本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置における現像装置に係り、特に、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、現像ローラ上に帯電されたトナーのみを保持させて静電潜像に飛翔させ、該潜像を現像するようにした画像形成装置における現像装置に関するものである。
電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置における現像方式には、トナーと磁性キャリアを用いた2成分現像方式、絶縁トナーや導電トナーを用いた1成分現像方式、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、現像ローラ上に帯電されたトナーのみを保持させて静電潜像に飛翔させ、該潜像を現像するようにした現像方式などがある。
2成分現像方式は、キャリアによるトナーの帯電性に優れ、長寿命化が可能であると共にベタ画像の均一化などの利点がある反面、現像装置が大きく複雑になる、トナー飛散やキャリア引きが発生する、キャリアの耐久性によって画質が変化するなどの欠点がある。また1成分現像方式は、現像装置がコンパクトになってドット再現性に優れているが、現像ローラ、チャージローラの劣化のために耐久性が低く、現像装置を交換するため消耗品価格が高価になる、選択現像が発生するなどの欠点を有している。磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、現像ローラ上に帯電されたトナーのみを保持させて静電潜像に飛翔させ、該潜像を現像するようにした現像方式は、ドット再現性に優れて長寿命化、高速の画像形成が可能な方式ではあるが、従来では、現像ゴーストの発生やトナー粒度分布の変化に伴って現像剤中に微粉トナーが増え、この微粉トナーによるキャリア表面が汚染されて帯電量が低下し、現像装置からのトナーの飛散、現像ローラ上への微粉トナーの付着などの問題があった。
そして磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、現像ローラ上に帯電されたトナーのみを保持させて静電潜像に飛翔させ、該潜像を現像するようにした現像方式は、従来、非接触の1成分現像の手段として検討されてきたが、近年、高速の画像形成が可能な現像方式として、特に感光体上に複数のカラー画像を順次形成する1ドラム色重ね方式用としても検討されてきた。この方式では、感光体上に正確にトナーを重ねることで色ズレの少ないカラー画像形成が可能であり、カラーの高画質化に対応する技術として注目されてきた。
しかしながらこの1ドラム色重ね方式では、使用する色数分の現像装置を感光体の周りに配置せねばならないから、感光体が大型になり、画像形成装置の小型化の妨げになる。そのため、使用するトナーの色に対応した複数の電子写真プロセス部材を並べて配置し、転写部材の送りに同期させてカラ−画像を形成して転写部材上で色重ねを行うタンデム方式が注目されてきた。しかしながらこの方式では、高速性に優れている利点があるものの、各色の電子写真プロセス部材を並べて配置しなければならないために大型化する欠点を有していた。この対策として感光体同志の間隔を狭くし、小型化した画像形成ユニットを配置した小型タンデム型画像形成装置が提案されている。
このように構成された小型のタンデム型画像形成装置においては、画像形成ユニットの幅方向のサイズを極小にするため、現像装置を縦型とすることが有利である。すなわち、感光体の上部方向に現像装置を配置することがレイアウト上望ましい。しかしながら従来の2成分現像方式では、このように現像装置を縦型に配置した場合、現像剤の還流、すなわち現像剤攪拌部から感光体に近接した現像部材への供給が複雑になり、装置の小型化に限界が生じると共に感光体へのキャリアの付着、トナーの飛散が避けられないという間題があった。
他の方法として、キャリアを用いない1成分現像方式も提案されているが、現像ローラを感光体に接触する方式では感光体のトルク変動をきたし、タンデム型の弱点である色ずれを助長させてしまう欠点があった。また、感光体に非接触な方式では、トナーをチャージロールで帯電させ、弾性規制ブレードで現像ローラ上の層厚を規制していたため、トナーの添加剤がチャ−ジロールに付着して帯電能力が低下したり、規制ブレードにトナーが付着し層形成が不均一になってしまい、画像欠陥をきたすことがあった。
そのため、これらの問題を解決する手段の一つとして、前記した磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、現像ローラ上に帯電されたトナーのみを保持させて静電潜像に飛翔させ、該潜像を現像するようにした現像方式が注目されてきた。すなわちこのようにした現像方式では、現像ローラが感光体と非接触であるからトルク変動をきたすことがなく、ドット再現性に優れて長寿命化が可能な高速の画像形成装置が提供できる。
こういった技術に関する従来技術としては、特許文献1に静電潜像担持体に対して非接触に設置したドナーロール(現像ローラ)上に非磁性トナーで薄層を形成し、交流電界によって静電潜像担持体上の潜像に該トナーを飛翔させる提案がなされている。また特許文献2には、磁気ロールを用いて現像剤をドナーロールに進ませ、このドナーロール上にトナーを転移させてトナー層を形成する現像装置が示されている。
しかしながらこれらの提案では、2成分現像剤を採用してドナーロール上への薄層形成は可能なものの、トナーの帯電が高くなった場合にドナーロール上のトナーの分離が困難になり、強い交流電界が必要とされる。この電界が静電潜像担持体上のトナー層を乱してしまうので、色重ねなどには間題を有していた。そのため特許文献3には、ドナーロールと静電潜像担持体の間にワイヤからなる補助電極を設け、この補助電極に弱い交流電界を印加して現像されたトナーを乱さないようにした、いわゆるパウダークラウド現像法が提案されている。
そして理論面では、非特許文献1で東芝(株)から、2成分現像剤を用いた現像ローラ上のトナー層の形成についての報告がなされ、特許文献4に特許としての出願がある。
また上記した従来の技術は、現像性の高いトナーの粗粉が選択的に静電潜像担持体に現像されやすく、連続印刷を行うと帯電性の高いトナーの微粉が現像スリーブに堆積して選択現像が起こりやすく、画像濃度の低下が生じる傾向があった。さらに、トナーの帯電制御が複雑で、静電潜像担持体に高い表面電位と大きな現像電界を印加することを必要としていた。そのため、現像ローラ上にトナーの消費領域と非消費領域とが生じると、その現像ローラ上におけるトナーの付着状態とトナーの電位差にばらつきが生じる関係から、前の現像画像の一部が次の現像時に残像(ゴースト)として現れる現象、いわゆる履歴現象が発生しやすいという不具合がある。さらに、高濃度の現像パターンを連続して印字した場合、描画後のトナーの需要と供給のバランスが悪く、現像ローラ上のトナー層形成が良好に行われず、画像濃度にムラが生じるなどの画像不均一性がおこりやすく、現像装置を小型化する場合の課題となっていた。
これを防止し、現像ローラ上のトナーを確実に回収する方法として特許文献5には、専用の回収ロールを用いる提案がなされている。しかしながらこれらの方法は、複雑な機構が必要で小型の電子写真プロセスには実用化されていない。さらに磁気ブラシを用いた履歴現象の対応策として特許文献6に、磁気ロールの磁束密度の半値幅領域を広く設定することにより、現像ローラ上のトナーの回収と供給を図る提案がなされている。また、タンデム型の現像装置の制御方法として特許文献7には、転写工程を行っている画像形成部以外の画像形成部における現像装置の動作を停止させ、現像剤の劣化を防ぐようにした出願がなされている。
また、こういった磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、現像ローラ上に帯電されたトナーのみを保持させて静電潜像に飛翔させ、該潜像を現像するようにした現像方式においては、選択現像による画像濃度低下、トナーを現像ローラに保持させたまま長時間放置することによる現像欠陥、画像劣化、現像ゴースト、トナー飛散、スリーブ付着などが生じるため、特許文献8(特許文献9)には、2成分現像剤による磁気ブラシを形成する磁気ロール(供給ローラ)と、この磁気ロール(供給ローラ)から供給されたトナーの薄層を担持するドナーロール(現像ローラ)と、このドナーロールと静電潜像担持体との間に設けられた電極とを有し、この電極には直流と交流からなるバイアスを、現像ローラには直流バイアスを、そして磁気ロールにはスイッチで異極性となる電圧に切り替えられるようにした直流バイアスを印加するよう構成し、コピーとコピーの間や紙間を利用して、電位差で現像ローラ上のトナーを磁気ロールに回収することで、トナーの帯電を安定化させて上記問題点を解決するようにした現像装置が示されている。
また特許文献10には、前記特許文献8に示された現像ローラと静電潜像担持体との間に電極を設ける方式につき、電気的にバイアスされて張力のかかった電極線の振動による不均一な現像や、塵が瞬間的に電極に付着して現像ローラに条痕を生じさせる現象が生じるとして、電極を埋め込んだ現像ローラを用いた現像装置が従来例として紹介され、さらにこの電極を埋め込んだ現像ローラを用いた場合でも、現像ローラ上に付着したキャリアの画像への付着、現像ローラに埋め込んだ電極が所定間隔を持っているため静電潜像担持体へのトナー供給効率が悪く、画像比率が高い画像を連続して現像処理した場合に画像抜けを生じる現象、磁気ロールと現像ローラへ印加する交番バイアスで選択現像が生じ、画質低下、濃度低下を生じる現象などを防止するため、現像スリーブ上に印加される交流成分を磁気ロール側に引き戻すよう設定した現像装置が示されている。
しかしながら前記特許文献3に記載されたパウダークラウド現像法は、補助電極のワイヤが非常に汚れやすく、また、振動による画像劣化等が発生するため、あまり一般的な方法とはなっていない。さらに特許文献5、特許文献6などに示された装置も、トナーの掻き取り装置や回収ロールの設置が必要であったり、特別な回収バイアスの印加などによってトナーのストレスが増し、トナーの耐久性能劣化の要因になったり、次の現像タイミングでの現像ローラの層形成に時間を要し、高速性を損なったりしていた。また長期使用時に、キャリアの耐久性能劣化によってトナーの帯電性が変化し、現像ローラ上のトナーの帯電特性が大きく変化して補給トナーや回収トナーの帯電の分布が広くなり、帯電不良によるトナーの飛散やカブリの原因になっていた。さらに劣化したキャリアの交換の煩わしさがあり、実用にはいたっていないのが実情である。
また、タンデム型の現像装置の制御方法としての特許文献7に示された装置は、転写工程を行っている画像形成部以外の現像装置の動作を停止させたり、現像ローラと磁気ロール(供給ローラ)間に印加する高圧を高周波数で切り替える装置や制御が必要であり、高価にならざるを得ないと共に、現像装置はドナーロールや磁気ロール、及び撹拌部材を横に並べた構成となっており、小型化が難しいという欠点がある。
また、特許文献8(特許文献9)、特許文献10に示された装置も、特許文献8のものは前記したパウダークラウド現像法であって、補助電極のワイヤが非常に汚れやすく、振動による画像劣化等が発生する。さらに特許文献10に示された装置も、現像ローラに電極を埋め込む必要があると共にこの電極にACとDCを重畳したバイアスを供給するためのブラシ電極が必要な複雑な構成であり、電極が周方向に断続していると共に、ブラシ電極が何らかの理由で汚れたり振動などでトナーが固着し、現像ローラの電極に接触できなくなると全くトナーの制御ができなくなる。
またこの現像方式では、現像剤中に現像されない微粉や外添剤等が含まれると現像性を落とす原因となる。そこで現像性を向上させるため、現像ローラと感光体ドラム間ギャップを狭くする、又は、現像ドラムに印加する交流バイアスのピーク電圧(Vpp)を高くする、などの方法が用いられているが、このようにすると、現像ローラ上のトナー層と感光体ドラムの間でリークが発生し、白地の上にφ0.1〜2.0mmの色点や黒点が生じる不良画像が発生する。
また現像ゴーストには、磁気ブラシに交流電圧を印加することで、現像終了後も瞬時に層形成がおこなえ、常に最短時間で現像ローラ上の薄層トナーを飽和状態にしておく有効な手段でもある。更に、供給ローラと現像ローラ間のギャップを狭めることも同様の効果が得られ、これらは、薄層トナーを剥ぎ取る際にも効果的に働くといえる。しかしながら、このように供給ローラと現像ローラ間のギャップを狭めたり、現像ローラに印加する交流バイアスのピーク電圧(Vpp)を高くすると、例え高抵抗の現像剤がトナーの受け渡しをしていても、リークが発生して大電流が流れ、機械本体の電気回路へのノイズの回り込みによって異常画像や誤動作の弊害を誘発する。これは、特に、現像ローラからトナーを剥ぎ取った直後の現像ローラで顕著であり、現像ローラの表面抵抗が低くなって、再度層形成を行う際にリークが発生しやすくなる。
また、この種の現像方式においては、供給ローラのキャリアによって形成される磁気ブラシで供給ローラと現像ローラとが接触しているため、現像ローラ上のチャージアップされたトナー層から供給ローラへリークが発生して大電流が流れることがある。すなわち、絶縁性キャリアを用いるとこういった問題は防げるがチャージアップによって現像性が落ちるため、キャリアとして108〜1010Ωcmのどちらかと言えば導電性に近いキャリアを使用した場合であり、湿度などの環境条件により、現像ローラと磁気ブラシを介した供給ローラ間の抵抗値が低下し、磁気ブラシを通じてリークが発生してしまうわけである。
このうち、現像ローラ上のトナー層と感光体ドラムの間でのリークによる色点や黒点を押さえる方法として、例えば特許文献11および12には、内部に静止磁石を有し、磁石ローラで構成した供給ローラ上の磁気ブラシから現像剤を移し取り、感光体ドラム上の潜像を現像するようにした現像ローラを有する現像装置に於いて、現像時における感光体電荷のリーク防止のため、現像ローラ表面に106Ω以上のアルマイト加工などによる絶縁層を設けることが示されている。
また特許文献13には、1成分現像剤を表面に担持し、潜像担持体に接触して接触現像する現像ローラを金属で形成した場合、潜像担持体の非画像部に感光層の一部が欠如したピンホールがあると、現像ローラの現像剤のない現像剤非担持領域がこのピンホールと直接接触し、像担持体から現像ローラへ許容電流値より大きな電流が流れ、画像部に白抜けや筋状の黒色部が発生することがあるため、現像ローラ表面をアルマイト処理し、大電流が流れるのを防止した現像装置が示されている。
米国特許第3,866,574号公報
米国特許第3,929,098号公報
特開平3−113474号公報
特開昭59−121077号
特開2000−81788公報
特開平7−128983号公報
特開昭63−249164号公報
特開平7−72733号公報
USP5,420,375号公報
特開2000−250294号公報
特公平2−37594号公報
特開2001−318526号公報
特開2001−343829号公報
電子写真学会誌第19巻第2号(1981)第44頁〜第51頁、 「タッチダウン現像法」東芝(株)、保坂靖夫、米田等
しかしながら、前記特許文献11乃至13に示されているのは現像ローラのリーク防止技術であり、供給ローラと現像ローラ間のリークは、現像ローラをアルマイト処理しても、現像ローラ上のチャージアップしたトナーから磁気ブラシを経由して供給ローラに流れ込むリークを防止することはできない。しかも、間に磁気ブラシを経由しているため、現像ローラと感光体ドラムの間のリークよりも大電流が流れやすく、基板類の信号線にノイズを与え、特に露光系の信号線に影響が出た場合は、前記した横筋ノイズや誤動作など重大な問題が防ぎきれずにいた。
また、現像ローラと感光体ドラムの間のリークによる黒点や色点は、現像ローラと感光体ドラムが非接触であるためリークによる電流量は低く、画像欠陥としての不具合だけであるが、供給ローラと現像ローラ間のリークは基板に影響を与え、誤動作を起こさせることによって画像だけでなく、ハード的不具合をも誘発させる場合がある。
そのため本発明においては、簡単、安価な構成で供給ローラと現像ローラ間のリークを防止し、黒点や横線などの不良画像のない、安定した画像を維持できるようにした画像形成装置における現像装置を提供することが課題である。
上記課題を解決するため本発明は、
2成分現像剤を担持させた供給ローラより現像ローラ上にトナーのみを担持させ、潜像担持体との間に形成された現像バイアスにより潜像担持体上の潜像を非接触現像すると共に、記録紙の紙間に対応する潜像イメージ間の非現像間隔時に、該現像ローラ上のトナー層を供給ローラ側に回収するトナー剥ぎ取り工程と、その後に行われるトナー層再形成工程が存在する画像形成装置における現像装置において、
前記トナー剥ぎ取り工程において少なくとも現像ローラ上のトナー薄層の剥ぎ取りが行われない細幅領域を設け、トナー剥ぎ取りが現像ローラの一周未満の領域で行われるようにして、前記トナー層再形成工程を前記細幅領域から開始するようにしたことを特徴とする。
そして、前記トナー薄層の剥ぎ取りが行われない細幅領域が、磁気ブラシによる現像ローラとのニップをN(mm)とする時、現像ローラ上におけるN〜2N(mm)の幅の領域であることを特徴とする。
このように2成分現像剤を担持させた供給ローラより現像ローラ上にトナーのみを担持させ、潜像イメージ間の非現像間隔時に現像ローラ上のトナー層を供給ローラ側に回収するトナー剥ぎ取り工程とトナー層再形成工程を実施し、かつ、トナー剥ぎ取り工程において少なくとも現像ローラ上のトナー薄層の剥ぎ取りが行われない細幅領域を設け、トナー剥ぎ取りが現像ローラの一周未満の領域で行われるようにしてトナー層再形成工程を前記細幅領域から開始することにより、この細幅領域に残っているトナーによって現像ローラ上に高抵抗領域ができるから、そこからトナー層再形成工程を開始すれば、トナー層再形成用のバイアスを印加した際にリークに対してきわめて強くなり、前記したようなリークによって基板類の信号線にノイズを与え、露光系の信号線に影響が出て横筋ノイズや誤動作など重大な問題が発生するのを防止することができる。
そして、前記トナー薄層の剥ぎ取りが行われない細幅領域が、磁気ブラシによる現像ローラとのニップをN(mm)とする時、現像ローラ上におけるN〜2N(mm)の幅の領域とすることにより、細幅領域を非常に狭い幅とすることができ、現像性に影響を与えずにリークの防止を効果的に行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明になる現像装置を有する画像形成装置の一実施例の模式図、図2は本発明になる現像装置の概略構成図、図3は本発明になる画像形成装置における現像装置の現像ローラへのトナー剥ぎ取り工程と再形成工程のタイムチャートである。
図中1は非磁性金属材料で円筒状に形成され、内部に複数の固定磁石が配設されて該固定磁石の周囲を回転可能としたスリーブ状の供給ローラ(磁気ロール)、2は供給ローラ1上に形成される磁気ブラシ10によってトナーの薄層6を形成される現像ローラ、3は感光体(静電潜像担持体)ドラム、4は現像剤を構成するキャリア、5は同じくトナー、6は現像ローラ2上に形成されたトナー薄層、7aは現像ローラ2へ直流(DC)バイアスVdc1を印加する電源、7bは同じく現像ローラ2へ交流(AC)バイアスVacを印加する電源、8は供給ローラ1へ直流(DC)バイアスVdc2を印加する電源、9は供給ローラ1上に形成された磁気ブラシの高さを一定に保つための穂切りブレード、20は画像形成装置、50Aは画像形成装置20のブラック用現像装置、50Bは同じくイエロー用現像装置、50Cは同じくシアン用現像装置、50Dは同じくマゼンタ用現像装置、53は記録紙を収容した給紙カセット、54は記録紙を搬送するための無端状ベルト、56は感光体ドラム3を帯電するための帯電器、57は帯電された感光体ドラム3を露光して潜像を形成するための露光装置、58は現像されたトナー像を記録紙に転写するための転写装置、59はトナー像を転写された記録紙上のトナー像を定着するための定着装置である。なお、タンデム型画像形成装置においては、感光体ドラム(静電潜像担持体)3の周りに設置する帯電器56、露光装置57、現像装置50、転写装置58、クリーニング装置などをコンパクトに設計することが重要であり、本発明においては、現像装置50は感光体ドラム3に対して隣接し、略垂直の方向に配置される。
このうち感光体ドラム(静電潜像担持体)3の材料としては、アモルファスシリコン(a−Si)感光体、有機感光体(OPC)などを用いることができる。正帯電有機感光体(正OPC)は、オゾンなどの発生が少なくて帯電が安定しており、特に単層構造の正帯電有機感光体は、長期にわたる使用によって膜厚が変化した場合においても感光特性に変化が少なく、画質も安定するため長寿命のシステムには好適である。そして、正帯電有機感光体を長寿命のシステムに用いる場合、膜厚を20μmから40μm程度に設定することが好ましい。20μm以下の場合は、膜厚が減少して10μm程度になったときに絶縁破壊によって黒点の発生が目だってくる。また、40μm以上とした場合は感度が低下し、画像濃度低下の要因となる。
露光装置57は、半導体レーザ、もしくはLEDを用いることができる。正帯電有機感光体を用いた場合は770nm付近の波長が有効であり、アモルファスシリコン感光体の場合は685nm付近の波長が有効である。以下本発明においては、感光体ドラム3として正帯電有機感光体を用い、露光装置57の光源としてLEDを用いた場合を例に説明してゆく。
現像ローラ2の最表面は、均一な導電性のアルミニウム、SUS、導電樹脂被覆などからなるスリーブで構成する。そしてそのシャフト部には、直流(DC)バイアス(Vdc1)7a、交流(AC)バイアス(Vac)7bを接続し、回転する現像ローラ2と感光体ドラム3、及び供給ローラ1との間にこの直流と交流を重畳したバイアスが作用するようにする。そして、この交流バイアス7bが供給する交流成分は、デューティ(Duty)比を50%以下の矩形波で構成する。本発明においては、一例として直流バイアス(Vdc1)7aを100V、交流バイアス7bをVppが1.5kV、周波数3.0kHz、デューティ(Duty)
比30%に設定した。このように直流バイアス(Vdc1)7aと交流バイアス7bを現像ローラ2に直接印加することによって、現像時に現像ローラ2と感光体ドラム3、及び、供給ローラ1との間に鋭いバイアス成分を印加することができ、現像開始時のトナー層形成の反応を良くすることができる。また、感光体ドラム3上の潜像に対して良好な現像性と共に、供給ローラ1に対してのトナー薄層6の回収性が高まり、連続印字の安定性が改善される。感光体ドラム3と現像ローラ2との間隔は、一例として約250μmとしてこの間にワイヤ電極等は用いない。
トナー5は、選択現像性を回避するために粒度分布を規定することが重要である。一般的にトナーの粒度分布の広がりはコールターカウンターで測定され、粒度分布の広がりは、その体積分布平均粒径と個数分布平均粒径の比でもって表現される。選択現像を防止するためにはその比率を小さくすることが重要である。分布が広いと、連続印刷時に現像ローラ2に比較的粒度の小さなトナーが堆積し、現像性を低下させる。本発明においては、正帯電のトナーを用いる場合を一例として説明するが、前記したバイアスとの関係を逆にすることで、負帯電のトナーを用いた場合でも同様に構成できることは自明である。
キャリア4としては、マグネタイトキャリア、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライトなどを用いることができ、適正な抵抗値を上げない範囲で表面処理して用いることも可能である。本発明では一例として、体積固有抵抗が108Ωcmにシリコーン樹脂被覆をし、飽和磁化が40emu/g、平均粒径35μmのフェライトキャリアを用いた。平均粒度が50μmを超えるとキャリアのストレスが増大すると共にトナー濃度を上げられず、現像ローラ2へのトナー供給量が減少する。
またトナー5とキャリア4の混合割合は、キャリア4およびトナー5の合計量に対しトナー5を5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%とする。トナー5の混合割合が5重量%未満であると、トナーの帯電量が高くなって十分な画像濃度が得られなくなり、20重量%を超えると今度は十分な帯電量が得られなくなるため、トナー5が現像器から飛散して画像形成装置内を汚染したり、画像上にトナーカブリが生じる。
現像ローラ上のトナー薄層6の飽和トナー量は、直流バイアス(Vdc2)8と直流バイアス(Vdc1)7aの差によって決定される。直流バイアス(Vdc1)7aを150V、直流バイアス(Vdc2)8の値を400Vに設定すると、現像ローラの2周目で約1.0mg/cm2のトナー層が得られる。トナー層6の厚さの調整は、基本的には|(Vdc2)−(Vdc1)|の電位差によって得られるが、トナーの帯電量や供給ローラの磁極の強さなどの要因も寄与する場合がある。トナー層6の厚さは、直流バイアス(Vdc2)8の値を画像データによって変化させると均一な画像を得ることができる。高濃度印刷を連続して行う場合には、|(Vdc2)−(Vdc1)|の値を少し高めに設定すると有利である。
トナー層6が0.5mg/cm2以下と薄すぎると高濃度画像が連続した場合の濃度の追随性が低下し、画像ムラが発生しやすくなり、トナー層が1.5mg/cm2を超えて厚すぎると現像ゴーストが目立ち、トナー飛散が目立つ傾向がある。トナー薄層6の厚さは、トナーの帯電量によっても左右され、トナー帯電量が10μC/g以下、特に5μC/g以下と低いとトナー層厚が厚くなり、飛散が増大する。一方、トナー帯電量が20μC/g以上になるとトナー層厚が薄くなり、帯電が上昇してトナーの現像性が低下する。
連続印刷での画像濃度を安定させるためには、印刷データによって定期的に現像ローラ2からトナー6を剥ぎ取り、リフレッシュする必要がある。これは、現像終了時に交流(AC)バイアス(Vac)7bを印加したまま、直流(DC)バイアス(Vdc2)8を変化させて現像ローラ上のトナー薄層6を磁気ブラシ10に回収する剥ぎ取り工程を実施する。そしてその後、現像ローラ2上にトナー薄層6を再形成するトナー層再形成工程を実施するが、この剥ぎ取り工程と再形成工程を現像終了時毎に実施すれば、現像ローラ2は常にリフレッシュされるが、再度安定なトナー層を形成するのに時間を要し、十分な印刷速度を達成できない。良好な印刷速度を維持するためには、用紙間隔を調整して一定期間に現像ローラ2上のトナー薄層6を出し入れする時間を調整すればよい。用紙間隔を大きくしないで感光体ドラム3上の潜像に十分なトナーを供給するためには、感光体ドラム3に対して現像ローラ2の周速を1.5倍以上に設定すると、短時間にトナーの出し入れが可能になる。また、供給ローラ1を現像ローラ2に対して1超2倍以下の速度に設定すると、トナー薄層6の入れ替えが促進される。この時、供給ローラ1の回転方向が現像ローラ2に対して逆方向であることが好ましい。
図1は本発明になる現像方法を実施する画像形成装置の一実施例の模式図であり、この画像形成装置20は、無端状ベルト54が、給紙カセット53からの記録紙を定着装置59に向かって搬送可能に配設されており、記録紙を搬送するベルト54の上側には、ブラック用現像装置50A、イエロー用現像装置50B、シアン用現像装置50C及びマゼンタ用現像装置50Dが配設されている。そしてこれらの現像装置50(A、B、C、D)には、それぞれ供給ローラ1(A、B、C、D)、該供給ローラ1(A、B、C、D)に近接して現像ローラ2(A、B、C、D)が配設され、該現像ローラ2に対面して感光体ドラム3(A、B、C、D)が、さらにこの感光体ドラム3の周囲には、帯電器56(A、B、C、D)及び露光装置57(A、B、C、D)が配置されている。
このように構成したハイブリッド型現像装置を有する本発明のタンデム型画像形成装置において、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックなどのそれぞれの色に対応したトナー5とキャリア4からなる2成分現像剤は、現像剤容器からそれぞれの現像装置50に供給され、図2に示した供給ローラ1上に磁気ブラシ10を形成し、攪拌によってトナー5が帯電される。そして、供給ローラ1上の磁気ブラシ10は規制ブレード9によって層規制され、供給ローラ1に加えられた直流バイアス(Vdc2)8と現像ローラ2に加えられた直流バイアス(Vdc1)7a間の電位差、及び交流バイアス7bによって現像ローラ2にトナー5のみの薄層6を形成する。
そして、図示していない制御回路からプリント開始信号が来ると、まず、帯電器56によって正帯電有機感光体(正OPC)で構成された感光体ドラム3が例えば400Vに帯電され、その後、例えば770nmの波長のLEDを用いた露光装置57による露光により、感光体ドラム3の露光後電位は約70Vになって潜像が形成される。そしてこの潜像は、現像ローラ2に加えられた直流バイアス(Vdc1)7aと交流バイアス7bにより、現像ローラ2上のトナー薄層6から感光体ドラム3に飛翔したトナーで現像され、トナー像が形成される。そして記録紙が、給紙カセット53から送りだされてベルト54で送られ、その記録紙が感光体ドラム3に達したとき、転写装置58(A、B、C、D)による転写バイアスが印加されて記録紙にトナー像が転写され、定着装置59で定着されて排紙される。その後前記したように、印刷データによって定期的に、交流(AC)バイアス(Vac)7bを印加したまま、直流(DC)バイアス(Vdc2)8を変化させて現像ローラ上のトナー薄層6を磁気ブラシ10に回収するトナー剥ぎ取り工程と、その後のトナー層再形成工程を実施する。
そして、このように構成した画像形成装置において本発明では、トナー剥ぎ取り工程において少なくとも現像ローラ2上のトナー薄層6の剥ぎ取りを行わない細幅領域を設け、トナー剥ぎ取りが現像ローラの一周未満の領域で行われるようにして、前記トナー層再形成工程を前記細幅領域から開始するようにしたものである。そして、このトナー薄層の剥ぎ取りを行わない細幅領域は、供給ローラ1上に形成される磁気ブラシ10が現像ローラと接触して形成するニップ幅をN(mm)とした時、現像ローラ2上のN〜2N(mm)の幅の領域とすればよい。
すなわち、現像ローラへのトナー剥ぎ取り工程と再形成工程のタイムチャートである図3に示したように、n枚目の画像形成(イメージ)が時間t2で終了すると、現像ローラ2上のトナー薄層6を剥ぎ取るために薄層形成バイアスがOFFされ、剥ぎ取り工程が始まる。そしてこの剥ぎ取り工程は、従来では、現像ローラ2の1周分に相当する時間t5まで行われていたが、本発明においては、時間t3でこれを止めて薄層形成バイアスをONし、時間t3からt5までのトナー層を剥ぎ取らない細幅領域を設け、かつ、この剥ぎ取らない細幅領域に位置する時間t4で次のn+1枚目の画像形成(イメージ)を開始する。
するとこのn+1枚目の画像形成は、現像ローラ2上のトナー層を剥ぎ取らない細幅領域から始められるわけであり、そのため、この細幅領域に残っているトナーによって現像ローラ2上に高抵抗領域ができるから、トナー層再形成用のバイアスを印加した際にリークに対してきわめて強くなり、前記したようなリークによって基板類の信号線にノイズを与え、露光系の信号線に影響が出て横筋ノイズや誤動作など重大な問題が発生するといったことを防止することができる。
以上が本発明になる画像形成装置における現像装置であるが、本発明によれば、潜像イメージ間の非現像間隔時に現像ローラ2上のトナー層6を供給ローラ1側に回収するトナー剥ぎ取り工程とトナー層再形成工程を実施し、かつ、トナー剥ぎ取り工程において少なくとも現像ローラ2上のトナー薄層6の剥ぎ取りが行われない細幅領域を設け、トナー剥ぎ取りが現像ローラ2の一周未満の領域で行われるようにしてトナー層再形成工程を前記細幅領域から開始することにより、この細幅領域に残っているトナーによって現像ローラ上に高抵抗領域ができるから、そこからトナー層再形成工程を開始すれば、トナー層再形成用のバイアスを印加した際にリークに対してきわめて強くなり、前記したようなリークによって基板類の信号線にノイズを与え、露光系の信号線に影響が出て横筋ノイズや誤動作など重大な問題が発生するのを防止することができる。
そして、前記トナー薄層6の剥ぎ取りが行われない細幅領域が、磁気ブラシ10による現像ローラ2とのニップをN(mm)とする時、現像ローラ2上におけるN〜2N(mm)の幅の領域とすることにより、細幅領域を非常に狭い幅とすることができ、現像性に影響を与えずにリークの防止を効果的に行うことができる。
本発明によれば、簡単、安価な構成で供給ローラと現像ローラ間のリークを防止し、黒点や横線などの不良画像のない、安定した画像を維持できるようにした画像形成装置における現像装置を提供することができる。
本発明になる現像装置を有する画像形成装置の一実施例の模式図である。
本発明になる現像装置の概略構成図である。
本発明になる画像形成装置における現像装置の現像ローラへのトナー剥ぎ取り工程と再形成工程のタイムチャートである。
符号の説明
1 供給ローラ(磁気ロール)
2 現像ローラ
3 感光体(潜像担持体)ドラム
4 キャリア
5 トナー
6 トナー薄層
7a 直流(DC)バイアス(Vdc1)電源
7b 交流(AC)バイアス(Vac)電源
8 直流(DC)バイアスVdc2電源
9 穂切りブレード(層厚規制ブレード)
10 磁気ブラシ