JP2005052009A - チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼおよび該酵素遺伝子 - Google Patents

チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼおよび該酵素遺伝子 Download PDF

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友則 秀崎
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Abstract

【課題】チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼをコードするDNAをクローン化し、その塩基配列を決定し、更にクローン化した組換えDNAを発現させた細胞を用いてチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼ、該酵素をコードするDNAおよびチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールおよび/またはこのチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールから生合成される各種テルペノイドを製造することを課題とする。
【解決手段】チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼおよび該酵素遺伝子を用いて、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールおよび/またはチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールから生合成される各種トリテルペンを製造する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2,3−オキシドスクワレンからチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを生成する活性を有するポリペプチドであって、2,3−オキシドスクワレンを基質とした場合に得られる生成物中でチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを最も高い割合で生成することを特徴とするポリペプチド、該ポリペプチドをコードするDNAおよびチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールおよび/またはこのチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールから生合成される各種テルペノイドを製造する方法に関する。チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールおよびその誘導体は他の植物由来のテルペノイドとは異なった構造を有しており、他にはない生理活性を持つことが期待されるとともに、医薬用の原料としても注目されている。
【0002】
【従来の技術】
チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールは、トリテルペノイドに分類される植物二次代謝産物の一種で、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールおよびその誘導体はニガキ科のニガキ(Picrasma quassioides)やニワウルシ(Ailanthus altissima)やブルケア・ジャバニカ(Brucea javanica)、ミカン科のパラミグニア・グリフィシー(Paramignya grifithii)などに含有されていることが知られている。しかしながら、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールおよびその誘導体の製造に際し、植物体を原料として用いる場合は、栽培に多額のコストがかかるとともに、その生産性は極めて低いものとならざるを得ない。
【0003】
また、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールの生成を触媒する酵素については、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)から同定された多機能型トリテルペン合成酵素YUP8H12R.43[Tetrahedron Lett. 41 ,7705−7710 (2000)]のみが知られている。多機能型トリテルペン合成酵素とは2,3−オキシドスクワレンを基質として、複数のトリテルペノイド化合物を生成する酵素である。多機能型トリテルペン合成酵素YUP8H12R.43は2,3−オキシドスクワレンを基質として、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを生成すると同時に他の8種類のトリテルペノイド化合物を生成する。これら生成物中に占めるチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールの割合は非常に低く、該酵素はチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールの生産効率が悪い、さらには該酵素を用いた場合、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールと物理化学的性質の似たトリテルペノイド化合物を除去するための煩雑な精製が必要であるという点で産業上実用的でないと言わざるを得ない。
そこで、生成物中でチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを最も高い割合で生成する、もしくはチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを特異的に生成するチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼの発見が望まれていた。
【0004】
【非特許文献1】Tetrahedron Lett. 41 ,7705−7710 (2000)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、2,3−オキシドスクワレンからチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを生成する活性を有する酵素であって、2,3−オキシドスクワレンを基質とした場合に得られる生成物中でチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを最も高い割合で生成することを特徴とする酵素および該酵素をコードするDNAを提供する。更にこのDNAを含む組換えベクター、この組換えベクターで形質転換させた細胞およびこの形質転換細胞を用いてチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼ、該酵素をコードするDNAおよびチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールおよび/またはこのチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールから生合成される各種テルペノイドを製造する方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、トリテルペンシンターゼの保存領域に相補的な縮重プライマーを用い、ニガキ科のニワウルシ(Ailanthus altissima)から抽出した全RNAを鋳型にRT−PCR、さらにはRACEを行い、1種類のトリテルペンシンターゼcDNAをクローニングした。本cDNAの全長のORFを酵母発現ベクターに組込み、ラノステロールシンターゼを欠く酵母に形質転換して機能解析を行った結果、該酵母において本来生合成されないチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールの生産が認められたことから、本cDNAがチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼをコードしていることを確認した。
【0007】
すなわち、本発明の第1の態様は、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼの酵素活性を有するポリペプチドおよび/または配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、第2の態様は、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼの酵素活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAおよび/または配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAであり、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含むDNAが挙げられる。本発明の第3の様態は、第2の様態に記載のDNAを含む組換えベクターである。本発明の第4の様態は、上記組換えベクターで形質転換された細胞である。また、本発明の第5の様態は、上記形質転換細胞を用いて、植物二次代謝産物を製造する方法である。この植物二次代謝産物はチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールから生合成されるテルペノイドであってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、ニガキ科のニワウルシ(Ailanthus altissima)からチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼをコードするcDNAを単離したが、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールおよびその誘導体を産生する植物であれば、本発明と実質的に同一の酵素が含まれていると推測され本明細書に記載の方法を用いればそれら植物からでも、本発明のチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼと実質的に同一の酵素をコードするcDNAを単離することができる。
【0009】
本発明に係るチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼとは、2,3−オキシドスクワレンを基質とした場合に得られる生成物中でチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを最も高い割合で生成する反応を触媒するポリペプチドを指しており、その起源は特に限定されないが、好ましくは植物由来であり、そのようなものとして例えば、ニガキなどのニガキ科Picrasma属植物、ニワウルシなどのニガキ科Ailanthus属植物、ブルケア・ジャバニカなどのニガキ科Brucea属植物、パラミグニア・グリフィシーなどのミカン科Paramignya属植物などを挙げることが出来る。
【0010】
本発明の遺伝子とは、2,3−オキシドスクワレンを基質とした場合に得られる生成物中でチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを最も高い割合で生成する反応を触媒する酵素をコードする遺伝子を指しており、その起源は特に限定されないが、好ましくは植物由来であり、そのようなものとして例えば、ニガキなどのニガキ科Picrasma属植物、ニワウルシなどのニガキ科Ailanthus属植物、ブルケア・ジャバニカなどのニガキ科Brucea属植物、パラミグニア・グリフィシーなどのミカン科Paramignya属植物などを挙げることが出来る。
【0011】
本発明はまた、前述の遺伝子を含む組換えベクターに関するものである。組換えベクターはそれらを導入すべき宿主の種類に依存して発現制御領域、例えばプロモーター、ターミネーターおよび複製起点等を含有する。組換えベクターの作製は制限酵素、リガーゼ等を用いて常法に従って行うことができる。
【0012】
更に、本発明は組換えベクターを用いて形質転換された細胞に関する。宿主としては原核生物または真核生物を用いることができる。原核生物としては細菌、例えばEscherichia属の大腸菌(Escherichia coli)、Bacillus属の枯草菌(Bacillus subtilis)など常用の宿主を用いることができる。真核生物としては、下等真核生物、例えば酵母または糸状菌などが使用できる。さらに昆虫細胞、動物細胞または植物細胞が使用でき、動物細胞としてはマウス、ハムスター、サル、ヒト等の細胞系が使用される。組換えベクターによる宿主の形質転換は常法によって行うことができる。
【0013】
加えて、本発明はチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールおよびその誘導体の製造方法に関する。製造方法としては(i)基質である2,3−オキシドスクワレンを含有する宿主を組換えベクターで形質転換して宿主細胞内で製造する方法(ii)組換え酵素に基質である2,3−オキシドスクワレンを投与して製造する方法を挙げることができる。(i)としては、例えば以下実施例に記載の通り、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼをコードするDNAを含む組換えベクターを用いて宿主となる酵母を形質転換し、組換え酵素を発現させることによりチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを製造することができる。また、(ii)としては、例えば組換え酵素を発現する細胞の破砕液に基質である2,3−オキシドスクワレンを投与することで反応させ、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを製造することができる。さらに、宿主細胞にチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを代謝する活性が備わっていれば、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを基質として宿主細胞の活性に依存した代謝産物、すなわちチルカラ−7,24−ジエン−3β−オール誘導体を製造することもできる。
【0014】
本発明でチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを最も高い割合で生成するとは、上記(i)または(ii)の製造方法において、本発明の酵素の活性に依存した代謝産物中でチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールが最も優位に多いということであり、例えば、酵素を発現している細胞の培養液や培養物からトリテルペンモノアルコール画分を抽出し、その抽出物中でチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールのモル比が最も高いということである。
【0015】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1 全RNAの抽出
ニワウルシの葉より全RNAを抽出した。抽出方法には改変CTAB法(植物のPCR実験プロトコール、秀潤社)を用いた。
【0016】
参考例2 チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼの部分的cDNA断片の単離
チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼの部分的cDNA断片を単離するために、ニワウルシの葉から抽出した全RNAより作製したcDNAを鋳型として、報告された植物 のトリテルペンシンターゼ配列における保存領域からデザインした縮重プライマーを用いてネスティッドPCRを行なった。初めは配列番号2で示される塩基配列のプライマーと配列番号3で示されるプライマーを用いて、94℃で30秒間のディネーチャー、54℃で30秒間のアニール、72℃で90秒間の伸長反応を1サイクルとし、30サイクル反応させた。二回目は配列番号4で示される塩基配列のプライマーと配列番号5で示されるプライマーを用いて、94℃で30秒間のディネーチャー、52℃で30秒間のアニール、72℃で70秒間の伸長反応を1サイクルとし、30サイクル反応させた。得られたPCR産物はpHSG298ベクター(TaKaRa社製)にサブクローニングした。いくつかのクローンをシークエンスした結果、配列番号6で示される塩基配列から成る目的のcDNA断片を取得した。
【0017】
参考例3 チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼをコードする全長塩基配列の決定
配列番号6に記載の塩基配列をもとに、本酵素のC末端アミノ酸配列に相当するcDNA部分をニワウルシの葉から抽出した全RNAより作製したcDNAを鋳型にネスティッドPCRにより増幅した。初めは配列番号7で示される塩基配列のプライマーと配列番号8で示されるアダプター領域を付加したオリゴdTプライマーのアダプター領域に対するプライマーを用いて、94℃で30秒間のディネーチャー、63℃で30秒間のアニール、72℃で30秒間の伸長反応を1サイクルとし、30サイクル反応させた。二回目は配列番号9で示される塩基配列のプライマーとオリゴdTプライマーのアダプター領域に対するプライマーを用いて、94℃で30秒間のディネーチャー、62℃で30秒間のアニール、72℃で25秒間の伸長反応を1サイクルとし、25サイクル反応させた。得られたPCR産物はpHSG298ベクターにサブクローニングした。いくつかのクローンをシークエンスした結果、配列番号10で示される塩基配列を含んだ目的のcDNA断片を取得した。
【0018】
次に、5’−Full RACE Core Set(TaKaRa社製)を用い、製造者の説明書に従って、配列番号6に記載の塩基配列をもとに、本酵素のN末端アミノ酸配列に相当するcDNA部分を増幅した。逆転写反応では、鋳型としてニワウルシの葉から抽出した全RNAを、5’末端リン酸化RT−プライマーには配列番号11で示される塩基配列のプライマーを用いた。ネスティッドPCRの初めは、配列番号12で示される塩基配列のプライマーと配列番号13で示されるプライマーを用いて、94℃で30秒間のディネーチャー、55℃で30秒間のアニール、72℃で60秒間の伸長反応を1サイクルとし、25サイクル反応させた。二回目は、配列番号14で示される塩基配列のプライマーと配列番号15で示されるプライマーを用いて、94℃で30秒間のディネーチャー、57℃で30秒間のアニール、72℃で60秒間の伸長反応を1サイクルとし、30サイクル反応させた。得られたPCR産物はpHSG298ベクターにサブクローニングした。いくつかのクローンをシークエンスした結果、配列番号16で示される塩基配列を含んだ目的のcDNA断片を取得した。
【0019】
既に決定していた配列と合わせて、配列番号1に示す2289塩基よりなる塩基配列が得られ、その配列より、アミノ酸配列が推定された。配列中には、既知のオキシドスクワレン環化酵素配列中に繰り返し認められるQWモチーフ[Trends Biochem. Sci. 19 ,157−158 (1994)]やオキシドスクワレン環化酵素の活性部位であることが指摘されているDCTAEモチーフ[J. Biol. Chem. 269 ,802−804 (1994)]が存在した。
【0020】
実施例1 チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼをコードする全長cDNAの取得
参考例3で決定したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする全長cDNAを取得するため、該ポリペプチドをコードするcDNAの全長ORFをPCRにより増幅し、クローニングベクターpHSG298に組込んだ。PCRは、ニワウルシの葉から抽出した全RNAより作製したcDNAを鋳型とし、配列番号17と配列番号18で示される塩基配列のプライマーを用い、94℃で30秒間のディネーチャー、60℃で30秒間のアニール、72℃で60秒間の伸長反応を1サイクルとし、30サイクル反応させた。
得られたPCR産物は制限酵素KpnIで処理し、pHSG298のKpnIサイトに組込むことでサブクローニングを行った。ここで得たいくつかのクローンについてシークエンスを行い、参考例3で決定したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする全長cDNAが挿入されているクローンをpHSG−TIRとした。
【0021】
実施例2 チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼの酵母での発現および機能確認
pHSG−TIRをKpnIで処理することにより切り出したORFを、酵母での発現プラスミドpYES2(Invitrogen社製)のKpnIサイトに組込み、GAL1プロモーターの下流に本ORFがセンス方向に導入されているプラスミドpYES2−TIRを構築した。更に得られたpYES2−TIRプラスミドをラノステロール合成酵素欠損株である酵母変異株erg7(ATCC Number : 4021900)に酢酸リチウム法により導入した。培養条件、ガラクトースによる発現誘導、トリテルペンモノアルコール画分の調整方法はKushiro,T. et al.に記載されている方法と同様に行った[Eur. J. Biochem. 256, 238−244(1998)]。まず、形質転換酵母を増殖培地(SC−U、20 mg/mL ergosterol、5 mg/mL Tween 80)に植菌し、30 ℃で2日間振盪培養した。次に、増殖した形質転換酵母を回収し、発現誘導培地(2% galactose、SC−U without glucose、20 mg/mL ergosterol、5 mg/mL Tween 80)に懸濁した後、30 ℃で10時間振とう培養した。更に、この形質転換酵母をリン酸培地(3% glucose、0.1 M potassium phosphate, pH 7.0)に移し、30 ℃で24時間振とう培養することで、組換え酵素由来の生成物を生産させた。形質転換酵母からトリテルペンモノアルコール画分を調整する方法は次の通りである。形質転換酵母を20% KOH/50% エタノール溶液で還流後、等量のヘキサンで3度生成物を抽出した。抽出物を濃縮後、シリカゲルカラム(Silica gel 60, MERCK、benzene as an eluent)で精製することにより、トリテルペンモノアルコール画分を得た。トリテルペンモノアルコール画分はLC−MS、H−NMR、13C−NMRにより分析した。分析の条件と結果を以下に示す。
【0022】
[HPLC条件]
Column: ODS−AM(diameter: 4.6 mm, length: 150 mm; YMC社製)
Solvent system: 98% CHCN aq.、Flow rate: 1 ml/min、Column temp.: 40 ℃、De tection: UV 202 nm、Retention time for tirucalla−7,24−dien−3b−ol: 23.9 min.
[MS]
イオン化法: APCI(+)、観測イオン: 409[M+H−HO]
H−NMR(400 MHz、CDCl)]
化学シフトの基準は、テトラメチルシランを0 ppmとする。
s: 一重線、d: 二重線、t: 三重線、m: 多重線を表す。Jはカップリング定数を表す。
d(ppm): 0.75(s)、0.81(s)、0.86(s)、0.88(d、J=6.3 Hz)、0.97(s)、1.0‐2.2( m)、1.60(s)、1.68(s)、3.24(dd、J=4.2,11.1 Hz)、5.10(t、J=6.5 Hz)、5.25(dd 、J=2.4,6.4 Hz)
13C−NMR(100 MHz、CDCl、CDCl=77.0 ppm)]
化学シフトの基準は、CDClを77 ppmとする。
d(ppm):13.1、14.7、17.6、18.1、18.3、21.9、23.9、25.0、25.7、27.3、27.6、27.7 、28.2、33.8、34.0、34.9、35.9、36.2、37.2、39.0、43.5、48.9、50.6、51.1、52.9 、76.7、79.3、125.2、130.9、145.9
【0023】
これらの分析結果より、トリテルペンモノアルコール画分には本来酵母では生成されないチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールが含まれており、他のトリテルペンモノアルコールは含まれていないことが明らかとなった。よって本cDNAは、高等植物から得られたオキシドスクワレン環化酵素の1つに位置づけられ、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを特異的に生成する酵素、すなわちチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼをコードしているものと結論づけた。この結果は、酵母へ導入した組換えベクターに含まれる取得ORF由来のチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼが酵母で発現していることを示す。
【0024】
【発明の効果】
以上記載の如く、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼをコードするDNAのクローン化に初めて成功した。これにより、クローン化した組換えDNAを発現させた細胞を用いて、優位にチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを生成する酵素、該酵素をコードするDNAおよびイチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールおよび/またはこのチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールから生合成される各種テルペノイドを製造する方法が提供される。その結果、従来知られていた多機能型トリテルペン合成酵素YUP8H12R.43では不可能だったチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールの効率的な生産が可能となる。
【0025】
【配列表】
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Claims (9)

  1. 2,3−オキシドスクワレンからチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを生成する活性を有するポリペプチドであって、2,3−オキシドスクワレンを基質とした場合に得られる生成物中でチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールを最も高い割合で生成することを特徴とするポリペプチド。
  2. 配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のポリペプチドをコードするDNA。
  4. 配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含むDNA。
  5. 請求項3〜4のいずれか一項に記載のDNAを含む組換えベクター。
  6. 請求項5に記載の組換えベクターで形質転換された細胞。
  7. 請求項6に記載の細胞を用いて、チルカラ−7,24−ジエン−3β−オールシンターゼの酵素活性を有するポリペプチドを製造する方法。
  8. 請求項6記載の細胞を用いて植物二次代謝産物を製造する方法。
  9. 植物二次代謝産物がチルカラ−7,24−ジエン−3β−オールから生合成されるテルペノイドである請求項8記載の方法。
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