JP2005049186A - 走査型トンネル顕微鏡の探針及びその製造方法 - Google Patents

走査型トンネル顕微鏡の探針及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 走査型トンネル顕微鏡に使用する先端が極めて先鋭でかつ強度の大きい探針とその製造方法を提供する。
【解決手段】 走査型トンネル顕微鏡の探針10において、探針10はタングステン等の金属で形成され、探針10の先端表面12は炭化コーティング膜等のバッファー層を有し、探針10の先端表面12の炭化コーティング膜等のバッファー層からカーボンナノチューブ13が延設されている走査型トンネル顕微鏡の探針10とその製造方法である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、試料の表面を観察する走査型トンネル顕微鏡に使用する探針及びその製造方法に関する。
試料の表面を原子尺度で観察する装置、例えば金属や半導体の微細表面を観察し、表面構造解析や表面荒さ計測をする装置として、近年、走査型トンネル顕微鏡が開発されて使用されている。
走査型トンネル顕微鏡は、図6に示すように、先端に非常に細く鋭い金属製の探針110を備えて、この探針の先端部111を試料に微小距離まで接近させ、この探針110で試料の表面を走査し、試料と探針110との間にトンネル電流を流し、トンネル電流がこの試料と探針110との間の微小距離により指数関数的に変化することにより試料の表面を観察する装置である。これによって、試料表面の原子または分子レベルの状態を観察することができる。
この走査型トンネル顕微鏡の探針の先端は、理想的には探針を形成する原子数個だけが突出して存在するように形成するのが望ましい。このため、探針の先端は非常に先鋭に仕上げる必要がある。
探針の製造方法としては、電解研磨や機械研磨等で先鋭に仕上げる方法があるが、先端を十分に先鋭にすることが困難であり、トンネル電流を走査し難くなる場合があった。
また、探針の先端の表面に荷電粒子ビーム又は光ビームを照射して、探針の先端の表面に針状の物質を生成するようにした方法がある(例えば、特許文献1参照。)。この場合には、荷電粒子ビーム又は光ビームを照射する装置が必要であり、探針の製造設備が大型化してしまうこととなる。さらに、探針の先端の表面にカーボンナノチューブ等の非金属導電体を取付ける場合には、カーボンナノチューブ取付けるのに電子顕微鏡を見ながら探針とカーボンナノチューブを接合する必要があり、装置が複雑になることと、カーボンナノチューブと探針の先端との接続強度が十分でない場合もあった。
特開平2−245602号公報(第4−5頁、第2図)
そこで本発明は、走査型トンネル顕微鏡に使用する先端にカーボンナノチューブを成長させた探針とその製造方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、走査型トンネル顕微鏡の探針において、探針は金属で形成され、探針の先端にカーボンナノチューブを成長させたことを特徴とする走査型トンネル顕微鏡の探針である。
請求項1の本発明では、走査型トンネル顕微鏡の探針において、探針は金属で形成されているため、試料と探針の間に流れるトンネル電流を走査型トンネル顕微鏡の本体に流れやすくすることができる。探針の金属としては、タングステン、チタン、白金ーイリジウム合金、ニッケル等を使用することができる。
探針の先端に化学的気相成長法(CVD)等でカーボンナノチューブを成長させたため、探針の先端に極めて先鋭で導電性のカーボンナノチューブを容易に設けることができる。
探針の先端表面からカーボンナノチューブを成長させており、カーボンナノチューブは電気伝導性が高く、試料と探針の間に流れるトンネル電流を探針の先端に確実に流すことができる。また、カーボンナノチューブは、直径が約1〜2ナノメートル(nm)程度であり、極めて小さく、走査型トンネル顕微鏡の分解能を上げることができる。カーボンナノチューブは構造が幾何学的に明瞭で、各部分において直径のバラツキがないことが好ましい。
さらに、カーボンナノチューブは、化学的に不活発であり、酸化され難いため、長期間にわたり安定的に試料と探針の間のトンネル電流を流すことができ、探針を長期間使用することができる。
さらに、カーボンナノチューブは、引張り強度が非常に強く、引張りに対して破断することがない。曲げに対しても強く、曲げても破断せずに、柔軟に変形して、また復元されることができる。このため、試料の表面にカーボンナノチューブが接触するような場合でも、カーボンナノチューブが破損することはなく、また、試料の表面を傷つけることもない。
また、カーボンナノチューブは、耐熱性が高く高温での測定も可能であり、有機溶媒等にも不溶であるため、取り扱いが容易である。
上記課題を解決するために請求項2の本発明は、探針の先端表面はバッファー層を有し、バッファー層からカーボンナノチューブを成長させた走査型トンネル顕微鏡の探針である。
請求項2の本発明では、探針の先端表面はバッファー層を有し、バッファー層からカーボンナノチューブを成長させたため、探針とカーボンナノチューブとの接合強度が高く、観測中にカーボンナノチューブが探針の先端表面から剥離することがない。
なお、バッファー層として、炭化コーティング膜や窒化コーティング膜を使用することができる。
上記課題を解決するために請求項3の本発明は、バッファー層が炭化コーティング膜である走査型トンネル顕微鏡の探針である。
請求項3の本発明では、バッファー層は炭化コーティング膜であり、炭化コーティング膜は化学的に安定であり、酸化されにくく、表面が硬くなり、探針の強度も増加する。さらに、先端の炭化コーティング膜は延設されるカーボンナノチューブとの接合強度が高く、観測中にカーボンナノチューブが探針の先端表面から剥離することがない。
また、炭化コーティング膜は導電性があり、カーボンナノチューブと探針との間の導電性を損なうことがない。
上記課題を解決するために請求項4の本発明は、探針の金属はタングステンであり、炭化コーティング膜は炭化タングステン膜である走査型トンネル顕微鏡の探針である。
請求項4の本発明では、探針の金属はタングステンであるため硬く、高温にも強く、また、アルカリ水溶液を用いた電解研磨方法により、容易に先端を先鋭にすることができる。
炭化コーティング膜は炭化タングステン膜であるため、探針の表面を極めて硬くすることができるとともに、化学的に安定にすることができ、表面が酸化したり、腐食することがない。
また、炭化コーティング膜であるため、導電性があり、カーボンナノチューブとの接合性がよく、カーボンナノチューブが剥離することがない。
上記課題を解決するために請求項5の本発明は、走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法において、金属製の探針の先端を研磨する工程と、研磨された探針の先端表面にカーボンナノチューブを成長させる工程とを有する走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法である。
請求項5の本発明は、金属製の探針の先端を研磨する工程により、探針の先端を鋭くして、試料を走査し易くすることができる。
研磨された探針の先端表面にカーボンナノチューブを成長させる工程により、上述のように、容易に、接合力の強いカーボンナノチューブを探針の先端に設けることができる。また、成長したカーボンナノチューブは、請求項1の本発明について述べたように優れた性能を持ち、探針の先端として好ましい。
上記課題を解決するために請求項6の本発明は、走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法において、金属製の探針の先端を研磨する工程と、研磨された探針の先端表面にバッファー層を形成する工程と、探針のバッファー層に上記カーボンナノチューブを成長させる工程とを有する走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法である。
請求項6の本発明では、研磨された探針の先端表面にバッファー層を形成する工程により、探針の先端の強度を向上させることができるとともに、先端の腐食等を防止することができる。また、バッファー層が探針の先端とカーボンナノチューブとの接合強度を強くすることができ、観測中にカーボンナノチューブが探針の先端表面から剥離することがない。
上記課題を解決するために請求項7の本発明は、バッファー層を形成する工程は、炭化コーティング膜を形成する工程である走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法である。
請求項7の本発明では、バッファー層として炭化コーティング膜を形成する工程であり、研磨された金属製の探針の先端表面を炭化する工程により、探針の先端表面の金属層に炭化コーティング膜が形成され、探針は先端表面が炭化コーティング膜で覆うことができ、表面が化学的に安定であり、酸化されにくく、硬く、強度も増加させることができる。さらに、先端に延設されるカーボンナノチューブとの接合強度が高く、観測中にカーボンナノチューブが探針の先端表面から剥離することがない。
また、カーボンナノチューブと探針との間の導電性を損なうことがなく、炭化コーティング膜を形成することができる。
上記課題を解決するために請求項8の本発明は、探針を研磨する工程は、水酸化ナトリウムによる電解研磨であり、炭化コーティング膜を形成する工程は、プロパンガスを熱分解して炭化反応を行う工程であり、カーボンナノチューブを成長させる工程は、プロパンガスの存在下でアーク放電を行い、カーボンナノチューブを生成する工程である走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法である。
請求項8の本発明では、探針を研磨する工程は、水酸化ナトリウムによる電解研磨であるため、探針をアルカリ電解液である水酸化ナトリウム中で電気を流し溶解することで、先端を先鋭化させることができる。電解液は水酸化ナトリウムであるため取扱いが容易である。
探針の先端表面に炭化コーティング膜を形成する工程は、プロパンガスを熱分解して炭化反応を行う工程であるため、高温雰囲気でプロパンガスの熱分解により発生した水素(H)により探針の表面に存在する酸化膜を還元しつつ、炭素(C)により探針の表面を炭化して、導電性セラミックスの一種である炭化金属膜を形成することができる。
この炭化金属膜は酸化金属膜に比べてきわめて導電性に優れている。また、導電性セラミックスであるため、化学的にも安定であり表面が酸化したり腐食することがなく、表面が硬く損傷することがない。
プロパンガスの熱分解は、プロパンガスを不活性ガスと共に高温の石英管等の内に流入させ、その石英管内に探針を置いておくことにより可能であり、小型の設備で実施することができる。
カーボンナノチューブを成長させる工程は、アーク放電中にプロパンガスを流入させる工程であり、アーク放電中の装置内に上記の表面が炭化金属、即ち炭化コーティング膜を有する探針を置き、プロパンガスと不活性ガスをアーク放電中の装置内に流入させることにより、探針表面にカーボンナノチューブを成長させることができる。このカーボンナノチューブは、探針の表面が炭化コーティング膜であるため、探針との接合力が強く使用中に離脱することがない。
上記課題を解決するために請求項9の本発明は、探針の先端表面に炭化コーティング膜を形成する工程は、プロパンガスを窒素(N)雰囲気中で800℃以上で熱分解させるものである走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法である。
請求項5の本発明では、探針の先端表面の炭化コーティング膜を形成する工程がプロパンガスを窒素(N)雰囲気中で800℃以上で熱分解させるものであるため、プロパンガスを十分に熱分解することができ、熱分解して発生した水素(H)が探針の表面を還元する反応と、炭素(C)が探針の表面を炭化する反応が早く、確実に起こることができる。
窒素(N)雰囲気中でプロパンガスを流すため、プロパンガスの濃度をコントロールしつつ、熱分解温度と反応時間をコントロールして探針表面の炭化コーティング膜を所望の厚さに、例えば0.3μm程度にすることができる。
上記課題を解決するために請求項10の本発明は、カーボンナノチューブを成長させる工程は、探針の先端表面に炭化コーティング膜を形成した後、探針に金属触媒を付着してアーク放電中にプロパンガスを流入させる工程である走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法である。
請求項10の本発明では、探針の先端表面に炭化コーティング膜を形成した後、探針に金属触媒を付着してアーク放電中でカーボンナノチューブを探針の先端表面に成長させる方法であり、金属触媒を使用してアーク放電すると単層カーボンナノチューブを成長させることができ、直系が1〜2nm程度の先端が鋭く、柔軟性に富んだ探針を得ることができる。
窒素(N)雰囲気中でプロパンガスの流入量をコントロールすることにより、カーボンナノチューブの成長速度、生成量をコントロールすることができる。
本発明は、走査型トンネル顕微鏡に使用する探針の先端表面にバッファー層を設けるとともに、カーボンナノチューブを先端に延設したため、走査型トンネル顕微鏡の解像度を高くすることができるとともに、化学的に安定な、腐食や酸化され難い探針とその製造方法を得ることができる。
また、探針の先端とカーボンナノチューブとの接合強度の強い探針を得ることができる。
本発明について、図面に基づき実施の形態を説明する。
図1は、走査型トンネル顕微鏡において、試料を観察するために探針を試料に接近させる探針保持と探針微小移動部分の断面図である。
探針10は円盤状の探針保持部2に保持されている。探針保持部2は、円筒状の圧電素子1の一方の端部に取付けられている。圧電素子1の外周には保護部材4が取り付けられている。圧電素子1の他方の端部には固定部3が取付けられ、固定部3は、走査型トンネル顕微鏡(図示せず)の本体に固定される。
走査型トンネル顕微鏡では、試料を観察するため探針10を走査する微小移動機構が必要であるが、この移動は圧電素子1の各部分に電圧を印加することにより行われる。即ち圧電素子1の各部分に電圧を印加すると印加された部分が伸縮するため、印加部分を選択することにより探針をX、Y、Zの3軸方向にそれぞれ自由に移動させることができる。
圧電素子1の周囲の保護部材4は、弾性を有する材料として、フッ素ゴム、シリコンゴム等を使用することができ、接着剤等で圧電素子1の外周に固着されている。これは圧電素子1を保護するとともに、圧電素子1の伸縮を自由にさせるためである。
探針10の一端からは配線5が延設されており、探針10と試料の間に生じたトンネル電流を走査型トンネル顕微鏡の本体へ送ることができ、これにより、試料の表面状態の観察をすることができる。
図2は、探針10の先端部分の拡大図である。
探針10は金属線が使用され、例えば、タングステン線、チタン線、白金ーイリジュウム合金線を使用することができる。この金属線を所定の寸法に切断して探針10として形成し、後述する電解研磨法により探針先端部11を先鋭に加工している。
探針10の表面である探針表面12は、バッファー層が設けられている。バッファー層としては、導電性があり、カーボンナノチューブ13との接合性の良いものが使用される。例えば、炭化コーティング膜として炭化タングステン、炭化チタン、炭化シリコン等が使用され、窒化コーティング膜として窒化タングステン、窒化チタン等が使用することができる。
なお以下、炭化コーティング膜を例にとり説明し、その形成方法は後述する。
探針10の先端表面12には炭化コーティング膜で覆われているため、化学的に安定である。このため、長期の使用においても表面が腐食したり、酸化されることがない。また炭化コーティング膜は一種のセラミックスであり、表面が硬く、傷ついたりすることがなく、強度も増加する。さらに、探針先端部11に延設される後述するカーボンナノチューブ13との接合強度が高く、観測中にカーボンナノチューブ13が探針先端部11から外れることがない。
また、炭化コーティング膜は導電性があり、カーボンナノチューブ13と探針10との間の導電性を損なうことがない。
探針先端部11には、カーボンナノチューブ13が延設されている。このカーボンナノチューブ13の生成方法は後述する。
カーボンナノチューブ13は、単層ナノチューブが好ましく、直径が1〜2ナノメーター(nm)程度である。このため、探針10として鋭い先端をなすことができ、走査型トンネル顕微鏡が極めて高い分解能を有することができる。
また、カーボンナノチューブ13は、導電性があり、探針10と試料の間のトンネル電流を流すことができ、柔軟性があり、容易に折れたり、破損することがなく、試料を損傷することもない。
次に本発明の先端にカーボンナノチューブ13を有する探針10の製造方法を説明する。
この製造方法は、探針10がタングステンである場合を例にとり説明するが他の金属線、例えばチタン線、白金―イリジュウム合金線においても同様に製造することができる。
まず探針10を研磨する方法を、水酸化ナトリウムによる電解研磨方法を例にとり、図3に基づき説明する。
電解研磨装置20は、電解槽21、電解槽21内に溜められた電解液22と、白金線電極23と、探針取付電極24と直流電源25からなる。
電解液22は金属線を溶解することができるものが使用することができ、例えばタングステン線では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が使用することができ、他の金属線では、その金属が電解可能な電解液を適宜使用することができる。
直径0.1〜1.0mm程度のタングステン線を所定長さに切断して探針取付電極24に取り付け、電解液22中に入れる。次に、先端がリング状になった白金線電極21のリング部分のほぼ中心位置に、タングステン線の先端を置き、直流電源25から探針取付電極24を経由して探針10と白金線電極21の間に電圧を印加して探針10の先端をエッチングをする。
このようにして、電解を継続すると探針10のタングステン線の先端が電解液22により先鋭にエッチングされることができる。
次に電解研磨された探針10の表面の炭化コーティング膜の形成方法について、図4に基づき説明する。
電解研磨された探針10は、探針炭化装置30内に置かれ炭化コーティング膜が形成される。
まず、探針10は、探針保持具36に複数本保持されて円筒状の石英管31内に置かれる。石英管31の外周にはヒーター33が巻かれて、ヒーター33の外周には断熱材35が巻かれている。
ヒーター33は、ヒーター制御装置32により制御されて、石英管31内の温度が制御される。石英管31内の温度は、石英管31の外周に先端が密着して設けられた熱電対34の測定結果をヒーター制御装置32にフィードバックすることにより制御することができる。
800℃〜1,100℃の間に温度制御された石英管31内に、LPGボンベ37からプロパンガスを流入させ、窒素ボンベ38から窒素ガスを流入させる。このプロパンガスの流量は、LPG流量計37aで制御して、例えば毎分5ml程度を流し、窒素の流量は窒素流量計38aで制御して、例えば毎分300ml程度を石英管31内に流す。この窒素とプロパンガスの流量を制御して炭化反応を制御することができる。
石英管31内の温度が700℃以下のばあいには、プロパンガスの熱分解が少量しか起こらず、探針表面12の還元・炭化反応も少量しか生じない。
ヒーター33によってプロパンガスを石英管31内で熱分解させて、水素(H)と炭素(C)を発生させることができる。この熱分解して発生した水素(H)が探針10の表面を還元する反応と、炭素(C)が探針10の表面を炭化する反応によって、探針10の表面でタングステンの酸化膜を還元して、タングステンと炭化反応を起こすことができ、探針10の表面に炭化タングステンの炭化コーティング膜を形成することができる。
探針10の炭化タングステンの膜厚は、例えば900℃で10分間反応させた場合は、0.3〜0.4μm程度である。
探針10の先端表面12のタングステンが炭化され形成された炭化コーティング膜は、化学的に安定であり、酸化されにくく、表面が硬くなり、強度も増加する。さらに、先端に延設されるカーボンナノチューブ13との接合強度が高く、観測中にカーボンナノチューブ13が探針の先端表面から外れることがない。また、炭化コーティング膜は導電性があり、カーボンナノチューブ13と試料の間に生じたトンネル電流を探針10に流すことができる。
プロパンガスの熱分解は、プロパンガスを窒素やヘリウム等の不活性ガスと共に高温の石英管等の内に流入させ、その石英管内に探針を置いておくことにより可能であり、小型の設備で実施することができる。
次に、カーボンナノチューブ13を探針先端部11の探針表面12に生成する方法について、図5に基づき説明する。
図5は、カーボンナノチューブ13を探針先端部11の探針表面12に生成させるカーボンナノチューブ生成装置40である。
カーボンナノチューブ生成装置40は、アーク放電箱44内に炭素棒でできた陽極41と陰極42を有し、さらに陽極41に電気的に接続された探針保持具45が設けられ、アーク放電箱44外に設けられた直流電源43に、陽極41と陰極42が接続されている。
アーク放電箱44内に窒素やヘリウム等の不活性ガスとプロパンガスを満たして、陽極41と陰極42が軽く接触した状態で直流電源から電気を流し、陽極41と陰極42を数mm程度離すと、陽極41と陰極42の間でアーク放電が起こる。このアーク放電により、探針保持具45に保持された探針10の先端にカーボンナノチューブ13が生成し成長する。
このとき、探針先端部11には、金属触媒が付着しているので、単層のカーボンナノチューブ13が生成する。金属触媒は、鉄、ニッケル、コバルト等を使用することができる。
このカーボンナノチューブ13は電気伝導性が高く、試料と探針10の間に流れるトンネル電流を探針10の先端に炭化タングステンの膜を通して確実に流すことができる。また、カーボンナノチューブ13は、直径が約1〜2ナノメートル(nm)程度であり、極めて小さく、走査型トンネル顕微鏡の分解能を上げることができる。また、カーボンナノチューブは、幾何学的に明瞭で、各部分において直径がバラツキがなく、探針10の先端として好ましい。
さらに、カーボンナノチューブ13は、化学的に不活発であり、酸化されにくいため、長期間にわたり安定的に試料と探針の間のトンネル電流を流すことができ、探針を長期間使用することができる。また、カーボンナノチューブ13は、耐熱性が高く高温での測定も可能であり、有機溶媒等にも不溶であるため、取り扱いが容易である。
さらに、カーボンナノチューブ13は、引張り強度が非常に強く、引張りに対して破断することがない。曲げに対しても強く、曲げても破断せずに、柔軟に変形して、また復元されることができる。このため、試料の表面にカーボンナノチューブ13が接触するような場合でも、カーボンナノチューブ13が破損することはなく、試料の表面を傷つけることもない。
本発明の探針を取り付けた走査型トンネル顕微鏡の先端部分の断面図である。 本発明の探針の先端部分の拡大正面図である。 本発明の探針研磨装置の概略図である。 本発明の探針炭化装置の概略図である。 本発明のカーボンナノチューブ生成装置の概略図である。 従来の探針の先端部分の拡大正面図である。
符号の説明
10 探針
11 探針先端部
12 探針表面
13 カーボンナノチューブ
20 探針研磨装置
30 探針炭化装置
40 カーボンナノチューブ生成装置

Claims (10)

  1. 走査型トンネル顕微鏡の探針において、
    該探針は金属で形成され、上記探針の先端にカーボンナノチューブを成長させたことを特徴とする走査型トンネル顕微鏡の探針。
  2. 上記探針の先端表面はバッファー層を有し、
    該バッファー層から上記カーボンナノチューブを成長させた請求項1記載の走査型トンネル顕微鏡の探針。
  3. 上記バッファー層は炭化コーティング膜である請求項2記載の走査型トンネル顕微鏡の探針。
  4. 上記探針の金属はタングステンであり、上記炭化コーティング膜は炭化タングステン膜である請求項3記載の走査型トンネル顕微鏡の探針。
  5. 走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法において、
    金属製の該探針の先端を研磨する工程と、
    研磨された上記探針の先端表面にカーボンナノチューブを成長させる工程とを有する走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法。
  6. 走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法において、
    金属製の該探針の先端を研磨する工程と、
    研磨された上記探針の先端表面にバッファー層を形成する工程と、
    上記探針のバッファー層に上記カーボンナノチューブを成長させる工程とを有する走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法。
  7. 上記バッファー層を形成する工程は、炭化コーティング膜を形成する工程である請求項6記載の走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法。
  8. 上記探針を研磨する工程は、水酸化ナトリウムによる電解研磨であり、
    上記炭化コーティング膜を形成する工程は、プロパンガスを熱分解して炭化反応を行う工程であり、
    上記カーボンナノチューブを延設する工程は、プロパンガスの存在下でアーク放電を行い、上記カーボンナノチューブを生成する工程である請求項7記載の走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法。
  9. 上記探針の先端表面に炭化コーティング膜を形成する工程は、プロパンガスを窒素(N)雰囲気中で800℃以上で熱分解させるものである請求項7または8記載の走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法。
  10. 上記カーボンナノチューブを成長させる工程は、上記探針の先端表面に上記バッファー層を形成した後、上記探針に金属触媒を付着してアーク放電中にプロパンガスを流入させる工程である請求項6乃至請求項10のいずれかに記載の走査型トンネル顕微鏡の探針の製造方法。
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