JP2005049137A - 放射能検査装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の放射線検出器を配列してなる放射線検出手段1にそれぞれ接続され、複数系統に構成された射線計数手段2を設け、各放射線検出器のバックグラウンド計数率から各放射線検出器の検出限界計数率を求め記憶する検出限界算出手段3を設け、放射線検出手段の各放射線検出器の正味計数率と前記検出限界算出手段に記憶された検出限界計数率とを比較し、正味計数率が検出限界以上もしくは越えた放射線検出器のみ正味計数率とバックグラウンド計数率を出力する計数比較手段4を設け、各要素毎の正味計数率およびバックグラウンド計数率をそれぞれについて合計する計数集計手段5によって集計された計数率を放射能量に換算する放射能量換算手段6を設けるようにした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物品表面の汚染を自動で検査する放射能検査装置に係り、特に内面汚染に対する感度を向上させることが可能な放射能検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
物品表面の汚染を検査する場合、測定対象物の表面に付着した汚染から発生するβ線を測定して評価するのが一般的であり、JIS Z 4329などに記載されているように、10cm×10cmの標準面線源を用いて、表面汚染密度の校正を行っている。そして実際に物品表面の汚染を自動で検査するには市販されている大型物品搬出モニタ等によって行っている。
【0003】
しかしながら、β線による測定の場合、β線は透過力が弱いため測定対象物内部の汚染については検出することができない。このため、通常は透過力の強いγ線を検出する検出器を併用している。
【0004】
このγ線を検出する検出器で内表面の汚染を評価する場合は、測定した放射能量に対し、10cm×10cmに汚染が集中していると仮定して、安全側に評価をする考え方を取るため、測定して求めた総Bq値を評価単位である100cm2で除して算出している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
さて、このような従来の装置では、例えば大型物品搬出モニタについてはβ線検出器の感度に対し、γ線を検出する検出器はサイズが小さく感度が低い。しかし、放射線検出器の効率を向上させるためにサイズを大型化させると、これに伴いバックグラウンド計数率が上昇することとなり、この結果検出限界値も上昇するため、感度を向上させることが困難であった。
【0006】
また、測定して求めた総Bq値に対して一律に評価単位面積で除するため、汚染が均一に分布している場合と、スポット的に存在する場合とでは誤差が大きい。更に、放射線検出器で測定した計数率から総Bq値を求める場合についても、測定対象物の形状や配置毎にバックグラウンドや効率が異なるため、従来の密度補正による効率では誤差が大きくなってしまう欠点があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の欠点に鑑みなされたもので、放射線検出器のサイズを大型化してもバックグラウンドを上昇させることなく汚染に対する感度の向上を図ることができ、かつ汚染の形態による誤差を小さくすることのできる放射能検査装置を提供することにある。
【0008】
【発明が解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る放射能検査装置の発明は、複数の放射線検出器1〜nを配列してなる放射線検出手段1と、この放射線検出手段1と測定対象物8との相対的な位置を変化させる搬送手段7と、前記各放射線検出器1〜nにそれぞれ接続された複数系列の放射線計数手段2と、前記搬送手段7による搬送の開始および終了の制御を行うと共に、前記放射線計数手段2による計数の開始および終了の制御を行う測定制御手段9と、前記各放射線検出器1〜nのバックグラウンド計数率から各放射線検出器1〜nの検出限界計数率を求め記憶する検出限界算出手段3と、前記各放射線検出器1〜nの正味計数率と、前記検出限界算出手段3に記憶された検出限界計数率とを比較し、正味計数率が検出限界以上もしくは越えた放射線検出器の正味計数率とバックグラウンド計数率とを出力する計数比較手段4と、この計数比較手段4から出力された各放射線検出器の正味計数率およびバックグラウンド計数率をそれぞれ集計する計数集計手段5と、
この計数集計手段5によって集計された計数率から放射能量に換算する放射能量換算手段6と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る放射能検査装置の発明は、複数の放射線検出器1〜nを配列してなる放射線検出手段1と、この放射線検出手段1と測定対象物8との相対的な位置を変化させる搬送手段7と、前記各放射線検出器1〜nにそれぞれ接続された複数系列の放射線計数手段2と、前記搬送手段7による搬送の開始および終了の制御を行うと共に、前記放射線計数手段2による計数の開始および終了の制御を行う測定制御手段9と、前記各放射線検出器1〜nのバックグラウンド計数率から各放射線検出器1〜nの検出限界計数率を求め記憶する検出限界算出手段3と、前記各放射線検出器1〜nの正味計数率と、前記検出限界算出手段3に記憶された検出限界計数率とを比較し、正味計数率が検出限界以上もしくは越えた放射線検出器の正味計数率とバックグラウンド計数率とを出力する計数比較手段4と、
前記測定対象物の形状を予めデータベースとして記憶しておく測定対象物形状データベース10と、この測定対象物形状データベース10を参照して測定対象物の形状を指定する測定対象物形状指定手段11と、測定対象物の重量情報を入力するための重量入力手段12と、指定された測定対象物の形状をもとに、放射線検出手段の各放射線検出器のうち、測定中測定対象物に投影された放射線検出器のみの計数率を合計する計数処理手段5Aと、この計数処理手段で得られた計数率を放射能量に換算し、さらに測定対象物の重量を測定中測定対象物に投影された放射線検出器の合計の面積と測定対象空間の高さから求めた体積で除して求めた実効密度で補正する放射能量換算手段6A、とを設けたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る放射能検査装置の発明は、複数の放射線検出器1〜nを配列してなる放射線検出手段1と、この放射線検出手段1と測定対象物8との相対的な位置を変化させる搬送手段7と、前記各放射線検出器1〜nにそれぞれ接続された複数系列の放射線計数手段2と、前記搬送手段7による搬送の開始および終了の制御を行うと共に、前記放射線計数手段2による計数の開始および終了の制御を行う測定制御手段9と、前記各放射線検出器1〜nのバックグラウンド計数率から各放射線検出器1〜nの検出限界計数率を求め記憶する検出限界算出手段3と、前記各放射線検出器1〜nの正味計数率と、前記検出限界算出手段3に記憶された検出限界計数率とを比較し、正味計数率が検出限界以上もしくは越えた放射線検出器の正味計数率とバックグラウンド計数率とを出力する計数比較手段4と、
事前に求めておいた各放射線検出器に対応した位置から発生する放射線の各放射線検出器に対する寄与率を記憶しておく寄与率記憶手段30と、各放射線検出器の計数値と寄与率とからなる関係式を解くことによって各放射線検出器の真の寄与計数を求める寄与計数算出手段5Bと、各放射線検出器毎に分割した領域の放射能量を算出する放射能量算出手段6Bと、を設けたことを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項4に係る放射能検査装置の発明は、対向して設置された複数個の放射線検出手段1−1,1−2と、これら複数の放射線検出手段1−1,1−2で検出した放射線信号をそれぞれ計数する複数個の放射線計数手段2−1,2−2と、複数個の放射線計数手段2−1,2−2の計数値を集計する計数集計手段5と、複数個の放射線計数手段2−1,2−2それぞれの計数値の比率を求める比率算出手段13と、測定対象物の形状種類を入力する形状入力手段14と、予め測定対象物の形状毎に閾値を決めて記憶しておき、入力された形状情報との照合結果該当する閾値を出力する閾値記憶手段15と、前記比率算出手段13によって求められた比率と閾値記憶手段15に記憶されている閾値とを比較し、測定対象物にある放射能がスポット状か否かを判定する比率判定手段16と、事前に測定対象物形状毎に求めておいた各放射線検出手段1−1,1−2の比率とスポット状放射能の位置とを記憶しておき、入力された測定対象物の形状と照合して、該当する形状の比率対位置情報を出力する比率対位置記憶手段17と、前記比率算出手段13によって求められた比率と前記比率対位置記憶手段17の比率対位置情報とからスポット状放射能の位置を出力する放射能位置判定手段18と、前記計数集計手段2−1,2−2からの計数率を、判定された放射能の位置に応じて補正された効率を用いて放射能量に換算する放射能量換算/補正手段19と、から構成したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図を通じて共通部分には同一符号を付けて重複した説明を省くものとする。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る放射能検査装置のブロック構成図である。
図1において、本実施の形態は、複数の放射線検出器を並べることにより、バックグランドを増加させずに内面汚染に対する感度を向上させた放射能検査装置であり、以下のように構成されている。1は例えばプラスチックシンチレーション検出器やNaI(Tl)検出器(沃化ナトリウムの単結晶にタリウム(TI)を不純物として少量含むもの)などで代表されるγ線を検出する検出器(以下、放射線検出器という)を複数個(図では4個)集合し並置して構成した放射線検出手段であり、後述する放射線管理区域から搬送されてくる測定対象物8の汚染部から放射される放射線を検出する。なお、放射線検出器の数は4個に限る必要はない。
【0014】
2は例えば増幅器およびカウンタと計数値を読み出し記憶するための計算機、あるいはマルチチャンネルスケーラ等で構成した放射線計数手段であって、前記複数個設けられた放射線検出器1〜nとそれぞれ接続される複数の系統ch−1〜ch−nを構成している。
【0015】
3は前記放射線検出器1〜n毎に、事前に計測しておいたバックグラウンド放射線による計数率から検出限界計数率を求めて記憶しておくように構成した検出限界算出手段である。
【0016】
4は前記放射線計数手段2の各系統ch−1〜ch−nによる測定対象物の計数率と、前記検出限界算出手段3が記憶している検出限界計数率とを比較し、比較結果が検出限界値以上の場合のみ、計数率を出力するように構成した計数比較手段である。
【0017】
5はこの計数比較手段4の出力から検出限界値以上の系統の計数率を集計する計数集計手段であり、6はこの計数集計手段5によって集計された計数値から放射能量を算出しディスプレイ等に表示出力する放射能量換算手段である。
【0018】
また、7は測定対象物8を載置して検出部まで搬送する搬送手段であり、9はこの搬送手段7による搬送の開始および終了の制御を行うと共に、前記放射線計数手段2による計数の開始および終了の制御を行う測定制御手段である。
【0019】
次に、以上のように構成した本実施形態に係る放射能検査装置の通常時の作用について説明する。
まず、事前に測定対象物8を置かない状態で放射線検出手段1によりバックグラウンドの検出を行う。このとき放射線検出手段1を構成する4個の放射線検出器は、それぞれ検出した放射線信号を次段の放射線計数手段2の対応する系統に出力する。これによって放射線信号は各系統毎に放射線計数手段2により計数される。
【0020】
次に、このようにして計数された4系統のバックグラウンド計数率は、それぞれ検出限界算出手段3に入力され、ここで4つの系統毎に検出限界計数率が算出され、バックグラウンド計数率と検出限界計数率とが記憶される。
なお、ここで述べている検出限界計数率は、一般に用いられている下式を用いて算出する。
【0021】
【数1】
【0022】
次に、実際に測定対象物8を測定する場合を説明する。まず搬送手段7上に測定対象物8を載せ、搬送手段7を矢印方向に放射線検出手段1下部の所定位置まで移動させて測定を開始する。この状態において、放射線検出手段1の4個の放射線検出器で検出された各々の放射線信号は、前述と同様に放射線計数手段2の対応する系統に入力されて計数される。そしてこの放射線計数手段2で計測された測定対象物8の計数率は計数比較手段4に入力される。
【0023】
計数比較手段4は、4つの各系統毎に事前に検出限界算出手段3で求めておいた検出限界計数率と、測定対象物8の計数率からバックグラウンド計数率を差し引いた正味計数率とを比較し、この比較結果が検出限界計数率以上の系統のみ、正味計数率およびバックグラウンド計数率を計数集計手段5に出力する。
【0024】
この計数集計手段5は計数比較手段4から出力された正味計数率とバックグラウンド計数率とをそれぞれ集計して放射能量換算手段6に向けて出力する。ここで、計数集計手段5は4系統(ch−1〜ch−n)の正味計数率が検出限界計数率以下であった場合、4個の放射検出器のうち、検出限界計数率の1番大きい系統のバックグラウンド計数率をここで集計されたバックグラウンド計数率として出力する。
【0025】
更に次段の放射能量換算出手段6により、前段で集計された正味計数率から、検出器4個分の面積を足し合わせた面積に相当するサイズの検出器の効率を用いて総放射能量を求め、汚染密度に換算してディスプレイ等に表示出力する。
【0026】
この場合、前段で集計されたバックグラウンド計数率をもとに検出限界計数率を算出し、集計された個数分の検出器の面積を足し合わせた面積に相当するサイズの検出器の効率を用いて、検出限界放射能量に換算する。
【0027】
なお、検出限界放射能量に換算するときの効率は、各検出器の単体効率とし、測定対象物が各検出器の検出面前方(図1では各検出器の直下)にあるときの効率を用いてもよい。
【0028】
また、以上説明した実施の形態では、前記放射線検出手段1は放射線検出器を1列あたり4個並置し、これを1層だけ配列したが、放射線検出手段1は2個以上任意の数の放射線検出器を移動方向と直交する向きに一列以上に1層または多層並べた構造であれば種類は特に限定されるものではない。また、搬送手段7に測定対象物8を載せて放射線検出手段1まで移動するようにしたが、この関係を逆にして測定対象物9を静止状態にしておき、放射線検出手段1を搬送手段8によって移動させるようにしてもよい。要は相対的に移動でき、移動位置あるいは移動量を測定制御手段7で測定できるようにしておけばよい。さらに、放射線検出手段1、あるいは測定対象物8が手持ちできる場合は、搬送手段7を省略するようにしてもよい。
【0029】
以上述べたように、本実施の形態によれば、放射線検出器を複数個列状に並べて配列してなる放射線検出手段1の感度は各放射線検出器を足し合わせたサイズと同等サイズの検出器と同じになり、しかも、最小の検出限界値は個々の検出器の検出限界値となるため、バックグラウンド計数率を上昇させることなく、感度を向上させることが可能な放射能検査装置を得ことができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
図2は本発明の第2の実施の形態に係る放射能検査装置のブロック構成図である。
本実施の形態は、第1の実施の形態に改良を加えたものであり、第1の実施の形態に対して予め測定対象物の形状を記憶しておく測定対象物データベース10と、測定対象物の形状を指定しデータベースの形状データを読み出す測定対象物指定手段11と、測定対象物重量入力手段12とを新たに設け、しかも前記計数集計手段5に替えて測定中測定対象物と重なる位置の放射線検出器系統の計数を集計する計数処理手段5Aを設け、また、放射能量換算手段を6から6Aに置き替えている。その他の手段は第1の実施の形態の場合と同じである。
【0031】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
まず、事前に測定対象物8の形状、寸法および測定エリアに測定対象物8が設置されたときの配置位置や向きなどの配置情報を測定対象物データベース10に登録しておく。
【0032】
次に測定対象物8の測定を開始するとき、測定対象物指定手段11で、測定対象物データベース10に登録した測定対象物形状データを参照して、該当する測定対象物形状及び測定対象物の配置状態を操作員が選択し、計数処理手段5Aと放射能量換算手段6Aとにそれぞれ出力する。
【0033】
また、測定対象物重量入力手段12で測定対象物の重量情報を自動的に測定して放射能換算手段6Aに入力するか、または事前に測定しておいた重量情報を手動により放射能換算手段6Aに入力する。
【0034】
次に、測定対象物8からの放射線を放射線検出手段1で検出した信号を放射線計数手段2で計数し、検出限界算出手段3でバックグラウンド計数率を差し引いた正味計数率を求める。この求めた正味計数率は計数比較手段4を経て計数処理手段5Aに入力する。
【0035】
なお、検出限界算出手段3および計数比較手段4は、放射線計数手段2から出力される計数率を、事前に測定したバックグラウンド計数率で差し引くことにより正味計数を求める手段と置き換えてもよい。
【0036】
次に、計数処理手段5Aにおいて、入力された測定対象物形状データと配置状態情報とから測定中に測定対象物と重なる部分の検出器を求め、該当する検出器のみの計数率を合計し、放射能量算出手段6Aに出力する。
【0037】
測定対象物8は矢印方向に進行しながら放射線計測手段1によって測定されるようになっており、その放射線計測手段1は測定対象物8の上方に、しかもその進行方向と直交する方向に検出器を4個一直線状に並べて配置している。本実施例の場合、図2から分かるように、測定対象物8は放射線検出手段1の中央部すなわち検出器2と3の間に測定対象物8の中心が位置するように搬送装置7によって搬送される。この場合、検出手段1の投影部と測定対象物8とが重なるのは中央のハッチングに示す検出器2および3の2個分となるが、進行方向に測定対象物8を全てカバーして測定した場合は、破線で示した12(3×4)区画のうち、中央部6区画が重なる。したがってこの図2の例では、6区画分に相当する計数結果を合計する。
【0038】
なお、放射線検出手段1の放射線検出器の数、放射線検出手段1と測定対象物8の位置関係、放射線検出手段1の放射線検出器の個数と列数は特に限定する必要は特にない。
【0039】
後段の放射能量算出手段6Aでは、まず、入力された測定対象物形状データと配置状態情報から、先に例で示したように、測定中、測定対象物上と重なる部分の検出器を求め、該当する検出器の放射線検出面面積の合計と測定対象物の高さから測定空間の体積を算出する。ここで、測定対象物の高さは、測定対象物から検出器の放射線検出面までの距離を含んでもよい。
【0040】
次に、入力された測定対象物8の重量を算出した体積で除することにより実効密度を算出する。更に、事前に、密度ρ毎の効率を校正して記憶しておき、該当する密度ρに対応した効率を参照して、計数率から放射能量へ換算する。ここで、該当する密度ρに対応した効率を持たない場合は、記憶している密度ρと効率のデータとから、中間値を補完して効率を算出し、放射能量へ換算する。これ以外に、事前に放射能量を求める関数f(計数率、ρ)を求めておき、ρに上述の実効密度を指定することで放射能量を求めるようにしてもよい。
【0041】
以上述べたように、本実施の形態によれば、測定対象物の形状と配置状態を指定し、測定対象物近傍の検出器を用いて測定と評価とを行うことにより、より正確な効率を求めることができるため、測定対象物の形状や配置による測定誤差を小さくすることが可能な放射能検査装置を提供することができる。
【0042】
(第3の実施の形態)
図3は本発明の第3の実施の形態に係る放射能検査装置のブロック構成図である。
本実施の形態の構成は、前述した第1の実施の形態とは基本的な構成は同じであるが次の点で相違している。すなわち、本実施の形態は、第1の実施の形態における計数集計手段5および放射能量換算手段6に替えて、放射線検出器毎に区分された領域から発生した放射線の寄与率を記憶しておく寄与率記憶手段30と、各検出器の計数率と寄与率からなる関係式(連立方程式)を解いて各放射線検出器の真の寄与計数率を求める寄与計数算出手段5Bと、放射線検出器毎に区分された領域の放射能量を算出する放射能量算出手段6Bとを設けたものである。
【0043】
次に本実施の形態の作用について説明する。
まず、事前に、各放射線検出器に対応して4個の測定領域を区分しておき、その領域毎に放射能があった場合の各検出器の感度または寄与率を、全ての領域について求めておく。領域中の放射能の形状は、点状、面状、体積状のいずれでも良く、校正用線源を用いた測定によるかシミュレーション計算により、各領域に線源が配置されたときの各検出器の寄与率を、測定対象物8を模擬した密度毎に求め、寄与率記憶手段30に記憶しておく。
【0044】
次に、測定対象物8の測定を開始し、各検出器毎にn個の系統の計数率を得る。寄与計数算出手段30において、各放射線検出器の計数率と寄与率からなる連立方程式を解くことにより、各検出器の真の寄与計数率が求まる。以下の説明は放射線検出器が4個の場合の例を示す。
【0045】
計算または校正で求めた寄与率をk1、k2、k3、k4とする。
測定対象物の計数値を、M1、M2、M3、M4とする。
各測定領域の真の寄与計数値をX1、X2、X3、X4とする。
【0046】
このときの連立方程式は以下のとおりとなる。
M1=k1×X1+k2×X2+k3×X3+k4×X4
M2=k1×X1+k2×X2+k3×X3+k4×X4
M3=k1×X1+k2×X2+k3×X3+k4×X4
M4=k1×X1+k2×X2+k3×X3+k4×X4
以上の連立方程式を解くことで、X1〜X4が求まる。なお、上の例では4個1列の検出器で示したが、例えば、測定対象物を中心に上下に放射線検出手段を配置してもよく、個数、配列は特に限定されるものではない。
【0047】
寄与計数算出手段5Bで求められた各領域の計数率は後段の放射能量算出手段6Bに入力される。また、上述の寄与率を用いた校正測定を行い、算出した各検出器の効率を事前に求めておき、放射能量算出手段6Bに記憶しておく。
【0048】
以上述べたように本実施の形態によれば、各領域毎の放射能量を算出することで、汚染の形状による測定誤差を小さくすることが可能な放射能検査装置を提供することができる。
【0049】
(第4の実施の形態)
図4は本発明の第4の実施の形態の放射能検査装置のブロック構成図である。
本実施の形態は、配管や弁などのように左右(上下)対照な形状をした測定対象物の汚染検出をするのに適した放射能検査装置であり、以下の手段から構成されている。図4において、1−1、1−2は測定対象物8を挟む位置に対向して配置された放射線検出手段であり、2−1、2−2はそれぞれの放射線測定手段1−1、1−2から出力された検出信号を計数する放射線計数手段である。5は放射線計数手段2−1および2−2の計数値の双方を入力し集計する計数集計手段である。
【0050】
13は放射線計数手段2−1および2−2双方の計数値の比率を算出する比率算出手段、14は測定対象物の種類、形状を入力する形状入力手段、15は事前に決めておいた測定対象物の形状毎の閾値を記憶しておき、形状入力手段6で入力された形状情報を参照して該当する閾値を出力する閾値記憶手段である。
【0051】
16はこの閾値記憶手段15から出力された閾値と、比率算出手段13から出力された比率とを比較し、13で算出された比率が15の閾値を超えた場合放射能がスポット状に汚染していると判定する比率判定手段である。
【0052】
17は事前に測定対象物8A形状毎に比率対放射能位置を求めて記憶しておき、前記形状入力手段14から出力された形状データを参照し、該当する比率対放射能位置を出力する比率対位置記憶手段であり、18は前段の比率判定手段16でスポット汚染であると判定された場合、入力された比率と比率対放射能位置情報から、放射能の位置を求める放射能位置判定手段である。
【0053】
19は計数集計手段5から出力された計数率を、放射能位置判定手段18から出力された放射能位置情報に基づく補正された効率で放射能量に換算する放射能量換算/補正手段である。
【0054】
次に本実施の形態の作用について説明する。
本実施の形態の場合、測定対象物8の両側に2台の放射線検出手段1−1、1−2を対照的に設置することによって放射能検査を行うように構成したので、測定対象物8が配管や弁など左右(または上下)の形状が対称的な物で放射能が均一に分布している場合は両側の検出器ともほぼ同一の計数値となる。しかしスポット状の放射能の場合は、どちらかに偏るため、各放射線検出手段1−1、1−2の計数率の比率を求め、事前に決めておいた閾値と比較し、比率がある範囲にあるときは均一分布、閾値から外れた比率の場合はスポット状と判定する。
【0055】
ここで閾値とは、スポット状として評価するための計数率の偏りの限界値を意味しており、測定対象物11の形状及び各放射線検出手段1−1、1−2の感度差、および判定しようとするスポット放射能の分布サイズにより異なるため、事前に校正を行うか、シミュレーション計算により任意の値を決めておく必要がある。
【0056】
まず、対向した放射線検出手段1−1、1−2で検出された放射線信号は、それぞれに接続されている放射線計数手段2−1、2−2で計数され、計数集計手段5と、比率算出手段13とにそれぞれ出力される。計数集計手段5では、入力されたそれぞれの計数について、事前に測定しておいたバックグラウンド計数率を差し引いた正味計数率の合計計数率を求め、放射能量換算/補正手段19に出力する。
一方、比率算出手段13では、それぞれの正味計数率から比率を算出する。ここで正味計数率は、計数集計手段5で求めてもよい。
【0057】
形状入力手段14では、測定対象物8の形状データについて、操作員が手動で入力するか、自動で入力される。閾値記憶手段15では、前段で入力された形状情報と、事前に記憶させておいた形状毎の閾値とを照合し、該当する閾値を比率判定手段16に出力する。
【0058】
この比率判定手段16は、入力された比率と閾値とを比較し、比率が閾値から外れた場合はスポット状と判定し、後段の放射能位置判定手段18に比率を出力する。また、比率対位置記憶手段17は、事前に記憶させておいた形状毎の比率対放射能位置データと、入力された形状データとを照合し、該当する比率対放射能位置情報を放射能位置判定手段18に出力する。
【0059】
この放射能位置判定手段18は、入力された比率と比率対放射能位置情報とから測定対象物8にあるスポット状放射能の位置を判定し、放射能量換算/補正手段19に出力する。この放射能量換算/補正手段19は、入力された正味計数率に対し、比率判定手段8でスポット状と判定され、放射能位置判定手段18から、放射能位置情報が出力されている場合は、放射能位置で補正された効率を用いて放射能量に換算し、そうでない場合は、事前に決めておいた条件での効率を用いて放射能量に換算する。
【0060】
以上述べたように、本実施の形態によれば、対称的な形状をした径の大きい厚みのある配管等の測定対象物8にスポット状の放射能が存在する場合、検出器の前面直前にある場合と、対向した検出器間の中央にある場合では効率の差が大きくなってしまい、一律の効率を用いて放射能量に換算すると誤差が大きくなってしまうが、いずれか一方の検出器に計数率が大きく偏る場合は、これをスポット状と判定し、更にスポット状放射能の位置を推定し補正することで、測定位置による測定誤差を小さくすることが可能である。
【0061】
(第5の実施の形態)
図5は本発明の第5の実施の形態の放射能検査装置の一部を示すブロック構成図である。
本実施の形態は、測定対象物の形状により放射線検出手段の位置が変化しても、ある基準位置のバックグラウンドを測定位置で補正することにより、より正確な放射能量を求めることができるようにした放射能検査装置であり、対向して配置した一対の放射線検出手段1−1、1−2のうち、一方の放射線検出手段1−1の位置を位置設定手段20によって移動可能に取り付けている。
【0062】
21は、予め測定対象物8の測定前に、基準となる任意の位置でのバックグラウンドを測定し記憶しておく基準バックグラウンド記憶手段である。22は、放射線検出手段1−1の位置を変更したときのバックグラウンドあるいはバックグラウンドの変化量を記憶しておくバックグラウンド補正値記憶手段である。
【0063】
23は、測定対象物8測定時の放射線検出手段1−1の位置におけるバックグラウンドの変化量をバックグラウンド補正値記憶手段22から照合して読み出し、バックグラウンド記憶手段21から読み出した基準位置のバックグラウンドを、測定位置相当のバックグラウンドに補正するバックグラウンド補正手段である。
【0064】
次に本実施の形態の作用について説明する。
まず、予め基準となる放射線検出手段1の位置でのバックグラウンドを計測しておきその値を記憶しておく。この位置は任意でよい。
【0065】
図5の例では、位置設定手段20に接続によって駆動される上側の放射線検出手段1−1が矢印方向に上下動することを表している。なお、放射線検出手段1の個数、移動する向きは限定しない。
【0066】
また、事前に放射線検出手段1−1の位置を変えたときのバックグラウンド計数率、あるいはバックグラウンド計数率の変化量、あるいは原点となるような特定の位置でのバックグラウンド計数率との比率をバックグラウンド補正値記憶手段22に記憶しておく。
【0067】
次に、測定対象物8の測定において、測定形状に応じて位置設定手段6にて放射線検出手段1−1の位置を手動あるいは自動で変化させ、位置情報をバックグラウンド補正手段23に出力する。なお、このときの位置情報は、位置設定手段20に対する設定値か、あるいは実測された位置測定値のいずれでもよい。
【0068】
バックグラウンド補正手段24では、入力された放射線検出手段1−1の位置情報をもとに、バックグラウンド補正値記憶手段22から、該当する位置でのバックグラウンド補正情報を参照し、基準バックグラウンド記憶手段21から読み出した基準位置でのバックグラウンド計数率を、測定位置相当のバックグラウンド計数率に補正する。
【0069】
以上述べたように本実施の形態によれば、測定対象物の形状により放射線検出手段の位置が変化しても、ある基準位置のバックグラウンドを測定位置で補正することにより、より正確な放射能量を求めることが可能である。
【0070】
(第6の実施の形態)
図6は本発明の第6の実施の形態の放射能検査装置の一部を示すブロック構成図である。
本実施の形態は、測定対象物の重量が変化しても、重量によりバックグラウンドを補正して、より正確な放射能量を求めることができるようにした放射能検査装置である。本実施の形態は前記第5の実施の形態に類似の構成を採用しているが、移動可能な放射線検出手段1−1を設けず、さらに位置設定手段20に代えて重量入力手段12を設けてその重量信号をバックグラウンド補正手段23に入力するように構成しており、その他の手段は第5の実施の形態と同じである。
【0071】
次に本実施の形態の作用を説明する。
予め、基準となる測定対象物重量でのバックグラウンドを計測し、その値を記憶しておく。このときの重量は任意でよいが、通常は何も置かない状態でのバックグラウンドを測定する。
【0072】
また、事前に、測定対象物の重量を変えたときのバックグラウンド計数率、あるいはバックグラウンド計数率の変化量、あるいは、例えば原点となるような重量でのバックグラウンド計数率との比率を、バックグラウンド補正値記憶手段22に記憶しておく。
次に、測定対象物8の測定において、重量入力手段12で自動あるいは手動で重量情報を入力し、バックグラウンド補正手段23に入力する。
【0073】
バックグラウンド補正手段23では、入力された測定対象物8の重量情報をもとに、バックグラウンド補正値記憶手段22から、該当する位置でのバックグラウンド補正情報を参照し、基準バックグラウンド記憶手段21から読み出した基準重量でのバックグラウンド計数率を、測定対象物重量相当のバックグラウンド計数率に補正する。
【0074】
本実施の形態によれば、測定対象物の重量が変化しても、重量によりバックグラウンドを補正するようにしたので、より正確な放射能量を求めることが可能な放射能検査装置を提供することができる。
【0075】
(第7の実施の形態)
図7は本発明の第7の実施の形態の放射能検査装置のブロック構成図である。本実施の形態は、スポット状放射線の場合であっても、測定対象物全体の計測で平均化されることがなく表面汚染密度測定の感度を向上させることができるようにした放射能検査装置であり、次の手段によって構成されている。
【0076】
すなわち、放射線検出手段1が検出した放射線信号を任意の一定面積毎に計数する放射線計数手段2と、放射線検出手段1が一定面積毎に放射線を検出できるように、測定対象物8を移動させる搬送手段7と、搬送手段7による測定対象物8の移動にあわせて放射線計数手段2が一定面積分毎に計数を行いその値を出力できるように制御するための測定制御手段9と、一定面積毎の計数率から事前に測定したバックグラウンド計数率を差し引いた正味計数を求め、更に各正味計数率の中から最大の計数率を選択し出力する最大計数選択手段24と、出力された最大計数率から放射能量あるいは表面汚染密度を求める放射能量換算手段6とから放射能検査装置を構成している。
【0077】
次に本実施の形態の作用について説明する。
例えば放射線検出手段1が測定対象物8上を走査しながら測定する場合、搬送手段7により測定対象物8が放射線検出手段1に対し一定の距離を移動する毎に、放射線計数手段2により計数される。
【0078】
このとき放射線計数手段2は、測定制御手段9からの計数開始の信号を受けて計数を開始し、更に搬送手段5が一定の距離測定対象物7を移動させた後、測定制御手段6からの計数終了信号を受けて計数を終えることにより、一定距離移動分の計数を行う。
【0079】
なお、この場合移動速度を任意の一定速度とし、一定距離移動に相当する時間だけ放射線計数手段2で計数してもよいし、測定対象物7を固定して搬送手段6で放射線検出手段1を移動させるようにしてもよい。
【0080】
各距離毎に計数した計数値が一定面積毎の計数となり、後段の最大計数算出手段3へ出力される。最大計数算出手段3では、各距離毎の計数群の中から最大の正味計数率となる値を求めて放射能量換算手段4に出力する。
【0081】
放射能量換算手段4では、入力された最大正味計数率から、一定面積あたりの効率を用いて放射能量を算出する。なお、放射線検出手段1が測定対象物7上を測定するとき、放射線検出手段1の放射線検出面毎に分割静止測定する場合にも適用でき、この場合は、放射線検出面毎の正味計数率の最大値を求める。
【0082】
以上述べたように本実施の形態によれば、測定対象物中で放射能レベルの一番高いところが最大汚染密度であることから、測定対象物の測定結果の中から最大計数値を用いることで最大汚染密度を計測することになるため、スポット状放射能の場合、測定対象物全体の計測で平均化されることがなく、したがって表面放射能汚染密度測定の感度を向上させることのできる放射能検査装置を提供することができる。
【0083】
(第8の実施の形態)
図8は本発明の第8の実施の形態の放射能検査装置のブロック構成図である。
本実施の形態は、測定対象物の形状および位置情報を操作員が簡易に目視情報を用いて入力することを可能にした放射能検査装置である。
【0084】
本実施の形態は、放射線検出手段1の上部に設置したCCDカメラなどに代表される画像入力手段25により搬送手段7に設置された測定対象物8全体の画像を撮影し、この画像情報をタッチパネル等の画像表示/形状指定手段26上で任意の区画線と重ね合せて選択可能に表示させ、そして操作員によって選択された区画情報を測定対象物9の形状情報および設置位置情報として、計数処理/放射能量換算手段27に入力し、この計数処理/放射能量換算手段27で放射線計数を放射能量に換算すると共に、重量入力手段12から入力された重量情報と画像表示/形状指定手段26から入力された形状情報とによって補正を行うように構成したものである。
【0085】
次に本実施の形態について説明する。測定対象物8が搬送手段7に設置された状態にあるとき、画像入力手段25により、測定対象物9の画像を放射線検出手段1が測定を行う全体をカバーして撮影する。なお、測定対象物9の位置を固定して、放射線検出手段1を搬送手段8が移動させるような構成の場合は、測定対象物8が測定位置にあるとき、放射線検出手段1が測定を行う全体をカバーして撮影する。
【0086】
撮影された画像は、画像表示/形状指定手段26に、任意に区画された区画線と重ね合せて表示される。区画の大きさは、事前に、後段で処理する面積などを基に任意の寸法を決めておけばよい。また色による区分など、区画の位置がわかる表示であれば特に区画線を表示する必要はない。
【0087】
画像表示/形状指定手段26はタッチパネルで構成されているので、操作員は目視により測定対象物8の画像と重なっている区画部分に指やライトペンで触れることにより区画を選択する。なお、タッチパネルは通常の表示用ディスプレイと、マウスなどに代表されるポインティングデバイスに置き換えてもよい。
【0088】
以上のようにして区画が選択されると、区画情報は測定対象物8の形状情報および設置位置情報として計数処理/放射能量換算手段27に出力される。また、画像情報の入力以外に重量入力手段12にて手動あるいは自動で入力された重量情報も計数処理/放射能量換算手段27に入力される。
【0089】
次に、測定制御手段9により制御された放射線計数手段2で放射線検出手段1からの放射線信号を計数し、この計数結果を計数処理/放射能量換算手段27に出力する。計数処理/放射能換算手段27では、入力された計数から正味計数率を求め、測定対象物8の形状情報、位置情報および重量情報によって補正した放射能量を算出する。
【0090】
以上述べたように本実施の形態によれば、測定対象物の形状および位置情報を、操作員が簡易に目視情報を用いて入力することが可能な放射能検査装置を得ることができる。
【0091】
(第9の実施の形態)
図9は本発明の第9の実施の形態の放射能検査装置のブロック構成図である。
本実施の形態は、第8の実施の形態の一部を変更したもので、図9で示すように、画像表示/形状指定手段26の代わりに、事前に測定対象物の形状が記憶されている形状データベース28と、入力された画像と形状データベース28とを照合して、測定対象物8の形状、種類、および設置位置を識別し出力する形状識別手段29とを設けた構成としている。その他は図8と同じである。
【0092】
次に本実施の形態の作用について説明する。
本実施の形態の場合も、画像入力手段25により放射線検出手段1が測定を行う全体をカバーして撮影する。撮影された画像は、形状識別手段29に入力されて形状データベース28のデータと照合され、該当する形状および種類、設置位置情報を識別し、計数処理/放射能量換算手段27に出力する。また、画像情報の他に、重量入力手段6にて手動あるいは自動で入力された重量情報も計数処理/放射能量換算手段27に出力される。
【0093】
次に、測定制御手段9に制御された放射線計数手段2にて、放射線検出手段1からの放射線信号を計数し、計数処理/放射能量換算手段27に出力する。計数処理/放射能換算手段27では、入力された計数から正味計数率を求め、測定対象物8の形状情報および位置情報と重量情報から補正した放射能量を算出する。
【0094】
以上述べたように本実施の形態によれば、測定対象物の形状種類等を自動的に認識し入力することで、操作員の手間を軽減し、操作ミスを防ぐことが可能な放射能検査装置を提供することができる。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、放射線検出手段の感度は、複数個の放射線検出器を足し合わせたサイズと同等サイズの検出器の感度と同じになり、しかも、最小の検出限界値は個々の検出器の検出限界値となるため、バックグラウンド計数率を上昇させることなく、感度を向上させることが可能な放射能検査装置を得ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の放射能検査装置を示すブロック構成図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の放射能検査装置を示すブロック構成図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の放射能検査装置を示すブロック構成図。
【図4】本発明の第4の実施の形態の放射能検査装置を示すブロック構成図。
【図5】本発明の第5の実施の形態の放射能検査装置の1部を示すブロック構成図。
【図6】本発明の第6の実施の形態の放射能検査装置の1部を示すブロック構成図。
【図7】本発明の第7の実施の形態の放射能検査装置を示すブロック構成図。
【図8】本発明の第8の実施の形態の放射能検査装置を示すブロック構成図。
【図9】本発明の第9の実施の形態の放射能検査装置を示すブロック構成図。
【符号の説明】
1−1,1−2…放射線検出手段、2,2−1,2−2…放射線計数手段、3…検出限界算出手段、4…計数比較手段、5…計数集計手段、6…放射能量換算手段、7…搬送手段、8…測定対象物、9…測定制御手段、10…測定対象物データベース、11…測定対象物指定手段、12…重量入力手段、13…比率算出手段、14…形状入力手段、15…閾値記憶手段、16…比率判定手段、17…比率対位置記憶手段、18…放射能位置判定手段、19…放射能量換算/補正手段、20…位置設定手段、21…基準バックグラウンド記憶手段、22…バックグラウンド補正値記憶手段、23…バックグラウンド補正手段、24…最大計数選択手段、25…画像入力手段、26…画像表示/形状指定手段、27…計数処理/放射能換算手段、28…形状データベース、29…形状識別手段、30…寄与率記憶手段。
Claims (9)
- 複数の放射線検出器を配列してなる放射線検出手段と、
この放射線検出手段と測定対象物との相対的な位置を変化させる搬送手段と、
前記各放射線検出器にそれぞれ接続された複数系列の放射線計数手段と、
前記搬送手段による搬送の開始および終了の制御を行うと共に、前記放射線計数手段による計数の開始および終了の制御を行う測定制御手段と、
前記各放射線検出器のバックグラウンド計数率から各放射線検出器の検出限界計数率を求め記憶する検出限界算出手段と、
前記各放射線検出器の正味計数率と、前記検出限界算出手段に記憶された検出限界計数率とを比較し、正味計数率が検出限界以上もしくは越えた放射線検出器の正味計数率とバックグラウンド計数率とを出力する計数比較手段と、
この計数比較手段から出力された各放射線検出器の正味計数率およびバックグラウンド計数率をそれぞれ集計する計数集計手段と、
この計数集計手段によって集計された計数率から放射能量に換算する放射能量換算手段と、
を備えたことを特徴とする放射能検査装置。 - 複数の放射線検出器を配列してなる放射線検出手段と、
この放射線検出手段と測定対象物との相対的な位置を変化させる搬送手段と、
前記各放射線検出器にそれぞれ接続された複数系列の放射線計数手段と、
前記搬送手段による搬送の開始および終了の制御を行うと共に、前記放射線計数手段による計数の開始および終了の制御を行う測定制御手段と、
前記各放射線検出器のバックグラウンド計数率から各放射線検出器の検出限界計数率を求め記憶する検出限界算出手段と、
前記各放射線検出器の正味計数率と、前記検出限界算出手段に記憶された検出限界計数率とを比較し、正味計数率が検出限界以上もしくは越えた放射線検出器の正味計数率とバックグラウンド計数率とを出力する計数比較手段と、
前記測定対象物の形状を予めデータベースとして記憶しておく測定対象物形状データベースと、
この測定対象物形状データベースを参照して測定対象物の形状を指定する測定対象物形状指定手段と、
測定対象物の重量情報を入力するための重量入力手段と、
指定された測定対象物の形状をもとに、放射線検出手段の各放射線検出器のうち、測定中測定対象物に投影された放射線検出器のみの計数率を合計する計数処理手段と、
この計数処理手段で得られた計数率を放射能量に換算し、さらに測定対象物の重量を測定中測定対象物に投影された放射線検出器の合計の面積と測定対象空間の高さから求めた体積で除して求めた実効密度で補正する放射能量換算手段、
とを設けたことを特徴とする放射能検査装置。 - 複数の放射線検出器を配列してなる放射線検出手段と、
この放射線検出手段と測定対象物との相対的な位置を変化させる搬送手段と、
前記各放射線検出器にそれぞれ接続された複数系列の放射線計数手段と、
前記搬送手段による搬送の開始および終了の制御を行うと共に、前記放射線計数手段による計数の開始および終了の制御を行う測定制御手段と、
前記各放射線検出器のバックグラウンド計数率から各放射線検出器の検出限界計数率を求め記憶する検出限界算出手段と、
前記各放射線検出器の正味計数率と、前記検出限界算出手段に記憶された検出限界計数率とを比較し、正味計数率が検出限界以上もしくは越えた放射線検出器の正味計数率とバックグラウンド計数率とを出力する計数比較手段と、
事前に求めておいた各放射線検出器に対応した位置から発生する放射線の各放射線検出器に対する寄与率を記憶しておく寄与率記憶手段と、
各放射線検出器の計数値と寄与率とからなる関係式を解くことによって各放射線検出器の真の寄与計数を求める寄与計数算出手段と、
各放射線検出器毎に分割した領域の放射能量を算出する放射能量算出手段と、を設けたことを特徴とする放射能検査装置。 - 対向して設置された複数個の放射線検出手段と、
これら複数の放射線検出手段で検出した放射線信号をそれぞれ計数する複数個の放射線計数手段と、
複数個の放射線計数手段の計数値を集計する計数集計手段と、
複数個の放射線計数手段それぞれの計数値の比率を求める比率算出手段と、
測定対象物の形状種類を入力する形状入力手段と、
予め測定対象物の形状毎に閾値を決めて記憶しておき、入力された形状情報との照合結果該当する閾値を出力する閾値記憶手段と、
前記比率算出手段によって求められた比率と閾値記憶手段に記憶されている閾値とを比較し、測定対象物にある放射能がスポット状か否かを判定する比率判定手段と、
事前に測定対象物形状毎に求めておいた各放射線検出手段の比率とスポット状放射能の位置とを記憶しておき、入力された測定対象物の形状と照合して、該当する形状の比率対位置情報を出力する比率対位置記憶手段と、
前記比率算出手段によって求められた比率と前記比率対位置記憶手段の比率対位置情報とからスポット状放射能の位置を出力する放射能位置判定手段と、
前記計数集計手段からの計数率を、判定された放射能の位置に応じて補正された効率を用いて放射能量に換算する放射能量換算/補正手段と、
から構成したことを特徴とする放射能検査装置。 - 前記放射線検出手段の位置を可変して設定することのできる位置設定手段と、
事前に求めておいた放射線検出手段の基準となる位置でのバックグラウンドを記憶しておく基準バックグラウンド記憶手段と、
事前に求めておいた放射線検出手段の位置が変化したときのバックグラウンドの変化量を記憶しておくバックグラウンド補正値記憶手段と、
基準位置で事前に測定したバックグラウンドを測定対象物の測定位置でのバックグラウンドに補正するバックグラウンド補正手段と、
を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放射能検査装置。 - 前記測定対象物の重量情報を入力するための重量入力手段と、
事前に基準となる測定対象物重量情報でのバックグラウンド測定値を記憶しておく基準バックグラウンド記憶手段と、
事前に対象物重量が変化したときのバックグラウンドの変化量を記憶しておくバックグラウンド補正値記憶手段と、
基準重量でのバックグラウンドを測定対象物の重量のバックグラウンドに補正するバックグラウンド補正手段と、
を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放射能検査装置。 - 前記放射線検出手段が一定の面積ずつ測定対象物を計測定できるように搬送手段と放射線計測手段の制御を行うための測定制御手段と、
一定面積ごとに放射線を計数する放射線計数手段と、
一定面積ごとに計数した計数値群の中から最大の計数率を求める最大計数選択手段と、
最大計数率を用いて一定面積あたりの効率から求めた放射能量を評価単位面積で除することにより最大表面放射能汚染密度を算出する放射能量換算手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の放射能検査装置。 - 前記測定対象物の画像を入力する画像入力手段と、
入力した測定対象物の画像を任意の区画表示と重ね合せて表示させるとともに、各区画を選択可能に構成し、任意の区画が選択されたときに、当該区画情報を測定対象物の形状情報および設置位置情報として出力する画像表示/形状指定手段と、
前記放射線計数手段から入力された計数から正味計数率を求め、かつこの正味計数率を前記画像表示/形状指定手段および重量入力手段からそれぞれ入力した測定対象物の形状情報、設置位置情報および重量情報により補正して放射能量を算出する計数処理/放射能量換算手段と、
を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の放射能検査装置。 - 測定対象物の画像を入力する画像入力手段と、
事前に測定対象となる物の種類と形状を記憶しておく形状データベースと、
入力された画像から形状を識別し、形状データベースを参照して該当する測定対象物の種類と形状を出力する形状識別手段と、
前記放射線計数手段から入力された計数から正味計数率を求め、かつこの正味計数率を前記形状識別手段および重量入力手段からそれぞれ入力した測定対象物の形状情報、設置位置情報および重量情報により補正して放射能量を算出する計数処理/放射能量換算手段と、
を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の放射能検査装置。
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