JP2005054678A - 火花点火式エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な構成で排気浄化性能を充分に確保しつつ、リーン燃焼やポンピングロス低減等による燃費改善効果が得られるようにする。
【解決手段】 先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比として燃焼を行わせ、この先行気筒2A,2Dから後続気筒2B,2Cにリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに後続気筒2B,2Cで燃焼させる特殊運転モードの制御を実行する弁停止制御機構制御手段42からなる運転モード制御手段を備え、先端部に形成された複数の噴口の少なくとも一部から点火プラグの電極付近に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁を先行気筒2A,2Dに設け、上記特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域では、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定して成層燃焼させつつ、後続気筒2B,2Cで圧縮自己着火による燃焼を行わせる。
【選択図】 図6
【解決手段】 先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比として燃焼を行わせ、この先行気筒2A,2Dから後続気筒2B,2Cにリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに後続気筒2B,2Cで燃焼させる特殊運転モードの制御を実行する弁停止制御機構制御手段42からなる運転モード制御手段を備え、先端部に形成された複数の噴口の少なくとも一部から点火プラグの電極付近に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁を先行気筒2A,2Dに設け、上記特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域では、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定して成層燃焼させつつ、後続気筒2B,2Cで圧縮自己着火による燃焼を行わせる。
【選択図】 図6
Description
本発明は、各気筒の燃焼サイクルが所定の位相差をもつように設定された多気筒の火花点火式エンジンの制御装置に関するものである。
従来から、火花点火式エンジンにおいて、各気筒内の混合気の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせることにより燃費改善を図る技術が知られており、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、低速低負荷領域等では、上記燃料噴射弁から圧縮行程で燃料を噴射して成層燃焼を行わせることにより、超リーン燃焼を実現するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなエンジンにおいては、排気ガス浄化用の触媒として通常の三元触媒(HC,COおよびNOxに対して理論空燃比付近で浄化性能の高い触媒)だけではリーン運転時のNOxに対して充分な浄化性能が得られないため、特許文献1にも示されるように、所定の容量を有するNOx浄化触媒を設け、酸素過剰雰囲気でNOxを吸着するとともに、酸素濃度低下雰囲気でNOxを離脱させて還元させることが行われている。そして、上記NOx浄化触媒を用いる場合、リーン運転中にNOx浄化触媒のNOx吸着量が増大したときには、例えば特許文献1に示されるように主燃焼以外に膨張行程中に追加燃料を噴射することで排気ガスの空燃比をリッチ化するとともにCOを生成し、これによってNOxの離脱、還元を促進するようにしている。
また、燃費改善のための別の手法として、例えば下記特許文献2に示されるように、燃焼室内に多量の既燃ガスを残留させることにより、圧縮行程の終期にディーゼルエンジンと同様に燃焼室内を高温・高圧にして混合気を自己着火(圧縮自己着火)させることが行われており、このような圧縮自己着火が行われると、燃焼室内全体で一気に燃焼が発生するため、仕事に寄与しない遅い燃焼となることが避けられて燃費改善に有利となるとともに、燃焼室内の温度が局部的に高くなるのを防止してNOxの発生を抑制することが可能である。
特開平10−29836号公報
特開平10−266878号公報
上記特許文献1に示されるような従来のリーン運転を行うエンジンでは、リーン運転中のNOx浄化性能を確保するために、所定の容量を有するNOx浄化触媒を排気通路に設ける必要があり、コスト的に不利である。また、上記NOx浄化触媒の浄化性能を維持するためには、上述のようにNOx吸着量の増大時にNOxを離脱させて還元するため、追加燃料を供給する等により空燃比を一時的にリッチな状態とする制御を頻繁に行う必要がある。さらに、使用燃料が硫黄分を多く含む場合には、上記NOx浄化触媒の硫黄被毒を解消するため、触媒の加熱処理および還元材の供給等を行うリジェネレーション処理が必要となり、これらによって燃費改善効果が低下することが避けられない。
一方、上記特許文献2に示されるように、通常の火花点火式ガソリンエンジンにおいて、燃費の改善効果およびNOxの抑制効果を得るために圧縮自己着火を行わせるように構成した場合には、その圧縮上死点付近での燃焼室内の温度または圧力を大幅に高めて圧縮自己着火の環境が得られるようにする格別の工夫が必要であるという問題がある。しかも、通常の火花点火式ガソリンエンジンにおいて上記の工夫を凝らしても確実に圧縮自己着火を行わせることは困難である等の問題があった。
このため、本願出願人は、吸気、圧縮、膨張および排気の各行程からなるサイクルを行う多気筒エンジンにおいて、少なくとも低負荷低回転側の部分負荷領域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間で排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスを、そのまま気筒間ガス通路を介して吸気行程にある後続気筒に導入し、この後続気筒から排出されるガスを、三元触媒が設けられた排気通路に導く2気筒接続状態とすることにより、先行気筒では理論空燃比よりも大幅なリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせるとともに、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して理論空燃比とした状態で燃焼を行わせる制御装置を開発した(特願2002−024548号)。
上記構成によれば、少なくともエンジンの低負荷低回転域において、先行気筒では大幅にリーンな空燃比での燃焼が行われ、熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減されることにより顕著な燃費改善効果が得られ、また後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて理論空燃比とされた状態で燃焼が行われることにより、ポンピングロス低減による燃費効果が得られるとともに、NOxの発生が抑制されることになる。しかも、上記のように2気筒接続状態とすることにより、後続気筒には先行気筒から高温の既燃ガスが導入されるので、NOxの発生が抑制されるとともに、圧縮行程後期に後続気筒の燃焼室内を高温、高圧として効果的に自己着火させることにより、燃焼室全体に亘り混合気を一気に燃焼させることができるため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、燃費改善に一層有利となる。
本発明は以上のような課題を考慮してなされたものであり、簡単な構成で排気浄化性能を充分に確保しつつ、リーン燃焼やポンピングロス低減等による燃費改善効果が得られる火花点火式エンジンの制御装置を提供するものである。
請求項1に係る発明は、各気筒の燃焼サイクルが所定の位相差をもつように設定された多気筒の火花点火式エンジンの制御装置であって、エンジンの部分負荷領域で、排気行程と吸気行程とが重なる一対の気筒間において排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程にある後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される既燃ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態としつつ、先行気筒の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比として燃焼を行わせ、この先行気筒から後続気筒にリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに後続気筒で燃焼させる特殊運転モードの制御を実行する運転モード制御手段を備えるとともに、先端部に形成された複数の噴口の少なくとも一部から点火プラグの電極付近に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁を先行気筒に設け、上記特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域では、先行気筒の空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定して成層燃焼させつつ、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせるものである。
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載の火花点火式エンジンの制御装置において、特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域では、後続気筒の圧縮上死点前の上死点近傍で後続気筒内の混合気に点火することにより後続気筒の圧縮自己着火をアシストするものである。
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2記載の火花点火式エンジンの制御装置において、特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域で、後続気筒の空燃比を理論空燃比よりもリーンに設定するものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れかの1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域では、供給通路のスロットル弁を絞った状態とするものである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れかの1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、エンジンの温度状態が後続気筒の圧縮自己着火が可能な状態にある場合に、先行気筒の空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定するものである。
請求項1に係る発明では、上記特殊運転モードとして燃焼が行われる場合に、上記先行気筒ではリーン燃焼による熱効率向上およびポンピングロス低減による燃費改善効果が得られるとともに、後続気筒ではポンピングロス低減による燃費改善効果が得られる。そして、先行気筒に複数の噴口を有する燃料噴射弁を設け、複数の噴口の少なくとも一部から点火プラグの電極付近に向けて燃料を噴射することにより成層燃焼させることができるため、先行気筒を超リーンな空燃比に設定して燃焼させることが可能である。したがって、上記特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域で、先行気筒の空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定することにより、燃費の改善効果とNOx発生の抑制が効果的に得られるという利点がある。また、上記特殊運転モードの制御時には、先行気筒から後続気筒に既燃ガスを導入して温度を上昇させた状態で新たな燃料を供給することにより、後続気筒で圧縮自己着火が行われてNOxの発生が効果的に抑制されつつ、顕著な燃費の改善効果が得られるという利点がある。
請求項2に係る発明では、特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域で、後続気筒の圧縮上死点前の所定時期に後続気筒の混合気に対する点火を行って後続気筒を適正時期に圧縮自己着火させることができる。
請求項3に係る発明では、特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域で、後続気筒を圧縮自己着火させることによりNOxの発生量を効果的に低減しつつ、後続気筒の空燃比をリーンに設定するように構成したため、大形のNOx浄化触媒を設けたり、NOx浄化触媒に吸着されたNOxの離脱、還元を頻繁に行ったりすることなく、排気浄化性能を維持することができるという利点がある。
請求項4に係る発明では、特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域で、吸気通路に設けられたスロットル弁を絞った状態とすることにより、先行気筒に大量の吸気が瞬時に導入されるのを防止し、点火プラグ周りに形成された可燃混合気の濃度低下に起因した燃焼性の悪化を効果的に防止することができる。
請求項5に係る発明では、エンジンの温度状態が後続気筒の圧縮自己着火が可能な状態にある場合に、先行気筒の空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定する制御を実行するように構成したため、エンジン温度が低い状態で、先行気筒の混合気が過度にリーンな空燃比に設定されて燃焼性が悪化するのを効果的に防止できる等の利点がある。
図1は、本発明が適用されるエンジンの概略構成を示し、図2はエンジン本体1の一つの気筒とそれに対して設けられた吸・排気弁等の構造を概略的に示している。これらの図において、エンジン本体1は複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒2A〜2Dを有している。各気筒2A〜2Dにはピストン3が嵌挿され、ピストン3の上方に燃焼室4が形成されている。各気筒2A〜2Dの燃焼室4の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室4内に臨んでいる。この点火プラグ7には、電子制御による点火時期のコントロールが可能な点火回路8が接続されている。
燃焼室4の側方部には、燃焼室4内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁9が設けられている。この燃料噴射弁9は、図略のニードル弁およびソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。なお、この燃料噴射弁9には、図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ圧縮行程における燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力、例えば10MPa〜20MPa程度の噴射圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
上記各気筒2A〜2Dのうち、後述する先行気筒2A,2Dに設けられた燃料噴射弁9の先端部には複数個の噴口が形成され、図3に示すように、各噴口から噴射された燃料により複数の燃料噴霧Faが形成されるとともに、図4に示すように、そのうちの少なくとも一部(図例では3本の燃料噴霧Fa)が点火プラグ7の先端部に設けられた電極の近傍に向けて噴射されるようになっている。これにより所定の運転状態で、上記燃料噴射弁9から噴射された燃料の一部が点火プラグ7の電極周りに偏在する状態で着火される成層リーン燃焼が先行気筒2A,2Dおいて行われるようになっている。
また、上記先行気筒2A,2Dに設けられた点火プラグ7としては、絶縁体7aの先端部に設けられた中心電極7bと、L字状の外側電極7cとの間に形成された火花ギャップが、点火プラグ7の径方向となるように、中心電極7bの側面と外側電極7cとが相対向して配置されたセミ沿面タイプのものが用いられている。このセミ沿面タイプの点火プラグ7が用いられることにより、上記絶縁体7aにカーボンが付着することに起因した失火の発生が防止されるように構成されている。すなわち、上記燃料噴射弁9から噴射された燃料噴霧Faを成層化して点火プラグ7の付近に偏在させた成層リーン燃焼を行うと、その燃焼時に生成されたカーボンが上記絶縁体7aに付着し易い傾向があるが、上記セミ沿面タイプの点火プラグ7を使用した場合には、上記絶縁体7aに付着したカーボンを焼き切ることができるため、点火プラグ7がカーボン汚損されることに起因した失火の発生が防止されることになる。
そして、上記各気筒2A〜2Dが所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張および排気の各行程からなるサイクルを行うように構成されており、4気筒エンジンの場合、気筒列方向一端側から1番気筒2A、2番気筒2B、3番気筒2C、4番気筒2Dと呼ぶと、図5に示すように上記サイクルが1番気筒2A、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bの順にクランク角で180°ずつの位相差をもって行われる。なお、図5において、EXは排気行程、INは吸気行程であり、また、Fは燃料噴射、Sは強制点火を表し、図中の星マークは圧縮着火が行われることを表している。
排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間には、排気行程と吸気行程が重なるときの排気行程側の気筒(当明細書ではこれを先行気筒と呼ぶ)から、吸気行程側の気筒(当明細書ではこれを後続気筒と呼ぶ)に既燃ガスをそのまま導くことができるように、気筒間ガス通路22が設けられている。当実施形態の4気筒エンジンでは、図5に示すように1番気筒2Aの排気行程(EX)と2番気筒2Bの吸気行程(IN)とが重なり、また4番気筒2Dの排気行程(EX)と3番気筒2Cの吸気行程(IN)が重なるので、1番気筒2Aと2番気筒2B、および、4番気筒2Dと3番気筒2Cがそれぞれ一対をなし、1番気筒2Aおよび4番気筒2Dが先行気筒、2番気筒2Bおよび3番気筒2Cが後続気筒となる。
各気筒の吸・排気ポートとこれに接続される吸気通路、排気通路および気筒間ガス通路は、具体的には次のように構成されている。先行気筒である1番気筒2Aおよび4番気筒2Dには、それぞれ、新気を導入するための吸気ポート11と、既燃ガス(排気ガス)を排気通路に送り出すための第1排気ポート12aと、既燃ガスを後続気筒に導出するための第2排気ポート12bとが配設されている。また、後続気筒である2番気筒2Bおよび3番気筒2Cには、それぞれ、新気を導入するための第1吸気ポート11aと、先行気筒からの既燃ガスを導入するための第2吸気ポート11bと、既燃ガスを排気通路に送り出すための排気ポート12とが配設されている。
図1に示す例では、先行気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および後続気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aが、1気筒当り2個ずつ、燃焼室の一方側半部に並列的に設けられている。また、先行気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12aおよび第2排気ポート12bならびに後続気筒2B,2Cにおける第2吸気ポート11bおよび排気ポート12が、燃焼室の他方側半部に並列的に設けられている。
先行気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および後続気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aには、吸気通路15における気筒別の分岐吸気通路16の下流端が接続されている。各分岐吸気通路16の下流端近傍には、共通の軸を介して互いに連動する多連スロットル弁17が設けられており、この多連スロットル弁17は制御信号に応じてアクチュエータ18により駆動され、吸入空気量を調節するようになっている。なお、吸気通路15における集合部より上流の共通吸気通路には吸気流量を検出するエアフローセンサ19が設けられている。
先行気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12aおよび後続気筒2B,2Cにおける排気ポート12には、排気通路20における気筒別の分岐排気通路21の上流端部が接続されている。また、1番気筒2Aと2番気筒2Bとの間および3番気筒2Cと4番気筒2Dとの間には、それぞれ気筒間ガス通路22が設けられ、先行気筒である1番,4番気筒2A,2Dの第2排気ポート12bに気筒間ガス通路22の上流端部が接続されるとともに、後続気筒である2番,3番気筒2B,2Cの第2吸気ポート11bに気筒間ガス通路22の下流端部が接続されている。
上記気筒間ガス通路22には、酸素濃度に応じて出力がリニアに変化するリニアO2センサ25が設けられており、その出力に基づいて所定のリーン空燃比とされる先行気筒2A,2Dに対する燃料噴射量がフィードバック制御されるようになっている。
排気通路20における分岐排気通路21の下流の集合部には排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するO2センサ23が設けられている。O2センサ23は、理論空燃比付近で出力が急変するλO2センサであり、このλO2センサ23の出力に基づいて後続気筒2B,2C(各気筒独立状態のときは先行気筒2A,2Dを含む)に対する燃料噴射量がフィードバック制御されるように構成されている。さらに、上記O2センサ23の下流の排気通路20には、排気浄化用の三元触媒24が設けられている。この三元触媒24は、一般に知られているように、排気ガスの空燃比が理論空燃比(つまり空気過剰率λが1)付近にあるときにHC,COおよびNOxに対して高い浄化性能を示す触媒である。
各気筒の吸・排気ポートを開閉する各弁とこれらに対する動弁機構は、次のようになっている。先行気筒2A,2Dにおける吸気ポート11、第1排気ポート12aおよび第2排気ポート12bにはそれぞれ吸気弁31、排気弁32aおよびガス導出弁32bが設けられ、また後続気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11a、第2吸気ポート11bおよび排気ポート12にはそれぞれ吸気弁31a、ガス導入弁31bおよび排気弁32が設けられている。
上記各弁31,32a,32b,31a,31b,32は、それぞれ図外のバルブスプリングにより閉止方向に付勢されたポペット弁からなり、各気筒が吸気行程または排気行程にあるときにカムシャフト33,34に設けられた駆動カムにより押し下げられて開放状態となるが、その開閉時期は必ずしも上死点や下死点に限らず、必要に応じて上死点または下死点から所定のクランク角だけずれた時期に設定されている。
さらに、上記各弁のうちで第2排気弁32a、ガス導出弁32b、第1吸気弁31およびガス導入弁31bに対しては、これらの弁を作動状態と停止状態とに切り換える弁停止機構35が設けられている。この弁停止機構35は、従来から知られているため詳しい図示は省略するが、例えば、カムと弁軸との間に介装されたタペットに作動油の給排が可能な油圧室が設けられ、この油圧室に作動油が供給されている状態ではカムの作動が弁に伝えられて弁が開閉作動され、油圧室から作動油が排出されたときにはカムから弁への動力の伝達が遮断されて弁が停止されるように構成されたものである。
後続気筒2B,2C側の吸気弁31aおよび先行気筒2A,2D側の排気弁32aの弁停止機構35に対する作動油給排用の通路36には、第1コントロール弁37が設けられており、ガス導入弁31bおよびガス導出弁32bの弁停止機構35に対する作動油給排用の通路38には、第2コントロール弁39が設けられている(図6参照)。
図6は、当実施形態における駆動、制御系統の構成を示している。この図において、マイクロコンピュータ等からなるエンジン制御用のECU(コントロールユニット)40には、エアフローセンサ19、O2センサ23およびリニアO2センサ25からの信号が入力されるとともに、運転状態を判別するためにエンジン回転数を検出する回転数センサ47とアクセル開度(アクセルペダル踏込み量)を検出するアクセル開度センサ48とからの信号が入力されるようになっている。このECU40から、点火回路8、各燃料噴射弁9、多連スロットル弁17のアクチュエータ18、第1,第2のコントロール弁37,39に対して制御信号が出力されるように構成されている。
上記ECU40は、少なくともエンジンの低負荷低回転側の部分負荷領域で、ガス流通経路を2気筒接続状態(図8参照)としつつ、燃焼を行わせる制御手段を構成するものであり、運転状態判別手段41と、弁停止機構制御手段42と、吸入空気量制御手段43と、燃料噴射制御手段45および点火制御手段46からなる燃焼制御手段44とを備えている。
運転状態判別手段41は、回転数センサ47およびアクセル開度センサ48等から出力されたエンジンの運転状態(エンジン回転数およびエンジン負荷)の検出信号に基づき、運転状態が図7に示すような低負荷低回転側の部分負荷領域Aと、高負荷側ないし高回転側の全負荷領域Bとのいずれの領域にあるかを判別し、エンジンが部分負荷領域Aにある場合に2気筒接続状態とする特殊運転モードでの燃焼制御を実行し、全負荷領域Bにある場合には各気筒独立状態とする通常運転モードでの燃焼制御を実行するように構成されている。さらに、上記特殊運転モード領域となる部分負荷領域Aは、その中でもエンジン負荷が低い低負荷側の領域A1と、この低負荷側領域A1よりもエンジン負荷が高い高負荷側の領域A2とに区画されている。
弁停止機構制御手段42は、上記特殊運転モードおよび通常運転モードの判別結果に応じ、上記各コントロール弁37,39を制御することにより、各弁停止機構35を次のように制御する。
特殊運転モード:先行気筒排気弁32aおよび後続気筒吸気弁31aを停止状態
ガス導出弁32bおよびガス導入弁31bを作動状態
通常運転モード:先行気筒排気弁32aおよび後続気筒吸気弁31aを作動状態
ガス導出弁32bおよびガス導入弁31bを停止状態
吸入空気量制御手段43は、アクチュエータ18を制御することによりスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するものであり、運転状態に応じてマップ等から目標吸入空気量を求め、その目標吸入空気量に応じてスロットル開度を制御する。この場合、特殊運転モードでは、後述のように後続気筒2B,2Cにおいては分岐吸気通路16からの吸気導入が遮断された状態で先行気筒から導入されるガス中の過剰空気と新たに供給される燃料との比が理論空燃比(以下これを実質的な理論空燃比という)とされつつ燃焼が行われるので、先行、後続の2気筒分の要求トルクに応じた燃料の燃焼に必要な量の空気(2気筒分の燃料の量に対して理論空燃比となる量の空気)が先行気筒2A,2Dに供給されるように、スロットル開度が調節される。
ガス導出弁32bおよびガス導入弁31bを作動状態
通常運転モード:先行気筒排気弁32aおよび後続気筒吸気弁31aを作動状態
ガス導出弁32bおよびガス導入弁31bを停止状態
吸入空気量制御手段43は、アクチュエータ18を制御することによりスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するものであり、運転状態に応じてマップ等から目標吸入空気量を求め、その目標吸入空気量に応じてスロットル開度を制御する。この場合、特殊運転モードでは、後述のように後続気筒2B,2Cにおいては分岐吸気通路16からの吸気導入が遮断された状態で先行気筒から導入されるガス中の過剰空気と新たに供給される燃料との比が理論空燃比(以下これを実質的な理論空燃比という)とされつつ燃焼が行われるので、先行、後続の2気筒分の要求トルクに応じた燃料の燃焼に必要な量の空気(2気筒分の燃料の量に対して理論空燃比となる量の空気)が先行気筒2A,2Dに供給されるように、スロットル開度が調節される。
燃焼制御手段44は、燃料噴射制御手段45と点火制御手段46とからなっており、燃料噴射制御手段45により、各気筒2A〜2Dに設けられた燃料噴射弁9からの燃料噴射量および噴射タイミングをエンジンの運転状態に応じて制御するとともに、点火制御手段46により運転状態に応じた点火時期の制御および点火停止等の制御を行うように構成されている。そして、特に運転状態が特殊運転モードである場合と通常運転モードである場合とで燃焼の制御(燃料噴射の制御および点火の制御)状態が変更されるようになっている。
すなわち、上記弁停止機構制御手段42等からなる運転モード制御手段により、エンジンが特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域Aでは、先行気筒2A,2Dに対しては、空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とするように燃料噴射量が制御されるとともに、圧縮行程で燃料を噴射して混合気の成層化を行わせるように噴射タイミングが設定され、かつ、圧縮上死点付近で強制点火を行わせるように点火タイミングが設定される。
一方、後続気筒2B,2Cに対しては、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに対して燃料が供給され、実質的な理論空燃比となるように燃料噴射量が制御されるとともに、吸気行程で燃料を噴射するように噴射タイミングが設定される。そして、気筒内温度が所定値以上となったエンジンの暖機状態において、上記部分負荷領域Aにおける低負荷側の領域A1では、後続気筒2B,2Cの混合気を、圧縮上死点前の上死点近傍で点火することにより、後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火をアシストする制御が上記点火制御手段46において実行されるようになっている。
また、気筒内温度が所定値以上となったエンジンの暖機状態において、上記部分負荷領域Aにおける少なくとも低負荷側の領域A1では、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比の3倍以上で、好ましくは空燃比を60〜80範囲内に設定して成層燃焼させる制御が上記燃焼制御手段44において実行され、かつ吸気通路15のスロットル弁17を絞った状態とする制御が吸入空気量制御手段43において実行されるように構成されている。一方、上記部分負荷領域Aにおける高負荷側領域A2では、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比の略2倍もしくはそれよりも小さい値に設定して均質リーン燃焼を行わせるように構成されている。
また、エンジンが全負荷領域Bにある場合には、各気筒2A〜2Dの空燃比を理論空燃比もしくはそれ以下とするように燃料噴射量を制御して通常運転モードの燃焼制御が実行され、例えば通常運転モードにおける大部分の領域で各気筒2A〜2Dの空燃比を理論空燃比とし、最高負荷およびその付近の運転領域で各気筒2A〜2Dの空燃比を理論空燃比よりリッチとする制御が実行される。そして、この場合に、各気筒2A〜2Dに対して吸気行程で燃料を噴射して混合気を均一化するように噴射タイミングを設定し、かつ各気筒2A〜2Dで強制点火を行わせるように制御される。
以上のような当実施形態の装置の作用を、図5、図8および図9を参照しつつ説明する。特殊運転モードでは、前述のように先行気筒2A,2Dの排気弁32aおよび後続気筒2B,2Cの吸気弁31aが停止状態、気筒間ガス通路22の上流端部に設けられたガス導出弁32bおよび気筒間ガス通路22の下流端部に設けられたガス導入弁31bが作動状態とされることにより、実質的な新気およびガスの流通経路が、図8に示すような2気筒接続状態とされ、先行気筒2A,2Dから排出される既燃ガスがそのまま気筒間ガス通路22を介して後続気筒2B,2Cに導入されるとともに、この後続気筒2B,2Cから排出される排気ガスのみが排気通路20に導かれることになる。
上記2気筒接続状態において、先行気筒2A,2Dにそれぞれ吸気行程で吸気通路15から新気が導入され(図8中の矢印a)、先行気筒2A,2DではリニアO2センサ25によって検出される空燃比が超リーン空燃比となるように燃料噴射量がフィードバック制御されつつ、圧縮行程で燃料が噴射され、かつ所定の点火時期に点火が行われることにより、超リーン空燃比での成層燃焼が行われる(図5参照)。
その後、先行気筒2A,2Dの吸気行程と後続気筒2B,2Cの排気行程が重なる期間に、先行気筒2A,2Dから排出された既燃ガスがガス通路22を通って後続気筒2B,2Cに導入される(図5中の白抜き矢印および図8中の矢印b)。そして、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて、実質的な理論空燃比となるように燃料噴射量が制御されつつ、吸気行程で燃料が噴射された後、圧縮行程の上死点付近で燃焼室内の圧力および温度が上昇して圧縮自己着火が行われる。
なお、本発明の実施形態では、先行気筒2A,2Dの空燃比制御の精度を高めるために、気筒間ガス通路22にリニアO2センサ25を設けて先行気筒2A,2Dの燃料噴射量をフィードバック制御しているが、上記リニアO2センサ25はなくてもよい。すなわち、先行気筒2A,2Dの燃料噴射量は、エアフローセンサ19、O2センサ23、回転数センサ47、アクセル開度センサ48、ECU40から、エンジンの運転状態に応じて予め設定された空燃比となるように、吸入空気量に対応する先行気筒2A,2Dの燃料噴射量を決定し(オープン制御)、後続気筒2B,2Cにおいては、O2センサ23の出力に基づいて、理論空燃比となるように燃料の噴射量をフィードバック制御してもよい。さらに、O2センサ23の出力に基づいて、先行気筒2A,2Dと後続気筒2B,2Cの双方の燃料噴射量を決定してもよい。
上記のように先行気筒2A,2Dから排出された高温の既燃ガスが上記気筒間ガス通路22を介して後続気筒2B,2Cに導入されるように構成したため、後続気筒2B,2Cでは吸気行程で燃焼室内の温度を効果的に上昇させることができるとともに、この状態から、さらに圧縮行程で圧力および温度を上昇させることにより、圧縮行程の上死点付近で混合気を充分に圧縮自己着火させ得る程度まで燃焼室内の温度を上昇させることができる。しかも、上記先行気筒2A,2Dから導出された既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導入されるまでの間に充分にミキシングされて均一に分布するとともに、吸気行程で後続気筒2B,2Cに噴射された燃料も圧縮行程終期までの間に燃焼室内全体に分散するので、理想的な同時圧縮着火の条件を満たすような混合気の分布状態が得られることになる。
したがって、後続気筒2B,2Cでは、多量のEGRガス相当の既燃ガス成分を含み、かつ、空燃比がリーンであるという条件下であっても、同時圧縮着火により燃焼が急速に行われる等より、エンジンの熱効率が大幅に向上されることとなる。つまり、先行気筒2A,2Dでは超リーンでの成層燃焼により熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減され、かつ後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dと同様にポンピングロス低減効果が得られるとともに、均一な混合気分布状態で圧縮着火が行われることにより熱効率が高められるため、これらの作用により、燃費が大幅に改善されることとなる。さらに、上記後続気筒2B,2Cでの圧縮自己着火が先行気筒2A,2Dから導出される既燃ガスの温度を利用して達成されるため、格別の加熱手段を用いたりエンジンの圧縮比を極端に高くしたりする等の構成を採用することなく、広い運転範囲に亘って圧縮自己着火を行わせることができるという利点がある。
そして、先行気筒2A,2Dに複数の噴口を有する燃料噴射弁9を設け、複数の噴口の少なくとも一部から点火プラグ7の電極近傍に向けて燃料を噴射させるように構成するとともに、特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域Aにおける少なくとも低負荷側の領域A1では、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定して成層燃焼させつつ、後続気筒2B,Cで圧縮自己着火による燃焼を行わせるようにしたため、燃費の改善効果とNOx発生の抑制効果とが得られるという利点がある。
すなわち、上記燃料噴射弁9から噴射された燃料の一部を点火プラグ7の電極周りに偏在させるように構成したため、先行気筒2A,2Dの空燃比を60〜80程度の超リーン状態に設定して成層燃焼させることが可能であり、これにより熱効率をより向上させるとともに、ポンピングロスをより低減して燃費の改善効果を得ることができる。しかも、NOxの発生量は、図10に示すように、混合気の空燃比A/Fが理論空燃比14.7(λ=1)となる値よりもややリーンなときに最大となり、この最大点を超えて空燃比A/Fがリーン側となるのに応じて顕著に減少する傾向があるため、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定することにより、NOxの発生量を効果的に低減することができる。
また、上記後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dからの既燃ガスが導入されることで、多量のEGRが行われているのと同等の状態となるとともに、格別の加熱手段を用いたりエンジンの圧縮比を極端に高くしたりする等の手段を講じることなく、同時圧縮自己着火による急速燃焼が行われるため、可及的に酸素と窒素との反応を避けられることにより、NOxの発生を充分に抑制することができ、このような点からもエミッションの向上に有利となる。
特に、上記実施形態では、特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域Aの少なくとも低負荷側の領域A1において、後続気筒2B,2Cの圧縮上死点前の上死点近傍で後続気筒2B,2Cの混合気に点火することにより、後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火をアシストするように構成したため、先行気筒2A,2Dから導出される既燃ガスの温度が低い上記低負荷側領域A1においても、後続気筒2B,2Cを確実に圧縮自己着火させて熱効率を改善することができるとともに、後続気筒2B,2C内における酸素と窒素との反応を可及的に回避してNOxの発生を効果的に低減できるという利点がある。
一方、上記部分負荷領域Aにおける高負荷側領域A2では、先行気筒2A,2Dから導出された高温の既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導入されるため、上記点火制御手段44からなる着火アシスト手段により後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火をアシストする制御を実行することなく、後続気筒2B,2Cを確実に圧縮自己着火させて効果的に燃費を改善することができるとともに、NOxの発生を充分に抑制することができる。
また、上記実施形態では、部分負荷領域Aにおける高負荷側領域A2において、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比の略2倍もしくはそれよりも小さい値に設定し、低負荷側領域A1に比べて後続気筒2B,2Cの空燃比をリッチに設定して均質リーン燃焼させることにより、多量の不活性ガスを後続気筒2B,2Cに導入させるように構成したため、後続気筒2B,2Cの気筒内温度が過度に高くなることに起因したノッキングの発生を効果的に防止できるという利点がある。
なお、上記高負荷側領域A2においても、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定して成層リーン燃焼を行わせるとともに、後続気筒2B,2Cを適正時期に確実に圧縮自己着火させるために、上記着火アシスト手段により後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火をアシストする制御を実行するように構成してもよい。
また、上記実施形態に示すように、特殊運転モードにおいて後続気筒2B,2Cの空燃比を略理論空燃比とし、この理論空燃比で燃焼した排気ガスのみを後続気筒2B,2Cから排気通路20に排出させるように構成した場合には、リーンNOx触媒を排気通路20に設けることなく、三元触媒24だけで充分に排気ガスの浄化性能を確保することができる。しかも、上記リーンNOx触媒を設ける必要がないことから、リーンNOx触媒のNOx吸蔵量増大時におけるNOxの放出、還元のための一時的なリッチ化を行う必要がなく、燃費改善効果の目減りを防止できるとともに、リーンNOx触媒が硫黄被毒するという問題が生じるのを防止できるという利点がある。
上記特殊運転モードの制御時に、後続気筒2B,2Cの空燃比を略理論空燃比とし、この理論空燃比で燃焼した排気ガスのみを後続気筒2B,2Cから排気通路20に排出させるように構成してなる上記実施形態に代え、図11に示すように、排気通路20に三元触媒24と、排ガス中のNOxを浄化するNOx浄化触媒26とを設けるとともに、上記特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域Aで、後続気筒2B,2Cの空燃比を理論空燃比よりもややリーンに設定するように構成してもよい。
上記NOx浄化触媒26は、空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン状態で排気ガス中のNOxを吸着し、かつリッチ状態で吸着したNOxを放出して還元浄化するリーンNOx触媒であり、例えば担体の壁面にアルミナやセリアがサポート材として担持された触媒層を有し、このサポート材に白金Pt、ロジウムRhまたはパラジウムPd等の貴金属と、カリウムK等のアルカリ金属やバリウムBa等のアルカリ土類金属とが担持された1コートタイプのものが用いられる。上記リーンNOx触媒26として、担体の壁面に白金Ptと、バリウムBa等のアルカリ土類金属とが担持されたアルミナや、セリアを有する内側触媒と、白金Pt等の貴金属が担持されたゼオライトを有する外側触媒とからなる2コートタイプのものを用いてもよい。
上記のように特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域Aで、後続気筒2B,2Cの空燃比を理論空燃比よりもややリーンに設定するように構成した場合には、後続気筒2B,2Cにおける熱効率の向上およびポンピングロスの低減作用を増大させることにより、燃費をさらに顕著に改善できるという利点がある。しかも、先行気筒2A,2Dの空燃比を超リーンに設定するとともに、後続気筒2B,2Cを圧縮自己着火させることにより、NOxの発生量を効果的に低減することができるため、排気通路20に設けられたNOx吸着触媒26の容量を、それ程大きくすることなく、排気浄化性能を維持することが可能であり、上記NOx吸着触媒26を設置するためのコストを安価に抑えることができる。
また、特許文献1に示されるようなリーン運転を行う従来のエンジンでは、上記NOx吸着触媒に吸着されたNOxの放出、還元させるために、後続気筒2B,2Cの空燃比をややリッチな状態とするリッチスパイク制御を約30秒毎に、2〜3秒程度実行する必要がある。これに対して上記のように先行気筒2A,2Dの空燃比を超リーンに設定するとともに、後続気筒2B,2Cを圧縮自己着火させることにより、NOxの発生量を効果的に低減するように構成した場合には、上記リッチスパイク制御を3〜4分程度毎に実行するだけで、NOx吸着触媒25に吸着されたNOxを放出させるとともに、排気ガス中のCOまたはCH等からなる還元剤によりNOxを還元することができるため、燃費を顕著に低下させることなく、排気ガスの浄化性能を維持できるという利点がある。
上記実施形態では、特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域Aの少なくとも低負荷側の領域A1で、吸気通路15のスロットル弁17を絞った状態とするように構成したため、燃料噴射量が極めて少ない状態で、先行気筒2A,2Dに大量の吸気が瞬時に導入されることに起因した失火の発生、つまり点火プラグ7周りに形成された燃料の噴霧層が上記吸気により吹き飛ばされて失火するという事態の発生を効果的に防止することができる。
なお、エンジンの温度状態が後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火が可能な状態にある場合にのみ、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定して成層燃焼させる制御を実行し、後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火が困難な状態にある場合には、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比の2倍程度に設定するように構成してもよい。このように構成した場合には、エンジン温度が低い状態で、先行気筒2A,2Dの混合気が過度にリーン空燃比とされて燃焼性が悪化するのを効果的に防止できるとともに、後続気筒2B,2Cの温度が低いことに起因して圧縮自己着火が不可能になるのを防止できるという利点がある。
一方、高負荷側ないし高回転側の全負荷領域Bでは、前述のように第1排気弁32aおよび第1吸気弁31aが作動状態とされるとともに、ガス導出弁32bガス導入弁31bが停止状態とされることにより、実質的な新気および既燃ガスの流通経路は図9に示すようになり、各気筒2A〜2Dの吸気ポート11,11aおよび排気ポート12a,12が独立し、吸気通路15から各気筒2A〜2Dの吸気ポート11,11aに新気がそれぞれ導入されるとともに、各気筒2A〜2Dの排気ポート12a,12から排気通路20に既燃ガスが排出される。そして、上記通常運転モードの制御状態では、理論空燃比もしくはそれよりややリッチとなるように吸入空気量および燃料噴射量を制御することにより、出力性能を確保することができる。
1 エンジン本体
2A,2D 1番,4番気筒(先行気筒)
2B,2C 2番,3番気筒(後続気筒)
7 点火プラグ
9 燃料噴射弁
15 吸気通路
17 スロットル弁
20 排気通路
22 気筒間ガス通路
42 弁停止機構制御手段(運転モード制御手段)
44 燃焼制御手段
46 点火制御手段(着火アシスト制御手段)
2A,2D 1番,4番気筒(先行気筒)
2B,2C 2番,3番気筒(後続気筒)
7 点火プラグ
9 燃料噴射弁
15 吸気通路
17 スロットル弁
20 排気通路
22 気筒間ガス通路
42 弁停止機構制御手段(運転モード制御手段)
44 燃焼制御手段
46 点火制御手段(着火アシスト制御手段)
Claims (5)
- 各気筒の燃焼サイクルが所定の位相差をもつように設定された多気筒の火花点火式エンジンの制御装置であって、エンジンの部分負荷領域で、排気行程と吸気行程とが重なる一対の気筒間において排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程にある後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される既燃ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態としつつ、先行気筒の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比として燃焼を行わせ、この先行気筒から後続気筒にリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに後続気筒で燃焼させる特殊運転モードの制御を実行する運転モード制御手段を備えるとともに、先端部に形成された複数の噴口の少なくとも一部から点火プラグの電極付近に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁を先行気筒に設け、上記特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域では、先行気筒の空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定して成層燃焼させつつ、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
- 特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域では、後続気筒の圧縮上死点前の上死点近傍で後続気筒内の混合気に点火することにより後続気筒の圧縮自己着火をアシストすることを特徴とする請求項1に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
- 特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域で、後続気筒の空燃比を理論空燃比よりもリーンに設定することを特徴とする請求項1または2に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
- 特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域の少なくとも低負荷側の領域では、吸気通路のスロットル弁を絞った状態とすることを特徴とする請求項1〜3の何れかの1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
- エンジンの温度状態が後続気筒の圧縮自己着火が可能な状態にある場合に、先行気筒の空燃比を理論空燃比の3倍以上に設定することを特徴とする請求項1〜4の何れかの1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
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JP2007107436A (ja) * | 2005-10-12 | 2007-04-26 | Hitachi Ltd | 筒内直接噴射式エンジンおよびその制御装置並びにインジェクタ |
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-
2003
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