JP2005052951A - タップ - Google Patents
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Abstract
【課題】 破断したタップの先端部(1’)を、タップ(1)を長くすることなく、簡単に加工品(10)の穴(10A)から引き抜くことができるタップを提供する。
【解決手段】 ロッド状本体(2)の中心軸に沿って横断面形状が多角形の角孔(9)を、少なくとも切断誘導部(8)の基端側から先端側にかけて凹設する。切断誘導部(8)で破断した破断面に角孔(9)が開口するので、角孔(9)へ嵌合するレンチを挿入し、加工品(10)の穴(10A)に残されたタップ(1’)を回転させ引き出すことができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、加工品の穴の内面にねじ山を切削し、雌ねじを造るタップに関し、更に詳しくは、ねじ立て作業中に加工品の穴内でタップが折れないように、シャンク部に切断誘導部が形成されたタップに関するものである。
加工品に比較的直径の小さい雌ねじを切削する場合には、先端側にねじ切り刃部と基端側にシャンク部を有するロッド状のタップが用いられる。タップのねじ切り刃部は、雄ねじに数条の刃溝をつけた形状で、ロッド状の先端に向かって先細となっていて、加工品の穴へねじ切り刃部を圧入しながら回転し、穴の内面に雌ねじを切りながら、加工したねじに案内されて前進する。
タップの回転操作は、シャンク部の基端を、手動の場合には専用ハンドル、スパナを、機械加工の場合には、ねじ立て盤やターレット旋盤に取り付けて行っているが、いずれの場合であっても、切りくずが加工部に詰まったり、タップと穴の軸ずれなどの影響でタップに過大なトルクが発生した場合には、一度逆回転させて戻しながら、再び正回転させ、加工した雌ねじに沿って前進させている。
しかしながら急激に異常なトルクが発生した場合には、この回避作業が間に合わずにタップが加工穴内で破損し、破損したタップの先端側が加工品の穴内に残り、取り出せないという問題があった。そこで、従来、加工品の穴には入らないシャンク部へ切断誘導部を形成し、タップを破損させるような異常なトルクが発生した場合には、切断誘導部で破断させ、破損したタップの加工穴からの取り出しを容易にしたタップが知られている。(例えば、特許文献1)。
この従来のタップ100を、図5を用いて説明すると、タップ100は、鋼材でロッド状に加工されたロッド状本体101の先端側にねじ切り刃部102と基端側にシャンク部103が形成されている。
シャンク部103の基端は、四角柱状に加工されたシャンク四角部103aとなり、シャンク四角部103aをスパナ、ターレット旋盤等のコレット、チャックで把持し、タップ100をロッド状の中心軸回りで回転自在としている。また、シャンク部103の先端側には、その表面からリング状の凹溝104aが凹設されることにより切断誘導部104が形成されている。
このように構成されたタップ100は、ロッド状本体101の中心軸に沿った全体で、切断誘導部104の捩り断面係数Zは、凹溝104が凹設されることにより最小となる。その結果、異常なトルクが中心軸回りに発生しロッド状本体101の剪断強さを越える応力が発生した場合に、切断誘導部104において破断する。従って、ねじ立て作業中に加工品の穴内でねじ切り刃部102が切断されることがなく、穴内にその一部が残り取り出せなくなるという問題が解決される。
上述の従来のタップ100では、破断し穴内に残されたタップ100の先端側を取り出す際に、穴から突出するシャンク部103を逆回転させながら引き抜くものであるが、切断誘導部104から先端側のシャンク部103には、基端のシャンク四角部103aのように、スパナ、ターレット旋盤等のコレット、チャックで把持しる平面部が形成されていないので、充分な逆方向のトルクを得にくく、タップ100を逆回転させ穴から引き抜く操作が困難となっていた。
この為、切断誘導部104とねじ切り刃部102の間にも、基端のシャンク四角部103aと同様の平面部を形成することも考えられるが、タップ100の全長が長くなり、余分な材料を使用することになると共に、タップ100を把持する基端のシャンク四角部103aとねじ切り加工部であるねじ切り刃部102とが離間するので、穴の中心軸とタップ100の回転軸のずれが拡大され、ねじ立て作業の際にかえって破断させるような過大なトルクが発生しやすくなるものであった。
また、タップ100のロッド状本体101は、鋼材のように、加工品を切削可能な堅い材料で形成しているので、異常なトルクを受けて破断する際には、切断誘導部104の砕片が飛び散り、危険なものであった。
本発明の目的は、破断したタップの先端部を、タップを長くすることなく、簡単に加工品の穴から引き抜くことができるタップを提供することにある。
また、異常なトルクを受けてタップが破断しても、砕片が飛び散ることがない安全なタップを提供することにある。
上述の目的を達成するため、請求項1のタップは、先端側にねじ切り刃部と、基端側にシャンク部を有するロッド状本体からなる雌ねじ加工用タップであって、ロッド状本体の回転軸回りで発生するトルクが上昇した際に、最初に破断する切断誘導部をシャンク部に形成するとともに、ロッド状本体の中心軸に沿って横断面形状が多角形の角孔を、少なくとも切断誘導部の基端側から先端側にかけて凹設したことを特徴とする。
角孔が切断誘導部を交差してロッド状本体の中心軸に沿って凹設されるので、異常なトルクが発生し、切断誘導部がその剪断強さを越えて破断すると、破断面に角孔が開口する。角孔に嵌合する形状のレンチを破断面に開口する角孔へ挿入することにより、レンチの回転で破断したタップを逆回転させ、加工品の穴から引き抜くことができる。
また、中心軸に沿って角孔が凹設されることにより、その周囲より捩りの断面係数Zが小さくなり、最初に破断する切断誘導部の形成が容易になる。
請求項2のタップは、鋼材からなるロッド状本体を、切断誘導部を除いて焼き入れし、切断誘導部の横弾性係数Gをロッド状本体の最小値とすることを特徴とする。
鋼材からなるロッド状本体を、切断誘導部を除いて焼き入れし、切断誘導部の横弾性係数Gをロッド状本体の最小値とすると、切断誘導部の部位で、ロッド状本体の回転軸回りの捩り剛さが最小値となり、破断しやすい。
また、切断誘導部は、焼き入れを行わないので、他の部分に比べて柔らかく、破断してもその砕片が飛び散りにくい。
請求項1の発明によれば、切断誘導部より先端側にタップを回転させる為の平面部を設けずに、破断したタップの先端側を簡単に加工品の穴から引き抜くことができる。
また、角孔を凹設することにより捩り断面係数Zが小さくなるので、外周面からリング状の深い凹溝等を形成せずに、そのまま、若しくはわずかな加工で切断誘導部を形成できる。
請求項2の発明によれば、焼き入れを行わない切断誘導部の部位で、ロッド状本体の回転軸回りの捩り剛さが最小値となり、更に、その内方には中立軸に沿って角孔が凹設されているので、断面係数Zが小さくなり、容易に、切断誘導部を中立軸回りのトルクの上昇で最初に破断する部位とすることができる。
また、切断誘導部で破断しても砕片が飛び散りにくく、安全にねじ立て作業を行うことができる。
以下、図1乃至図3の図面を参照して本発明の一実施形態に係るタップ1を説明する。図1に示すように、本実施の形態に係るタップ1は、鋼材で細長に形成されたロッド状本体2で構成され、ロッド状本体2の先端側(図中下方)は、ねじ切り刃部3と、基端側(図中上方)は、シャンク部4となっている。
ねじ切り刃部3の表面には、雌ねじを切削する雄ねじ5が形成され、雄ねじ5は、長手方向の表面に沿った3条の刃溝6により120度間隔の3カ所に分離されている。刃溝6は、雌ねじを切削する際に発生する加工品10の切り屑が切削の障害とならないように、切り屑を一時的に収容するものである。ねじ切り刃部3の外径は、内面に雌ねじを形成しようとする加工品10の穴10Aの内径よりわずかに長く、また、その先端は先細りに形成され、穴10Aへの圧入が容易となるようにしている。
シャンク部4は、基端の連結部7を除き円柱状に形成され、その外径は、図示するように、ねじ切り刃部3の外径よりやや長くなっている。連結部4は、図2に示す専用ハンドル11の外筒部11a内に嵌合する四角柱状に形成され、これにより、専用ハンドル11の回転をタップ1に伝達している。
シャンク部4の中央には、中心軸と直交する円周方向に沿って、リング状の凹溝8が凹設され、また、シャンク部4の中心軸に沿って、連結部4の上端面から凹溝8の部位よりやや先端側(ねじ切り刃部3側)まで、横断面形状が六角形状の角孔9が凹設されている。
シャンク部4の中心軸回りで回転するタップ1のトルクTに対して、タップTの横断面係数をG、捩りの断面係数をZとすれば、トルクTにより発生する最大捩り応力τmaxは、τmax=T/Zで表され、トルクTが上昇した際に、同一材料であれば、捩りの断面係数Zが最小値となる位置で破断する。本実施の形態において、中心軸に沿って角孔9が形成され、更にその表面側に凹溝8が凹設された部位の捩りの断面係数Zが最小値となるので、凹溝8の形成部位を異常なトルクTが発生した場合に最初に破断する切断誘導部とすることができる。
すなわち、本実施の形態によれば、角孔9が凹設された部位に、角孔9と交差するように凹溝8を凹設することにより、単に凹溝を形成するより浅い凹溝8を形成するだけの簡単な加工で切断誘導部を形成できる。
図2は、このように構成したタップ1を用いて、加工品10の穴10Aに雌ねじを切るねじ立て作業を示すもので、図示するように専用ハンドル11のハンドル11bを回転させ、タップ1の雄ねじ5で雌ねじを切る。
専用ハンドル11に過剰な操作力を加えたり、切り屑詰まり、タップ1の軸ずれ等により、タップ1に異常なトルクが発生すると、切断誘導部8において剪断強さを越える応力が生じ図3に示すように破断する。切断誘導部8が破断すると、その破断面には角孔9が開口する。従って、図示するように、角孔9に内嵌する六角レンチ12を、角孔9へ差し込み、加工した雌ねじに対して後退するように破断したタップ1’を回転させ、タップ1’を穴10Aから取り出すことができる。
図4は、上述のタップ1と異なる方法で切断誘導部21を形成した本発明の第2の実施の形態に係るタップ20を示すもので、第1実施の形態と同一の構成には、同一番号を付してその説明を省略する。
タップ1は、鋼材からなるロッド状本体2の全体に焼き入れを行って、ねじ切り刃部3に加工品を加工する加工強度を得ているが、本実施の形態に係るタップ20は、切断誘導部21を形成しようとする部位(図中xで表示)を除く全体に焼き入れを行わなう。すなわち、焼き入れを行わない切断誘導部21では、他の部分に比較して柔らかく横断面係数Gが低くなり、捩りの断面係数Zは横断面係数Gに比例するので、同一横断面形状であれば、最初に剪断強さを越える応力が発生する。
すなわち、角孔9が凹設されることにより捩りの断面係数Zが他より小さくなった部位に更に焼き入れを行わない部位を残すことにより、外側面から凹溝を形成することなく、その部位を最初に破断する切断誘導部21とすることができる。
このタップ20を用いれば、異常なトルクが発生した際に、切断誘導部21において破断するが、破断部分は比較的柔らかい材料で形成されているので、破断の際の衝撃で砕片が飛び散ることがなく、周囲の作業者が怪我をする危険もなくなる。
破断して穴10Aに残されたタップ20は、破断面に角孔9が開口するので、上述の実施の形態と同様に、六角レンチ12を挿入して抜き出すことができる。
上述の実施の形態では、横断面形状が六角形状の角孔9であったが、レンチの回転を残されたタップ1’、20へ伝達できるものであれば、多角形のいずれの横断面形状であってもよい。
本発明は、雌ねじを加工するタップに適している。
1、20 タップ
2 ロッド状本体
3 ねじ切り刃部
4 シャンク部
8、21 切断誘導部
9 角孔
2 ロッド状本体
3 ねじ切り刃部
4 シャンク部
8、21 切断誘導部
9 角孔
Claims (2)
- 先端側にねじ切り刃部(3)と、基端側にシャンク部(4)を有するロッド状本体(2)からなる雌ねじ加工用タップであって、
ロッド状本体(2)の回転軸回りで発生するトルクが上昇した際に、最初に破断する切断誘導部(8)をシャンク部(4)に形成するとともに、
ロッド状本体(2)の中心軸に沿って横断面形状が多角形の角孔(9)を、少なくとも切断誘導部(8)の基端側から先端側にかけて凹設したことを特徴とするタップ。 - 鋼材からなるロッド状本体(2)を、切断誘導部(21)を除いて焼き入れし、切断誘導部(21)の横弾性係数Gをロッド状本体(2)の最小値としたことを特徴とする請求項1記載のタップ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003288377A JP2005052951A (ja) | 2003-08-07 | 2003-08-07 | タップ |
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Publications (1)
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JP2003288377A Pending JP2005052951A (ja) | 2003-08-07 | 2003-08-07 | タップ |
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US20110176880A1 (en) * | 2008-09-25 | 2011-07-21 | Voelkel Klaus-Peter | Screw tap |
KR20190063606A (ko) * | 2017-11-30 | 2019-06-10 | 김민재 | 탭 |
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