JP2005052015A - トラス型人工リーフ - Google Patents
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Abstract
【課題】人工魚礁により高い集魚機能、増殖機能を付与する。
【解決手段】このトラス型人工リーフ1は、底辺部2と頂上部3とを有し、高さに対し底辺の長さが大きく構成される立体トラス構造体4と、立体トラス構造体4に固定される長尺の床を構成する鉄板5と、鉄板5に固定されるスプリング構造樹脂成形品6,7と、立体トラス構造体4に固定される所定形状(ここでは多角形、特に三角形)の鉄板8を備え、立体トラス構造体4は鉄製が好ましく、鋳鉄がスプリング構造樹脂成形品6に固定されてもよく、鉄板5は鋳鉄でもよく、立体トラス構造体4は、部材の集合が立体であるトラスであり、鋼管又は鋼板の線材により三角形状の連続で構成する鋼構造である。
【選択図】 図2
【解決手段】このトラス型人工リーフ1は、底辺部2と頂上部3とを有し、高さに対し底辺の長さが大きく構成される立体トラス構造体4と、立体トラス構造体4に固定される長尺の床を構成する鉄板5と、鉄板5に固定されるスプリング構造樹脂成形品6,7と、立体トラス構造体4に固定される所定形状(ここでは多角形、特に三角形)の鉄板8を備え、立体トラス構造体4は鉄製が好ましく、鋳鉄がスプリング構造樹脂成形品6に固定されてもよく、鉄板5は鋳鉄でもよく、立体トラス構造体4は、部材の集合が立体であるトラスであり、鋼管又は鋼板の線材により三角形状の連続で構成する鋼構造である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラス型人工リーフに関し、網状構造体から構成されるスプリング樹脂成形品等を利用して集魚あるいは海藻育成を図るものである。
【0002】
従来のトラス型人工漁礁においても、特異な形状による集魚効果と増殖効果がある。人工漁礁については、下記の各種の提案がされている。
【特許文献1】特開昭51−145784号
特許文献1記載の発明は、複数個の古タイヤをコンクリート製平板ブロックを結合材として、トレス型に結合し、コンクリート製平板ブロックの孔を通る合成繊維ロープや合成樹脂ボルトにより固着して一体化して全体に十分な陰影をもたせるとともに全体の剛性と重量を確保し、アワビの育成に必要十分な陰影部分を与え、珪藻類付着の良好な人工漁礁が得られる。
【特許文献2】特開昭54−153192号
特許文献2記載の発明は、中心位置に所要径の管柱を設け、この管柱の外周から放射状に多数の片持トラス状梁を突設し、各片持トラス状梁の先端を環状梁により互いに連結したものであるので、珊瑚礁に近い構造を有し、複雑な通路が内部に形成されるので、小魚の良好な生棲環境を提供できる。
しかしながら、従来の技術では未だ十分なものではなく、普及が遅れている。最近では、より一層高い集魚機能、増殖機能が求められており、次世代の人工リーフが期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、集魚機能や海藻増殖機能を高めた新型魚礁を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び効果】
上記課題に鑑み、本発明は、底辺部と頂上部とを有し、底辺部の横断面積よりも頂上部の横断面積が小さく構成される立体トラス構造体と、該立体トラス構造体に固定される鉄板と、該鉄板に固定されるスプリング構造樹脂成形品と、を備えることを特徴とするトラス型人工リーフである。鋳鉄が前記スプリング構造樹脂成形品に固定されることが好ましい。前記鉄板が鋳鉄であることが好ましい。トラスの高さよりも底辺の径又は長辺部の長さが大きく設定されることが好ましい。
【0005】
「立体トラス」とは、部材の集合が立体であるトラスをいう。柱のない大空間を必要とする建物の構造に適するもので、一般に鋼管で部材がつくられる鋼構造(鉄骨造)のものである。トラスとは、部材、骨組を線材により三角形状の連続で構成するものをいう。トラスは、小屋組、耐力壁、柱および梁等の部材をつくるのに用いられるもので、その形状や部材の組み方等によって様々な種類がある。鉄イオンが供給できるような鉄骨造が好ましい。
【0006】
「スプリング構造樹脂成形品」の配置や個数は適宜設定できる。「スプリング構造樹脂成形品」は、複数の連続線条を押し出し機から下方に押し出して降下させ、連続線条の降下速度よりも、緩やかな速度で水中のコンベアが連続線条を巻き取ることで、連続線条がランダムにループを描き相互に絡合し溶着することにより成形されたものである。連続線条の原料樹脂は、汎用プラスチック(ポリオレフィン、ポリスチレン系樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニール等)、エンジニアリングプラスチック(ポリアミド、ポリカーボネート、飽和ポリエステル、ポリアセタール等)等である。好ましくは熱可塑性エラストマーよりなり、例えば、ポリエチレン(以下PEと記す)、ポリプロピレン(以下PPと記す)、ポリ塩化ビニル(PVC)又はナイロン等のエラストマーより成ることが好ましい。中空線条の場合、中空部は連続であっても良いし、不連続であっても良い。例えば、1本の線条に中空部と該中空部が塞がれた部分とを共に有している場合等が一例として挙げられる。
【0007】
本発明の効果を下記に列挙する。
A)立体トラス構造体や鉄板から鉄イオンが溶け出し、スプリング構造樹脂成形品に海藻が効果的に付着するので、海藻の育成や魚の餌場や産卵に最適である。
B)立体トラス構造体の複雑な内部構造にスプリング構造樹脂成形品を備えることで、シェルター効果を生み、陰影に富む大小さまざまな空間を提供し、魚の隠れ場、休息場を提供できる。立体トラス構造体の部材の形状、方向が多岐に分かれていてスプリング構造樹脂成形品を設けているため渦流が発生しやすく、回遊性魚類などの高い集魚効果を生みことができる。
D)栄養塩を含む上昇流が立体トラス構造体を流れるので、スプリング構造樹脂成形品に対して栄養補給効果が生じる。
E)スプリング構造樹脂成形品を海底面から高い位置に備えることができるので、ウニ等からの食害を低減できる。
F)立体トラス構造体は、高さに対し底辺が大きく、傾斜地でも高い安定性を保つことができ、スプリング構造樹脂成形品の位置が安定する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態のトラス型人工リーフ1について図1〜図3を参照して説明する。このトラス型人工リーフ1は、底辺部2と頂上部3とを有し、高さに対し底辺の長さが大きく構成される立体トラス構造体4と、立体トラス構造体4に固定される長尺の床を構成する鉄板5と、鉄板5に固定される三次元立体網状構造体であるスプリング構造樹脂成形品6,7と、立体トラス構造体4に固定される所定形状(ここでは多角形、特に三角形)の鉄板8を備えることを特徴とする。立体トラス構造体4は鉄製が好ましい。なお、鋳鉄がスプリング構造樹脂成形品6に固定されてもよい。鉄板5は鋳鉄でもよい。
【0009】
立体トラス構造体4は、部材の集合が立体であるトラスであり、鋼管又は鋼板の線材により三角形状の連続で構成する鋼構造である。
【0010】
図2及び図3に示す通り、スプリング構造樹脂成形品6は、固定金具9によって鉄板5に固定されている。固定金具9は長ボルト、ナット、ワッシャから構成されている。スプリング構造樹脂成形品6は複数のスプリング構造樹脂成形層からなる多層構造であって、ここでは3層のスプリング構造樹脂成形層6a,6b,6cを備え、内部に横方向に2個の通路6d,6eが形成され、各層6a〜6c及び鉄板5を固定金具9の長ボルトが縦方向に貫通しナットで固定されている。
【0011】
スプリング構造樹脂成形品7は、固定金具10によって鉄板5に固定されている。固定金具10は長ボルト、ナット、ワッシャから構成されている。スプリング構造樹脂成形品7は単層であって、上面部に2個の上面が開放された通路7a,7bが形成され、スプリング構造樹脂成形品7及び鉄板5を固定金具10の長ボルトが縦方向に貫通し、ナットで固定されている。
【0012】
[スプリング構造樹脂形成品6,7の説明]
本実施形態のトラス型人工リーフ1に適用されるスプリング構造樹脂形成品6,7は、図4に示す通り熱可塑性樹脂を原料又は主原料とする連続線条12(以下、単に線条12ともいう)からなる線条集合体13である。この線条集合体13は、複数の線条12のループの隣接する線条相互をランダムに接触絡合集合させ内部に所定の空隙を備える立体網状構造体である。
【0013】
本実施形態のスプリング構造樹脂成形品6,7は、海藻、海草の生育を妨げない空隙率に形成されると共に、長期にわたる水中での使用及び成長した海藻、海草の重量にも耐え得る強度を備えるものであり、熱可塑性樹脂の連続線状及び/又は短線状のランダムなループ又はカールの隣接する線状相互を接触、絡合、集合して成る所定の密度の隙間を備えてなるスプリング状の三次元構造を備える樹脂成形品である。
【0014】
このスプリング構造樹脂成形品6,7は、例えば熱可塑性エラストマーを複数のノズルより所定押出速度において溶融押し出し、後述の引き取り機により引き取り、600〜90,000デニール、好ましくは3,000〜30,000デニール、より好ましくは6,000〜10,000デニールの無垢又は中空の連続線条を形成し、溶融状態の線条に、例えば直径1〜10mm、好ましくは直径1〜5mmのループを形成させ、隣同士の線条と水中で接触絡合させることによりランダムなループを形成する。水中において引き取り機113の引き取り速度は均一とする。しかし、任意の間隔で前記引き取り機の引き取り速度を低速に調整して、長手方向長さで5〜10cmの低速引き取り時の嵩密度の大きい部分すなわち、高密部とそれ以外の粗の部分、すなわち粗密部を有する厚さ20〜30cm、幅1,000mmの三次元スプリング構造を形成することにより製造することも好ましい。このようにして形成された線条の接触絡合部位の少なくとも一部は、相互に溶融接着される。
【0015】
前記連続線条及び/又は短線条は、線条の断面形状が、無垢、中空であって、線径は、(無垢)0.5〜3mm、好ましくは0.7〜2mm。(中空)0.7〜5mm。好ましくは1〜3mmである。又、前記中空線条の中空率は、30〜70%。好ましくは40〜60%である。
【0016】
前記連続線条及び/又は短線条は、勲可塑性樹脂全般でよいが、オレフィン系樹脂が好ましい。より好ましくは熱可塑性エラストマーよりなり、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、PVCのエラストマーより成る。
【0017】
スプリング構造樹脂成形品6,7の嵩密度は、粗の部分で、0.009〜0.280g/cm3、好ましくは、0.027〜0.210、特に0.045〜0.09、密の部分で0.45〜1.25g/cm3、好ましくは、0.54〜1.17、特に0.63〜1.10である。
【0018】
スプリング構造樹脂成形品6,7の空隙率は、粗の部分で、80〜99%、好ましくは、85〜97%、特に90〜95%、密の部分で40〜90%、好ましくは、70〜90%、特に75〜85%である。海藻類の着生部となる全体の平均空隙率は、30〜98%、好ましくは、50%〜95%、より好ましくは70%〜80%である。粗密をつけない場合も同様の範囲である。
【0019】
(スプリング構造樹脂成形品6,7の製造方法)
前記スプリング構造樹脂成形品6,7は、図5に示すように、押出機110のホッパー111より、原料樹脂として例えばポリプロピレンのエラストマーを投入し、溶融混練して、成型ダイ112に設けた所定径の多数の射出口より押し出し、バス115内の引き取り機113の引き取りロール114,114間で厚さ及び嵩密度が設定され、カール又はループ状にランダムに成形されながら、水中で固化し、巻き取りロール116,116によりスプリング構造を有する樹脂成形品たるスプリング構造樹脂成形品6,7として取り出される。このスプリング構造樹脂成形品6,7を構成する線条の押し出しに使用する成型ダイ112の一例を図6〜図10に示す。
【0020】
図6に示すように、前記スプリング構造樹脂成形品6,7を成す線条を押し出すための成形ダイ112は、合成樹脂の線条が押し出される多数のノズル121を備えており、このノズル121より押し出された樹脂材料が固化して線条を形成する。
【0021】
本実施形態にあっては、この成型ダイ112の射出方向に突出する幅方向の断面を矩形状と成す中子体122を設け、この中子体122の部分において、鉄パイプ等の鉄片の挿入部、また魚道としての役割を持つ線条の存在しない貫通穴(図示略)がスプリング構造樹脂成形品6,7内に形成されるよう構成されている。
【0022】
このようにして中子体122により形成された線条のない貫通穴(図示略)は、河川等内にこのスプリング構造樹脂成形品6,7を配置した際に、魚類等の生物の住処となり、これらの生物の通り道と成る。
【0023】
本実施形態にあっては、図6及び図7に示すように、この中子体を幅方向の断面において矩形状に形成しているが、この中子体122の形状は、前述のように生物の住処や魚道等と成り得る貫通穴(図示略)をスプリング構造樹脂成形品6,7内に形成し得るものであれば、前記ノズルの一部を閉塞したり、前述矩形に代えて、円柱状、その他如何なる形状とすることもできる。
図8は中子体122が1本の場合である。
貫通穴2を設けない場合には成型ダイ112には中子体122を設けず、もしくは、ノズルの一部を閉塞する必要がない。
【0024】
以下に変更形態を説明する。本変更形態はスプリング構造樹脂成形品6,7とコンクリート重錘が緊締金具で分離不能に結合したものである。
このスプリング構造樹脂成形品6,7は、コンクリート重錘と一体成形しスプリング構造樹脂成形品6,7の一部を埋設することもあるが、この際、高密部Bにより生コンクリートが遮蔽されるように、高密部Bと低密度部Aの異密度に構成されることもある(図11参照)。すなわち、厚さ方向垂直面を境に一方の部位を高密度、他方の部位を低密度に上下異密度成形する。そのため、図9に示す通り、高密部Bの製造はノズル121の間隔を狭くし、低密部Aの製造はノズル121の間隔を広くすることにより製造できる。
【0025】
図10に示す通り、成型ダイ112において、シート部143(図12参照)を作成したい部位を、スリット幅0.2〜3mm、好ましくは、0.7〜1.5mmのスリット141にすることにより、コンクリートと一体成形しスプリング構造樹脂成形品6,7の一部を埋設する際、中央面のシート部により生コンクリートが遮蔽されるように厚さ方向垂直面をシート状に形成することができる。
【0026】
トラス型人工リーフ又はトラス型人工リーフの製造方法の変更形態を説明する。
図11に示す通り、型枠142内の内周の全部(又は一部)にスプリング構造樹脂成形品103を配置した後に、生コンクリート140を型枠142内に注入し製造すれば、スプリング構造樹脂成形品103の一部がコンクリート140に埋設され、一体成形が可能である。この場合、アンカーボルト108を埋設しコンクリート140とスプリング構造樹脂成形品103とを結合し、アンカーボルト108をナットで締めて固定するので、頑丈な構造になる。アンカーボルト・ナット間に押さえ板を介装させてもよい。
【0027】
図11及び図12に示す通り、海中に露出させる海藻、海草の着生部(略全体)は、鋳鉄ブロック104またはコンクリートの挿入や魚道として使用される貫通穴131、コンクリートを遮蔽する高密部B又はシート部143、コンクリートが充填される低密部A、そして、前記着生部位の平均空隙率は、30〜98%。好ましくは50〜95%。より好ましくは70〜80%。30%以下では、表面が平滑になり、海藻、海草の着生率が低下する。98%以上では、スプリング構造樹脂成形品の表面積が少なく、着生率が低下する。また、着生した海藻、海草をウニ、貝等魚介類の食害から守れない。
【0028】
また、生コンクリート遮蔽部位となる高密部B又はシート部143の空隙率は、0〜70%。好ましくは、30〜50%。70%以上であると、生コンクリートを遮蔽できない。生コンクリートを充填し埋設する部位の空隙率は、70〜98%。70%以下では生コンクリートが充填されない。98%以上では線条が少なく、スプリング構造樹脂成形品とコンクリートが一体化されない。
【0029】
そして、前記スプリング構造樹脂成形品に、鋳鉄ブロック(又は鉄片)104を内包させる。鋳鉄ブロック104は、ミネラルの一種である珪素、カルシウム、マンガンを含み、海藻、海草の生育に有利であることに加え、炭素含有量が多く、海水による腐食が低減できる等の利点があり、鋳鉄製が好ましい。前述貫通穴131に円筒状、矩形あるいは、パイプなど鉄片104を挿入することができる他、スプリング構造樹脂成形品成形装置において、成型ダイ112と水中に備わる引取機113の間にパーツフィーダーの投入口を設け、溶融線条が硬化する直前に任意形状の鉄製ブロック104を線条に絡ませる(図示省略)ことにより鉄製ブロック104を線条間に挟持させ内包させることができる。
【0030】
また、スプリング構造樹脂成形品を多層構造にすることにより、その中間部、上部もしくは下部に鉄を挟み込むなどの方法でもよい。
【0031】
コンクリート重錘は、海底に鋳鉄104を内包したスプリング構造樹脂成形品6,7を海中に定置させる錘の役割をするもので、スプリング構造樹脂成形品とコンクリートを一体化する方法としては、コンクリートを新規に作成する場合の一体化は、スプリング構造樹脂成形品6,7において隣り合う高密部Bの間に粗密部Aを設け粗密部Aに生コンクリートを注入し、硬化させる。高密部で生コンクリートは遮蔽されるため、スプリング構造樹脂成形品の一部をコンクリート重錘に埋設することができる(図11)。この場合、アンカーボルト108を使用しナットと結合する。アンカーボルト・ナット間に押さえ板を介装させてもよい。
【0032】
また、図12に示す通り、スリット141を有する成形ダイ112で製造したスプリング構造樹脂成形品内部のシート部143を境界として、片側に生コンクリートを注入し硬化させる。シート部によりコンクリートが遮蔽されスプリング構造樹脂成形品の一部をコンクリートに埋設することができる。
【0033】
さらに、表面に露出したい部分を低密度に成形しておき、エアモルタルを注入し硬化させた後、生コンクリートを注入する。生コンクリート硬化後エアモルタルを水の高圧噴射洗浄等で取り除くなどの方法の他、既存のコンクリート体に穴をあけ鉄入りスプリング構造樹脂成形品に貫通穴を設けアンカーボルト等で固定することにより錘としてもよい。
【0034】
本実施形態の効果を下記に列挙する。
A)立体トラス構造体4や鉄板から鉄イオンが溶け出し、スプリング構造樹脂成形品に海藻が効果的に付着するので、海藻の育成や魚の餌場や産卵に最適である。
B)立体トラス構造体4の複雑な内部構造にスプリング構造樹脂成形品6,7を備えることで、シェルター効果を生み、陰影に富む大小さまざまな空間を提供し、魚の隠れ場、休息場を提供できる。立体トラス構造体4の部材の形状、方向が多岐に分かれていてスプリング構造樹脂成形品6,7を設けているため渦流が発生しやすく、回遊性魚類などの高い集魚効果を生みことができる。
D)栄養塩を含む上昇流が立体トラス構造体4の中を流れるので、スプリング構造樹脂成形品6,7に対して栄養補給効果が生じ、海藻の生育効率が高まる。
E)スプリング構造樹脂成形品6,7を海底面から高い位置に備えることができるので、ウニ等からの食害を低減できる。
F)立体トラス構造体4は、高さに対し底辺が大きく、傾斜地でも高い安定性を保つことができ、スプリング構造樹脂成形品6,7の位置が安定する。
【0035】
なお、本実施形態におけるスプリング構造樹脂成形品の実施の形態は、上記に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得るものである。また、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】立体トラス型リーフ1の斜視図である。
【図2】立体トラス型リーフ1の部分拡大斜視図である。
【図3】(a)(b)はスプリング構造樹脂成形品6,7の断面図である。
【図4】スプリング構造樹脂形成品6,7を示す平面図である。
【図5】スプリング構造樹脂成形品の製造装置を示す説明図である。
【図6】成型ダイの正面図である。
【図7】成型ダイの底面図である。
【図8】成型ダイの左側面図である。
【図9】成型ダイの変更例を示すノズル部分の要部拡大図である。
【図10】成型ダイの他の変更例を示すノズル部分の要部拡大図である。
【図11】コンクリートを錘として構成した実施例を示す全体図である。
【図12】コンクリートを錘として構成した他の実施例を示す全体図である。
【符号の説明】
1… トラス型人工リーフ 2… 底辺部 3… 頂上部
4… 立体トラス構造体 5… 鉄板 6,7… スプリング構造樹脂成形品
8… 鉄板 9… 固定金具 6a,6b,6c… スプリング構造樹脂成形層
6d,6e… 通路 10… 固定金具 7a,7b… 通路
12… 連続線条 13… 線条集合体
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラス型人工リーフに関し、網状構造体から構成されるスプリング樹脂成形品等を利用して集魚あるいは海藻育成を図るものである。
【0002】
従来のトラス型人工漁礁においても、特異な形状による集魚効果と増殖効果がある。人工漁礁については、下記の各種の提案がされている。
【特許文献1】特開昭51−145784号
特許文献1記載の発明は、複数個の古タイヤをコンクリート製平板ブロックを結合材として、トレス型に結合し、コンクリート製平板ブロックの孔を通る合成繊維ロープや合成樹脂ボルトにより固着して一体化して全体に十分な陰影をもたせるとともに全体の剛性と重量を確保し、アワビの育成に必要十分な陰影部分を与え、珪藻類付着の良好な人工漁礁が得られる。
【特許文献2】特開昭54−153192号
特許文献2記載の発明は、中心位置に所要径の管柱を設け、この管柱の外周から放射状に多数の片持トラス状梁を突設し、各片持トラス状梁の先端を環状梁により互いに連結したものであるので、珊瑚礁に近い構造を有し、複雑な通路が内部に形成されるので、小魚の良好な生棲環境を提供できる。
しかしながら、従来の技術では未だ十分なものではなく、普及が遅れている。最近では、より一層高い集魚機能、増殖機能が求められており、次世代の人工リーフが期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、集魚機能や海藻増殖機能を高めた新型魚礁を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び効果】
上記課題に鑑み、本発明は、底辺部と頂上部とを有し、底辺部の横断面積よりも頂上部の横断面積が小さく構成される立体トラス構造体と、該立体トラス構造体に固定される鉄板と、該鉄板に固定されるスプリング構造樹脂成形品と、を備えることを特徴とするトラス型人工リーフである。鋳鉄が前記スプリング構造樹脂成形品に固定されることが好ましい。前記鉄板が鋳鉄であることが好ましい。トラスの高さよりも底辺の径又は長辺部の長さが大きく設定されることが好ましい。
【0005】
「立体トラス」とは、部材の集合が立体であるトラスをいう。柱のない大空間を必要とする建物の構造に適するもので、一般に鋼管で部材がつくられる鋼構造(鉄骨造)のものである。トラスとは、部材、骨組を線材により三角形状の連続で構成するものをいう。トラスは、小屋組、耐力壁、柱および梁等の部材をつくるのに用いられるもので、その形状や部材の組み方等によって様々な種類がある。鉄イオンが供給できるような鉄骨造が好ましい。
【0006】
「スプリング構造樹脂成形品」の配置や個数は適宜設定できる。「スプリング構造樹脂成形品」は、複数の連続線条を押し出し機から下方に押し出して降下させ、連続線条の降下速度よりも、緩やかな速度で水中のコンベアが連続線条を巻き取ることで、連続線条がランダムにループを描き相互に絡合し溶着することにより成形されたものである。連続線条の原料樹脂は、汎用プラスチック(ポリオレフィン、ポリスチレン系樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニール等)、エンジニアリングプラスチック(ポリアミド、ポリカーボネート、飽和ポリエステル、ポリアセタール等)等である。好ましくは熱可塑性エラストマーよりなり、例えば、ポリエチレン(以下PEと記す)、ポリプロピレン(以下PPと記す)、ポリ塩化ビニル(PVC)又はナイロン等のエラストマーより成ることが好ましい。中空線条の場合、中空部は連続であっても良いし、不連続であっても良い。例えば、1本の線条に中空部と該中空部が塞がれた部分とを共に有している場合等が一例として挙げられる。
【0007】
本発明の効果を下記に列挙する。
A)立体トラス構造体や鉄板から鉄イオンが溶け出し、スプリング構造樹脂成形品に海藻が効果的に付着するので、海藻の育成や魚の餌場や産卵に最適である。
B)立体トラス構造体の複雑な内部構造にスプリング構造樹脂成形品を備えることで、シェルター効果を生み、陰影に富む大小さまざまな空間を提供し、魚の隠れ場、休息場を提供できる。立体トラス構造体の部材の形状、方向が多岐に分かれていてスプリング構造樹脂成形品を設けているため渦流が発生しやすく、回遊性魚類などの高い集魚効果を生みことができる。
D)栄養塩を含む上昇流が立体トラス構造体を流れるので、スプリング構造樹脂成形品に対して栄養補給効果が生じる。
E)スプリング構造樹脂成形品を海底面から高い位置に備えることができるので、ウニ等からの食害を低減できる。
F)立体トラス構造体は、高さに対し底辺が大きく、傾斜地でも高い安定性を保つことができ、スプリング構造樹脂成形品の位置が安定する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態のトラス型人工リーフ1について図1〜図3を参照して説明する。このトラス型人工リーフ1は、底辺部2と頂上部3とを有し、高さに対し底辺の長さが大きく構成される立体トラス構造体4と、立体トラス構造体4に固定される長尺の床を構成する鉄板5と、鉄板5に固定される三次元立体網状構造体であるスプリング構造樹脂成形品6,7と、立体トラス構造体4に固定される所定形状(ここでは多角形、特に三角形)の鉄板8を備えることを特徴とする。立体トラス構造体4は鉄製が好ましい。なお、鋳鉄がスプリング構造樹脂成形品6に固定されてもよい。鉄板5は鋳鉄でもよい。
【0009】
立体トラス構造体4は、部材の集合が立体であるトラスであり、鋼管又は鋼板の線材により三角形状の連続で構成する鋼構造である。
【0010】
図2及び図3に示す通り、スプリング構造樹脂成形品6は、固定金具9によって鉄板5に固定されている。固定金具9は長ボルト、ナット、ワッシャから構成されている。スプリング構造樹脂成形品6は複数のスプリング構造樹脂成形層からなる多層構造であって、ここでは3層のスプリング構造樹脂成形層6a,6b,6cを備え、内部に横方向に2個の通路6d,6eが形成され、各層6a〜6c及び鉄板5を固定金具9の長ボルトが縦方向に貫通しナットで固定されている。
【0011】
スプリング構造樹脂成形品7は、固定金具10によって鉄板5に固定されている。固定金具10は長ボルト、ナット、ワッシャから構成されている。スプリング構造樹脂成形品7は単層であって、上面部に2個の上面が開放された通路7a,7bが形成され、スプリング構造樹脂成形品7及び鉄板5を固定金具10の長ボルトが縦方向に貫通し、ナットで固定されている。
【0012】
[スプリング構造樹脂形成品6,7の説明]
本実施形態のトラス型人工リーフ1に適用されるスプリング構造樹脂形成品6,7は、図4に示す通り熱可塑性樹脂を原料又は主原料とする連続線条12(以下、単に線条12ともいう)からなる線条集合体13である。この線条集合体13は、複数の線条12のループの隣接する線条相互をランダムに接触絡合集合させ内部に所定の空隙を備える立体網状構造体である。
【0013】
本実施形態のスプリング構造樹脂成形品6,7は、海藻、海草の生育を妨げない空隙率に形成されると共に、長期にわたる水中での使用及び成長した海藻、海草の重量にも耐え得る強度を備えるものであり、熱可塑性樹脂の連続線状及び/又は短線状のランダムなループ又はカールの隣接する線状相互を接触、絡合、集合して成る所定の密度の隙間を備えてなるスプリング状の三次元構造を備える樹脂成形品である。
【0014】
このスプリング構造樹脂成形品6,7は、例えば熱可塑性エラストマーを複数のノズルより所定押出速度において溶融押し出し、後述の引き取り機により引き取り、600〜90,000デニール、好ましくは3,000〜30,000デニール、より好ましくは6,000〜10,000デニールの無垢又は中空の連続線条を形成し、溶融状態の線条に、例えば直径1〜10mm、好ましくは直径1〜5mmのループを形成させ、隣同士の線条と水中で接触絡合させることによりランダムなループを形成する。水中において引き取り機113の引き取り速度は均一とする。しかし、任意の間隔で前記引き取り機の引き取り速度を低速に調整して、長手方向長さで5〜10cmの低速引き取り時の嵩密度の大きい部分すなわち、高密部とそれ以外の粗の部分、すなわち粗密部を有する厚さ20〜30cm、幅1,000mmの三次元スプリング構造を形成することにより製造することも好ましい。このようにして形成された線条の接触絡合部位の少なくとも一部は、相互に溶融接着される。
【0015】
前記連続線条及び/又は短線条は、線条の断面形状が、無垢、中空であって、線径は、(無垢)0.5〜3mm、好ましくは0.7〜2mm。(中空)0.7〜5mm。好ましくは1〜3mmである。又、前記中空線条の中空率は、30〜70%。好ましくは40〜60%である。
【0016】
前記連続線条及び/又は短線条は、勲可塑性樹脂全般でよいが、オレフィン系樹脂が好ましい。より好ましくは熱可塑性エラストマーよりなり、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、PVCのエラストマーより成る。
【0017】
スプリング構造樹脂成形品6,7の嵩密度は、粗の部分で、0.009〜0.280g/cm3、好ましくは、0.027〜0.210、特に0.045〜0.09、密の部分で0.45〜1.25g/cm3、好ましくは、0.54〜1.17、特に0.63〜1.10である。
【0018】
スプリング構造樹脂成形品6,7の空隙率は、粗の部分で、80〜99%、好ましくは、85〜97%、特に90〜95%、密の部分で40〜90%、好ましくは、70〜90%、特に75〜85%である。海藻類の着生部となる全体の平均空隙率は、30〜98%、好ましくは、50%〜95%、より好ましくは70%〜80%である。粗密をつけない場合も同様の範囲である。
【0019】
(スプリング構造樹脂成形品6,7の製造方法)
前記スプリング構造樹脂成形品6,7は、図5に示すように、押出機110のホッパー111より、原料樹脂として例えばポリプロピレンのエラストマーを投入し、溶融混練して、成型ダイ112に設けた所定径の多数の射出口より押し出し、バス115内の引き取り機113の引き取りロール114,114間で厚さ及び嵩密度が設定され、カール又はループ状にランダムに成形されながら、水中で固化し、巻き取りロール116,116によりスプリング構造を有する樹脂成形品たるスプリング構造樹脂成形品6,7として取り出される。このスプリング構造樹脂成形品6,7を構成する線条の押し出しに使用する成型ダイ112の一例を図6〜図10に示す。
【0020】
図6に示すように、前記スプリング構造樹脂成形品6,7を成す線条を押し出すための成形ダイ112は、合成樹脂の線条が押し出される多数のノズル121を備えており、このノズル121より押し出された樹脂材料が固化して線条を形成する。
【0021】
本実施形態にあっては、この成型ダイ112の射出方向に突出する幅方向の断面を矩形状と成す中子体122を設け、この中子体122の部分において、鉄パイプ等の鉄片の挿入部、また魚道としての役割を持つ線条の存在しない貫通穴(図示略)がスプリング構造樹脂成形品6,7内に形成されるよう構成されている。
【0022】
このようにして中子体122により形成された線条のない貫通穴(図示略)は、河川等内にこのスプリング構造樹脂成形品6,7を配置した際に、魚類等の生物の住処となり、これらの生物の通り道と成る。
【0023】
本実施形態にあっては、図6及び図7に示すように、この中子体を幅方向の断面において矩形状に形成しているが、この中子体122の形状は、前述のように生物の住処や魚道等と成り得る貫通穴(図示略)をスプリング構造樹脂成形品6,7内に形成し得るものであれば、前記ノズルの一部を閉塞したり、前述矩形に代えて、円柱状、その他如何なる形状とすることもできる。
図8は中子体122が1本の場合である。
貫通穴2を設けない場合には成型ダイ112には中子体122を設けず、もしくは、ノズルの一部を閉塞する必要がない。
【0024】
以下に変更形態を説明する。本変更形態はスプリング構造樹脂成形品6,7とコンクリート重錘が緊締金具で分離不能に結合したものである。
このスプリング構造樹脂成形品6,7は、コンクリート重錘と一体成形しスプリング構造樹脂成形品6,7の一部を埋設することもあるが、この際、高密部Bにより生コンクリートが遮蔽されるように、高密部Bと低密度部Aの異密度に構成されることもある(図11参照)。すなわち、厚さ方向垂直面を境に一方の部位を高密度、他方の部位を低密度に上下異密度成形する。そのため、図9に示す通り、高密部Bの製造はノズル121の間隔を狭くし、低密部Aの製造はノズル121の間隔を広くすることにより製造できる。
【0025】
図10に示す通り、成型ダイ112において、シート部143(図12参照)を作成したい部位を、スリット幅0.2〜3mm、好ましくは、0.7〜1.5mmのスリット141にすることにより、コンクリートと一体成形しスプリング構造樹脂成形品6,7の一部を埋設する際、中央面のシート部により生コンクリートが遮蔽されるように厚さ方向垂直面をシート状に形成することができる。
【0026】
トラス型人工リーフ又はトラス型人工リーフの製造方法の変更形態を説明する。
図11に示す通り、型枠142内の内周の全部(又は一部)にスプリング構造樹脂成形品103を配置した後に、生コンクリート140を型枠142内に注入し製造すれば、スプリング構造樹脂成形品103の一部がコンクリート140に埋設され、一体成形が可能である。この場合、アンカーボルト108を埋設しコンクリート140とスプリング構造樹脂成形品103とを結合し、アンカーボルト108をナットで締めて固定するので、頑丈な構造になる。アンカーボルト・ナット間に押さえ板を介装させてもよい。
【0027】
図11及び図12に示す通り、海中に露出させる海藻、海草の着生部(略全体)は、鋳鉄ブロック104またはコンクリートの挿入や魚道として使用される貫通穴131、コンクリートを遮蔽する高密部B又はシート部143、コンクリートが充填される低密部A、そして、前記着生部位の平均空隙率は、30〜98%。好ましくは50〜95%。より好ましくは70〜80%。30%以下では、表面が平滑になり、海藻、海草の着生率が低下する。98%以上では、スプリング構造樹脂成形品の表面積が少なく、着生率が低下する。また、着生した海藻、海草をウニ、貝等魚介類の食害から守れない。
【0028】
また、生コンクリート遮蔽部位となる高密部B又はシート部143の空隙率は、0〜70%。好ましくは、30〜50%。70%以上であると、生コンクリートを遮蔽できない。生コンクリートを充填し埋設する部位の空隙率は、70〜98%。70%以下では生コンクリートが充填されない。98%以上では線条が少なく、スプリング構造樹脂成形品とコンクリートが一体化されない。
【0029】
そして、前記スプリング構造樹脂成形品に、鋳鉄ブロック(又は鉄片)104を内包させる。鋳鉄ブロック104は、ミネラルの一種である珪素、カルシウム、マンガンを含み、海藻、海草の生育に有利であることに加え、炭素含有量が多く、海水による腐食が低減できる等の利点があり、鋳鉄製が好ましい。前述貫通穴131に円筒状、矩形あるいは、パイプなど鉄片104を挿入することができる他、スプリング構造樹脂成形品成形装置において、成型ダイ112と水中に備わる引取機113の間にパーツフィーダーの投入口を設け、溶融線条が硬化する直前に任意形状の鉄製ブロック104を線条に絡ませる(図示省略)ことにより鉄製ブロック104を線条間に挟持させ内包させることができる。
【0030】
また、スプリング構造樹脂成形品を多層構造にすることにより、その中間部、上部もしくは下部に鉄を挟み込むなどの方法でもよい。
【0031】
コンクリート重錘は、海底に鋳鉄104を内包したスプリング構造樹脂成形品6,7を海中に定置させる錘の役割をするもので、スプリング構造樹脂成形品とコンクリートを一体化する方法としては、コンクリートを新規に作成する場合の一体化は、スプリング構造樹脂成形品6,7において隣り合う高密部Bの間に粗密部Aを設け粗密部Aに生コンクリートを注入し、硬化させる。高密部で生コンクリートは遮蔽されるため、スプリング構造樹脂成形品の一部をコンクリート重錘に埋設することができる(図11)。この場合、アンカーボルト108を使用しナットと結合する。アンカーボルト・ナット間に押さえ板を介装させてもよい。
【0032】
また、図12に示す通り、スリット141を有する成形ダイ112で製造したスプリング構造樹脂成形品内部のシート部143を境界として、片側に生コンクリートを注入し硬化させる。シート部によりコンクリートが遮蔽されスプリング構造樹脂成形品の一部をコンクリートに埋設することができる。
【0033】
さらに、表面に露出したい部分を低密度に成形しておき、エアモルタルを注入し硬化させた後、生コンクリートを注入する。生コンクリート硬化後エアモルタルを水の高圧噴射洗浄等で取り除くなどの方法の他、既存のコンクリート体に穴をあけ鉄入りスプリング構造樹脂成形品に貫通穴を設けアンカーボルト等で固定することにより錘としてもよい。
【0034】
本実施形態の効果を下記に列挙する。
A)立体トラス構造体4や鉄板から鉄イオンが溶け出し、スプリング構造樹脂成形品に海藻が効果的に付着するので、海藻の育成や魚の餌場や産卵に最適である。
B)立体トラス構造体4の複雑な内部構造にスプリング構造樹脂成形品6,7を備えることで、シェルター効果を生み、陰影に富む大小さまざまな空間を提供し、魚の隠れ場、休息場を提供できる。立体トラス構造体4の部材の形状、方向が多岐に分かれていてスプリング構造樹脂成形品6,7を設けているため渦流が発生しやすく、回遊性魚類などの高い集魚効果を生みことができる。
D)栄養塩を含む上昇流が立体トラス構造体4の中を流れるので、スプリング構造樹脂成形品6,7に対して栄養補給効果が生じ、海藻の生育効率が高まる。
E)スプリング構造樹脂成形品6,7を海底面から高い位置に備えることができるので、ウニ等からの食害を低減できる。
F)立体トラス構造体4は、高さに対し底辺が大きく、傾斜地でも高い安定性を保つことができ、スプリング構造樹脂成形品6,7の位置が安定する。
【0035】
なお、本実施形態におけるスプリング構造樹脂成形品の実施の形態は、上記に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得るものである。また、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】立体トラス型リーフ1の斜視図である。
【図2】立体トラス型リーフ1の部分拡大斜視図である。
【図3】(a)(b)はスプリング構造樹脂成形品6,7の断面図である。
【図4】スプリング構造樹脂形成品6,7を示す平面図である。
【図5】スプリング構造樹脂成形品の製造装置を示す説明図である。
【図6】成型ダイの正面図である。
【図7】成型ダイの底面図である。
【図8】成型ダイの左側面図である。
【図9】成型ダイの変更例を示すノズル部分の要部拡大図である。
【図10】成型ダイの他の変更例を示すノズル部分の要部拡大図である。
【図11】コンクリートを錘として構成した実施例を示す全体図である。
【図12】コンクリートを錘として構成した他の実施例を示す全体図である。
【符号の説明】
1… トラス型人工リーフ 2… 底辺部 3… 頂上部
4… 立体トラス構造体 5… 鉄板 6,7… スプリング構造樹脂成形品
8… 鉄板 9… 固定金具 6a,6b,6c… スプリング構造樹脂成形層
6d,6e… 通路 10… 固定金具 7a,7b… 通路
12… 連続線条 13… 線条集合体
Claims (3)
- 底辺部と頂上部とを有し、底辺部の横断面積よりも頂上部の横断面積が小さく構成される立体トラス構造体と、
該立体トラス構造体に固定される鉄板と、
該鉄板に固定されるスプリング構造樹脂成形品と、
を備えることを特徴とするトラス型人工リーフ。 - 鋳鉄が前記スプリング構造樹脂成形品に固定されることを特徴とする請求項1のトラス型人工リーフ。
- 前記鉄板が鋳鉄であることを特徴とする請求項1又は2のトラス型人工リーフ。
Priority Applications (1)
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Cited By (1)
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CN104521842A (zh) * | 2015-01-14 | 2015-04-22 | 长沙理工大学 | 一种依靠风力供电的分层式人工礁体 |
-
2003
- 2003-08-04 JP JP2003205805A patent/JP2005052015A/ja active Pending
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