JP2005052868A - 継手構造及びへり継手の溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 へり2,3の端面2a,3a間に形成された開先4にレーザ光が照射される。従って、開先4に照射されたレーザ光が発散されずにへり継手1のレーザ光が照射された部分を昇温させるのに再利用されるため、レーザ光の吸収率を向上させることができる。また、開先4を形成する際に生じたバリ5をへり2,3の合わせ面2b,3b間に介在させて、該合わせ面2b,3b間に隙間6を形成した。従って、レーザ溶接時に蒸発したメッキ材の蒸気が合わせ面2b,3b間から抜け易くなり、ブローホールや合わせ面2b,3b間から溶融金属が飛散することによるひけの発生が防止されて溶接の品質が確保される。
【選択図】 図1
Description
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、重ね合わされたへりの合わせ面間に各へりの合わせ面の角部を斜めに塑性変形させた際に形成されたバリが介在されて、該重ね合わされたへりの合わせ面間に隙間が形成されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、重ね合わされたへりの合わせ面間に形成される隙間が、各へりの合わせ面に対するバリの高さが調節されて管理されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、重ね合わされるへりが谷折部で谷折状に折り曲げられ、重ね合わされた各へりの谷折部の内側が当接されてへりの合わせ面間のバリと谷折部との間に隙間が形成されると共に該重ね合わされたへり間に谷折部を境にして隙間が形成された側と反対側に空間が形成されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、重ね合わされたへりの合わせ面間に開先から谷折部に亘って溶接ビードが形成されることを特徴とする。
上記第2の目的を達成するために、本発明のうち請求項6に記載の発明は、上記請求項1〜5のいずれかに記載の継手構造のへり継手をレーザ溶接するためのへり継手の溶接方法であって、相互に接合される2つの被接合部材の各へりを双方のへりが重ね合わされた時に谷折状になるように折り曲げておいて、各へりの合わせ面の角部を該合わせ面に対して斜めに塑性変形させ、各へりの外側を谷折部近傍で押圧させて双方のへりを重ね合わせ、該重ね合わされたへりの端面間に形成された開先にレーザ光を照射させてへりの合わせ面間をレーザ溶接することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、重ね合わされる各へりのレーザ光照射位置よりも溶接方向手前側の合わせ面の角部を該合わせ面に対して斜めに塑性変形させつつ、該角部が塑性変形された双方のへりを順次重ね合わせて、該重ね合わされたへりの合わせ面間をレーザ溶接することを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、へり継手の重ね合わされたへりの端面間に開先が形成されると共に、該重ね合わされたへりの合わせ面間にバリを介在させたことによる隙間が形成される。
請求項3に記載の発明では、へりの合わせ面間に形成された隙間の間隔がバリの高さで調節される。
請求項4に記載の発明では、溶接時に蒸発したメッキ材の蒸気が、へりの合わせ面間に形成された隙間と、谷折部を境にして隙間が形成された側と反対側に形成された空間とで逃がされる。
請求項5に記載の発明では、各へりの板厚よりも深い溶け込みの溶接ビードが得られ、へり継手の溶接強度が確保される。
請求項6に記載の発明では、相互に接合される2つの被接合部材の各へりを双方のへりが重ね合わされた時に谷折状になるように折り曲げると共に各へりの合わせ面の角部を塑性変形させて該合わせ面に対して斜めに成形させ、各へりの外側を谷折部近傍で押圧して双方のへりを重ね合わせることにより該重ね合わされたへりの端面間に開先を形成させ、該開先にレーザ光を照射させてへりの合わせ面間がレーザ溶接される。
請求項7に記載の発明では、各へりの合わせ面の角部を塑性変形させて該合わせ面に対して斜めに形成する工程と、各へりを重ね合わせて形成されたへり継手をレーザ溶接する工程と、が一連の工程により行われる。
本へり継手1の溶接方法は、相互に接合される2つの被接合部材の各へり2,3を双方のへり2,3が重ね合わされた時に谷折状になるように折り曲げておいて、各へり2,3の合わせ面2b,3bの角部2c,3cを塑性変形させて該合わせ面2b,3bに対して斜めに形成する。そして、一対の矯正ローラ17,18により各へり2,3を谷折部19,20近傍で押圧し、双方のへり2,3が重ね合わされてへり継手1を形成する。該へり継手1には、重ね合わされたへり2,3の端面2a,3a間に開先4が形成されると共に、各へり2,3の角部2c,3cが塑性変形されて形成されたバリ5が重ね合わされたへり2,3の合わせ面2b,3b間に介在されて該合わせ面2b,3b間に隙間6が形成される。この状態で、該へり継手1の重ね合わされたへり2,3の端面2a,3a間に形成された開先4にレーザ光を照射して該重ね合わされたへり2,3の合わせ面2b,3b間をレーザ溶接する。
従って、開先4に照射されたレーザ光が発散されずにへり継手1のレーザ光が照射された部分を昇温させるのに再利用されるため、レーザ光の吸収率が向上する。これにより、開先4が形成されていないへり継手1のへり2,3の端面2a,3a間にレーザ光が照射される場合と比較して、レーザ出力を低く設定してレーザ溶接を省電力化することが可能になる。言い換えれば、より小さい能力のレーザ発振器を選択して設備コストを削減することができる。さらに、レーザ出力が同一である場合、レーザ光の吸収率が高いことからへり継手1のレーザ光が照射された部分の昇温速度が高いので、溶接速度を高めて生産性を向上させることができる。
また、各へり2,3の角部2c,3cが各押圧ローラ13,14により塑性変形されてへり継手1の重ね合わされたへり2,3の端面2a,3a間に開先4が形成されるので、各へり2,3の角部2c,3cの成形速度をへり継手1の溶接速度に合わせることが可能になる。これにより、各へり2,3の角部2c,3cを成形しつつ該へり2,3を重ね合わせてレーザ溶接することが可能になり、工程が合理化されて生産性を大幅に向上させることができる。さらに、各へり2,3の角部2c,3cが塑性変形により形成されるので、開先4の表面(斜面)の表面粗さが大きくなり、レーザ光の吸収率が向上する。これにより、溶融する母材(被接合部材)の体積が増加して、へり2,3の合わせ面2b,3b間に形成された隙間6を埋めるための溶融池を効率的に生成させることができる。また、レーザ光が開先4に照射されるので、レーザ光照射の位置精度に余裕を持たせることができる。そして、各へり2,3の角部2c,3cを切削して斜めに形成する場合と比較して、加工が容易である。
また、へり2,3の合わせ面2b,3b間に形成された隙間6により、溶け込み深さがへり2,3の板厚よりも深い溶接ビード7が得られて、溶接品質(強度)を確保することができる。従って、従来、レーザ溶接で十分な溶接強度を得るのが困難であった比較的板厚が厚い(板厚1.5〜2.0mm程度)へり2,3間のへり継手1の溶接においても、十分な溶接強度を得ることが可能になる。さらに、溶接時に合わせ面2b,3b間で蒸発したメッキ材の蒸気が該隙間6により逃がされる。これにより、ブローホールや合わせ面2b,3b間から溶融金属が飛散することによるひけの発生が防止され、溶接品質を確保することができる。上記隙間6に加えて、へり2,3間の谷折部19,20を境にして該隙間6の反対側に形成された空間21からも、溶接時に合わせ面2b,3b間で蒸発したメッキ材の蒸気が逃がされる。さらに、バリ5は各へり2,3の角部2c,3cが塑性変形により成形された際の副産物であるので、隙間6を形成するための突起を各へり2,3の合わせ面2b,3bにプレス成形させたり、該合わせ面2b,3b間に粉体等を挿入させる必要がなく、生産効率を向上させることができる。
また、各へり2,3の谷折部19,20が押圧されてへり継手1が形成されるので、へり2,3の合わせ面2b,3b間の面当りが良好になり、該合わせ面2b,3b間に均一な溶接ビードが形成されて溶接品質を確保することができる。さらに、各へり2,3が谷折状に折り曲げられたことで、矯正ローラ17,18で押圧させる位置が谷折部19,20から離れた位置であってもへり2,3の合わせ面2b,3b間の面当りが良好になるので、矯正ローラ17,18の配置又はへり2,3の形状に自由度を持たせることが可能になる。
レーザ溶接にYAGレーザが使用されたが、CO2レーザ等であってもよい。
一対の矯正ローラ17,18により谷折部19,20の外側部分を押圧させて当該谷折部19,20の内側部分を当接させたが、必要に応じて、該谷折部19,20間に隙間を形成させてもよい。
Claims (7)
- 相互に接合される2つの被接合部材間の略平行に重ね合わされたへりの端面間がレーザ溶接されるへり継手の継手構造であって、各被接合部材の各へりの合わせ面の角部が塑性変形されて該合わせ面に対して斜めに形成され、該重ね合わされた前記へりの端面間に溶接方向へ延びる開先が形成されることを特徴とする継手構造。
- 重ね合わされた前記へりの合わせ面間に各へりの合わせ面の角部を斜めに塑性変形させた際に形成されたバリが介在されて、該重ね合わされた前記へりの合わせ面間に隙間が形成されることを特徴とする請求項1に記載の継手構造。
- 重ね合わされた前記へりの合わせ面間に形成される前記隙間が、各へりの合わせ面に対する前記バリの高さが調節されて管理されることを特徴とする請求項2に記載の継手構造。
- 重ね合わされるへりが谷折部で谷折状に折り曲げられ、重ね合わされた各へりの前記谷折部の内側が当接されて前記へりの合わせ面間の前記バリと前記谷折部との間に前記隙間が形成されると共に該重ね合わされた前記へり間に前記谷折部を境にして前記隙間が形成された側と反対側に空間が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の継手構造。
- 重ね合わされた前記へりの合わせ面間に前記開先から前記谷折部に亘って溶接ビードが形成されることを特徴とする請求項4に記載の継手構造。
- 上記請求項1〜5のいずれかに記載の継手構造のへり継手をレーザ溶接するためのへり継手の溶接方法であって、相互に接合される2つの被接合部材の各へりを双方のへりが重ね合わされた時に谷折状になるように折り曲げておいて、各へりの合わせ面の角部を該合わせ面に対して斜めに塑性変形させ、各へりの外側を谷折部近傍で押圧させて双方のへりを重ね合わせ、該重ね合わされた前記へりの端面間に形成された開先にレーザ光を照射させて前記へりの合わせ面間をレーザ溶接することを特徴とするへり継手の溶接方法。
- 重ね合わされる各へりのレーザ光照射位置よりも溶接方向手前側の前記合わせ面の角部を該合わせ面に対して斜めに塑性変形させつつ、該角部が塑性変形された双方のへりを順次重ね合わせて、該重ね合わされた前記へりの合わせ面間をレーザ溶接することを特徴とする請求項6に記載のへり継手の溶接方法。
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