テレビジョン放送の放送方式には、大きく分けて、NTSC方式(日本、北米等)、PAL方式(フランスを除く欧州等)、SECAM方式(フランス、旧東欧、ロシア等)の3つの方式がある。各方式毎に色差信号の変調方式や色副搬送波周波数が異なり、その互換性は少ない。そのため、一般に、複数の映像信号を取り扱うシステムでは、入力された映像信号がどの方式に対応した信号であるかを判別する機能が設けられ、その判断の後に必要な機能の切換が行われる。
ところで、NTCS方式やPAL方式では、色差信号の変調方式に直交変調方式を採用しているのに対して、SECAM方式では、色差信号の変調方式にFM変調方式を採用している。さらに、SECAM方式では、2つの色差信号(DR信号,DB信号)を、それぞれ異なるキャリア周波数の色副搬送波にFM変調し、それらを1水平ライン毎交互に伝送している。具体的には、DR信号を4406.25kHzのキャリア周波数に変調し、DB信号を4250.00kHzのキャリア周波数に変調し、これらを1水平ライン毎交互に挿入している。そのため、一般に、入力された映像信号がSECAM方式であるかどうかの判断は、色副搬送波の中心周波数を抽出し、その中心周波数が1水平走査ライン毎に交互に順次切り替わっていっているかどうかを識別することにより行われている。
このようなSECAM方式の信号判別技術として特許文献1に、色副搬送波の中心周波数を抽出し、その中心周波数が1水平走査ライン毎に交互に順次切り替わっていっているかどうかを識別することによって、入力された信号がSECAM信号であるかどうかを判断する技術が提案されている。図4は、特許文献1に開示されているSECAM信号判別回路及びクロマ復調回路の要部ブロック構成図を示し、SECAM信号判別回路は、クロマ復調回路内のFM復調出力を利用して処理が行われる。
まず、クロマ復調回路100の回路説明をする。クロマ復調回路100には、コンポジット映像信号から輝度信号が取り除かれた状態の搬送色信号が入力される。この搬送色信号は、色副搬送波に色差信号が変調されている状態の信号であり、以下、クロマ信号Cと呼ぶ。クロマ復調回路100は、このクロマ信号Cから、2つの色差信号(DR/DB)を復調する回路である。クロマ復調回路100は、ベルフィルタ101と、FM復調回路102と、DR/DB判別回路103と、線順次デコーダ104とから構成されている。ベルフィルタ101には、例えば輝度/クロマ分離回路によりコンポジット映像信号の分離処理がされたのちのクロマ信号Cが入力される。ベルフィルタ101は、送信側で与えられたベルフィルタ特性と逆の周波数特性とを、入力されたクロマ信号Cに与えて波形整形する。
ベルフィルタ101の出力信号の波形整形されたクロマ信号Cは、FM復調回路102に供給される。FM復調回路102は、色副搬送波にFM変調されている色差信号(DR/DB)を、所定の基準信号の基本周波数を基にFM復調する。このFM復調回路102からは、FM復調回路に入力されたクロマ信号Cの瞬時周波数と、基本周波数との周波数差が、レベルに変換された信号が出力される。なお、SECAM方式の場合、DR信号とDB信号とは、それぞれ異なる中心周波数の色副搬送波にFM変調されている。その後、FM復調されたクロマC信号は、DR/DB判別回路103を通り、線順次デコーダ104に入力される。線順次デコーダ104から出力された色差信号(DR/DB)は、例えば後段の出力回路やRBGマトリクス回路等に供給される。
次に、SECAM信号判別回路110について説明をする。SECAM信号判別回路110は、DR/DB判別回路103と、Dラッチ回路111、114と、EX−OR回路112と、加算器113と、比較回路(Comp)115とを備えている。
Dラッチ回路111は、DR/DB判別回路103の出力信号を、色副搬送波基準信号でラッチする。色副搬送波基準信号(ラインID信号)とは、そのラインID信号が埋め込まれた水平ラインのFM変調の中心周波数を識別するための信号である。具体的には、ラインID信号は、何ら情報が変調されていない状態の色搬送波であり、ラインID信号は、その水平ラインにDR信号が変調されているのであれば周波数が4406.25kHzの無変調の信号となり、その水平ラインにDB信号が変調されているのであれば周波数が4250.00kHzの無変調の信号となる。このラインID信号は、水平ブランキング期間内のバックポーチに含まれている。具体的にこのラインID信号は、SECAMの規格上、水平同期信号(Hsync)から5.6μs進んだ時間から、実際の色差信号の開始時間(水平同期信号(Hsync)から10.5μs進んだ時間)までの間に挿入されている。
一方、SECAM判別で使用する映像信号部分領域(ウインドウ信号)は図5(d)に示すよう、バースト信号の後半とバックポーチ部分に掛かっている。これは水平同期信号(HSync)に近い部分(つまりバースト信号の前半)はFM復調回路102の復調誤差が大きく、SECAM判別に使用すると誤判別しやすくなり、判別する領域は後ろにずらしているためである。
また、DR/DB判別回路103は、クロマ復調回路100内のFM復調回路102から出力されるFM復調出力に基づき、DR/DB識別信号Xを生成する。このDR/DB識別信号Xは、その水平ラインにDR信号が変調されているのか、DB信号が変調されているのかを識別するための信号である。まず、DR/DB判別回路103は、クロマ復調回路100内のFM復調回路102から出力されるFM復調出力の内、ラインID信号のみを抽出する。ラインID信号の挿入位置は、図5(d)に示したウインドウ信号に基づき判断を行う。DR/DB判別回路103は、その抽出したラインID信号の復調値が4406.25kHz(DR)に近いか、或いは4250.00kHz(DB)に近いかを判断する。この判断は、例えば4406.25kHzの復調値と4250.00kHzの復調値との中間値を閾値として、出力された復調値を2値化することにより行うことができる。そして、判断した結果に基づき、復調値が4406.25kHzに近ければハイ(H)、4250.00kHzに近ければロー(L)となるDR/DB識別信号Xを出力する。このDR/DB識別信号Xは、当該ラインID信号が含まれている水平ラインの期間の間、その値が保持され続ける。つまり、ハイ(H)とロー(L)の切換は、水平同期信号(Hsync)のタイミングで行われる。
DR/DB判別回路103から出力されるDR/DB識別信号Xは、Dラッチ回路111により、1水平ライン後のDR/DB識別信号X’と共に、EX−OR回路112に供給される。EX−OR回路112は、DR/DB識別信号Xと1水平ライン後のDR/DB識別信号X’とのex−or演算を行う。すなわち、EX−OR回路112は、DR/DB識別信号Xと1水平ライン後のDR/DB識別信号X’が一致していなければハイ(H)という出力を行う。EX−OR回路112の出力信号は、加算器113に供給される。加算器113は1水平ライン毎に1フレーム加算され、加算器113の加算値は比較回路115に供給される。
比較回路115は、加算器113の値と基準閾値Thとを比較する。比較した結果、加算器113の値が、基準閾値Thよりも大きい場合には出力をハイ(H)とする。この比較回路115からの出力信号が、SECAM信号の判別フラグとなる。
このような構成の従来のSECAM信号判別回路110に対して、SECAM信号が入力されると、各回路は以下のように動作する。SECAM信号が入力されると、DR/DB判別回路103は、ハイ(H)とロー(L)を1水平ライン毎に交互に繰り返すDR/DB識別信号Xを出力する。
このようなDR/DB識別信号XがEX−OR回路112に入力されると、このEX−OR回路112からは、ハイ(H)出力が連続した信号が出力され続けることとなる。つまり、DR/DB識別信号Xと1H後のDR/DB識別信号X’とがともに、ハイ(H)とロー(L)を1水平ライン毎に交互に繰り返す信号であるため、両者の値が常に一致していないからである。
そのため、加算器113の加算値はプラス側にインクリメントされ続けることとなる。つまり、SECAM信号が入力された場合には、1水平ライン毎に1フレーム加算された加算器113の値が増加していき、所定時間後には、この加算器113の出力値が基準閾値Thを越えることとなる。1フレーム内にラインID信号は約575ラインあるため、SECAM標準信号であれば加算値は575になる。
一方、SECAM信号以外の信号が入力されると、DR/DB判別回路103は、ハイ(H)とロー(L)とを交互に繰り返さず、ハイ(H)とロー(L)のいずれか一方の出力に偏ったDR/DB識別信号Xを出力する。例えばPAL信号が入力されれば、そのカラーバースト信号の周波数が4430kHzであるため、常にハイ(H)となるDR/DB識別信号Xを出力する。このようなDR/DB識別信号XがEX−OR回路112に入力されると、このEX−OR回路112からはロー(L)信号が出力されることとなる。
そのため、加算器113は、プラス側にインクリメントされ続けることなく、加算値の増減がある一定の範囲内で収まってしまう。つまり、SECAM信号以外の信号が入力されると、加算器113の加算値はある一定範囲以上増加せず、この増加範囲を考慮した基準閾値Thを設定しておけば、所定時間経過してもこの出力値は基準閾値Thを越えることはない。なお、PAL標準信号であれば、加算値は0になる
従って、以上のように特許文献1に記載のSECAM信号判別回路110では、加算器113の加算値を一定時間の間モニタして、この加算値が基準閾値Thを越えたか否かを判断することにより、入力された信号がSECAM信号であるか否かを判断することができる。
特開2003−18608号公報(段落番号0061〜同0123及び図2、図3)
以下、本発明の一実施形態のSECAM方式のクロマデコーダについて、SECAM方式のコンポジット映像信号(CVBS)を、輝度信号及び色差信号に分離して出力する装置を例に挙げ説明をする。
(実施の形態1)
図1に本実施形態のクロマデコーダ1のブロック図を示す。クロマデコーダ1は、アナログ/デジタルコンバータ(A/Dコンバータ)11と、クランプ回路12と、同期検出回路(SYNC回路)13と、輝度/クロマ分離回路(Y/C分離回路)14と、クロマ復調回路15と、出力処理回路16と、SECAM信号判別回路17と、システムコントローラ18とを備えている。
A/Dコンバータ11には、外部から供給されたアナログのコンポジット映像信号(CVBS)が入力される。入力されたコンポジット映像信号は、A/Dコンバータ11で所定のシステムクロックでサンプリングして、デジタルデータに変換しクランプ回路12に出力する。
クランプ回路12は、入力されたコンポジット映像信号のペデスタルレベルが一定となるように、クランプ処理を行う。クランプ回路12の出力信号の一方は、SYNC回路13に入力される。SYNC回路13は、入力されたコンポジット映像信号から同期信号を抽出して、垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsyncを検出する。各同期信号はシステムコントローラ18に供給される。
以上のように、クランプ処理がされたクランプ回路12の出力信号の他方は、システムクロックでサンプリングされデジタルのコンポジット映像信号となり、Y/C分離回路14に供給される。Y/C分離回路14は、デジタルのコンポジット映像信号を、輝度信号Yと搬送色信号(色搬送波に変調された状態の色差信号、以下クロマ信号Cと呼ぶ)とに分離する。Y/C分離回路14で分離された輝度信号Yは出力処理回路16に供給され、Y/C分離回路14で分離されたクロマ信号Cはクロマ復調回路15に供給される。クロマ復調回路15は、クロマ信号Cから色差信号(DR/DB)を復調する。復調された色差信号(DR/DB)は、出力処理回路16に供給される。なお、出力処理回路16は、視覚補正処理、OSD合成、サンプリングレート変換処理等の各種処理を行い、所定のサンプリングレートでクロマデコードした画像データを出力する。また、クロマ復調回路15は、SECAM判別回路17にも信号を出力し、このSECAM信号判別回路17で、入力されたコンポジット映像信号が、SECAM信号であるか否かを判別する。システムコントローラ18は、本装置の各回路の制御を行う。
次に、SECAM信号判別回路17について図2を参照して説明をする。なお、図2には、クロマ復調回路15、SECAM信号判別回路17及び弱電界検出回路36の要部構成ブロック図を示している。SECAM信号判別回路17は、クロマ復調回路15内のベルフィルタ出力及びFM復調出力を利用して処理が行われる。
まず、クロマ復調回路15の回路説明をする。クロマ復調回路15は、ベルフィルタ21と、FM復調回路22と、DR/DB判別回路23と、線順次デコーダ24とから構成されている。
ベルフィルタ21には、例えばY/C分離回路15によりコンポジット映像信号(CVBS)の分離処理がされたクロマ信号Cが入力される。ベルフィルタ21は、送信側で与えられたベルフィルタ特性と逆の周波数特性とを、入力されたクロマ信号Cに与えて波形整形する。
ベルフィルタ21により波形整形されたクロマ信号Cは、FM復調回路22に供給される。FM復調回路22は、色副搬送波にFM変調されている色差信号(DR/DB)を、所定の基準信号の基本周波数を基にFM復調する。このFM復調回路22からは、FM復調回路22に入力されたクロマ信号Cの瞬時周波数と基本周波数との周波数差が、レベルに変換された信号が出力される。なお、SECAM方式の場合、DR信号とDB信号とは、それぞれ異なる中心周波数の色副搬送波にFM変調されている。その後、FM復調されたクロマC信号は、DR/DB判別回路23を通り、線順次デコーダ24から出力された色差信号(DR/DB)は、後段の出力回路16に供給される。
次に、SECAM信号判別回路17と弱電界検出回路36とについて説明をする。SECAM信号判別回路17は、DR/DB判別回路23と、Dラッチ回路31、34と、EX−OR回路32と、加算器33と、比較回路(Comp)35とを備え、弱電界検出回路36は、A/Dコンバータ11と、HPF37と、ノイズ検出回路38と、システムコントローラ18と、切換スイッチ39とを備えている。
弱電界検出回路36は、入力されたアナログのコンポジット信号(CVBS)を、A/Dコンバータ11にてデジタルデータに変換する。その後、HPF37を通過した信号をノイズ成分と判断し、ノイズ検出回路38にてノイズ積算値をシステムコントローラ18に送る。図3は、ノイズ検出回路38の積算タイミングの一例を示す図であり、入力されたコンポジット信号の垂直ブランキング期間内1H〜6Hのノイズレベルを、ゲートパルスにより積算している。
システムコントローラ18は、ノイズ積算値結果にてノイズ積算値が大きい場合は弱電界信号であると判断し、ノイズ積算値が小さい場合は強電界(通常)信号であると判断する。その後、システムコントローラ18は、強電界(通常)信号であると判断した場合は第1の基準閾値Th1、弱電界信号であると判断した場合は第2の基準閾値Th2を選択するように、切換スイッチ39を制御する。ここで、第1の基準閾値Th1及び第2の基準閾値Th2は、Th1>Th2の関係となっている。
PAL信号は図5(a)に示すように、水平同期信号(Hsync)の後のバックポーチの部分に、カラーバースト信号が挿入されている。このカラーバースト信号は、水平同期信号(Hsync)の開始エッジから5.6μs(±0.1μs)後から挿入される。このカラーバースト信号の挿入区間は、2.26μs(±0.226μs)である。PAL信号は、さらにこのカラーバースト信号の後に、なんら信号が含まれない無信号区間が存在する。
SECAM信号は図5(c)に示すように、水平同期信号(Hsync)の後のバックポーチの部分に、ラインID信号が挿入されている。このラインID信号は、水平同期信号(Hsync)の開始エッジから5.6μs(±0.2μs)後から開始し、映像信号が挿入される手前で終了している。すなわち、SECAM信号のバックポーチには、ラインID信号が挿入された後には無信号部分が存在しない。
ここで、図5(a)及び図5(c)に示すように、PAL信号及びSECAM信号に関わらず、バックポーチ部分においてカラーバースト信号が挿入される区間をバースト信号区間と呼び、カラーバースト信号の後の無信号の区間を無信号区間と呼び、ラインID信号が挿入される区間をラインID区間と呼ぶものとする。なお、図5(b)は、SECAM信号をPAL信号に変換した残留SECAMクロマ成分のあるPAL信号である。
図5(d)にウインドウ信号を示す。ウインドウ信号は、ラインID信号の復調値を取り込む範囲を特定するための信号である。ウインドウ信号は、それぞれラインID信号が検出されるラインID区間内に設定されている。ウインドウ信号は、ラインID信号の挿入位置のずれの影響を受けない位置で十分余裕をもって、例えばラインID信号の中間位置を中心に検出範囲が設定されている。
また、DR/DB判別回路23は、クロマ復調回路15内のFM復調回路22から出力されるFM復調出力に基づき、DR/DB識別信号Xを生成する。このDR/DB識別信号Xは、その水平ラインにDR信号が変調されているのか、DB信号が変調されているのかを識別するための信号である。DR/DB判別回路23は、クロマ復調回路15内のFM復調回路22から出力されるFM復調出力の内、ウインドウ信号で指定された範囲の復調値のみを抽出する。DR/DB判別回路23は、その抽出した復調値が4406.25kHz(DR)に近いか、或いは4250.00kHz(DB)に近いかを判断する。この判断は、例えば4406.25kHzの復調値と4250.00kHzの復調値との中間値を閾値として、出力された復調値を2値化することにより行うことができる。このようにして判断した結果に基づき、復調値が4406.25kHzに近ければハイ(H)、4250.00kHzに近ければロー(L)となるDR/DB識別信号Xを出力する。このDR/DB識別信号Xは、当該ラインID信号が含まれている水平ラインの期間の間その値が保持され続ける。つまり、ハイ(H)とロー(L)の切換は、水平同期信号(Hsync)のタイミングで行われる。
DR/DB判別回路23から出力されるDR/DB識別信号Xは、SECAM信号判別回路17のDラッチ回路31により、1水平ライン後のDR/DB識別信号X’と共に、EX−OR回路32に供給される。EX−OR回路32は、DR/DB識別信号Xと1水平ライン後のDR/DB識別信号X’のex−or演算を行う。すなわち、EX−OR回路32は、DR/DB識別信号Xと1水平ライン後のDR/DB識別信号X’が一致していればハイ(H)という出力を行う。EX−OR回路32の出力信号は、加算器33に供給される。加算器33は1水平ライン毎に1フレーム加算され、加算器33の加算値は比較回路35に供給される。
比較回路35は、加算器33の値と、第1の基準閾値Th1または第2の基準閾値Th2とを比較する。比較した結果、加算器33の値が基準閾値よりも大きい場合には出力をハイ(H)とする。この比較回路35からの出力信号が、SECAM信号の判別フラグとなる。ここで、前述したように第1の基準閾値Th1及び第2の基準閾値Th2は、Th1>Th2の関係となっている。この切換スイッチ39は、弱電界検出回路36の結果から、強電界時(通常時)の場合には基準閾値Th1を選択し、弱電界時の場合には基準閾値Th2を選択する。すなわち、入力信号が強電界(通常)時の場合にはSECAMであると判断する際の基準を高く設定する。反対に、入力信号が弱電界時の場合にはSECAMであると判断する基準を低く設定する。
このような構成のSECAM信号判別回路17に対して、SECAM信号が入力されると、各回路は以下のように動作する。SECAM信号が入力されると、DR/DB判別回路23はハイ(H)とロー(L)を1水平ライン毎に交互に繰り返すDR/DB識別信号Xを出力する。このようなDR/DB識別信号XがEX−OR回路32に入力されると、このEX−OR回路32からはハイ(H)出力が連続した信号が出力され続けることとなる。つまり、DR/DB識別信号Xと1H後のDR/DB識別信号X’とが、ともにハイ(H)とロー(L)を1水平ライン毎に交互に繰り返す信号であるので、両者の値が常に一致していないことになる。そのため、加算器33の加算値は、プラス側にインクリメントされ続けることとなる。つまり、SECAM信号が入力された場合には、1水平ライン毎に1フレーム加算された加算器33の値が増加していき、所定時間後にはこの加算器33の出力値が基準閾値を越えることとなる。
1フレーム内にラインID信号は約575ラインあるため、SECAM標準信号であれば加算値は575になる。一方、SECAM信号以外の信号が入力されると、DR/DB判別回路23はハイ(H)とロー(L)とを交互に繰り返さず、ハイ(H)とロー(L)のいずれか一方の出力に偏ったDR/DB識別信号Xが出力される。例えばPAL信号が入力されれば、そのカラーバースト信号の周波数が4430kHzであるため、常にハイ(H)となるDR/DB識別信号Xが出力される。このようなDR/DB識別信号XがEX−OR回路32に入力されると、このEX−OR回路32からはロー(L)信号が出力されることとなる。そのため、加算器33は、プラス側にインクリメントされ続けることなく、加算値の増減がある一定の範囲内で収まってしまう。つまり、SECAM信号以外の信号が入力されると、加算器33の加算値はある一定範囲以上増加せず、この増加範囲を考慮した基準閾値を設定しておけば、所定時間経過してもこの出力値は基準閾値を越えることはない。なお、PAL標準信号であれば加算値は0になる
従って、以上のようにSECAM信号判別回路17では、加算器33の加算値を一定時間の間モニタして、この加算値が基準閾値を越えたか否かを判断することにより、入力された信号がSECAM信号であるか否かを判断することができる。
図6は、各信号における電界強度によるSECAM信号判別加算値の関係の一例を示す図である。標準PAL信号の場合、同図の(a)PAL信号のように、強電界時ではSECAM信号判別加算値が0であるが、弱電界になるにつれてSECAM信号判別加算値はTh2付近(約330)に収束する。反対に標準SECAM信号の場合、同図の(c)SECAM信号のように、強電界時ではSECAM信号判別加算値が575であるが、弱電界になるにつれてSECAM信号判別加算値はTh2付近(約330)に収束する。残留SECAMクロマ成分のあるPAL信号の場合は、同図の(b)のように、強電界時ではSECAM信号判別加算値が約450であるが、弱電界になるにつれてSECAM信号判別加算値はTh2付近(約330)に収束する。
今仮に基準閾値をTh1(例えば500)に設定すると、(c)SECAM信号のように、電界強度45dBμ以下の弱電界信号においてPALと誤判別する。また基準閾値をTh2(たとえば330)に設定すると、(b)残留SECAMクロマ成分のあるPAL信号のように、電界強度50dBμ以上の強電界信号においてSECAMと誤判別する。
そこで、弱電界検出回路36の結果から、強電界時(通常時)の場合には基準閾値Th1を選択し、弱電界時の場合には基準閾値Th2を選択する。すなわち、入力信号が強電界(通常)時の場合にはSECAMであると判断する際の基準を高く設定する。反対に、入力信号が弱電界時の場合にはSECAMであると判断する基準を低く設定することにより、電界強度に依存せずに、(c)SECAM信号、(b)残留SECAMクロマ成分のあるPAL信号、及び(a)PAL信号のいかなる信号をも誤判別することがなくなる。
以上の動作を基本とし、さらにこのSECAM信号判別回路17では、入力されたテレビジョン信号に対してノイズ成分の積算値レベルを検出し、「入力信号の電界強度が通常レベルである」か、「入力信号の電界強度が弱電界レベルである」かを判断する。そして「入力信号の電界強度が通常レベルである」と判断した場合には、SECAM信号であると判断するための判断基準の閾値を高く設定する(第1の基準閾値Th1に設定)。一方「入力信号の電界強度が弱電界レベルである」と判断した場合には、SECAM信号であると判断するための判断基準の閾値を低く設定する(第2の基準閾値Th2に設定)。このようにSECAM信号判別回路17では、通常時の場合には基準閾値を高く設定することにより、例えば残留SECAMクロマ成分のあるPAL信号であっても、誤ってSECAM信号であると誤判別することがなくなる。また、さらにこのSECAM信号判別回路17では、弱電界時の場合には基準閾値を低く設定することにより、例えばノイズ信号成分のあるSECAM信号であっても、誤ってPAL信号であると誤判断することがなくなり、高精度な判断を行うことができる。
なお、本実施形態のSECAM判別回路17では、入力されたテレビジョン信号に対してノイズ成分の積算値レベルを検出し、「入力信号の電界強度が通常レベルである」か、「入力信号の電界強度が弱電界レベルである」かを判断しているが、さらに「入力信号の電界強度が強電界レベルである」か、「入力信号の電界強度が中電界レベルである」 か、「入力信号の電界強度が弱電界レベルである」かを判断することにより、より高精度な判別が可能となる。