JP2005054818A - 流体動圧軸受装置、モータ及び流体動圧軸受装置の製造方法 - Google Patents

流体動圧軸受装置、モータ及び流体動圧軸受装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】組み付けによる精度の悪化を防止し、またモータの小型化によるコア内径の小径化にも対応可能な流体動圧軸受装置、モータ及び流体動圧軸受装置の製造方法を提供する。
【解決手段】永久磁石6が備えられたヨーク5に固定された回転軸2と、この回転軸2に嵌合し、動圧発生溝が形成されたスリーブ1と、このスリーブ1が嵌合されるケースであって、ステータコア7が取り付けられた回路基板8に固定されたケース12とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流体動圧軸受装置、モータ及び流体動圧軸受装置の製造方法に関し、特に好適には、例えばLBP、FAX等に使用される偏向ミラーの駆動モータ(ブラシレスモータ)に適用される流体動圧軸受装置、モータ及び流体動圧軸受装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の流体動圧軸受装置としてのオイル動圧軸受装置について図5及び図6を参照して説明する。図5は、従来のオイル動圧軸受装置の断面図、図6は、図5に示されるオイル動圧軸受装置が備えるスリーブ100の断面図である。
【0003】
図5に示されるように、スラスト方向には摺動材料の円板1000が挿入されており、摺動材料の円板1000は固定用円板300をスリーブ下端に加締める事で固定されている。
【0004】
また、図6に示すように、回転軸200が嵌合するスリーブ100の内径面には、軸方向に間隔をおいて2ヵ所の動圧発生溝1200a,1200bが設けられている。
【0005】
また、スリーブ100は回路基板800に加締め固定されている。また、図5において、400は固定用円板、500はヨーク、600は永久磁石、700はステータコア、900は駆動コイルである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の流体動圧軸受装置を有するモータにおいては、スリーブの円筒度が悪化する場合があった。
【0007】
この点について、前述の図5及び図6に示される図面を参照して説明する。従来のオイル動圧軸受装置は、スリーブ100の下側を密閉する為に固定用円板300を加締めているが、それによりスリーブ下側の内径が広がり円筒度が悪化する。
【0008】
また、スリーブ100を回路基板800に加締める事でもスリーブ内径の円筒度を悪化させてしまう。
【0009】
すなわち、従来のオイル動圧軸受装置では、図5に示すように動圧発生溝を具備したスリーブ100を回路基板800に加締め固定するため、スリーブ100の内径が変形する。
【0010】
また、従来の摺動材料の固定用の円板1000を投入した後に固定用円板300を加締めている為、スリーブ100内径の円筒度が裾広がりとなってしまう。
【0011】
この点についてさらに説明する。従来のオイル動圧軸受装置では、回路基板800にスリーブ100を加締める事で、スリーブ100の加締め部分(中央部)の内径が外から押される事で細くなる。
【0012】
また、従来のオイル動圧軸受装置は、固定用円板300を加締める事で、スリーブ100の固定用円板側の内径が内側から押される事で、内径が広がる。
【0013】
以上から、従来のオイル動圧軸受装置のスリーブ100の円筒度が悪化する。
【0014】
このように、流体動圧軸受装置のスリーブの円筒度が悪化した場合、スリーブの下側は密閉されている為、上記円筒度の悪化により、オイルの圧力が下方向へ発生した場合、行き場のないオイルが軸を押し上げる事でポリゴンミラーの反射面の高さが安定しないという問題が発生する。
【0015】
また、軸受内部の空気の熱膨張により、動圧発生用のオイルがスリーブの外に押し出され、軸受寿命の低下となってしまう。
【0016】
例えば図5に示されるようなオイル動圧軸受装置において、固定用円板400に切り欠きを設ける事で軸受内部と外部を呼吸させている例もあるが、呼吸する際に動圧発生用のオイルが滲み出る事で上記と同様に軸受寿命を低下させてしまう。
【0017】
さらに、図5に示されるような従来のオイル動圧軸受装置では、回路基板800にスリーブ100を固定する工程は回路基板800に電気部品とコアが実装された後であり、コアの内径にはスリーブ100を加締める為のパンチの逃げが必要となる。
【0018】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、組み付けによる精度の悪化を防止し、またモータの小型化によるコア内径の小径化にも対応可能な流体動圧軸受装置、モータ及び流体動圧軸受装置の製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る流体動圧軸受装置は、永久磁石が備えられたヨークに固定された軸と、該軸に嵌合し、動圧発生部が形成されたスリーブと、前記スリーブが嵌合されるケースであって、ステータコアが取り付けられた基板に固定されたケースとを備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る流体動圧軸受装置は、前記スリーブの外形はストレート形状であり、前記スリーブは、互いに逆方向からであっても前記ケースに挿入可能であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る流体動圧軸受装置は、前記ケースは袋形状であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る流体動圧軸受装置は、前記ケースの内径に、軸受内部の呼吸用の溝が設けてあることを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明に係るモータは、上記の流体動圧軸受装置を備えることを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明に係る流体動圧軸受装置の製造方法は、永久磁石が備えられたヨークに軸を固定する工程と、該軸と動圧発生部が形成されたスリーブとを嵌合する工程と、前記スリーブが嵌合されるケースを、ステータコアが取り付けられた基板に固定する工程とを備え、前記ケースを基板に固定した後に、前記スリーブと前記ケースとを嵌合する工程を備えることを特徴とする。
【0025】
このように、本発明は、流体動圧軸受装置を動圧発生部であるスリーブと動圧発生部を収納するケースの2部品に分け、組付けによる動圧発生部の円筒度の悪化を防止し、且つ組付け性を向上させた流体動圧発生装置を提供する。
【0026】
なお、本発明における円筒度とは、正確な円筒形の度合い、という意味であり、その円筒度が高い程、円筒形状に近いと考えて良い。
【0027】
また、本発明におけるストレート形状とは、ケースに嵌合するスリーブの、最外周の軸中心からの距離が略一定である形状のことをいう。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0029】
また、以下の図面において、既述の図面に記載された部品と同様の部品には同じ番号を付す。また、以下に説明する、本発明に係るモータの各実施形態の説明は、本発明に係る流体動圧軸受装置及び流体動圧軸受装置の製造方法の各実施形態の説明を兼ねる。
【0030】
(モータの第1の実施形態)
まず、本発明に係るモータの第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るモータの第1の実施形態としてのブラシレスモータの断面図である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態のブラシレスモータは、回転軸2が永久磁石6が固定されたヨーク5と取付部材4とで一体化されることにより、ロータ部が構成される。
【0032】
また、スリーブ1は、ステータコア7とスリーブ1を取り付ける為のケース12が固定された回路基板8と一体化されており、ステータ部を構成する。
【0033】
ロータ部とステータ部がそれぞれ形成された後、予め組み付けられたロータ部、ステータ部等の各ユニットを最終的に組付けてモータを完成させる工程(最終工程)が行われる。この際、回転軸2はスリーブ1に対して回転可能に嵌合されている。
【0034】
ステータコア7は多極のポールシュウを有し、各ポールシュウには駆動コイル9が巻回されている。
【0035】
多極に磁化された永久磁石6の回転位置により順次通電が切り替えられ、永久磁石6とステータコア7との間に回転力を発生する。
【0036】
次に図2を参照して、図1に示されるブラシレスモータに適用されたオイル動圧軸受装置について説明する。図2は、図1に示されるブラシレスモータに適用されるオイル動圧軸受装置の断面図である。なお、この図2に示されるオイル動圧軸受装置が、本発明に係る流体動圧軸受装置の第1の実施形態の一部である。
【0037】
図2に示されるように、本実施形態のブラシレスモータに適用されるオイル動圧軸受装置は、スリーブ1とケース12の2部品で構成されている。
【0038】
また、図2に示されるように、スリーブ1には、動圧発生溝13a,13bが形成されている。
【0039】
なお、図2に示されるスリーブ1は、ケース12に対して上下を逆にして挿入することができる。
【0040】
そのため、従来の動圧軸受ではモータの回転方向により溝形状が決定されてしまう為、回転方向の違いにより2種類の軸受が必要であったが、本実施形態に使用されるオイル動圧軸受装置では、動圧発生部材としてのスリーブ1の上下を入れ替える事で、1部品で、モータの回転方向の両方向に対応可能である。ただし、モータの使用上で両回転が必要な場合は対応することはできない。
【0041】
次に、図1に示されるモータの製造方法について説明する。以下に説明するモータの製造方法は、本発明に係るモータの製造方法の第1の実施形態となる。
【0042】
図1に示されるように、回転軸2は、永久磁石6が設けられたヨーク5に対して取り付け部材4によって取り付けられる(ヨークに軸を固定する工程)。
【0043】
次に、回転軸2とスリーブ1とは嵌合される(軸とスリーブとを嵌合する工程)。
【0044】
次に、予め回路基板8にケース12を固定(基板にケースを固定する工程)し、その後にステータコア7と電気部品を実装する。
【0045】
そして、ケース12とステータコア7、回路基板8が一体化された後、ケース12の底面に摺動材料のスラスト板10を投入し、スリーブ1をケース12に固定する(スリーブとケースを嵌合する工程)。
【0046】
本実施形態のブラシレスモータに適用されるオイル動圧軸受装置は、図2に示すように、回路基板8にケース12を取り付けた後にスリーブ1を取り付ける為、スリーブ1の円筒度を悪化させることなく組み付けを行うことが可能である。
【0047】
また、本実施形態のブラシレスモータでは、また、スリーブ1の外形がストレート形状の為、動圧発生用の溝加工の際にチャック圧の影響も受け難くなる。よって、軸受の内径精度の高い流体動圧軸受装置を提供する事ができる。
【0048】
この点についてさらに説明する。上記チャック圧とは加工機で掴む時の圧力であり、人間で言う握力のようなものである。
【0049】
そして、動圧発生用溝の加工は、外径を加工機でチャック(掴み)し内径側からボールを押し付けて潰しながら加工するが、従来の軸受の様に外形が太い径と細い径がある形状の場合、チャックされていない細い部分の内径は、ボールを押し付ける事で外側に逃げる為、ボールを押し付けた時の圧力は、外径の太い部分と細い部分で差が出てしまい、溝の深さが均一にならない。
【0050】
本実施形態のブラシレスモータに使用されるオイル動圧軸受装置のように、外形がストレートであれば、上記の様な圧力差がなく、溝の深さを均一にすることができる。
【0051】
その結果、スリーブ1の外形がストレート形状であると、動圧発生用の溝加工の際にチェック圧の影響も受け難くなる。
【0052】
また、本実施形態では、ステータコア7の内径はスリーブ1の外形程度まで小さくする事が可能となる。
【0053】
なぜなら、従来の軸受ではスリーブ内部の汚れを防ぐ為、ステータコアを実装後にスリーブと回路基板を加締め固定する。
【0054】
よって、ステータコアとスリーブ外形の間に加締めパンチが入る為のギャップが必要であった。
【0055】
一方、本実施形態のブラシレスモータに適用されるオイル動圧軸受装置においては、ケース12を予め回路基板8に加締め固定した後にステータコア7を実装し、スリーブ1をケース12に押し込む為、上記の様なステータコアとスリーブ外形のギャップは不要となる。
【0056】
よって、本実施形態では、ステータコア7の内径はスリーブ1の外形程度まで小さくする事が可能となる。
【0057】
また、本実施形態のブラシレスモータに適用されるオイル動圧軸受装置においては、ケース12が袋形状となっているため、スラスト方向の抑え用の別部材(例えば従来技術の図5に示される固定用円板300)が不要になる。
【0058】
なぜなら、従来の軸受では貫通穴の為、スラスト受け方向に蓋をする為に固定用円板300が必要であるが、本実施形態では、ケース12が袋形状の為、蓋(固定用円板300)は不要となるからである。
【0059】
従来の一体型の軸受でも袋形状の加工は可能である。但し、スラスト板1000を固定する事ができない。
【0060】
本実施形態では、スリーブ1とケース12との2つの部材に分ける事で、スラスト方向の抑え用の別部材が不要となる。
【0061】
また、本実施形態では、スラスト板10を挟み込んで固定する事ができ、袋形状内部の形状が簡素化され、加工も簡単になる。
【0062】
(モータの第2の実施形態)
次に、本発明に係るモータの第2の実施形態について図3及び図4を参照して説明する。図3は、本発明に係るモータの第2の実施形態としてのブラシレスモータに適用されるオイル動圧軸受装置の断面図である。図4は、図3に示されるオイル動圧軸受装置の上視図である。なお、図3に示されるオイル動圧軸受装置が、本発明に係る流体動圧軸受装置の第2の実施形態を示す。
【0063】
なお、本実施形態のブラシレスモータの全体構成は、後述のように、ケース12の構造を除けば、前述の図1を示して説明した、本発明に係るモータの第1の実施形態の全体構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0064】
また、本実施形態のブラシレスモータの製造方法は、前述の本発明に係るモータの第1の実施形態の製造方法と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0065】
図3及び図4に示す様に、本実施形態に使用されるオイル動圧軸受装置では、ケース12の底面と内径に呼吸用の溝14a,14bを設ける。
【0066】
これにより、本実施形態のブラシレスモータでは、前述の本発明に係るモータの第1の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、本実施形態のオイル動圧軸受装置の内部の圧力バランスを均等に保つことが可能である。
【0067】
ただし、本実施形態では、溝14a,14bはそれぞれ、8組形成される場合を示したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、その数は増減することができる。
【0068】
なお、上記本発明に係るモータの各実施形態においては、使用される流体動圧軸受装置として、オイル動圧軸受装置を例に挙げて説明したが、本発明に適用される流体動圧軸受装置はオイル動圧軸受装置に限定されるものではなく、その他の流体動圧軸受装置であっても良い。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、流体動圧軸受装置をスリーブとケースとの2部品に分けることで、円筒度を悪化させることなく組付けが可能となる。
【0070】
また、スリーブの挿入方向を変えることによって、共通部品でモータの両回転に対応が可能となる。
【0071】
また、スリーブの外形がストレート形状の為、動圧発生用の溝加工の際にチャック圧の影響も受け難くなる。よって、軸受の内径精度の高い流体動圧軸受装置を提供する事ができる。
【0072】
また、ケースが袋形状であることから、スラスト方向の抑え用の別部材が不要となり、コストダウンを図ることができる。
【0073】
また、ケースの内径に呼吸用の溝が設けられていることから、流体動圧軸受装置の内部の圧力バランスを均等に保つことが可能となる。
【0074】
また、ステータコアの内径を小径化する事が可能であり、設計の自由度も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るモータの第1の実施形態としてのブラシレスモータの断面図である。
【図2】図1に示されるブラシレスモータに適用されるオイル動圧軸受装置の断面図である。
【図3】本発明に係るモータの第2の実施形態としてのブラシレスモータに適用されるオイル動圧軸受装置の断面図である。
【図4】図3に示されるオイル動圧軸受装置の上視図である。
【図5】従来のオイル動圧軸受装置の断面図である。
【図6】図5に示されるオイル動圧軸受装置が備えるスリーブ100の断面図である。
【符号の説明】
1 スリーブ(本発明に係るスリーブ)
2 回転軸(本発明に係る軸)
4 取り付け部材
5 ヨーク(本発明に係るヨーク)
6 永久磁石(本発明に係る永久磁石)
7 ステータコア(本発明に係るステータコア)
8 回路基板(本発明に係る基板)
9 駆動コイル
10 スラスト板
12 ケース(本発明に係るケース)
13a,13b 動圧発生溝(本発明に係る動圧発生部)
14a,14b 溝(本発明に係る溝)
100 スリーブ
200 回転軸
300,400 固定用円板
500 ヨーク
600永久磁石
700 ステータコア
800 回路基板
900 駆動コイル
1000 円板
1200a,1200b 動圧発生溝

Claims (6)

  1. 永久磁石が備えられたヨークに固定された軸と、
    該軸に嵌合し、動圧発生部が形成されたスリーブと、
    前記スリーブが嵌合されるケースであって、ステータコアが取り付けられた基板に固定されたケースとを備えることを特徴とする流体動圧軸受装置。
  2. 前記スリーブの外形はストレート形状であり、
    前記スリーブは、互いに逆方向からであっても前記ケースに挿入可能であることを特徴とする請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
  3. 前記ケースは袋形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体動圧軸受装置。
  4. 前記ケースの内径に、
    軸受内部の呼吸用の溝が設けてあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の流体動圧軸受装置。
  5. 上記請求項1から4のいずれか1項に記載の流体動圧軸受装置を備えることを特徴とするモータ。
  6. 永久磁石が備えられたヨークに軸を固定する工程と、
    該軸と動圧発生部が形成されたスリーブとを嵌合する工程と、
    前記スリーブが嵌合されるケースを、ステータコアが取り付けられた基板に固定する工程とを備え、
    前記ケースを基板に固定した後に、
    前記スリーブと前記ケースとを嵌合する工程を備えることを特徴とする流体動圧軸受装置の製造方法。
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