JP2005048181A - 酸化セリウム研磨材の製造方法及び得られる酸化セリウム研磨材 - Google Patents

酸化セリウム研磨材の製造方法及び得られる酸化セリウム研磨材 Download PDF

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Abstract

【課題】 研磨性能の安定した研磨材を提供する。
【解決手段】 フッ素の含有量が10〜500質量ppmの炭酸セリウムを原料として使用した酸化セリウム研磨材の製造方法において、粒成長促進元素であるフッ素の存在量に応じて焼成温度を調節することにより安定した品質の研磨材用酸化セリウムを製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は半導体平坦化加工用の高純度酸化セリウム研磨材の製造方法及び得られる酸化セリウム研磨材に関する。
半導体の平坦化プロセスにおいて高純度酸化珪素を使用した研磨材が従来から使用されているが、近年、高純度酸化セリウム研磨材を使用した平坦化プロセスが増えている。酸化セリウムは酸化珪素質研磨材と比較して加工速度が高く、また、幅広いpH域で安定なスラリーを調整できるため添加剤の選択肢が広いという利点がある。
しかし、酸化セリウムの欠点として、従来から使用されている酸化珪素質研磨材と比較してスクラッチが入りやすいこと、また酸化セリウム研磨材の研磨性能がシリカ系の研磨材と比較して安定しないといった問題がある。
高純度酸化セリウム研磨材は炭酸セリウム、モノオキシ炭酸セリウム、蓚酸セリウム等の高純度の原料を焼成することにより製造される。炭酸セリウムを原料として使用した例として特許文献1に記載がある。硝酸塩、塩化物等の可溶性セリウム化合物から水酸化物を合成し、焼成、粉砕、分級することによっても酸化セリウム研磨材が製造されている。
炭酸セリウム、モノオキシ炭酸セリウム、蓚酸セリウム等の難溶性セリウム塩は硝酸塩、塩化物等の三価の水溶性セリウム塩を原料として製造される。アルカリ金属、アルカリ土類金属、セリウムを除く希土類金属、遷移元素等の元素は複塩析出、溶媒抽出、イオン交換等の化学操作を経て除去される。炭酸セリウム等の難溶性セリウム塩の純度は原料である可溶性セリウム塩の純度で決定される。現在では金属イオン不純物の濃度が100ppm以下の炭酸セリウムは市場から入手可能である。
酸化セリウム研磨材の研磨性能に影響を与える大きな因子として、酸化セリウムの結晶性がある。酸化セリウムの結晶性に影響を与える因子としては、焼成時の最高温度、保持時間、昇温速度等がある。焼成温度が高いと一次粒子径が著しく大きくなり、スクラッチの原因となる。逆に焼成温度が低いと大きな比表面積を有することから付着、凝集の原因となる。
炭酸セリウムを原料として用いて酸化セリウム研磨材を製造する際に、上記の焼成条件はきわめて狭いものとなる。炭酸セリウムの結晶形態、純度は製造元や製造ロット毎に異なっており、最適な焼成条件は変動する。焼成条件は逐次調整が必要であり、酸化セリウム研磨材の品質変動の主たる原因である。
従来技術においては、フッ素を積極的に導入する酸化セリウム研磨材の報告が多数なされている。例えば特許文献2においては、原料とフッ素成分含有溶液を混合してスラリー状態にすることにより該スラリー中の原料を粉砕する工程を有することを特徴とするセリウム系研磨材の製造方法が記載されている。また、電子材料用ガラス基板研磨用途ではフッ素成分濃度が0.01重量%〜1.0重量%のものが好適であるとの記述がなされている。しかし、該公報で示されているフッ素の効果は、原料粉砕時の粗大粒子低減効果であり、焼成時におけるフッ素による酸化セリウムの粒子成長に与える影響に関する記述がなされていない。
また、特許文献3では、フッ素の含有量が0.1%以上で、全希土酸化物含有量中のCeOの含有量が30%以上の組成を有し、Lnの形態の酸化物を安定相とするSc,Y,La等の希土類元素を、フッ素に対してLnFを形成するのに必要な量以上又はLnOFを形成するのに必要な量以上にし、すべての上記希土類元素の酸化物換算量を全希土酸化物中で70%以下とするセリウム系研磨材とするという記述がなされている。しかし、該公報において、フッ素の効果は3価の希土類元素との量的関係について記載されているものの、その効果については3価の希土類のフッ化物化あるいはオキシフッ化物化による軽希土類酸化物の水和防止であり、3価の希土類元素の含有量が極端に少ない高純度酸化セリウムで問題にするフッ素の影響とは本質的に異なる。
また、特許文献4も同様であり、軽希土類をフッ素化することを特徴とするものであるが、趣旨としては特許文献3と同一である。
特許文献5には、フッ素成分を含有し、かつLaおよびNdをCeに対して0.5原子%以上含有し、比表面積が12m2/g以下の研磨材の品質検査方法に関する記述がある。この公報ではフッ素量と温度の関係が記述されているが、La,Ndの含有量が多く、かつフッ素が多い場合の現象に関する記述であり、Laの含有量が通常0.01%を下回る高純度酸化セリウムに特有の粒成長については記述がない。
さらに特許文献6では酸化セリウム含量/全希土類含量が95%以上であることを特徴とする研磨材であり、かつフッ素含量が1重量%以下である研磨材の例が挙げられている。実施例において750℃の焼成が記載されているが、0.05%(500ppm)以下の微量のフッ素量と最適焼成条件の関係については何ら記載がなされていない。
半導体研磨加工用途に使用される酸化セリウム研磨材は、従来技術で供されるセリウム研磨材と比較して金属不純物が極めて厳しいものであり、その品質に耐えうる原料としては触媒用に使用される高純度炭酸セリウムが転用される例が多い。そのため、フッ素を除去した炭酸セリウム、あるいはフッ素量が管理されていない炭酸セリウムが用いられている。
特許文献1では炭酸セリウムの粒径を規定して広範囲の粒子径を規定している。焼成温度として600℃以上900℃以下と広範囲に範囲を規定している。しかし、半導体研磨材用酸化セリウムを焼成により得る場合はさらに狭い範囲での焼成温度の管理が必要である。さらに、そのような狭い範囲での品質管理の上で、不純物元素としてのフッ素が与える影響については何ら記述がなされていない。高純度炭酸セリウムの従来の用途ではフッ素の存在は問題と考えられなかったためである。
特開平11−181404号公報 特開2002−327171号公報 特開2003−27044号公報 特開平9−183966号公報 特開2002−97458号公報 特開2001−89748号公報
従来、原料炭酸セリウム中のフッ素については、低級品の酸化セリウム研磨材では存在してもよく多量に含まれている原料が使用されているが、高品質の酸化セリウム研磨材を製造するためにはフッ素は極力存在しないことが望ましい。しかし、フッ素が原料に微量に存在することがあっても、その存在は無視されて純粋な炭酸セリウムとして焼成されていた。その結果、得られる酸化セリウムの品質が安定しなかった。
本発明では、炭酸セリウムを原料として使用する酸化セリウム研磨材の製造において、炭酸セリウムの焼成における変動原因を検討し、安定した品質の酸化セリウム研磨材の製造方法を提供することを目的とする。
炭酸セリウム中に含まれるフッ素が結晶成長に影響することを突き止め、フッ素の含有量に応じて焼成条件を調整することにより焼成に起因する結晶性の変動が抑制されることを見出した。本発明に記載の製造方法により、フッ素を含有する炭酸セリウムを原料として使用して品質の安定した研磨材を提供することが達成される。
こうして、本発明によれば、下記が提供される。
(1)研磨材を製造するために焼成される炭酸セリウムの焼成温度の設定方法において、炭酸セリウムが10〜500質量ppmのフッ素を含み、そのフッ素含有量に応じて焼成温度を設定する方法。
(2)焼成温度が下式により求められる上記(1)に記載の焼成温度を設定する方法。
T=(700+A)−B〔log(F)〕
ただし、
Tは、焼成温度(℃)、
Fは、炭酸セリウムのフッ素の含有量(質量ppm)、
A,Bは、最適焼成温度既知のフッ素含有量の異なる2種類の炭酸セリウムの最適焼成温度(℃)、フッ素含有量(質量ppm)をそれぞれT1,F1、T2,F2とすると、
Figure 2005048181
より求められる焼成炉及び昇温条件に固有の定数。
(3)炭酸セリウムを原料として、焼成をして酸化セリウム研磨材を製造する方法において、焼成温度を上記(1)または(2)の方法で設定する酸化セリウム研磨材の製造方法。
(4)フッ素の含有量が10〜500質量ppmの炭酸セリウムを原料として、焼成をして酸化セリウム研磨材を製造する方法において、炭酸セリウム中のフッ素の含有量F(質量ppm)に応じて、焼成温度T(℃)を
730−14〔log(F)〕≦T≦790−10〔log(F)〕
の範囲内に設定することを特徴とする酸化セリウム研磨材の製造方法。
(5)原料炭酸セリウムのフッ素含有量が50〜300質量ppmである上記(3)または(4)に記載の酸化セリウム研磨材の製造方法。
(6)さらに酸化セリウムから可溶性フッ素を除去する工程を含む上記(3)〜(5)のいずれか1項に記載の酸化セリウム研磨材の製造方法。
(7)上記(3)〜(5)のいずれか1項に記載の方法で製造される可溶性フッ素量が酸化セリウムに対して20〜1000質量ppmの酸化セリウム研磨材ロット群。
(8)酸化セリウム研磨材ロット群が比表面積9.5〜12.2m2/gの酸化セリウム研磨材で構成される上記(7)に記載の酸化セリウム研磨材ロット群。
(9)酸化セリウム、水および酸化セリウムを分散しうる添加剤を含有する酸化セリウム研磨材スラリーにおいて、酸化セリウムが、上記(7)または(8)に記載の酸化セリウム研磨材ロット群より得られる酸化セリウムである酸化セリウム研磨材スラリー。
(10)上記(3)〜(6)のいずれか1項に記載の酸化セリウム研磨材の製造方法を含む酸化セリウム研磨材スラリーの製造方法。
本発明の研磨材の製造方法により製造された研磨材は、加工レート、研磨面品質の安定性を提供し、半導体研磨用組成物としての好適に使用される。
本発明は炭酸セリウムを焼成して酸化セリウム研磨材を製造する方法に関する。本発明者は、炭酸セリウム中に微量に存在する不純物に着目し、炭酸セリウム中の微量のフッ素が、それを焼成して生成する酸化セリウムの結晶性に影響を与えること、その影響をフッ素含有量に応じて焼成温度を調整することで防止できることを見出した。
特にフッ素の含有量が5質量ppm未満の高純度炭酸セリウムの場合には焼成して得られる酸化セリウムの結晶品質、比表面積に問題はない。しかし、フッ素の含有量が特に10質量ppm以上の場合には、焼成して得られる酸化セリウムの結晶の過度の成長と比表面積の低下を起こし、その傾向はフッ素の含有量が多いほど顕著である。さらに、焼成温度をフッ素の含有量に応じて純粋な炭酸セリウムを用いた場合の焼成温度より低くすると、酸化セリウムの結晶性及び比表面積を狭い範囲で一定に保つことができる。ただし、高純度炭酸セリウムの場合にはフッ素含有量が500質量ppmを超えることはあまりなく、また、Laなどの他の希土類元素含有量の少ない高純度炭酸セリウムの場合は単に温度を下げても局部的な異常粒成長が発生しやすい。原料炭酸セリウムのフッ素含有量の上限は好ましくは500質量ppm、より好ましくは300質量ppmである。
こうして、原料炭酸セリウム中のフッ素の含有量に応じてその焼成温度を調整することで、結晶品質、比表面積ともに純粋な原料炭酸セリウムを用いた場合に匹敵するロット間での変動が少ない優れた酸化セリウムロット群を得ることができる。
原料炭酸セリウム中のフッ素の含有量と、比表面積及び最適焼成温度の関係を図1に示す。図1において、原料炭酸セリウム中のフッ素含有量(5質量ppm未満、60質量ppm、300質量ppm)に関係なく、焼成温度が上昇すると比表面積が小さくなっている。また原料炭酸セリウム中のフッ素含有量が多くなると、比表面積がより小さくなっている。これより、原料炭酸セリウム中のフッ素の含有量が多いほど、焼成温度をその含有量に応じて低くすることで、最適の比表面積をもつ酸化セリウムを得られることがわかる。酸化セリウムの好適な比表面積は、その用途及び研磨材粒度によって異なるが、例えば半導体研磨などの用途に供される研磨材においては、9.5〜12.2m2/g、最適な比表面積は10.5〜11.5m2/gである。また図示していないが、フッ素含有量が多い場合、焼成温度が高すぎると過度の粒成長を起こし、スクラッチの発生原因になりやすい。また、上記の好適範囲、最適範囲では結晶性も好適範囲、最適範囲である。
最適な焼成温度は、例えば、最初に炭酸セリウムのフッ素含有量を基準に最適焼成温度に関するデータベースを構築し、以後それより求めることができる。具体的には、個々の焼成炉及び昇温条件ごとに、種々のフッ素含有量の炭酸セリウムについて予備試験により最適な焼成温度を求め、以後、同等のフッ素含有量を有する炭酸セリウムについては同じ焼成温度を適用すればよい。
より簡単には、以下の方法で最適焼成温度を求めることができる。
フッ素の含有量が10〜500質量ppm、特に50〜300質量ppmの原料炭酸セリウムを用い、
T=(700+A)−B〔log(F)〕
(式中、Tは焼成温度(℃)、Fはフッ素含有量(質量ppm)、A及びBは個々の焼成炉及び昇温条件に固有の定数)
を満たす温度で焼成することで、フッ素含有量が5質量ppm未満の純粋な原料炭酸セリウムでない場合にも、研磨材として高品位の酸化セリウムを得ることができる。
A及びB値は、フッ素含有量の異なる2種類の炭酸セリウムの焼成結果より決定される。例えば、最適焼成温度既知(例えば、あらかじめ予備試験により求めることができる)のフッ素含有量の異なる2種類の炭酸セリウムの最適焼成温度(℃)、フッ素含有量(質量ppm)をそれぞれT1,F1、T2,F2とすると、
Figure 2005048181
の連立方程式によりA,Bを求めることができる。
これら炭酸セリウムのフッ素含有量は、一方が10質量ppm以下、他方が50〜300質量ppmであると、A,B値がより正確に求められるので好ましい。
特に、フッ素含有量が5質量ppm未満の純粋な原料炭酸セリウムを用いれば、B〔log(F)〕の項は実質的に無視ことができるので、これで求めた最適焼成温度T=(700+A)によりA値を求めることができる。
B値は、予め求めておいたA値及び特定のフッ素の含有量(F)〔10〜500質量ppm、好ましくは50〜300質量ppm)の原料炭酸セリウムを用い、最適焼成温度T=(700+A)−B〔log(F)〕から求めることができる。
一般に、A値としては30〜90、B値としては10〜14となる。
従って、焼成温度Tは、通常、
730−14〔log(F)〕≦T≦790−10〔log(F)〕
の範囲内である。この範囲を図2に示す。
高純度炭酸セリウムのフッ素量は高純度炭酸セリウムの製造方法によって異なる。原料の希土類鉱石としてはバストネサイト、モナザイト、イオン吸着鉱等が知られている。特に、バストネサイト鉱はフッ化物であり、フッ素源となる。(ただし化学処理の方法によってはバストネサイトを使用してもフッ素の除去は可能である。)いずれの鉱石から精製した炭酸セリウムであっても、フッ素の量を測定し、それに応じた焼成条件を選定することで安定した結晶性を有する酸化セリウムを得ることが可能である。
高純度原料炭酸セリウム中のフッ素は、得られる酸化セリウム中に取り込まれやすい。ただし、酸化セリウム中に取り込まれたフッ素の内、研磨などに影響を与える可能性のある可溶性フッ素である。本発明の方法により得られる酸化セリウムは、可溶性フッ素量が少なく、通常、半導体研磨などの用途に問題なく使用できる。その可溶性フッ素量は、酸化セリウムに対して20〜1000質量ppm程度である。
もし、可溶性フッ素含有量をさらに低下させる必要がある場合は、得られた酸化セリウムから可溶性フッ素を除去する工程(例えば、水洗など)を設ければよい。そうすることにより、本発明の方法により得られる酸化セリウムは、純粋な炭酸セリウムを焼成して得られる酸化セリウムと同様に用いることができる。
酸化セリウム中の可溶性フッ素の含有量は、アルカリ性水溶液に酸化セリウムを懸濁し、上澄の陰イオンクロマトグラフィーにより測定可能である。比色分析によっても測定可能である。
酸化セリウムの結晶性を評価する手段として、透過型電子顕微鏡による観察、走査型電子顕微鏡による観察等が知られている。
間接的ではあるが、X線回折による回折ピーク幅の測定は、全体の平均を評価する上で使用される。酸化セリウムの場合は通常最強ピークとして(111)が使用されるが、研磨剤の品質管理の点では、より精度を上げるためには高角の回折を使用するのが望ましい。半価幅の測定を行うには厳密にはモノクロメーターの調整による影響を避けるために、モノクロメーターは使用せず、Niフィルターを使用してCuKα1とKα2の強度比を2:1とし、コーシー曲線ないしはガウス曲線によるピーク分離を実施しなければならない。しかし、定常的に測定するのであれば標準試料との比較で使用可能である。
比表面積の測定はさらに簡便であり、工程管理に使用される。しかし、X線回折と比表面積は、結晶性のみを反映するパラメーターではないため、測定は規格化された条件下で行なわなければならない。
本発明の主旨は、高純度炭酸セリウムを使用して製造される酸化セリウム研磨材の品質変動要因として、従来疑われることのなかった陰イオン性不純物について着目し、その中でフッ素が高純度炭酸セリウムにとり込まれやすいことを見出し、フッ素の粒成長促進作用を相殺するために焼成温度を調節することである。本発明により、フッ素が不純物として取り込まれた炭酸セリウムから出発して安定した高純度酸化セリウム研磨材を提供することができる。
フッ素の含有量によって調整される温度は通常10℃から50℃程度である。原料ロットごとにより試験焼成を行わなければならないことが多かった酸化セリウムの製造において、フッ素含有量を基準に焼成温度を決定する手段は、生産の効率化と品質の安定性確保の点で優れている。
次に、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
参考例(酸化セリウムスラリーの作製1)
フッ素含有量が5ppm未満の炭酸セリウム1kgをアルミナ製匣鉢に入れ、780℃、3時間の焼成を実施した。作製した酸化セリウム粉末1.2kgをボールミルで乾式粉砕した。レーザー回折型粒度分布測定機(シーラス850:シーラスアルカテル製)を用い、1μmの累積篩下が50%となるところで粉砕を終了した。粉砕後の酸化セリウムの粉末は一部可溶性フッ素の分析試料とした。得られた酸化セリウム粉末600gを水1400gに入れ、市販の分散剤3gを入れて高速ミキサーでスラリー化した。スラリーを2リットルビーカー中で24時間静置し、上部10cmを抜き出すことで沈降分級を行った。抜き出した酸化セリウムスラリーを150℃で乾燥し、比表面積測定用試料とX線回折用試料とした。比表面積の測定はマルチソーブ(ユアサ機械製)を使用した。X線回折装置は理学電機製を使用し、半価幅の測定精度を上げるためにミラー指数(440)の高角回折線を用いた。可溶性フッ素を測定するために、粉砕した酸化セリウムの粉砕粉1gを0.01mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に入れ、20分間超音波分散をかけた後上澄みをろ過し、イオンクロマトグラフィー測定用試料とした。スラリー中の可溶性フッ素の分析を行うために、上記の沈降分級品をスラリー濃度10%になるように純水を加えた後遠心分離機で上澄みを回収し、ろ過を行いイオンクロマトグラフィー用の測定試料とした。
実施例1(酸化セリウムスラリーの作製2)
フッ素を300質量ppm含有する炭酸セリウム1kgを同様に750℃で3時間焼成し、参考例と同様の手順で各々の測定試料を用意した。
実施例2(酸化セリウムスラリーの作製3)
フッ素を60質量ppm含有する炭酸セリウム1kgを760℃で3時間焼成し、参考例と同様の手順で各々の測定試料を用意した。
比較例1(酸化セリウムスラリーの調製4)
フッ素を300質量ppm含有する炭酸セリウム1kgを780℃で焼成し、参考例と同様の手順で各々の測定試料を用意した。
比較例2(酸化セリウムスラリーの調製5)
フッ素を60質量ppm含有する炭酸セリウム1kgを780℃で焼成し、参考例と同様の手順で各々の測定試料を用意した。
Figure 2005048181
フッ素が5ppm未満の炭酸セリウムを焼成して得られた酸化セリウムと比較して、フッ素を含有する炭酸セリウムを用いて同じ温度で焼成した酸化セリウムは、比表面積が小さく、半価幅も小さくなった(比較例1、比較例2)。いずれも結晶子が大きくなったことを表す結果となった。フッ素を含有する炭酸セリウムについて焼成温度を本発明の方法により調整して作製した酸化セリウムの比表面積、半価幅は参考例と変わらない結果となった(実施例1、実施例2)。
Figure 2005048181
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2全ての試料において可溶性フッ素が検出された。スラリー中のフッ化物イオン量には酸化セリウム以外の原料由来のフッ化物イオンも含まれる。
実施例3(酸化セリウムスラリーの水洗)
実施例1で使用した炭酸セリウムを用いて作製した5%スラリー30kgをマイクロフィルターで水洗し、水洗前後の可溶性のフッ素イオン濃度を分析した。この分析では、スラリーを遠心分離機で分離した上澄みをメンブレンフィルターで濾過し、ろ液についてイオンクロマトグラフィーでフッ化物イオン濃度を測定した。可溶性フッ素は洗浄操作により低減した。
Figure 2005048181
実施例4(研磨試験)
参考例、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、実施例3で調製したスラリーを1%に濃度調整し、研磨試験を実施した。
[研磨条件]
被研磨材:
6インチφ、厚さ625μmのシリコンウエハ上にCVD法で形成した二酸化珪素膜( 膜厚約1μm)
パッド:
二層タイプの半導体装置研磨用パッド(ロデールニッタ株式会社製 IC1000/SU BA400)
研磨機:
半導体装置研磨用片面ポリシングマシン(スピードファム株式会社製、型番SH−2 4、定盤径610mm)
定盤回転速度:70rpm
加工圧力:300gf/cm2
スラリー供給装置:100ml/min
研磨時間:1min
[評価項目と評価方法]
研磨速度:光干渉式膜厚測定装置
傷:光学顕微鏡暗視野観察
(200倍でウエハ研磨面の約3%の観察を行い、検出個数を個/cm2に換算)
残留砥粒:光学顕微鏡暗視野観察
(200倍でウエハ研磨面の約3%の観察を行い、検出個数を個/cm2に換算)
上記の研磨試験を行い、純水でスクラブ洗浄し、スピンドライを行ったウエハについて評価した。
Figure 2005048181
研磨速度においては比較例1、比較例2のスラリーは高い研磨速度が得られたが、研磨面傷が多く、品質に問題があった。可溶性フッ素の有無は研磨面に悪影響を及ぼさなかった。むしろ結晶性が過度に高いことによる研磨面品質の低下の方が顕著であった。
原料炭酸セリウム中のフッ素の含有量と、比表面積及び最適焼成温度の関係を示す。 原料炭酸セリウム中のフッ素含有量と焼成温度範囲の関係を示す。

Claims (10)

  1. 研磨材を製造するために焼成される炭酸セリウムの焼成温度の設定方法において、炭酸セリウムが10〜500質量ppmのフッ素を含み、そのフッ素含有量に応じて焼成温度を設定する方法。
  2. 焼成温度が下式により求められる請求項1に記載の焼成温度を設定する方法。
    T=(700+A)−B〔log(F)〕
    ただし、
    Tは、焼成温度(℃)、
    Fは、炭酸セリウムのフッ素の含有量(質量ppm)、
    A,Bは、最適焼成温度既知のフッ素含有量の異なる2種類の炭酸セリウムの最適焼成温度(℃)、フッ素含有量(質量ppm)をそれぞれT1,F1、T2,F2とすると、
    Figure 2005048181
    より求められる焼成炉及び昇温条件に固有の定数。
  3. 炭酸セリウムを原料として、焼成をして酸化セリウム研磨材を製造する方法において、焼成温度を請求項1または2の方法で設定する酸化セリウム研磨材の製造方法。
  4. フッ素の含有量が10〜500質量ppmの炭酸セリウムを原料として、焼成をして酸化セリウム研磨材を製造する方法において、炭酸セリウム中のフッ素の含有量F(質量ppm)に応じて、焼成温度T(℃)を
    730−14〔log(F)〕≦T≦790−10〔log(F)〕
    の範囲内に設定することを特徴とする酸化セリウム研磨材の製造方法。
  5. 原料炭酸セリウムのフッ素含有量が50〜300質量ppmである請求項3または4記載の酸化セリウム研磨材の製造方法。
  6. さらに酸化セリウムから可溶性フッ素を除去する工程を含む請求項3〜5のいずれか1項に記載の酸化セリウム研磨材の製造方法。
  7. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法で製造される可溶性フッ素量が酸化セリウムに対して20〜1000質量ppmの酸化セリウム研磨材ロット群。
  8. 酸化セリウム研磨材ロット群が比表面積9.5〜12.2m2/gの酸化セリウム研磨材で構成される請求項7に記載の酸化セリウム研磨材ロット群。
  9. 酸化セリウム、水および酸化セリウムを分散しうる添加剤を含有する酸化セリウム研磨材スラリーにおいて、酸化セリウムが、請求項7または8に記載の酸化セリウム研磨材ロット群より得られる酸化セリウムである酸化セリウム研磨材スラリー。
  10. 請求項3〜6のいずれか1項に記載の酸化セリウム研磨材の製造方法を含む酸化セリウム研磨材スラリーの製造方法。
JP2004212075A 2003-07-17 2004-07-20 酸化セリウム研磨材の製造方法及び得られる酸化セリウム研磨材 Expired - Fee Related JP4434869B2 (ja)

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