる。また、上述したような脆性材料に穴明け加工を行う場合には、一般的な鋼材を穴明けする場合のように弦巻状やチップ状の切屑が生成されるのではなく、加工物が脆性材料であるために粉体状の切粉が生成されることとなるため、このように心厚を大きくすることによって切屑排出溝の断面積が削減されても良好な排出性を維持することができ、その一方でかかる脆性材料の穴明けでは上述のようにクーラントを効率的に供給することが重要とされるので、特に本発明の穴明け工具は、上記切刃により、脆性材料よりなる加工物に上記加工穴を形成するのに用いて、取り分け有効であると言える。
ところで、このように工具本体の心厚を大きくした場合において、しかも特に脆性材料よりなる加工物に穴明けを行う場合には、切刃は一般的な鋼材を穴明けするときのように加工物を切り裂いて送り量に応じた厚さの弦巻状やチップ状の切屑を生成するのではなく、上述のように加工物を粉体状に削り取って切粉を生成することとなることから、切刃にはその切れ味よりも高い強度が求められることとなり、このため上記工具本体の先端面においては、上記切刃の工具回転方向に連なるすくい面をこの工具回転方向側に向かうに従い工具後端側に向かうように傾斜させて、上記切刃に負の軸方向すくい角を与えるようにするのが望ましい。そこで、このようにすくい面に負の軸方向すくい角を与えた場合には、上記クーラント穴を少なくともこのすくい面上に開口させることにより、切刃や切刃による加工物の切削部位に一層効率的にクーラントを供給することが可能となる。また、本発明では上述のようにクーラント穴の数を増やすことができるので、工具本体に複数のクーラント穴を穿設して、これを切刃の工具回転方向後方に連なる逃げ面上にも開口させるようにしても、勿論構わない。
一方、こうして生成された切粉や切屑を効率的に排出して処理するには、工具本体の先端部外周に切屑排出溝を形成するのが望ましいが、本発明では工具本体の心厚円の内側にクーラント穴を穿設しているので、この切屑排出溝を工具本体の軸線回りに捩れる螺旋状に形成したとしても、クーラント穴は、この切屑排出溝の捩れとはリードの異なる捩れ穴状に穿設することができ、例えばこのクーラント穴を切屑排出溝の捩れよりも小さなリードの捩れ穴状に穿設すれば、クーラント穴の全長を短縮して一層効率的なクーラントの供給を図ることができる。また、このような切屑排出溝の有無や捩れの有無に関わらず、クーラント穴を上記軸線に平行に穿設することもでき、この場合にはクーラント穴の全長を最短とすることができて、最も効率的にクーラントの供給を図ることができるとともに、クーラント穴の穿設自体も極めて容易に行うことが可能となる。
このように、本発明によれば、工具本体の心厚を切刃外径の40%以上とするとともに、工具軸線に直交する断面におけるクーラント穴の総面積を加工穴の断面積の5〜30%と大きく設定することにより、クーラントの供給量や供給圧を増大させて切刃や切削部位の効率的な冷却、潤滑を図ることができる。従って、特に加工熱がこもりやすい脆性材料の穴明けなどにおいても、切刃の損耗や加工精度の劣化、あるいは切削抵抗の増大などを確実に防止して、高精度の穴明けを円滑かつ安定して行うことが可能となる。
図1ないし図3は、本発明の第1の実施形態を示すものである。本実施形態において工具本体1は、超硬合金等の硬質材料により一体に形成されて、加工物に挿入されて穴明け加工を施す先端部2が、工作機械の主軸に把持されてシャンク部とされる後端部3に対して一段縮径した軸線Oを中心とする多段円柱軸状をなしており、両端部2,3の間の部分は先端側に向けて漸次縮径するテーパ部4によって結ばれている。さらに、本実施形態では上記先端部2の先端面が、上記軸線O上の1の交点Pにおいて交差し、かつこの交点Pから外周側に向かうに従い後端側に向けて傾斜する平面状または工具先端外周側に膨らむ凸曲面状の4つの扇状面によって構成されており、従ってこの工具本体1においては上記交点Pの位置が最も先端側に突出させられるとともに、上記扇状面同士が互いに交差する4条の交差稜線が、この交点Pから外周側に向けて後端側に直線状に後退するように、かつ軸線O方向先端視に該交点Pから放射状に延びるように形成されることとなる。
ここで、上記4つの扇状面は、これらが軸線O方向先端視においてなす扇形の中心角が異なるものとされ、これにより周方向に隣接する扇状面同士の4条の交差稜線…が、周方向に異なる間隔で配設されている。ただし、本実施形態では、上記4つの扇状面のうち軸線O方向先端視に交点Pを挟んで反対側に位置する一対の扇状面同士がなす扇形の中心角は互いに等しくされ、従って上記交差稜線も、交点Pを挟んで反対側に位置する一対の交差稜線同士は、それぞれ軸線O方向先端視に図2に示すように1直線上に延びるように形成されることとなって、軸線Oに対し線対称に配置されている。さらに、これら4つの交差稜線のうち交点Pを挟んで反対側に位置する一対の交差稜線の軸線Oに対する交差角は、やはり交点Pを挟んで反対側に位置する他の一対の交差稜線の軸線Oに対する交差角よりも大きくされており、従ってこの交差角が大きくされた一対の交差稜線が、軸線回りの回転軌跡において交差角の小さい他の一対の交差稜線や4つの扇状面よりも工具先端側に位置することとなって、本実施形態において工具内周側の上記交点Pから工具外周に達する切刃5,5とされ、これら切刃5,5の工具回転方向T側にそれぞれ連なる扇状面はすくい面6とされるとともに、切刃5,5の工具回転方向T後方側に連なる扇状面は逃げ面7とされる。
なお、工具本体1の先端面が上述のように交点Pから外周側に向かうに従い後端側に向けて傾斜する4つの扇状面によって構成されていることから、上記逃げ面7は切刃5から軸線O回りに工具回転方向Tの後方側に向かうに従い工具後端側に漸次後退するように形成されて、該逃げ面7に所定の逃げ角が与えられる一方、上記すくい面6は逆に切刃5から工具回転方向T側に向かうに従い工具後端側に漸次後退するように形成されて、これによりすくい面6には負の軸方向すくい角が与えられる。また、本実施形態では、このすくい面6とされる扇状面の中心角が、逃げ面7とされる扇状面の中心角よりも大きくされている。
さらに、工具本体1の先端部2の外周面には、上記切刃5,5が先端面の外周に達する部分を除いて、工具内周側に一段凹むように二番取り面8,8が形成されており、この二番取り面8は図1に示すように上記先端面から工具後端側に向かうに従い工具回転方向Tの後方側に捩れるように形成されている。従って、上記切刃5が先端面の外周に達する部分に残された二番取り面8が形成されない部分も、この先端面から工具後端側に向かうに従い工具回転方向Tの後方側に捩れるようにして堤状に先端部2の外周に残され、この部分は切刃5の外径Dと略等しい外径を有していて、本実施形態の穴明け工具におけるマージン部9とされる。さらに、このマージン部9の工具回転方向T側には、上記二番取り面8からさらに工具内周側に凹むようにして断面円弧状の切屑排出溝10が形成されており、従ってこの切屑排出溝10もマージン部9や二番取り面8と同様に先端面から工具後端側に向かうに従い工具回転方向Tの後方側に捩れるように形成され、図3に示すように軸線Oに直交する断面において、該軸線Oを中心としてこの切屑排出溝10の溝底に接する円が工具本体1の心厚円Cとされ、この心厚円Cの直径が工具本体1の心厚Eとされる。しかして、この心厚Eは、上記切刃5の外径Dに対して40%以上となるようにされている。
そして、この工具本体1には、その後端面すなわち上記後端部3の後端面から工具先端側に向けてクーラント穴11が形成されて上記先端面に開口させられており、軸線Oに直交する断面におけるこのクーラント穴11の総面積が、切刃5により形成される加工穴の断面積の5〜30%の範囲に設定されている。ここで、本実施形態では図2および図3に示すように、工具本体1に複数(4つ)のクーラント穴11…が周方向に略等間隔かつ軸線Oからも略等間隔に穿設されており、これらのクーラント穴11…は、内径dが互いに等しい断面円形に形成されていて、いずれも上記心厚円Cの内側に配置され、さらに図1に破線で示すように上記二番取り面8やマージン部9、切屑排出溝10と等しいリードで工具後端側に向かうに従い工具回転方向Tの後方側に捩れる螺旋状に形成されている。従って、本実施形態ではこれら4つののクーラント穴11…の総面積4π×(d/2)=π×dが、切刃5によって形成される加工穴の断面積π×(D/2)の5〜30%の範囲とされる。さらに、これら4つのクーラント穴11…は、工具本体1の先端面においてそれぞれ一対ずつ形成された上記すくい面6,6と逃げ面7,7とに一つずつ開口するようにされている。
このように構成された穴明け工具は、上述のように工具本体1の後端部3が工作機械の主軸に把持されて、軸線O回りに回転されつつ該軸線O方向先端側に送り出され、例えば単結晶シリコン等の脆性材料よりなる加工物に穴明け加工を行うのに使用される。ただし、このときの工具本体1の軸線O方向先端側への送り量は、やはり上述したように0.025〜0.15μm/revと極小さく設定されるのが望ましく、より望ましくは工具本体1の送りと後退とを繰り返しながら徐々に加工物に切り込むステップフィード加工が行われる。また、特にこのように脆性材料に穴明け加工を行うのに用いる場合には、工具本体1の少なくとも上記先端部2の表面にダイヤモンドコーティングあるいは電着したり、少なくともこの先端部2をダイヤモンド焼結体によって形成するのが望ましい。そして、この穴明け加工の際には、上記クーラント穴11…を通して工作機械側から切削油剤やエアー等のクーラントが供給されて工具本体1の先端面に形成されたその開口部から噴出させられる。
従って、このように構成された穴明け工具においては、工具本体1の心厚Eが切刃5の外径Dの40%以上と従来よりも大幅に大きくされており、これにより工具本体1の剛性も大きく確保することができるので、クーラント穴11…の総面積を加工穴の断面積の5〜30%と大きくしても工具本体の剛性が大きく低下するのを防いで、切削抵抗により工具本体1が捩り折れるような事態が生じるのを防止することができる。そして、このようにクーラント穴11…の総面積を増大させることにより、上記穴明け工具によれば、このクーラント穴11…から供給されるクーラントの供給量や供給圧も増大させることが可能となって、切刃5やこれによる加工物の切削部位に十分にクーラントを供給してその冷却や潤滑を促すことができ、加工熱による切刃5の損耗や加工精度の劣化を防ぐとともに、切削抵抗を低減して加工効率の向上を図ることが可能となる。これは、特に上述のように加工熱が加工穴内にこもりやすい脆性材料の穴明け加工において有効である。しかも、本実施形態では、クーラント穴11…が工具本体1の心厚円Cの内側に形成されているので、このクーラント穴11…と工具本体1の外周面との間にも十分な肉厚を確保することができ、これによっても工具剛性を確保してその損傷を確実に防止することができる。
ここで、このように工具本体1の心厚Eを切刃5の外径Dの40%以上としているのは、この心厚Eが外径Dの40%未満では、クーラント穴11…の総面積を加工穴断面積の5〜30%と大きくした場合に十分な工具剛性を確保することができなくなるからである。なお、本実施形態では工具本体1の先端部2外周に二番取り面8や切屑排出溝10が形成されているため、上記心厚Eは切刃5の外径Dよりも小さくなり、すなわち心厚Eが外径Dの100%となることはないが、穴明け加工時に例えば上述のようにステップフィード加工を行うなどして切屑の排出性が確保されるのであれば、これら二番取り面8や切屑排出溝10を形成することなく、先端部2の外周を円柱状として、心厚Eが外径Dと等しく100%となるようにしてもよい。また、クーラント穴11…の総面積を加工穴の断面積の5〜30%としているのは、5%未満ではクーラントの供給量や供給圧の十分の増大を図ることができなくなり、逆に30%を上回ると、たとえ工具本体1の心厚Eを切刃5の外径Dの40%以上としても、工具本体1の剛性を確実に確保することができなくなるおそれが生じるからである。
また、本実施形態では、工具本体1の先端面が4つの扇状面によって形成されていて、これらの扇状面が一対の切刃5,5に連なるすくい面6と逃げ面7とをそれぞれなしており、このうちすくい面6は負の軸方向すくい角が与えられて工具回転方向T側に向かうに従い工具後端側に向かうように形成されていて、4つの上記クーラント穴11…のうち2つはこれら各切刃5,5のすくい面6,6上に開口させられている。このため、本実施形態によれば、このすくい面6上に開口するクーラント穴11…から噴出されたクーラントを、このクーラント穴11の工具回転方向T後方に隣接することとなる切刃5および該切刃による加工物の切削部位に、工具本体1の回転に伴い直接的かつ速やかに供給することが可能となり、これにより一層効率的な冷却や潤滑を促すことができる。しかも、本実施形態では1つの切刃5について2つのクーラント穴11,11を形成して1つの工具本体1に4つのクーラント穴11…を穿設し、すなわちクーラント穴11…の数を増やしてその総面積を増大させており、このうち残りの2つのクーラント穴11,11は、すくい面6のクーラント穴11,11から間隔をあけた逃げ面7上に開口させられているので、クーラントを先端面の周方向において均等に噴出させて切刃5や切削部位に偏りなく供給することが可能となる。さらに、上述のように切刃5に負の軸方向すくい角が与えられることにより、この切刃5の刃先角を大きくして切刃強度の向上を図ることができるので、本実施形態によれば、切刃5に切れ味よりも強度が求められる上記脆性材料への穴明け加工により好適な穴明け工具を提供することが可能となる。
なお、本実施形態ではこのように工具本体1に穿設されるクーラント穴11の数を増やしてその総面積を増大させるようにしているが、例えばこれを図4に示す第2の実施形態のように、クーラント穴11の数は従来と同じ2つとするにしても、個々のクーラント穴11の内径を大きくすることによって軸線Oに直交する断面におけるクーラント穴11の総面積を加工穴の断面積の5〜30%と大きくするようにしてもよい。例えば、この場合のクーラント穴11の内径を第1の実施形態のクーラント穴11の内径dの2倍の2×dとすると、軸線Oに直交する断面におけるクーラント穴11,11の総面積は2π×(2×d/2)=2π×dとなって、第1の実施形態の2倍の総面積を確保することができる。なお、この場合でもクーラント穴11,11は、切刃5,5の工具回転方向T側に連なるすくい面6上に開口させられるのが望ましい。勿論、このクーラント穴11…の総面積が加工穴の断面積の5〜30%の範囲内に設定されるのなら、クーラント穴11…の数と内径とを両方増大させたり、あるいは第1の実施形態のような4つのクーラント穴11…を穿設して、そのうち例えばすくい面6上に開口するクーラント穴11,11の内径を逃げ面7に開口するクーラント穴11,11よりも大きくしたりしてもよい。
一方、本実施形態では工具本体1の先端部2外周に二番取り面8,8が形成されて切刃5の外径Dと略同径のマージン部9,9が残されており、加工穴内の挿入されるこの先端部2と加工穴内周との摩擦の増大をこの二番取り面8,8によって防ぎつつ、マージン部9,9によって先端部2の振れを抑えて直進性を確保することができる。そして、さらにこのマージン部9の工具回転方向T側には切屑排出溝10が形成されていて、この切屑排出溝10は二番取り面8およびマージン部9が捩れて形成されるのに伴い同様に工具後端側に向かうに従い工具回転方向Tの後方側に捩れるように形成されているので、特に上述の脆性材料に穴明け加工を行う場合において生成される粉体状の切粉などを工具本体1の回転に伴い工具後端側に送り出して効率的に排出することができる。
ところで、本実施形態では上記クーラント穴11…を、これら二番取り面8やマージン部9、切屑排出溝10の捩れに合わせた等しいリードで、やはり工具後端側に向かうに従い工具回転方向Tの後方側に捩れるように螺旋状に形成しているが、本実施形態のようにクーラント穴11を工具本体1の心厚円Cよりも内周に穿設する構成を採った場合には、この心厚円Cの外側の二番取り面8や切屑排出溝10の位置や捩れに拘束されることなくクーラント穴11を設けることができるので、このクーラント穴11を螺旋状に形成するにしても、切屑排出溝10や二番取り面8の捩れとはリードの異なる捩れ穴状に形成することができる。従って、例えばこのクーラント穴11を切屑排出溝10等よりも小さなリードで捩れるように形成すれば、クーラント穴11の捩れに沿った全長を短縮することができ、これによってクーラントをより速やかに供給することができて一層効率的な冷却、潤滑を図ることができる。
また、上記構成を採る穴明け工具では、このようにクーラント穴11を螺旋状にすることなく、図5に示す第3の実施形態のように軸線Oに平行な直線状に穿設することも可能であり、この場合にはクーラント穴11の全長が最短となるためにさらに短い時間でクーラントを供給することができて効率的であるとともに、クーラント穴11を軸線Oに平行に直線状に形成すればよいので、このクーラント穴11の穿設自体を極めて容易に行うことができ、従って当該穴明け工具の製造も容易になるという利点を得ることができる。さらにまた、上記第1の実施形態のようにクーラント穴11を螺旋状に形成するにしても、この第1の実施形態とは逆に工具先端側に向かうに従い工具回転方向Tの後方側に捩れる螺旋状に形成することも可能であり、この場合には工具本体1の回転に伴ってクーラントが工具先端側に押し出されることとなるので、より一層速やかなクーラントの供給を図ることが可能となって、その供給量や供給圧のさらなる増大を促すことができる。
本発明の第1の実施形態を示す側面図である。 図1に示す実施形態の先端面を示す拡大正面図である。 図1におけるZZ断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す拡大正面図である。 本発明の第3の実施形態を示す側面図である。
符号の説明
1 工具本体
5 切刃
6 すくい面
7 逃げ面
10 切屑排出溝
11 クーラント穴
O 工具本体1の軸線
T 工具回転方向
D 切刃5の外径
C 工具本体1の心厚円
E 工具本体1の心厚
d クーラント穴11の内径

Claims (6)

  1. 軸線回りに回転される略円柱状の工具本体の先端面に、工具内周側からこの先端面の外周に達する切刃が形成されるとともに、上記工具本体後端側から穿設されたクーラント穴が開口させられており、上記工具本体の心厚が上記切刃の外径に対して40%以上とされる一方、上記軸線に直交する断面における上記クーラント穴の総面積が、上記切刃により形成される加工穴の断面積の5〜30%の範囲に設定され、さらに上記クーラント穴が上記工具本体の心厚円の内側に形成されていることを特徴とするクーラント穴付き穴明け工具。
  2. 上記切刃により、脆性材料よりなる加工物に上記加工穴を形成することを特徴とする請求項1に記載のクーラント穴付き穴明け工具。
  3. 上記工具本体の先端面においては、上記切刃の工具回転方向に連なるすくい面がこの工具回転方向側に向かうに従い工具後端側に向かうように傾斜させられて、上記切刃に負の軸方向すくい角が与えられており、上記クーラント穴は少なくともこのすくい面上に開口させられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクーラント穴付き穴明け工具。
  4. 上記工具本体には複数の上記クーラント穴が穿設されて上記切刃の工具回転方向後方に連なる逃げ面上にも開口させられていることを特徴とする請求項3に記載のクーラント穴付き穴明け工具。
  5. 上記工具本体の先端部外周には、上記軸線回りに捩れる切屑排出溝が形成されており、上記クーラント穴は、この切屑排出溝の捩れとはリードの異なる捩れ穴状に穿設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のクーラント穴付き穴明け工具。
  6. 上記クーラント穴は、上記軸線に平行に穿設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のクーラント穴付き穴明け工具。
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JP (1) JP2005059208A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111451538A (zh) * 2020-04-02 2020-07-28 福建新峰科技有限公司 一种自动排屑深孔精密成孔系统

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