JP2005051888A - 電気自動車およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気自動車においてスリップの検出をより確実にしてこれに対処する。
【解決手段】車輪速センサにより検出された駆動輪の車輪速Vfr,Vflと非駆動輪の車輪速Vrr,Vrlの補正量の学習が完了する前では、学習が完了した後に比してスリップの判定に用いる閾値Vrefを大きく設定すると共に車速Vが高いほど閾値Vrefを大きく設定し(S108,S110)、車輪速Vfr,Vflの平均Vfから車輪速Vrr,Vrlの平均Vlを減じて得られる車輪速差ΔVが設定した閾値Vrefよりも大きいときや、駆動輪に接続された駆動軸の回転角加速度αが閾値αrefよりも大きいときに駆動輪の空転によるスリップが発生したと判断して、モータから出力するトルクを制限する(S112〜S114)。これにより、スリップの検出をより確実にしてこれに対処することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】車輪速センサにより検出された駆動輪の車輪速Vfr,Vflと非駆動輪の車輪速Vrr,Vrlの補正量の学習が完了する前では、学習が完了した後に比してスリップの判定に用いる閾値Vrefを大きく設定すると共に車速Vが高いほど閾値Vrefを大きく設定し(S108,S110)、車輪速Vfr,Vflの平均Vfから車輪速Vrr,Vrlの平均Vlを減じて得られる車輪速差ΔVが設定した閾値Vrefよりも大きいときや、駆動輪に接続された駆動軸の回転角加速度αが閾値αrefよりも大きいときに駆動輪の空転によるスリップが発生したと判断して、モータから出力するトルクを制限する(S112〜S114)。これにより、スリップの検出をより確実にしてこれに対処することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車および電気自動車の制御方法に関し、詳しくは、駆動輪に接続された駆動軸に駆動力の出力が可能な電動機を備える電気自動車および電気自動車の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の自動車としては、駆動輪の空転を抑制するブレーキトラクション制御装置を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、駆動輪の空転を検出するために駆動輪の車輪速度を測定する際、異径タイヤの装着などを推定して車輪速度を補正し、補正した車輪速度と実車体速度との差が閾値を超えて空転を検出したときにその空転を抑制するようトラクション制御を実施している。そして、この車輪速度の補正が完了していない間には、トラクション制御が誤作動しないよう駆動輪の車輪速度と実車体速度との差の閾値をトラクション制御に入りにくくなるよう変更している。
【0003】
【特許文献1】
特開平12−344083号公報(図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように駆動輪の空転によるスリップの検出をより確実にしてこれに対処することは、走行用の動力源として電動機を備える電気自動車においても重要な問題として挙げることができる。
【0005】
本発明の電気自動車およびその制御方法は、こうした問題を解決し、電気自動車における駆動輪の空転によるスリップの検出をより確実にしてこれに対処することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の電気自動車およびその制御方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電気自動車は、
駆動輪に接続された駆動軸に駆動力を出力可能な電動機を備える電気自動車であって、
前記駆動輪の回転速度を検出する駆動輪回転速度検出手段と、
前記駆動輪とは異なる非駆動輪の回転速度を検出する非駆動輪回転速度検出手段と、
前記検出された前記駆動輪の回転速度および/または前記非駆動輪の回転速度の補正量を学習する学習手段と、
前記学習手段による学習状態に基づいて前記駆動輪の空転によるスリップの発生を検出する際の検出感度を設定する検出感度設定手段と、
該設定された検出感度をもって前記駆動輪の回転速度と前記非駆動輪の回転速度との回転速度差に基づいて前記スリップの発生を検出するスリップ検出手段と、
該スリップ検出手段によりスリップの発生が検出されたとき、前記駆動軸に出力される駆動力が制限されるよう前記電動機を駆動制御する制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の電気自動車では、駆動輪回転数検出手段により検出された駆動輪の回転速度や非駆動輪回転数検出手段により検出された非駆動輪の回転速度の補正量を学習し、この学習状態に基づいて駆動輪の空転によるスリップの発生を検出する際の検出感度を設定する。そして、設定した検出感度をもって駆動輪の回転数と非駆動輪の回転数との回転速度差に基づいてスリップの発生を検出し、スリップの発生が検出されたとき、駆動軸に出力される駆動力が制限されるよう電動機を駆動制御する。この結果、電気自動車においてスリップの検出をより確実にしてこれに対処することができる。また、電動機から出力される駆動力を制限するから、電動機から駆動力を出力しつつブレーキトラクション制御を行なう場合に比してエネルギロスを低減でき、ひいては電動機に電力供給する電源の小型化を図ることも可能となる。
【0009】
こうした本発明の電気自動車において、前記検出感度設定手段は、前記学習手段による学習が完了していないときには、該学習が完了しているときよりも前記スリップの発生が検出されにくくなるよう前記検出感度を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、スリップの誤検出を防止することができる。
【0010】
また、本発明の電気自動車において、前記検出感度設定手段は、前記検出感度として閾値を設定する手段であり、前記スリップ検出手段は、前記回転速度差が該設定された閾値以上のときに前記スリップが発生したことを検出する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明の電気自動車において、車速を検出する車速検出手段を備え、前記検出感度設定手段は、更に、前記検出された車速に基づいて前記閾値を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車速に拘わらずより正確に駆動輪の空転によるスリップを検出することができる。この態様の本発明の電気自動車において、前記検出感度設定手段は、前記車速が高いほど大きくなる傾向に前記閾値を設定する手段であるものとすることもできる。
【0011】
あるいは、本発明の電気自動車において、前記電動機の駆動制御に用いられ該電動機の回転軸の回転位置を検出する回転位置検出手段を備え、前記スリップ検出手段は、前記検出された回転位置から算出される駆動輪の回転速度と前記駆動輪回転速度検出手段により検出された駆動輪の回転速度とを用いて導き出された駆動輪の回転速度と、前記非駆動輪回転速度検出手段により検出された非駆動輪の回転速度との回転速度差に基づいて前記スリップを検出する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より正確に駆動輪の空転によるスリップを検出することができる。
【0012】
また、本発明の電気自動車において、内燃機関と、電力と動力の入出力により前記内燃機関から出力された動力の少なくとも一部を前記駆動軸に伝達する電力動力入出力手段とを備えるものとすることもできる。
【0013】
なお、上述の各態様の本発明の電気自動車において、前記駆動軸の回転角加速度を検出する回転角加速度検出手段を備え、前記スリップ検出手段は、更に、前記検出された回転角加速度に基づいて前記スリップを検出する手段であるものとすることもできる。
【0014】
本発明の電気自動車の制御方法は、
駆動輪に接続された駆動軸に駆動力を出力可能な電動機を備える電気自動車の制御方法であって、
(a)前記駆動輪の回転速度を検出すると共に非駆動輪の回転速度を検出するステップと
(b)前記検出された前記駆動輪の回転速度および/または前記非駆動輪の回転速度の補正量を学習するステップと、
(c)前記ステップ(b)による学習状態に基づいて前記駆動輪の空転によるスリップの発生を検出する際の検出感度を設定するステップと、
(d)該設定された検出感度をもって前記駆動輪の回転速度と前記非駆動輪の回転速度との回転速度差に基づいて前記スリップの発生を検出するステップと、
(e)該ステップ(d)によりスリップの発生が検出されたとき、前記駆動軸に出力される駆動力が制限されるよう前記電動機を駆動制御するステップと
を備えることを要旨とする。
【0015】
この本発明の電気自動車の制御方法によれば、駆動輪の回転速度や非駆動輪の回転速度の補正量を学習し、この学習状態に基づいて駆動輪の空転によるスリップの発生を検出する際の検出感度を設定する。そして、設定した検出感度をもって駆動輪の回転数と非駆動輪の回転数との回転速度差に基づいてスリップの発生を検出し、スリップの発生が検出されたとき、駆動軸に出力される駆動力が制限されるよう電動機を駆動制御する。この結果、電気自動車においてスリップの検出をより確実にしてこれに対処することができる。また、電動機から出力される駆動力を制限するから、スリップ発生時にブレーキトラクション制御を実施する場合に比してエネルギロスを低減でき、ひいては電動機に電力供給する電源の小型化を図ることも可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、二輪駆動(2WD)の自動車として構成されており、インバータ回路23を介してバッテリ24から供給された電力を用いて駆動輪28a,28bに連結された駆動軸26にトルクを出力可能なモータ22と、駆動軸26の回転位置θmを検出する回転位置検出センサとしてのレゾルバ32と、駆動輪28a,28b(前輪)の車輪速を検出する車輪速センサ34a,34bと、非駆動輪29a,29b(後輪)の車輪速を検出する車輪速センサ36a,36bと、車両全体をコントロールする電子制御ユニット50とを備える。
【0017】
モータ22は、例えば、電動機として機能すると共に発電機としても機能する周知の同期発電電動機として構成されている。また、インバータ回路23は、バッテリ24からの電力をモータ22の駆動に適した電力に変換する複数のスイッチング素子により構成されている。
【0018】
電子制御ユニット50は、CPU52を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU52の他に処理プログラムを記憶したROM54と、一時的にデータを記憶するRAM56と、入出力ポート(図示せず)とを備える。この電子制御ユニット50には、レゾルバ32からの駆動軸26の回転位置θmや、車輪速センサ34a,34b,36a,36bからの各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrl、シフトレバー41のポジションを検出するシフトポジションセンサ42からのシフトポジションSP、アクセルペダル43の踏み込み状態を検出するアクセルペダルポジションセンサ44からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル45の踏み込み状態を検出するブレーキペダルポジションセンサ46からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ48からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット50からは、インバータ回路23のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0019】
こうして構成された電気自動車20の動作、特に、駆動輪28a,28bの空転によるスリップの発生を検出してモータ22を駆動制御する動作について説明する。図2は、実施例の電気自動車20の電子制御ユニット50により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。
【0020】
運転制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50のCPU52は、まず、アクセルペダルポジションセンサ44からのアクセル開度Accや車速センサ48からの車速V、車輪速センサ34a,34b,36a,36bからの車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて算出された車輪速Vf,Vr、レゾルバ32からの回転位置θmに基づいて算出された駆動軸26(モータ22の回転軸)の回転数Nmなどを入力する処理を行なう(ステップS100)。ここで、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlについては、異径タイヤの装着やタイヤの空気圧などによる誤差を除去するためにその補正量の学習が行なわれている。補正量の学習は、実施例では、次のようにして行なわれる。いま、車輪速Vfrを補正対象として補正する場合を考える。この場合の補正量は、車輪速センサ34a,34b,36a,36bにより検出された車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの平均値Vaveを計算し、計算した平均値Vaveを補正対象である車輪速センサ34aからの車輪速Vfrで割って得られる比率kを本ルーチンの繰り返しの実行により複数導出してこれらを積算することにより算出される。車輪速Vfl,Vrr,Vrlについても同様である。したがって、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量の学習は、完了するまである程度の時間を要することになる。また、車輪速Vfr,Vflは、レゾルバ32から演算される駆動軸26の回転数Nmを用いれば駆動輪28a,28bの車輪速を演算できるから、この演算された車輪速を用いてもよいし、演算された車輪速と車輪速センサ34a,34bからの車輪速Vfr,Vflとを平均したものを用いるものとしてもよい。こうした車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて算出される車輪速Vfと車輪速Vrは、実施例では、各々車輪速Vfr,Vflを平均すると共に車輪速Vrr,Vrlを平均することにより行なうものとした。なお、車速Vについては、実施例では、車速センサ48により検出されたものを用いたが、車輪速センサ34a,34b,36a,36bにより検出あるいは補正された車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlから算出するものとしても構わない。
【0021】
そして、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいてモータ22から出力すべきトルクとしてのモータトルクTm*を設定する(ステップS102)。モータトルクTm*の設定は、実施例では、アクセル開度Accと車速VとモータトルクTm*との関係を予め求めてマップとしてROM44に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられたときにマップから対応するモータトルクTm*を導出することにより行なうものとした。このマップの一例を図3に示す。
【0022】
続いて、入力した駆動輪28a,28bの車輪速Vfに非駆動輪29a,29bの車輪速Vrを減じて車輪速差ΔVを計算すると共に入力した駆動軸26の回転数Nmに前回入力した前回回転数Nmを減じて駆動軸26の回転角加速度αを計算し(ステップS104)、車輪速差ΔVの計算に用いられた車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量の学習が完了しているか否かを判定する(ステップS106)。車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量の学習が完了していると判定されると、図4に例示する学習完了時マップを用いて車速Vに基づいてスリップの検出に用いる閾値Vrefを設定し(ステップS108)、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量の学習が完了していないと判定されると、図4に例示する学習未完了時マップを用いて車速Vに基づいて閾値Vrefを設定する処理を行なう(ステップS110)。図4に示すように、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量の学習が完了する前では、学習が完了した後に比して大きな閾値Vrefが設定されるよう学習完了時マップと学習未完了時マップとが設定されている。これは、学習が完了する前の精度の低い車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlによって計算された車輪速差ΔVにより駆動輪28a,28bが空転してスリップが発生したと誤検出するのを防止するためである。また、図4に示すように、車速Vが高いほど大きな閾値Vrefが設定されるのは、車速Vが高いほど車輪速差ΔVに含まれる誤差によりスリップと誤検出するおそれが高くなるためである。
【0023】
こうして車輪速差ΔVを計算し閾値Vrefを設定すると、計算した車輪速差ΔVが閾値Vrefよりも大きいか否かを判定すると共に(ステップS112)、回転角加速度αが閾値αrefよりも大きいか否かを判定する(ステップS113)。車輪速差ΔVが閾値Vrefよりも大きいと判定されたり、或いは回転角加速度αが閾値αrefよりも大きいと判定されると、駆動輪28a,28bの空転によるスリップが発生したと判断して、ステップS102で設定したモータトルクTm*を制限する処理を行なう(ステップS114)。ここで、モータトルクTm*の制限は、例えば、ステップS102で設定したモータトルクTm*に所定値を減じるものとしてもよいし、スリップの程度が大きいほど、即ち、車輪速差ΔVが閾値Vrefに対して大きくなるほど或いは回転角加速度αが閾値αrefに対して大きくなるほど大きな値をモータトルクTm*から減じるものとしてもよいし、如何なる制限を施すものとしてもよい。なお、車輪速差ΔVが閾値Vref以下であると判定され且つ回転角加速度αが閾値αref以下であると判定されると、駆動輪28a,28bの空転は生じておらずグリップの状態にあると判断して、モータトルクTm*の制限は行なわない。
【0024】
こうしてステップS102またはステップS114でモータトルクTm*が設定されると、モータトルクTm*でモータ22を駆動制御する処理を行なって(ステップS116)、本ルーチンを終了する。モータ22の駆動制御は、具体的には、レゾルバ32により検出された回転位置θmに基づいてモータトルクTm*に見合うトルクがモータ22から出力されるようインバータ回路23のスイッチング素子にスイッチング制御信号を出力することにより行なわれる。
【0025】
以上説明した実施例の電気自動車20によれば、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量を学習し、この学習が完了したか否かに応じて閾値Vrefを設定し、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて算出される車輪速差ΔVが設定した閾値Vrefよりも大きいときには駆動輪28a,28bの空転によるスリップが検出されたとして駆動軸26に出力されるトルクが制限されるようモータ22を駆動制御する。したがって、電気自動車20におけるスリップを検出をより確実にしてこれに対処することができる。しかも、レゾルバ32からの回転位置θmにより演算される回転角加速度αを用いたスリップの判定も行なうから、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに対する補正の学習が完了する前で閾値Vrefが比較的大きく設定され、スリップが発生しているにも拘わらず車輪速差ΔVに基づいてスリップと判定されないときでも回転角加速度αに基づいてスリップを判定することができ、過剰なスリップによる車両の推進力の低下や車両が不安定な状態となるのを防止することができる。
【0026】
実施例の電気自動車20では、図4に例示する学習完了時マップと学習未完了時マップにおいて車速Vが高くなるほど大きくなる傾向に閾値Vrefを設定するものとしたが、車速Vに拘わらず一律の閾値Vrefを設定するものとしてもよい。
【0027】
実施例では、駆動輪28a,28bに接続された駆動軸に直接的に動力の出力が可能に機械的に接続されたモータ22を備える電気自動車20に適用して説明したが、駆動軸に動力の出力が可能な電動機を備える電気自動車であれば、如何なる構成の自動車に適用するものとしても構わない。例えば、エンジンと、エンジンの出力軸に接続されたジェネレータと、ジェネレータからの発電電力を用いて駆動軸に動力を出力するモータとを備えるいわゆるシリーズ型のハイブリッド電気自動車に適用するものとしてもよい。また、図5に示すように、エンジン122と、エンジン122に接続されたプラネタリギヤ126と、プラネタリギヤ126に接続された発電可能なモータ124と、同じくプラネタリギヤ126に接続されると共に駆動輪28a,28bに接続された駆動軸に動力が出力可能に駆動軸に機械的に接続されたモータ22とを備えるいわゆる機械分配型のハイブリッド電気自動車120に適用することもできるし、図6に示すように、エンジン222の出力軸に接続されたインナーロータ224aと駆動輪28a,28bに接続された駆動軸に取り付けられたアウターロータ224bとを有しインナーロータ224aとアウターロータ224bとの電磁的な作用により相対的に回転するモータ224と、駆動軸に動力が出力可能に駆動軸に機械的に接続されたモータ22と備えるいわゆる電気分配型のハイブリッド電気自動車220に適用することもできる。或いは、図7に示すように、駆動輪28a,28bに接続された駆動軸に変速機324(無段変速機や有段の自動変速機など)を介して接続されたモータ22と、クラッチCLを介してモータ22の回転軸と接続されたエンジン322とを備えるハイブリッド電気自動車320に適用することもできる。このとき、駆動輪にスリップが発生したときの制御としては、制御における出力応答性の速さなどから主に駆動軸に機械的に接続されたモータを制御することにより駆動軸に出力されるトルクを制限するが、このモータの制御と協調して他のモータを制御したりエンジンを制御したりするものとしてもよい。
【0028】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例の電気自動車20の電子制御ユニット50により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】アクセル開度Accと車速VとモータトルクTm*との関係を示すマップである。
【図4】車速Vとスリップの判定閾値Vrefとの関係を示すマップである。
【図5】変形例の電気自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図6】変形例の電気自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【図7】変形例の電気自動車320の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
20,120,220,320 自動車、22 モータ、23 インバータ回路、24 バッテリ、26 駆動軸、28a,28b 駆動輪、29a,29b非駆動輪、32 レゾルバ、34a,34b,36a,36b 車輪速センサ、41 シフトレバー、42 シフトポジションセンサ、43 アクセルペダル、44 アクセルペダルポジションセンサ、45 ブレーキペダル、46 ブレーキペダルポジションセンサ、48 車速センサ、50 メイン電子制御ユニット、52 CPU,54 ROM、56 RAM、122,222,322 エンジン、124 モータ、126 プラネタリギヤ、224 モータ、224aインナロータ、224b アウタロータ、324 変速機。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車および電気自動車の制御方法に関し、詳しくは、駆動輪に接続された駆動軸に駆動力の出力が可能な電動機を備える電気自動車および電気自動車の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の自動車としては、駆動輪の空転を抑制するブレーキトラクション制御装置を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、駆動輪の空転を検出するために駆動輪の車輪速度を測定する際、異径タイヤの装着などを推定して車輪速度を補正し、補正した車輪速度と実車体速度との差が閾値を超えて空転を検出したときにその空転を抑制するようトラクション制御を実施している。そして、この車輪速度の補正が完了していない間には、トラクション制御が誤作動しないよう駆動輪の車輪速度と実車体速度との差の閾値をトラクション制御に入りにくくなるよう変更している。
【0003】
【特許文献1】
特開平12−344083号公報(図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように駆動輪の空転によるスリップの検出をより確実にしてこれに対処することは、走行用の動力源として電動機を備える電気自動車においても重要な問題として挙げることができる。
【0005】
本発明の電気自動車およびその制御方法は、こうした問題を解決し、電気自動車における駆動輪の空転によるスリップの検出をより確実にしてこれに対処することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の電気自動車およびその制御方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電気自動車は、
駆動輪に接続された駆動軸に駆動力を出力可能な電動機を備える電気自動車であって、
前記駆動輪の回転速度を検出する駆動輪回転速度検出手段と、
前記駆動輪とは異なる非駆動輪の回転速度を検出する非駆動輪回転速度検出手段と、
前記検出された前記駆動輪の回転速度および/または前記非駆動輪の回転速度の補正量を学習する学習手段と、
前記学習手段による学習状態に基づいて前記駆動輪の空転によるスリップの発生を検出する際の検出感度を設定する検出感度設定手段と、
該設定された検出感度をもって前記駆動輪の回転速度と前記非駆動輪の回転速度との回転速度差に基づいて前記スリップの発生を検出するスリップ検出手段と、
該スリップ検出手段によりスリップの発生が検出されたとき、前記駆動軸に出力される駆動力が制限されるよう前記電動機を駆動制御する制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の電気自動車では、駆動輪回転数検出手段により検出された駆動輪の回転速度や非駆動輪回転数検出手段により検出された非駆動輪の回転速度の補正量を学習し、この学習状態に基づいて駆動輪の空転によるスリップの発生を検出する際の検出感度を設定する。そして、設定した検出感度をもって駆動輪の回転数と非駆動輪の回転数との回転速度差に基づいてスリップの発生を検出し、スリップの発生が検出されたとき、駆動軸に出力される駆動力が制限されるよう電動機を駆動制御する。この結果、電気自動車においてスリップの検出をより確実にしてこれに対処することができる。また、電動機から出力される駆動力を制限するから、電動機から駆動力を出力しつつブレーキトラクション制御を行なう場合に比してエネルギロスを低減でき、ひいては電動機に電力供給する電源の小型化を図ることも可能となる。
【0009】
こうした本発明の電気自動車において、前記検出感度設定手段は、前記学習手段による学習が完了していないときには、該学習が完了しているときよりも前記スリップの発生が検出されにくくなるよう前記検出感度を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、スリップの誤検出を防止することができる。
【0010】
また、本発明の電気自動車において、前記検出感度設定手段は、前記検出感度として閾値を設定する手段であり、前記スリップ検出手段は、前記回転速度差が該設定された閾値以上のときに前記スリップが発生したことを検出する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明の電気自動車において、車速を検出する車速検出手段を備え、前記検出感度設定手段は、更に、前記検出された車速に基づいて前記閾値を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車速に拘わらずより正確に駆動輪の空転によるスリップを検出することができる。この態様の本発明の電気自動車において、前記検出感度設定手段は、前記車速が高いほど大きくなる傾向に前記閾値を設定する手段であるものとすることもできる。
【0011】
あるいは、本発明の電気自動車において、前記電動機の駆動制御に用いられ該電動機の回転軸の回転位置を検出する回転位置検出手段を備え、前記スリップ検出手段は、前記検出された回転位置から算出される駆動輪の回転速度と前記駆動輪回転速度検出手段により検出された駆動輪の回転速度とを用いて導き出された駆動輪の回転速度と、前記非駆動輪回転速度検出手段により検出された非駆動輪の回転速度との回転速度差に基づいて前記スリップを検出する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より正確に駆動輪の空転によるスリップを検出することができる。
【0012】
また、本発明の電気自動車において、内燃機関と、電力と動力の入出力により前記内燃機関から出力された動力の少なくとも一部を前記駆動軸に伝達する電力動力入出力手段とを備えるものとすることもできる。
【0013】
なお、上述の各態様の本発明の電気自動車において、前記駆動軸の回転角加速度を検出する回転角加速度検出手段を備え、前記スリップ検出手段は、更に、前記検出された回転角加速度に基づいて前記スリップを検出する手段であるものとすることもできる。
【0014】
本発明の電気自動車の制御方法は、
駆動輪に接続された駆動軸に駆動力を出力可能な電動機を備える電気自動車の制御方法であって、
(a)前記駆動輪の回転速度を検出すると共に非駆動輪の回転速度を検出するステップと
(b)前記検出された前記駆動輪の回転速度および/または前記非駆動輪の回転速度の補正量を学習するステップと、
(c)前記ステップ(b)による学習状態に基づいて前記駆動輪の空転によるスリップの発生を検出する際の検出感度を設定するステップと、
(d)該設定された検出感度をもって前記駆動輪の回転速度と前記非駆動輪の回転速度との回転速度差に基づいて前記スリップの発生を検出するステップと、
(e)該ステップ(d)によりスリップの発生が検出されたとき、前記駆動軸に出力される駆動力が制限されるよう前記電動機を駆動制御するステップと
を備えることを要旨とする。
【0015】
この本発明の電気自動車の制御方法によれば、駆動輪の回転速度や非駆動輪の回転速度の補正量を学習し、この学習状態に基づいて駆動輪の空転によるスリップの発生を検出する際の検出感度を設定する。そして、設定した検出感度をもって駆動輪の回転数と非駆動輪の回転数との回転速度差に基づいてスリップの発生を検出し、スリップの発生が検出されたとき、駆動軸に出力される駆動力が制限されるよう電動機を駆動制御する。この結果、電気自動車においてスリップの検出をより確実にしてこれに対処することができる。また、電動機から出力される駆動力を制限するから、スリップ発生時にブレーキトラクション制御を実施する場合に比してエネルギロスを低減でき、ひいては電動機に電力供給する電源の小型化を図ることも可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、二輪駆動(2WD)の自動車として構成されており、インバータ回路23を介してバッテリ24から供給された電力を用いて駆動輪28a,28bに連結された駆動軸26にトルクを出力可能なモータ22と、駆動軸26の回転位置θmを検出する回転位置検出センサとしてのレゾルバ32と、駆動輪28a,28b(前輪)の車輪速を検出する車輪速センサ34a,34bと、非駆動輪29a,29b(後輪)の車輪速を検出する車輪速センサ36a,36bと、車両全体をコントロールする電子制御ユニット50とを備える。
【0017】
モータ22は、例えば、電動機として機能すると共に発電機としても機能する周知の同期発電電動機として構成されている。また、インバータ回路23は、バッテリ24からの電力をモータ22の駆動に適した電力に変換する複数のスイッチング素子により構成されている。
【0018】
電子制御ユニット50は、CPU52を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU52の他に処理プログラムを記憶したROM54と、一時的にデータを記憶するRAM56と、入出力ポート(図示せず)とを備える。この電子制御ユニット50には、レゾルバ32からの駆動軸26の回転位置θmや、車輪速センサ34a,34b,36a,36bからの各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrl、シフトレバー41のポジションを検出するシフトポジションセンサ42からのシフトポジションSP、アクセルペダル43の踏み込み状態を検出するアクセルペダルポジションセンサ44からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル45の踏み込み状態を検出するブレーキペダルポジションセンサ46からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ48からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット50からは、インバータ回路23のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0019】
こうして構成された電気自動車20の動作、特に、駆動輪28a,28bの空転によるスリップの発生を検出してモータ22を駆動制御する動作について説明する。図2は、実施例の電気自動車20の電子制御ユニット50により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。
【0020】
運転制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50のCPU52は、まず、アクセルペダルポジションセンサ44からのアクセル開度Accや車速センサ48からの車速V、車輪速センサ34a,34b,36a,36bからの車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて算出された車輪速Vf,Vr、レゾルバ32からの回転位置θmに基づいて算出された駆動軸26(モータ22の回転軸)の回転数Nmなどを入力する処理を行なう(ステップS100)。ここで、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlについては、異径タイヤの装着やタイヤの空気圧などによる誤差を除去するためにその補正量の学習が行なわれている。補正量の学習は、実施例では、次のようにして行なわれる。いま、車輪速Vfrを補正対象として補正する場合を考える。この場合の補正量は、車輪速センサ34a,34b,36a,36bにより検出された車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの平均値Vaveを計算し、計算した平均値Vaveを補正対象である車輪速センサ34aからの車輪速Vfrで割って得られる比率kを本ルーチンの繰り返しの実行により複数導出してこれらを積算することにより算出される。車輪速Vfl,Vrr,Vrlについても同様である。したがって、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量の学習は、完了するまである程度の時間を要することになる。また、車輪速Vfr,Vflは、レゾルバ32から演算される駆動軸26の回転数Nmを用いれば駆動輪28a,28bの車輪速を演算できるから、この演算された車輪速を用いてもよいし、演算された車輪速と車輪速センサ34a,34bからの車輪速Vfr,Vflとを平均したものを用いるものとしてもよい。こうした車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて算出される車輪速Vfと車輪速Vrは、実施例では、各々車輪速Vfr,Vflを平均すると共に車輪速Vrr,Vrlを平均することにより行なうものとした。なお、車速Vについては、実施例では、車速センサ48により検出されたものを用いたが、車輪速センサ34a,34b,36a,36bにより検出あるいは補正された車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlから算出するものとしても構わない。
【0021】
そして、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいてモータ22から出力すべきトルクとしてのモータトルクTm*を設定する(ステップS102)。モータトルクTm*の設定は、実施例では、アクセル開度Accと車速VとモータトルクTm*との関係を予め求めてマップとしてROM44に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられたときにマップから対応するモータトルクTm*を導出することにより行なうものとした。このマップの一例を図3に示す。
【0022】
続いて、入力した駆動輪28a,28bの車輪速Vfに非駆動輪29a,29bの車輪速Vrを減じて車輪速差ΔVを計算すると共に入力した駆動軸26の回転数Nmに前回入力した前回回転数Nmを減じて駆動軸26の回転角加速度αを計算し(ステップS104)、車輪速差ΔVの計算に用いられた車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量の学習が完了しているか否かを判定する(ステップS106)。車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量の学習が完了していると判定されると、図4に例示する学習完了時マップを用いて車速Vに基づいてスリップの検出に用いる閾値Vrefを設定し(ステップS108)、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量の学習が完了していないと判定されると、図4に例示する学習未完了時マップを用いて車速Vに基づいて閾値Vrefを設定する処理を行なう(ステップS110)。図4に示すように、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量の学習が完了する前では、学習が完了した後に比して大きな閾値Vrefが設定されるよう学習完了時マップと学習未完了時マップとが設定されている。これは、学習が完了する前の精度の低い車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlによって計算された車輪速差ΔVにより駆動輪28a,28bが空転してスリップが発生したと誤検出するのを防止するためである。また、図4に示すように、車速Vが高いほど大きな閾値Vrefが設定されるのは、車速Vが高いほど車輪速差ΔVに含まれる誤差によりスリップと誤検出するおそれが高くなるためである。
【0023】
こうして車輪速差ΔVを計算し閾値Vrefを設定すると、計算した車輪速差ΔVが閾値Vrefよりも大きいか否かを判定すると共に(ステップS112)、回転角加速度αが閾値αrefよりも大きいか否かを判定する(ステップS113)。車輪速差ΔVが閾値Vrefよりも大きいと判定されたり、或いは回転角加速度αが閾値αrefよりも大きいと判定されると、駆動輪28a,28bの空転によるスリップが発生したと判断して、ステップS102で設定したモータトルクTm*を制限する処理を行なう(ステップS114)。ここで、モータトルクTm*の制限は、例えば、ステップS102で設定したモータトルクTm*に所定値を減じるものとしてもよいし、スリップの程度が大きいほど、即ち、車輪速差ΔVが閾値Vrefに対して大きくなるほど或いは回転角加速度αが閾値αrefに対して大きくなるほど大きな値をモータトルクTm*から減じるものとしてもよいし、如何なる制限を施すものとしてもよい。なお、車輪速差ΔVが閾値Vref以下であると判定され且つ回転角加速度αが閾値αref以下であると判定されると、駆動輪28a,28bの空転は生じておらずグリップの状態にあると判断して、モータトルクTm*の制限は行なわない。
【0024】
こうしてステップS102またはステップS114でモータトルクTm*が設定されると、モータトルクTm*でモータ22を駆動制御する処理を行なって(ステップS116)、本ルーチンを終了する。モータ22の駆動制御は、具体的には、レゾルバ32により検出された回転位置θmに基づいてモータトルクTm*に見合うトルクがモータ22から出力されるようインバータ回路23のスイッチング素子にスイッチング制御信号を出力することにより行なわれる。
【0025】
以上説明した実施例の電気自動車20によれば、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlの補正量を学習し、この学習が完了したか否かに応じて閾値Vrefを設定し、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて算出される車輪速差ΔVが設定した閾値Vrefよりも大きいときには駆動輪28a,28bの空転によるスリップが検出されたとして駆動軸26に出力されるトルクが制限されるようモータ22を駆動制御する。したがって、電気自動車20におけるスリップを検出をより確実にしてこれに対処することができる。しかも、レゾルバ32からの回転位置θmにより演算される回転角加速度αを用いたスリップの判定も行なうから、車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに対する補正の学習が完了する前で閾値Vrefが比較的大きく設定され、スリップが発生しているにも拘わらず車輪速差ΔVに基づいてスリップと判定されないときでも回転角加速度αに基づいてスリップを判定することができ、過剰なスリップによる車両の推進力の低下や車両が不安定な状態となるのを防止することができる。
【0026】
実施例の電気自動車20では、図4に例示する学習完了時マップと学習未完了時マップにおいて車速Vが高くなるほど大きくなる傾向に閾値Vrefを設定するものとしたが、車速Vに拘わらず一律の閾値Vrefを設定するものとしてもよい。
【0027】
実施例では、駆動輪28a,28bに接続された駆動軸に直接的に動力の出力が可能に機械的に接続されたモータ22を備える電気自動車20に適用して説明したが、駆動軸に動力の出力が可能な電動機を備える電気自動車であれば、如何なる構成の自動車に適用するものとしても構わない。例えば、エンジンと、エンジンの出力軸に接続されたジェネレータと、ジェネレータからの発電電力を用いて駆動軸に動力を出力するモータとを備えるいわゆるシリーズ型のハイブリッド電気自動車に適用するものとしてもよい。また、図5に示すように、エンジン122と、エンジン122に接続されたプラネタリギヤ126と、プラネタリギヤ126に接続された発電可能なモータ124と、同じくプラネタリギヤ126に接続されると共に駆動輪28a,28bに接続された駆動軸に動力が出力可能に駆動軸に機械的に接続されたモータ22とを備えるいわゆる機械分配型のハイブリッド電気自動車120に適用することもできるし、図6に示すように、エンジン222の出力軸に接続されたインナーロータ224aと駆動輪28a,28bに接続された駆動軸に取り付けられたアウターロータ224bとを有しインナーロータ224aとアウターロータ224bとの電磁的な作用により相対的に回転するモータ224と、駆動軸に動力が出力可能に駆動軸に機械的に接続されたモータ22と備えるいわゆる電気分配型のハイブリッド電気自動車220に適用することもできる。或いは、図7に示すように、駆動輪28a,28bに接続された駆動軸に変速機324(無段変速機や有段の自動変速機など)を介して接続されたモータ22と、クラッチCLを介してモータ22の回転軸と接続されたエンジン322とを備えるハイブリッド電気自動車320に適用することもできる。このとき、駆動輪にスリップが発生したときの制御としては、制御における出力応答性の速さなどから主に駆動軸に機械的に接続されたモータを制御することにより駆動軸に出力されるトルクを制限するが、このモータの制御と協調して他のモータを制御したりエンジンを制御したりするものとしてもよい。
【0028】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例の電気自動車20の電子制御ユニット50により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】アクセル開度Accと車速VとモータトルクTm*との関係を示すマップである。
【図4】車速Vとスリップの判定閾値Vrefとの関係を示すマップである。
【図5】変形例の電気自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図6】変形例の電気自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【図7】変形例の電気自動車320の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
20,120,220,320 自動車、22 モータ、23 インバータ回路、24 バッテリ、26 駆動軸、28a,28b 駆動輪、29a,29b非駆動輪、32 レゾルバ、34a,34b,36a,36b 車輪速センサ、41 シフトレバー、42 シフトポジションセンサ、43 アクセルペダル、44 アクセルペダルポジションセンサ、45 ブレーキペダル、46 ブレーキペダルポジションセンサ、48 車速センサ、50 メイン電子制御ユニット、52 CPU,54 ROM、56 RAM、122,222,322 エンジン、124 モータ、126 プラネタリギヤ、224 モータ、224aインナロータ、224b アウタロータ、324 変速機。
Claims (8)
- 駆動輪に接続された駆動軸に駆動力を出力可能な電動機を備える電気自動車であって、
前記駆動輪の回転速度を検出する駆動輪回転速度検出手段と、
前記駆動輪とは異なる非駆動輪の回転速度を検出する非駆動輪回転速度検出手段と、
前記検出された前記駆動輪の回転速度および/または前記非駆動輪の回転速度の補正量を学習する学習手段と、
前記学習手段による学習状態に基づいて前記駆動輪の空転によるスリップの発生を検出する際の検出感度を設定する検出感度設定手段と、
該設定された検出感度をもって前記駆動輪の回転速度と前記非駆動輪の回転速度との回転速度差に基づいて前記スリップの発生を検出するスリップ検出手段と、
該スリップ検出手段によりスリップの発生が検出されたとき、前記駆動軸に出力される駆動力が制限されるよう前記電動機を駆動制御する制御手段と
を備える電気自動車。 - 前記検出感度設定手段は、前記学習手段による学習が完了していないときには、該学習が完了しているときよりも前記スリップの発生が検出されにくくなるよう前記検出感度を設定する手段である請求項1記載の電気自動車。
- 請求項1または2記載の電気自動車であって、
前記検出感度設定手段は、前記検出感度として閾値を設定する手段であり、
前記スリップ検出手段は、前記回転速度差が該設定された閾値以上のときに前記スリップが発生したことを検出する手段である
電気自動車。 - 請求項3記載の電気自動車であって、
車速を検出する車速検出手段を備え、
前記検出感度設定手段は、更に、前記検出された車速に基づいて前記閾値を設定する手段である
電気自動車。 - 前記検出感度設定手段は、前記車速が高いほど大きくなる傾向に前記閾値を設定する手段である請求項4記載の電気自動車。
- 請求項1ないし5いずれか記載の電気自動車であって、
前記電動機の駆動制御に用いられ該電動機の回転軸の回転位置を検出する回転位置検出手段を備え、
前記スリップ検出手段は、前記検出された回転位置から算出される駆動輪の回転速度と前記駆動輪回転速度検出手段により検出された駆動輪の回転速度とを用いて導き出された駆動輪の回転速度と、前記非駆動輪回転速度検出手段により検出された非駆動輪の回転速度との回転速度差に基づいて前記スリップを検出する手段である
電気自動車。 - 請求項1ないし6いずれか記載の電気自動車であって、
内燃機関と、
電力と動力の入出力により前記内燃機関から出力された動力の少なくとも一部を前記駆動軸に伝達する電力動力入出力手段と
を備える電気自動車。 - 駆動輪に接続された駆動軸に駆動力を出力可能な電動機を備える電気自動車の制御方法であって、
(a)前記駆動輪の回転速度を検出すると共に非駆動輪の回転速度を検出するステップと
(b)前記検出された前記駆動輪の回転速度および/または前記非駆動輪の回転速度の補正量を学習するステップと、
(c)前記ステップ(b)による学習状態に基づいて前記駆動輪の空転によるスリップの発生を検出する際の検出感度を設定するステップと、
(d)該設定された検出感度をもって前記駆動輪の回転速度と前記非駆動輪の回転速度との回転速度差に基づいて前記スリップの発生を検出するステップと、
(e)該ステップ(d)によりスリップの発生が検出されたとき、前記駆動軸に出力される駆動力が制限されるよう前記電動機を駆動制御するステップと
を備える電気自動車の制御方法。
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