JP2005058967A - 室内の浄化処理方法およびその浄化処理システム - Google Patents

室内の浄化処理方法およびその浄化処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】 火災現場周辺の室内に残留したダイオキシン類を除去し、室内環境を浄化することができる浄化処理技術を提供する。
【解決手段】 火災時に建材や内装品等が燃焼して発生したダイオキシン類は、煤煙とともに周辺に拡散して室内1を汚染する場合がある。このため、室内1を密閉した状態でオゾン発生装置2によりオゾンガスを充満させ、さらに紫外線照射器4により汚染部分に向けて紫外線を照射する。ダイオキシン類は紫外線を浴びて脱塩素化されるとともに、オゾンから転化したヒドロキシラジカルによって効率的に酸化分解される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有害物質により汚染された室内からその有害物質を除去するための浄化処理技術に関する。
近年、ダイオキシン類として総称される有害物質の発生が重大な環境問題となっており、なかでもごみ焼却施設等において塩化物を低温で不完全燃焼させた場合にダイオキシン類が生成されることは社会的に広く認知されている。このため現在、家庭ごみや事業系ごみの回収に際して可燃物と不燃物とをはっきり分別し、ダイオキシン類の生成源となる塩化物が焼却処分に回されないような社会的努力が自治体や各種市民団体等によって進められているところである。
このような社会情勢を反映してか、各種の産業主体においてもダイオキシン類の分解・除去技術に研究開発の矛先を多く集中させている。例えば重工業の分野では、焼却炉や溶融炉、ボイラといった燃焼装置から排出される焼却灰を無害化する方法が提案されている(特許文献1参照)。この無害化方法は、焼却装置から出た焼却灰を混練機にて水や薬剤と混練し、この過程で混練機内にヒドロキシラジカルを発生させてダイオキシン類を酸化分解するものである。
また軽工業の分野では、工場廃水等に含まれるダイオキシン類を除去するための廃水処理装置が提案されている(特許文献2参照)。この廃水処理装置は、オゾンを含有する気体中に廃水を分散させることで廃水とオゾンとの接触効率を高め、オゾンによる酸化分解作用を有効に機能させようとするものである。
特開2003−200132号公報(第2−3頁、図1) 特開2003−190976号公報(第2頁、図1)
上述のように、ある程度の規模を有したごみ焼却場や工場・事業施設等においては、日常的に継続して設備の運転が行われているため社会的にも環視の目が厳しく、ダイオキシン類による健康への被害が人々に意識されやすい。それゆえ各種の産業主体においても積極的なダイオキシン類への対策を常に検討しており、今後もその方向性は変わらないと予想される。
しかしながら、こうした工場や事業施設等よりもずっと生活環境に近いところで発生するダイオキシン類については、今もって社会的にもあまり認知されていない。具体的には、住居用建物や事業用ビル、倉庫、工場等の建造物で火災が発生した際、塩化物を含む建材や物品が燃焼することで相当量のダイオキシン類が発生することは容易に想像できるものの、その火災後においても現場周辺にダイオキシン類が多く残留していることは社会的にそれほど関心事として取り上げられていない。
例として、戸建て住居やマンションの一室、事業用ビルの特定フロア等で火災が発生すると、その建材や内装品等が燃焼することでダイオキシン類が生成される。こうしたダイオキシン類の多くはガスとなって周囲に放出され、また煙中の煤に含まれた形で周囲に飛散するので、火災現場となった室内はおろか近隣住居の外壁や室内にダイオキシン類が付着して残留する。また消火水を浴びて煤がたたき落とされると、ダイオキシン類を含む煤が消火水とともに床材や土壌に浸透した状態で残留する。したがって、居住地域や商業地域内で火災が発生すると、その周囲はたとえ延焼を免れたとしても容易にダイオキシン類に汚染される。
ところが、こうした火災が起きた場合はその鎮火こそが最大の目的であり、早期に消火作業を行って周囲への延焼を極力抑えることができれば、そのほとんどの目的は達せられたと考えられがちである。このため、火災後の復旧作業においては廃材の撤去や内装リフォーム等の外観上の回復のみに主眼がおかれ、その場に残留するダイオキシン類の処理にまでは考え至っていない場合がほとんどである。また、長い目で見れば火災はあくまで一過性の事件にすぎず、日常的に操業しているごみ焼却場等と比較しても人々の意識に定着しにくいという特性がある。しかしながら実際のところ、火災後の汚染された室内にはダイオキシン類が依然として残留し続けており、これらを放置したまま室内を住居や事業所として使用すると、そこで生活や事業を営む人々が相当量のダイオキシン類に暴露され続けることとなる。
その一方で、各種の産業主体から提案されているダイオキシン類の除去技術はある程度の規模を有する設備内での使用を想定したものであり、その技術の使用には相当規模の専用設備・プラント等(混練機や反応塔等)の設置が必要不可欠である。こうした大がかりな設備はそもそも住居地域や商業地域といった生活環境の中での使用が想定されておらず、また汚染対象物も焼却灰や工場廃水といったプロセス上での取り扱いが可能なものに限られているため、特定の火災現場においてダイオキシン類に汚染された室内を浄化する用途には全く適さない。
そこで本発明は、生活や事業に使用される室内が火災等で有害物質に汚染された場合に、これを有効に除去することのできる浄化処理技術の提供を課題としたものである。
上記の課題を解決するため、本発明は第1に室内の浄化処理方法を複数提供する。
(解決手段1)
最初の浄化処理方法(1)は、有害物質が付着した汚染部分を有する室内を閉塞し、その内部にオゾンガスを充満させることで室内から有害物質を除去するものである。有害物質とは、主にダイオキシン類として総称される化学物質であり、代表的なものにはポリクロロジベンゾパラダイオキシン類(PCDDs)、ポリクロロジベンゾフラン類(PCDFs)、コプラナーポリクロロビフェニル類(Co−PCBs)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらダイオキシン類は、通常の生活環境においても様々な形で身の回りに存在するが、きわめて微量・低濃度であるためその毒性が深刻な問題となるものではない。これに対し、一般的な建造物(住居や事業用ビル、商業ビル、倉庫、工場等を含む)の火災現場においては、通常よりも多量・高濃度(数百倍〜数万倍)のダイオキシン類が発生することがわかっている。特に火災によって生じる煤煙からは通常濃度の数万倍(例えば1万8千倍程度)のダイオキシン類が検出された例があり、また延焼を免れた近隣の建造物の外壁面からも通常濃度の数百倍(例えば400倍程度)のダイオキシン類が検出された例がある。さらに、火災直後の現場雰囲気空気中からは数十〜数百(例えば50〜500程度)pg−TEQ/mのダイオキシン類が検出された例がある。
こうした高濃度のダイオキシン類が空気中に存在してもいても、それが直ちに急性毒性や慢性毒性といった点でそれほど深刻な問題とはならない。しかし、ダイオキシン類の毒性は生体の内分泌系を攪乱する環境ホルモンとして作用したときが最も脅威であり、たとえごく微量であっても環境ホルモンとしての作用は年月や世代を経て顕著に現れる(発癌、催奇形等)ことがある。
このような背景から、火災後にダイオキシン類等の有害物質に汚染された室内で日常生活や業務を長年営んでいると、相当量の有害物質を摂取し続け、それが体内に蓄積されるおそれが充分にある。また、食品倉庫や衣料品倉庫、医薬品倉庫等の生活品として流通させる予定のある物品が保管されている室内の場合、その室内に残留したダイオキシン類が保管物品に転移することは保管責任上の観点からも防止しなければならない。このため本発明では、火災によって室内に付着した有害物質を除去することで、より安全な生活環境や業務環境を提供することに主眼をおいている。
具体的には、有害物質に汚染された室内の窓や換気口、通風口等の全ての開口部分を閉塞して室内を密閉状態する。この状態で、オゾン発生装置等を用いて室内にオゾンガスを充満させる。なお、室内の汚染部分としては、例えば室内の壁面をはじめ天井面、床面、天井裏や表装裏、梁・柱等の駆体、建材、内装品、家具類等のあらゆる箇所を想定することができる。
室内に充満したオゾンガスは、その酸化力によってダイオキシン類を酸化分解(主にC=Cの二重結合を切断)することができるので、室内に付着したダイオキシン類を良好に除去することができる。
また本発明の浄化処理方法は、例えば集合住宅のように高圧水洗浄による煤の除去が困難である場合であっても好適に使用が可能であるため、周囲の生活環境に水漏れ被害等を及ぼすことなく室内を浄化できるという利便性がある。
(解決手段2)
次に本発明の浄化処理方法(2)は、有害物質が付着した汚染部分を有する室内を閉塞してその内部にオゾンガスを充満させるとともに、その汚染部分に向けて紫外線を照射することで室内から有害物質を除去するものである。
上述のように、ダイオキシン類の酸化分解による除去を具体的手段として採用する場合、室内にオゾンガスを充満させるだけでも充分に目的を達成することができるが、これに合わせて室内の汚染部分に向けて紫外線を照射することでより一層の効果が得られる。
すなわち、室内の汚染部分に紫外線が照射されると、その光エネルギーによりダイオキシン類の脱塩素化が促進される。また室内に充満しているオゾンガスは、紫外線との反応によってヒドロキシラジカル(・OH)に転化し、その強力な酸化力によってダイオキシン類をより強力に酸化分解することができる。したがって浄化処理方法(2)では、これらの複合作用によって室内に付着したダイオキシン類を高効率に除去することができる。
(解決手段3)
また本発明は、別途独立した室内の浄化処理方法(3)を提供する。具体的には、有害物質の付着により汚染された室内のうち、その汚染部分に光触媒を付着させて光触媒付着領域を形成するとともに、この光触媒付着領域に向けて紫外線を照射することで室内から有害物質を除去する室内の浄化処理方法である。
この浄化処理方法(3)では、以下のプロセスを通じて有害物質の除去が可能である。先ず、光触媒付着領域に紫外線が照射されると、そこに含まれる光触媒表面にて正孔および電子が励起される。このうち正孔は、その強い酸化力で空気中の水分子(HO)をヒドロキシラジカル(・OH)に変化させ、また、電子はその強い還元力で酸素分子(O)をスーパーオキシドアニオン(・O )に変化させる。
上記2つのフリーラジカル(・OH,・O )はいずれも強い酸化力を発揮し、汚染部分にあるダイオキシン類を強力に酸化分解してこれを無害化する。また、紫外線はそれ単独でもダイオキシン類に作用することができ、その光エネルギーによってダイオキシン類の脱塩素化を促進することができる。これら分解作用は、同時に室内に染み付いた焼け焦げ臭等の除去に対してもその効果を発揮する。
ここで着目すべきは、上述した浄化処理方法(3)では室内にオゾンガスを充満させる手段を用いていないため、室内を密閉する必要がない点で作業負担が軽減されるという利点がある。また汚染部分に光触媒を付着させ、そこで直にフリーラジカルを発生させることができるため、ダイオキシン類とフリーラジカルとの反応が速いという優位性をも有する。
(解決手段4)
その一方で、浄化処理方法(3)においては室内を閉塞した状態で、さらにその内部にオゾンガスを充満させることもできる。この場合、光触媒作用によるダイオキシン類の酸化分解や、紫外線照射による脱塩素化の効果に加えて、オゾンによるダイオキシン類の酸化分解、さらにオゾンから転化したヒドロキシラジカル(・OH)による酸化分解の効果等を得ることができるので、より一層強力かつ高効率に室内を除去することが可能となる。
(解決手段5)
より好ましくは、上述した本発明の浄化処理方法(1)〜(3)において室内に充満されるオゾンガスの濃度が所定値以上に設定されている(浄化処理方法(3)については、さらにオゾンガスを充満させる要素を含む場合。)。すなわち、ダイオキシン類を有効に酸化分解するために適切なオゾンガス濃度が予め明らかとなっている場合、その適切な所定値以上までオゾンガス濃度を上昇させて作業を行うことが最も効率的である。特に本発明の浄化処理方法では室内を閉塞した状態にしているため、室内でのオゾンガスの濃度管理を容易に行うことができる。
(解決手段6)
本発明の浄化処理方法(1)〜(3)ではさらに、室内にオゾンガスを充満させることで、有害物質の除去作業に並行して室内の脱臭作業を実行することも可能である(浄化処理方法(3)については、さらにオゾンガスを充満させる要素を含む場合。)。
通常、火災現場からは強い焼け焦げ臭が発生するため、室内には有害物質の付着とともに焼け焦げ臭が染み付いている場合がほとんどである。本発明の浄化処理方法(1)〜(3)では室内に充満させたオゾンガスの酸化分解作用により、室内に染み付いた臭気成分の分解・除去をも並行して行うことができる。このため作業終了後の室内の安全性を確保しつつ、さらに快適な居住区間・作業空間への復旧が可能となるし、オゾン資源の有効活用も図られる。
第2に本発明は、一定の設備を有した室内の浄化処理システムを複数提供する。
(解決手段7)
最初の浄化処理システム(1)は、有害物質が付着した汚染部分を有する室内を閉塞した状態で、この室内にオゾンガスを充満させるオゾン発生設備と、このオゾン発生設備によりオゾンガスが充満された状態で、室内の汚染部分に向けて紫外線を照射するための紫外線照射設備とを備えたものとなっている。
オゾン発生設備は、室内に設置したオゾン発生装置によりオゾンガスを発生させる態様であってもよいし、あるいは室外に設置されたオゾン発生装置から室内にオゾンガスを採り入れる態様であってもよい。また紫外線照射設備には、各種の紫外線ランプや水銀灯等を使用するものを挙げることができ、これらは自動的に作動して紫外線を照射する態様であってもよいし、あるいは作業者が介在して半自動的に紫外線を照射する態様であってもよい。いずれにしても、これらオゾン発生設備と紫外線照射設備とを備えることで本発明の浄化処理システム(1)が構築され、このシステムの稼働により本発明の浄化処理方法(1),(2)が好適に実行される。なお、最初に挙げた浄化処理方法(1)を実行する場合はオゾン発生設備を備えるだけでよい。
(解決手段8)
次に提供される浄化処理システム(2)は、有害物質の付着により汚染された室内のうち、その汚染部分に光触媒を付着させて光触媒付着領域を形成する光触媒付着設備と、この光触媒付着領域に向けて紫外線を照射するための紫外線照射設備とを備えたものとして構成される。
光触媒付着設備は、汚染部分に対して物理的に光触媒を付着させる機能を有するものであり、例えば微粒子状やゾル状にした光触媒を吹き付ける態様であってもよいし、あるいはこれらを直接的に塗布する態様であってもよい。また紫外線照射設備には、上記の浄化処理システム(1)と同様に紫外線ランプや水銀灯等を挙げることができる。また、これら光触媒付着設備と紫外線照射設備とを備えることで本発明の浄化処理システム(2)が構築され、このシステムの稼働により本発明の浄化処理方法(3)が好適に実行される。
本発明の室内の浄化処理方法およびその浄化処理システムは、特に以下の点で優れる。
(1)火災後においても生活環境や業務環境となる室内での有害物質の除去に関し、これまで社会的に希薄であった安全意識を新たに喚起した。また、これらの環境に対する安全性を容易に確保できる技術を提供した。
(2)各種の産業主体によって提案されている有害物質の除去技術とは異なる角度から技術的アプローチを行い、生活環境や業務環境に密着した室内空間での有害物質の効率的な除去を実現可能とした。
(3)有害物質の除去のみならず、火災に付随して必然的に生じる臭気の除去をも同時に実現することで、火災後の安全かつ快適な生活環境や業務環境の早期復旧を可能とした。
1.第1実施形態
先ず本発明の第1実施形態として、浄化処理システム(1),(2)を説明する。
図1は、浄化処理システム(1)の一構成例を示している。本発明の浄化処理方法(1),(2)は、図1に示される一形態において好適に実施可能である。本発明を適用するべき室内1として想定できるのは、例えば戸建て住宅やマンション等の集合住宅、事業用ビル、商業施設のほか、各種倉庫や工場棟の一室、フロア等が該当する。これらの特定箇所で火災が発生した場合、塩化物を含んだ建材や内装材等が燃焼してダイオキシン類が発生し、直接または煤とともに室内1に付着して各所を汚染する。なお、汚染部分は特に限定されておらず、その天井面をはじめ壁面、床面、天井裏、表装裏、梁・柱等の駆体表面、ひいては家具類(図1には示されていない)の表面にまで及ぶ。また、本発明を適用するべき室内1そのものが火災現場であった場合もあるし、あるいは火災現場の隣室、上下階その他の周辺に室内1が位置していた場合もある。
いずれにしても、火災消火後の復旧作業において室内1に付着した有害物質、つまりダイオキシン類を除去するため、室内1に図1の浄化処理システムが設置される。このとき室内1は密閉された状態にあり、それゆえ窓や出入口をはじめ換気口、通気口、通風口等の開口はすべて閉塞されている。より完全な密封性を確保するため、例えば養生シート等で開口部分を目張りしてもよい。
図1の浄化処理システムでは、オゾン発生設備の一例として可搬式のオゾン発生装置2が使用されている。オゾン発生装置2は単位時間内に一定質量のオゾンを発生する能力を有しており、さらに、その発生させたオゾンを噴出して室内1に満遍なく行き渡らせる機能をも有している。
また図1の浄化処理システムでは、紫外線照射設備の一例として紫外線照射器4が使用されている。紫外線照射器4は例えば、波長200nm〜300nmの紫外線を放射する能力を有し、好ましくは波長255nm程度の高輝度紫外線を一定出力(例えば、数十〜数百ワット程度)で広範囲に照射することができる。
次に、図1の浄化処理システム(1)を用いた室内1の浄化処理方法について説明する。
1−1.浄化処理方法(1)
上述のように室内1を閉塞した状態で、オゾン発生装置2を作動させて室内1にオゾンガスを充満させる。このとき例えば、室内1のオゾンガス濃度を3.0ppm〜5.0ppm程度以上まで上昇させる。
浄化処理方法(1)を使用する場合、オゾン発生装置2を作動させるだけで室内1を浄化することができる。この場合、より好ましくはオゾンガス濃度を5.0ppm程度まで上昇させることで、オゾンの強い酸化力によって室内1に付着したダイオキシン類を充分に酸化分解することができる。また、これと合わせて室内1に染み付いた焼け焦げ臭等の臭気成分が酸化分解され、室内1の脱臭作業が行われる。
1−2.浄化処理方法(2)
浄化処理方法(2)を使用する場合、オゾン発生装置2に加えて紫外線照射器4をも作動させる。すなわち、オゾン発生装置2により室内1にオゾンガスを充満させた状態で紫外線照射器4を作動させ、室内1の汚染部分に向けて紫外線を照射する。好ましくは、汚染部分の面あたり30分間、さらに好ましくは120分間にわたって紫外線を照射する。なお、紫外線照射器4は完全な自動機であってもよいし、作業者の人手を介して半自動的に作動するものであってもよい。作業者が室内1に立ち入る場合は保護具、ガスマスク(エアーラインマスク)等を装着し、その安全を充分に確保する必要がある。
図2は、浄化処理方法(2)の使用に伴う有害物質の分解作用を図式的に示している。例えば、壁6の表面にダイオキシン類が付着して汚染層Dが形成されている場合、この汚染層Dに紫外線(図中に矢印で表す)が照射されると、その光エネルギーによって汚染層D中のダイオキシン類の脱塩素化が促進される。
一方、汚染層Dの近傍(またはその周辺)ではオゾン(O)が紫外線と反応してヒドロキシラジカル(・OH)に転化し、このヒドロキシラジカル(・OH)はその強い酸化力でダイオキシン類を分解(C=Cの二重結合を切断)することができる。
さらに本発明の浄化処理方法(1),(2)の使用により、室内1に蔓延する臭気やその壁面、天井面、床面等に染み付いた臭気成分がオゾンガスによって好適に酸化分解されるため、作業の終了後は室内1の脱臭効果をも同時に達成することができる。
2.第2実施形態
次に本発明の第2実施形態として、浄化処理システム(2)を説明する。
図3は、浄化処理システム(2)の一構成例を示している。本発明の浄化処理方法(3)は、図3に示される形態において好適に実施可能である。ここでも同様に、火災消火後の復旧作業において室内1に付着したダイオキシン類を除去するため、室内1に図3の浄化処理システム(2)が設置される。ここでは一例として、室内1の天井面および壁面の一部にダイオキシン類が付着し、そこに汚染部分P(ハッチングを付して示す)が形成されているものとする。
図3の浄化処理システム(2)では、光触媒付着設備の一例として吹き付け器5が使用されている。吹き付け器5は、例えば微粒子状またはゾル状に加工された光触媒を圧搾空気等によって噴射する機能を有している。また作業者による吹き付け作業を容易にするため、吹き付け器5にはエアーガン状の噴射ノズルが付属している。また、図3の浄化処理システム(2)でも同様に、紫外線照射設備の一例として紫外線照射器4が使用されている。
2−1.浄化処理方法(3)
浄化処理システム(2)を用いた室内1の浄化処理方法(3)について、以下に2通りの使用例を説明する。
(第1使用例)
第1の使用例では、吹き付け器5および紫外線照射器4のみを使用する。この場合、室内1にオゾンを充満させる必要がないので、室内1を密閉する必要がない。
第1使用例では先ず、室内1の汚染部分Pに対し、吹き付け器5を用いて光触媒を満遍なく付着させる。このとき汚染部分Pを覆うようにして光触媒付着領域Cが形成されている態様が好ましく、具体的には汚染部分Pの全域に光触媒によるコーティング層が形成されるようにする。なお光触媒には、例えば酸化チタン(TiO)を好適に使用することができるが、これに限定されるものではない。
光触媒付着領域Cの形成作業が完了すると、次に紫外線照射器4により汚染部分P、つまり、先程形成した光触媒付着領域Cに向けて紫外線を満遍なく照射する。このとき、光触媒付着領域Cでは光触媒表面にて正孔および電子が励起され、このうち正孔は空気中の水分子(HO)をヒドロキシラジカル(・HO)に変化させ、また電子は酸素分子(O)をスーパーオキシドアニオン(・O )に変化させる。これら2つのフリーラジカル(・OH,・O )はいずれも強い酸化力を有するため、付近のダイオキシン類を素早く酸化分解することができる。光触媒付着領域Cではこのような酸化反応が光触媒作用によって次々と起こり、比較的早期に汚染部分Pから有害物質が除去される。
また同様に、紫外線の照射によって汚染部分Pではダイオキシン類の脱塩素化が促進されるので、光触媒作用と合わせて室内1の浄化に多大な効果が発揮される。ここでも同様に、光触媒付着領域Cの面あたり、例えば30分〜120分間にわたって紫外線を照射することが好ましい。ただし、浄化処理方法(3)では上述のように汚染部分Pに対して直にフリーラジカル(・OH,・O )を供給できるため、先の浄化処理方法(1),(2)と比較するとダイオキシン類との反応速度に優れるという利点がある。
(第2使用例)
第2の使用例では、吹き付け器5および紫外線照射器4に加えてオゾン発生装置2を使用する。この場合、オゾンを充満させるために室内1を密閉した状態にする必要がある。室内1を密閉する作業は、光触媒の吹き付け作業に並行して行ってもよいし、あるいはその前後に行ってもよい。いずれにしても、室内1を閉塞した状態でオゾン発生装置2を作動させ、室内1にオゾンガスを充満させる。このとき例えば、室内1のオゾンガス濃度を3.0ppm〜5.0ppm程度以上まで上昇させる。
第2使用例の場合、光触媒作用によるダイオキシン類の分解に加えて、さらにオゾンによる酸化分解、そして、オゾンから転化されたヒドロキシラジカル(・OH)による酸化分解の効果が発揮される。またオゾンの脱臭効果により、室内1に蔓延する臭気やその壁面、天井面、床面等に染み付いた臭気成分が好適に酸化分解されるため、作業の終了後は室内1の脱臭効果をも同時に達成することができる。
次に浄化処理方法(2)の実施例を取り立てて説明する。ここでは図1の浄化処理システム(1)を使用し、以下の条件で浄化処理方法(2)を実施した。
オゾン発生装置2を適当な台数だけ室内1に設置し、その容積に対して所定濃度(21℃換算で3.0ppm程度)以上となる質量のオゾンガスを発生させた。室内1の環境によってオゾン濃度が不足する場合は適宜、オゾン発生装置2の稼働台数を増やし、逆にオゾン濃度が高すぎる場合は稼働台数を減らすなどの調整を行った。
(実施例1)
ダイオキシン類が付着した汚染部分に対し、その面あたり30分間にわたって紫外線を照射した。この時点で汚染部分からダイオキシン類を抽出し、その残留量からダイオキシン類の1次除去率を求めた。
(実施例2)
さらに汚染部分に対し、その面あたり90分間にわたって紫外線を照射した。照射終了後に汚染部分からダイオキシン類を抽出し、先程と同様に残留量からダイオキシン類の2次除去率を求めた。
以下の表1は、各実施例から得たダイオキシン類の除去率を示している。
Figure 2005058967
表1に示されるように、実施例1ではダイオキシン類(PCDDsおよびPCDFs)の1次除去率は80%であった。また実施例2ではさらに2倍近くの分解率が得られ、ダイオキシン類の2次除去率としていずれも90%以上の結果を得ることができた。
発明者は日本国内の臭気判定士資格を有しており、それゆえ本発明の浄化処理方法が室内1の脱臭にも合わせて有効であるという知見を有している。すなわち、浄化処理方法の使用後に室内1を開放し、残留したオゾンガス等を排出した後に臭気判定士による室内1の臭気調査を行ったところ、火災現場に特有の焼け焦げ臭は日常生活や業務に問題ないレベルまで除去されていたことが明らかとなっている。
浄化処理システム(1)の一構成例を示した図である。 浄化処理方法の使用に伴うダイオキシン類の除去作用を示した図である。 浄化処理システム(2)の一構成例を示した図である。
符号の説明
1 室内
2 オゾン発生装置
4 紫外線照射器
5 吹き付け器

Claims (8)

  1. 有害物質が付着した汚染部分を有する室内を閉塞し、その内部にオゾンガスを充満させることで室内から有害物質を除去することを特徴とする室内の浄化処理方法。
  2. 有害物質が付着した汚染部分を有する室内を閉塞してその内部にオゾンガスを充満させるとともに、前記汚染部分に向けて紫外線を照射することで室内から有害物質を除去することを特徴とする室内の浄化処理方法。
  3. 有害物質の付着により汚染された室内のうち、その汚染部分に光触媒を付着させて光触媒付着領域を形成するとともに、前記光触媒付着領域に向けて紫外線を照射することで室内から有害物質を除去することを特徴とする室内の浄化処理方法。
  4. 室内を閉塞した状態で、さらにその内部にオゾンガスを充満させることを特徴とする請求項3に記載の室内の浄化処理方法。
  5. 室内に充満されるオゾンガスの濃度が所定値以上に設定されていることを特徴とする請求項1、請求項2および請求項4のいずれか1項に記載の室内の浄化処理方法。
  6. 前記オゾンガスを充満させることで、有害物質の除去作業に並行して室内の脱臭作業を実行することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4および請求項5のいずれか1項に記載の室内の浄化処理方法。
  7. 有害物質が付着した汚染部分を有する室内を閉塞した状態で、この室内にオゾンガスを充満させるオゾン発生設備と、
    前記オゾン発生設備によりオゾンガスが充満された状態で、前記汚染部分に向けて紫外線を照射するための紫外線照射設備と
    を具備したことを特徴とする室内の浄化処理システム。
  8. 有害物質の付着により汚染された室内のうち、その汚染部分に光触媒を付着させて光触媒付着領域を形成するための光触媒付着設備と、
    前記光触媒付着領域に向けて紫外線を照射するための紫外線照射設備と
    を具備したことを特徴とする室内の浄化処理システム。
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